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世界でも注目されている元プロゲーマーは、隣の幼馴染のせいでVTuberになる  作者: 白崎奏
1章 新参VTuber誕生

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第25話 切り替え

 結論から言うと勝てるはずがなかった。

 俺がスナイパーで見つけた時、相手側も見つけていた。

 そしてそのまま何人かが後ろについたため、ボコボコにされた。


 いや2vs12は無理だわ。


 『流石にネスイでも無理かぁ』


 「いや、絶対行けません」

 

 ーさすがに無理かぁ

 ーちょっと行けると思った。

 ープリームさんとの相性はいいのになぁ


 「ではもう少しやりますか」


 『そうしましょう!!!』


 ――――――――――――――――


 『では終わりますか』


 時間を見ると11時前だ。

 ざっと3時間の配信時間だった。

 

 プロゲーマーとして動いていたので、3時間のゲームなどは平気だが、

 コメントを読みながらとなると難しかった。


 夜音の方は割とスムーズにコメントを返していた。

 当然のごとくスパチャなども投げられていた。


 スパチャが解禁されるまでだいぶ期間があるので、

 しばらくはコメントの選抜もめんどくさそうだ。


 「次からの配信はしばらくコラボがないのでゲームやります!」


 ー3分の2コラボ

 ー流石にか

 ーゲーム見てて飽きない


 VTuberとして慣れてきたら雑談配信もしたいなと思ってる。


 『ではでは、おつぷり~』


 彼女の通話が切れた。

 なので俺もさよならの挨拶をして配信を切る。


 切り忘れていないか確認した後、やっと休める。

 

 部屋にある椅子にもたれかかって休んでると、

 家のドアが開く音がした。

 遠くから


 「お疲れさま~」


 という夜音の声が聞こえた。

 俺は部屋から出てリビングのソファに座る。

 同時にリビングのドアが空いて、彼女が入ってくる。


 「海斗、ゲームうまいね!あれ本当に初見?」

 

 夜音は勝手に家の冷蔵庫を開けてアイスを食べ始める。

 俺も欲しかったので手で合図をしたが、伝わらなかった。

 

 「ほぼ初見だね。あの切り忘れ省いたら」


 「それは黒歴史だから黙ってて」


 夜音は若干キレながら、横に座った。

 横で見てるとアイスが食べたくなったので、

 俺は立ち上がった。

 

 「配信って難しいね」


 別で配信はしているが、

 VTuberとして動くとなると機材も増えて、

 それらに注意しながらコメントも気にしないといけないので難しかった。


 「だよね~」


 夜音も共感するかのように首を振った。


 「でも、やっぱ楽しいな」


 プロゲーマーを休止してもゲーム配信は続けたときも、

 結局は楽しいという思いが大きかった。

 VTuberになっても気持ちは大きかった。


 「それはそうだよね、まあこれからもっと楽しくなるよ」


 俺がソファに戻って座った。

 夜音はアイスを食べ終えたのか机に置くともたれかかった。


 「HESKALはもっとやばいやつがぞろぞろ居るしね」


 確かによく考えたらまだ俺が知ってるのは夜音ことプリームと春陽さんだけだ。

 俺が4.5期生ということは少なくともたくさんの先輩は居るんだろう。


 「例えばどんな人が?」


 「まあ、それはお楽しみ」


 嫌な予感がした。

 でも楽しみということが大きかった。

 なので俺は近くにあったスマホで

 blancの垢に切り替えた。


 《しばらく配信休みます》


 これで良いか。


 配信垢掛け持ちってしんどいなと心から思った。



 ――――――――――――――――

 学校生活もほどほどにVTuber活動を頑張った。

 まだ配信を始めて三か月も経ってないが、知名度は急上昇していた。

 おかげでコラボ打診が増えた。

 流石にコラボをしすぎてもと思って、抑制していたがそろそろしようかと思った。


 相手はHESKAL1期生の八神 もえ

 どんな人なのかと思って、夜音に聞いたら


 「せいぜい頑張って」


 との一言だけ言われた。

 空気を察するにやばそうな人だ。

 コラボ配信の発表した昨日のコメント欄も頑張れというものであふれていた。

 

 流石に怖くて、アーカイブでも見ようかと思ったが、

 初対面でもたぶんなんとかなるだろうと思って結局見てない。


 そしてマネージャーによると雑談配信らしい。

 俺がネスイとして雑談配信をするのは初めてだから、少しドキドキする、

 

 今日の夜からの配信で昼からは打ち合わせだ。

 まあ、打ち合わせというよりは八神もえ さんとの初対面という方が近い。

 顔は出さず声だけでやるので、カメラも要らず用意自体は簡単だ。


 朝からどんな人なのか想像しながらソファにくつろいでいると

 

 「1期生とコラボってすごいねえ」


 もはや日常と化して、ソファに座っている夜音が声をかけてきた。


 「まあ、そうだろうなぁ」


 そうだろうなぁと思いはしたが、初コラボは春陽さんで二期生、

 その次の配信で夜音とやった、これも二期生


 そんなに変じゃ無くね!?と思った。


 「その中でも八神先輩はやばいよ。コラボ率がダントツで低いからね」


 嫌な予感がしてきた。






 「じゃあ、打ち合わせしてくる」


 俺は皿を洗って、そのまま部屋に直行した。


 「行ってらっしゃい」


 夜音は手を振ると前を向いてスマホをまた触り始めた。

 家には居るのねと思いつつ、ドアを閉めた。


 

 モニターを起動して、先に通話に入っとく。

 マネージャーさん達もまだ来ていなくて、しばらくは待機のようだ。

 その間にこの次の配信のサムネの構成を考えていると、

 通話に入る音がした。


 マネージャーさんかと思ったら、八神さんだった。

 マイクをオンにして喋りかけてみる。


 「えっと、こんにちは~」


 「…」


 無言の時間が続いた。

 マイクの調子が悪いのかと思って、

 ちゃんとオンになっているか設定を確認していると


 「こ、こんにちは」


 小さめの透き通った声が聞こえた。

 イメージとしては小学生みたいな感じだろうか。


 ちゃんとマイク起動しているか確認するために


 「白海ネスイです。今日はよろしくお願いします」


 「…」


 またもや沈黙の時間が続いた。

 やっぱりマイクが不調子なのかと思っていると


 「や、八神もえです。よ、よろしくお、おねがいします。」


 なんでこんなにコラボ率が低いのか少し感じた気がする。 

 このコラボはやばそうだ。

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