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松長有慶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
松長 有慶
1929年昭和4年〉7月21日 - 2023年令和5年〉4月16日
法名 有慶
生地 和歌山県高野町
宗派 高野山真言宗
寺院 金剛峰寺
藤村密憧
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松長 有慶(まつなが ゆうけい、1929年昭和4年〉7月21日 - 2023年令和5年〉4月16日)は、高野山真言宗僧侶仏教学者補陀落院住職。金剛峯寺第412世座主。同宗管長(2006-2014年)。

全日本仏教会会長(2008-2010年)。高野山大学名誉教授。元同大学長。21世紀高野山医療フォーラム名誉会長和歌山県高野町出身。

生涯

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1929年昭和4年)、和歌山県高野町高野山南院住職で高野山大学教授松長有見の長男として誕生。1941年(昭和16年)、高野山南院道場において藤村密憧を戒師として得度1951年(昭和26年)、高野山大学密教学科を卒業。1959年(昭和34年)、東北大学大学院文学研究科博士課程を修了。

1968年(昭和43年)、高野山補陀落院住職に就任。1977年(昭和52年)から1979年(昭和54年)までは高野山大学によるラダック地方の仏教文化調査「ラダック・ザンスカール仏教文化調査隊」に隊長として参加[1]

1978年(昭和53年)、密教学芸賞受賞・九州大学より文学博士号を授与[2]1983年(昭和58年)、高野山大学学長に就任。1995年平成7年)、耆宿宗会議員に就任。1999年(平成11年)、高野山寳壽院門主・高野山専修学院院長に就任、2007年(平成19年)まで務める。

2002年(平成14年) 高野山第503世検校法印となり、2003年(平成15年)まで務める。2006年(平成18年)11月15日、高野山真言宗総本山金剛峯寺第412世座主、高野山真言宗管長就任。2008年(平成20年) 財団法人全日本仏教会会長に就任。春、瑞宝中綬章受勲[3]

2009年(平成21年)11月にダライ・ラマ14世と面会。2010年(平成22年)1月、東寺教王護国寺)での後七日御修法の大阿(阿闍梨)・真言宗長者、スイスのダボス会議(世界経済フォーラム)に出席。2011年(平成23年)、天台宗半田孝淳座主に申し入れて、12月25日比叡山にて天台・高野山真言宗トップ対談を1200年ぶりに実施[4]

2023年(令和5年)4月16日膵臓がんのため死去[5]。93歳没。没日を以て正五位へ追叙された[6]

著書

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  • 『密教の歴史』平楽寺書店〈サーラ叢書〉 1969、新版1982
  • 『密教の相承者 その行動と思想』評論社〈東洋人の行動と思想〉 1973
    • 『密教-インドから日本への伝承』中公文庫 1989、改版2001
  • 『密教の智恵 松長有慶集』教育新潮社「昭和仏教全集」 1973
  • 『生かせいのち』補陀洛院 1976
  • 『密教経典成立史論』法蔵館 1980
  • 『秘密の庫を開く 密教教典 理趣経』集英社〈仏教を読む7〉1984
    • 理趣経』中公文庫 1992、改版2002
  • 『密教とはなにか 宇宙と人間』人文書院 1984、中公文庫 1994、改版2020。講演集 
  • 空海-無限を生きる』集英社〈高僧伝4〉 1985
    • 増訂版『空海・心の眼をひらく-弘法大師の生涯と密教』大法輪閣 2002
  • 『密教 コスモスとマンダラ』日本放送出版協会NHKブックス〉1985
  • 『密教』岩波書店〈岩波新書〉、1991年7月。ISBN 4004301793全国書誌番号:91059114 
  • 『生命の探究 密教のライフサイエンス』法蔵館 1994
  • 『仏教と科学 叢書・現代の宗教』岩波書店 1997
  • 松長有慶著作集』(全5巻) 法蔵館 1998
    • 『1 密教経典成立史論』
    • 『2 インド密教の構造』
    • 『3 空海思想の特質』
    • 『4 マンダラと密教美術』
    • 『5 秘密集会タントラの研究』
  • 『大宇宙に生きる 空海』中央公論新社〈仏教を生きる〉 1999、中公文庫 2009
  • 『一鳥声あり』補陀洛院 2002
  • 『密教 21世紀を生きる』法蔵館 2002
  • 理趣経講讃』大法輪閣 2006
  • 『空海 般若心経の秘密を読み解く』春秋社 2006、増補版2013
  • 『こだわらない』PHP研究所 2009
  • 二十一世紀に生かす 真言密教の智慧』春秋社 2010。講演集  
  • 大日経 住心品講讃』大法輪閣 2010
  • 『祈り かたちとこころ』春秋社 2014。講演集、巻末に「阿字観の基礎知識」
  • 『高野山』岩波書店〈岩波新書〉、2014年10月。ISBN 9784004315087全国書誌番号:22497158 
  • 『空海』岩波書店〈岩波新書〉、2022年6月。ISBN 9784004319337 

共編

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  • 『マンダラの世界』杉浦康平共編 講談社 1983 美と宗教のコスモス
  • 『曼荼羅 色と形の意味するもの』編 大阪書籍 1983 朝日カルチャーブックス
  • 『密教の神話と伝説』共著 大阪書籍 1984 朝日カルチャーブックス
  • 『高野山 その歴史と文化』共著 法蔵館〈法蔵選書〉 1984
  • 『日本の仏教・人と教え2 真言宗』編 小学館 1985
  • 『真言宗選書 第13巻 事相篇 曼荼羅』責任編集 同朋舎出版 1986
  • 『密教大系』全12巻 法蔵館 1994 共編
  • 『密教を知るためのブックガイド』編 法蔵館 1995
  • 『インド後期密教(上) 方便・父タントラ系の密教』 春秋社 2005 
  • 『インド後期密教(下) 般若・母タントラ系の密教』 春秋社 2006 編著
  • 『地球環境問題を仏教に問う』山本良一竹村牧男共著 未踏科学技術協会 2015 

翻訳

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記念論集

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  • 『インド密教の形成と展開 松長有慶古稀記念論集』 法藏館 1998

論文

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脚注

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  1. ^ 佐藤健『マンダラ探検:チベット仏教踏査』人文書院 、1981年。
  2. ^ 博士論文『密教経典成立史論』
  3. ^ 春の叙勲・褒章”. 日本私立大学協会 (2008年5月7日). 2023年6月13日閲覧。
  4. ^ 1200年ぶり…天台・高野山真言宗トップ対談 - 読売新聞(2012年1月7日20時40分)アーカイブ
  5. ^ “高野山真言宗元管長、松長有慶さん死去 93歳 空海や密教研究”. 毎日新聞. (2023年4月17日). https://mainichi.jp/articles/20230417/k00/00m/040/045000c 2023年4月17日閲覧。 
  6. ^ 『官報』第981号4頁 令和5年5月22日
先代
資延敏雄
高野山金剛峯寺座主
第412世:2006年 - 2010年
次代
中西啓寶
先代
大道晃仙
全日本仏教会会長
2008年 - 2010年
次代
河野太通