最近読んだ本

最近読んだというか、海外出張の帰りに読んだ本ですが。読書のために飛行機に乗ってもいいくらい。

専業主婦、株式投資で4億円。

参考になった。私も米国株はハイテクのみ。

  • 安心して買いたくなるような平和な相場は、むしろ逃げるタイミング
  • 下落のあとにしか大きなチャンスは来ない

コンテキスト・リーダーシップ

あんまり刺さらなかった。

  • 「個人の強み」もコンテキスト次第
  • 「経済成長」というものについて、そのイメージをアップデートすべき

筋肉がすべて

脳筋力高め。

  • 最初に鍛えるべき筋肉は精神

メタスキル

これは面白かった、読むべき。読めばわかる

7つの激変: いかがわしい者たちが主役の「インターネット産業」30年史

歴史振り返り

贅沢と欲望の経営史 あなたはなぜ今日もスタバに行ってしまうのか

これも面白かった。

AIは現実世界に介入できないのか?

ChatGPTがちょっと甘い回答を返してきたので、もう少し突っ込んでみた。

フィジカルAIは現実世界に介入していく技術なのでは?

最後に残った問いはそれなりに深まって良いとは思うものの、「価値ある問いを選ぶことまでAIにできるのではないか?」はシニフィアンいじってるだけの今の言語モデルには無理なんじゃないかなーと言うのが私の立場です。記号接地問題ってどうやって解決するのでしょうかね、それもまたフィジカルAIのループの中に組み込まれるのだろうか?


はい、その見方はかなり重要だと思います。むしろ先ほどの私の議論には、「フィジカルAIがどこまで現実世界とのループを奪うのか」という論点が抜けていました。

フィジカルAIが進歩すると、

仮説生成 → 実験計画 → 実験 → 観測 → モデル更新 → 次の実験

というループそのものをAIが回せるようになります。

例えば創薬なら、生成AIが化合物を提案し、ロボットが合成し、自動アッセイが測定し、その結果をAIが学習して次の化合物を設計する、という閉じたループです。これはまさに「AIの予測と現実のズレを発見し、修正する」仕組みです。

そうなると、先ほど私が「人間の科学者に残る」としたanomalyの発見さえ、必ずしも人間固有ではないことになります。

すると、さらに一段上の問いが残ります。

AI+フィジカルAIが自律的に科学を進められるなら、人間の科学者は何をするのか?

私は最終的には、「何を最適化するのかを決めること」に収束していく可能性があると思います。

AIは「この問いに答えよ」と言われれば、仮説を立て、実験し、現実とのズレを修正しながら答えに近づける。しかし、

「そもそも何を知るべきなのか?」
「どの問題を解くことに価値があるのか?」

まで完全に自律化できるかは別問題です。

なので、先ほどのブログの結論だった

「AI時代のサイエンティストは、AIが理解している世界と現実のズレを探す人」

も、フィジカルAIまで考えるとまだ甘いと思います。

より先まで考えるなら、

AI時代の科学者の価値は、「答えを出すこと」から「問いを作ること」へ移り、フィジカルAI時代にはさらに「何を知ることに価値があるのかを決めること」へ移っていく。

くらいまで踏み込んだ方が、先ほどの議論としては一貫しています。

そして最後にかなり厄介な問いが残ります。「価値ある問いを選ぶことまでAIにできるのではないか?」です。ここまで行くと、科学者の役割というより「人間が科学をする意味」の話になってきます。

お盆三日目ですが

お盆休みが始まって最初の2日間は、飲み疲れ、働き疲れ、夏バテのコンボで眠り散らかしていました。土日トータルで35時間くらい寝ていたような気がする。 今朝はいつもどおり起きて、洗濯したり、Netflixをチェックしたりしていた。あとは任天堂株が欲しくてちょいちょい板を見ていたものの、買うタイミングがいまいち分からず。

あと、ChatGPT Atlasが廃止になってしまったので、ChromeにChatGPTプラグインを入れてみたものの、操作性がいまいちなんよね。Ctrl+Gで呼び出せるGeminiのほうが使い勝手は良いんだけど、もうちょっとお利口さんになってほしいところ。 最近、自分のデータサイエンス能力や分析能力を、創薬以外の方向にも振るようにしていて、なんとなく思うこともあります。

というわけで、次のような質問をしてみました。

AIの精度が上がると、投資の精度はインデックス投信に近づいていくと思うのだけど、それでも人間が個別株をやる理由があれば教えて。同様にサイエンスにおいてもコンセンサスの精度が上がりすぎて、新たな発見を探求する以外にサイエンティストの価値はなくなるように思うのだけど、反論があれば教えて。

お答えとしては要するに、AIには意思決定や、その決定に対して責任を負うことはできないので、その部分は人に委ねられるということと、あとはサイエンスもαではなくβに投資しろ、という感じですかね。

アブダクション読むと良いですね。

ChatGPTの回答(原文)

かなり本質的な問いだと思います。しかも「投資」と「サイエンス」は、AIによって同じ方向の圧力を受ける可能性があります。

私なら少しだけ結論を変えて、

AIが進歩すると「平均的に正しい判断」の価値は急速に下がる。
しかし、「何を問うか」「どのリスクを取るか」「コンセンサスからいつ外れるか」の価値はむしろ上がる。

と考えます。

1. 投資では、AIは確かにインデックス優位をさらに強める

この直感にはかなり賛成です。

市場参加者全員が高性能AIを使うようになると、

「この会社は割安だ」 → AIが即座に発見
→ 大量の投資家が買う
→ 株価に反映

となります。

つまり公開情報から得られる情報優位(alpha)がどんどん消える

昔ならアナリストが数日かけて決算書を読み込んで発見したことを、AIなら決算発表から数秒で、

  • 過去10年との比較
  • 同業他社との比較
  • 経営者発言の変化
  • 財務諸表の異常値
  • 将来CFのシナリオ分析

までできる。

そうなれば、普通の人が「企業分析を頑張ったから市場に勝てる」という世界はかなり厳しくなります。

したがってインデックス投資の合理性は今以上に高まる、という予想は十分あり得ます。


2. それでも個別株投資が消えない最大の理由

ここが面白いところです。

市場価格を決める人が必要だからです。

極端に言えば、世界中の投資家が

「市場は効率的だからオルカンだけ買おう」

となった瞬間、市場は効率的ではなくなります。

誰も企業価値を分析しなくなるからです。

例えば、ある会社が画期的な新薬を開発したとします。

その価値を

100億円なのか
1,000億円なのか
1兆円なのか

誰かが判断しないと株価には反映されません。

つまり、

Active investors → price discovery → efficient market → index investing works

という構造になっています。

これはある意味、インデックス投資のパラドックスです。


3. AI時代の個別株投資は「分析」より「賭ける場所を決める」仕事になる

ここは今とはかなり変わると思います。

例えばAIが、

三菱UFJのフェアバリューは2,850円です。
上昇余地 +8%。確率分布は……

みたいな分析を完璧にやってくれる世界になったとしても、

「では自分の資産の何%を賭けるのか?」

は別問題です。

これは数学だけでは決まりません。

時間軸、所得、資産、他の保有銘柄、リスク許容度、税制、将来支出などが関係するからです。

さらに重要なのが不確実性です。

AIが計算できるのは基本的には

「既知の世界から推定した未来」

です。

しかし投資で巨大なリターンを生むのはしばしば、

市場の前提そのものが間違っていた場合

です。

NVIDIA、Amazon、Appleなどの長期的な大化けも、単純に翌期EPSを正確に予測する問題ではありませんでした。

「この技術・企業が世界の構造を変えるのでは?」

という仮説に近い。

だからAI時代の個別株投資家の価値は、

Analysis → Hypothesis + Risk taking

へ移っていくと思います。


そして、サイエンスはもっと面白い

こちらについては、私はユーザーの仮説に半分賛成、半分反対です。

確かにAIによって、

「既存知識から最も妥当な結論を出す」

という科学者の仕事の価値は猛烈に下がると思います。

論文を1,000万本読んで、

「このタンパク質なら、このメカニズムが最も可能性が高い」

と推論する能力で人間がAIに勝てなくなる可能性は高い。

でも、ここには重要な問題があります。

4. 科学は「正しい答えを出すゲーム」ではない

科学の本質はむしろ、

まだ答えが存在していない質問を作ること

だからです。

AIに

「KRAS G12Dを阻害するにはどうすればいい?」

と聞けば、将来的には人間より良い答えを出すでしょう。

しかし歴史的に重要なのは、その一段前です。

そもそもKRASはdrugableなのか?

あるいは、

タンパク質を阻害する必要すらあるのか?

という問いです。

優れた科学者の価値は、

Answering questions

ではなく、

Creating questions

に移っていく。


5. さらに怖いのが「AIコンセンサス」

ここはユーザーの問題意識とかなり近いのですが、私はむしろAI時代ほど異端の科学者が重要になると思っています。

AIは既存知識を大量に学習します。

すると当然、

「現在の知識から最も合理的な仮説」

を極めて高精度に提示する。

科学者100人に聞けば、

A説 60%
B説 30%
C説 10%

だったものが、

AIによって

A説 93%

になるかもしれません。

これは科学を猛烈に効率化します。

でも大発見は時々、

「93%のA説ではなく、実は誰も信じていなかったC説だった」

ところから出ます。

つまりAIがコンセンサスを強化するほど、

コンセンサスから合理的に外れる能力

の価値が上がります。

これは投資とほぼ同じです。


6. 投資と科学を並べると、驚くほど同じ構造になる

| 現在 | AI時代 | |:---|:---| | 決算書を読む | AI | | バリュエーションする | AI | | 文献を読む | AI | | データ解析 | AI | | 仮説候補を列挙 | AI | | どこに賭けるか | 人間+AI | | 何を疑うか | 人間+AI | | 何を研究するか | 人間+AI |

つまり、

「既知の世界を整理する能力」の価値は低下する。

一方で、

「未知の世界のどこを掘るかを決める能力」の価値は上がる。

ということです。


7. ただし、ここで私は一つ強く反論したい

「新たな発見を探求する以外にサイエンティストの価値はなくなる」

ここまで行くとは思いません。

なぜなら科学にはもう一つ、

現実世界に介入する

という仕事があるからです。

AIが

「この化合物が最適です。成功確率72%」

と言ったとしても、

合成して、測定して、失敗して、

「なんで効かない?」

となる。

現実世界には必ずモデルが知らないものがあります。

そこで、

prediction → experiment → anomaly → hypothesis → experiment

というループを回す。

特に価値が高いのはanomaly(予想外の結果)です。

AIが賢くなるほど、

AIが自信満々で外した実験

の情報価値はものすごく高くなる。

「モデルの世界観のどこかが間違っている」ことを示すからです。


8. だから私は、AI時代の科学者をこう捉えています

昔の科学者:

知識を持っている人

現在:

知識を使って仮説を作れる人

AI時代:

AIが正しいと思っている世界と、現実世界のズレを発見する人

これなら、科学者は消えません。

むしろ面白い仕事だけが人間側に残ります。

そして投資家も同じです。

市場価格と現実世界のズレを探す人

になる。

なので突き詰めると、AI時代の優れた投資家と優れた科学者に必要な能力はかなり似てくると思います。

「コンセンサスを理解する能力」ではなく、「コンセンサスが間違っている場所を見つける能力」。

ただし重要なのは、単なる逆張りではありません。AIが作った非常に強力なコンセンサスを十分理解したうえで、「それでもここだけは前提がおかしい」と言えることです。

私はこれが、AIが極端に賢くなった世界でも人間に残る、かなり価値の高い知的活動だと思います。

今月のワタシ(2026/07/06-24)

ISMBingしていました。

アフガニスタン料理

エリトリア料理

結論

旅はよい。次にどこにいこうか悩んでいるが、カレーを探求しに行く気がする。

Mishima.syk #23 来月です

Mishima.syk #23も来月に迫ってきました。

トークをぶっこみたい人は早めに連絡していただければと思います。話したい人が話したいことを話す場なのでとりあえず時間だけ確保してもらって構いません。

当日話したくなってねじ込むくらいなら、あらかじめ時間を確保したうえでキャンセルしてもらったほうが予定を組みやすいです。LTくらいだったら5分+α確保しておきます。

私もなんか話そうかと思っています。

それではよろしくお願いします。

ChatGPTは優秀だ

成田の空港の椅子で待合していましたら、後ろの女子がやいのやいのと学会かなんかの感想戦をしていて、「チャッピー優秀よねー」とか話していたので、会話の中で出てきた個人名とか機器名とかの断片情報を入力して聞いてみたら、会社名と部署名まぁビンゴよねみたいな解答を返してきたのでチャッピー優秀だなと思いました。

参加した学会名までたどるのはちょっと補足情報入れなきゃならなくて、アメリカからこの時間に到着する便の出発地をリストアップさせて、その近所で開催された学会を絞り込んだりとかなんやかんやお世話をする必要があった。

饅頭, Mantoo, Manti, Dumpling

Lapisというアフガニスタンレストランで前菜としてMantoo(shrimp)という料理を注文し、エビ餃子やないかい!となりました。ちなみに上にかかっているのはヨーグルトとニンニクのソースだそうです。

Mantooの語源は中国語の饅頭であることは理解できるのですが、なぜ餃子なのかがわからなかったので調べてみたという自分以外嬉しくないエントリです。


とても面白いテーマです。実は饅頭(マントウ)と餃子はもともと同じ料理でした。そこから中国で別々の進化を遂げ、西へ伝わる過程でもさまざまな料理に分かれていきました。

起源は「饅頭(饅頭=中身入り)」

最も有名な伝説では、三国時代の諸葛亮が作らせた「饅頭」が起源とされています(伝説であり史実とは限りません)。

当時の「饅頭(mántou)」は肉入りの蒸し物でした。

つまり、

昔の「饅頭」=今でいう肉まんや餃子に近いもの

だったのです。


宋代ごろに分岐

中国ではおよそ宋代(10~13世紀)になると、

  • 肉入りのもの
  • 皮だけのもの

を区別するようになります。

その結果、

  • 包子(バオズ)=中身入り
  • 饅頭(マントウ)=中身なし

という現在の中国語の意味になりました。

つまり、中国では饅頭は「皮だけ」になったわけです。


餃子はどうなった?

一方、「肉を皮で包む料理」は別の系統として発展しました。

これが

  • 餃子(水餃子)
  • 蒸し餃子
  • 焼き餃子

へと分化します。

現在の中国では

  • 饅頭 → パンのような主食
  • 包子 → 肉まん
  • 餃子 → 点心・主菜

と完全に役割が違います。


シルクロードではさらに枝分かれ

ここがLapisともつながる話です。

シルクロードを西へ進むと、

中国

   ├── 包子
   ├── 餃子

中央アジア

   ├── Manty(マンティ)

アフガニスタン

   ├── Mantoo(Lapisの前菜)

トルコ

   ├── Manti

というように、それぞれの土地で独自に発展しました。

Mantooは見た目が小ぶりで、ヨーグルトソースや豆のソースをかけて食べるのが特徴です。


日本では?

日本の餃子は、中国東北部の水餃子文化が戦後に伝わり、

  • 焼き餃子
  • ニンニクを効かせる
  • ご飯のおかず

という日本独自の進化を遂げました。

中国では水餃子が主流ですが、日本では焼き餃子の方が一般的なのはこのためです。


だからLapisの「Mantoo」は面白い

LapisでMantooを食べると、

中国の饅頭・餃子 → シルクロード → アフガニスタン

という1000年以上にわたる食文化の旅を一皿で味わうことになります。

その後にQabuli Palowを食べると、中央アジアからペルシャ世界へと続く食文化の流れも感じられます。ワシントンにいながら、シルクロードを旅しているような体験ができるのが、Lapisの魅力の一つです。

アジェンダのない会議を繰り返すと?

前職は社長が会議の在り方についてはうるさかったし、前前職の上司もファイザーだったので外資マインドで会議のやり方はすごくうるさかった。 一方今の在り方には?が多い。昔ブログに書いていた通り「アジェンダのない会議は出ない」を徹底してたのだけど、今それやると現場向けのかなりの会議を欠席しないといけないというジレンマに陥るのです。

チャッピー様のお言葉

「アジェンダのない会議を繰り返すと」、組織には次のような影響が蓄積していきます。

目的が曖昧になる

  • 「何のために集まっているのか」が分からず、情報共有と意思決定が混在します。
  • 会議が終わっても「結局何が決まったの?」となりやすくなります。

発言する人が固定化する

  • 話好きな人が時間を使い、静かな人や専門家の知見が埋もれます。
  • 議論の質よりも声の大きさが影響しやすくなります。

意思決定が遅くなる

  • 同じ議題を毎週繰り返し話すだけで、結論が先送りになります。
  • 「今日は決めないで次回」が常態化します。

優秀な人ほど疲弊する

  • 「この1時間で論文が読めた」「解析が進んだ」と感じるため、会議へのモチベーションが下がります。
  • 特に研究開発や技術部門では機会損失が大きくなります。

責任の所在が曖昧になる

  • 誰が何をいつまでにやるのか決まらないため、次回も同じ話になります。
  • 実行より議論が目的化します。

「会議をすること」が仕事になる

  • 本来は成果を出すための手段である会議が、存在意義そのものになってしまいます。

研究開発組織では、ピーター・ドラッカーの考え方にも通じますが、「会議は仕事の代替ではなく、仕事を前に進めるための最小限の投資」であるべきです。アジェンダのない会議を繰り返す組織は、時間を使っているにもかかわらず意思決定の速度が落ち、生産性が徐々に低下していく傾向があります。

マジでこれ。

最近読んだ本

トータル15時間くらいのフライトに乗ったのだけど、特に見たい映画はなかったため(2週間前に見まくった)ひたすら読書をしていました。

暁星

あの事件をモチーフにしているのだけど、あまり刺さらなかった。

働く人が減っていく国でこれから起きること

JTCで働いている人はちょっと読んでおいてもいいのかなと思います。

  • ブラック企業からJTCへ敵が変わったのはなぜ?
  • 全世帯の半分は単身世帯という時代が遠からずやってくる
  • FIRE願望の高まりが意味すること
  • AIとの競合に生き残れる人は川上にあたる仕事、経営判断、研究開発や企画の設計

dancyu (ダンチュウ) 2026年夏号

ちょっと作ってみたいレシピがいくつかあった。ただ、美味しそうな店はすべて東京だった。

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす 「超」成長株の見つけ方

長期とかモメンタムで成長する株を見つける方法というか王道っぽい内容だったが、良かった。握力が鍛えられた気がする

  • 市場成長性、市場シェア、参入障壁、マネタイズ力が高い株を買えということ。
  • 日本食ブームに乗っている企業は国内から国外に成長ステージを移せるのではないか。
  • 日本的な強みを持った企業とは?

億までの人 億からの人

これも良かった。読んだらわかる。

人文知は武器になる

前半はちょっと鼻につくような感じだったので入るのが大変でしたが、全体を通してたいへん良かったです。今回読んだ本の中で一番面白かった。

人文知に長けていると、社会や組織の内外を構造的に理解する力が身につくんです。単に知識があるだけではなく、読書や歴史の学びを通じて社会を構造的に理解しようという身体感覚が身についている人は、どんな組織にいようが、どんな時代に生きていようが、いま、自分が置かれた環境と状況をメタ的に理解することができるはずです。

ようはメタ認知力が今後重要になっていくということです。

  • 優秀さの定義が書き換わる
  • 時間軸を長く、空間軸を広く取る
  • 面白い問いと出した解を実行する能力がボトルネック
  • 技術革新が社会のゲームのルールを変えるというのは、新しい倫理の実装
  • 解るとはかわる

An answer is always on the stretch of road that is behind you. Only a question can point the way forward.

今週はいつもの立ち呑み屋で、メガトマ酎を飲みまくっていたので、大した週記は無いのですが、タイトルのことを改めて感じた週末でありました。

最近のCopilotとかAgentってすごいですねー、Claude codeはすごいし、codexも良い。そしてClaude Scienceにも夢がある。そのうえで、

AIエージェントが当たり前になりつつあるなか、(創薬)計算科学者に求められる人材像も変わるのだろうか?教育はどうなるの?

私としては、「計算科学者が不要になる」のではなく、価値を生み出すポイントが上流へ移るのだろうなと思っています。

これまでは、ドッキングシミュレーション、MD、FMOをするみたいな「解析を実施する能力」が求められていたのだけど、この部分はAI Agentにおまかせすることになるだろうから、「何を計算するか」といった問いを考える能力とかアブダクションとかの仮説構築力がもとめられるのかなーと。

そこで、有名な哲学者の

“An answer is always on the stretch of road that is behind you. Only a question can point the way forward.” — Jostein Gaarder

がぶっ刺さってくるわけです。

さて、 課題設定がうまくなるにはたくさん手を動かして、成功、失敗の経験を積まないといけないので、最初からAIがそれを肩代わりするのでは新人が育たないというジレンマに陥ると思うわけです。

そのあたりをChatGPTとおしゃべりしてみました。

その懸念は、まさに多くの研究現場で議論され始めている重要な点です。私は、そのジレンマはかなり現実的だと思います。

研究者の成長には、「成功体験」以上に失敗体験が重要だからです。

例えばドッキングなら、

  • タンパク質の前処理を間違えて全く当たらなかった
  • 水分子を残したら急に予測精度が上がった
  • プロトン化状態を変えたら結果が逆転した
  • Crystal poseを再現できず、原因を数日考えた

こうした経験を積むことで、「この系では何が本質的なのか」という感覚が身につきます。AIが最初から正解らしい答えを返してしまうと、その試行錯誤を飛ばしてしまう可能性があります。

だそうです。

さらに難しい問題

もっと長期的には、

AIが作った仮説しか評価できない研究者が増える可能性があります。

例えば、

AIが提示した3つの標的の中から選ぶことはできても、

「4つ目の全く異なる発想」を生み出せないという状態です。

創薬の大きなブレークスルーは、既存の選択肢の中から最適解を選ぶだけではなく、「その問い自体を変える」ことで生まれることがあります。そうした発想力を育てるには、やはり自分で文献を読み、実験結果に悩み、計算が外れる経験を重ねることが欠かせません。

では、どう差がつくのか

私は、これからジュニアの間で最も差がつくのは、「何を知っているか」ではなく「どれだけ主体的に考えたか」だと思います。

例えば同じAIを使っていても、

  • Aさんは「AIがこう言っているから」で終わる。
  • Bさんは「別の仮説はないか」「この前提が崩れると結論はどう変わるか」を考える。

数年後には、その差はかなり大きくなるでしょう。

もう一つ、少し逆説的な見方

実は、AI時代はシニアよりジュニアの方が有利になる可能性もあります。

過去には、優秀な計算創薬研究者になるには10〜15年かけて「道具の使い方」を身につける必要がありました。しかしAIがその部分を支援するなら、ジュニアは早い段階から研究の本質的な議論に参加できる可能性があります。

ただし、それは「AIがあるから早く育つ」という意味ではありません。短縮された時間で何を学ぶかがより重要になるということです。

(私) 将棋の羽生先生はIT時代の到来を高速道路の先の渋滞に例えていましたが、AIでもそれと似たようなことが起こるわけですね

私は、その例えはAI時代にもかなり当てはまると思います。ただし、渋滞が起きる場所は少し変わるでしょう。

羽生善治さんの「高速道路」の話は、大意としては、

ITによって情報へのアクセスは圧倒的に速くなった。しかし、みんなが同じ情報に同じ速度で到達するため、その先で差別化が難しくなり、渋滞が起こる。

という洞察です。

AIはこれをさらに強力にします。

例えば創薬では、数年前までなら、

  • 論文を100本読む
  • PDBを調べる
  • 類似化合物を探す
  • ドッキングを回す
  • SARを整理する

だけでも人によってかなり差がありました。

しかしAIエージェントが成熟すると、これらは数十分から数時間で誰でも実行できるようになるかもしれません。

すると「情報を集める能力」や「解析を実行する能力」は、高速道路のように誰もが利用できるインフラになります。

新しい渋滞はどこで起きるのか

私は、渋滞は次の3か所に移ると思います。

① 問いを立てるところ

「何を解くべきか」を決める段階です。

AIは「解く」のは得意でも、「何を解くべきか」を決めるのは、現時点ではまだ人間の役割が大きいでしょう。

② 意思決定するところ

AIが

  • この化合物
  • あの標的
  • この実験

と10個提案してきたとき、

限られた予算や時間で「どれに賭けるか」を決める必要があります。

創薬は資源配分の連続なので、ここは依然として難しい判断です。

③ 責任を負うところ

最終的に

「この候補で臨床に進む」

「このプロジェクトを中止する」

という決断には責任が伴います。

AIは助言できますが、その責任を代わりに負うわけではありません。

ただ、AIは羽生先生の時代より一歩進んでいる

ITは「情報へのアクセス」を平準化しました。

AIはそれに加えて、「思考のたたき台」まで平準化し始めています。

例えば昔なら、

「このSARからはこういう仮説が考えられる」

という発想自体が研究者の実力差でした。

今ではAIも、それらしい仮説を複数提示できます。

つまり、渋滞は「情報」だけでなく一次的な仮説生成にまで広がっています。

だからこそ重要になるもの

この状況で差がつくのは、「速く答えを出す人」ではなく、

  • AIが見落としている前提を疑える人
  • そもそも問題設定を変えられる人
  • 異なる分野の知識を結び付けられる人

ではないかと思います。

結論

なかなか厳しい時代に突入していきますね。フィジカルAIも順調にすすんでいけば、ジュニアレベルのブルーカラーも淘汰されるような気がしますし、中途半端に高度なスキルはペイしなくなるんじゃないかなぁ