『しゅんしゅんの夜に きらきらを』――【ひだまり童話館】
【ひだまり童話館】様、「きらきらな話」「しゅんしゅんな話」企画参加作品です。
(*人'ω'*)<今回が、なんと第40回目ですって!おめでとうございます!
むかしむかし、風が歌う ふしぎな森がありました。
そこには、"しゅんしゅん"という 小さな風の子がいました。
しゅんしゅんは木のあいだを走りぬけるたび、さらさら、しゅうーんと、森をくすぐるような やさしい風をおこします。
その風が通ったあとは、色とりどりの花が咲き、たくさんの実がつき、森の動物たちは喜んでいました。
ところが、しゅんしゅんには、”一つだけ悩み”がありました。
(ぼくの風、だれも気づいてくれないかもしれない……)
どんなに頑張っても、風である体には色がなく、声は風の音にしか聞こえません。
(…もっと森のみんなと仲良くなりたいのに…)
誰にも気づかれることなく、しゅんしゅんは 森の中をわたり歩いていきます。
──そんな、ある夜のこと。
森の奥で、”きらきら”と光る小さな音がしました。
まるで星が地面に落ちてきたみたいに、草むらの中がほのかに光っています。
おそるおそる しゅんしゅんは、そっとのぞきこんでみました。
「あっ、妖精さんだ!?……こんなところで、どうしたの?」
しゅんしゅんが、心配そうに光の主へ声をかけます。
「羽の光が弱くなって、空を飛べなくなってしまったの……」
そこにはかすかな光の粉をこぼす妖精が、うずくまっていたのです。
「わたしは、ほたるの妖精・キラリ……あなたは風さん?、声は聞こえるけど、姿は見えないわ……」
しゅんしゅんは、胸がきゅっとなって言いました。
「ぼくは風のしゅんしゅん……妖精さんでも、ぼくは見えないんだね……」
でも、しゅんしゅんは困っている妖精さんに 何かしてあげたかったのです。
「ぼくの風で、きみを支えられるかな?」
しゅんしゅんがそっと風を送り出すと、キラリの羽の光が、きらきら、きらきらと少しだけ輝きを取り戻しました。
「すごい!あなたの風、あたたかいのね!」
キラリは嬉しそうに笑いました。
その言葉を聞いた瞬間、しゅんしゅんの風がふわっと色づきました。
風の子しゅんしゅんは、生まれて初めて、”ほめられる”という喜びを知ったのです。
「あっ!わたしのきらきらと、しゅんしゅんの風がおどってる!」
淡い青、ほんのり桃色、そしてキラリの光を映した金色まで——
きらきらが風に乗って、しゅんしゅんの姿を見えるようにしてくれたのです。
「ぼくの風が…ぼくのすがたが、みえるの?」
「うん!世界でいちばんきれい!」
「うわぁ!キラリのきらきらのおかげだよ!ありがとう!キラリ!」
「ううん、しゅんしゅんのおかげで、わたしも飛べるようになったわ!ありがとう!しゅんしゅん!」
しゅんしゅんとキラリは、大きな声で笑い合いました。
そして、しゅんしゅんとキラリは力を合わせて、森に”しゅんしゅん”とやわらかな風を送り、空に”きらきら”と光の道をつくりました。
その夜、森の動物たちは口々に言いました。
「なんてすてきな風なんだろう」
「なんてきれいな光なんだろう」
森に住む虫たちや、植物たちも幸せそうに歌いだしました。
おたがいに助け合い、あいてを思いやる やさしい心が森中に広がっていったのです。
そして、しゅんしゅんとキラリは気づきました。
「ねえ、しゅんしゅん!」「うん!、キラリ!」
——風も光も、だれかのためにそっと寄り添うと、いちばん輝くのだということに。
「「これからも、ず~っとよろしくね♪」」
こうしてふたりは、森にしゅんしゅんと風を運び、きらきらと光を灯し続けたのでした。
(おしまい)
時間がなーい!あまり自信がないので後でこっそり修正するかもしれません(-_-;)
お読みくださり、ありがとうございます!!!m(__)m
(追記)
ちょっと描写を追加してみました!( *´艸`)<実は別作品を書いていたのですが、ボツとなりましたw