葉村彰子
葉村 彰子(はむら しょうこ)は、『水戸黄門』『大岡越前』『江戸を斬る』など、TBS月曜8時の時代劇シリーズの原案者(原作者)・脚本家としてクレジットされていた共同ペンネームである。ドラマのノベライズ作品でこの筆名が使用されている場合があるほか、現代劇のテレビドラマでも同名義でクレジットされている作品が数作品存在する。
概要
[編集]当時、映画出身の作家に対しテレビラジオ出身の作家の待遇が悪く、その待遇改善のため、1970年向田邦子・松木ひろし・窪田篤人・津田幸夫によって作家集団SHPを作る。 さらに大西信行・櫻井康裕・田口耕三・柴英三郎が参加。やがて加藤泰・山内鉄也(映画監督)・岡田裕介(元俳優・東映プロデューサー)も参加し、吉田隆・伊上勝も加わる[1]。
ペンネームは同じTBS月曜8時枠の、布施明主演のドラマ『S・Hは恋のイニシァル』にちなんでいる。基本的には逸見稔の考えたプロットの方向性に沿って、その方面が最も得意な作家がだいたいのところを書き、中心メンバーが微調整をする形で制作は行われていたという。この名前自体は、1970年の大岡越前第1部が初出とみられる。同年制作の水戸黄門第2部第4話では、「脚本:葉村彰子」とクレジットされていることが、C.A.Lの『水戸黄門』ホームページで明らかになっている。
「葉村彰子」の製作する脚本には定評があり、また安定感もある。『水戸黄門』や『大岡越前』ではシリーズごとに、初回や最終話に加え、それ以外の放送回でも「原案・脚本:葉村彰子」として、充実した作品を提供している。下記の実在する脚本家らと連名で、「脚本」担当としてクレジットされることもあった。
1971年から1972年にかけては、東映制作・フジテレビ放送の『清水次郎長』や『お祭り銀次捕物帳』などでもその名が見られるようになるなど、活動が早くも活発化していた。
『水戸黄門第22部・第23部・第24部 』、『水戸黄門外伝 かげろう忍法帖』、『江戸を斬る 梓右近隠密帳 - 江戸を斬るIV、江戸を斬るVIII』では「原作:葉村彰子」とクレジットされていた。また、『水戸黄門外伝 かげろう忍法帖』ではすべての放送回の原作・脚本を担当した。
逸見の死後は原案者としてのクレジットにとどまることが多くなり、この名義で脚本が作られたのは水戸黄門第27部第29話などごくわずかであった。2000年の『水戸黄門』の大幅なリニューアルに伴い、葉村彰子の名前自体が月曜8時枠から消えた。ほかには、里見浩太朗が主演の『一色京太郎シリーズ』(1995年 - 1998年)などの2時間ドラマで、原案や脚本として名前がクレジットされることがあった。なお、『水戸黄門』は第29部から最終シリーズの第43部最終話(第21話)まで、逸見の設立した会社である「オフィス・ヘンミ」が制作協力としてクレジット[注 1]されているものの、葉村彰子としてどのような形で番組制作にかかわっていたかは不明である。
代表的な作品
[編集]- ナショナル劇場(TBS)
- 幡随院長兵衛お待ちなせえ(原案・脚本担当)
- 石立鉄男&ユニオン映画シリーズ
- 五街道まっしぐら!(脚本担当)
- 清水次郎長(1971年)(原案・脚本担当)
- 清水次郎長(1981年)(フジテレビ「時代劇スペシャル」枠にて放送の4作品)(脚本担当)
- お祭り銀次捕物帳(脚本担当)
- 風鈴捕物帳(原案・脚本担当)
- ピンクレディーの活動大写真(企画担当)
- 雪姫隠密道中記(原案・脚本担当)
- あぶない少年シリーズ(原案・脚本担当)
- 女忍かげろう組(全話原案・脚本担当)
- 松本清張作家活動40年記念・黒い画集 坂道の家(脚本担当)
- 社長になった若大将(原案・脚本担当)
- 一色京太郎事件ノート(原案・脚本担当)
著書
[編集]- 大岡越前(ルック社)
- 新だいこんの花(三笠書房)
- どてかぼちゃ(双葉社)※松木ひろしとの共著
- 水戸黄門・テレビ新講談(集英社)
- 水戸黄門-松の巻・竹の巻・梅の巻(桃園文庫)
- 新作水戸黄門(ナイタイ出版)
- 新作大岡越前(ナイタイ出版)
- 女忍かげろう組(ナイタイ出版)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 『黄門様はテレビ好き』(近代映画社・1993年11月)ISBN 4764817276