金華山 (宮城県)
金華山 | |
---|---|
金華山の空中写真。2013年10月14日撮影の30枚を合成作成。 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成 | |
所在地 | 日本・宮城県石巻市 |
所在海域 | 太平洋 |
所属諸島 | 牡鹿諸島 |
座標 | 北緯38度17分20秒 東経141度34分12.2秒 / 北緯38.28889度 東経141.570056度座標: 北緯38度17分20秒 東経141度34分12.2秒 / 北緯38.28889度 東経141.570056度 |
面積 | 10.28 km² |
海岸線長 | 17.3 km |
最高標高 | 444 m |
最高峰 | 金華山 |
プロジェクト 地形 |
金華山(きんかさん[1][2])は、宮城県石巻市の太平洋上に位置する島である。人口は5人。
これは全員が後述の神社の神職であり、他に一般の居住者はいない。対岸の牡鹿半島との間に内海「金華山瀬戸」がある。
観光
[編集]金華山灯台
[編集]金華山灯台は1876年の初点灯から140年以上経過している宮城県内で最も古い洋式灯台である。
金華山黄金山神社
[編集]金華山は、島全体が黄金山神社の神域となっており、地場の信仰の対象として有名。恐山、出羽三山と並ぶ「奥州三霊場」に数えられている。「三年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えがあり、参拝客を集めている。また、神の使いとして保護されている多数の鹿が生息しており、毎年10月第一、第二日曜には鹿の角切りの神事が行われる。参集殿は来島者唯一の宿泊施設となっている。
初巳大祭
[編集]初巳大祭は黄金山神社で行われる雄大な行事で、弁財天の神使が蛇(巳)である事に因む祭儀。毎年5月に開催され期間中の日曜日には神輿渡御(みこしとぎょ)が行われる。
地理
[編集]黄金山神社
[編集]金華山は、島全体が黄金山神社の神域となっており、地場の信仰の対象として有名である。恐山、出羽三山と並ぶ「奥州三霊場」に数えられている。「三年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えがあり、参拝客を集めている。また、神の使いとして保護されている多数の鹿が生息している。毎年10月第一、第二日曜には鹿の角切りの神事が行われる。恋愛成就に効果があると言われる相生の松がある。
鮑荒崎
[編集]金華山の南東には鮑荒崎(あわびあらさき、蛇穴崎とも)と呼ばれる岬がある[3]。岬には海上保安庁の金華山ヘリポートがあり[4]、その南には金華山灯台が置かれている。
環境
[編集]島全域が山であり、最高点は445m。山頂には 二等三角点(点名「金華山」)が設置されている。平地はほとんどない。神社付近を除く大部分が国有地である。古くから信仰の島であり、1979年には南三陸金華山国定公園として指定がされ、2015年には三陸復興国立公園へ編入されたため、手つかずの自然が多く残されている。
植生は、ブナ・モミ・マツなどが多い。固有種である金華芝が自生する[5]。1980年代ごろからマツクイムシの被害が目立ち始め、島の南部では壊滅的な状態となっている。抜本的な対策が求められているが、シカやサルの保護のため薬剤散布が難しいというジレンマを抱えている。また、増えすぎたシカの食害によって若い木が育たず、世代交代が出来ず巨木は多いが、その巨木でさえ枯れたり倒木しているものも見受けられる。一部では草原化しつつあり、森林崩壊の危機が指摘されている。森林を回復させる目的で、後継樹育成のための防鹿柵(ぼうろくさく)設置や、マツクイムシに対する抵抗性を持ったマツの植樹が行われている。
この地域にはニホンヒキガエルが生息していないため、ここに生息するヤマカガシはヒキガエルを捕食して得られる頸腺毒を持たない[6]。
2011年の東日本大震災による巨大地震と大津波では、金華山桟橋の港湾施設が甚大な被害を受け、黄金山神社に至る参道や島南西部の道路が一部崩落した。
アクセス
[編集]女川港(女川町)発の女川-金華山航路と鮎川港(石巻市)発の鮎川-金華山航路で渡航する。以下の3社が運航する定期観光船のほか、不定期観光クルーザー・海上タクシー等での渡航も可能である。金華山桟橋では、国内の汽船乗り場で唯一の宝くじ窓口販売がある。
女川桟橋まではJR石巻線女川駅より徒歩5分、もしくは石巻駅前から渡波駅前経由女川・指ヶ浜方面行きミヤコーバスで女川海岸下車。女川-金華山航路所要時間35分。
一方、鮎川港までは石巻駅前から渡波経由でミヤコーバスによる鮎川行き路線バスが運行しており、所要時間1時間15分。鮎川-金華山航路所要時間25分。
事故・事件
[編集]- 1953年には、8月2日に金華山沖合で漁船「みどり丸(98トン)」が消息を絶って乗員51人全員が行方不明、さらに同年12月26日には漁船「第5幸生丸(84トン)」が消息を絶って乗員35名全員が行方不明になるなど海難事故が相次いだ[7]。
- 2000年に航空自衛隊松島基地所属の航空機(ブルーインパルス)2機が金華山にほど近い牡鹿半島の光山[8]に墜落、パイロット3名が死亡する事故があった。
- 2018年11月、宮城県警生活環境課と石巻警察署は廃棄物処理法違反の容疑で黄金山神社の宮司と職員ら計3名を逮捕した[9]。30年以上にわたって神社ぐるみで産業廃棄物を不法投棄していた疑い[10][11]。上述の通り金華山全体が三陸復興国立公園内であることから、県警は自然公園法違反の疑いでも捜査を行う。また宮城県も神社に対し同法に基づく行政指導を行い、原状回復を求める[12]。
位置情報
[編集]金華山
ギャラリー
[編集]-
金華山灯台
-
金華山千畳敷
-
金華山仁王崎
-
金華山山頂大海祇神社
-
金華山山頂から南側(牡鹿半島先端と網地島)
-
金華山港
-
三陸復興国立公園(金華山より牡鹿半島を望む)
-
女川港から就航する潮プランニング所有船「ベガ」
水産業との関わり
[編集]島の東側に広がる三陸海岸南部沖は魚類が豊富で、「金華サバ」のように地名を冠してブランド化している例もある[13]。この一帯の漁場を表す場合に「金華山沖○○km」と表現される。
海洋水産資源開発促進法施行令における「仙台湾・金華山沖海域」は、以下の点(世界測地系)を順次に結んだ線により囲まれた海域。すなわち、宮城県本吉郡南三陸町・鵜島から福島県双葉郡浪江町・請戸川河口までの沿岸海域。
- 北緯38度42分03秒 東経141度35分26秒 / 北緯38.70083度 東経141.59056度の点
- 北緯38度31分27秒 東経141度33分07秒 / 北緯38.52417度 東経141.55194度の点
- 北緯38度24分03秒 東経141度36分03秒 / 北緯38.40083度 東経141.60083度の点
- 北緯38度16分47秒 東経141度35分31秒 / 北緯38.27972度 東経141.59194度の点
- 北緯38度13分54秒 東経141度29分50秒 / 北緯38.23167度 東経141.49722度の点
- 北緯38度17分50秒 東経141度10分21秒 / 北緯38.29722度 東経141.17250度の点
- 北緯38度10分36秒 東経141度04分29秒 / 北緯38.17667度 東経141.07472度の点
- 北緯37度50分12秒 東経141度00分25秒 / 北緯37.83667度 東経141.00694度の点
- 北緯37度29分10秒 東経141度03分41秒 / 北緯37.48611度 東経141.06139度の点
- 北緯38度00分22秒 東経141度59分34秒 / 北緯38.00611度 東経141.99278度の点
- 北緯38度20分22秒 東経141度59分34秒 / 北緯38.33944度 東経141.99278度の点
- 北緯38度42分03秒 東経141度35分26秒 / 北緯38.70083度 東経141.59056度の点
脚注
[編集]- ^ 金華山の由緒
- ^ 一般社団法人 石巻圏観光推進機構
- ^ 角川日本地名大辞典、pp.63
- ^ “防災ヘリコプター場外離着陸場の一覧表”. 宮城県 (2012年9月10日). 2013年3月9日閲覧。
- ^ 広がれ金華芝 寒さや塩害にも強く 京都の高校生が生産・販売 - 河北新報
- ^ カエルの威を借るヘビ。 - 日本科学未来館 > 科学コミュニケーターブログ(2013年12月27日更新)2018年4月5日閲覧
- ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、93,95頁。ISBN 9784816922749。
- ^ 蒼き空の彼方に挽歌を(ブルーインパルスT-4墜落事故)
- ^ 不法投棄疑いで宮司ら逮捕 霊場・金華山の神社、宮城2018年11月12日 日本経済新聞
- ^ 「行政 ごみ取りに来ない」…「金華山」不法投棄容疑2018年11月13日 読売新聞
- ^ <金華山ごみ投棄>宮司ら逮捕 崖に自動販売機や電柱 管理票未作成、30年常習か2018年11月13日 河北新報
- ^ <金華山不法投棄>宮城県が行政指導方針 神社に廃棄物撤去求める2018年11月15日 河北新報
- ^ これからが旬、脂が乗った「金華さば」朝日新聞デジタル(2014年9月2日)
参考文献
[編集]- 角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典 4 宮城県』 角川書店、1979年、ISBN 404001040X
- 公益財団法人日本離島センター編輯『新版 日本の島ガイド SHIMADAS』 公益財団法人日本離島センター発行、2019年、ISBN 978-4-931230-38-5