カランコエの花

劇場公開日:2018年7月14日

解説・あらすじ

LGBTが抱える問題を、当事者ではなく周囲の人々の目線から描き、2017年・第26回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のコンペティションでグランプリを受賞した短編作品。とある高校の2年生のクラスで、ある日唐突に「LGBTについて」の授業が行われたことをきっかけに、クラス内にLGBT当事者がいるのではないかという噂が広まっていく様子を描いた。日常に波紋が広がり、思春期ならではの心の葛藤を抱えた生徒たちは、それぞれに行動を起こすが……。レインボー・リール東京のほか、京都国際映画祭2017や第4回新人監督映画祭などでも受賞を果たした。監督は尊厳死を題材に描いた「尊く厳かな死」の俊英・中川駿。

2016年製作/39分/日本
配給:ニューシネマワークショップ
劇場公開日:2018年7月14日

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(C)2018 中川組

映画レビュー

4.0 今の時代が抱えるテーマを巧みに盛り込み、大きな気づきを与えてくれる

2018年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

たった40分足らずの中編作品ながら、構成、演技、テーマ性、全てにおいて卓越した感性が貫かれた見事な作品だ。ブラスバンドの音色に合わせて緩やかに醸成されていく空気。そして親友どうしが織り成す有機的な演技の積み重ね。聞くところによると、現場で出演者たちの意見を聞きながら組み立てていったシーンも多かったとか。また、伝えるべき内容をセリフに盛り込んで、あとは即興に近い形で言葉が紡がれた場面もあったという。だからだろうか、本作からは型にはまらない自由な空気と、透明感、それにリアリティに満ちた生身のコミュニケーションをつぶさに感じ取ることができる。

そんな中で飛び出す“一つの告白”に対し、無意識に返される何気ない言葉の鋭さ。また、口にした“言葉の過ち”を自覚していく過程にも確かな巧さが光る。この悲しみは他人事ではない。いまの時代を生きるみんなの共有テーマであることを誰もが痛感せずにいられないはずだ。

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牛津厚信

4.0 善意もまた時に人を傷つける

2018年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

性的マイノリティに対する社会全体の理解は一昔前から比べるとだいぶ進んだのだろうと思う。メディアなどの扱いもそれなりに変化してきただろう。しかし、実生活において、人の心はすぐには変わらない。

本作はそんなリアルな生活の場での性的マイノリティへの理解の程度を見事に浮き彫りにしている。

ほとんどの人に悪気はない。最初にLGBTへの理解を促す特別授業を実施した保険の先生の行動は善意から来ている。しかし、結果的には、その善意の行動が一人の生徒を追い詰めてしまう。その生徒が思いを寄せるクラスメイトも彼女を庇おうとした発言もさらに追い打ちとなってしまう。

わずか40分の上映時間に、差別問題の根深さを見事に浮き彫りしている。悪意やわからないものへのフォビアから来るものを乗り越えても、社会にはまだ壁がある。善意もまた人と人を分断してしまうことをこの映画は見事に描いている。

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共感した! 9件)
杉本穂高

3.0 過剰に反応するくらいなら無関心の方がまだマシ

2026年4月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

初鑑賞
Amazon prime videoで鑑賞

監督と脚本は『少女は卒業しない』『か「」く「」し「」ご「」と「』『90メートル』の中川駿

舞台は高校
英語の教師が体調不良のため代わりに保険の先生がやって来てLGBTの授業を始める
それがいけなかった
善意が裏目に
それをきっかけとして生徒との間でクラスに同性愛者がいるのではないかという疑念が立ち上がり大騒ぎに
レズビアンの当人は肩身の狭い思いに居た堪れない

橘いずみじゃないが自分に置き換えて考えるなんで意味がない
自称リベラルは自己中で自信家で他人に善意の押し付けをしてしまう
養護教諭は反省しているだろうか

配役
桜に想われている女子高生の一ノ瀬月乃に今田美桜
桜の秘密を知る月乃のクラスメイトの葛城沙奈に永瀬千裕
LGBTを冷やかす月乃のクラスメイトの新木裕也に笠松将
裕也と弛んでいる月乃のクラスメイトの佐伯洋太に須藤誠
月乃のクラスメイトでLの小牧桜に有佐
月乃のクラスメイトで月乃と仲良しの梶原千里に堀春菜
月乃のクラスメイトで月乃と仲良しの矢嶋みどりに手島実優
月乃の母に石本径代
養護教諭の小嶋花絵に山上綾加
生徒に古山憲正
担任教師の加藤健一にイワゴウサトシ

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野川新栄

4.0 「へこたれていじけた子になっちゃだめよ」

2026年3月18日
iPhoneアプリから投稿

カランコエの花言葉を下敷きに、LGBTへのマイクロアグレッションを描いた良質な短編映画。

【カランコエの別の花言葉は"柔軟性"】

"あなたを守る"というカランコエの花言葉を母親から教えてもらった月乃だったが、カランコエの花言葉には他にも"柔軟性"という意味があることを母親から教えてもらっていたら、もしかしたらあの悲劇は起こらなかったのかも・・・と考えずにはいられない。

【月乃と花ちゃん先生の共通点】

月乃と保健の花ちゃん先生には共通点がある。それは、二人ともカランコエの花のイメージが付与されたキャラ造形をしている。月乃は赤いシュシュで髪を結ぶし、保健の先生は名前に花がつく。そして、カランコエの花言葉通りの行動原理によって桜を守ろうとする。しかし、どちらもそれにより桜を傷つけてしまう。なぜなら、カランコエの二人にはまだ本物の花が咲いていないからだ。その意味をまだ大人も子供も理解していないのだ。だからどうか、カランコエの花が自然に咲く時代が早く訪れてほしい・・・と願わずにはいられない。

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有栖川もらと