「中道の沃地」を放棄した立憲民主党 衆院選結果から読み解く選挙戦略と世論の乖離

2021年11月01日15時00分

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共産党「生き残り戦術」は奏功

 野党選挙協力におけるもう一方の立て役者である共産党においても、何もしなければさらに低落していく流れの中でよく踏みとどまったともいえる。

 いくら隣の中国共産党とは違うといっても、「共産党は共産党でしょう」とささやかれると選挙は難しくなる。特に東シナ海での緊張がさらに高まると反中、嫌中感情の高まりのとばっちりを受け、逆風になるやもしれない。

 ということを思えば、立憲民主党内の不安心理をつき、左側に引き寄せたのは高等戦術だったといえるのではないか。これも「生き残り戦術」と解せば大いにうなずけるのだが、野党選挙協力が実力以上に膨れあがったものだから、メディアも含め幻惑されたようである。これは、言ってみれば「左側政党サバイバル」であって、わが国の進路にとって本質的なものとはいえないだろう。

 思えば、2015年の安保法制反対が、共産党とのプラットフォームになった気がする。たとえ「違憲部分」に反対なのだと注釈しても、それでは人々の不安感はぬぐいきれないであろう。また、原発についても多くの有権者は悩んでいるのであって、ないに越したことはないが、されど原発ゼロで気候変動対策も含めやっていけるのかが不安なのである。現状を変えてよくなるとは限らないとの教訓は生きている。

 維新を除く野党の候補者絞り込みにより、確かに自民党との激戦区は増えたが、それだけに終わった、ともいえる。まとめていえば、中道の沃地(よくち)を放棄して何の選挙戦略か、ということであろう。

【筆者紹介】

加藤敏幸(かとう・としゆき)

1949年愛媛県生まれ。三菱電機で労働運動に加入し、89年の日本労働組合総連合会(連合)結成に奔走した。2004年参院選比例代表に民主党から出馬し、初当選。外務大臣政務官や参院外交防衛委員長、党参院国対委員長などを歴任し、16年に政界を引退した。

(2021年11月1日掲載)

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