ピート・タウンゼント

シンガー・ソングライター、ギタリスト、プロデューサーのピート・タウンシェントは、1945年5月19日、イギリスのチズウィック生まれ。若い頃にギターを習い、後にザ・フーのメンバーとなるジョン・エントウィッスルとトラディショナル・ジャズ・バンド、ザ・コンフェデレーションズでバンジョーを演奏。美術大学に進学したエントウィッスルは、1961年にロジャー・ダルトリーのスキッフル・グループ、ザ・デトゥアーズに加入。グループ加入後、エントウィッスルはピート・タウンシェンドを追加ギタリストとして加入させることを勧め、さらに数回のメンバーチェンジを経て、1964年にザ・フーと改名した。新しいドラマー、キース・ムーンを迎えたバンドの最初のシングル 「Zoot Suit」は、ザ・ハイ・ナンバーズとしてクレジットされた。同年、ザ・フー名義での初のシングル 「I Can't Explain」を リリース。ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・キンクスと並び、ザ・フーは1960年代から1970年代にかけて最も影響力のあるロック・バンドのひとつとなり、画期的なロック・オペラ『トミー』（1969年）や『クアドロフェニア』（1973年）、『マイ・ジェネレーション』（1966年）、『ア・クイック・ワン／ハッピー・ジャック』（1968年）、『ザ・フー・セル・アウト』（1967年）、『フーズ・ネクスト』（1971年）、『フー・アー・ユー』（1978年）などの名作ロック・アルバムを次々と発表した。1978年9月7日のドラマー、キース・ムーンの死によりバンドは混乱し、短期間の活動休止に入った。バンドの曲の大半を書いていたピート・タウンゼントは、『Who Came First』（1972年）と『Rough Mixwith Ronnie Lane』（1976年）をリリースし、すでにソロ活動を始めていた。ムーンが亡くなり、ザ・フーの将来が危ぶまれた後、彼は1980年の『Empty Glass』でソロ・キャリアに戻り、批評家の称賛と商業的成功を収めた。ザ・フーは1981年に『Face Dances』で復帰したが、ピート・タウンゼントの関心はソロ活動のほうに向いていた。翌年にはザ・フーのラスト・アルバム『It's Hard』がリリースされ、次のソロ作『All the Best Cowboys Have Chinese Eyes』もリリースされた。未発表デモ音源の保管庫に手を伸ばした彼は、1983年に絶賛された『Scoop』をリリースした（このアルバムは、1987年の『Another Scoop』と2001年の『 Scoop 3』という2枚の続編を生んだ）。1985年にはモダンなコンセプト・アルバム『White City』をリリース：このアルバムは、彼を新しい世代のファンに紹介するのに役立った。続く2枚のアルバム『The Iron Man：The Musical by Pete Townshend 』（1989年）、『Psychoderelict』（1993年）は、すでに確立されたファン層には受け入れられたものの、初期のアルバムのように幅広い聴衆に受け入れられることはなかった。ザ・フーは1990年にロックの殿堂入りを果たした。その3年後、ピート・タウンゼントはブロードウェイで上演されたザ・フーの『トミー』でトニー賞の作曲賞を受賞した。ソロ活動に専念する一方で、ピート・タウンゼント、ロジャー・ダルトリー、ジョン・エントウィッスルは、特別出演や短いツアーのために何度か再結成したが、新しいスタジオ録音は行わなかった。2002年6月27日、ジョン・エントウィッスルが心臓発作で死去。ピート・タウンゼントは、自伝の執筆、伝説的なレコーディング・プロジェクト『 ライフハウス』（最終的に『フーズ・ネクスト』となった）をもとにしたボックス・セットの制作、ロジャー・ダルトリーとの再結成など、多くのプロジェクトに取り組んだ：Endless Wire』（2006年）と『Who』（2019年）だ。2024年、ピート・タウンゼントは『Live』のリリースを発表した：In Concert 1985-2001』は、彼の限られたライヴ・リリースを1つのパッケージにまとめた14枚組の巨大ボックス・セットである。