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グッド・デイ・サンシャイン

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ビートルズ > 曲名リスト > グッド・デイ・サンシャイン
グッド・デイ・サンシャイン
ビートルズ楽曲
収録アルバムリボルバー
英語名Good Day Sunshine
リリース1966年8月5日
録音
ジャンル
時間2分10秒
レーベルパーロフォン
作詞者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
リボルバー 収録曲
シー・セッド・シー・セッド
(A-7)
グッド・デイ・サンシャイン
(B-1)
アンド・ユア・バード・キャン・シング
(B-2)

グッド・デイ・サンシャイン」(Good Day Sunshine)は、ビートルズの楽曲である。1966年に発売された7作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『リボルバー』のB面1曲目に収録された。ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲で、作曲者名はレノン=マッカートニー名義となっている。マッカートニーは、ラヴィン・スプーンフルの楽曲「デイドリーム英語版」に影響を受けて書いた曲と明かしている。

曲中には転調変拍子が含まれていて、タイトルを連呼して終了する。ピアノを主体としたヴォードヴィル調の楽曲で、歌詞は男女の恋愛模様と太陽光への称賛を表したものとなっている。音楽評論家の間では、本作の軽快なアレンジを肯定的に評価する評論家と、アルバムの強みを薄めると評価する評論家が存在している。

「グッド・デイ・サンシャイン」は、ザ・トレメローズクロディーヌ・ロンジェロビー・ウィリアムズらによってカバーされた。マッカートニーも1984年に公開された主演映画『ヤァ!ブロード・ストリート英語版』でセルフカバーしており、ソロライブでも定期的に演奏している。

背景・曲のインスピレーション

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マッカートニーは、サリー州ケンウッドにあるジョン・レノンの自宅で「グッド・デイ・サンシャイン」を書いた[3][4]。晴天日からインスピレーションを得たマッカートニーは、レノンのピアノでメロディを作り上げた[5]。後にマッカートニーは「ジョンも手伝ってくれた。とはいっても元々は僕の曲さ」と語っており[6]、レノンも「僕も歌詞を少し書いたことを記憶してる」と語っている[7]

本作についてマッカートニーは、「ラヴィン・スプーンフルから影響を受けた」「『デイドリーム英語版』のような曲を書こうとしていた」と明かしている[6]。レノンとジョージ・ハリスンは、1966年4月にロンドンのザ・マーキー英語版で行われたラヴィン・スプーンフルのライブを観に行っており、ビートルズとローリング・ストーンズのメンバーはラヴィン・スプーンフルについて「ホットな新人グループ」と称賛した[8][9]。伝記作家のスティーブ・ターナー英語版は、キンクスの「サニー・アフタヌーン」も曲のインスピレーションとなった可能性があると著書で書いている[4]

曲の構成

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「グッド・デイ・サンシャイン」は、AメジャーDメジャーで書かれている[10]。4小節のイントロダクションに続くかたちで、コーラスで始まる。その後、3つのヴァースとコーラスで構成されており、2番目のヴァースにはインストゥルメンタルのパッセージが含まれている。コーダではコーラスが繰り返され、フェードアウトで曲が終わる[11]。音楽学者のアラン・ポラックは、本作の楽式について「ポップ・ミュージックの要素を兼ね備えたフォーク・バラード」と説明している[11]

ヴォードヴィル調をはじめとするオールドタイプの楽曲を数曲発表しているが、この曲はそういった系統で初めて発表された楽曲[注 1]

作家のマーク・ヘルツガード英語版は、本作の歌詞について「『生きる力を与えてくれる太陽への感謝』と『男女の恋愛模様』を組み合わせたもの」と説明している[12]。このため、アルバム『リボルバー』では数少ない「愛」を主題とした楽曲となっている[13]

レコーディング

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「グッド・デイ・サンシャイン」のレコーディングは、1966年6月8日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で開始された。大規模なリハーサルが行われた後、ピアノベースドラムの編成で[14][15]ベーシック・トラックが3テイク録音され、同日の演奏ではテイク1がベストとされ、翌日にオーバー・ダビングが施されて完成となった[14]。音楽評論家のイアン・マクドナルド英語版は、著書でレノンがギターを演奏していた可能性を示している[16]が、ウォルター・エヴェレット英語版は「『グッド・デイ・サンシャイン』では、ギターのパートが含まれていない」と著書で書いている[17]。また、マーク・ルイソン英語版は、著書における本作のレコーディング・セッションについての記述で、ギターの演奏については触れていない[14]

レノンとハリスンは、コーラスハーモニー・ボーカルを加え、マッカートニーのリード・ボーカルを支えている。6月9日にマッカートニー、レノン、ハリスンの3人は、曲の最後に追加のボーカルをオーバー・ダビングした[14]。同セッションでは、リンゴ・スタークラッシュシンバル[6]、マッカートニーがイントロとコーラス部分に2つ目のピアノパートをオーバー・ダビングした[5]。6月9日にジョージ・マーティンが弾いたバレルハウス調のピアノソロ[18][19]が、テープ・レコーダーの回転速度を落として録音された[14][16]。音楽評論家のリッチー・アンターバーガー英語版は「昔ながらのヴォードヴィルの雰囲気は、ホンキートンクなピアノソロで高められている」と評している[20]

モノラル・ミックスとステレオ・ミックスで差異があり、モノラル・ミックスではコーダにバスドラムが含まれている[21]。アルバム『リボルバー』のセッションにおいてEMIレコーディング・スタジオのエンジニアによって開発された[22]ADTは、曲後半のリード・ボーカルのパートに使用された[15]。ステレオ・ミックスでは、ボーカルを録音した2つのトラックがステレオの音像の左右にパンされている[15]。最終的なミックスは、ビートルズが1966年のワールドツアーのためにミュンヘンに渡る前日(6月22日)に作成された[23][24]

リリース・評価

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イギリスでは、7月にEMIがアルバム『リボルバー』の収録曲を各ラジオ局に配信していた[25]。アルバム『リボルバー』は、1966年8月5日にパーロフォンから発売され[26][27]、「グッド・デイ・サンシャイン」はB面のオープニング・トラックとして収録された[28]

レコード・ミラー英語版』誌で、ピーター・ジョンズ英語版とリチャード・グリーンは「構造的にラヴィン・スプーンフルの楽曲を思い出させる。力強いが、繊細さも兼ね備えた特徴あるポールのボーカルが素晴らしい」と称賛している[29]。『クロウダディ英語版』誌でポール・ウィリアムズは、「ラヴィン・スプーンフルがイギリスのバンドに与えた影響が、今日のロックンロールがいかに活発であるかを示す良い証拠」と評し、本作の歌詞とピアノについて「控えめで華やかではないが、とてもいじらしい」と称賛している[30]。1967年に放送されたCBSニュースのドキュメンタリーにて、レナード・バーンスタインがこの曲の構成を賞賛している[31]ピーター・ドゲット英語版は「シンプルながら効果的で見事」「暗い『リボルバー』の楽曲を理想的に補完している」と評している[32]

一方で、ビル・ワイマンはビートルズの公式録音曲213曲を対象としたランキングで、本作を最下位に挙げ、「タイトルからして空虚」「ビートルズの曲としては最悪で、『リボルバー』を台無しにしている」と評した[33][34]。2016年にスコット・ティンバーグ英語版は、「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」と共に『リボルバー』で刺激を受けなかった曲として挙げている[35]

カバー・バージョンやマッカートニーによる演奏

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アルバム『リボルバー』に収録されたマッカートニー作の楽曲は、アダルト・オリエンティッド・ポップ調で、新たなサイケデリックの美学を反映していることが確実とされ、同作からマッカートニー作の楽曲のカバー・バージョンが多く発表された[36]ザ・トレメローズは、ブライアン・プール英語版脱退後の1966年にシングル盤として発売した。翌年にクロディーヌ・ロンジェがシングル盤として発売し、Billboard Hot 100で最高位100位[37]Easy Listening Chartで最高位36位を記録した[38]

1974年に上演されたミュージカル『John, Paul, George, Ringo ... and Bert』で、バーバラ・ディクソン英語版が本作を歌唱した[39]

マッカートニーは、1984年に公開された主演映画『ヤァ!ブロード・ストリート英語版』でサウンドトラックとしてセルフカバーした[40]。このセルフカバー・バージョンでも、マーティンがピアノソロを演奏している[41]。映画にはスターも出演していたが、本作を含むビートルズの楽曲のセルフカバーには参加していない[42]。1989年から1990年にかけて行われたワールドツアーで演奏され[40]、同ツアーでのライブ音源が1990年に発売されたシングル『バースデイ』のB面に収録された[43]

「グッド・デイ・サンシャイン」は、2005年夏のスペースシャトル・ディスカバリーの飛行で、搭乗員の目覚まし用音楽として使用された[40]。その話を聞いたマッカートニーがお礼として[34]11月13日のライブで国際宇宙ステーションに生中継で演奏が届けられた[44][45]。この時の模様は、翌年に発売された映像作品『ライヴ・イン・ザ・US 2005〜ザ・スペース・ウィズイン・アス〜英語版』に収録された。

2016年に放送されたテレビアニメ『ビートバグズ英語版』のエピソード内で、ロビー・ウィリアムズが本作を歌唱した[46]

クレジット

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出典は特記を除き、ジーン・ミシェル・ゲドンとフィリップ・マーゴティンの共著『All the Songs』。ゲドンとマーゴティンは、レノンのギターとベースの演奏のクレジットに対して疑問符を添えており、後者についてはマッカートニーがベースを演奏した可能性を示しながら、ベーシック・トラックのレコーディングに関する記述では「ハリスンがベースを演奏した」と書いている[6]。なお、マーク・ルイソン英語版は、ピアノ、ベース、ドラムがすべて同時に録音されたとしている[47]

脚注

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注釈

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  1. ^ ただし、この系統ではじめて作曲されたのは、1967年に発売されたアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録の「ホエン・アイム・シックスティ・フォー」。

出典

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  1. ^ Miles 2001, p. 239: "Perfect summer pop for the era".
  2. ^ Simonelli 2013, p. 103: "Sunshine symbolized beauty, happiness and strength, and was a continually recurring theme in psychedelic music – the Beatles' 'Good Day Sunshine' ... being [one of the] examples."
  3. ^ Hertsgaard 1996, p. 186.
  4. ^ a b Turner 2016, p. 204.
  5. ^ a b c Everett 1999, p. 58.
  6. ^ a b c d Guesdon & Margotin 2013, p. 338.
  7. ^ Womack 2014, p. 330.
  8. ^ Miles 2001, p. 229.
  9. ^ Rodriguez 2012, p. 123.
  10. ^ MacDonald 2005, p. 494.
  11. ^ a b Pollack, Alan W. (2000年7月30日). “Notes on 'Good Day Sunshine'”. Soundscapes. 2020年9月30日閲覧。
  12. ^ Hertsgaard 1996, p. 187.
  13. ^ Turner 2016, p. 406.
  14. ^ a b c d e Lewisohn 2005, pp. 82–83.
  15. ^ a b c Winn 2009, p. 24.
  16. ^ a b MacDonald 2005, p. 209.
  17. ^ Everett 1999, p. 328.
  18. ^ Everett 1999, p. 59.
  19. ^ Frontani 2007, p. 121.
  20. ^ Unterberger, Richie. Good Day Sunshine | Song Info - オールミュージック. 2020年9月30日閲覧。
  21. ^ Rodriguez 2012, p. 144.
  22. ^ Frontani 2007, p. 120.
  23. ^ Miles 2001, p. 234.
  24. ^ Winn 2009, pp. 24–25.
  25. ^ MacDonald 2005, p. 192.
  26. ^ Miles 2001, p. 237.
  27. ^ Lewisohn 2005, p. 84.
  28. ^ Everett 1999, p. 67.
  29. ^ Green, Richard; Jones, Peter (30 July 1966). “The Beatles: Revolver (Parlophone)”. Record Mirror. http://www.rocksbackpages.com/Library/Article/the-beatles-irevolveri-parlophone 
  30. ^ Williams, Paul (September 1966). “Revolver, The Beatles”. Crawdaddy!: 3-4. 
  31. ^ Frontani 2007, p. 154.
  32. ^ Miles 2001, p. 239.
  33. ^ Wyman, Bill. “All 213 Beatles Songs, Ranked from Worst to Best”. Vulture. 2020年9月30日閲覧。
  34. ^ a b 【スピリチュアル・ビートルズ】ビートルズの「ワースト」ソングたち でも、やっぱり213曲全部好き!”. OVO. 共同通信社 (2020年4月11日). 2021年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月30日閲覧。
  35. ^ Timberg, Scott (2016年8月5日). “Why 'Revolver' Still Matters: The 50th Anniversary of a Beatles Masterpiece”. Salon. 2020年9月30日閲覧。
  36. ^ Clayson 2003, pp. 115–116.
  37. ^ The Hot 100 Chart”. Billboard (1967年8月5日). 2020年9月30日閲覧。
  38. ^ Claudine Longet Chart History (Adult Contemporary)”. Billboard. 2019年5月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月30日閲覧。
  39. ^ Schaffner 1978, p. 171.
  40. ^ a b c Womack 2014, p. 331.
  41. ^ Rodriguez 2012, pp. 143–144.
  42. ^ Clayson 2003, p. 209.
  43. ^ Womack 2014, pp. 152, 331.
  44. ^ Chronology of Wakeup Calls”. National Aeronautics and Space Administration (2009年11月30日). 2010年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月10日閲覧。
  45. ^ “港町の石畳から世界へ”. asahi.com (朝日新聞社). (2005年12月12日). https://www.asahi.com/jinmyakuki/TKY200512120107.html 2019年3月12日閲覧。 
  46. ^ “Éxitos de The Beatles musicalizarán nueva serie de dibujos animados”. Publimetro Chile. (2018年8月13日). https://www.publimetro.cl/cl/entretenimiento/2018/08/13/serie-sera-musicalizada-the-beatles.html 2019年3月12日閲覧。 
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参考文献

[編集]
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  • Guesdon, Jean-Michel; Margotin, Philippe (2013). All the Songs: The Story Behind Every Beatles Release. New York, NY: Black Dog & Leventhal. ISBN 978-1-57912-952-1 
  • Hertsgaard, Mark (1996). A Day in the Life: The Music and Artistry of the Beatles. London: Pan Books. ISBN 0-330-33891-9 
  • Lewisohn, Mark (2005) [1988]. The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962-1970. London: Bounty Books. ISBN 978-0-7537-2545-0 
  • MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3 
  • Miles, Barry (2001). The Beatles Diary Volume 1: The Beatles Years. London: Omnibus Press. ISBN 0-7119-8308-9 
  • Rodriguez, Robert (2012). Revolver: How the Beatles Reimagined Rock 'n' Roll. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-009-0 
  • Simonelli, David (2013). Working Class Heroes: Rock Music and British Society in the 1960s and 1970s. Lanham, MD: Lexington Books. ISBN 978-0739170519. https://books.google.com.au/books/about/Working_Class_Heroes.html?id=3cd8n1C6on8C&redir_esc=y 
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  • Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. New York, NY: Three Rivers Press. ISBN 978-0-307-45239-9 
  • Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 978-0-313-39171-2 

外部リンク

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