エヴァ

劇場公開日:2018年7月7日

解説・あらすじ

イザベル・ユペールがギャスパー・ウリエル扮する若き作家を破滅の道へといざなう娼婦を演じる官能ドラマ。かつてジャンヌ・モロー主演で「エヴァの匂い」として映画化されたジェームズ・ハドリー・チェイスの小説「悪女イヴ」を、「マリー・アントワネットに別れをつげて」のブノワ・ジャコー監督のメガホンで再映画化。ベルトランは他人の戯曲を盗作して作家デビューを果たし、成功を手に入れた。周囲から2作目を期待されるものの思うように筆が進まないベルトランは執筆の場である別荘に到着した。するとそこには吹雪で立ち往生した男女が勝手に窓ガラスを割って部屋に侵入し、くつろぐ姿があった。怒り心頭のベルトランはバスタブでくつろぐ娼婦エヴァに文句を言うために近づくが、一瞬にして彼女に心を奪われてしまう。2018年・第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。

2018年製作/102分/G/フランス
原題または英題:Eva
配給:ファインフィルムズ
劇場公開日:2018年7月7日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第68回 ベルリン国際映画祭(2018年)

出品

コンペティション部門 出品作品 ブノワ・ジャコー
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(C)2017 MACASSAR PRODUCTIONS - EUROPACORP - ARTE France CINEMA - NJJ ENTERTAINMENT - SCOPE PICTURES

映画レビュー

3.0 いろんな意味で良い面と悪い面を混濁させた仕上がり

2018年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

いろんな意味で、良さと悪さを併せ持った映画だ。まずオープニングのシークエンスは主人公と老人との意味深なやりとりや、巧妙なセリフの応酬、そして何より本作に幾度も登場する列車が目の前を通過していくという不可思議な部屋も含めて、緻密に計算された場面に仕上がった。そこで手にする「戯曲」も含め、導入部としては完璧。泥舟で川を渡ってしまったが故に戻れなくなる主人公の葛藤も、そこから竹を割ったような性格で客を魅了する情婦につきまとって着想を得ようとする流れも面白い。

だが、彼の本心は見えにくく、かといってヒロインのイザベル・ユペールにも感情移入など出来るわけもなく、結果的にすべての事柄が平行線をたどったまま、ひとつのカタルシスもなく結末を迎えたという印象。同じ脚本を使ったとしても、もう少し主人公の複雑怪奇な心理にうまく迫れる監督だったなら、この映画は劇的に深みを増したであろう。つくづく勿体ない映画だ。

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牛津厚信

3.5 人は罪悪感なしに倫理を逸脱できるか!?

2018年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

他人の作品を盗作して名声を手に入れ、パトロンの娘と婚約中の新進作家、ベルトランは、所詮他力本願の小悪党。ベルトランを虜にする謎の女性、エヴァも、夫がいる身で娼婦をしているけっこうな悪党だが、レベルが違う。彼女には罪悪感というものがないのだ。イザベル・ユペールがそんなヒロインを、いつも通り、飄々と演じて圧倒的な存在感がある。つまり、ユペールのキャスティングこそが本作の肝で、果たして、人は罪悪感なしに倫理を激しく逸脱することはあり得るか?という痛烈なテーマが浮かび上がってくるというわけだ。本当に怖いのは、自らが自らを貶めていることに気づかないこと。そういうことは、生きていく上でけっこういっぱいあるのだ。1つの救いは、そんなエヴァも不安に駆られることを劇中で指摘している点。無自覚な悪女にも、罪悪感に苛まれる瞬間があることを。猛暑も忘れさせる戦慄を味わいたいなら、是非!

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清藤秀人

4.0 チョウチンアンコウのオスは、メスにくっついているうちに皮膚が一体化して寄生虫になってしまうらしい

2026年6月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

·

どうしてギャスパー・ウリエルは、こうも弱いのだろう。

彼が本作品を撮ったときのインタビュー、「相手役イザベル・ユペールの演技力への怖れ」を語った動画を観たのだが、
主演イザベル・ユペールのあの刻々豹変する自信満々の表情に比べて、この男優の醸す雰囲気というものはどうだろう、何時でも自信無さげで、空っぽで、虚弱だ。
「中身が無い男を演じるのがたいへん上手い」。
いや、いま気付いたが、もしや彼のあれが「地」なのか!

筋書きはこうだ、
盗んだ他人の原稿で思いがけず売れっ子作家になってしまい、後ろめたいから人目を避けて逃亡するが、自分の別荘に住み着いていた娼婦を追い出すことも出来ないダメ男が、彼ベルトラン。

非力で次作が書けないから、泥棒ネコのエヴァとの関係に沈溺する。あれは現実からの逃避だ。そして先行き不透明で、プロットも無い男女の不毛な関係を次の本にしてみようと安直にたくらむ・・。

実際作家は大変だろう。
編集者にはあの様にせっつかれ、アイデアも浮かばずに無い知恵を絞り、
仕方がないからあちこち漁ったあげく、私小説に逃げるしかない。
連載ものを抱えていたらどうだろう?書くのが追い付かないほど文言が湧いて来る有能な作家以外は、きっと每日が死刑執行を待つ囚人の気分だろう。

主役の男ギャスパー・ウリエルは、そんな具合だから、彼女もまともに愛せない。友達もいない。仕事の打ち合わせも上の空で全て不調。娼婦にさえボコボコにされる。
そうやって寝ても覚めてもこの「ダメ男くん」は大人たちに包囲されて四面楚歌。蚤のメンタルに乗り込まれて心を病むわけなのだ。

あの姿って、今どきなのかもしれないなぁ。
結局化けの皮が剥がされる負け組の彼って、そのような今どきの男子たちの共感を受ける“ヘタレ映画俳優”なのではないだろうか。

始終イライラさせられたけれど、私感としては、このイライラ感は「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンを観たときのものに似ていた。

・・

ギャスパー・ウリエルは大好きな俳優だったので、こんなに魅力の乏しい役柄をやられると僕はちょっと悲しいのだ(笑)
言ってみれば、イザベル・ユペールのような大俳優の陰でこそ生きられるチョウチンアンコウ・キャラだったのかもしれない。

けれど、こうも思う、
方法も分からないのに、努力もしないのに「BIGになりたい」と言ったりする社会不適合者を責めない。むしろ役柄として半人前になり切る。

根無し草をいきる。

ギャスパー・ウリエルは、そういう陰の存在でい続けていて、隙間キャラの俳優だったから「彼には彼独自の役どころ」があったのでは?と思ったりもするのだ。
つくづく早逝が悔やまれる。

もしかしたら完成度は今ひとつだったかも知れない本作。
でもそれでも構わない、否、それだからこそ立つ瀬が与えられる負け犬の俳優も、そして同じく負け犬の鑑賞者も、この世の中には居るのだと思う。
体を張るエヴァの、あの眼とのコントラストだ。
つよい人ばかりではないのだ。

·
ギャスパー・ウリエルは十七歳で演じた「かげろう」が一番良い。

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きりん

3.5 【蠱惑的な美魔女、イザペル・ユペールを堪能しようとした作品。】

2020年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ーイザペル・ユペール。御年軽く還暦越えだが、纏う妖しい色気には眩暈を覚える程である・・。-

 ■脚本は”相当”粗い。
  新鋭の作家ヴェルトラン(ギャスパー・ウリエル)は盗作した処女作“合言葉”がヒットし、一時の栄誉を謳歌する。
ーこの時点で、ヴェルトランが外見はイケメンだが中身は空虚な男という事が分かる。-

 ある日ヴェルトランが、アヌシーの別荘に出掛けると見知らぬ男女が寛いでいる。バスタブに浸かっていたのは・・イザペル・ユペール演じるエヴァ。文句を言うが、軽くあしらわれるヴェルトラン・・。
ーエヴァの何等悪びれる所なく、バスタブに浸かっている姿が印象的である。-

 エヴァの姿に惹かれたヴェルトランは、様々な理由を付けて近づくが、度々軽くあしらわれる。
ー劇中で、エヴァの職業は高級娼婦であり、刑務所には連れ合いの男性マリオンがいるということが分かって来る・・。ー

 2作目が書けないヴェルトランは編集者から催促を受けるが・・
ーそりゃ、そーだ!1作目も盗作だもんな!-

 ヴェルトランには美しき婚約者もいるのだが、彼女はヴェルトランの行動に疑問を持ち、ある決定的な場面を目撃してしまい・・。

 怒りに満ちたヴェルトランはエヴァに再度近づくが、キツイ一言が・・”二度と私に近づかないで。約束して!”そして現れたマリオンにお仕置きを受け放り出されるヴェルトラン・・・

<新鋭の作家ヴェルトランが余りに愚かで、イザペル・ユペール演じるエヴァの悪女っぷりが中途半端になってしまった作品。けれど、彼女のヴェルトランを睥睨する冷たすぎる視線は半端ない作品でもある。>

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NOBU