コンテンツにスキップ

三塁打

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三塁打を放ったタイ・カッブ

三塁打(さんるいだ)とは、野球ソフトボール打者が打った安打のうち、打者走者が一度に三塁まで進んだものを指す。

概要

[編集]

スリーベース(ヒット)とも呼ばれる。なお、アメリカの Official Baseball Rules では three-base hit との表記だが、tripleトリプル)という呼称が定着している。

ただし、打者走者が三塁まで進むことができても、その進塁に野手の失策野手選択によるものが含まれていた(と公式記録員が判断した)場合は三塁打ではなく、単打二塁打と失策(または野手選択)による進塁が記録される。

打者が打った安打を三塁打にするためには、フィールド内・且つフェアゾーンの最も深い場所に打球を運び(いくら深くてもファウルラインを越えたらこれはファウルボール)、相手野手がその打球を処理して内野に返球するまでに打者走者が三塁に到達することが必要なため、長打力と走力が同時に求められ、打球が外野の観客席に直接到達すれば無条件でダイヤモンドを一周できる本塁打よりも一般的に難易度は高いとされる。特に左翼方向の打球は三塁との距離が近いため、返球までに三塁に到達することは非常に難しく、これが三塁打の難易度を上げる大きな要因となっている。そのため安打の中でも三塁打の数は極端に少なく、サイクル安打達成に対しても最大のハードルとなっている(三塁打が出なかったばかりに未達成・猛打賞止まりとなった例は非常に多い)。守備技術、特に中継技術の向上もあって、三塁打の各種記録が更新されることは近年ではまれで、日米ともに1970年代までに記録されて以降ずっと更新されていない記録がほとんどである。

なお、野手がグラブや帽子、着衣の一部などを投げつけたり本来身に着けている場所から離したりしてフェアの打球に触れさせた場合、打者と走者にはそれぞれ3個の安全進塁権が与えられ、打者には三塁打が記録される[1]安全進塁権を参照)。

日本プロ野球

[編集]

個人通算記録

[編集]
順位 選手名 三塁打
1 福本豊 115
2 毒島章一 106
3 金田正泰 103
4 川上哲治 99
5 広瀬叔功 88
6 呉昌征 81
中暁生
8 長嶋茂雄 74
9 張本勲 72
10 吉田義男 70
  • 記録は2024年シーズン終了時点[2]

シーズン記録

[編集]

個人

[編集]
順位 選手名 所属球団 三塁打 記録年 備考
1 金田正泰 大阪タイガース 18 1951年 セ・リーグ記録
2 L.レインズ 阪急ブレーブス 16 1953年 パ・リーグ記録
3 蔭山和夫 南海ホークス 15 1950年 新人記録
4 鈴木清一 セネタース 14 1946年
上林誠知 福岡ソフトバンクホークス 2018年 パ・リーグ左打者記録
6 鬼頭数雄 ライオン軍 13 1940年
金田正泰 大阪タイガース 1946年
藤村富美男 大阪タイガース 1948年
蔭山和夫 南海ホークス 1951年
R.バルボン 阪急ブレーブス 1955年
関口清治 西鉄ライオンズ 1956年
箱田淳 国鉄スワローズ 1956年 セ・リーグ右打者記録
毒島章一 東映フライヤーズ 1957年
吉岡悟 太平洋クラブライオンズ 1976年
松井稼頭央 西武ライオンズ 1997年
村松有人 福岡ダイエーホークス 2003年
鉄平 東北楽天ゴールデンイーグルス 2009年
西川遥輝 北海道日本ハムファイターズ 2014年
  • 記録は2024年シーズン終了時点[3]

チーム

[編集]
順位 チーム 三塁打 記録年
1 阪急ブレーブス 66 1955年
2 阪神軍 61 1946年
3 東京巨人軍 57 1946年
大阪タイガース 1947年
5 西鉄ライオンズ 56 1956年
東映フライヤーズ 1961年
7 阪急ブレーブス 55 1956年
8 南海ホークス 54 1949年
中日ドラゴンズ 1950年
阪急ブレーブス 1954年
東映フライヤーズ 1959年

その他の記録

[編集]

個人

[編集]
記録 選手名 所属球団 記録年月日
連続シーズン三塁打 20年 髙木守道 中日ドラゴンズ 1960年 - 1979年
連続試合三塁打 4試合 長嶋茂雄 読売ジャイアンツ 1960年5月8日 - 5月14日
連続打席三塁打 3打席 堀尾文人 阪急ブレーブス 1936年11月14日
蔭山和夫 南海ホークス 1951年9月28日、9月29日
河埜和正 読売ジャイアンツ 1974年5月29日、5月30日
月間最多三塁打 8本 川上哲治 東京巨人軍 1941年8月
1試合最多三塁打 3本 堀尾文人 阪急ブレーブス 1936年11月14日
川上哲治 東京巨人軍 1939年6月21日
川合幸三 阪急ブレーブス 1948年11月1日
蔭山和夫 南海ホークス 1951年9月28日
吉岡悟 太平洋クラブライオンズ 1976年6月20日
1イニング最多三塁打 2本 金田正泰 大阪タイガース 1946年7月25日
杉浦清 中部日本軍 1946年9月7日
今宮健太 福岡ソフトバンクホークス 2024年5月21日
最年長三塁打 48歳4か月 浜崎真二 阪急ブレーブス 1950年4月30日

チーム

[編集]
記録 チーム 記録年月日
連続打者三塁打 3打者 阪急ブレーブス 1955年5月21日
ヤクルトスワローズ 1987年8月30日
阪神タイガース 1990年9月5日
1試合最多三塁打 6本 セネタース 1946年7月14日
1イニング最多三塁打 4本 読売ジャイアンツ 1947年8月16日
オリックス・バファローズ 2019年6月23日[4]

メジャーリーグベースボール

[編集]

個人通算記録

[編集]

個人シーズン記録

[編集]
順位 選手名 所属球団 三塁打 記録年
1 オーウェン・ウィルソン ピッツバーグ・パイレーツ 36 1912年
2 デーブ・オル ニューヨーク・メトロポリタンズ 31 1886年
ヘンリー・レイツ ボルチモア・オリオールズ 1894年
4 ペリー・ワーデン セントルイス・ブラウンズ 29 1893年
5 サム・トンプソン フィラデルフィア・フィリーズ 28 1894年
ハリー・デービス ピッツバーグ・パイレーツ 1897年
7 ジョージ・デイヴィス ニューヨーク・ジャイアンツ 27 1893年
ジミー・ウィリアムズ ピッツバーグ・パイレーツ 1899年
9 ジョン・レイリー シンシナティ・レッズ 26 1890年
ジョージ・トレッドウェイ ブルックリン・グルームス 1894年
ジョー・ジャクソン クリーブランド・インディアンス 1912年
サム・クロフォード デトロイト・タイガース 1914年
カイカイ・カイラー ピッツバーク・パイレーツ 1925年
2024年シーズン終了時[6]
2リーグ制後
順位 選手名 所属球団 三塁打 記録年 備考
1 チーフ・ウィルソン英語版 ピッツバーグ・パイレーツ 36 1912年 ナ・リーグ記録
2 ジョー・ジャクソン クリーブランド・インディアンス 26 ア・リーグ記録
サム・クロフォード デトロイト・タイガース 1914年
カイカイ・カイラー ピッツバーク・パイレーツ 1925年 右打者記録
5 サム・クロフォード デトロイト・タイガース 25 1903年
ラリー・ドイル ニューヨーク・ジャイアンツ 1911年
トム・ロング英語版 セントルイス・カージナルス 1915年 新人記録[7]
8 タイ・カッブ デトロイト・タイガース 24 1911年
1917年
10 23 1912年
サム・クロフォード 1913年
アール・コームス ニューヨーク・ヤンキース 1927年
アダム・コロモスキー英語版 ピッツバーク・パイレーツ 1930年
デール・ミッチェル英語版 クリーブランド・インディアンス 1949年
カーティス・グランダーソン デトロイト・タイガース 2007年
ライブボール時代以降
順位 選手名 所属球団 三塁打 記録年 備考
1 カイカイ・カイラー ピッツバーグ・パイレーツ 26 1925年
2 アール・コームス ニューヨーク・ヤンキース 23 1927年 ア・リーグ記録、左打者記録
アダム・コロモスキー ピッツバーグ・パイレーツ 1930年
デール・ミッチェル クリーブランド・インディアンス 1949年 ア・リーグ記録、左打者記録
カーティス・グランダーソン デトロイト・タイガース 2007年
6 ハイ・マイヤーズ ブルックリン・ロビンス 22 1920年
ジェイク・ドーバート シンシナティ・レッズ 1922年 ナ・リーグ左打者記録
ポール・ウェイナー ピッツバーグ・パイレーツ 1926年 新人記録[9]
アール・コームス ニューヨーク・ヤンキース 1930年
スナッフィ・スターンワイス 1945年

脚注

[編集]
  1. ^ 公認野球規則9.06(e)
  2. ^ 歴代最高記録 三塁打【通算記録】 - NPB.jp 日本野球機構
  3. ^ 歴代最高記録 三塁打【シーズン記録】 - NPB.jp 日本野球機構
  4. ^ 対戦相手は広島東洋カープ。10回表に後藤駿太福田周平小田裕也安達了一により達成。
  5. ^ baseball-reference - 通算成績の詳細(メジャーリーグ)(英語)
  6. ^ https://www.baseball-reference.com/leaders/3B_season.shtml
  7. ^ 新人資格を有したメジャー3年目
  8. ^ baseball-reference - シーズン記録の詳細(メジャーリーグ)(英語)
  9. ^ メジャー2年目以降を含めると、20世紀以降では上記のトム・ロングが新人記録
  10. ^ 19世紀を含めると、上記のジョージ・デイヴィス
  11. ^ http://www.baseball-reference.com/leaders/3B_season.shtml baseball-reference

関連項目

[編集]