ライス・アンド・ビーンズのソースを表示

{{Otheruses|一般的な豆と米を使った料理|西インド諸島の料理|ライスアンドピーズ}}[[Image:Rice and beans, Hotel in Itatiaia.jpeg|thumb|300px|[[ブラジル]]の国民食であるフェジョアーダ。南東部の田園地帯にあるホテルで供される米と{{仮リンク|ウズラマメ|en|Pinto bean}}。この料理には肉、パン、卵、野菜などが添えられている場合がある。]]
'''ライス・アンド・ビーンズ'''（{{Lang-en-short|rice and beans}}）は、世界の多くの文化での[[主食]]を組み合わせて作られた料理の一種。穀物とマメ科植物の組み合わせは、いくつかの重要な[[栄養素]]と、多くの[[カロリー]]を提供し、どちらの食物も幅広い種類が使用可能である。[[米]]と[[豆]]は[[ヴィーガニズム|完全菜食]]であり、組み合わせることによって{{仮リンク|完全タンパク質|en|Complete protein}}を構成する。通常、豆は味付けされているが、米は味付けされる場合もされない場合もある。2種類の食材は一緒に盛られたり、別々に盛られたりする。

== 説明 ==
[[File:Rajma, kidney beans, served with chawal, rice.jpg|thumb|[[インゲンマメ]]と米]]
この料理は通常、[[白米]]または[[玄米]]に調理された[[ウズラマメ]](Pinto bean)、赤[[インゲンマメ]]、黒インゲンマメ、[[ササゲ]]などを添えて、さまざま調理法で味付けされたものである。一般的に[[鶏肉]]、[[豚肉]]、[[牛肉]]などの[[シチュー]]や、[[ポテトサラダ]]、茹でた[[ジャガイモ]]等のさまざまな文化に基づく副食と共に供される。多くの地域では米と豆は重ねてではなく、並べて盛られている。いずれにせよ、この料理は畜肉や鶏肉をトッピングした食事とみなされるかもしれない。肉やその他の食材は、豆と米の上に載せられることもあるが、時には一緒に混ぜ込まれる。

場所が変われば食の好みも変化する。
*[[ブラジル]]では黒いんげん豆は[[パラナ州|パラナ]]、[[リオデジャネイロ州|リオデジャネイロ]]、[[リオグランデ・ド・スル州|リオグランデ・ド・スル]]および[[サンタカタリーナ州|サンタカタリーナ]]で人気があるが、この国のほかの地域では[[フェジョアーダ]]にだけ使われている。
*[[レッドビーンズ・アンド・ライス]]は、ニューオーリンズの名物料理。

== 歴史 ==

=== アメリカ州 ===
[[インゲンマメ属]]の遺伝子解析によって、この植物の起源がメソアメリカにあり、伝統的な[[コンパニオンプランツ]]の[[トウモロコシ]]および[[カボチャ]]とともに南方に拡散したことが示されている<ref>{{cite journal | doi = 10.1073/pnas.1108973109 | volume=109 | title=Mesoamerican origin of the common bean (Phaseolus vulgaris L.) is revealed by sequence data | year=2012 | journal=Proceedings of the National Academy of Sciences | pages=E788–E796 | author=Bitocchi E., Nanni L., Bellucci E., Rossi M., Giardini A., Zeuli P. S., Logozzo G., Stougaard J., McClean P., Attene G., Papa R.| issue=14 | pmid=22393017 | pmc=3325731 | doi-access=free }}</ref>。[[米]]はスペイン人とポルトガル人によって植民地時代にメキシコとブラジルにもたらされた。しかしながら、近年になってアマゾン先住民が約4000年前から同じ[[イネ属]]の植物をすでに栽培しており<ref>[https://www.nature.com/articles/s41559-017-0322-4 "Evidence for mid-Holocene rice domestication in the Americas", Hilbert et al, ''Nature Ecology & Evolution'' (2017), doi:10.1038/s41559-017-0322-4, Published online: 9 October 2017]</ref>、それ以前に南アメリカに存在していた豆の伝統的なコンパニオンプランツのトウモロコシおよびカボチャと一緒に栽培していたことが発見された。いくつかの近年の研究では[[大西洋奴隷貿易|奴隷化されたアフリカの人々]]が[[新世界]]での米の普及に積極的な役割を果たしたことが示唆されている<ref>[https://www.amazon.com/dp/0674004523 ''Black Rice: The African Origins of Rice Cultivation in the Americas'' by Judith A. Carney]</ref><ref>{{cite book |author=National Research Council |title=Lost Crops of Africa: Volume I: Grains |url=http://books.nap.edu/openbook.php?record_id=2305 |accessdate=2008-07-18 |series=Lost Crops of Africa |volume=1 |date=1996-02-14 |publisher=National Academies Press |isbn=978-0-309-04990-0 |chapter=African Rice |chapter-url=http://books.nap.edu/openbook.php?record_id=2305&page=17 }}</ref>。米はいくつかのスペイン語圏の国々ではもっとも一般的な食物となっている。

== 栄養上の重要性 ==
豆と米は非常に栄養に富んでいる。米には[[デンプン]]が豊富で、優れたエネルギー源である。米には[[鉄|鉄分]]と一部の[[タンパク質]]も含まれている。豆もまた豊富な鉄分と、米よりも豊富なタンパク質を含んでいる。この二つが一緒になると完全なタンパク質を構成し、人体が生成できない必須アミノ酸を供給できる。

豆と米には互いの不足を補う成分もある。米には必須アミノ酸の[[リジン]]が足りないが、豆にはリジンが豊富に含まれている。豆に足りない必須アミノ酸の[[メチオニン]]は、米に豊富に含まれている{{Sfn|モリス|2020|pp=76-77}}。

== 文化 ==
一部の[[ラテンアメリカ]]の国々では、豆と米はさまざまな種類の肉や野菜と共に日々の昼食として普通に食べられている。昼食の残りを使って夕食の支度をすることも一般的である。豆と米は、乾燥豆の世界第3位の生産国であり<ref>{{cite web|title=Countries by commodity -- Beans, Dry|url=http://www.fao.org/faostat/en/#rankings/countries_by_commodity|website=FAOSTAT|publisher=[[FAO]]|accessdate=24 May 2018|date=2016}}</ref>、[[アメリカ州]]で最大の米の消費国であるブラジルで特に人気がある<ref>{{cite web|title=Rice around the world -- Brasil|url=http://www.fao.org/rice2004/en/p1.htm|website=International Year of Rice|publisher=[[FAO]]|accessdate=24 May 2018|date=2004}}</ref>。

[[アメリカ合衆国]]南部の[[ニューオーリンズ]]では、毎年3月にレッド・ビーンズ・パレードというイベントが開催される。大学バスケットボール選手権と共に開催される慈善競技で、レッド・ビーンズ・ライスの作り方を競い合う。競技には「スイート・6・ビーン」や「ファイナル・フォーク」などの題目がある{{Sfn|モリス|2020|p=98}}。

== 各国の料理 ==
[[File:Red Beans and Rice.jpg|thumb|{{仮リンク|レッド・ビーンズ・アンド・ライス|en|Red beans and rice}}]] 
=== アメリカ ===
* [[バンデハ・パイサ]]：[[コロンビア]]の伝統料理。皿に炊いた米、[[目玉焼き]]、[[チョリソー]]や揚げた豚肉を盛り、煮込んだ赤いんげん豆をかけたもの。
* {{仮リンク|アロス・コン・ガンデュレス|en|Arroz con gandules}}：米と[[キマメ]]、豚肉を[[ターメリック]]で炊き込んだ[[プエルト・リコ]]の国民食。
* {{仮リンク|アロス・フント|en|Arroz junto}}：米、肉、豆が一緒に調理されたプエルト・リコ料理
* カサミエント (casamiento)：スペイン語で「結婚」の意味。米とアズキの豆ご飯で、[[エル・サルバドル]]や[[ホンジュラス]]の伝統料理。
* [[フェジョアーダ]]：豆と豚肉や牛肉を煮込んでスパイスを効かせた料理で、白米と共に盛り付けて供される[[ブラジル]]の国民食。肉には、かつては豚の耳・足・尾、牛の舌などの安価な部分が使われ、現在は豚の燻製や牛肉の切り身を使う{{Sfn|モリス|2020|pp=104-105}}。
* {{仮リンク|ガージョ・ピント|en|Gallo pinto}}：米と黒豆の豆ご飯で[[ニカラグア]]や[[コスタ・リカ]]の定番料理。
* {{仮リンク|モロ・デ・グァンデュレス|en|Moro de guandules}}：[[ドミニカ共和国]]の料理。ササゲを使ったトマト味の[[ピラフ]]。
* {{仮リンク|パベジョン・クリオージョ|en|Pabellón criollo}}：茹でて細かくほぐした牛肉、白米、黒いんげん豆を一皿に盛り合わせた[[ベネズエラ]]料理。
* {{仮リンク|モロス・イ・クリスティアーノス|en|Platillo Moros y Cristianos}}：[[キューバ]]料理。黒いんげん豆の豆ご飯。
* [[ライスアンドピーズ|ライス・アンド・ピーズ]]：カリブ諸国で主食となっている豆ご飯。
* [[ホッピン・ジョン]]：アメリカ合衆国南部の豆ご飯で、黒目豆（エンドウマメ）とベーコンを米と一緒に炊いたもの。
* {{仮リンク|レッド・ビーンズ・アンド・ライス|en|Red beans and rice}}：[[クレオール料理|ルイジアナのクレオール料理]]で最も一般的な豆と米の料理{{efn|ジャズ・ミュージシャンの[[ルイ・アームストロング]]はレッド・ビーンズ・アンド・ライスが好物で、手紙の末尾に「レッド・ビーンズ・アンド・ライスを込めて」と書いていた{{Sfn|モリス|2020|p=98}}。}}。

=== アジア ===
* {{仮リンク|ラジマ|en|Rajma}}：[[インド]]の[[ベジタリアン]]料理。スパイスを効かせた赤いんげん豆の煮込みで、通常は米と共に盛り付けて供される。
* [[チャゲンポンバ]]：インドの[[マニプール州]]の料理。大豆を発酵させたペーストであるハワイジャールを野菜や米と混ぜる{{Sfn|モリス|2020|pp=110-111}}。
* [[:en:Orez Shu'it|Orez Shu’it]]：伝統的な[[イスラエル]]の豆と米の料理。
* トナオ：タイ北部の納豆。農民の日常食として米に載せたり、[[シャン族]]は餅米とともに食べる{{Sfn|高野|2020a|pp=44-45, 73-75, 79-80}}。
* ノップー：ミャンマーの[[カチン州]]の納豆。油で炒めて米と食べたり、米と混ぜて炒める{{Sfn|高野|2020a|pp=161-162}}。
* [[キネマ (食品)|キネマ]]：ネパールやブータンの納豆。ネパールの定食[[ダルバート]]のカレーやタルカリ（おかず）に入れる{{Sfn|高野|2020a|pp=227-228, 251}}。
* {{仮リンク|コンバプ|en|Kongbap}}：朝鮮料理。大豆を使った豆ご飯。
* 豆ごはん：白米と[[グリーンピース]]を塩味で一緒に炊いた日本の[[炊き込みご飯]]。
* [[赤飯]]：[[もち米]]にアズキやササゲを混ぜて蒸した日本の[[おこわ]]。
* [[ぼたもち]]：もち米とうるち米を混ぜたもの（または単にもち米）を、蒸すあるいは炊き、米粒が残る程度に軽く搗いて丸めたものに、餡をまぶした日本の食べ物。「おはぎ」とも。
* [[納豆]]：茹でた大豆を[[納豆菌]]で発酵させたもの。白米を炊いた飯に載せて食されることも多い。

=== アフリカ ===
* {{仮リンク|ワーキー|en|Waakye}}：[[ガーナ]]の豆と米の料理。

== 呼称 ==
[[File:Enchiladas rice beans.jpg|thumb|[[スパニッシュライス|メキシカンライス]]と豆を添えた[[エンチラーダ]]]]
ライス・アンド・ビーンズは[[スペイン語]]では ''arroz y habas''（米と豆）、''arroz con habichuelas''（同）、''arroz con frijoles''（同）、''gallo pinto''（斑らの雄鶏）、''recalentao''（温め直し）と呼ばれ、[[ポルトガル語]]では ''arroz e feijão''、''arroz com feijão''、''feijão com arroz''（すべて［米と豆］の意）と、[[ヴェネト語]]では ''risi e bisi''、[[ハイチ語]]では''diri ak pwa''、[[ラディーノ語]]では''avas kon arroz'' ないし ''avikas kon arroz''と呼ばれている。

== 出典・脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

=== 注釈 ===
{{Reflist|group="†"|}}
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=== 出典 ===
{{Reflist|1|}}

== 参考文献 ==
* {{Citation| 和書
| author = [[高野秀行 (ノンフィクション作家)|高野秀行]]
| title = 謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉
| publisher = 新潮社
| series = 新潮文庫
| year = 2020
| isbn = 
| ref = {{sfnref|高野|2020a}}
}}
* {{Citation| 和書
| author = 高野秀行
| title = 幻のアフリカ納豆を追え！―そして現れた〈サピエンス納豆〉
| publisher = 新潮社
| series =
| year = 2020
| isbn = 
| ref = {{sfnref|高野|2020b}}
}}
* {{Citation| 和書
| author = ナタリー・レイチェル・モリス
| title = 豆の歴史
| publisher = 原書房
| series = 食の図書館
| translator = [[竹田円]]
| year = 2020
| isbn = 
| ref = {{sfnref|モリス|2020}}
}}（原書 {{Citation| 洋書
| last = Morris
| first = Natalie Rachel
| year = 2020
| title = Beans: A Global History
| publisher = Reaktion Books
| isbn = 
}}）
* {{Citation| 和書
| author = [[吉田よし子]]
| title = マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて
| publisher = 平凡社
| series = 平凡社新書
| year = 2000
| isbn = 
| ref = {{sfnref|吉田|2000}}
}}

== 関連文献 ==
*Embrapa, ''[https://web.archive.org/web/20050208225402/http://www.cnpaf.embrapa.br/arroz/historia.htm Origem e História do Arroz]'' and ''[https://web.archive.org/web/20050209223252/http://www.cnpaf.embrapa.br/feijao/historia.htm Origem e História do Feijão]'' {{in lang|pt}}
*''[https://web.archive.org/web/20070219030120/http://www.camaquaalimentos.com.br/arroz_feijao.html Arroz e Feijão: Uma dupla infalível]'', Camaquã Alimentos {{in lang|pt}}

== 関連項目 ==
{{portal|食}}
* [[ハイチ料理]]
* [[:en:List of legume dishes|List of legume dishes]]
* [[:en:List of rice dishes|List of rice dishes]]

== 外部リンク ==
{{commons}}
{{cookbook|Arroz con frijoles negros|l1=Rice and beans}}
*[http://www.cnpaf.embrapa.br/english/index.htm Embrapa - Empresa Brasileira de Pesquisa Agropecuária] {{in lang|en}}
{{米料理}}

{{DEFAULTSORT:らいすあんとひいんす}}
[[Category:米料理]]
[[Category:豆料理]]
[[Category:食品の組み合わせ]]