エレガントかつ精緻な演奏が、モーツァルトの『ピアノ協奏曲第27番』の魅力を際立たせている。オーストリア出身の名指揮者フランツ・ウェルザー=メストは、20年以上にわたってアメリカのオハイオ州クリーヴランドを拠点とするクリーヴランド管弦楽団の音楽監督を務めてきた。その間に培われた彼と団員たちとの深い信頼関係によって、ウェルザー=メストの正確で緻密な解釈はオーケストラの隅々にまで浸透し、彼が理想とする演奏が見事に実現されている。ソリストは、ニューヨーク州出身のギャリック・オールソン。このベテランピアニストの輝くような音色と軽やかかつ繊細なタッチは、オーケストラが生み出すサウンドと見事に響き合い、一体となった彼らの演奏はこのコンチェルトが持つ優美さと清澄さを余すことなく伝えてくれる。カップリングされているモーツァルトの『交響曲第29番』でも、ウェルザー=メストとクリーヴランドのメンバーたちの息はぴったりだ。また、同オーケストラの本拠地であるマンデル・コンサートホールでのライブを収録した音そのものも、臨場感あふれるものとなっている。
作曲
指揮者
オーケストラ
ピアノ