凪
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凪(なぎ・英語: calm)は、それまで吹いていた風がしばらくの間なくなった状態をいう[1]。波がなくなり海面が静まった状態も含めて指すことがある[2]。
風力階級で最も弱い風力0(風速0.0 - 0.2メートル毎秒)は、煙がまっすぐ上に昇っていること、海面は鏡のようになっていることを判定基準とするが、日本語で「静穏」の名称がある[3][4][5]。英語ではcalmであり凪と同じ語を充てるが[6]、日本語でも風力0の状態を凪と解説する資料がある[5]。
沿岸地域では海陸風のメカニズムで、日中に海から陸へ海風が、夜間に陸から海へ陸風が吹く。海風から陸風、陸風から海風へ切り替わるときはそれぞれ凪となり、夕方のそれを「夕凪」(ゆうなぎ、英: evening calm)、朝のそれを「朝凪」(あさなぎ、英: morning calm)という[1]。
瀬戸内海の沿岸では、上空を吹く強風の影響を受けにくいことから、凪がよく現れる。「瀬戸の夕凪」という言葉はその風土を表す言葉として日本では有名となっている。特に夏、夕凪は蒸し暑さをもたらす要因となっている[7][8][9]。
また、風の息(風の強弱変動)の中でわずかな時間風が吹き止むことがある[1]。英語ではlullといったりするが[1][10]、このような状態も凪ということがある[1]。
出典
[編集]- ^ a b c d e 根本順吉「凪」『小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』』 。コトバンクより2024年6月4日閲覧。
- ^ 「凪」『小学館『デジタル大辞泉』』 。コトバンクより2024年6月4日閲覧。
- ^ “「風力」「静穏」”. 天気予報等で用いる用語. 気象庁. 2024年6月4日閲覧。
- ^ 『気象観測の手引き』(2訂)気象庁、2007年12月、21頁 。
- ^ a b 「なぎ(凪)」『平凡社『百科事典マイペディア』』 。コトバンクより2024年6月4日閲覧。
- ^ “calm”. Glossary of Meteorology(気象学用語集). American Meteorological Society(アメリカ気象学会) (2024年3月26日). 2024年6月1日閲覧。
- ^ 日本気候百科 2018, p. 320「岡山県の気候」内記述(著者:大橋唯太)
- ^ 日本気候百科 2018, p. 329「広島県の気候」内記述(著者:塚本修)
- ^ 日本気候百科 2018, pp. 341–342「香川県の気候」内記述(著者:寺尾徹)
- ^ “lull”. Glossary of Meteorology. American Meteorological Society (2024年3月29日). 2024年6月1日閲覧。
参考文献
[編集]- 日下博幸、藤部文昭ほか 編『日本気候百科』丸善出版、2018年1月。ISBN 978-4-621-30243-9。