AIが飲み込む水、アフリカ13億人の生活用水に匹敵――国連大学が警告、「丁寧すぎる指示」も負荷に
国連大学の水・環境・健康研究所(UNU-INWEH)がこのほど、「人工知能(AI)のエネルギー使用に伴う環境コスト――炭素排出量、水使用量、土地利用面積(原題:Environmental Cost of AI’s Energy Use: Carbon, Water and Land Footprints)」と題する報告書を発表した。
同報告書によると、AIの急速な普及に伴い、データセンターのエネルギーおよび水資源の消費量は今後数年間で大幅に増加するという。また、2030年までに世界のデータセンターの消費電力が945テラワット時(TWh)に達し、世界全体の総電力消費量の約3%を占める見通しだ。関連する消費水量は9兆3000億リットルに増加すると予測されている。これは、サハラ以南のアフリカに住む全住民13億人の基本的な年間生活用水需要に匹敵し、二酸化炭素排出量は4億4000万トン近くに達するという。
世論の関心はAIによる二酸化炭素排出量に偏りがちだが、その背景にある「ウォーターフットプリント(製品のライフサイクル全体を通じて使用された水の総量に関する指標)」や「ランドフットプリント(製品のライフサイクル全体を通じて必要となる土地利用の総量に関する指標)」を見落としていると指摘されている。データセンターは大量の電力を必要とするだけでなく、サーバーの冷却のために大量の淡水も消費する。AIの規模が拡大するにつれ、水資源は業界の発展にとって重要な制約要因となりつつある。
さらに、同研究所の調査では、AIのエネルギー消費量の8割から9割は、モデルのトレーニングではなく、ユーザーによる日常的な利用過程に由来していることも判明した。画像や動画などの生成といった複雑なタスクのエネルギー消費量は、通常のテキスト処理よりもはるかに高い。米OpenAIの対話型AIサービス「ChatGPT」を例にとると、1日あたり約25億件のプロンプト(指示文)を処理する必要があり、膨大な計算リソースを消費し続けている。研究チームは、ユーザーがAIを利用する際には、指示をできるだけ簡潔にし、不必要な丁寧な表現や無駄な雑談を減らすよう提言している。
日々高まる環境への負荷に対し、マイクロソフト、OpenAI、オラクルなどの企業は、蒸発冷却技術の使用を減らし、水使用量の削減を図る取り組みを始めている。一方、グーグルは、データセンターを置く地域の給水能力を補強するとともに、水使用に関する透明性を高める方針を打ち出している。
(36Kr Japan編集部)