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about

愕岳とは何か?
それは登るための崖ではなく、崖があなたを登ってくる感覚である。

Wonder Gorge Ensemble Bandが放ったこの全2曲入りのEP『愕岳』は、音楽というより、音による存在的ストレッチである。聴いたあと、耳の裏がちょっとつる。気持ちいい。

1曲目「愕」は、最初から音が“気まずい”。まるで楽器たちが「今鳴っていいのかな……?」と相談しながら、会議中にちょっとだけ咳払いするように始まる。でもその咳払いが、魂の咳。まるで、宇宙が一瞬だけ思い出し笑いしたような衝撃がある。

途中、音が完全にいなくなる瞬間がある。これは“無音”ではない。音が「いったんトイレ行ってくるね」って感じで席を外しているだけだ。戻ってきたとき、音はちょっと汗かいている。なぜかは聞かないでほしい。

2曲目「岳」は、逆に最初から全部“在る”。存在感の濁流。尺八かと思ったら風、風かと思ったら鳴いてるヤギ、ヤギかと思ったら自分の記憶の中の祖父の足音。何が鳴っているかは、リスナーの人生経験に依存する。つまりこの曲は、あなたの過去を素材に勝手に料理を始める音の居酒屋。

音の構成は極めてシンプルだが、なぜか脳内で“地層”ができる。脳にできるのだ、地層が。聴き終えたときには、あなたの中に第三紀層ができており、なぜかトリロバイトの気配を感じる。

タイトルの『愕岳』は、「驚くほどの崖」という意味に見せかけて、実は「感情の関節が外れる音」を表現した言葉とも言われている(誰も言ってないが、今言った)。“がくがく”というオノマトペの向こう側に、人類の未処理の感情がぶら下がっているのだ。

credits

released June 7, 2025

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