色んなひとがいるのにみんなに『同じ』を求めるのはおかしい
最近、SNSなどで、よくこういうのを見かけます。
お客「あ、この店のおすすめってある?」
店員「味噌ラーメンが人気だよ。口に合うかはわからんけど」
お客「なんでタメ口なの?」
店員「だってあんたがタメ口だからだよ」
お客様は神様ではない──
確かにそうだとは思いますけど……
店側のひとはお金を貰っているのだから、いわば『お客様は旦那さま、私は執事』ぐらいがいいんじゃないのかなぁ? って思います。
私は大型トラックのドライバーをやっております。
この仕事をやっていると、現場の方同士はタメ口がふつうです。
初めてあった現場のひとにこんなふうに話しかけられます。ちなみにうちのほうがお金をいただいてるので、先方がお客様です。
「おお、来たか。あそこに車着けて、リフトマンの指示に従ってくれ」
それに対し、ドライバーの方の話し方はさまざまです。
私のようなコミュ障や、サラリーマンから転職された方などは丁寧語ですが──
長年この仕事をやっているおじさんドライバーなどは、次のように返します。
「えー? リフトマンおらへんよ? どこにおるん?」
また、私がよく積み込みに行く倉庫のリフトマンさんの喋り方は、次のようです。
「あっ。彦根行きですねー? 承知しました。しばらくお待ちくださいませ」
こっちがなんだか申し訳なくなるような丁寧口調。
かと思えばみんなから評判の悪いようなリフトマンさんもいらっしゃって、その方は何を聞いてもムスッとしていて何も喋りません。
もしかして喋れないのかな? と思っていたら一言「わかっとる! チッ!」とか不機嫌そうに怒鳴られます。
でもある時、私がその不機嫌リフトマンさんにチョコレートをあげたことがありました。
おじさん、嬉しそうな笑顔になって、私に言いました。
「ありがとう」
世の中には色んなひとがいます。
そのひとに合った喋り方をします。
高級レストランでタメ口はまずいでしょうが、ラーメン屋さんとかだったらむしろタメ口のほうが好感をもたれるかもしれません。
「人それぞれだよ」「色んなひとがいるから気を遣ってあげなきゃ」と口にするひとほど、自分の好き・嫌いを他人に押しつけるような印象が私にはあります。
あなたの好きは私の好きじゃないよ。だから押しつけるな、みたいな……
それこそ色んなひとがいて、色んなやり方、考え方があるのだから、「色んなひとがいるからなぁ……」でいいんじゃないでしょうか?
そのことを認めて、他人が自分の嫌いなやり方をしているのを見ても、それを拒絶するのはおかしいと、少なくとも私は思います。
みんな『同じ』じゃないんだから。