おめでとうございます。初めてSRレアを獲得しました
次の日、俺は面接を受けまくっていた。
結果はまだ分からんけど、面接官の反応を見るに微妙だった。うーん、と首を傾げてる。
実はもうけっこうな数、落とされてるっぽい。そういえば受かっても落ちても三日以内に連絡します、的な会社もあったけど連絡ないし。
なんかアレだよな。こうやって面接で落とされまくってると、もう全否定されてる気分になってくるわ。
「高望みし過ぎなのかなぁ」
とはいえ、あまりにブラック過ぎると仕事って続かない気がするし、現実が厳しい!
家に帰るなり、俺は盛大にため息を漏らした。運気が逃げる逃げる。
……あ、そういえば今日のログボ、まだ受け取ってなかったっけ。
ってかゴーグルがすげー光ってる!
そんな派手な光り方してたっけ?
『こんばんは。本日のログインボーナスです』
「はいよー……うお!? ちょ、ちょちょ」
マジでビビった!
天井付近から唐突に落下してくる、チケットから何からアイテムの山!
一瞬埋もれるかと思ったわ。
『……と、先日のミッション達成分となります』
「そういえばミッション報酬受け取ってなかったな。なんか多過ぎない?」
『前回多数のミッションを獲得しましたので、これは正しい量となります』
「なんか見たことないのも混じってるなぁ」
いろいろとありすぎて、部屋の中がカオスになってる。
『スキップチケット四枚、万能薬三枚、鉄の槍、鉄の鎧、鉄の盾、ヒールウォーター、ガチャチケット十枚、青い鉱石が一つ、鏡石が一つ、マジックカード【オルターエゴ】、バトルアクスを手に入れています』
「な、なんだって?」
スキップチケットとか、万能薬とか、鉄の槍とかそういうのは分かりやすいけど、青い鉱石から先が全然意味不明だった。
『では、一つずつ説明を』
「あ、いや! 必要な時に聞くからいいよ。それよりさ、レベルってけっこう上がったかなぁ?」
『それでは、景虎様の現在のステータスを表示しましょう』
赤い化け物みたいな奴とか、いろいろ倒してるし、けっこう強くなっててほしい。でも、レベルって高くなるほど必要EXPが増えるから、上がりづらくなっていくわけで。
期待半分、ちょっぴり緊張半分でゴーグルをつけてみる。たしか前回はレベル13だったと思う。
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名前:竜牙景虎
探索者レアリティ:R
レベル:35
体力:667/667
魔力:253/253
力:811
速さ:479
頑丈さ:630
器用さ:302
運:298
使える魔法:
ファイアボール(カード効果)
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「…………うん? あれ、これって……俺のステータス……だよな?」
『はい。景虎様のステータスです』
お、おかしい。ついこの前街で会ったお姉ちゃんは、レベル10上げるのに半年かかるとか言ってたぞ。
まああの姉ちゃんがズレているにしても、それにしてもレベルアップのスピードがやばい。
「ほ、本当かよこれ!? おかしくね!?」
『いえ。順当な速度と言えるでしょう。通常探索者とは、このくらいのスピード感でレベルを上げるものです。ここ最近の探索者はのんびりとしすぎです』
最近の若いもんはー……みたいなノリで否定してる。でも、こうやって断言されると、そんな気もしてくるから不思議だ。
「でも、なんか実感湧かないというか、怖くなってくるなこれ」
『大丈夫です。誰もが景虎様と同じ道を辿っています。それと、本日のログインボーナスですが。十連ガチャチケットと専用ダンジョンキーが届いています。専用ダンジョンが解放されました』
また、どんどん新しい情報をぶっ込んできた。
「専用ダンジョンって初耳なんだけど」
『専用ダンジョンとは、限定アイテムを獲得できたり、特にEXPの高いモンスターを相手にできるなど、特別なダンジョンとなっています」
「限定かー」
俺は期間限定とかそういう言葉に弱い。ついついああいう前置きがあると買いたくなっちゃう。
『景虎様は現在探索者ランクがRなので、もうすぐレベル上限に到達します。そのため、次は専用ダンジョンキーを使い、上限突破アイテムを獲得できるダンジョンに挑むのが良いでしょう』
「……ん!? 探索者ランクって上がるのか?」
探索者ランクとは、ステータス画面で名前の下に書いてるやつだ。探索者ランクはNが一番下で、R、S、SRと上がっていく。
ちなみにランクは生まれつき決まっているはずで、ランクが上がるとかはなかったと思うけど……俺の記憶違いか?
『探索者ランクは、特別なアイテムにより上昇が可能です。早速明日——』
「あ、悪い。いろいろやることがあってさ。明日は無理だわ。ってかギルドも行ってみたいし、ちょっと後になるかな」
『……了解です』
あれ、なんかしゅんとしてない?
AIにしてはやけに感情豊かな感じするんだよなー。
「どした?」
『なんでもありません』
「いや、なんかごめん。あ、そうだ! ログボのガチャやろうかなー」
『では、十連ガチャを実施します』
なんとか平常運転に戻ったAIミリアの声がした後、いつも通りにボロマンションが宇宙空間に……ん?
「な、なんだなんだ!?」
宇宙の星々がキラキラ虹色に輝いてるんだが。ってか遠くに見える太陽っぽいのも虹色なんだが。
そしてすぐに十連が始まったが、五個目くらいで超特大のレインボーイナヅマが落下。
「ぎゃあああ!?」
マジで俺のマンションが崩壊したかと思った。迫力ありすぎぃ!
気がつけば十連が終わり、急に現実に戻った感があったが、俺はまだ放心状態だった。
『おめでとうございます。初めてSRレアを獲得しました』
「え、SR……マジで?」
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Rレア:スライム
Rレア:ゴブリン(杖)
Sレア:ピクシー
Rレア:大ネズミ
SRレア:コドモドラゴン
Rレア:ヒールバード
Rレア:ゴブリン(棍棒)
Rレア:巨大軍隊アリ
Sレア:オーガ
Sレア:悪魔の木
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本当だ。ってか知らないモンスターが増えてきてる。
なんかだんだん召喚カードも増えてきたなぁ。
「すげー! まさか俺がSRカードを持てるなんて。ってかドラゴンなの?」
『はい。多数のブレス攻撃を覚えることができ、アタッカーや盾役としても有能です。滞在時間も長いモンスターです』
「やばい。ダンジョン潜りたくなってきた」
『では、明日、』
「いや、でも明日は大学の同期と飲み会が」
『…………了解です』
「なんかしゅんとしてない? 大丈夫?」
『……はい』
「大丈夫じゃないよね? いや、潜る! 潜るよ! ……今度」
『今度とはいつでしょうか』
「近いうち!」
『回答が曖昧です』
「ちょっと待って! いろいろ予定があるんだって!」
その後もなんだかんだで会話を続けているうちに、就活に苦しむ気分はどっかに消えていた。
なんかこういう毎日もいいのかも、そんな風に思えた夜だった。