表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン配信者の中で、なぜか俺だけサブスク(?)に入ってるんだが  作者: コータ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/73

最後に一つだけ……おめでとうございます。同接が二百万を超えました

 俺は猛烈に緊張していた。


 ある意味、ダンジョン配信より緊張しているかもしれない。


『……では始めます。景虎様、よろしいでしょうか』

「ああ! じゃあみんなもよろしく!」

『……』

「はい! よろしくお願いします」

「これがAIミリアか。よろしく」


 何となく元気のなさそうなミリアの声。でも周囲はやたらと盛り上がっていた。ここはリベリオンのスタジオであり、氷堂さんや葵ちゃん、それから他の探索者も大勢集まっていた。


 実は今回、俺はやっぱり氷堂さんと葵ちゃん、それからリベリオンのみんなとチームを組ませてもらうことにした。


 なんといってもダンジョン組合公認の上位ランカーだし、ここで勉強させてもらいたいと思ったわけで。


 そういえばだけど、この前チャットしてきた玲奈にこのことを伝えたら、すげー文句言われたし、最後の最後でまた酒を奢れとか約束させられちまった。


 玲奈が紹介してくれたギルドも、かなり良い感じに見えるけど。今回はとにかく先に紹介してもらったリベリオンでお願いしようと思った。


 そんな経緯がありつつ、今回の雑談配信は始まったんだ。


「みんなこんにちはー! カゲチャンネルです! 実は今日、大事な報告があって急遽配信することにしたんだ」


:ちわっすー!

:おおお! 急に始まったぞ

:きたぁああああ! 待ってたよおおおお

:カゲトラちゃん!

:あれ? どこのスタジオ??

:なんかオシャレじゃん。ってか見覚えあるぞ

:んん??

:こんにちは!

:おおー!

:なんだなんだ

:急に通知きたから飛んできたぜ

:今度はどんな配信だろ

:報告ってなんぞ?

:報告楽しみー!

:カゲくーん

:やっと配信観れた

:あ! ここってもしかして

:まさか大事な報告って

:おおおおお


 初っ端から熱気がすごい。ちょっとは慣れてきたかと思ったけど、やっぱ緊張する。


「ここはリベリオンっていう探索者ギルドで、すげー人達が沢山いる。実はありがたいことに、今回ここでチームを組ませてもらうことになったんだ。まずはリーダーの氷堂さん!」

「皆さん、こんにちは。今日は景虎君に来ていただいて、スタジオは大変盛り上がっています。お礼を言うよ、ありがとう」


:おおお! マジか!!

:トップランカーの一人じゃん

:リベリオンっていうからまさかと思ったら、ガチだった

:氷堂さーん!

:スーツ姿と長い前髪、メガネのイケメン

:イケメン執事感がすごい

:うおおおお! これは熱いコラボ

:あの氷堂さんとカゲトラが組むのか!?

:やべえ……一気に優勝候補じゃん

:おおおおーー!

:待ってましたぁ

:こりゃ完全に台風の目だ

:アツい! ダンフェスがアツいよーーー!

:氷堂がいれば負けないだろ

:まさかカゲ君まで引き込んだか


 氷堂さんが軽く話すだけで、もうチャット欄が叫んでいるかのよう。俺は少々ビビりつつも、さらに話を進めていく。


「俺のほうこそ、誘ってもらえて嬉しいっす! じゃあ次は、葵ちゃん!」

「あ、あの。よろしくお願いします! 足手纏いにならないように、頑張ります」


 ちょっと緊張した感じで、葵ちゃんが挨拶しつつ俺の隣に座った。するとチャット欄が……チャット欄が……!


:あ……あああ!

:葵ーーーーーーーーーー!

:なんてことだ

:葵ちゃん、やっぱりか

:神コラボ決定

:めっちゃ興奮してきた!

:葵ちゃん!

:これは事件ですぞ

:葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん葵ちゃん

:有名人ばっかりやんけこのチーム!

:そうか! 元々葵ちゃんも氷堂さんが育てたんだっけ

:メンツ強すぎるやろ

:絶対ダンフェスリアタイで観る!

:こりゃ観なきゃ損だわ

:逆にこのメンツに誰が勝てんねん

:やったれ! 一位取っちゃえ

:トップランカーじゃなきゃ勝負にならないよな

:凄い! 勝ち確ー!

:葵ちゃんが見れるだけで幸せすぎるよぉ

:葵ちゃん大好き

:カゲトラ、大きな間違いだけはするなよ

:葵ちゃんはぁはぁ

:ダンフェス楽しみすぎる。マジアツい!

:みんな発情してて草

:葵ちゃーーーーーーーん

:うおおおおおおおお!


 めちゃくちゃ騒いでんじゃん。


 俺一人の時も最近ヤバいけど、葵ちゃんが来た瞬間火山が爆発したわ。その後他のメンバーを紹介した時も、それはもう大盛り上がり。


 何だか紹介してるだけで楽しくなってきた。


「みんな超盛り上がってるじゃん。とにかく今日は挨拶程度なんだけど、次回はこのメンバーでダンフェス頑張るから。応援よろしく!」


 その後、残った時間はちょっとしたインタビューだったり、軽い雑談だったりをして、和気藹々と配信が続いた。


 しかしふと、氷堂さんが不思議そうに少し遠くを見ている。PCに繋がれた俺のゴーグルが気になっているようだ。


「そういえば今日は、AIの音声がほとんどないね。僕らがいるから、サポートはいらないっていう判断なのかな」

「あ、そういえば!」


 俺も、なんか今日はいつもより静かだなって思う。


『お邪魔にならないようにしていました』

「しっかり配慮しているんだね。本当に人間のようだよ」


 そうなんだよなー。ミリアはマジで人間っぽいっていうか、AIとは思えないくらい気を遣ってくれる。


『今回についてはチームを組まれるということで、できる限り発言は控えます。普段とは違うサポートを検討中です』


 すると、それを聞いた葵ちゃんが興奮気味に両手を握っていた。


「いつもと違う感じになるんですね! 景虎さんと一緒に潜れるの、今からすっごく楽しみです!」

「あ、あはは! 俺なんか全然だよ。じゃあ今日はこの辺で終わりにしようか。じゃあみんな、お疲れー!」

『それでは、配信を終了します。最後に一つだけ……おめでとうございます。同接が二百万を超えました』

「に……二百ぅう!?」


 俺は目玉が飛び出そうになってしまった。そろそろいい頃合いだと思ったところで、唐突にビビるほどの同接数を教えられ、またもパニクってしまう。


:とうとう二百万到達かー

:やっぱビビりまくってて草

:がんばれー!

:おつかれさま

:同接二百万おめ!

:カゲトラが石像になるまでがお約束

:天井知らずに伸びていくなこのチャンネル

:葵ちゃんお疲れー!

:どこまであがっちゃうの!?

:カゲトラの活躍に期待

:葵ーーーーー

:ひょっとして今回ぶっちぎりかも

:葵ぃいいいい

:二百万おめでとう!

:カゲトラくーん!

:がんばれーーーーー

:ミリアちゃんも応援してる

:おめー!

:ミリアちゃん

:やるやん!

:もっとミリアちゃんの声聞きたい

:おつかれさまー

:ダンフェス超楽しみにしてる!

:おつー!


 俺はちょっとばかし呆然としていたけど、配信が終わった後はまたみんなと談笑して、なんだかんだで楽しい一日になった。


 帰り道になって、AIミリアがいつもどおりのアドバイスをくれるんだけど、コラボ配信中はやっぱり静かだったなぁ。


 多分他の音声が沢山あると、質問とかいろいろ認識しづらいのかもしれない。故障とかじゃなさそうだ。


 さて、いよいよダンフェスまであと数日。俺はこれまでにないくらい、ダンジョン探索を頑張る気持ちが湧き上がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ