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土工 (工種)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

土工(どこう)


土工(どこう)とは、土工事の工種のことである。土木工事で、土を掘り、運び、盛り固めるなどの基礎的な作業[1]

解説

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河川工事の場合は河川土工、道路工事の場合は道路土工、海岸工事の場合は海岸土工、公園工事の場合は造成土工[2]、などと分類され、そしてそれぞれに盛土工、掘削工(切土工)、作業土工(床堀と埋戻し)、建設発生土の作業残土処理工などの区分となっている。さらに盛土工は、国土交通省など発注機関により数量算出分類では利用する土砂の区分ごとに流用土盛土、発生土盛土、採取土盛土、購入土盛土と分類している。

建築工事での土工は、おおむね以下の通り[3]

  • 根切り - 基礎、地下構築物等を施工するための土の掘削をいい、つぼ・布掘り、総掘りに分類し、法付オープンカット、自立山留め等、積算における数量単位は立方メートル
  • すきとり - 深さ300mm程度 数量単位は立方メートル
  • 整地 - 設計地盤又は現状地盤に沿う敷地の地均しのことで、その数量は指定された範囲の水平面積。ただし、敷地が設計地盤より高いときは、計算上すきとり、切土して設計地盤を形成するものとし、その数量は敷地の設計地盤からの平均高さと指定された範囲の水平面積による体積
  • 床付け - つぼ,布掘 積算における数量単位は平方メートル
  • 杭間ざらい - 既製コンクリート杭φ350から600ミリ  積算では本数を計上
  • 埋戻し - 発生土(建物廻り仮置き土) 数量単位は立方メートル
  • 機械運搬 - 片道30km以内が積算計上では含まれている。通常はバックホウ

建築積算において、積算数量の計測-計算については、土工と地業とに区別して定めるが、土工の計測・計算はその土の処理, 山止, 排水などについては計画数量砂利敷などについては設計数量としており、土工の計測は原則として設計地盤を基準線とするようにされている。ただし現地盤(敷地の平均高さ)が設計地盤と著しく異なるときは、現地盤を基準線とすることができ、さらに土の処理による土砂量の増加又は締め固めなどによる土砂量の減少はないものとみなしている。土の処理の基準線は設計地盤とするのが原則であるが, 現実には設計地盤と現地盤とは必ずしも一致しないからである。この場合には根切や埋戻の基準線は現地盤とする場合が多い。

一般的には土の搬出あるいは搬入等を少なく するため現地盤からの根切残土によって釣合いのとれる高さを基準線とするように計画されるのが普通であるが、同一建物について現地盤に若干の差 (高低) のある場合は便宜上その平均高さを現地盤高さと考える。

敷地にある若干の不陸を整正する必要がある時は整地として計上し、その処理すべき面積を求める。また雑草の伐採伐根のある場合はその面積を計上し, 樹木の伐採伐根は型状ごとの本数とするのが一般である。ただし稀に現地盤が設計地盤より高い場合には直接現地盤から根切等をしないで設計地盤までの余分な土をすき取あるいは切土した上で設計地盤を基準線として根切等を考えることもある。これをまとめると次のようになる。

  • 現地盤高さ >設計地盤高さの場合、基準線は設計地盤。すき取又は切土して設計地盤とする。
  • 現地盤高さ=設計地盤高さの場合、基準線は設計地盤。
  • 現地盤高さ < 設計地盤高さの場合、基準線は現地盤。

なおすき取, 切土はその対象とする面積に現地盤と設計地盤の差 (平均値)を高さとして乗じて得る容積とされている。

土は据削によって一般的に10から30パーセント程度も容積的に増加する。また埋め戻しや盛り土は圧密によって元の地山の状態に復する性質がある。しかし積算上はこうした現象を無視し土の容積変化は考えなくてもよいとするのが通例である。積算指針では発生土を現場搬出する場台及び埋め戻しや盛り土用の土の搬入の場合の運搬土量は増加とし、設計数量としては考慮しないとしている。

そして特殊な工法, あるいは大規模工事などで, 具体的な工事計画が検討され、これに基づく土工計画が工事部門から示された場合, もしくは発往者から施工条件として土工計画が与えられた場合はその計画図によって計測, 計算することになるが、この計画による数量は厳密に言えば設計数量的性格の数量ともいえる。

土工についてすでに土工計画があるときは原則としてその計画に基づいて計測・計算するが、根切, 埋戻等は依頼段階や発注段階で設計図書に土工計画が示されていないのが一般であるので, 積算者が根切形状, 山止方法などを計画想定し数量を求めねばならない。積算上の算出ではこれらを計画数量と呼称しているのである。

ただし、砂利敷など図面上で明らかにその量を計測できるものは, その設計寸法から設計数量を求めることになる。このとき土工は基礎, 地階など地中構築物を造成するのが目的であるので, 土工に要する費用が少なく且つ作業上の安全性の確保できるような土工計画を設定したうえ, これに基づいて数量を計測すべきであるが, 指針などによってこの考え方に添う基本的な基準を定めてある。

作業土工

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床掘り

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「掘削」とは、建設工事での土工において、法面に施す切土のように現地盤線から施工基面までの土砂等を掘り下げる箇所すなわち土砂の「埋戻し」を伴わない箇所の土工行為であるが、「床掘り」とは、構造物築造又は撤去を目的に、現地盤線又は施工基面から土砂等を掘り下げる箇所つまり土砂等の「埋戻し」を伴う行為。但し、土量数量算出上は施工基面から上の箇所にあたる擁壁設置予定箇所裏面の土砂戻し盛土が伴う箇所の掘削・切土行為についても、土砂戻し盛土を「埋戻し」ているため、「床掘り」と呼んでいる[4]

構造物の築造・設置を伴う床掘には余幅を必要とする。余幅とは作業上のゆとり幅に、当該地の土質と根切り深さとに応じて係数を乗じた法幅、根切り基準線における根切りのひろがり2分の1を加えた幅のことで、作業上のゆとり幅は積算の設計数量算出の基準要領等により多少の違いがあるが、おおむね現場打設施工する構造物では50センチメートル、プレキャスト構造物を設置する際では30センチメートルを標準としており、土間、犬走り等の作業上のゆとり幅は10センチメートルを標準としていることが多い。

法幅の土質と根切り深さに応ずる係数は、適切な統計値によるものとしている。 指定のない場合の普通土の係数は、根切り深さが1.5メートル未満の場合は0とし、法を設けない。そして根切り深さが1.5メートル以上5.0メートル未満は0.3を、根切り深さが5.0メートル以上は0.6を標準としており、また、山留め壁と躯体間の余幅は1.0mを標準としている。

埋戻し

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埋戻しとは根切り部分と基礎、地下構築物等との間隙を土、砂等により充てんすることで、その設計数量は根切りの数量から根切り基準線以下の基礎又は地下構築物の体積、砂利地業及び捨コンクリートの体積を控除した数量となり、埋戻しの土は種別ごとに区分する。

根切り土を流用する場合は,必要に応じて粒度試験等を行い適否を検討する。締固めは,山砂類の場合は水締めとし,粘土質の場合は厚さ約30cm程度ごとにランマー等を用いて十分に締め固める。

積算基準では 「数量は,根切りの数量から現状地盤以下の基礎又は地下構築物の体積及び砂利地業と均し(捨)コンクリートの体積を控除した数量とする。」としている。

基礎及び地下構築物等を築造するため,施工に必要な余幅を見込んで根切りした空間と,出来上がった基礎,地下構築物等との間隙を充てんする土砂等のことを埋戻し土と呼ぶ。

根切り土が良質で敷地に仮置できる場合は,埋戻し土に流用できるが,敷地に仮置できない場合は建設発生土(不用土)として処理し,購入土で埋め戻す。

現場の敷地等の条件により埋戻し土は根切り等の建設発生土,購入土のいずれかによると規定して,各々の建設発生土(不用土)処理の計測·計算の方法を定めている。

建設発生土(不用土)処理

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当該工事について不用となる土の処理のことで、その数量は敷地の条件又は根切り及びすきとりによる土の状況によるが、通常根切り及びすきとりによる土が埋戻し及び盛土に適さないときは、根切り及びすきとりの数量を不用土処理の数量となり、埋戻し及び盛土に適するときは原則として根切り及びすきとりの数量から埋戻し及び盛土等の数量を減じた数量が不要土処理の数量となる。ただし、根切り及びすきとりによる土を仮置きすることができない場合は、根切り及びすきとりの全設計数量を建設発生土処理の数量とする。

また処分に際して現地内での処分の際はこの限りではないが、当該地外部への搬出であれば処分地までの運搬距離を計測し、積算の際に運搬費用と処分先の費用を反映する必要があり、処分先等が異なる場合はさらにそれごとに土量や運搬距離を区分する必要がある。

脚注

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  1. ^ 土工(ドコウ)とは - コトバンク
  2. ^ 例えば、公園緑地整備工事数量算出等要領 (横浜市環境創造局)
  3. ^ 公共建築数量積算基準(国土交通省大臣官房官庁営繕部)では土工とは「整地、根切り、埋戻し、盛土、建設発生土(不用土)処理等、土の処理及びこれらに伴う山留め、排水等」としている
  4. ^ 2章 土 工 (PDF) (土木要領-国土交通省)

参考文献

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関連項目

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