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ビットコイン創造者「サトシ」の正体、暗号学者バック氏が再度否定もNYタイムズは文体分析で有力候補と主張

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • NYタイムズが1年調査:文体分析で620人から1人に絞り込み
  • バック氏が再度否定:エルサルバドルで「偶然の一致」と主張

謎の創造者か否か

ビットコイン(BTC)の創造者サトシ・ナカモトの正体をめぐり、ニューヨークタイムズの記者ジョン・キャレイロウ氏が1年間の調査を実施。その結果、英国の暗号学者アダム・バック氏が有力候補であると8日に報じた。

バック氏は1990年代の暗号アナーキスト集団「サイファーパンクス」のメンバーで、スパム対策技術「ハッシュキャッシュ」の発明者である。

報道によると、キャレイロウ記者の調査手法は徹底的だった。サトシが残した約9ページのホワイトペーパーと数百件のメール、フォーラム投稿を分析。また、計算言語学者フロリアン・カフィエロ氏に文体分析(スタイロメトリー)を依頼し、34,000人のメーリングリスト利用者から620人の候補者に絞り込んだ。

最終的には、独自の綴字法や文法パターン(ハイフンの誤用、イギリス英語とアメリカ英語の混在、特定の技術用語の表記)の一致によって、バック氏が唯一の候補者に浮かび上がったと主張している。

なぜバック氏が焦点となったのか。バック氏は2008年のビットコイン登場以前の1997~1999年に、サイファーパンクスのメーリングリストで「分散型電子マネーシステム」の設計概要を提案していた。

その提案には、プライバシー保護、ネットワーク分散化、希少性確保、信頼不要の仕組み、公的に検証可能なプロトコルといった後のビットコインの5つのコア要素がほぼ全て含まれていた。さらに、スパム対策や二重支払い防止、計算難易度の動的調整など、ビットコインの技術的特徴をめぐる議論を同じ時期に展開していた。

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否定と沈黙の背後にあるもの

バック氏への接近を試みたキャレイロウ記者は、2025年1月のエルサルバドルでのビットコイン会議で直接対面。2時間にわたり証拠を提示したが、バック氏は「それは単なる偶然だ」と複数回否定した。

記者が文体分析結果を示すと、バック氏は「AIがそう言うのは理解するが、それでも私ではない」と応答した。バック氏はメール記録のメタデータ提出要請には応じなかったという。

報道によると、バック氏は2008年から2013年5月にかけて、暗号化技術に関する主要なメーリングリストからほぼ沈黙していた。ビットコイン登場直後にも議論に参加せず、2013年4月にアルゼンチン人暗号学者がサトシの保有コイン(110万BTC)を特定する記事を発表した直後に、急にビットコインコミュニティに登場。その後、ブロックストリーム社を創設し、ビットコイン開発の中心的な人物となった。バック氏の沈黙期間とサトシの活動期間が一致する一方で、バック氏が現れた時期はサトシが姿を消した直後である点が、記者の疑念の根拠となったという。

さらに、同記者は言語学的証拠も存在すると主張。バック氏とサトシの両者は「コードの方が言葉より得意」と同じ表現で述べ、ハイフンの誤用法が一致し、「proof-of-work」を複合名詞として適切にハイフン化した人物はメーリングリスト上わずか8名、その中でウェブマネーに言及したのはバック氏ただ一人だった。

記者とNYタイムズのAIプロジェクト編集者ディラン・フリードマン氏は、同義語なし語彙の共有数(521語)、綴字法の誤りパターン(67の完全一致)でもバック氏が圧倒的に高い数値を示したと報告。コンピュータ言語学の専門家ロバート・レナード氏(ホフストラ大学)は、これらのパターンを「社会言語学的変異のマーカー」と評価し、著者の地理的出身やキャリアを示唆する指紋的な価値があると指摘したという。

本件の決着は、サトシ本人がビットコイン初期段階で採掘した110万BTCを実際に移動させることでのみ可能だ。

キャレイロウ記者の調査がバック氏を「最有力候補」まで絞り込んだが、サトシ本人(あるいは団体)の沈黙と、バック氏本人の否定が続く限り、17年間の謎は未解明のままである。

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