進化する人型ロボ、キックも子守も◇中国企業、実用化へ本腰

2025年07月11日17時00分

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 中国東部浙江省・杭州に本社を置く宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)が開発した人型ロボット「G1」は、ボクサーさながらのジャブやストレートといった打撃を繰り出すことができる高性能ロボだ。5月にはロボットによるキックボクシング大会にも出場し、話題を呼んだ。今後は工場で従業員と同じ動作を習得したり、各家庭で子どもの遊び相手やベビーシッターになったりすることを検討しているという。同社は杭州の革新的企業6社「六小龍」に名を連ね、国際的に注目されている企業。ロボットの今後の社会実装の行方に期待が高まっている。(記事の最後に動画 時事通信社外国経済部=木元大翔)

「中国版紅白」で話題

 ユニツリーの知名度を飛躍的に高めたのは今年1月28日、春節(旧正月)の大みそかに当たる日に放送される娯楽番組「春晩(春節の夕べ)」で、人型ロボによる踊りを披露したことだ。春晩は「中国版紅白歌合戦」に当たり、毎年億単位の国民が視聴するという超人気番組。生身の人間とロボットがコラボして中国東北部の伝統芸能を再現したことで、大きな話題を呼んだ。

 また2月に北京で開かれた習近平国家主席と民間企業経営者が懇談する「民営企業座談会」に、同社の王興興最高経営責任者(CEO)が招待された。新興企業ながら、注目度はうなぎ登りとなっている。

社会実装が大きな焦点

 人型ロボットをいかに活用するか。伊藤忠総研の趙瑋琳主任研究員は「応用のシーンはたくさんあるだろうが、中国が進める産業のデジタル化の観点から、何ができるかが問われている」と指摘する。

 ユニツリーでマーケティング責任者を務める黄嘉瑋氏は、「最終目的は、人間ができる動作を全てできるようにすること」と語り、今後10年間で工場での作業や、家庭でのベビーシッターといった用途で活用することを見込む。介護現場での活用も想定され、現時点ではまだ「見世物的」な要素があるが、近い将来「各家庭に1台、人型ロボット」というSF小説のような世界があるのかもしれない。黄氏は「ロボットの脳の発展が、突破すべき壁だ」と語る。

 一方、同社の四足歩行ロボが軍事利用されているとも報じられる。黄氏は「販売条項に『人を傷つけてはいけない」と記載されている」と指摘し、「報道が本当なら、購入先が勝手に条項を破っている」と話すが、ロボの活用に危うさもはらむ懸念もありそうだ。

ハイテク勃興の杭州

 杭州は電子商取引大手アリババ集団が本社を置くことでも知られ、近年は市当局の支援なども背景に経済発展が著しい。特にロボットなどハイテク新興企業が勃興しており、ユニツリーも2016年に設立された新勢力だ。趙氏によると、AI分野では北京や上海の企業が先行しているが、ロボットでは杭州がトップランナーだという。いずれは「中国のシリコンバレー」と呼ばれる広東省深圳市に代わり、中国イノベーションの中心になるのかもしれない。

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