マグノリア

ALLTIME BEST

劇場公開日:2000年2月26日

解説・あらすじ

「ブギーナイツ」のポール・トーマス・アンダーソン監督が、ロサンゼルス郊外を舞台にさまざまな境遇の人々が繰り広げる24時間の人間模様を描き、2000年・第50回ベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞を受賞した群像劇。

死の床にいる元テレビプロデューサーの老人アールは、若い頃に捨てた息子フランクを探すよう在宅看護師フィルに依頼する。余命宣告を受けたクイズ番組の司会者ジミーは、疎遠になっていた娘クローディアに伝えようと彼女の自宅を訪れるが追い返されてしまう。女性を虜にする方法をセミナーで熱弁する性の伝道師フランクは、女性記者からインタビューを受ける。かつて天才クイズ少年としてもてはやされたドニーは現在は電気店で働いているが、突然解雇を言い渡されてしまう。警察官のジムは、通報を受けて駆けつけた家で遺体を発見する。何のつながりもないように見えた彼らの人生は、やがて不思議な運命に導かれ結びついていく。

トム・クルーズが性の伝道師フランク役で強烈な印象を残し、第57回ゴールデングローブ賞にて最優秀助演男優賞を受賞した。

1999年製作/187分/アメリカ
原題または英題:Magnolia
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:2000年2月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第57回 ゴールデングローブ賞(2000年)

受賞

最優秀助演男優賞 トム・クルーズ

ノミネート

最優秀主題歌賞
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映画評論

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映画レビュー

4.5 「雨」ならぬ、「蛙」降って地固まる

2024年9月23日
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ychiren

4.5 ポール・トーマス・アンダーソン監督3作目「断片、点としての登場人物たちが、偶然と赦しによってつながる3時間を超える群像劇は見事の一言しかない」

2026年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

驚く

斬新

 テレビのクイズ番組の有名司会者夫妻と娘、天才キッズの親子、財を成した死に際にいたる老人と捨てた息子、後妻、老人を看護するヘルパー、真面目な警官、元天才クイズキッズの男。主要登場人物だけでも11人が断片、点として描写される、3時間を超える長尺な映画なので、PTAは登場人物の深堀をいそがない。

 そこから一人の登場人物を深堀していくと、関係のある人と「偶然」つながっていき、一気に映画が動き出す。まさに断片、点としての存在が線となりつながり、新たなドラマが展開されていく。この斬新なPTAの語り口のうまさには、唖然とするばかりだ。

 PTAの頭のなかはいったいどのようになっているのだろうか。彼が描き出す映像世界は、主要登場人物だけでも11人。その11人のドラマを作り上げ、なおかつ、それぞれが「偶然」出会う脚本をうみだしている。そして端役にいたるまで、きっちりとした構成力の見事さには舌を巻くしかない。また役者全員が断片、点の段階から、存在感あふれる演技をしているのを見ると、登場人物それぞれのバックストーリーを詳細に作成し、役者へしっかり落とし込んでいるように思えてならないほど、役者が生きていて、映画の世界に自然と引き込まれていった。そうでなければ、断片、点として描かれる登場人物の存在感が薄くなり、人がたんに入り乱れるだけになってしまい、群像劇として破綻する可能性が大きいからだ。

 「マグノリア」のタイトルの由来は「傷ついた人たちが偶然や赦しでつながっていく」とい解釈と、「MAGNORIA」という単語の中に「AM I ALONG」(私はひとりぼっち?)という文字が隠されているという解釈だ。

 有名になった司会者は最後にひとりぼっちになり、財を成した者が最後を迎えたとき、失ったものの大きさに後悔し孤独になる。しかし最後は「偶然」に「赦し」をえる。今まで孤独であった者達が、ある人と出会い、愛をつかみ、赦される。まさにタイトルの由来とおりの映画になっている。

 ファーストシーンで描かれる「偶然」が引き起こす映像は「そんなこともあるよね」という一言に凝縮される。それが最終盤の豪雨の後におこる「偶然」をひきおこす暗喩になっている。「偶然」「赦し」と「私はひとりぼっち」が交差する、超大作をPTAは堂々と作り上げた。脱帽するしかない。

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かな

2.0 ちょっと乗れなかった

2026年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ロサンゼルスにいる9人の主人公達の1日を描いた群像劇であり、
 本作は群像劇の良い点と悪い点を詰め込んだような作品となっている。
 群像劇の弱点はキャラが出揃うまで紹介だけで退屈になりがちというのがある。
 本作はかなりその色が濃く、人物たちの状況が見えてくるまでかなり長い助走を必要とし、最初の1時間は人物紹介を兼ねた導入が続くほどだ。
 しかも様々な人物が出てくるため、事前に主人公を把握していないと、誰を覚えておくべきかも分からず混乱しかねない。
 それを乗り越えると、この9人がそれぞれ親子の確執、過去の過ちなど似たような傷を持つ者達というものが見えてくる。

 ここで注意が必要になる。
 本作は他の群像劇(『スナッチ』のような)で散見されるたぐいの面白さを用意していない。
『一見バラバラの人物が、不思議な繋がり方をする』(ないわけではないが)
『序盤のある人物の些細な行動が、後半で他の人物の運命を変える』
『偶然の連鎖が大きな影響を及ぼし終盤でとんでもない結果となる』
 これらの人同士の関係性や、因果の絡み合いを楽しむ、システマチックな話とはかなり趣が異なるため、期待すると肩透かしを食らう。

 本作が描いているのは、同じような傷を抱えた人々が、それぞれの場所で限界を迎える一晩の感情の爆発だ。
 Aさんが精神的に追い詰められたとき、Bさんも別の場所で同じように限界を迎え、そしてCさんも窮地にある。
 これらを一斉に同時に見せつけられるのは、オーケストラの別々の楽器が、ある瞬間に同じ旋律に合流するときの不思議な高揚感と似ている。
 これは物語の仕組みを俯瞰することで見える因果の理解や驚きに快感を見いだす群像劇ではない。
 人間の感情を浴びる映画なのだろう。
 だから、彼らの後悔や家族への痛みに自分の感情を重ねられる人にとっては、かなり強く心に残る映画だと思う。

 と、ここまで語るといかにも名作映画だが……個人的にはそこまで楽しめたわけではない。
 話がのんびり間延びしすぎている上に、いろいろ詰め込みすぎに感じる。
 何より作中人物たちの心の痛みに共鳴することが出来なかった。
 この辺りは見る人がそれまでに歩んできた人生経験にかなり左右されるだろう。

 もしかしたら10年、20年先では楽しめる作品になるかも知れない。
 そのとき、自分の感想がどう変わるのかを確認してみたい。

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エル

3.5 サイテーの父親3人

2026年5月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

それぞれの登場人物が絡み合う人間ドラマというわりにそんなに絡み合わず、という印象でした。
前半はストーリーに乗り切れずでしたが、全体を通して楽しめたと思います。
この作品には3人の父親が出てきますが、全員が本当にそれぞれサイテー。
2人の父親は後悔しているけどすでに救いようがない。
もう1人の父親は今の自分がしている事に気が付かず後悔してないけど、早くそれに気付いてこれから挽回してほしい。
そう思いました。
結局後悔している父親2人は、自分の後悔を息子娘に理解してほしくて赦しがほしかっただけのように感じました。
それを打ち明けられたって、息子娘は心をかき乱されてさらに苦しくなったのかもしれません。
そんな自己満足の謝罪をしたい父親で、息子娘が可哀想でした。
その息子を演じるトム・クルーズ、さすがでした。
想いを口にするシーンはとても切なく心にきます。
良い作品でした。

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小町