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青の盾Ⅰ

夜明け直前。

主人公の国の北東沿岸には、まだ薄暗い海霧が漂っていた。


その霧の向こうに、例の大陸の帝国の“上陸部隊”が近づいていると報告が入った。

海岸に並ぶのは、主人公国海軍の艦の合計20隻、沿岸砲台6地点。


「総員配置完了。敵上陸部隊の距離、あと二十海里。」


拳を握る参謀の表情は硬い。

その帝国は、核の戦禍の中から再び立った、狂気とも執念ともつかぬ国家だ。

その上陸部隊は、どの国よりも“鈍重で強引”だが、ひとたび踏み込まれれば止まらない。


主人公国は、上陸されれば終わる。

まずは海上で叩き潰すことが絶対条件だった。


水平線にびっしりと並ぶ黒い影。

上陸艇と輸送艦、あわせて480隻ほど。


あまりに数が多い。

帝国の“量に物を言わせる”やり方は、胸を悪くするほど単純だった。


主人公国の海軍は主力艦を前に出し、一斉に砲火を浴びせた。

上陸艇は一隻、また一隻と爆ぜ、海面に黒煙が噴き上がる。

灰色の波は、砂浜に届く前に崩れていった。

上陸部隊の壊滅を確認をした。

参謀室に歓声が走った。

だが、これはまだ“序章”にすぎなかった。


その三日後、帝国は報復として、単独で巨大艦隊を派遣した。

その規模は 総勢300隻 に及び、外洋を黒い帯のように埋め尽くしながら

主人公国の北東海域へと迫った。


北東部に展開していた主人公国の守備艦隊は、

かつて沿岸警備や交易護衛を担当していた中規模戦力で、

激しい前哨戦ののち すでに3隻を失い、残るは27隻のみ。

つまり 30隻 → 27隻。

これでは到底、300隻の大艦隊を止められない。


それでも北東艦隊は退かなかった。

海面に黒い水煙をあげて迫るその帝国の鋼鉄の群れに対し、

27隻は横陣を組み、海上に巨大な壁を作り、

一時間でも、あるいは半日でも侵攻を遅らせようと必死に耐えていた。


各艦からの報告書は、どれも同じ言葉で締められていた。

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