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世界でも注目されている元プロゲーマーは、隣の幼馴染のせいでVTuberになる  作者: 白崎奏
1章 新参VTuber誕生

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第26話 人見知り

「えっと、今日の配信は雑談配信でしたっけ?」


「…そうです」


「…」


何も会話が浮かんでこない。

おそらくこの子はいわゆる極度の人見知りなんだろう。

まあ、人見知りは仕方ないが、返答までに間があると本当に聞こえているのか不安になる。

なんで夜音が応援したかはもう言うまでもない。


「ど、どうしてVTuberを、は、始めたんですか?」


まさかの八神さんから話しかけてきた。

少し驚きつつも、しっかりと言葉を返す。


「えっと、」


言い方がわからない。

まさかプリームの中身とリアルで会っているなんて言ったら、

まずそうだ。

必死に言葉を考えて、


「好奇心ですかね。視聴者に笑顔を届けたかったんで」


「…」


きまずい!

せめて何かすぐに返してほしい。

とはいえ、八神さんも言葉を考えているようなので静かに待つ。


「いい、ですね」


先輩から言われる言葉はすごくうれしいと思った。


――――――――――――――――――――

このままじゃ打ち合わせも進まないのかと思ったが案外早く進んだ。

向こうのマネージャーさんも扱いに慣れているようで、

自分のマネージャーの岩佐さんも落ち着いていた。


「こんな感じでどうでしょうか」


マネージャーさんのお二人は画面を映して、スライドやプリントを映しながら話している。

だからこそわかりやすくて、早く終わったのだろう。


「お二人は何かありますか?」


「俺は特に」


とてもいい案だと思っている。

もう二桁回数配信したことでこっちの配信も慣れてきたし、

blancの経験で多少はいけるはずだ。


「わ、私としては、も、もっと、は、話したいですね」


すごいゆっくり、はきはきと八神さんは喋った。

画面越しに伝わるドキドキ感が感じられた。


こんなことを言うのは珍しいようで、


「え?」


とあちら側のマネージャーさんも驚いていた。



その結果1時間枠の配信が1時間半に延長になった。

HESKAL同士の枠が被るかといわれるとそうではなく、

他のVTuberさんもこのコラボに注目しているようで、

その日の配信は俺たちだけだった。


――――――――――――――――


「どうだった?」


部屋から出ると、ソファに寝転がってスマホを触っていた夜音が聞いてきた。


「ちょっと面白そう」


HESKALは珍しい人が多いと聞いていたので、

どんな人とコラボできるか楽しみにしていた。

八神さんもその中の一人だと思ってて、すごく楽しみだ。


「そう…って、え?」


彼女は驚きの声とともに、素早くソファから起き上がった。


「30分延長するの!?」


「うん。あっちがしたいって言ったから」


「あの先輩が!?」


彼女も驚いた。

やはり珍しいことなのかなぁと思ったが、視聴者も驚きの声が多かった。

いつもどんな配信をしていたらそんな言われようになるのかと考えた。


「なんで、なんで…」


夜音はぶつぶつ言いながらスマホとにらめっこしている。

俺はとりあえず、機材の確認をしたかったので、部屋に戻った。


――――――――――――――――――――

配信は明後日の金曜日だ。

その日はもちろん学校はあるので帰ってきてからの配信となる。


知名度はだいぶ高くなったみたいで、

クラスでよくネスイという言葉を耳にする。

今日は八神さんとコラボすることについての話で男女ともに盛り上がっていた。


俺は会話に入ってはいたが、静かに聞いていた。

要約すると、ネスイさんでさえも混乱するといったようなことを言っていた。

打ち合わせで多少喋ってはいたが、それでもまだ何か隠していそうだ。


俺は心を引き締めて、配信までの覚悟を考えていた。






「そういや海斗って私以外のHESKALの配信者と会ったことないんじゃない?」


俺より夜音は若干遅く帰ってきた。

荷物を持ったまま直行してソファに座っていた。


まあ、まだ二か月も経ってないから当然だろう。

オフコラボは当分避けたいなと思ってる。

すごい理由があるわけではなく、ただ単にしたくないだけだ。


俺は首を振って、


「夜音はオフコラボとかするのか?」


「したことはあるけど全員はないわね」


登録者300万人越えでも全員というのは無理らしい。

オフコラボしたくない人や、距離が遠くていけないなどいろいろな事情がある。


「もえちゃんとオフコラボできたらすごいよ?」


まあそれはそうだろうな。

あんまり喋らなさそうだし、リアルで会っても気まずくなりそうだ。


「オフコラボはまだしなくていいかな」


HESKALの人と実際配信をしたことある人がまだほぼいないので、

もうすこし経験を積んでからの方がいい。


「そう…」


また夜音はスマホを触りだした。

最近は漫画を読んでるようだ。




そういや白い流星のメンバーは元気なんだろうか…

blancとして配信を止めてから1か月は経った。


(久々にやろうかな)


そんな気持ちが出てきて、夜の枠を作った。

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