JP2010538012A - Igf−1rの複数のエピトープに結合する組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、少なくとも部分的には、IGF−1R内の異なる複数のエピトープに結合する結合分子が、1個のIGF−1Rエピトープに結合する結合分子と比較して、向上したIGF−1および/またはIGF−2ブロック能力をもたらすという知見に基づいている。本発明は、例えば、単一特異性結合分子または多重特異性結合分子(例えば、二重特異性分子)の組み合わせのような、IGF−1Rの複数のエピトープに結合する組成物を提供する。目的の結合分子を製造する方法、および本発明の結合分子を使用してIGF−1Rシグナル伝達を拮抗する方法も提供する。
Description
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2007年8月28日に出願された米国特許仮出願第60/966,475号、名称「Compositions that Bind Multipe Epitopes of IGF−IR」の利益を主張する。本出願は、2008年8月28日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号に関連しており、この米国特許出願第XX/XXX,XXX号は、米国特許法第119条(e)に基づき、2007年8月28日に出願された米国特許仮出願第XX/XXX,XXX号、名称「Anti−IGF−IR Antibodies and Uses Thereof」の利益を主張する。本出願は、2007年3月28日に出願された米国特許出願第11/727,887号とも関連しており、この米国特許出願第11/727,887号は、米国特許法第119条(e)に基づき、2006年3月28日に出願された米国特許仮出願第60/786,347号と、2006年12月22日に出願された米国特許仮出願第60/876,554号の利益とを主張する。上に引用した各出願の内容の全ては参照することにより本明細書に組み込まれる。
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2007年8月28日に出願された米国特許仮出願第60/966,475号、名称「Compositions that Bind Multipe Epitopes of IGF−IR」の利益を主張する。本出願は、2008年8月28日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号に関連しており、この米国特許出願第XX/XXX,XXX号は、米国特許法第119条(e)に基づき、2007年8月28日に出願された米国特許仮出願第XX/XXX,XXX号、名称「Anti−IGF−IR Antibodies and Uses Thereof」の利益を主張する。本出願は、2007年3月28日に出願された米国特許出願第11/727,887号とも関連しており、この米国特許出願第11/727,887号は、米国特許法第119条(e)に基づき、2006年3月28日に出願された米国特許仮出願第60/786,347号と、2006年12月22日に出願された米国特許仮出願第60/876,554号の利益とを主張する。上に引用した各出願の内容の全ては参照することにより本明細書に組み込まれる。
癌細胞において、チロシンキナーゼ受容体(TK)は、細胞分裂周期、生存、アポトーシス、遺伝子発現、細胞骨格の構築、細胞の接着および細胞の移動といった多様な細胞機能を制御する細胞内シグナル伝達経路と、細胞外にある腫瘍内微細環境とを繋ぐのに重要な役割を果たす。細胞のシグナル伝達を制御する機序がよりよく理解されるにつれ、所定のリガンドの結合度で、シグナル伝達事象に関与する受容体の発現/リサイクリングや、受容体の活性化や、シグナル伝達事象に関与するタンパク質を標的とすることによって、上述の1つ以上の細胞機能を破壊する治療計画が開発され得る(Hanahan and Weinberg、Cell 2000.100:57−70(非特許文献1))。
I型のインスリン様成長因子受容体(IGF−1R、CD221)は、チロシンキナーゼ受容体(RTK)ファミリーに属している(Ullrichら、Cell.1990.、61:203−12(非特許文献2))。IGF−1およびIGF−2は、IGF−1Rの2種類の活性リガンドである。インスリン様成長因子受容体2(IGF−2R、CD222)および関連するIGF結合タンパク質(IGFBP−1〜IGFBP−6)とともに、上述のタンパク質は全体としてIGF系を形成し、このIGF系は、出生前および出生後の成長、成長ホルモンへの応答性、細胞の形質転換、生存、および侵襲性で転移性の腫瘍表現型の獲得にきわめて重要な役割を果たしている(Baserga、Cell.1994.79:927−30(非特許文献3)、Basergaら、Exp.Cell Res.1999.253:1−6(非特許文献4)、Basergaら、Int J.Cancer.2003.107:873−77(非特許文献5))。
免疫組織化学的研究から、多くのヒト腫瘍で、高濃度のIGF−1Rが発現していることが分かった。IGF−1Rを発現する腫瘍は、循環血(肝臓で作られる)中のIGF−1によってパラクリン受容体活性シグナルを受け、腫瘍中のIGF−2によってオートクリン受容体活性化シグナルを受ける。初期の臨床治験による近年のデータは、IGF−1R経路を阻害すると、感受性腫瘍に対する臨床応答が得られる可能性を示唆している。しかし、抗体によってIGF−1Rの発現量が下方制御されると、患者におけるIGF−1の全身濃度が高まることが多いことが報告されている。その結果、IGF−1R経路を完全に阻害することは実現不可能なことが多い。したがって、当該技術分野で、IGF−1Rが介在する、細胞生存および新生物疾患の進行(癌およびその転移を含む)を有効にブロックすることが可能な治療方法および組成物が必要とされている。
Hanahan and Weinberg、Cell 2000.100:57−70
Ullrichら、Cell.1990.、61:203−12
Baserga、Cell.1994.79:927−30
Basergaら、Exp.Cell Res.1999.253:1−6
Basergaら、Int J.Cancer.2003.107:873−77
本発明は、少なくとも部分的には、IGF−1R内の異なるエピトープを認識する結合分子が、1個のIGF−1Rエピトープに結合する結合分子と比較して、向上したIGF−1および/またはIGF−2ブロック能力をもたらすという知見に基づいている。本発明は、例えば、単一特異性結合分子または多重特異性結合分子(例えば、二重特異性分子)の組み合わせのような、IGF−1Rの複数のエピトープに結合する組成物を提供する。目的の結合分子を製造する方法、およびこの結合分子を使用し、IGF−1Rシグナル伝達に拮抗する方法も提供している。
ある態様では、本発明は、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、IGF−1Rの第1のエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第1の結合部分と、IGF−1Rの第2の異なるエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第2の結合部分とを、上述の腫瘍細胞に接触させる工程を含み、上述の第1の部分および第2の部分がIGF−1Rに結合すると、上述の第1の部分のみ、または第2の部分のみが結合するよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックし、それにより、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞の生存または成長を阻害する。
ある実施形態では、上述の第1の結合部分および第2の結合部分は、異なる機序で、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする。
ある実施形態では、上述の第1の結合部分および第2の結合部分が、同じ結合分子中に存在する。別の実施形態では、上述の第1の結合部分と、第2の結合部分とは、別の結合分子中に存在する。
ある実施形態では、上述の第1の結合部分および第2の結合部分は、IGF−1Rに結合するにあたり、競合しない。
ある態様では、本発明は、IGF−1Rの第1のエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第1のIGF−1R結合部分と、IGF−1Rの第2の異なるエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第2の結合部分とを含む、多重特異的なIGF−1R結合分子に関する。
ある態様では、本発明は、(a)第1のアロステリックなIGF−1Rエピトープに特異的に結合し、それにより、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする、少なくとも1つの第1のアロステリックなIGF−1R結合部分と、(b)(i)競合的なIGF−1Rエピトープに特異的に結合し、それにより、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックするか、または(ii)第2のアロステリックなIGF−1Rエピトープに特異的に結合し、それにより、アロステリック効果によって、IGF−1がIGF−1Rに結合するのをブロックするが、IGF−2がIGF−1Rに結合するのはブロックしない、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含む、多重特異的なIGF−1R結合分子に関する。
ある実施形態では、上述の第1のアロステリックなエピトープが、IGF−1RのFnIII−1ドメインに広がりかつIGF−1Rのアミノ酸437〜586を含む領域内にある。別の実施形態では、上述の第1のアロステリックなエピトープは、少なくとも3個の連続したアミノ酸または連続していないアミノ酸を含み、このエピトープのアミノ酸のうち、少なくとも1個が、IGF−1Rのアミノ酸位置437、438、459、460、461、462、464、466、467、469、470、471、472、474、476、477、478、479、480、482、483、488、490、492、493、495、496、509、513、514、515、53、544、545、546、547、548、551、564、565、568、570、571、572、573、577、578、579、582、584、585、586および587からなる群から選択される。別の実施形態では、上述の第1のアロステリックなエピトープが、IGF−1Rのアミノ酸461、462および464のうち、少なくとも1個を含む。
ある実施形態では、上述の競合的なエピトープは、CRRドメインの一部分を包含する領域内にあり、この領域が、IGF−1Rのアミノ酸残基248〜303を含む。別の実施形態では、上述の競合的なエピトープは、少なくとも3個の連続したアミノ酸または連続していないアミノ酸を含み、このエピトープのアミノ酸のうち、少なくとも1個が、IGF−1Rのアミノ酸248、250、254、257、259、260、263、265、301および303からなる群から選択される。別の実施形態では、上述の競合的なエピトープは、IGF−1Rのアミノ酸248、250および254を含む。
ある実施形態では、上述の第2のアロステリックなエピトープは、IGF−1RのCRRドメインとL2ドメインの両方を含む領域内にあり、この領域が、IGF−1Rの残基241〜379を含む。別の実施形態では、上述の第2のアロステリックなエピトープは、少なくとも3個の連続したアミノ酸または連続していないアミノ酸を含み、このアミノ酸のうち、少なくとも1個が、IGF−1Rのアミノ酸241、248、250、251、254、257、263、265、266、301、303、308、327および379からなる群から選択される。別の実施形態では、上述の第2のアロステリックなエピトープは、IGF−1Rの241、242、251、257、265および266のアミノ酸のうち、少なくとも1個を含む。
ある実施形態では、上述の第1のアロステリックな結合部分は、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)またはM14−C03抗体(ATCC寄託番号PTA−7445)に由来する。別の実施形態では、上述の第1のアロステリックな結合部分は、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)またはM14−C03抗体(ATCC寄託番号PTA−7445)のCDR1〜6を含む抗原結合部位である。別の実施形態では、上述の第1のアロステリックな結合部分は、IGF−1Rに対する結合について、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)またはM14−C03抗体(ATCC寄託番号PTA−7445)と競合する。
ある実施形態では、上述の競合的な結合部分は、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)に由来する。別の実施形態では、上述の競合的な結合部分は、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)のCDR1〜6を含む抗原結合部位である。別の実施形態では、上述の競合的な結合部分は、IGF−1Rに対する結合について、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)と競合する。
ある実施形態では、上述の第2のアロステリックな結合部分は、P1E2抗体(ATCC寄託番号PTA−7730)またはαIR3抗体に由来する。別の実施形態では、上述の第2のアロステリックな結合部分は、P1E2抗体(ATCC寄託番号PTA−7730)抗体またはαIR3抗体のCDR1〜6を含む抗原結合部位である。別の実施形態では、上述の第2のアロステリックな結合部分は、IGF−1Rに対するP1E2抗体(ATCC寄託番号PTA−7730)抗体またはαIR3抗体の結合と競合する抗体に由来する。
ある態様では、本発明は、二重特異性である、本発明の結合分子に関する。ある実施形態では、この結合分子は、第1の結合特異性について多価である。別の実施形態では、この結合分子は、第2の結合特異性について多価である。
ある実施形態では、この結合分子は、4つの結合部分を含む。
ある実施形態では、結合部分の少なくとも1つは、scFv分子である。
ある実施形態では、結合分子は、2個以上のscFv分子を含む四価抗体分子である。このscFv分子は、独立して、本明細書に開示した任意のscFv分子から独立して選択されてもよい。
ある実施形態では、上述のscFv分子は、上述の四価抗体分子の重鎖のC末端に融合している。別の実施形態では、上述のscFv分子は、上述の四価抗体分子の重鎖のN末端に融合している。別の実施形態では、上述のscFv分子は、四価抗体分子の軽鎖のN末端に融合している。
ある実施形態では、上述の結合分子は、安定化したscFv分子を含む。
ある実施形態では、結合分子は、完全ヒト型である。別の実施形態では、結合分子は、ヒト化可変領域を含む。別の実施形態では、結合分子は、キメラ可変領域を含む。
ある実施形態では、結合分子は、重鎖定常領域またはそのフラグメントを含む。別の実施形態では、上述の重鎖定常領域またはそのフラグメントは、ヒトIgG4である。ある実施形態では、上述のIgG4定常領域にグリコシル化が無い。ある実施形態では、上述のIgG4定常領域は、野生型IgG4定常領域と比較して、EU付番システムによる番号でS228PおよびT299Aの変異部分を含む。
さらに別の態様では、本発明は、2個のアロステリックな結合部分(例えば、本明細書に開示するアロステリックな結合部分のうちの任意の2個であって、例えば、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)に由来するアロステリックな結合部分)と、2個の競合的な結合部分(例えば、本明細書に開示する競合的な結合部分のうちの任意の2個であって、例えば、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)に由来する競合的な結合部分)とを含む、二重特異的なIGF−1R抗体分子に関する。
ある実施形態では、上述の競合的な結合部分は、IgG抗体によって与えられ、上述のアロステリックな結合部分が、2個のscFv分子によって与えられ、この2個のscFv分子が、上述のIgG抗体に結合しているか、または融合している。特定の実施形態では、上述のscFv分子は、独立して、本明細書に開示した任意のCO6 scFv分子から選択される。
ある実施形態では、上述のIgG抗体は、M14−G11抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む。ある実施形態では、上述のIgG抗体のVLドメインは、配列番号93のアミノ酸配列を含み、上述のIgG抗体のVHドメインは、配列番号32のアミノ酸配列を含む。
ある実施形態では、上述のアロステリックな結合部分のscFv分子の片方または両方は、M13−C06抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む。
ある実施形態では、scFv分子の片方または両方は、安定化したC06 scFv分子であり、この分子のT50が60〜61℃より大きい。ある実施形態では、scFv分子の片方または両方が、安定化したscFv分子であり、この分子のT50が、従来のC06 scFv分子(pWXU092またはpWXU090)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高い。
ある実施形態では、VLドメインの(i)M4、(ii)L11、(iii)V15、(iv)T20、(v)Q24、(vi)R30、(vii)T47、(viii)A51、(ix)G63、(x)D70、(xi)S72、(xii)T74、(xiii)S77および(xiv)I83(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるVLのアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)は、M13−CO6抗体のVLドメイン(配列番号78)と同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、M4L、L11G、V15A、V15D、V15E、V15G、V15I、V15N、V15P、V15R、V15S、T20R、Q24K、R30N、R30T、R30Y、A51G、G63S、D70E、S72N、S72Y、T74S、S77G、I83D、I83E、I83G、I83M、I83R、I83SおよびI83Vからなる群から選択される。
ある実施形態では、(i)S21、(ii)W47、(iii)R83および(iv)T110(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)は、M13−CO6抗体のVHドメイン(配列番号14)と同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、S21E、W47F、R83K、R83TおよびT110Vからなる群から選択される。別の実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL L15S:VH T110Vという変異の組み合わせを含む。別の実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL S77G:VL I83Qという変異の組み合わせを含む。
ある実施形態では、scFv分子の片方または両方は、MJF−014、MJF−015、MJF−016、MJF−017、MJF−018、MJF−019、MJF−020、MJF−021、MJF−022、MJF−023、MJF−024、MJF−025、MJF−026、MJF−027、MJF−028、MJF−029、MJF−030、MJF−031、MJF−032、MJF−033、MJF−034、MJF−035、MJF−036、MJF−037、MJF−038、MJF−039、MJF−040、MJF−041、MJF−042、MJF−043、MJF−044、MJF−045、MJF−046、MJF−047、MJF−048、MJF−049、MJF−050およびMJF−051からなる群から独立して選択される安定化したCO6 scFv分子である。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、MJF−045(配列番号128)のアミノ酸配列を含む安定化したCO6 VH/VL(I83E)scFv分子である。
ある実施形態では、scFv分子の片方または両方は、Gly/SerリンカーによってIgG抗体に結合している。別の実施形態では、上述のGly/Serリンカーは、(Gly4Ser)5リンカーまたはSer(Gly4Ser)3リンカーである。
ある実施形態では、上述のscFv分子は、このscFv分子のVLドメインを介し、上述のIgG抗体に結合するか、または融合する。ある実施形態では、上述のscFv分子の配向は、VH→(Gly4Ser)nリンカー→VLであり、nが、3、4、5または6である。別の実施形態では、上述のscFv分子は、このscFv分子のVHドメインを介し、上述のIgG抗体に結合するか、または融合する。ある実施形態では、上述のscFv分子の配向は、VL→(Gly4Ser)nリンカー→VHであり、nが、3、4、5または6である。
ある実施形態では、上述のscFv分子の片方または両方は、上述のIgG抗体の重鎖に結合するか、または融合し、上述の二重特異性抗体の重鎖を形成する。ある実施形態では、上述のscFv分子のうち1つは、上述のIgG抗体の第1の重鎖に結合するか、または融合し、上述のscFv分子のうち1つは、上述のIgG抗体の第2の重鎖に結合するか、または融合する。別の実施形態では、上述のscFv分子が、上述のIgG抗体の第1および第2の重鎖のN末端に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、上述のIgG抗体の軽鎖は、配列番号130のG11軽鎖配列(pXWU118)を含み、上述の二重特異性抗体の重鎖は、配列番号133のアミノ酸配列(pXWU136)を含む。
ある実施形態では、上述の結合分子は、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される。
ある実施形態では、上述のscFv分子は、上述のIgG抗体の上述の第1および第2の重鎖のC末端に結合するか、または融合し、上述の二重特異性抗体分子の重鎖を形成する。
ある実施形態では、IgG抗体の軽鎖が、配列番号130のG11軽鎖配列(pXWU118)を含み、上述のscFv分子は、上述の重鎖のN末端に結合する場合には、配列番号137のアミノ酸配列(pXWU135)を含む。
ある実施形態では、上述の結合分子は、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される。
ある実施形態では、上述のscFv分子の片方または両方は、上述のIgG抗体の軽鎖に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、上述のscFv分子のうち1つは、上述のIgG抗体の第1の軽鎖に結合するか、または融合し、上述のscFv分子のうち1つは、上述のIgG抗体の第2の軽鎖に結合するか、または融合する。ある実施形態では、上述のscFv分子は、上述のIgG抗体の第1および第2の軽鎖のN末端に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、上述のアロステリックな結合部分は、IgG抗体によって与えられ、上述の競合的な結合部分は、2個のscFv分子によって与えられ、この2個のscFv分子が、このIgG抗体に結合しているか、または融合している。
ある実施形態では、上述のIgG抗体は、M13−C06抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
ある実施形態では、上述のIgG抗体のVLドメインは、配列番号78のアミノ酸配列を含み、上述のIgG抗体のVHドメインは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。
ある実施形態では、上述のscFv分子の片方または両方は、M14−G11抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む。
ある実施形態では、上述のscFv分子の片方または両方は、安定化したG11 scFv分子であり、この分子のT50が50〜51℃より大きい。scFv分子の片方または両方が、安定化したscFv分子であり、この分子のT50が、従来のG11(VL/GS4/VH)scFv分子(pMJF060)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高い。
ある実施形態では、L50および/またはV83(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に1個以上の安定化する変異が存在しなければ、上述の安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)は、M14−G11抗体のVLドメイン(配列番号93)と同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、L50G、L50M、L50NおよびV83Eからなる群から選択される。
ある実施形態では、E6および/またはS49(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、上述の安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)は、M14−G11抗体(配列番号32)のVHドメインと同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、E6Q、S49AおよびS49Gからなる群から選択される。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL L50N:VH E6Qという変異の組み合わせを含む。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL V83E:VH E6Qという変異の組み合わせを含む。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、MJF−060、MJF−084、MJF−085、MJF−086、MJF−087、MJF−091、MJF−092およびMJF−097からなる群から選択される、安定化したG11 scFv分子である。
ある実施形態では、上述のscFv分子の片方または両方は、Gly/SerリンカーによってIgG抗体に結合している。
ある実施形態では、Gly/Serリンカーは、(Gly4Ser)5リンカーまたはSer(Gly4Ser)3リンカーである。
ある実施形態では、上述のscFv分子は、このscFv分子のVLドメインを介し、上述のIgG抗体に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、scFv分子の配向は、VH→(Gly4Ser)nリンカー→VLであり、nが、3、4、5または6である。
ある実施形態では、scFv分子は、このscFv分子のVHドメインを介し、上述のIgG抗体に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、上述のscFv分子の配向は、VL→(Gly4Ser)nリンカー→VHであり、nが、3、4、5または6である。
ある実施形態では、scFv分子の片方または両方が、上述のIgG抗体の重鎖に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、scFv分子のうち1つが、IgG抗体の第1の重鎖に結合するか、または融合し、scFv分子のうち1つが、IgG抗体の第2の重鎖に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、上述のscFv分子は、上述のIgG抗体の第1および第2の重鎖のN末端に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、IgG抗体の軽鎖が、配列番号140のCO6軽鎖配列を含み、scFv分子が、この抗体の重鎖のN末端に結合する場合には、配列番号144の配列を含む。
ある実施形態では、上述の結合分子は、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される。
ある実施形態では、上述のscFv分子は、上述のIgG抗体の第1および第2の重鎖のC末端に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、IgG抗体の軽鎖は、配列番号140のCO6軽鎖配列を含み、scFv分子は、この抗体の重鎖のN末端に結合する場合には、配列番号144の配列を含む。上述の結合分子は、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される。
ある実施形態では、scFv分子の片方または両方は、IgG抗体の軽鎖に結合するか、または融合する。ある実施形態では、scFv分子のうち1つは、IgG抗体の第1の軽鎖に結合するか、または融合し、scFv分子のうち1つは、IgG抗体の第2の軽鎖に結合するか、または融合する。ある実施形態では、scFv分子は、IgG抗体の第1および第2の軽鎖のN末端に結合するか、または融合する。
ある実施形態では、IgG抗体は、ヒトIgG4アイソタイプの重鎖定常ドメインを含む。別の実施形態では、IgG抗体は、ヒトIgG1アイソタイプの重鎖定常ドメインを含む。
ある実施形態では、IgG抗体は、2個以上のヒト抗体アイソタイプに由来する重鎖定常ドメインの一部分を有するキメラである。
ある実施形態では、IgG抗体は、Fc領域を含み、このFc領域の残基233〜236および327〜331(EU付番システム)は、ヒトIgG2抗体に由来し、Fc領域の残りの残基が、ヒトIgG4抗体に由来する。
ある実施形態では、IgG抗体の重鎖定常領域にグリコシル化が無い。
ある実施形態では、IgG抗体は、上述の全抗体のヒンジドメインにS228Pの変異部分を含み、および/または上述の全抗体のCH2ドメインにT299Aの変異部分を含み、この変異が、野生型ヒトIgG抗体に対するものである(EU付番システム)。
ある実施形態では、上述の結合分子は、商業的な規模で製造される場合、本質的に耐凝集性を有する。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1Rが介在する細胞増殖を阻害する。ある実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1またはIGF−2が介在するIGF−1Rリン酸化を阻害する。ある実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1またはIGF−2が介在するAKTリン酸化を阻害する。ある実施形態では、本発明の結合分子は、AKTが介在する生存シグナル伝達を阻害する。ある実施形態では、本発明の結合分子は、インビボで腫瘍の成長を阻害する。ある実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1Rの内在化を阻害する。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、細胞毒性薬、治療薬、細胞増殖抑制剤、生物毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生体応答修飾物質、医用薬剤、リンホカイン、異種抗体またはそのフラグメント、検出可能な標識、ポリエチレングリコール(PEG)、およびこれらの薬剤の2種以上の組み合わせからなる群から選択される薬剤にコンジュゲートしている。
ある実施形態では、本発明の結合分子において、上述の細胞毒性薬は、放射性核種、生物毒素、酵素によって活性化する毒素、細胞増殖抑制性または細胞毒性性の治療薬、プロドラッグ、免疫学的に活性なリガンド、生体応答修飾物質、または上述の細胞毒性薬の2種以上の組み合わせからなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明は、本発明の結合分子と、担体とに関する。
ある態様では、本発明は、本発明の結合分子を対象に投与して治療を行う工程を含む、過剰増殖性障害を患う対象を治療する方法に関する。
ある実施形態では、本発明の結合分子において、上述の過剰増殖性障害は、癌、新生物、腫瘍、悪性腫瘍、またはその転移からなる群から選択される。ある実施形態では、上述の過剰増殖性障害は、癌であり、癌が、肉腫、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、黒色腫、白血病、胃癌、脳癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌、扁平上皮細胞癌、多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病からなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明は、本発明の結合分子またはその重鎖または軽鎖をコードする核酸分子に関する。ある実施形態では、核酸分子は、ベクター内にある。ある実施形態では、本発明は、本発明のベクターを含む宿主細胞に関する。
ある実施形態では、本発明は、本発明の結合分子を製造する方法に関し、この方法は、上述の結合分子が、宿主細胞の培地中に分泌するように、本発明の宿主細胞を培養する工程と、(ii)上述の培地から上述の結合分子を単離する工程とを含む。
さらに別の態様では、本発明は、T50が、従来のscFv分子のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高い、安定化したscFv分子に関する。特定の実施形態では、本発明の安定化したscFv分子は、IGF−1Rへの結合特異性を有する。
ある実施形態では、上述の分子のT50は、50℃よりも高い。別の実施形態では、上述の分子のT50は、60℃よりも高い。
別の態様では、本発明の分子は、従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)4、(ii)11、(iii)15、(iv)20、(v)24、(vi)30、(vii)47、(viii)50、(ix)51、(x)63、(xi)70、(xii)72、(xiii)74、(xiv)77および(xv)83(Kabat付番による規則)からなるVLアミノ酸位置の群から選択されるVLのアミノ酸位置に存在する。
別の態様では、本発明の分子は、従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)4、(ii)11、(iii)15、(iv)20、(v)24、(vi)30、(vii)47、(viii)50、(ix)51、(x)63、(xi)70、(xii)72、(xiii)74、(xiv)77および(xv)83(Kabat付番による規則)からなるVLアミノ酸位置の群から選択されるVLのアミノ酸位置に存在する。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、4L、11G、15A、15D、15E、15G、15I、15N、15P、15R、15S、20R、24K、30N、30T、30Y、50G、50M、50N、51G、63S、70E、72N、72Y、74S、77G、83D、83E、83G、83M、83R、83Sおよび83Vからなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)6、(ii)21、(iii)47、(iv)49および(v)110(Kabat付番による規則)からなるVHアミノ酸位置の群から選択されるVHのアミノ酸位置に存在する。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、6Q、21E、47F、49A、49G、83K、83Tおよび110Vからなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)VLのアミノ酸位置50、(ii)VLのアミノ酸位置83、(iii)VHのアミノ酸位置6および(iv)VHのアミノ酸位置49(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に存在する。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、従来のscFv分子と比較して、安定化する変異を含み、この変異が、(i)VLのアミノ酸位置50、(ii)VLのアミノ酸位置83、(iii)VHのアミノ酸位置6および(iv)VHのアミノ酸位置49(Kabat付番による規則)に存在する。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、VL 50G、VL 50M、VL 50N、VL 83D、VL 83E、VL 83G、VL 83M、VL 83R、VL 83S、VL 83V、VH 6Q、VH 49AおよびVH 49Gからなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、安定化したscFv分子のT50が、従来のC06 scFv分子(pWXU092またはpWXU090)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高い。
ある実施形態では、VLドメインの(i)M4、(ii)L11、(iii)V15、(iv)T20、(v)Q24、(vi)R30、(vii)T47、(viii)A51、(ix)G63、(x)D70、(xi)S72、(xii)T74、(xiii)S77および(xiv)I83(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)は、M13−CO6抗体のVLドメイン(配列番号78)と同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、M4L、L11G、V15A、V15D、V15E、V15G、V15I、V15N、V15P、V15R、V15S、T20R、Q24K、R30N、R30T、R30Y、A51G、G63S、D70E、S72N、S72Y、T74S、S77G、I83D、I83E、I83G、I83M、I83R、I83SおよびI83Vからなる群から選択される。
ある実施形態では、(i)S21、(ii)W47、(iii)R83および(iv)T110(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、上述の安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)は、M13−CO6抗体のVHドメイン(配列番号14)と同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、S21E、W47F、R83K、R83TおよびT110Vからなる群から選択される。ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL L15S:VH T110Vという変異の組み合わせを含む。ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL S77G:VL I83Qという変異の組み合わせを含む。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、MJF−014、MJF−015、MJF−016、MJF−017、MJF−018、MJF−019、MJF−020、MJF−021、MJF−022、MJF−023、MJF−024、MJF−025、MJF−026、MJF−027、MJF−028、MJF−029、MJF−030、MJF−031、MJF−032、MJF−033、MJF−034、MJF−035、MJF−036、MJF−037、MJF−038、MJF−039、MJF−040、MJF−041、MJF−042、MJF−043、MJF−044、MJF−045、MJF−046、MJF−047、MJF−048、MJF−049、MJF−050およびMJF−051からなる群から選択される、安定化したCO6 scFv分子である。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、T50が、従来のG11(VL/GS4/VH)scFv分子(pMJF060)よりも少なくとも2℃〜10℃高い、安定化したscFv分子である。
ある実施形態では、L50および/またはV83(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に1個以上の安定化する変異が存在しなければ、上述の安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)は、M14−G11抗体のVLドメイン(配列番号93)と同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、L50G、L50M、L50NおよびV83Eからなる群から選択される。
ある実施形態では、E6および/またはS49(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、上述の安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)は、M14−G11抗体(配列番号32)のVHドメインと同一である。
ある実施形態では、上述の安定化する変異は、E6Q、S49AおよびS49Gからなる群から選択される。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL L50N:VH E6Qという変異の組み合わせを含む。ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、VL V83E:VH E6Qという変異の組み合わせを含む。
ある実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、MJF−060、MJF−084、MJF−085、MJF−086、MJF−087、MJF−091、MJF−092およびMJF−097からなる群から選択される、安定化したG11 scFv分子である。
ある実施形態では、本発明は、本発明の安定化したscFv分子を含む多価結合分子に関する。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、商業的な規模で製造される場合、本質的に凝集物を含まない。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、バッファ系(例えばPBS)で少なくとも3ヶ月間インキュベートした後、本質的に凝集物を含まない。
ある実施形態では、本発明の結合分子の融解温度(Tm)は、少なくとも60℃である。
別の態様では、本発明は、本発明の安定化したscFv分子を、抗体分子の軽鎖または重鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端に遺伝的に融合させる工程を含む、安定化した多価結合分子を製造する方法に関する。
ある態様では、本発明は、本発明の安定化したscFv分子または本発明の多価結合分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。
ある実施形態では、本発明は、安定化した結合分子が製造されるような条件下で、本発明の宿主細胞を培養する工程を含む、安定化した結合分子を製造する方法に関する。
ある実施形態では、宿主細胞を商業的な規模(例えば50L)で培養し、上述の宿主細胞の培地1Lあたり、上述の安定化した結合分子が少なくとも5mg製造される。
ある実施形態では、宿主細胞を商業的な規模(例えば50L)で培養し、上述の宿主細胞の培地1Lあたり、上述の安定化した結合分子が少なくとも50mg製造される。
ある実施形態では、宿主細胞を商業的な規模で培養し、凝集物の形態で存在する上述の結合分子が10%以下である。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、(b)上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するインビトロでの腫瘍細胞の成長を阻害する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するインビボでの腫瘍細胞の成長を阻害する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックする。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い親和性で、IGF−1Rに対して結合する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1および/またはIGF−2がIGF−1Rに結合するのをブロックする。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも、血清での半減期が長い。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1またはIGF−2が介在するIGF−1Rリン酸化を阻害する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1またはIGF−2が介在するAKTリン酸化および/またはMAPKリン酸化を阻害する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1R受容体に交差選択的に結合する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1R受容体の内在化を誘発する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、腫瘍細胞の周期の停止を誘発する。
さらに別の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子に関し、この多重特異性IGF−1R結合分子が、第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、上述の第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分とを含み、上述の多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)上述の第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)上述の第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)上述の第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在する腫瘍細胞の成長を阻害する。
I. (I.定義)
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上の物体を指すことを注記しておく。例えば、「(1つの)IGF−1R抗体」は、1つ以上のIGF−1R抗体をあらわすと理解される。このように、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つ以上の」「少なくとも1つの」は、本明細書では同じ意味で使用することができる。
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上の物体を指すことを注記しておく。例えば、「(1つの)IGF−1R抗体」は、1つ以上のIGF−1R抗体をあらわすと理解される。このように、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つ以上の」「少なくとも1つの」は、本明細書では同じ意味で使用することができる。
本明細書で使用するとき、用語「結合分子」は、目的の標的分子(例えば抗原)に結合する(例えば、特異的に結合するか、または選択的に結合する)分子を指す。特定の実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合する結合部位を含む、ポリペプチドである。本発明の範囲内にある結合分子としては、小分子、核酸、ペプチド、ペプチド模倣物、デンドリマー、および本明細書に記載のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する他の分子が挙げられる。他の実施形態では、本発明の結合分子は、ポリペプチド、小分子、核酸、ペプチド、ペプチド模倣物、デンドリマー、またはIGF−1Rエピトープに特異的に結合する他の分子である結合部分を含む。
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」は、1種類の「ポリペプチド」並びに複数の「ポリペプチド」(例えば、ダイマーポリペプチドまたはマルチマーポリペプチドの場合)も含むことを意味しており、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)で直線状に結合したモノマー(アミノ酸)で構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2個以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特定の長さの産物を指すものではない。したがって、2個以上のアミノ酸の1つ以上の鎖を指すために用いる、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義に含まれる。用語「ポリペプチド」を、これらの用語の代わりに用いてもよいし、同じ意味で用いてもよい。用語「ポリペプチド」は、ポリペプチドを発現後に改変(限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロッキング基の誘導体化、タンパク質分解による開裂、または非天然アミノ酸による改変)した産物も指している。ポリペプチドは、天然の生物供給源に由来するものであってもよく、組み換え技術によって産生してもよいが、設計した核酸配列から翻訳する必要はない。化学合成を含む任意の様式でポリペプチドを作成することができる。
本発明のポリペプチドは、アミノ酸数が約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1,000以上、または2,000以上であってもよい。ポリペプチドは、特定の三次元構造を有していてもよいが、必ずしもその構造を有していなくてもよい。特定の三次元構造を有するポリペプチドは、折りたたみ構造と呼ばれ、特定の三次元構造をとらず、異なるさまざまな配置をとるポリペプチドは、ほどけた構造と呼ばれる。本明細書で使用するとき、糖タンパク質という用語は、少なくとも1個の炭水化物部分に連結したタンパク質を指し、その炭水化物部分は、アミノ酸残基(例えば、セリン残基またはアスパラギン残基)の酸素または窒素を含有する側鎖を介してそのタンパク質と結合する。
ポリペプチドまたはフラグメント、改変体、またはその誘導体の「単離物」は、自然環境に存在しないポリペプチドを指す。特定の精製レベルが必要とされるわけではない。例えば、ポリペプチドの単離物は、元々の環境または天然環境から取り出されてもよい。宿主細胞で発現する、組み換えによって産生したポリペプチドおよびタンパク質は、任意の好適な技術によって分離され、分画され、または部分的または実質的に精製された天然ポリペプチドまたは組み換えポリペプチドと同様に、本発明では単離されたものであると考える。好ましくは、本発明のポリペプチドは、単離されている。
本明細書で使用するとき、所定のタンパク質「に由来する」という用語は、ポリペプチドの起源が何であるかを示す。ある実施形態では、特定のポリペプチド原料に由来するポリペプチドまたはアミノ酸の配列は、可変領域の配列(例えば、VHまたはVL)であるか、これに関連する配列(例えば、CDR領域またはフレームワーク領域)である。ある実施形態では、特定のポリペプチド原料に由来するアミノ酸配列は、連続していない。例えば、ある実施形態では、1個、2個、3個、4個、5個または6個のCDRが、1つの抗体原料に由来する。ある実施形態では、特定のポリペプチド原料またはアミノ酸配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、原料の配列またはその一部分と本質的に同じアミノ酸配列を有する。この一部分は、少なくとも3〜5アミノ酸、5〜10アミノ酸、少なくとも10〜20アミノ酸、少なくとも20〜30アミノ酸、または少なくとも30〜50アミノ酸で構成されているか、または当業者が、他の方法を用いて、原料の配列に由来することを確認可能である。
上述のポリペプチドのフラグメント、誘導体、類似体または改変体、およびこれらの任意の組み合わせも、本発明のポリペプチドに含まれる。本発明の結合分子を指す場合、用語「フラグメント」、「改変体」、「誘導体」および「類似体」には、対応する分子の結合性を少なくともいくらか保持した任意のポリペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドのフラグメントとしては、本明細書の他の部分で記載される特定の抗体フラグメント以外にも、タンパク質分解フラグメント、欠失フラグメントが挙げられる。本発明の結合分子の改変体としては、上述のフラグメントが挙げられ、アミノ酸の置換、欠失または挿入によってアミノ酸配列が改変されたポリペプチドも含む。改変体は、天然物であってもよいし、非天然のものであってもよい。非天然の改変体は、当該技術分野で既知の突然変異技術で作成してもよい。ポリペプチド改変体は、アミノ酸同類置換を含んでもよいし、同類置換ではないアミノ酸の置換、欠失または付加を含んでもよい。
「アミノ酸の同類置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基と置換されたものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基は、当該技術分野で定義されている。この分類には、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷をもたない極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝を有する側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。したがって、ポリペプチドのアミノ酸残基が、同じ側鎖のグループの別のアミノ酸残基と置き換えられていてもよい。別の実施形態では、アミノ酸の鎖は、側鎖のグループの順序および/または組成が異なる、構造的に類似した鎖と置き換えられていてもよい。または、別の実施形態では、ポリペプチド全体にわたって、または一部分に無作為に変異が導入されていてもよい。
本発明のポリペプチドは、標的分子(例えば、IGF−1R)に特異的に結合する、少なくとも1つの結合部位または結合部分を含む結合分子である。例えば、ある実施形態では、本発明の結合分子は、免疫グロブリン抗原結合部位を含むか、または、リガンド結合に関与する受容体分子の一部分を含む。本発明は、これらの結合分子に関するか、またはこれらの結合分子をコードする核酸分子に関する。ある実施形態では、結合分子は、少なくとも2個の結合部位を含む。ある実施形態では、結合分子は、2個の結合部位を含む。ある実施形態では、結合分子は、3個の結合部分を含む。別の実施形態では、結合分子は、4個の結合部分を含む。別の実施形態では、結合分子は、5個の結合部分を含む。別の実施形態では、結合分子は、6個の結合部分を含む。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、モノマーである。別の実施形態では、本発明の結合分子は、マルチマーである。例えば、ある実施形態では、本発明の結合分子は、ダイマーである。ある実施形態では、本発明のダイマーは、ホモダイマーであり、2個の同じモノマーサブユニットを含む。別の実施形態では、本発明のダイマーは、ヘテロダイマーであり、少なくとも2個の異なるモノマーサブユニットを含む。ダイマーのサブユニットは、1個以上のポリペプチド鎖を含んでいてもよい。例えば、ある実施形態では、ダイマーは、少なくとも2個のポリペプチド鎖を含む。ある実施形態では、ダイマーは、2個のポリペプチド鎖を含む。別の実施形態では、ダイマーは、3個のポリペプチド鎖を含む。別の実施形態では、ダイマーは、4個のポリペプチド鎖を含む(例えば、抗体分子の場合)。別の実施形態では、ダイマーは、5個のポリペプチド鎖を含む。別の実施形態では、ダイマーは、6個のポリペプチド鎖を含む。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、一価であり、すなわち、1個の標的結合部位を含む(例えば、scFv分子の場合)。一価の結合分子の場合、IGF−1Rの少なくとも2個の異なるエピトープに結合する本発明の組成物は、少なくとも2個のこのような結合分子を含み、それぞれの結合分子は、IGF−1Rの異なるエピトープに対する特異性を有する。ある実施形態では、本発明の結合分子は、多価であり、すなわち、2個以上の標的結合部位を含む。別の実施形態では、結合分子は、少なくとも2個の結合部位を含む。ある実施形態では、結合分子は、2個の結合部位を含む。ある実施形態では、結合分子は、3個の結合部位を含む。別の実施形態では、結合分子は、4個の結合部位を含む。別の実施形態では、結合分子は、4個よりも多い結合部位を含む。
本明細書で使用するとき、用語「価数」は、結合分子中の結合可能な部位の数を指す。結合分子は、「一価」であり、1個の結合部位を有していてもよく、または結合分子は、「多価」(例えば、二価、三価、四価またはそれ以上の価数)であってもよい。それぞれの結合部位は、1個の標的分子または標的分子の特異的な部位(例えば、エピトープ)に特異的に結合する。結合分子が、2個以上の標的結合部位を含む場合(すなわち、多価結合分子)、それぞれの標的結合部位は、同じ分子または異なる分子に特異的に結合してもよい(例えば、異なるIGF−1R分子に結合してもよく、または同じIGF−1R分子の異なるエピトープに結合してもよい。
本明細書で使用するとき、「結合部分」、「結合部位」または「結合ドメイン」は、結合分子のうち、目的の標的分子(例えば、IGF−1R)に特異的に結合する部分を指す。結合ドメインの例としては、抗体の抗原結合部位、抗体の可変ドメイン(例えば、VLドメインまたはVHドメイン)、リガンドの受容体結合ドメイン、受容体のリガンド結合ドメインまたは酵素ドメインが挙げられる。ある実施形態では、結合分子は、IGF−1Rに特異的な、少なくとも1個の結合部位を有する。特定の実施形態では、結合部位は、単一のIGF−1R結合特異性を有する。他の実施形態では、結合部位は、2種類以上の結合特異性を有していてもよい(例えば、少なくとも1種類の結合特異性は、IGF−1R結合特異性である)。例えば、結合分子は、二重特異性を有する1個の結合部位を有していてもよい。
用語「結合特異性」または「特異性」は、結合分子が、所与の標的分子またはエピトープに特異的に結合する(例えば、免疫的に反応する)能力を指す。特定の実施形態では、本発明の結合分子は、2種類以上の結合特異性を有する(すなわち、1個以上の異なる抗原に存在する2個以上の異なるエピトープに同時に結合する)。結合分子は、「単一特異性」であって、1種類の結合特異性を有していてもよく、または結合分子は、「多重特異性」(例えば、二重特異性または三重特異性であるか、またはそれ以上の多重特異性)を有して、2種類以上の結合特異性を有していてもよい。例示的な実施形態では、本発明の結合分子は、「二重特異性」であり、2種類の結合特異性を含む。したがって、IGF−1R結合分子が「単一特異性」又は「多重特異性」(例えば、「二重特異性」)であるかは、結合分子が反応する異なるエピトープの数が参照される。例示的な実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、1個以上のIGF−1R分子の異なるエピトープに対して特異性を有していてもよい。
ある実施形態では、結合分子は、二重の結合特異性を有していてもよい。本明細書で使用するとき、用語「二重結合特異性(dual binding specificity)」または「二重特異性(dual specificity)」は、結合分子が、1個以上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を指す。例えば、結合分子は、ある標的分子の2個以上の異なるエピトープ(例えば、2個以上の重複しないエピトープまたは連続していないエピトープ)に特異的に結合する少なくとも1個の結合部位を有する、結合特異性を有していてもよい。したがって、二重結合特異性を有する結合分子は、2個以上のエピトープに交差反応するとされる。
本発明の所与の結合分子は、特定の結合特異性に対し、一価であっても多価であってもよい。例えば、IGF−1R結合分子が単一特異性である場合、その結合特異性は、エピトープに特異的に結合する1箇所の結合部位を含んでいてもよく(すなわち、「一価の単一特異性」結合分子)、このような結合分子を、IGF−1Rの異なるエピトープに対して少なくとも1種類の結合特異性を有する第2の結合分子と組み合わせて使用してもよい。ある実施形態では、単一特異性IGF−1R結合分子は、同じエピトープに特異的に結合する2個の結合ドメインを含んでいてもよい。このような結合分子は、二価であり、単一特異性である。他の実施形態では、結合分子が多重特異性である場合、その結合特異性の1種類以上には、同じエピトープに特異的に結合する2個以上の結合ドメインを含んでいてもよい(すなわち、「多価結合特異性」)。例えば、二重特異性分子は、二価である第1の結合特異性(すなわち、第1のエピトープに結合する2個の結合部位)と、二価である第2の結合特異性(すなわち、第2の異なるエピトープに結合する2個の結合部位)とを含んでいてもよい。別の実施形態では、二重特異性分子は、一価である第1の結合特異性(すなわち、第1のエピトープに結合する1個の結合部位)と、一価または二価である第2の結合特異性とを含んでいてもよい。
本明細書に開示の結合分子は、抗原のエピトープまたは抗原の一部分(例えば、この結合分子が認識するか、または特異的に結合する標的ポリペプチド(例えば、IGF−1R))の観点から記載されてもよく、または特定されてもよい。結合分子の結合部位または結合分子の一部分と特異的に相互作用する標的ポリペプチドの一部分は、「エピトープ」または「抗原決定基」である。標的ポリペプチドは、1個のエピトープを含んでいてもよいが、典型的には、少なくとも2個のエピトープを含んでおり、抗原の大きさ、構造および種類によって、任意の数のエピトープを含んでいてもよい。さらに、標的ポリペプチドにある「エピトープ」は、ポリペプチドではない要素であってもよく、ポリペプチドではない要素を含んでいてもよいことを注記しておく。例えば、「エピトープ」は、炭水化物側鎖を含んでいてもよい。抗体のペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープとして最も小さいものは、アミノ酸数が約4〜約5個のものであると考えられる。ペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープは、好ましくは、アミノ酸数が少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも9個、最も好ましくは、少なくとも約15〜約30個である。CDRは、三次元形状で抗原ペプチドまたは抗原ポリペプチドを認識することができるため、エピトープを成すアミノ酸は、連続している必要はなく、いくつかの場合では、同じペプチド鎖にさえ存在していなくてもよい。本発明では、本発明のIGF−1R抗体が認識するペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープは、IGF−1Rのアミノ酸を連続して、または非連続で少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、さらに好ましくは少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、または約15〜約30個含有する。
「特異的に結合する」とは、一般的に、結合分子が、分子内にある結合部位(例えば、抗原結合ドメイン)を介して抗原結合領域でエピトープに結合し、その結合が、結合部位とエピトープとの間にある程度の相補性をもたらすことを意味する。この定義によれば、結合分子が、無関係なエピトープと結合するよりも、結合部位でエピトープと選択的に結合する場合、その結合分子は、エピトープに「特異的に結合する」と言う。結合分子が多重特異性である場合、結合分子は、この結合分子の別の結合部位(例えば、抗原結合ドメイン)を介し、第2のエピトープ(すなわち、第1のエピトープと無関係のエピトープ)に特異的に結合してもよい。
「選択的に結合する」とは、結合分子が、あるエピトープに対し、関連するエピトープ、同様のエピトープ、同種のエピトープ、または類似のエピトープに結合するよりも容易に、結合部位を介して特異的に結合することを意味する。したがって、所与のエピトープに「選択的に結合する」抗体は、抗体が関連するエピトープと交差反応する場合であっても、関連するエピトープよりも、所与のエピトープに結合する可能性が高いであろう。
本明細書で使用するとき、用語「交差反応性」は、ある抗原に特異的な抗体が、第2の抗原と反応する性質を指し、2種類の異なる抗原基質間の関連性の尺度である。したがって、ある抗体が、それを誘導したエピトープ以外のエピトープに結合する場合、その抗体は、交差反応性である。交差反応性のエピトープは、一般的に、誘導エピトープと同じ相補性構造の多くを含有しており、ある場合には、元々のエピトープよりも実際には良好に適合することもある。
例えば、特定の抗体は、同一ではないエピトープ、例えば、参照エピトープと少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および少なくとも50%の同一性を有するエピトープ(当該技術分野で既知の方法および本明細書に記載の方法で算出)に結合するという点で、ある程度の交差反応性を有する。抗体が、参照エピトープと95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、および50%未満の同一性を有するエピトープ(当該技術分野で既知の方法および本明細書に記載の方法で算出)には結合しない場合、そのエピトープは、交差反応性がほとんどないか、全くないと言うことができる。ある抗体が、そのエピトープの任意の他の類似体、オルソログ、またはホモログに結合しない場合、その抗体は、特定のエピトープに「きわめて特異的」であると考えてもよい。
本明細書で使用するとき、用語「親和性」は、個々のエピトープが、結合分子の結合部位と結合する強さの測定値を指す。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)の27〜28ページ参照。好ましい結合親和性としては、解離定数すなわちKdが、5×10−2M未満、10−2M未満、5×10−3M未満、10−3M未満、5×10−4M未満、10−4M未満、5×10−5M未満、10−5M未満、5×10−6M未満、10−6M未満、5×10−7M未満、10−7M未満、5×10−8M未満、10−8M未満、5×10−9M未満、10−9M未満、5×10−10M未満、10−10M未満、5×10−11M未満、10−11M未満、5×10−12M未満、10−12M未満、5×10−13M未満、10−13M未満、5×10−14M未満、10−14M未満、5×10−15M未満または10−15M未満の結合親和性が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「結合活性(avidity)」は、結合分子(例えば抗体)の集合体と、抗原との複合体の全体的な安定性を指す。すなわち、結合分子の混合物と抗原との機能的な結合強度である。例えば、Harlowの29〜34ページを参照。結合活性は、集合体に含まれる個々の結合分子と、特異的なエピトープとの親和性に関係があり、結合分子および抗原の価数にも関係がある。例えば、二価モノクローナル抗体と、きわめて繰り返しの多いエピトープ構造を有する抗原(例えば、ポリマー)との相互作用は、結合活性が高い相互作用である。
特定の実施形態では、本発明の結合分子の結合部分は、抗原結合部位である。抗原結合部位は、ポリペプチドによって異なる可変領域から作られる。ある実施形態では、本発明のポリペプチドは、少なくとも2個の抗原結合部位を含む。本明細書で使用するとき、用語「抗原結合部位」は、抗原(例えば、細胞表面または抗原の可溶性形態)に特異的に結合する(免疫的に反応する)部位を含む。抗原結合部位は、免疫グロブリンの重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、これらの可変領域から作られる結合部分が、抗体の特異性を決定づける。ある実施形態では、本発明の抗原結合部位は、1個の抗体分子の少なくとも1個の重鎖CDRまたは軽鎖CDRを含む(例えば、当該技術分野で知られているか、または本明細書に記載する配列)。別の実施形態では、本発明の抗原結合部位は、1個以上の抗体分子に由来する、少なくとも2箇所のCDRを含む。別の実施形態では、本発明の抗原結合部位は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも3箇所のCDRを含む。別の実施形態では、本発明の抗原結合部位は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも4箇所のCDRを含む。別の実施形態では、本発明の抗原結合部位は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも5箇所のCDRを含む。別の実施形態では、本発明の抗原結合部位は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも6箇所のCDRを含む。少なくとも1箇所のCDRを含み(例えば、CDR1〜6)、目的の抗原結合分子に含まれ得る結合部位の例は、当該技術分野で既知であり、分子の例を本明細書に記載している。
本発明の好ましい結合分子は、ヒトアミノ酸配列に由来するフレームワークと、定常領域のアミノ酸配列とを含む。しかし、結合ポリペプチドは、別の哺乳動物種に由来するフレームワーク、および/または定常領域の配列を含んでいてもよい。例えば、マウスの配列を含む結合分子は、特定の用途に適している場合がある。ある実施形態では、目的の結合分子に、霊長類のフレームワーク領域(例えば、非ヒト霊長類)、重鎖部分および/またはヒンジ部分が含まれていてもよい。ある実施形態では、結合ポリペプチドのフレームワーク領域に、1個以上のマウスアミノ酸が存在してもよい。例えば、ヒトフレームワークアミノ酸配列または非ヒト霊長類フレームワークアミノ酸配列が、1個以上のアミノ酸復帰突然変異を含んでいてもよく、対応するマウスアミノ酸残基が存在し、および/または出発原料であるマウス抗体では見られなかった異なるアミノ酸残基に変異した箇所を1箇所以上含んでいてもよい。本発明の好ましい結合分子は、マウス抗体よりも免疫原性が低い。
「融合」タンパク質またはキメラタンパク質は、第1のアミノ酸配列が、天然では結合していない第2のアミノ酸配列に結合している配列を含む。このアミノ酸配列は、通常は、合わさって融合ポリペプチドをもたらす別個のタンパク質に存在してもよく、または、このアミノ酸配列は、同じタンパク質に存在するが、融合ポリペプチドでは新しい配列で配置されていてもよい。融合タンパク質は、例えば、化学合成によって作成されてもよく、またはペプチド領域が所望の関係性でコードされるポリヌクレオチドを作成し、翻訳することによって作成されてもよい。
用語「異種」は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに適用される場合、そのポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、比較対象となる残りの部分とは別個の部分に由来するものであることを意味する。例えば、異種ポリヌクレオチドまたは異種抗原は、異なる種、ある個体の異なる細胞型、または別個の個体の同じ細胞型または異なる細胞型に由来していてもよい。
用語「受容体結合ドメイン」または「受容体結合部分」は、本明細書で使用するとき、少なくとも定性的な受容体結合能力を保持しており、好ましくは、対応する未処理のリガンドの生体活性を保持している、任意の未処理の(native)リガンドまたは任意の領域またはその誘導体を指す。
用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、本明細書では同じ意味で使用する。抗体または免疫グロブリンは、少なくとも重鎖可変領域を含み、通常は、少なくとも重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む。脊椎動物系の基本的な免疫グロブリン構造は、比較的よく理解されている。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2版.1988)を参照。
以下に詳細に説明するように、用語「免疫グロブリン」は、生化学分野で区別可能な種々のポリペプチド群を含む。当業者は、重鎖が、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)またはエプシロン(ε)に分類され、その中にいくつかの副分類がある(例えば、γ1〜γ4)ことを知っているであろう。この鎖の性質から、抗体の「種類」を、それぞれIgG、IgM、IgA IgGまたはIgEと決定する。免疫グロブリンの副分類(アイソタイプ)は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などがあり、これらの性質は十分に調べられており、機能的な特徴も十分に知られている。これらの分類およびアイソタイプを改変したものも、本発明の開示内容を鑑みれば、当業者は容易に理解でき、したがって、これらの改変物も、本発明の範囲に含まれる。すべての分類の免疫グロブリンが本発明の範囲に入ることは明らかであるので、以下の議論は、一般的に、IgG群の免疫グロブリン分子について記載する。IgGに関して言うと、標準的な免疫グロブリン分子は、2個の同一の軽鎖ポリペプチドと、2個の同一の重鎖ポリペプチドとを有しており、軽鎖ポリペプチドの分子量は、約23,000ダルトンであり、重鎖ポリペプチドの分子量は、53,000〜70,000である。これらの4本の鎖は、典型的には、ジスルフィド結合で「Y」字型に接続しており、「Y」の2つに分かれた根元部分で軽鎖が重鎖を覆うように位置し、可変領域まで続いている。
軽鎖は、カッパ(κ)またはラムダ(λ)に分類される。κ軽鎖またはλ軽鎖に、それぞれの分類の重鎖が結合し得る。一般的に、軽鎖と重鎖とは、共有結合で互いに結合しており、ハイブリドーマ、B細胞または遺伝子操作された宿主細胞が免疫グロブリンを作成するとき、2個の重鎖の「尾」にあたる部分は、ジスルフィド共有結合で互いに結合しているか、または非共有結合で結合している。重鎖では、アミノ酸配列は、Y字の2つに分かれた末端にあるN末端から、それぞれの鎖の底部にあるC末端まで続いている。
構造同一性および機能同一性によって、軽鎖も重鎖もいくつかの領域に分けられる。用語「定常」および「可変」は、機能を示すために用いられる用語である。この観点では、軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)の鎖部分が、抗原の認識性および特異性を決定づけていることを理解されたい。これとは逆に、軽鎖定常領域(CL)および重鎖定常領域(CH1、CH2またはCH3)は、例えば、分泌、経胎盤移行、Fc受容体の結合、補体結合などの重要な生物学的性質をになっている。定常領域の付番は慣習的に、抗体の抗原結合部位またはアミノ末端に近いところから順に、遠ざかる方向に番号が大きくなる。N末端部分は、可変領域であり、C末端部分は定常領域であり、CH3領域およびCL領域は、実際には、それぞれ重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
上に示したように、可変領域によって、抗体が抗原を選択的に認識し、抗原のエピトープに特異的に結合する。すなわち、抗体のVLドメインおよびVHドメイン、または相補性決定領域(CDR)のサブセット(例えば、ある場合には、CH3ドメイン)を組み合わせ、三次元抗原結合部位を形作る可変領域を形成する。この4つの要素からなる抗体構造によって、Yの2つに分かれた部分の末端に抗原結合部位が形成される。 さらに具体的には、抗原結合部位は、それぞれのVH鎖およびVL鎖にある3個のCDRによって構造が決まる。いくつかの場合、例えば、ラクダ科の動物に由来する特定の免疫グロブリン分子、またはラクダ由来免疫グロブリンから合成した分子、完全な免疫グロブリン分子は、重鎖のみで、軽鎖を有していない場合がある。例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)を参照。
本明細書で使用するとき、用語「可変領域のCDRアミノ酸残基」は、配列または構造に基づく方法によって特定されるような、CDRすなわち相補性決定領域のアミノ酸を含む。本明細書で使用するとき、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの可変領域にある、連続していない抗原結合部位を指す。これらの特定の領域は、Kabatら、J.Biol.Chem.252、6609−6616(1977)およびKabatら、Sequences of protein of immunological interest.(1991)、およびChothiaら、J.Mol.Biol.196:901−917(1987)、およびMacCallumら、J.Mol.Biol.262:732−745(1996)に記載されており、この定義には、互いに比較した場合、重複するアミノ酸残基またはアミノ酸残基のサブセットが含まれる。上に引用した参考文献によって定義されるCDRを含むアミノ酸残基を、比較のために表1に記載している。好ましくは、用語「CDR」は、配列比較に基づき、Kabatによって定義されるCDRである。
本明細書で使用するとき、用語「可変領域フレームワーク(FR)のアミノ酸残基」は、Ig鎖のフレームワーク領域にあるアミノ酸を指す。用語「フレームワーク領域」または「FR領域」は、本明細書で使用するとき、可変領域の一部分であるが、CDRの一部分ではないアミノ酸残基を含む(例えば、CDRのKabatの定義を用いる)。したがって、可変領域のフレームワークは、アミノ酸長が100〜120であるが、CDRの外側にあるアミノ酸のみを含む。重鎖可変領域の特定の例と、Kabatらによって定義されるCDRとについて、フレームワーク領域1は、アミノ酸1〜30を包含する可変領域のドメインに対応しており、フレームワーク領域2は、アミノ酸36〜49を包含する可変領域のドメインに対応しており、フレームワーク領域3は、アミノ酸66〜94を包含する可変領域のドメインに対応しており、フレームワーク領域4は、アミノ酸103から可変領域の末端までを包含する可変領域のドメインに対応している。軽鎖のフレームワーク領域は、軽鎖の可変領域の各CDRによって同様に分割されている。同様に、ChothiaらによるCDRの定義、またはMcCallumらによるCDRの定義を用い、フレームワーク領域の境界は、上述のそれぞれのCDR末端によって分割されている。好ましい実施形態では、CDRは、Kabatで定義されるとおりである。
自然発生抗体では、各抗原結合部位に存在する6個のCDRは、短く、抗体が水性環境で三次元構造をとる際、抗原結合領域を形成するように特定的に配置された非連続的なアミノ酸配列である。重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインのそれ以外のアミノ酸の配列は、分子間でほとんど変わらず、この領域は、フレームワーク領域と呼ばれている。フレームワーク領域は、主にβシート構造をとり、CDRは、ループ構造をとり、βシート構造に接続しているか、ある場合には、β構造の一部を形成している。したがって、フレームワーク領域は、共有結合以外の鎖間相互作用によってCDRを鎖の中で正しい位置に配置する足場の役割を果たす。所定の位置に配置されたCDRによって抗原結合領域が形成され、この抗原結合領域が、免疫反応性の抗原に存在するエピトープと相補的な表面を形作る。この相補的な表面によって、抗体と、免疫反応性エピトープとの非共有結合が促進される。当業者は、CDRの位置を簡単に特定することができる。
Kabatらは、任意の抗体に適用可能な、可変領域の配列の付番システムも定義している。当業者は、配列以外の実験データを使わずに、この「Kobat付番」システムを任意の可変領域の配列に明確にあてはめることができる。本明細書で使用するとき、「Kabat付番法」は、Kabatらが、U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)で発表した方法を指す。他の意味であると明記されていない限り、本発明のIGF−1R抗体の可変領域、または抗原結合性を保持したフラグメント、改変体または誘導体の付番は、Kabat付番システムによるものである。
本明細書で使用するとき、用語「Fcドメイン」または「Fc領域」は、免疫グロブリンの重鎖のうち、パパイン開裂部位のすぐ上流にあるヒンジドメイン(すなわち、重鎖定常領域の第1残基を114とすると、IgGの残基216)から、抗体のC末端までの部分を指す。したがって、全Fc領域は、ヒンジドメイン、CH2領域およびCH3領域を少なくとも含む。特定の実施形態では、Fc領域は、少なくとも2個の別個の重鎖部分を含むダイマーである。他の実施形態では、Fc領域は、少なくとも2個の重鎖部分を含み、この重鎖部分が、(例えば、Gly/Serペプチドリンカーまたは他のペプチドリンカーを介して)融合しているか、または結合している単鎖Fc領域(「scFc」)である。scFc領域は、2008年5月14日に出願した、PCT国際出願番号PCT/US2008/006260号に詳しく記載されており、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用するとき、用語「Fcドメインの一部分」または「Fcの一部分」は、FcドメインまたはFc領域に由来するアミノ酸配列を含む。Fcの一部分を含むポリペプチドは、ヒンジ(例えば、上側、中央部、および/または下側のヒンジドメイン)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、またはその改変体またはフラグメントのうち、少なくとも1つを含む。ある実施形態では、本発明のポリペプチドは、ヒンジドメインの一部分と、CH2ドメインとを少なくとも含む、少なくとも1つのFc領域を含む。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH1ドメインと、CH3ドメインとを含む、少なくとも1つのFc領域を含む。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH1ドメインと、ヒンジドメインの一部分と、CH3ドメインとを含む、少なくとも1つのFc領域を含む。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH3ドメインを含む、少なくとも1つのFc領域を含む。ある実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部分(例えば、CH2ドメインのすべてまたは一部分)を欠いた、少なくとも1つのFc領域を含む。本明細書で記載しているように、任意のFc領域を、天然の免疫グロブリン分子の未処理のFc領域に由来するアミノ酸配列を変えるように改変してもよいことは、当業者には理解されるであろう。
本発明のポリペプチドのFc領域は、異なる免疫グロブリン分子(例えば、2個以上の異なるヒト抗体アイソタイプ)に由来していてもよい。例えば、ポリペプチドのFc領域は、IgG1分子に由来するCH1ドメインと、IgG3分子に由来するキメラヒンジ領域とを含んでいてもよい。別の例では、Fc領域は、一部分がIgG1分子に由来し、一部分がIgG3分子に由来するヒンジ領域を含んでいてもよい。別の例では、Fc領域は、一部分がIgG1分子に由来し、一部分がIgG4分子に由来するキメラヒンジ領域を含んでいてもよい。別の実施形態では、Fc領域は、第1の抗体アイソタイプ(例えば、IgG1またはIgG2)に由来するヒンジドメインと、異なるヒト抗体アイソタイプ(例えば、IgG4)に由来するCH2ドメインとを含んでいてもよい。別の実施形態では、Fc領域は、第1の抗体アイソタイプ(例えば、IgG1またはIgG2)に由来するCH2ドメインと、異なるヒト抗体アイソタイプ(例えば、IgG4)に由来するCH3ドメインとを含んでいてもよい。別の実施形態では、Fc領域の残基233〜236および327〜331が、ヒトIgG2抗体に由来し、Fc領域の残りの残基が、ヒトIgG4抗体に由来する。キメラFc領域の例は、例えば、PCT出願公開番号第WO/1999/58572号に記載されており、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
重鎖定常領域のアミノ酸位置(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインのアミノ酸位置を含む)は、本明細書では、EUインデックス付番システムによって付番する(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、U.S.Dept.Health and Human Services、第5版、1991を参照)。対照的に、軽鎖定常領域(例えば、CLドメイン)のアミノ酸位置は、本明細書では、Kabatインデックス付番システムによって付番する(Kabatら、上述を参照)。
結合分子の例としては、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合性フラグメント、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、Fvs、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VLドメインまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメント、Fab発現ライブラリから作成したフラグメント、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本明細書に開示するIGF−1R抗体の抗−Id抗体)が挙げられる。ScFv分子は、当該技術分野で知られており、例えば、米国特許第5,892,019号に記載されている。Ig重鎖を含む本発明の結合分子は、いかなる型のものであってもよく(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、いかなる分類のものであってもよく(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、いかなる副分類の免疫グロブリン分子であってもよい。
結合分子は、可変領域を単独で含んでもよいし、ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインの全体または一部分と組み合わせて含んでもよい。可変領域と、ヒンジ領域、CH1領域、CH2領域およびCH3領域との任意の組み合わせを含む、抗原結合性を保持したフラグメントも、本発明に含まれる。本発明の結合分子は、鳥および哺乳動物を含む任意の動物の抗体であってもよく、この抗体に由来するものであってもよい。好ましくは、抗体は、ヒト抗体、マウス抗体、ロバ抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、モルモット抗体、ラクダ抗体、ラマ抗体、ウマ抗体またはニワトリ抗体である。別の実施形態では、可変領域は、コンドリクトイド(condricthoid)由来(例えば、サメ由来)であってもよい。本明細書で使用するとき、「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンライブラリから単離した抗体、または1種以上のヒト免疫グロブリンについて遺伝子組み換えし、内因性免疫グロブリンを発現しない動物由来の抗体(例えば、後述の、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されるもの)が含まれる。
用語「フラグメント」は、インタクトなポリペプチドまたは完全ポリペプチドよりも含まれるアミノ酸残基が少ない、ポリペプチド(例えば、抗体または抗体鎖)のある部分または一部を指す。用語「抗原結合性を保持したフラグメント」は、抗原に結合するか、またはインタクトな抗体(すなわち、由来となるインタクトな抗体)と抗原への結合が競合的である(すなわち、特異的な結合である)、免疫グロブリンまたは抗体のポリペプチドフラグメントを指す。本明細書で使用するとき、抗体分子の「フラグメント」という用語には、抗体の抗原結合性フラグメント、例えば、抗体の軽鎖(VL)、抗体の重鎖(VH)、単鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、および単一ドメイン抗体フラグメント(DAb)を含む。フラグメントは、例えば、インタクトな抗体または全抗体または抗体鎖を化学物質または酵素によって処理することによって得てもよく、または組み替え手段によって得てもよい。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、定常領域(例えば、重鎖定常領域)を含む。ある実施形態では、このような定常領域は、野生型定常領域と比べると、改変されている。すなわち、本明細書に開示した本発明のポリペプチドは、3種類の重鎖定常ドメイン(CH1、CH2またはCH3)および/または軽鎖定常領域ドメイン(CL)のうち、1つ以上に変更部または改変部を含んでいてもよい。改変の例としては、1つ以上のドメインでの1つ以上のアミノ酸の付加、欠失または置換が挙げられる。他の改変された定常領域は、グリコシル化しないか、または改変されたグリカン構造(例えば、フコシル化していないグリカン)を有していてもよい。エフェクター機能を最適化するか、減らすか、または完全になくし、半減期を高めるなどのために、このような変更がなされてもよい。
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、結合分子の1つ以上の結合部位に結合した重鎖部分を含む。本明細書で記載する場合、用語「重鎖部分」は、免疫グロブリン重鎖の定常領域に由来するアミノ酸配列を含む。重鎖部分を含むポリペプチドは、CH1領域、ヒンジ(例えば、上側、中央部、および/または下側のヒンジ領域)領域、CH2領域、CH3領域、またはその改変体またはフラグメントのうち、少なくとも1つを含む。例えば、本発明で使用する結合ポリペプチドは、CH1領域を含むポリペプチド鎖を含んでもよく、CH1領域と、ヒンジ領域の少なくとも一部分と、CH2領域とを含むポリペプチド鎖を含んでもよく、CH1領域と、CH3領域とを含むポリペプチド鎖を含んでもよく、CH1領域と、ヒンジ領域の少なくとも一部分と、CH3領域とを含むポリペプチド鎖を含んでもよく、CH1領域と、ヒンジ領域の少なくとも一部分と、CH2領域と、CH3領域とを含むポリペプチド鎖を含んでもよい。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH3領域を含むポリペプチド鎖を含む。さらに、本発明で使用する結合ポリペプチドは、CH2領域の数なくとも一部分(例えば、CH2領域全体または一部分)が欠失していてもよい。上述のように、上述の領域(例えば、重鎖部分)が、天然の免疫グロブリン分子とはアミノ酸配列が異なるように改変されていてもよいことも当業者は理解するであろう。結合分子がマルチマーである特定の実施形態では、マルチマーの1個のポリペプチド鎖にある重鎖部分は、そのマルチマーの第2のポリペプチド鎖にある重鎖部分と同一である。または、ある実施形態では、本発明のモノマーを含有する重鎖部分は、同一ではない。例えば、それぞれのモノマーは、異なる標的結合部位を含んでいてもよく、例えば、二重特異性抗体を形成してもよい。
本明細書に開示した方法で使用する、結合ポリペプチドの重鎖部分は、異なる免疫グロブリン分子に由来していてもよい。例えば、ポリペプチドの重鎖部分は、IgG1分子由来のCH1領域と、IgG3分子由来のヒンジ領域とを含んでいてもよい。別の例では、重鎖部分は、一部分がIgG1分子由来で、一部分がIgG3分子由来のヒンジ領域を含んでもよい。別の例では、重鎖部分は、一部分がIgG1分子由来で、一部分がIgG4分子由来のキメラヒンジを含んでもよい。
本明細書で使用するとき、用語「軽鎖部分」は、免疫グロブリンの軽鎖に由来するアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖部分は、VL領域またはCL領域のうち、少なくとも1つを含む。
すでに示したように、種々の分類の免疫グロブリンの定常領域のサブユニット構造および三次元配置は、十分に知られている。本明細書で使用するとき、用語「VH領域」は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変領域を含み、「CH1領域」は、免疫グロブリン鎖の第1の(最もアミノ末端に近い)定常領域を含む。CH1領域は、VH領域に隣接しており、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対して、アミノ末端である。
本明細書で使用するとき、用語「CH1ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の第1の(最もアミノ末端にある)定常領域ドメインを含み、例えば、EU位置で118〜215に広がっている。CH1ドメインは、VHドメインに隣接しており、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域のアミノ末端に隣接しており、免疫グロブリン重鎖のFc領域の一部分を形成していない。ある実施形態では、本発明の結合分子は、免疫グロブリン重鎖分子(例えば、ヒトIgG1分子またはIgG4分子)に由来するCH1ドメインを含む。
本明細書で使用するとき、用語「CH2ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の一部分を含み、例えば、EU位置で231〜340に広がっている。CH2ドメインは、別のドメインと密接な対を作らないという点で、固有のドメインである。むしろ、2個のNが結合した分枝炭水化物鎖は、インタクトな未処理IgG分子の2個のCH2領域の間に入る。ある実施形態では、本発明の結合分子は、IgG1分子(例えば、ヒトIgG1分子)に由来するCH2ドメインを含む。別の実施形態では、本発明の改変されたポリペプチドは、IgG4分子(例えば、ヒトIgG4分子)に由来するCH2ドメインを含む。例示的な実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH2ドメイン(EUで位置231〜340)またはその一部分を含む。
本明細書で使用するとき、用語「CH3ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の一部分を含み、ほぼ残基110からCH2ドメインのN末端にまで広がっている(例えば、ほぼ341〜446bの位置(EU付番システム))。CH3ドメインは、典型的には、抗体のC末端部分を形成する。しかし、いくつかの免疫グロブリンでは、CH3ドメインからさらなるドメインが広がり、分子のC末端部分を形成していることもある(例えば、IgMのμ鎖にあるCH4ドメイン、およびIgEのε鎖)。ある実施形態では、本発明の結合分子は、IgG1分子(例えば、ヒトIgG1分子)に由来するCH3ドメインを含む。別の実施形態では、本発明の結合分子は、IgG4分子(例えば、ヒトIgG4分子)に由来するCH3ドメインを含む。
本明細書で使用するとき、用語「ヒンジ領域」は、CH1領域をCH2領域に接続する重鎖分子の一部分を含む。このヒンジ領域は、約25残基を有し、可とう性であり、これにより、2個のN末端にある抗原結合領域を独立して動かすことができる。ヒンジ領域は、上側、中央部および下側の3つの別個な領域に分けることができる(Rouxら、J.Immunol.161:4083(1998))。
本明細書で使用するとき、用語「エフェクター機能」は、Fc領域またはその一部分が、免疫系のタンパク質および/または細胞に結合し、種々の生体効果を媒介する機能を指す。エフェクター機能は、抗原依存性であってもよく、または抗原非依存性であってもよい。エフェクター機能の低下とは、抗体の可変領域(またはそのフラグメント)の抗原結合活性を維持しつつ、1つ以上のエフェクター機能が低下することを指す。エフェクター機能(例えば、Fc受容体または相補性タンパク質へのFcの結合)の向上または低下は、フォールディング状態の変化(例えば、一重フォールディング、二重フォールディングなどに変化)の観点であらわすことができ、例えば、当該技術分野でよく知られているアッセイを用いて結合活性の変化率(%)を決定し、この結合活性変化率に基づいて、算出することができる。
本明細書で使用するとき、用語「抗原依存性のエフェクター機能」は、通常は、ある抗体が、対応する抗原に結合した後に誘発されるエフェクター機能を指す。典型的な抗原依存性のエフェクター機能としては、相補性タンパク質(例えば、C1q)に結合する能力が挙げられる。例えば、Fc領域に相補性のC1成分が結合すると、従来の相補系が活性化され、オプソニン化が起こり、細胞病原体が溶解する。このプロセスは、補体依存性細胞障害作用(CDCC)と呼ばれる。さらに、補体が活性化すると、炎症反応が刺激され、この事象は、自己免疫過敏にも関与している場合がある。
他の抗原依存性のエフェクター機能は、抗体が、Fc領域を介し、細胞の特定のFc受容体(「FcR」)に結合することによって起こる。異なる種類の抗体に特異的な多くのFc受容体があり、例えば、IgG(γ受容体またはIgγR)、IgE(ε受容体またはIgεR)、IgA(α受容体またはIgαR)およびIgM(μ受容体またはIgμR)が挙げられる。細胞表面で、抗体がFc受容体に結合することにより、多くの重要かつ多様な生体応答が引き起こされる。このような生体応答には、免疫複合体のエンドサイトーシス、抗体でコーティングされた粒子または微生物の巻き込みおよび破壊(抗体依存性の食作用またはADCPと呼ばれる)、免疫複合体のクリアランス、抗体でコーティングされた標的細胞がキラー細胞によって溶解すること(抗体依存性細胞が介在する細胞障害作用またはADCC)、免疫メディエータの放出、免疫系細胞の活性化の制御、胎盤通過、および免疫グロブリンの産生制御が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「キメラ抗体」は、免疫反応性領域または免疫反応性部位は、第1の種から得られるか、または第1の種に由来し、定常領域(インタクトなままであってもよく、本発明によって部分的に改変されてもよいし、改変されてもよい)が、第2の種から得られる任意の抗体を意味するのに使われる。好ましい実施形態では、標的結合領域または標的結合部位は、非ヒト由来であり(例えば、マウスまたは霊長類)、定常領域は、ヒトである。
本明細書で使用するとき、用語「scFv分子」は、1つの軽鎖可変ドメイン(VL)またはその一部分と、1つの重鎖可変ドメイン(VH)またはその一部分とからなる結合分子を含み、各可変ドメイン(またはその一部分)は、同じ抗体に由来するか、または異なる抗体に由来する。scFv分子は、好ましくは、VHドメインとVLドメインの間にscFvリンカーを含む。scFv分子は、当該技術分野で知られており、例えば、米国特許第5,892,019号、Hoら、1989.Gene77:51;Birdら、1988 Science 242:423;Pantolianoら、1991.Biochemistry 30:10117;Milenicら、1991.Cancer Research 51:6363;Takkinenら、1991.Protein Engineering 4:837に記載されている。scFv分子のVLドメインおよびVHドメインは、1個以上の抗体分子に由来している。本発明のscFv分子の可変領域が、由来となる抗体分子とはアミノ酸配列が異なるように改変されていてもよいことも当業者は理解するであろう。例えば、ある実施形態では、ヌクレオチドまたはアミノ酸が置換され、アミノ酸残基で同類置換または保存的変更がなされてもよい(例えば、CDRおよび/またはフレームワークの残基において)。この変更に加えて、またはこの変更に代えて、当該技術分野で認識されている技術を用い、抗原結合性を最適化させるために、CDRアミノ酸残基を変異させてもよい。本発明の結合分子は、抗原に対する結合性を維持している。
「scFvリンカー」は、本明細書で使用するとき、scFvのVHドメインとVLドメインの間に存在する部分である。scFvリンカーは、好ましくは、scFv分子を抗原結合性を有する構造に維持する。ある実施形態では、scFvリンカーは、scFvリンカーペプチドを含むか、scFvリンカーペプチドからなる。特定の実施形態では、scFvリンカーペプチドは、gly−ser結合ペプチドを含むか、またはgly−ser結合ペプチドからなる。他の実施形態では、scFvリンカーは、ジスルフィド結合を含む。
本明細書で使用するとき、用語「gly−ser結合ペプチド」は、グリシン残基およびセリン残基からなるペプチドを指す。gly/ser結合ペプチドの例は、アミノ酸配列(Gly4Ser)nを含む。ある実施形態では、n=1である。ある実施形態では、n=2である。別の実施形態では、n=3である。好ましい実施形態では、n=4である(すなわち、(Gly4Ser)4)。別の実施形態では、n=5である。さらに別の実施形態では、n=6である。gly/ser結合ペプチドの別の例は、アミノ酸配列Ser(Gly4Ser)nを含む。ある実施形態では、n=1である。ある実施形態では、n=2である。好ましい実施形態では、n=3である。別の実施形態では、n=4である。別の実施形態では、n=5である。さらに別の実施形態では、n=6である。
本明細書で使用するとき、用語「ジスルフィド結合」は、2個の硫黄原子間に形成される共有結合を含む。アミノ酸であるシステインは、チオール基を含み、このチオール基は、第2のチオール基とジスルフィド結合を形成することができ、また第2のチオール基と架橋することができる。最も天然に存在するIgG分子では、CH1領域とCL領域とは、ジスルフィド結合で接続しており、2個の重鎖は、Kabat付番システムによると、対応する239および242の位置で2個のジスルフィド結合で接続している(EU付番号システムでは、226または229)。
本明細書で使用するとき、用語「従来のscFv分子」は、安定化したscFv分子ではない、scFv分子を指す。例えば、典型的な従来のscFv分子には、安定化する変異が存在せず、(G4S)3リンカーによってVHドメインとVLドメインとが結合している。
本発明の「安定化したscFv分子」は、従来のscFv分子と比較した場合、少なくも1箇所が変更または改変されたscFv分子であり、この変更または改変によって、scFv分子が安定化している(すなわち、従来のscFv分子と比較した場合)。本明細書で使用するとき、用語「安定化する変異」は、scFv分子のタンパク質および/またはscFv分子を含む大きなタンパク質の安定性(例えば、熱安定性)を高める変異を含む。ある実施形態では、安定化する変異は、不安定化する要因となるアミノ酸を、タンパク質の安定性を高めるアミノ酸(本明細書中、「安定化するアミノ酸」)に交換する置換を含む。ある実施形態では、安定化する変異は、scFvリンカーの長さを最適化したものである。ある実施形態では、本発明の安定化したscFv分子は、1個以上のアミノ酸置換を含む。例えば、ある実施形態では、安定化する変異は、少なくとも1個のアミノ酸残基の置換を含み、この置換が、scFv分子のVHとVLとの境界面の安定性を高めるものである。ある実施形態では、このアミノ酸は、上述の境界面に含まれる。別の実施形態では、上述のアミノ酸は、VHとVLとの境界面の骨格となるアミノ酸である。別の実施形態では、安定化する変異は、VHドメインとVLドメインとの境界面にある2個以上のアミノ酸を一緒に変える、VHドメインまたはVLドメインの少なくとも1個のアミノ酸の置換を含む。別の実施形態では、安定化する変異は、少なくとも1個のシステイン残基が、VHドメインおよびVLドメインが、VHドメインのアミノ酸とVLドメインのアミノ酸とを繋ぐ少なくとも1個のジスルフィド結合によって結合するように、導入された(すなわち、VHドメインまたはVLドメインのうち、1個以上が遺伝子操作された)ものである。特定の好ましい実施形態では、本発明の安定化したscFv分子は、scFvリンカーの長さを最適化し、かつ少なくとも1個のアミノ酸残基が置換され、および/またはVHドメインおよびVLドメインが、VHドメインのアミノ酸とVLドメインのアミノ酸とを繋ぐ少なくとも1個のジスルフィド結合によって結合したものである。ある実施形態では、scFv分子に1個以上の安定化する変異を同時にほどこすと、従来のscFv分子と比較して、scFv分子のVHドメインおよびVLドメインの熱安定性が高まる。ある実施形態では、安定化したscFv分子の集合は、同じ安定化する変異を含むか、または安定化する変異がいくつか組み合わさっている。他の実施形態では、この集合の個々の安定化したscFv分子は、異なる安定化する変異を含む。安定化する変異の例は、米国特許出願第11/725,970号に詳細に記載されており、その内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書に使用する場合、用語「タンパク質の安定性」は、環境条件(例えば、高温または低温)に応答して、タンパク質の1つ以上の物理的性質の維持の、当該技術分野で認識されている尺度を指す。ある実施形態では、この物理的性質は、タンパク質の共有結合の構造の維持である(例えば、タンパク質分解による開裂、望ましくない酸化または脱アミド化が起こらないこと)。別の実施形態では、この物理的性質は、適切に折りたたまれた状態でタンパク質が存在することである(例えば、可溶性または不溶性の凝集物または沈着物が存在しないこと)。ある実施形態では、タンパク質の安定性は、タンパク質の生物物理学的性質をアッセイすることによって測定される。生物物理学的性質としては、例えば、熱安定性、pHによるアンフォールディングプロフィール、安定にグリコシル化を起こさせないようにすること、可溶性、生化学的機能、(例えば、タンパク質(例えば、リガンド、受容体、抗原など)または化学部分などに結合する能力)、および/またはこれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、生化学的機能は、相互作用の結合親和性によって示される。ある実施形態では、タンパク質の安定性の尺度は、熱安定性である(すなわち、熱的攻撃に対する抵抗性)。安定性は、当該技術分野で既知の方法および/または本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子操作した抗体」は、重鎖または軽鎖の可変領域または両鎖の可変領域が、既知の特異性を有する抗体の1つ以上のCDRと少なくとも部分的に交換することによって改変され、必要な場合、フレームワーク領域も部分的に交換し、配列を変化させる、抗体を指す。CDRは、フレームワーク領域の由来である抗体と同じ分類またはさらに同じ副分類の抗体由来であってもよいが、CDRは、異なる分類の抗体由来であること、好ましくは、異なる種類の抗体由来であることが想定される。既知の特異性を有する非ヒト抗体由来の1個以上の「ドナー」CDRが、ヒト重鎖フレームワーク領域または軽鎖フレームワーク領域にグラフト結合するように遺伝子操作された抗体は、「ヒト化抗体」と呼ばれる。ある可変領域の抗原結合性を他の領域に移すために、すべてのCDRを、ドナー可変領域由来の完全なCDRと交換することは必須ではない。むしろ、標的結合部位の活性を維持するために必要な残基のみを移すだけでよい場合がある。この説明は、例えば、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号および同第6,180,370号に記載されており、機能的な遺伝子操作された抗体またはヒト化抗体を得ることは、通常の実験を行うことによって、または試行錯誤によって、十分に当業者の能力の範囲内である。
本明細書で使用するとき、用語「適切に折りたたまれたポリペプチド」は、ポリペプチドに含まれるすべての機能的な領域が、明確に活性であるようなポリペプチド(例えば、IGF−1R抗体)を含む。本明細書で使用するとき、用語「不適切に折りたたまれたポリペプチド」は、ポリペプチドの機能的な領域のうち、少なくとも1つでも活性でないポリペプチドを含む。ある実施形態では、適切に折りたたまれたポリペプチドは、少なくとも1個のジスルフィド結合で接続したポリペプチド鎖を含む。逆に、不適切に折りたたまれたポリペプチドは、少なくとも1個のジスルフィド結合で接続していないポリペプチドを含む。
用語「ポリヌクレオチド」は、単一の核酸並びに複数個の核酸も含むことを意図しており、核酸分子の単離物または構築物を指す(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA))。ポリヌクレオチドは、一般的なホスホジエステル結合を含んでいてもよいし、一般的ではない結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)でみられるようなアミド結合)を含んでいてもよい。用語「核酸」は、任意の1個以上の核酸部分を指し、例えば、ポリヌクレオチド中に存在するDNAフラグメントまたはRNAフラグメントを指す。核酸またはポリヌクレオチドの「単離物」とは、天然環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを意味する。例えば、ベクターに含まれるIGF−1R結合分子をコードする組み換えポリヌクレオチドは、本発明の目的では単離物と考える。ポリヌクレオチドの単離物の例をさらに挙げると、異種宿主細胞中に存在する組み換えポリヌクレオチド、または溶液中で(部分的または実質的に)精製されたポリヌクレオチドがある。RNA分子の単離物としては、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロでのRNA転写物が挙げられる。本発明のポリヌクレオチド単離物または核酸単離物には、合成によって作られたそのような分子も含まれる。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位または転写ターミネーターのような制御因子であってもよいし、このような制御因子を含んでいてもよい。
本明細書で使用するとき、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸部分である。「停止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸には変換されないが、コード領域の一部であると考えてよい。一方、任意のフランキング配列(例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなど)は、コード領域の一部分ではない。本発明の2箇所以上のコード領域は、単一のポリヌクレオチド構築物(例えば、単一のベクター)に存在してもよく、別個のポリヌクレオチド構築物(例えば、別個の(異なる)ベクター)に存在してもよい。さらに、ベクターは、1箇所のコード領域を含んでいてもよいし、2箇所以上のコード領域を含んでいてもよい。例えば、1個のベクターが、免疫グロブリンの重鎖可変領域をコードし、それとは別に軽鎖可変領域をコードしてもよい。さらに、本発明のベクター、ポリヌクレオチドまたは核酸は、異種コード領域をコードしてもよく、IGF−1R結合分子またはそのフラグメント、改変体または誘導体をコードする核酸に融合していてもよく、融合していなくてもよい。異種コード領域としては、限定されないが、同定または精製を容易にし得る分泌シグナルペプチドまたは異種機能性ドメイン(heterologous functional domain)またはタグのような特殊な要素またはモチーフが挙げられる。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、DNA分子である。DNAである場合、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常は、プロモーターおよび/または他の転写制御要素または翻訳制御要素を含んでいてもよく、これらの要素は、1箇所以上のコード領域と作動可能に連結している。作動可能な連結とは、遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)を作るためのコード領域が、制御配列の影響下または制御下で遺伝子産物を発現するような様式で、1つ以上の制御配列と連結していることである。プロモーター機能が誘発されることによって、所望な遺伝子産物をコードするmRNAが転写される場合、2個のDNAフラグメントが結合することによって、発現制御配列が、遺伝子産物を直接的に発現させる性質を妨害しない場合、またはDNAテンプレートの転写を妨害しない場合、2個のDNAフラグメント(例えば、ポリペプチドコード領域と、この領域に連結するプロモーター)は、「作動可能に連結して」いる。したがって、プロモーターによって、ポリペプチドをコードする核酸を転写させることが可能な場合、このプロモーター領域は、この核酸と作動可能に連結している。プロモーターは、所定の細胞内でのみDNAを実質的に転写する、細胞特異的なプロモーターであってもよい。プロモーター以外の転写制御要素(例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写停止シグナル)は、ポリヌクレオチドと作動可能に連結し、細胞特異的な転写に直接かかわることができる。好適なプロモーターおよび他の転写制御領域を、本明細書に開示している。
種々の転写制御領域は、当業者に既知である。転写制御領域としては、限定されないが、脊椎動物の細胞で機能する転写制御領域(例えば、限定されないが、サイトメガロウイルス由来のプロモーター部分およびエンハンサー部分(IE期プロモーター、イントロン−Aと組み合わせる)、サルウイルス40(初期プロモーター)およびレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)が挙げられる。他の転写制御領域としては、脊椎動物の遺伝子に由来するもの、例えば、アクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ−グロブリンや、真核細胞で発現する遺伝子を制御可能な他の配列が挙げられる。好適な転写制御領域のさらなる例としては、組織特異的なプロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘発性プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘発されるプロモーター)が挙げられる。
同様に、当業者にとって、種々の転写制御要素が既知である。転写制御要素の例としては、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始コドンおよび停止コドン、およびピコルナウイルスに由来する要素(特に、内部リボソーム侵入部位(IRES)、CITE配列とも呼ばれる)が挙げられる。
他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、RNAであり、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態である。
本発明のポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、分泌ペプチドまたはシグナルペプチドをコードする別のコード領域と連結していてもよく、この別のコード領域によって、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが分泌する。シグナル仮説によれば、哺乳動物の細胞で分泌したタンパク質は、シグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を有しており、成長したタンパク質鎖が、粗面小胞体から外に運ばれると、この部分は、成熟タンパク質から開裂する。当業者ならば、脊椎動物の細胞で分泌したポリペプチドは、一般的に、ポリペプチドのN末端にシグナルペプチドが融合しており、完全なポリペプチドまたは「全長」ポリペプチドが開裂し、ポリペプチドの分泌物または「成熟」形態を生成することを知っている。特定の実施形態では、未処理のシグナルペプチド(例えば、免疫グロブリンの重鎖シグナルペプチドまたは軽鎖シグナルペプチド)を使用するか、またはポリペプチドに作動可能に連結し、ポリペプチドを分泌させる能力を保持した、この配列の機能的誘導体を使用する。あるいは、異種哺乳動物のシグナルペプチドまたはその機能的誘導体を使用してもよい。例えば、野生型リーダー配列を、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列と置換してもよい。
本明細書で使用するとき、核酸またはポリペプチド分子について記載する場合、用語「遺伝子操作された」は、合成手段によって(例えば、組み換え技術、インビトロペプチド合成によって、ペプチドの酵素カップリングまたは化学カップリングによって、またはこれらの技術のいくつかの組み合わせによって)操作された核酸またはポリペプチド分子を指す。
本明細書で使用するとき、用語「接続して」、「融合して」または「融合」は、同じ意味で使用される。これらの用語は、化学的なコンジュゲーションまたは組み換え手段を含むいかなる手段であってもよいが、2個以上の要素または成分が一緒になることを意味する。「フレーム内で融合」は、2個以上のポリヌクレオチドオープンリーディングフレーム(ORF)が、元々のORFの正しい翻訳リーディングフレームを維持するような様式で接続して、長くなった連続ORFを得ることを指す。したがって、組み換え融合タンパク質は、元々のORFによってコードされるポリペプチドに対応する2個以上の部分(この部分は、通常は天然では接続していない)を含有する、1個のタンパク質である。リーディングフレームは、融合した部分全体に連続的に作成されるが、各部分は、例えば、フレーム内のリンカー配列によって物理的または空間的に分割されていてもよい。例えば、免疫グロブリン可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドは、フレーム内で融合していてもよいが、「融合した」CDRが、連続ポリペプチドの一部分として一緒に翻訳される限り、少なくとも1つの免疫グロブリンフレームワーク領域またはさらなるCDR領域をコードするポリヌクレオチドによって分割されていてもよい。
ポリペプチドの文脈で、「直鎖状配列」または「配列」は、ポリペプチド中のアミノ酸の順序を、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって示すものであり、この配列で互いに隣接する残基は、ポリペプチドの一次構造では連続している。
用語「発現」は、本明細書で使用するとき、遺伝子が、生化学物質(例えば、RNAまたはポリペプチド)を産生するプロセスを指す。このプロセスは、細胞内で遺伝子が機能的に存在するような明らかな徴候を含む(限定されないが、遺伝子ノックダウン、および一過性発現および安定な発現)。限定されないが、遺伝子を、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、小分子ヘアピン型RNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)または任意のRNA産物に転写すること、および上述のmRNAをポリペプチドに翻訳することが挙げられる。最終的な所望の生成物が生化学物質である場合、発現は、この生化学物質と任意の前駆体を作出することを含む。遺伝子の発現によって「遺伝子産物」が得られる。本明細書で使用するとき、遺伝子産物は、核酸(例えば、遺伝子の転写によって産生するメッセンジャーRNA)であってもよく、転写物から翻訳されるポリペプチドであってもよい。本明細書で記載の遺伝子産物は、転写後に改変(例えば、ポリアデニル化)した核酸、または翻訳後に改変(例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットと結合、タンパク質開裂など)したポリペプチドを含む。
本明細書で使用するとき、用語「治療する」または「治療」は、治療のための処置、および予防または防止のための手段を指し、望ましくない生理学的変化または障害(例えば、癌の進行または広がり)を予防するか、または遅らせる(弱める)ことを目的としている。有益な臨床結果または望ましい臨床結果としては、限定されないが、検出できるかできないかを問わず、症状の軽減、疾患の軽症化、疾患状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患の進行を遅らせるか、弱めること、疾患状態の改善または緩和、および回復(部分的または全体的に)が挙げられる。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存時間と比較して、生存時間が伸びることを意味し得る。治療が必要な対象としては、すでに、ある状態や障害に罹患しているもの、およびその状態または障害になるおそれがあるもの、またはその状態または障害を予防すべきものが挙げられる。
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」は、診断、予後、または治療が望ましい任意の対象、特に哺乳動物の対象を意味する。哺乳動物対象としては、ヒト、家畜動物、農場の動物、および動物園の動物、スポーツ用動物、またはペット用動物(例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、乳牛などが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「結合分子を投与することが有益な対象」および「治療が必要な動物」といった句は、例えば、結合分子によって認識される抗原を検出するために(例えば、診断手順で)結合分子を投与することが有益な対象(例えば、哺乳動物対象)、および/または所与の標的タンパク質に特異的に結合する結合分子で治療する(すなわち、癌のような疾患を緩和または予防する)ことが有益な対象(例えば、哺乳動物対象)を含む。本明細書に詳細に記載しているように、結合分子は、複合体ではない形態で使用してもよく、(例えば、薬物、プロドラッグまたは同位体との)複合体の形態で使用してもよい。
「過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害」とは、悪性あるいは良性の、あらゆる形質転換した細胞および組織、およびすべての癌細胞および癌組織を含む、あらゆる新生物細胞の成長および増殖を意味する。過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害としては、限定されないが、前癌病変、異常な細胞成長、良性の腫瘍、悪性の腫瘍および「癌」が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害、例えば、前癌病変、異常な細胞成長、良性の腫瘍、悪性の腫瘍および「癌」は、IGF−1Rを発現する細胞、IGF−1Rを過剰発現する細胞、またはIGF−1Rを異常なレベルで発現する細胞を含む。
過剰増殖性疾患、過剰増殖性障害および/または過剰増殖状態のさらなる例としては、限定されないが、良性あるいは悪性の、以下の場所にある新生物が挙げられる。前立腺、結腸、腹部、骨、胸、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、睾丸、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭、首、神経(中枢神経系および末梢神経系)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部または尿生殖路。このような新生物は、特定の実施形態では、IGF−1Rを発現するか、過剰に発現するか、または異常なレベルで発現する。
他の過剰増殖性障害としては、限定されないが、上に列挙した臓器系に存在する、高ガンマグロブリン血、リンパ球増殖障害、タンパク異常血症、紫斑病、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球増殖症、および新生物以外の任意の他の過剰増殖性疾患が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、この疾患は、IGF−1Rを発現するか、過剰に発現するか、または異常なレベルで発現する細胞を含む。
本明細書で使用するとき、用語「腫瘍」または「腫瘍組織」は、過剰な細胞分化から生じた異常な組織の塊を指し、特定の場合、IGF−1Rを発現するか、過剰に発現するか、または異常なレベルで発現する細胞を含む組織を指す。腫瘍または腫瘍組織は、異常な成長特性を有する新生物細胞であり、体内で有用な機能をもたない「腫瘍細胞」を含む。腫瘍、腫瘍組織および腫瘍細胞は、良性または悪性であり得る。腫瘍または腫瘍組織は、「腫瘍に関連する腫瘍ではない細胞」、例えば、腫瘍または腫瘍組織を供給する血管を形成する血管細胞を含み得る。腫瘍ではない細胞は、腫瘍細胞によって複製され、成長するように誘発され得、例えば、腫瘍または腫瘍組織における血管形成の誘発がその例である。
本明細書で使用するとき、用語「悪性細胞」は、良性ではない腫瘍または癌を指す。本明細書で使用するとき、用語「癌」は、細胞死の制御がはずれたか、または制御不能になったことを特徴とする悪性細胞を含む、ある種の過剰増殖性疾患を暗示する。癌の例としては、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病またはリンパ球の悪性細胞が挙げられる。癌のさらに特定の例を、以下に示し、以下のものが挙げられる。有棘細胞癌(例えば、扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌および肺の有棘細胞癌を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸の癌を含む胃癌(gastric orstomach cancer)、膵臓癌、膠芽細胞腫、頸部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney or renal cancer)、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌(hepatic carcinoma)、肛門癌、陰茎癌、および頭頸部癌。用語「癌」は、原発性の悪性細胞または腫瘍(例えば、他の元々の悪性細胞または腫瘍がある位置以外の、対象の体内の位置に移動していないもの)、および二次的な悪性細胞または腫瘍(例えば、他の元々の腫瘍がある位置とは異なる第2の場所に、悪性細胞または腫瘍細胞が転移し、移動して生じるもの)を含む。本発明の治療方法の助けとなる癌は、IGF−1Rを発現するか、過剰に発現するか、または異常なレベルで発現する細胞を含む。
癌または悪性細胞の他の例としては、限定されないが、小児急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ球性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟部組織の肉腫、エイズ関連リンパ腫、エイズ関連悪性細胞、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨肉腫、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳癌、腎盂および尿管の癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、脳の星状細胞腫、子宮頸癌、小児(原発性)肝細胞癌、小児(原発性)肝臓癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹グリオーマ、小児小脳星状細胞腫、小児の脳の星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部および視経路の膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児のテント上未分化神経外胚葉性および松果体腫瘍、小児原発性肝臓癌、小児横紋筋肉腫、小児軟部組織肉腫、小児の視経路および視床下部の膠腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、直腸癌、皮膚T細胞性リンパ腫、膵島細胞癌、子宮内膜癌、上衣腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫および関連腫瘍、膵外分泌部の腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性の乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、胃腸のカルチノイド腫瘍、胃腸の腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、有毛細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼内黒色腫、島細胞癌、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ増殖性障害、マクログロブリン血症、男性の乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、黒色腫、中皮腫、転移性の原発不明扁平上皮頸癌、転移性の原発性扁平上皮頸癌、転移性扁平上皮頸癌(Metastatic Primary Squamous Neck Cancer)、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫、骨髄形成異常症候群、骨髄性白血病(Myelogenous Leukemia)、骨髄性白血病(Myeloid Leukemia)、骨髄増殖性障害、鼻腔および副鼻腔の癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、妊娠期の非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌(Nonmelanoma Skin Cancer)、非小細胞肺癌、潜在性原発性転移性扁平上皮頸癌(Occult Primary Metastatic Squamous Neck Cancer)、口腔咽頭癌、骨/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣境界型腫瘍、膵臓癌、パラプロテイン血症、紫斑、上皮小体癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盤および尿管の癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮頸癌、胃癌、テント上未分化神経外胚葉性および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂および尿管の移行上皮癌、移行性の腎盂および尿管の癌、栄養膜腫瘍、尿管および腎盤細胞の癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣の癌、視路および視床下部グリオーマ、外陰部の癌、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、ウィルムス腫、および上に列挙した臓器に存在する任意の他の過剰増殖性疾患、新生物が挙げられる。
本発明の方法を使用し、前癌状態を治療することができ、新生物または悪性細胞(限定されないが、上述の障害が挙げられる)に進行するのを予防することができる。このような用途が示されるのは、新生物または癌に進行することが知られているか、または疑わしい状況であり、特に、過形成、化生からなる新生物性ではない細胞成長、または最も特定的には、形成異常が起こっている状況である(このような異常な成長状態の概説としては、Robbins and Angell、Basic Pathology、2d Ed.、W.B.Saunders Co.、Philadelphia、pp.68−79(1976)を参照。IGF−1Rを発現し始めるか、過剰に発現し始めるか、または異常なレベルで発現し始めるこのような状態は、本発明の方法で治療するのに特に好ましい。
過形成は、細胞増殖が制御されている一種の形態であり、細胞の構造または機能が顕著に変わることなく、組織または臓器の細胞数が増加することを含む。本発明の方法で治療可能な過形成障害としては、限定されないが、脈管濾胞性縦隔リンパ節増殖、好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症、非定型メラニン細胞過形成、基底細胞過形成、良性巨大リンパ節増殖、セメント質過形成、先天性副腎過形成、先天性脂腺増生症、嚢胞性増殖、乳房嚢胞性過形成、義歯性線維症、導管過形成、子宮内膜過形成、線維筋過形成、局所性上皮肥厚、歯肉増殖、炎症性線維性過形成、炎症性乳頭状過形成、血管内乳頭状内皮過形成、結節性前立腺過形成、結節性再生過形成、偽上皮腫性増殖、老年性脂腺増生症、ならびに疣贅性肥厚が挙げられる。
化生は、細胞増殖が制御されている一種の形態であり、成熟細胞または完全に分化したある種の細胞が、別の種類の成熟細胞に変わったものである。本発明の方法で治療可能な化生としては、限定されないが、原因不明骨髄様化生、アポクリン化生、非定型化性(atypical metaplasia)、自己実質化生、結合組織化生、上皮化生、腸上皮化生、化生性貧血、変形骨化、形成異常性ポリープ、骨髄化生、原発性骨髄様化生、二次性骨髄様化生、扁平化生、羊膜の扁平化生、および症候性骨髄化生が挙げられる。
形成異常は、頻繁に起こる癌の前兆であり、主に上皮に生成する。形成異常は、新生物性ではない細胞成長の中で、もっとも障害の大きな形態であり、個々の細胞の均一性が失われており、構造上の配置も乱れている。形成異常細胞は、異常に大きく、深く染色される核を有し、多態性を呈する。形成異常は、慢性的に刺激または炎症が起こる場所で特徴的に生じる。本発明の方法で治療可能な形成異常としては、限定されないが、無汗性外胚葉性形成異常、前後形成異常、窒息性胸郭形成異常、心房指(atriodigital)形成異常、気管支肺形成異常症、終脳形成異常、子宮頸部形成異常、軟骨外胚葉性形成異常、鎖骨頭蓋骨形成不全、先天性外胚葉性形成異常、頭蓋骨幹形成異常、頭蓋骨手根骨足根骨形成不全、頭蓋骨幹端形成異常、ぞうげ質形成異常症、骨幹形成異常、外胚葉性形成異常、エナメル質形成異常、脳−眼球形成異常(encephalo−ophthalmic dysplasia)、足根骨肥大、多発性骨端形成異常、点状骨端形成異常、上皮形成異常、顔面指趾生殖器形成異常、家族性顎骨の線維性形成障害、家族性白色襞性形成異常、線維筋性形成異常、線維性骨形成異常、開花性骨形成異常症、遺伝性腎性−網膜性形成異常(hereditary renal−retinal dysplasia)、発汗性外胚葉性形成異常、無汗性外胚葉形成異常症、リンパ球減少性胸腺形成異常、乳房形成異常、顎顔面形成異常、骨幹端形成異常、モンディーニ型内耳形成異常、単発性線維性形成異常、粘膜上皮形成異常、多発性骨端形成異常、眼耳脊椎形成異常、眼歯指形成異常、眼脊椎形成異常、歯牙形成不全、眼下顎四肢形成不全、根尖性セメント質形成異常症、多発性線維性骨形成異常、偽軟骨発育不全脊椎骨端形成異常、網膜形成異常、中隔−視覚形成異常症、脊椎骨端形成異常、および心室橈骨形成異常が挙げられる。
本発明の方法で治療可能なさらなる前腫瘍性障害としては、限定されないが、良性の異常増殖障害(例えば、良性腫瘍、線維嚢胞状態、組織肥大、腸ポリープ、結腸ポリープ、および食道形成異常)、白斑症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎、および日光性角化症が挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明の方法を用い、過剰増殖性細胞の成長(例えば、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞の増殖をインビトロまたはインビボで)を阻害し、癌の進行および/または転移(特に、上に列挙したもの)を抑制する。
さらなる過剰増殖性疾患、過剰増殖性障害および/または過剰増殖性状態としては、以下の進行および/または転移が挙げられるが、これらに限定されない。悪性腫瘍および関連する障害(例えば、白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄性白血病(promyelocytic)、骨髄単球性白血病、単球性白血病および赤白血病を含む))、ならびに慢性白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(顆粒球性白血病)および慢性リンパ性白血病)を含む)、真性赤血球増加、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、H鎖病、および固形腫瘍(これらは、以下が挙げられるが、これらに限定されない:肉腫および癌(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮性肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、ヘパトーム、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫、頚部癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫(emangioblastoma)、聴神経鞘腫(acoustic neuroma)、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽腫、ならびに網膜芽腫))。
(II.IGF系)
IGF系は、細胞増殖、分化、アポトーシスおよび細胞の形質転換の制御に重要な役割を果たしており(Jonesら、Endocrinology Rev.1995.16:3−34)、腫瘍細胞が、IGF系の1つ以上の要素を産生することが示されている。IGF系は、インスリン様成長因子受容体1(IGF−1R、CD221)、インスリン様成長因子受容体2(IGF−2R、CD222)という互いに関連しない2種類の受容体と、インスリン様成長因子1の2種類のリガンド(IGF−1およびIGF−2)と、数種類のIGF結合タンパク質(IGFBP−1〜IGFBP−6)とで構成されており、これらのタンパク質は、IGF1Rから離れた位置での細胞内シグナル伝達に関与しており、インスリン受容体基質(IRS)ファミリー、AKT、ラパマイシンの標的(TOR)およびS6キナーゼを含む。さらに、大きなIGFBPプロテアーゼの群(例えば、カスパーゼ、メタロプロテイナーゼ、前立腺特異抗原)は、IGFに結合したIGFBPを加水分解し、IGFを遊離させ、このIGFが、IGF−1RおよびIGF−2Rと相互作用する。IGF系は、インスリンおよびインスリン受容体(InsR)とも密接に関連がある(Moschosら、Oncology 2002.63:317−32、Basergaら、Int J.Cancer.2003.107:873−77、Pollakら、Nature Reviews Cancer.2004.4.4:505−516)。
IGF系は、細胞増殖、分化、アポトーシスおよび細胞の形質転換の制御に重要な役割を果たしており(Jonesら、Endocrinology Rev.1995.16:3−34)、腫瘍細胞が、IGF系の1つ以上の要素を産生することが示されている。IGF系は、インスリン様成長因子受容体1(IGF−1R、CD221)、インスリン様成長因子受容体2(IGF−2R、CD222)という互いに関連しない2種類の受容体と、インスリン様成長因子1の2種類のリガンド(IGF−1およびIGF−2)と、数種類のIGF結合タンパク質(IGFBP−1〜IGFBP−6)とで構成されており、これらのタンパク質は、IGF1Rから離れた位置での細胞内シグナル伝達に関与しており、インスリン受容体基質(IRS)ファミリー、AKT、ラパマイシンの標的(TOR)およびS6キナーゼを含む。さらに、大きなIGFBPプロテアーゼの群(例えば、カスパーゼ、メタロプロテイナーゼ、前立腺特異抗原)は、IGFに結合したIGFBPを加水分解し、IGFを遊離させ、このIGFが、IGF−1RおよびIGF−2Rと相互作用する。IGF系は、インスリンおよびインスリン受容体(InsR)とも密接に関連がある(Moschosら、Oncology 2002.63:317−32、Basergaら、Int J.Cancer.2003.107:873−77、Pollakら、Nature Reviews Cancer.2004.4.4:505−516)。
(a)IGF−1
IGF−1は、血中ホルモンであり、組織成長因子であるという両方の特性を有する。循環血中に存在するIGF−1のほとんどは肝臓で作られるが、現在では、IGF−1が、オートクリンおよびパラクリンの作用機序が重要な他の臓器で合成されることも分かっている。IGF−1のシグナル伝達によって、細胞の増殖が刺激され、細胞の生存期間が延びる。循環血中IGF−1濃度が正常値よりも高くなると、乳癌(Hankinsonら、Lancet 1998.351:1393−6)、前立腺癌(Chanら、Science.1998.279:563−6)、肺癌(Yuら、J.Natl.Cancer Inst.1999.91:151−6)、および結腸直腸癌(Maら、J.Natl.Cancer Inst.1999.91:620−5)などのいくつかの一般的な癌にかかる危険性が上昇することが、多くの疫学的研究から分かってきている。
IGF−1は、血中ホルモンであり、組織成長因子であるという両方の特性を有する。循環血中に存在するIGF−1のほとんどは肝臓で作られるが、現在では、IGF−1が、オートクリンおよびパラクリンの作用機序が重要な他の臓器で合成されることも分かっている。IGF−1のシグナル伝達によって、細胞の増殖が刺激され、細胞の生存期間が延びる。循環血中IGF−1濃度が正常値よりも高くなると、乳癌(Hankinsonら、Lancet 1998.351:1393−6)、前立腺癌(Chanら、Science.1998.279:563−6)、肺癌(Yuら、J.Natl.Cancer Inst.1999.91:151−6)、および結腸直腸癌(Maら、J.Natl.Cancer Inst.1999.91:620−5)などのいくつかの一般的な癌にかかる危険性が上昇することが、多くの疫学的研究から分かってきている。
(b)IGF−2
循環血中IGF−2濃度が高まると、子宮内膜癌のリスクが高まることも分かっている(Jonathanら、Cancer Biomarker & Prevention.2004.13:748−52)。IGF2も、肝臓で発現し、肝外部位でも発現する。インビトロ試験では、腫瘍細胞がIGF−1またはIGF−2を産生し得ることが示されたが、トランスレーショナル研究では、腫瘍においてIGF−2の方が関連性が高く、一般的に、発現されるIGFであることが示された。この事象は、腫瘍において、エピジェネティックな変化によって、サイレンシングされたIGF−2アリルがインプリンティング消失(LOI)する結果、IGF−2遺伝子の両アレルが発現することによるものである(Fienbergら、Nat.Rev.Cancer 2004.4:143−53、Giovannucciら、Horm.Metab.Res.2003.35:694−04、De Souzaら、FASEB J.ら、1997. 11:60−7)。この結果、癌細胞へのIGF−2供給量が増加し、腫瘍成長を支える微細環境へのIGF−2供給量が増加する。
循環血中IGF−2濃度が高まると、子宮内膜癌のリスクが高まることも分かっている(Jonathanら、Cancer Biomarker & Prevention.2004.13:748−52)。IGF2も、肝臓で発現し、肝外部位でも発現する。インビトロ試験では、腫瘍細胞がIGF−1またはIGF−2を産生し得ることが示されたが、トランスレーショナル研究では、腫瘍においてIGF−2の方が関連性が高く、一般的に、発現されるIGFであることが示された。この事象は、腫瘍において、エピジェネティックな変化によって、サイレンシングされたIGF−2アリルがインプリンティング消失(LOI)する結果、IGF−2遺伝子の両アレルが発現することによるものである(Fienbergら、Nat.Rev.Cancer 2004.4:143−53、Giovannucciら、Horm.Metab.Res.2003.35:694−04、De Souzaら、FASEB J.ら、1997. 11:60−7)。この結果、癌細胞へのIGF−2供給量が増加し、腫瘍成長を支える微細環境へのIGF−2供給量が増加する。
(c)IGF−1R
IGF1もIGF2も、IGF−1Rのリガンドであり、IGF−1Rは、細胞表面チロシンキナーゼシグナル伝達分子である。IGF−1Rは、当技術分野では、CD221 およびJTK13の名称でも知られている. IGF−1Rに対してリガンドが結合した後、増殖および細胞生存を促す細胞内シグナル伝達経路が活性化する。IGF−1Rの最初のリン酸化標的としては、IRSタンパク質、およびその下流にあるシグナル伝達分子(ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ、AKT、TOR、S6キナーゼおよびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK))が挙げられる。
IGF1もIGF2も、IGF−1Rのリガンドであり、IGF−1Rは、細胞表面チロシンキナーゼシグナル伝達分子である。IGF−1Rは、当技術分野では、CD221 およびJTK13の名称でも知られている. IGF−1Rに対してリガンドが結合した後、増殖および細胞生存を促す細胞内シグナル伝達経路が活性化する。IGF−1Rの最初のリン酸化標的としては、IRSタンパク質、およびその下流にあるシグナル伝達分子(ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ、AKT、TOR、S6キナーゼおよびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK))が挙げられる。
IGF−1Rは、InsRと構造的にきわめて関連性がある(Pierre De Meyts and Whittaker、Nature Reviews Drug Discovery.2002、1:769−83)。 IGF−1Rは、キナーゼ領域でInsRとの配列同一性が84%であり、一方、膜近傍領域での同一性は61%であり、N末端領域での同一性は44%である(Ulrichら、EMBO J.、1986、5:2503−12、Blakesleyら、Cytokine Growth Factor Rev.、1996.7:153−56)。IGF−1RとInsRとの同一性が高いにもかかわらず、両者の生体での役割は全く異なっていることを示唆する証拠がある。InsRは、グルコース輸送や、グリコーゲンおよび脂肪の生合成のような生理学的機能を制御する鍵物質であるのに対し、IGF−1Rは、細胞の成長および分化を強く制御する物質である。InsRとは対照的に、IGF−1Rは、組織に偏在的に発現し、組織内で、成長ホルモン(GH)の制御下(これはIGF−1を調製する)、組織成長に何らかの役割を果たす。 IGF−1R活性化によって、正常な細胞成長が促進されることが分かっているが、実験で得られた証拠からは、IGF−1Rが絶対要件ではないことが示唆されている(Basergaら、Exp Cell Res.1999.253:1−6、Basergaら、Int.J.Cancer.1999.107:873−77)。癌細胞で、IGF−1Rの活性化は、生存の促進、増殖に関するシグナル伝達に加え、細胞の移動性および侵襲性に関与していることも分かっている(Reissら、Oncogene 2001.20:490−500、Nolanら、Int.J.Cancer.1997.72:828−34、Strackeら、J.Biol.Chem.1989.264:21544−49、Jacksonら、Oncogene、2001.20:7318−25)。
IGF−1Rは、以下に含むが、それに特定されない多くの腫瘍細胞に発現される。膀胱腫瘍(Hum.Pathol.34:803(2003));脳腫瘍(Clinical Cancer Res.8:1822(2002));乳房の腫瘍(Eur.J.Cancer 30:307(1994)およびHum Pathol.36:448−449(2005));直腸腫瘍、例えば、腺癌、転移癌および腺腫(Human Pathol.30:1128(1999)、Virchows.Arc.443:139(2003)、およびClinical Cancer Res.10:843(2004));胃腫瘍(Clin.Exp.Metastasis 21:755(2004));腎腫瘍、例えば、明細胞、嫌色素性細胞、乳頭状RCC(Am.J.Clin.Pathol.122:931−937(2004));肺腫瘍(Hum.Pathol.34:803−808(2003))およびJ.Cancer Res.Clinical Oncol.119:665−668(1993));卵巣腫瘍(Hum.Pathol.34:803−808(2003));膵臓腫瘍、例えば、膵管腺癌(Digestive Diseases.Sci.48:1972−1978(2003)およびClinical Cancer Res.11:3233−3242(2005));および前立腺腫瘍(Cancer Res.62:2942−2950(2002))。
IGF−1Rの分子構造は、2つの細胞外αサブユニット(130〜135kD)と、細胞質のキナーゼ触媒領域を含む2つの膜貫通型βサブユニット(95kD)とで構成されている。IGF−1Rは、インスリン受容体(InsR)と同様に、ジスルフィド結合で結合した共有結合ダイマー(α2β2)構造を有するという点で他のRTK群とは異なっている(Massague、J.およびCzech,M.P.J.Biol.Chem.257:5038−5045(1992))。IGF−1R細胞外領域は、以下の順序で結合した6個のタンパク質ドメインからなっている。N−末端にあるロイシンに富む繰り返しドメイン(L1);システインに富む繰り返しドメイン(CRR);第2のロイシンに富む繰り返しドメイン(L2);およびFnIII−1、FnIII−2およびFnIII−3で示される3種類のフィブロネクチンIII型ドメイン(図1を参照)。
ヒトIGF−1R mRNAの核酸配列は、GenBank寄託番号NM_000875(gi |119220593)で入手可能である。前駆体のポリペプチド配列は、GenBank寄託番号NP_000866(gi 4557665)で入手可能である。アミノ酸1〜30は、IGF−1Rシグナルペプチドをコードすることが報告されており、アミノ酸31〜740は、IGF−1R αサブユニットをコードすることが報告されており、アミノ酸741〜1367は、IGF−1R βサブユニットをコードすることが報告されている。成熟IGF−1Rポリペプチドは、IGF1−Rシグナルペプチドを含んでいない。したがって、本明細書のIGF−1Rアミノ酸の付番は、図2(配列番号2)で示したヒトIGF−1Rの成熟形態のアミノ酸配列を指す。この配列のドメインの構造を表2に示す。
ヒトIGF−1R mRNAの核酸配列は、GenBank寄託番号NM_000875(gi |119220593)で入手可能である。前駆体のポリペプチド配列は、GenBank寄託番号NP_000866(gi 4557665)で入手可能である。アミノ酸1〜30は、IGF−1Rシグナルペプチドをコードすることが報告されており、アミノ酸31〜740は、IGF−1R αサブユニットをコードすることが報告されており、アミノ酸741〜1367は、IGF−1R βサブユニットをコードすることが報告されている。成熟IGF−1Rポリペプチドは、IGF1−Rシグナルペプチドを含んでいない。したがって、本明細書のIGF−1Rアミノ酸の付番は、図2(配列番号2)で示したヒトIGF−1Rの成熟形態のアミノ酸配列を指す。この配列のドメインの構造を表2に示す。
(III.IGF−1R結合部分)
本発明の結合分子のIGF−1R結合部分は、1つ以上の出発物質または親物質である抗IGF−1R抗体に由来する抗原認識部位、全可変領域または1個以上のCDR(例えば、6個のCDR)を含んでいてもよい。親抗体は、天然の抗体または抗体フラグメント、ならびに天然のIGF−1R抗体から改変された抗体または抗体フラグメントを含んでいてもよい。結合部分は、IGF−1Rの標的分子に特異的であることが知られているIGF−1R抗体または抗体フラグメントの配列を用い、de novoで構築される抗IGF−1Rに由来するものであってもよい。親抗体に由来し得る配列としては、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域、および/またはCDR、フレームワーク領域またはこれらのそれ以外の一部分が挙げられる。
本発明の結合分子のIGF−1R結合部分は、1つ以上の出発物質または親物質である抗IGF−1R抗体に由来する抗原認識部位、全可変領域または1個以上のCDR(例えば、6個のCDR)を含んでいてもよい。親抗体は、天然の抗体または抗体フラグメント、ならびに天然のIGF−1R抗体から改変された抗体または抗体フラグメントを含んでいてもよい。結合部分は、IGF−1Rの標的分子に特異的であることが知られているIGF−1R抗体または抗体フラグメントの配列を用い、de novoで構築される抗IGF−1Rに由来するものであってもよい。親抗体に由来し得る配列としては、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域、および/またはCDR、フレームワーク領域またはこれらのそれ以外の一部分が挙げられる。
特定の実施形態では、IGF−1R結合部分は、IGF−1R、または上述のフラグメントまたは改変体の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合し(すなわち、無関係なエピトープに結合したり、エピトープに無作為に結合したりするよりも、あるエピトープに容易に結合し)は、IGF−1R、または上述のフラグメントまたは改変体の少なくとも1つのエピトープに選択的に結合し(すなわち、あるエピトープに対し、関連するエピトープ、同様のエピトープ、同種のエピトープ、または類似のエピトープに結合するよりも容易に結合し)、IGF−1R、または、それ自体が上述のフラグメントまたは改変体の特定のエピトープに特異的または選択的に結合する参照抗体の結合を競合的に阻害するか、またはIGF−1R、または上述のフラグメントまたは改変体の少なくとも1つのエピトープに、親和性を特徴づける解離定数(KD)が、5×10−2M未満、10−2M未満、5×10−3M未満、10−3M未満、5×10−4M未満、10−4M未満、5×10−5M未満、10−5M未満、5×10−6M未満、10−6M未満、5×10−7M未満、10−7M未満、5×10−8M未満、10−8M未満、5×10−9M未満、10−9M未満、5×10−10M未満、10−10M未満、5×10−11M未満、10−11M未満、5×10−12M未満、10−12M未満、5×10−13M未満、10−13M未満、5×10−14M未満、10−14M未満、5×10−15M未満または10−15M未満で結合する。
特定の態様では、IGF−1R結合部分は、マウスIGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントよりも、ヒトIGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに選択的に結合する。別の特定の態様では、IGF−1R結合部分は、1つ以上のIGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、1つ以上の哺乳動物IGF−1Rポリペプチド)に選択的に結合するが、インスリン受容体(InsR)ポリペプチドには結合しない。ある実施形態では、本発明の結合分子の結合部分は、InsRと交差反応しない。
特定の実施形態では、結合部分は、5×10−2秒−1以下、10−2秒−1以下、5×l0−3秒−1以下、またはl0−3秒−1以下の解離速度(k(off))で、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントまたは改変体に結合する。または、IGF−1R結合部分は、5×10−4秒−1以下、10−4秒−1以下、5×10−5秒−1以下、または10−5秒−1以下、5×10−6秒−1以下、10−6秒−1以下、5×10−7秒−1以下、または10−7秒−1以下の解離速度(k(off))で、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントまたは改変体に結合する。他の実施形態では、IGF−1R結合部分は、103M−1秒−1以上、5×103M−1秒−1以上、104M−1秒−1以上、または5×104M−1秒−1以上の結合速度(k(on))で、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントまたは改変体に結合する。または、IGF−1R結合部分は、105M−1秒−1以下、5×105M−1秒−1以下、106M−1秒−1以下、または5×106M−1秒−1以下、または107M−1秒−1以下の結合速度(k(on))で、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントまたは改変体に結合する。
種々の実施形態では、IGF−1R結合部分は、IGF−1R活性を拮抗する作用がある。特定の実施形態では、例えば、腫瘍細胞で発現するIGF−1Rに対し、IGF−1R結合部分が結合すると、以下の活性のうち、少なくとも1つを示す。インスリン成長因子(例えば、IGF−1、またはIGF−2、またはIGF−1とIGF−2の両方)がIGF−1Rに結合するのを阻害する;IGF−1Rの内在化を促進し、シグナル変換能を阻害する;IGF−1Rのリン酸化を阻害する;IGF−1Rシグナル変換経路の下流にある分子(例えば、Aktまたはp42/44 MAPK)のリン酸化を阻害する;腫瘍細胞の増殖を阻害する;腫瘍細胞の運動を阻害する;および/または腫瘍細胞の転移を阻害する。
ある実施形態では、結合部分は、IGF−1R抗体分子の重鎖または軽鎖にCDRを少なくとも1箇所含む。別の実施形態では、結合部分は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも2箇所のCDRを含む。別の実施形態では、結合部分は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも3箇所のCDRを含む。別の実施形態では、結合部分は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも4箇所のCDRを含む。別の実施形態では、結合部分は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも5箇所のCDRを含む。別の実施形態では、結合部分は、1種以上の抗体分子に由来する、少なくとも6箇所のCDRを含む。本発明の目的のIGF−1R結合部分(または結合分子)に含まれ得るCDRの例を本明細書に記載している(例えば、表3および表4を参照)。
目的のIGF−1R抗体分子(または結合部分)に、少なくとも1箇所のCDRが含み得る抗体分子の例を本明細書に記載している。特定の実施形態では、重鎖および/または軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を調査し、当該技術分野で周知の方法によって、相補性決定領域(CDR)の配列を特定してもよい(例えば、他の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の既知のアミノ酸配列と比較し、配列の超可変性を決定する)。一般的な組み換えDNA技術を用い、1つ以上のCDRをフレームワーク領域に挿入してもよい(例えば、ヒトフレームワーク領域に挿入し、非ヒト抗体をヒト化する)。フレームワーク領域は、天然のものであっても、またはコンセンサスフレームワーク領域であってもよく、好ましくは、ヒトフレームワーク領域である(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストは、Chothiaら、J.Mol.Biol.278:457−479(1998)を参照)。好ましくは、フレームワーク領域とCDRとを組み合わせて作成したポリヌクレオチドは、所望のポリペプチド(例えばIGF−1R)の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換を、フレームワーク領域内で実施してよく、好ましくは、このアミノ酸置換によって、抗原への抗体の結合性が高まる。さらに、この方法を使用し、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つ以上の可変領域にあるシステイン残基のアミノ酸を置換するか、または欠失させ、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合を欠いた抗体分子を作成してもよい。ポリヌクレオチドに対する他の改変も本発明に包含され、当該技術分野の技術の範囲内である。
ある実施形態では、本発明は、結合分子または結合部分をコードするポリヌクレオチドの単離物を与える。このポリヌクレオチドは、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)をコードする核酸を含むか、核酸から本質的になるか、または核酸からなり、この重鎖可変領域の少なくとも1個のCDR、またはこの重鎖可変領域の少なくとも2個のCH−CDRが、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する重鎖のVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一である。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含んでいてもよい。あるいは、VHのVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3領域は、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する重鎖のVH−CDR1、VH−CDR2およびVH−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一である。したがって、この実施形態によれば、重鎖可変領域(例えば、本発明の結合分子または結合部分の重鎖可変領域)は、表3に示したポリペプチド配列に関連する、VH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3のポリペプチド配列を有する。
当該技術分野で知られているように、2個のポリペプチド間または2個のポリヌクレオチド間の「配列同一性」は、片方のポリペプチドまたはポリヌクレオチドのアミノ酸配列または核酸配列と、第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列とを比較することによって決される。本明細書で記載する場合、任意の特定のポリペプチドが、別のポリペプチドと少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%同一であることは、当該技術分野で既知の方法およびコンピュータプログラム/ソフトウェアを用いて決定することができる(例えば、限定されないが、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for Unix, Genetics Computer Group、University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711))。BESTFITは、SmithおよびWaterman、Advances in Applied Mathematics 2:482−489(1981)の局所同一性アルゴリズムを使用し、2個の配列間の同一性が最も良好な部分を見つける。特定の配列が、例えば、本発明の参照配列と95%同一であることを決定するために、BESTFITまたは任意のほかの配列アラインメントプログラムを用いる場合、言うまでもなく、参照ポリペプチド配列の全長にわたって同一性の%を算出し、参照配列の全アミノ酸数の5%までの同一性ギャップを許容するようにパラメーターを設定する。
特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。特定の実施形態では、VHポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、このヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を変えることなく、配列が変更されている。例えば、所与の種でのコドン使用頻度を改良し、スプライス部分を除去するか、または制限酵素部位を除去するように、この配列が変更されてもよい。このような配列最適化法は、実施例に記載されており、周知であり、当業者が一般的に実施している方法である。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)をコードする核酸を含むか、この核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチド単離物を与える。ここで、VH−CDR1領域、VH−CDR2領域またはVH−CDR3領域は、表3に示したVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3の群と同一のポリペプチド配列を有する。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリペプチドがコードするVHを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVHを含むか、またはこのVHから本質的になるか、またはこのVHからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01およびM12−G04からなる群から選択される参照モノクローナルFab抗体フラグメント、またはハイブリドーマが産生するP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される参照モノクローナル抗体と同じIGF−1Rエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはこのようなモノクローナル抗体または抗体フラグメントが、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVHを含むか、またはこのVHから本質的になるか、またはこのVHからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するか、または選択的に結合し、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合するか、または選択的に結合し、親和性を特徴づける解離定数(KD)は、約5×10−2M以下、約10−2M以下、約5×10−3M以下、約10−3M以下、約5×10−4M以下、約10−4M以下、約5×10−5M以下、約10−5M以下、約5×10−6M以下、約10−6M以下、約5×10−7M以下、約10−7M以下、約5×10−8M以下、約10−8M以下、約5×10−9M以下、約10−9M以下、約5×10−10M以下、約10−10M以下、約5×10−11M以下、約10−11M以下、約5×10−12M以下、約10−12M、約5×10−13M以下、約10−13M以下、約5×10−14M以下、約10−14M以下、約5×10−15M以下または約10−15M以下である。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域(VL)を含むか、VLから本質的になるか、VLからなる、ポリヌクレオチドの単離物を提供する。ここで、軽鎖可変領域の少なくとも1箇所のVL−CDR、または軽鎖可変領域の少なくとも2個のVL−CDRが、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する軽鎖のVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同一である。あるいは、VLのVL−CDR1領域、VL−CDR2領域およびVL−CDR3領域は、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する軽鎖のVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同一である。したがって、この実施形態によれば、軽鎖可変領域(例えば、本発明の結合分子または結合部分の軽鎖可変領域)は、表4に示したポリペプチド配列に関連する、VL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3のポリペプチド配列を有する。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、核酸から本質的になるか、または核酸からなる、ポリヌクレオチド単離物を与える。ここで、VL−CDR1領域、VL−CDR2領域またはVL−CDR3領域は、表4に示したVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3の群と同一である。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含む結合分子(または結合部分)は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
さらなる態様では、本発明は、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、核酸から本質的になるか、または核酸からなる、ポリヌクレオチド単離物を与える。ここで、VL−CDR1領域、VL−CDR2領域またはVL−CDR3領域は、表4に示したVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3をコードするヌクレオチド配列と同じヌクレオチド配列を有する。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVLを含むか、またはこのVLから本質的になるか、またはこのVLからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01およびM12−G04からなる群から選択される参照モノクローナルFab抗体フラグメント、またはハイブリドーマが産生するP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される参照モノクローナル抗体と同じIGF−1Rエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはこのようなモノクローナル抗体または抗体フラグメントが、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のVHポリペプチドを含むか、このVHポリペプチドから本質的になるか、またはこのVHポリペプチドからなる、抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するか、または選択的に結合し、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合するか、または選択的に結合し、親和性を特徴づける解離定数(KD)は、約5×10−2M以下、約10−2M以下、約5×10−3M以下、約10−3M以下、約5×10−4M以下、約10−4M以下、約5×10−5M以下、約10−5M以下、約5×10−6M以下、約10−6M以下、約5×10−7M以下、約10−7M以下、約5×10−8M以下、約10−8M以下、約5×10−9M以下、約10−9M以下、約5×10−10M以下、約10−10M以下、約5×10−11M以下、約10−11M以下、約5×10−12M以下、約10−12M以下、約5×10−13M以下、約10−13M以下、約5×10−14M以下、約10−14M以下、約5×10−15M以下または約10−15M以下である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58および63からなる群から選択される参照VHポリペプチド配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるVHをコードする核酸を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の態様では、本発明は、配列番号4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58および63からなる群から選択されるポリペプチド配列を有するVHをコードする核酸配列を含むか、またはこの核酸配列から本質的になるか、またはこの核酸配列からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号3、8、13、18、19、24、25、30、31、36、37、42、47、52、57および62からなる群から選択される参照核酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるVHをコードする核酸を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の態様では、本発明は、本発明のVHをコードする核酸配列を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。ここで、VHのアミノ酸配列は、配列番号4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58および63からなる群から選択される。さらに、本発明は、本発明のVHをコードする核酸配列を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。ここで、この核酸の配列は、配列番号3、8、13、18、19、24、25、30、31、36、37、42、47、52、57および62からなる群から選択される。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVHを含む結合部分または結合分子は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVHを含むか、このVHから本質的になるか、またはこのVHからなる、抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01およびM12−G04からなる群から選択される参照モノクローナルFab抗体フラグメント、またはハイブリドーマが産生するP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される参照モノクローナル抗体と同じIGF−1Rエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはこのようなモノクローナル抗体または抗体フラグメントが、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害するか、またはこのようなモノクローナル抗体が、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVHを含むか、またはこのVHから本質的になるか、またはこのVHからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合するか、または選択的に結合し、親和性を特徴づける解離定数(KD)は、約5×10−2M以下、約10−2M以下、約5×10−3M以下、約10−3M以下、約5×10−4M以下、約10−4M以下、約5×10−5M以下、約10−5M以下、約5×10−6M以下、約10−6M以下、約5×10−7M以下、約10−7M以下、約5×10−8M以下、約10−8M以下、約5×10−9M以下、約10−9M以下、約5×10−10M以下、約10−10M以下、約5×10−11M以下、約10−11M以下、約5×10−12M以下、約10−12M以下、約5×10−13M以下、約10−13M以下、約5×10−14M以下、約10−14M以下、約5×10−15M以下または約10−15M以下である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号68、73、78、83、88、93、98、103、108、113および118からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む参照VLポリペプチド配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるVLをコードする核酸を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。さらなる実施形態では、本発明は、配列番号67、72、77、82、87、92、97、102、107、112および117からなる群から選択される参照核酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるVLをコードする核酸を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含む結合部分または結合分子は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の態様では、本発明は、配列番号68、73、78、83、88、93、98、103、108、113および118からなる群から選択されるポリペプチド配列を有するVLをコードする核酸配列を含むか、またはこの核酸配列から本質的になるか、またはこの核酸配列からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。さらに、本発明は、本発明のVLをコードする核酸配列を含むか、またはこの核酸から本質的になるか、またはこの核酸からなるポリヌクレオチドの単離物を含む。ここで、この核酸の配列は、配列番号67、72、77、82、87、92、97、102、107、112および117からなる群から選択される。したがって、本発明の結合部分(または結合分子)は、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含んでいてもよい。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVLを含む結合分子または結合部分は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVLを含むか、またはこのVLから本質的になるか、またはこのVLからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01およびM12−G04からなる群から選択される参照モノクローナルFab抗体フラグメント、またはハイブリドーマが産生するP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される参照モノクローナル抗体と同じIGF−1Rエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはこのようなモノクローナル抗体または抗体フラグメントが、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVHを含むか、またはこのVHから本質的になるか、またはこのVHからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合するか、または選択的に結合し、親和性を特徴づける解離定数(KD)は、約5×10−2M以下、約10−2M以下、約5×10−3M以下、約10−3M以下、約5×10−4M以下、約10−4M以下、約5×10−5M以下、約10−5M以下、約5×10−6M以下、約10−6M以下、約5×10−7M以下、約10−7M以下、約5×10−8M以下、約10−8M以下、約5×10−9M以下、約10−9M以下、約5×10−10M以下、約10−10M以下、約5×10−11M以下、約10−11M以下、約5×10−12M以下、約10−12M以下、約5×10−13M以下、約10−13M以下、約5×10−14M以下、約10−14M以下、約5×10−15M以下または約10−15M以下である。
上述のいずれのポリヌクレオチドも、例えば、コードされたポリペプチド、本明細書に記載の抗体の定常領域、または本明細書に記載の他の異種ポリペプチドを分泌させるシグナルペプチドをコードする、さらなる核酸を含んでもよい。
さらに、本明細書の他の部分で詳細に記載するように、本発明は、上述の1つ以上のポリヌクレオチドを含む組成物を含む。ある実施形態では、本発明は、第1のポリヌクレオチドと、第2のポリヌクレオチドとを含む組成物を含み、第1のポリヌクレオチドは、本明細書に記載のVHポリペプチドをコードし、第2のポリヌクレオチドは、本明細書に記載のVLポリペプチドをコードする。特に、VHポリヌクレオチドおよびVLポリヌクレオチドを含むか、これらのポリヌクレオチドから本質的になるか、またはこれらのポリペプチドからなる組成物。ここで、VHポリヌクレオチドおよびVLポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号4および68、8および73、14および78、20および83、26および88、32および93、38および98、43および103、48および108、53および103、58および113、ならびに63および118からなる群から選択される参照VLおよび参照VLポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一なポリペプチドをコードする。または、それぞれ、配列番号3および67、8および72、13および77、18および77、19および82、24および82、25および87、30および87、31および92、36および92、37および97、42および102、47および107、58および102、57および112、ならびに62および117からなる群から選択される参照VLおよび参照VL核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一なVLポリヌクレオチドを含むか、これらのポリヌクレオチドから本質的になるか、またはこれらのポリペプチドからなる組成物。特定の実施形態では、上述のポリヌクレオチドがコードするVHおよびVLを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、またはIGF−1Rに選択的に結合する。
このポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の任意の方法で製造されてもよい。例えば、抗体のヌクレオチド配列が既知の場合、抗体をコードするポリヌクレオチドを、化学合成によって得たオリゴヌクレオチドからアセンブリしてもよく(例えば、Kutmeierら、BioTechniques 17:242(1994)に記載)、簡単に説明すると、抗体をコードする配列の一部分を含有するオーバーラッピングオリゴヌクレオチドを合成する工程と、このオリゴヌクレオチドをアニーリングし、接続する工程と、接続したオリゴヌクレオチドをPCRによって増幅させる工程とを含む。
あるいは、IGF−1R抗体をコードするポリヌクレオチド、または抗原結合性を保持したフラグメント、その改変体または誘導体は、好適な供給源から得た核酸から作成してもよい。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンは入手できないが、抗体分子の配列は分かっている場合、この抗体をコードする核酸を化学合成してもよく、または好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリ、またはこのライブラリから作成したcDNAライブラリ、またはこの抗体または他のIGF−1R抗体を発現する任意の組織または細胞(例えば、抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞)から単離した核酸、好ましくは、poly A+RNA)から、上述の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いたPCR増幅によって得てもよいし、特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いてクローン化し、例えば上述の抗体または他のIGF−1R抗体をコードするDNAライブラリから得たcDNAクローンを特定することによって得てもよい。PCRによって作成された、増幅された核酸を、当該技術分野で周知の任意の方法を用い、この核酸を複製可能なクローン化ベクターへクローン化してもよい。
IGF−1R抗体、または抗原結合性を保持したフラグメント、その改変体または誘導体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を決定したら、ヌクレオチド配列を操作する技術分野で周知の方法(例えば、組み換えDNA技術、部位特異的な変異、PCRなど)を用い、そのヌクレオチド配列を操作し(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)およびAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1998)に記載されている方法を参照(この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる))、異なるアミノ酸配列を有する抗体を作成してもよい(例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または挿入を行う)。
IGF−1R結合分子をコードするポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドで構成されていてもよく、改変されたRNAまたはDNAであってもよく、改変されていないRNAまたはDNAであってもよい。例えば、IGF−1R結合分子をコードするポリヌクレオチドは、単鎖DNAおよび二本鎖DNA、単鎖領域と二本鎖領域との混合物であるDNA、単鎖RNAおよび二本鎖RNA、単鎖領域と二本鎖領域との混合物であるRNA、DNAとRNAとを含むハイブリッド分子で構成されていてもよく、このハイブリッド分子は、単鎖であってもよく、さらに典型的には二本鎖であってもよく、単鎖領域と二本鎖領域との混合物であってもよい。それに加え、IGF−1R結合分子をコードするポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAを含むか、またはRNAとDNAとの両方を含む三本鎖領域で構成されていてもよい。IGF−1R結合分子をコードするポリヌクレオチドは、安定性または他の理由のために、1箇所以上の改変された塩基を含有していてもよく、または改変されたDNA骨格またはRNA骨格を含有していてもよい。「改変された」塩基としては、例えば、トリチル化塩基、およびイノシンのような一般的ではない塩基が挙げられる。DNAおよびRNAに対し、種々の改変がなされてもよい。このように、「ポリヌクレオチド」は、化学的に改変された形態、酵素によって改変された形態、または代謝によって改変された形態を包含する。
免疫グロブリン(例えば、免疫グロブリンの重鎖部分または軽鎖部分)に由来するポリペプチドの非天然改変体をコードするポリヌクレオチドの単離物は、免疫グロブリンのヌクレオチド配列に対し、1個以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失を導入し、1個以上の置換、付加または欠失が、コードされるタンパク質に導入されることによって作成してもよい。突然変異は、部位特異的な変異およびPCRによる変異のような標準的な技術によって導入してもよい。好ましくは、アミノ酸の同類置換は、1つ以上の非必須アミノ酸残基で行われる。
本発明は、IGF−1R抗体を構成するポリペプチドの単離物、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにも関する。本発明のIGF−1R結合分子は、ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン分子に由来する、IGF−1Rに特異的な抗原結合領域をコードするアミノ酸配列)を含む。所定のタンパク質「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドの起源が何であるかを示す。特定の場合、特定のポリペプチド原料または原料のアミノ酸配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸の配列は、原料の配列またはその一部分と本質的に同一のアミノ酸配列を有し、この部分は、少なくとも10〜20アミノ酸、少なくとも20〜30アミノ酸、または少なくとも30〜50アミノ酸で構成されているか、または当業者が、他の方法を用いて、原料の配列に由来することを同定可能である数のアミノ酸で構成される。
ある実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)を含むか、VHから本質的になるか、またはVHからなるポリペプチドの単離物を提供する。ここで、重鎖可変領域の少なくとも1箇所のVH−CDR、または重鎖可変領域の少なくとも2箇所のVH−CDRが、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する重鎖のVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同一である。あるいは、VHのVH−CDR1領域、VH−CDR2領域およびVH−CDR3領域は、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する重鎖のVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同一である。このように、この実施形態によれば、本発明の重鎖可変領域は、表3(前出)に示す群に関連するVH−CDR1、VH−CDR2およびVH−CDR3のポリペプチド配列を含む。表3には、Kabatシステムで定義されたCH−CDRが示されているが、他のCDRの定義、例えば、Chothiaシステムで定義されたVH−CDRも、本発明に含まれる。特定の実施形態では、VHを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)を含むか、VHから本質的になるか、またはVHからなるポリペプチドの単離物を提供する。ここで、VH−CDR1領域、VH−CDR2領域およびVH−CDR3領域は、表3に示したVH−CDR1、VH−CDR2およびVH−CDR3と同一のポリペプチド配列を有する。特定の実施形態では、VHを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)を含むか、VHから本質的になるか、またはVHからなるポリペプチドの単離物を提供する。ここで、VH−CDR1領域、VH−CDR2領域およびVH−CDR3領域は、表3に示したVH−CDR1、VH−CDR2およびVH−CDR3と同一のポリペプチド配列を有するが、任意の1つのVH−CDRで、1個、2個、3個、4個、5個または6個のアミノ酸が置換されている。さらに大きなCDR(例えば、VH−CDR−3)では、VH−CDRを含むVHが、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する限り、CDR内でさらに置換されていてもよい。特定の実施形態では、アミノ酸置換は、同類置換である。特定の実施形態では、VHを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58および63からなる群から選択される参照VHポリペプチドのアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるVHポリペプチドを含むか、またはこのVHポリペプチドから本質的になるか、またはこのVHポリペプチドからなるポリペプチドの単離物を含む。特定の実施形態では、VHポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の態様では、本発明は、配列番号4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58および63からなる群から選択されるVHポリペプチドを含むか、またはこのVHポリペプチドから本質的になるか、またはこのVHポリペプチドからなるポリペプチドの単離物を含む。特定の実施形態では、VHポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のVHポリペプチドを含むか、このVHポリペプチドから本質的になるか、またはこのVHポリペプチドからなる、抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01およびM12−G04からなる群から選択される参照モノクローナルFab抗体フラグメント、またはハイブリドーマが産生するP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される参照モノクローナル抗体と同じIGF−1Rエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはこのようなモノクローナル抗体または抗体フラグメントが、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のVHポリペプチドを含むか、このVHポリペプチドから本質的になるか、またはこのVHポリペプチドからなる、抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するか、選択的に結合するか、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合するか、または選択的に結合し、親和性を特徴づける解離定数(KD)は、約5×10−2M以下、約10−2M以下、約5×10−3M以下、約10−3M以下、約5×10−4M以下、約10−4M以下、約5×10−5M以下、約10−5M以下、約5×10−6M以下、約10−6M以下、約5×10−7M以下、約10−7M以下、約5×10−8M以下、約10−8M以下、約5×10−9M以下、約10−9M以下、約5×10−10M以下、約10−10M以下、約5×10−11M以下、約10−11M以下、約5×10−12M以下、約10−12M以下、約5×10−13M以下、約10−13M以下、約5×10−14M以下、約10−14M以下、約5×10−15M以下または約10−15M以下である。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域(VL)を含むか、VLから本質的になるか、またはVLからなるポリペプチドの単離物を提供する。ここで、軽鎖可変領域の少なくとも1箇所のVL−CDR、または重鎖可変領域の少なくとも2箇所のVL−CDRが、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する軽鎖のVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同一である。あるいは、VLのVL−CDR1領域、VL−CDR2領域およびVL−CDR3領域は、本明細書に開示したモノクローナルIGF−1R抗体に由来する軽鎖のVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3の参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同一である。このように、この実施形態によれば、本発明の軽鎖可変領域は、表4(前出)に示す群に関連するVL−CDR1、VL−CDR2およびVL−CDR3のポリペプチド配列を含む。表4には、Kabatシステムで定義されたCL−CDRが示されているが、他のCDRの定義、例えば、Chothiaシステムで定義されたVL−CDRも、本発明に含まれる。特定の実施形態では、VLポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域(VL)を含むか、VLから本質的になるか、またはVLからなるポリペプチドの単離物を提供する。ここで、VL−CDR1領域、VL−CDR2領域およびVL−CDR3領域は、表4に示したVL−CDR1、VL−CDR2およびVL−CDR3と同一のポリペプチド配列を有する。特定の実施形態では、VLポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VL)を含むか、VLから本質的になるか、またはVLからなるポリペプチドの単離物を提供する。ここで、VL−CDR1領域、VL−CDR2領域およびVL−CDR3領域は、表4に示したVL−CDR1、VL−CDR2およびVL−CDR3と同一のポリペプチド配列を有するが、任意の1つのVL−CDRで、1個、2個、3個、4個、5個または6個のアミノ酸が置換されている。さらに大きなCDRでは、VL−CDRを含むVLが、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する限り、CDR内でさらに置換されていてもよい。特定の実施形態では、アミノ酸置換は、同類置換である。特定の実施形態では、VLを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号68、73、78、83、88、93、98、103、108、113および118からなる群から選択されるVLポリペプチド配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるVLポリペプチドを含むか、またはこのVLポリペプチドら本質的になるか、またはこのVLポリペプチドからなるポリペプチドの単離物を含む。特定の実施形態では、VLポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
別の態様では、本発明は、配列番号68、73、78、83、88、93、98、103、108、113および118からなる群から選択されるVHポリペプチドを含むか、またはこのVHポリペプチドから本質的になるか、またはこのVHポリペプチドからなるポリペプチドの単離物を含む。特定の実施形態では、VLポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のVLポリペプチドを含むか、このVLポリペプチドから本質的になるか、またはこのVLポリペプチドからなる、抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01およびM12−G04からなる群から選択される参照モノクローナルFab抗体フラグメント、またはハイブリドーマが産生するP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される参照モノクローナル抗体を基準とし、これと同じIGF−1Rエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはこのようなモノクローナル抗体または抗体フラグメントが、IGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する。
特定の実施形態では、上述の1つ以上のポリヌクレオチドがコードするVLを含むか、またはこのVLから本質的になるか、またはこのVLからなる抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するか、または選択的に結合するか、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合するか、または選択的に結合するか、親和性を特徴づける解離定数(KD)は、約5×10−2M以下、約10−2M以下、約5×10−3M以下、約10−3M以下、約5×10−4M以下、約10−4M以下、約5×10−5M以下、約10−5M以下、約5×10−6M以下、約10−6M以下、約5×10−7M以下、約10−7M以下、約5×10−8M以下、約10−8M以下、約5×10−9M以下、約10−9M以下、約5×10−10M以下、約10−10M以下、約5×10−11M以下、約10−11M以下、約5×10−12M以下、約10−12M以下、約5×10−13M以下、約10−13M以下、約5×10−14M以下、約10−14M以下、約5×10−15M以下または約10−15M以下である。
他の実施形態では、本発明は、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを含むか、これらのポリペプチドから本質的になるか、またはこれらのポリペプチドからなる、結合部分または結合分子に関する。ここで、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドは、それぞれ、配列番号4および68、8および73、14および78、20および83、26および88、32および93、38および98、43および103、48および108、53および103、58および113,ならびに63および118からなる群から選択されるVLポリペプチドおよびVLポリペプチドの参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一である。特定の実施形態では、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを含む抗体または抗原結合性を保持したフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
上述のポリペプチドは、さらなるポリペプチドを含んでいてもよい(例えば、コードされるポリペプチドを直接分泌させるシグナルペプチド、本明細書に記載の抗体定常領域、または本明細書に記載の異種ポリペプチド)。
さらに、本明細書の他の箇所で詳細に記載しているように、本発明は、上述のポリペプチドを含む結合部分または結合分子を含む。
本明細書に開示するIGF−1R抗体ポリペプチドを、天然の結合ポリペプチドに由来するアミノ酸配列とは異なるように改変してもよいこと当業者は理解するであろう。例えば、所定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、原料の配列に類似していてもよく、例えば、特定の同一性を有していてもよく、例えば、原料の配列との同一性が60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%であってもよい。
さらに、「非必須」アミノ酸領域で同類置換または変化が生じるように、ヌクレオチドまたはアミノ酸を置換、欠失または挿入してもよい。例えば、所定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸の配列は、1個以上の個々のアミノ酸の置換、挿入または欠失、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個またはそれ以上の個々のアミノ酸の置換、挿入または欠失がある以外は、原料の配列と同一であってもよい。他の実施形態では、所定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、11個以下、12個以下の個々のアミノ酸の置換、挿入または欠失がある以外は、原料の配列と同一であってもよい。特定の実施形態では、所定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、原料の配列に対し、1〜5個、1〜10個、1〜15個、または1〜20個の個々のアミノ酸の置換、挿入または欠失があってもよい。
本発明の特定のIGF−1R結合部分または結合分子は、ヒトアミノ酸配列を含むヒトポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含むか、このアミノ酸配列から本質的になるか、またはこのアミノ酸配列からなる。しかし、特定のIGF−1R抗体のポリペプチドは、別の哺乳動物種に由来する1個以上の連続したアミノ酸を含む。例えば、本発明のIGF−1R抗体は、霊長類の重鎖部分、ヒンジ部分、または抗原結合領域を含んでもよい。別の例では、1個以上のマウスに由来するアミノ酸が、非マウス抗体のポリペプチド(例えば、IGF−1R抗体の抗原結合部位)中に存在してもよい。別の例では、IGF−1R抗体の抗原結合部位は、完全にマウスである。特定の治療用途では、IGF−1Rに特異的な抗体、または抗原結合性を保持したフラグメント、またはその改変体または類似体は、抗体が投与される動物において免疫原性でないように設計されている。
特定の実施形態では、IGF−1R結合部分または結合分子は、通常は、抗体と結合しないアミノ酸配列または1個以上の部分を含む。改変の例は、以下に詳細に説明される。例えば、本発明の単鎖Fv抗体フラグメントは、可とう性リンカー配列を含んでいてもよく、または、機能的な部分(例えば、PEG、薬物、毒素または標識)を付加するように改変されていてもよい。
本発明のIGF−1R結合部分または結合分子は、融合タンパク質を含むか、融合タンパク質から本質的になるか、または融合タンパク質からなってもよい。融合タンパク質は、例えば、少なくとも1つの標的結合部位を有する免疫グロブリンの抗原結合領域と、少なくとも1つの異種部分(すなわち、天然では接続していない部分)とを含むキメラ分子である。このアミノ酸配列は、通常は、合わさって融合ポリペプチドをもたらす別個のタンパク質に存在してもよく、または、このアミノ酸配列は、同じタンパク質に存在するが、融合ポリペプチドでは新しい配列で配置されていてもよい。融合タンパク質は、例えば、化学合成によって作成されてもよく、またはペプチド領域が所望の関係性でコードされるポリヌクレオチドを作成し、翻訳することによって作成されてもよい。
用語「異種」は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに適用される場合、そのポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、比較対象となる残りの部分とは別個の部分に由来するものであることを意味する。例えば、本明細書で使用するとき、IGF−1R結合部分に融合する「異種ポリペプチド」は、同じ種類の免疫グロブリンではないポリペプチドに由来するか、または異なる種類の免疫グロブリンまたは免疫グロブリンではないポリペプチドに由来する。
「アミノ酸の同類置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基と交換したものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基は、当該技術分野で定義されている。この分類には、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷をもたない極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝を有する側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。このように、免疫グロブリンポリペプチドの非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖のグループの別のアミノ酸残基と交換される。別の実施形態では、アミノ酸の鎖は、側鎖のグループの順序および/または組成が異なる、構造的に類似した鎖と交換されていてもよい。
あるいは、別の実施形態では、免疫グロブリンのコード配列全体または一部分に、無作為に変異が導入されてもよく(例えば、飽和突然変異誘発)、本明細書に開示した診断方法および治療方法で使用するために、得られた変異体を、IGF−1R抗体に組み込んでもよく、所望の抗原(例えば、IGF−1R)に結合する能力についてスクリーニングしてもよい。
さらに他の実施形態では、本発明の範囲内にある結合部分または結合分子としては、核酸、ペプチド、ペプチド模倣物、デンドリマー、および本明細書に記載のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する他の分子が挙げられる。ある実施形態では、結合分子は、核酸、ペプチド、ペプチド模倣物、デンドリマー、または本明細書に記載のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する他の分子である結合部位を含む。例えば、本発明の結合分子または結合部分としては、本明細書に記載のIGF−1Rエピトープに対し、高親和性で結合可能な核酸分子(例えば、小分子RNAまたはアプタマー)が挙げられる。所望の特異性を有する核酸分子を選別する方法またはスクリーニングする方法は、当該技術分野でよく知られている(例えば、EllingtonおよびSzostak、Nature 346:818(1990)、TuerkおよびGold、Science 249:505(1990)、米国特許第5,582,981号、PCT出願公開WO 00/20040号、米国特許第5,270,163号、LorschおよびSzostak、Biochemistry、33:973(1994)、Mannironiら、Biochemistry 36:9726(1997)、Blind,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 96:3606−3610(1999)、HuizengaおよびSzostak、Biochemistry、34:656−665(1995)、PCT出願公開WO 99/54506号、WO 99/27133号、WO 97/42317号および米国特許第5,756,291号を参照)。当該技術分野でよく知られているスクリーニング方法の例は、SELEX法である(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment、例えば、米国特許第5,270,163号および第5,567,588号を参照。この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。
別の実施形態では、本発明の結合分子または結合部分は、模倣物(例えば、ペプチド模倣物)である。当該技術分野では、種々の構造を有する多くのペプチド模倣物が知られている。例えば、WO 00/68185号には、特定のタンパク質のらせん部分を模倣したペプチド模倣物が開示されている。別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の結合ポリペプチド(例えば、抗体)の結合部位(例えば、CDR、抗原結合部位またはパラトープ)の三次元構造を模倣した化合物または分子に関する。本明細書で使用するとき、用語「模倣する」は、模倣物の原子と、抗原結合部位またはエピトープの原子との間で、イオン力、共有結合力、ファンデルワールス力または他の力が類似しているか、電荷の相補性が類似しているか、または静電的に相補性を有しているような、模倣物の原子の三次元位置、および/または模倣物が、本明細書に記載の結合ポリペプチドとして、抗原のエピトープ(例えば、IGF−1Rエピトープ)と似た結合親和性を有するような、模倣物の原子の三次元位置、および/または模倣物が、インビトロまたはインビボで、抗原の機能に対し、よく似た効果を示すような、模倣物の原子の三次元位置を意味する。結合部位を模倣する化合物または模倣物を単離する方法またはスクリーニングする方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、抗イディオタイプ抗体を使用することが可能であり、この抗イディオタイプ抗体は、本明細書に記載のIGF−1R結合ポリペプチド上にある固有のイディオタイプ決定基を認識する。このような決定基は、結合ポリペプチド内にある、特定のIGF−1Rに結合する結合部位(例えば、抗体の超可変領域)に位置している。目的の結合ポリペプチドで動物を免疫化し、結合部位のイディオタイプ決定基を認識する抗体を作成するように、抗イディオタイプ抗体を調製してもよい。第1の結合部位に合わせて作られた抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第1の結合部位が結合するエピトープのイメージである結合部位を有する。免疫化された動物の抗イディオタイプ抗体を用いて、同じイディオタイプを有する他の抗体を免疫化に使用する抗体として、同じものであると識別することができる。2種類の抗体のイディオタイプが同一であるとは、その2個の抗体が、同じエピトープを認識するという点では同じであるということを示す。したがって、抗イディオタイプ抗体を用いて、同じエピトープ結合特異性を有する他の抗体を特定することができる。抗イディオタイプ抗体が、第1の結合ポリペプチドが結合するエピトープのイメージであるため、そして、抗イディオタイプ抗体が、抗原として有効に働くため、この抗イディオタイプ抗体を使用し、小化学分子、ペプチドまたは他の分子のコンビナトリアルライブラリ(例えば、ペプチドファージディスプレイライブラリ)から模倣物を単離することができる(例えば、Scottら、Science、249:386−390(1990);Scottら、Curr.Opin.Biotechnol.、5:40−48(1992);Bonnycastleら、J.Mol.Biol.、258:747−762(1996)、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。例えば、ペプチドまたは拘束ペプチド模倣物(脂質、炭水化物または他の部分を有するものを含む)をクローン化してもよい(Harrisら、PNAS、94:2454−2459(1997)を参照)。
当該技術分野でよく知られた技術を用い、本明細書に開示した結合分子の核酸配列およびアミノ酸配列をもとに、および結合分子のX線結晶学またはNMRで決定した結合分子のアミノ酸の三次元配置または三次元構造をもとに、化合物または模倣物を設計することができる(例えば、米国特許第5,648,379号;Colmanら、Protein Science、3:1687−1696(1994);Malbyら、Structureら、2:733−746(1994);McCoyら、J.Mol.Biol.、268:570−584(1997);Pallaghyら、Biochemistry、34:3782−3794(1995)を参照。これらの内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。したがって、結合部位とIGF−1Rエピトープの2つの分子を含む結晶において、またはこの2つの分子を含有する溶液において、結合部位とIGF−1Rエピトープとの相互作用を分析することによって、本明細書に記載した結合部位または結合部分(例えば、パラトープ)の三次元構造を模倣する模倣物または分子を設計することができる。模倣物の原子と、抗原結合または部分の原子との間で、イオン力、共有結合力、ファンデルワールス力または他の力が類似しているか、または電荷の相補性が類似しているような原子の三次元位置によって、純粋な合成結合分子を設計することができる。これらのの模倣物を、抗原のエピトープに対する高い結合親和性、およびインビトロおよびインビボでのB細胞の機能の阻害性について、スクリーニングしてもよい。
(IV.IGF−1Rエピトープ)
(A.結合を競合的に阻害するエピトープ)
特定の実施形態では、IGF−1R結合部分は、IGF−1Rのエピトープに競合的に結合し、リガンド(例えば、IGF1および/またはIGF2)がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックし得る。このような結合特異性は、本明細書で「競合的に結合する部分」と呼ばれる。ある実施形態では、競合的に結合する部分は、IGF−1(IGF−2ではない)がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする。別の実施形態では、競合的に結合する部分は、IGF−2(IGF−1ではない)がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする。さらに別の実施形態では、競合的に結合する部分は、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする。
(A.結合を競合的に阻害するエピトープ)
特定の実施形態では、IGF−1R結合部分は、IGF−1Rのエピトープに競合的に結合し、リガンド(例えば、IGF1および/またはIGF2)がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックし得る。このような結合特異性は、本明細書で「競合的に結合する部分」と呼ばれる。ある実施形態では、競合的に結合する部分は、IGF−1(IGF−2ではない)がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする。別の実施形態では、競合的に結合する部分は、IGF−2(IGF−1ではない)がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする。さらに別の実施形態では、競合的に結合する部分は、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする。
結合分子は、リガンド(例えば、IGF)がIGF−1Rに結合するのを、リガンドの濃度に依存する様式で、阻害するか、またはブロックする(例えば、立体的にブロックする)程度まで、エピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合する場合、リガンドが結合するのを「競合的に阻害する」か、または「競合的にブロックする」と言われる。例えば、生化学的に測定する場合、所与の濃度の結合分子で競合的に阻害しようとしても、リガンドの濃度を高めることによって結合分子が負けてしまい、この場合には、リガンドが標的分子(例えば、IGF−1R)に結合する方が、結合分子が標的分子に結合するのよりも勝ってしまうことがある。いかなる特定の理論にも束縛されないが、結合分子が結合するエピトープが、リガンドの結合部位にあるか、またはリガンドの結合部位に近い場合に、競合が起こり、リガンドの結合が抑えられると考えられる。競合による阻害は、当該技術分野で周知の方法、および/または、例えば、競合ELISAアッセイを含む実施例に記載の方法で決定されてもよい。ある実施形態では、本発明の結合分子は、リガンドが所与のエピトープに結合するのを、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害する。
競合的なエピトープの例は、IGF−1Rの残基248〜303にあるCRR領域の中央領域およびC末端領域を包含する領域にあるエピトープである。IGF−1Rのこのエピトープは、L1領域のIGF−1/IGF−2リガンド結合部位に隣接している(三次元空間で)。このエピトープに競合的に結合する抗体の例は、M14−G11と呼ばれるヒト抗体である。M14−G11抗体は、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックすることが分かっている。M14−G11のFab抗体フラグメントを発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞株は、American Type Culture Collection(「ATCC」)に2006年8月29日に寄託されており、ATCC寄託番号PTA−7855が与えられている。
したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物で使用する結合部分は、M14−G11抗体と同じエピトープに競合的に結合し得る。例えば、結合部分は、M14−G11抗体を交差的にブロックする(すなわち、M14−G11抗体と競合的に結合する)抗体に由来していてもよく、またはM14−G11抗体の結合を他の方法で妨害する抗体に由来していてもよい。他の実施形態では、結合部分は、M14−G11抗体自体、またはそのフラグメント、改変体または誘導体を含んでいてもよい。他の実施形態では、結合部分は、抗原結合領域、可変領域(VLまたはVH)、またはこれらのCDRを含んでいてもよい。例えば、競合的に結合する部分は、M14−G11抗体の6個のCDR(すなわちCDR1〜6)をすべて含んでいてもよく、またはM14−G11抗体に由来する6個のCDRのうち、6個より少ないCDR(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のCDR)を含んでいてもよい。ある例示的な実施形態では、競合的な結合特異性は、M14−G11抗体に由来するCDR−H3を含む。
IGF−1Rの競合的なエピトープに結合する他の抗体を、当該技術分野で認識されている方法で特定してもよい。例えば、シグナル配列を含んでいない全長IGF−1Rの種々のフラグメントまたは全長IGF−1Rに対する抗体が製造されたら、抗体または抗原結合性を保持したフラグメントが、IGF−1Rのどのアミノ酸またはエピトープに結合するかは、本明細書に記載のエピトープマッピングプロトコル、および当該技術分野で既知の方法で決定してもよい(例えば、「Chapter 11 − Immunology」、Current Protocols in Molecular Biology,Ed.Ausubelら、v.2,John Wiley & Sons,Inc.(1996)に記載されているような、二重抗体−サンドイッチELISA)。さらなるエピトープマッピングプロトコルは、Morris,G.Epitope Mapping Protocols,New Jersey:Humana Press(1996)に記載されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。エピトープマッピングは、市販の手段(すなわち、ProtoPROBE,Inc.(ウィスコンシン州ミルウォーキー))で行ってもよい。さらに、IGF−1Rの競合的なエピトープに結合するように産生された抗体を、インスリン成長因子(例えば、IGF−1、IGF−2、またはIGF−1とIGF−2との両方)がIGF−1Rに結合するのを競合的に阻害する能力についてスクリーニングすることができる。実施例に詳細に記載する方法にしたがって、上述の性質および他の性質について、抗体をスクリーニングすることができる。
他の実施形態では、競合的にIGF−1Rに結合する部分は、IGF−1Rの残基248〜303に広がる(境界部のアミノ酸を含む)配列の少なくとも約4〜5個のアミノ酸を含むか、またはこれらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなる競合的なエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合する。例えば、ある実施形態では、競合的にIGF−1Rに結合する部分は、IGF−1Rの残基248〜303に広がる配列の少なくとも約7個、少なくとも9個、または少なくとも約15〜約30個のアミノ酸を含む。所与のエピトープのアミノ酸は、連続的であっても直鎖状であり得るが、必ずしもそうでなければならないわけではない。特定の実施形態では、競合的なエピトープは、細胞表面で発現するIGF−1RのCRR領域とL2領域との境界に形成される非直鎖状エピトープ、または例えば、IgG Fc領域に融合する可溶性フラグメントとしての非直鎖状エピトープを含むか、これらの非直鎖状エピトープから本質的になるか、またはこれらの非直鎖状エピトープからなる。このように、特定の実施形態では、IGF−1Rの競合的なエピトープは、IGF−1Rの残基248〜303に広がる配列の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個、または少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個または45個の連続したアミノ酸または非連続アミノ酸を含むか、これらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなる。非連続アミノ酸の場合、アミノ酸から、タンパク質が折りたたまれることによってエピトープを形成する。
他の実施形態では、結合部分が結合する競合的なエピトープは、IGF−1Rの連続したアミノ酸または非連続アミノ酸の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個、およびIGF−1Rのアミノ酸番号248、250、254、257、259、260、263、265、301および303からなる群から選択されるエピトープのアミノ酸のうち、少なくとも1つから本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなる。
他の実施形態では、本発明の結合部分が結合するアミノ酸は、IGF−1Rの残基248〜303に広がるエピトープ中に存在する。ある実施形態では、本発明の結合部分が結合するエピトープは、変異してしまうと、抗体の親和性が失われるか、または大きく低下する(例えば、親和性において、100分の1未満)、少なくとも1個のアミノ酸を含む(例えば、IGF−1Rの残基248および/または250)。 別の実施形態では、エピトープは、変異してしまうと、受容体に対する抗体の親和性の低下率が中程度である(野生型IGF−1RのKDと比較して、10倍≧KD≧100倍)、IGF−1Rの1個以上のアミノ酸を含んでもよい。さらに他の実施形態では、エピトープは、変異してしまうと、野生型IGF−1Rと比較して、抗体の親和性が少し低下する(例えば、2.5≧KD≧10nM)、IGF−1Rの1個以上のアミノ酸を含んでもよい(例えば、IGF−1Rの残基254、257、259、260、263、265、301または303のうち1つ以上)。好ましい実施形態では、本発明の結合部分に結合するエピトープは、IGF−1Rの残基248、250および/または254のうち任意の1個、任意の2個、または3個すべてを含む。特に好ましい実施形態では、競合的に結合する部分は、3種類のアミノ酸248、250および254すべてを含むエピトープに結合し、これらのアミノ酸残基を同時に認識する。
(B.結合をアロステリック効果によって阻害するエピトープ)
特定の実施形態では、結合部分は、アロステリックなエピトープに結合し、IGFリガンドがIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によって阻害してもよい。このような結合特異性は、本明細書で「アロステリックな結合部位」と呼ばれる。ある実施形態では、アロステリックな結合部位は、IGF−1(IGF−2ではない)がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする。別の実施形態では、アロステリックな結合部位は、IGF−2(IGF−1ではない)がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする。さらに別の実施形態では、アロステリックな結合部位は、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのアロステリック効果によってブロックする。
特定の実施形態では、結合部分は、アロステリックなエピトープに結合し、IGFリガンドがIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によって阻害してもよい。このような結合特異性は、本明細書で「アロステリックな結合部位」と呼ばれる。ある実施形態では、アロステリックな結合部位は、IGF−1(IGF−2ではない)がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする。別の実施形態では、アロステリックな結合部位は、IGF−2(IGF−1ではない)がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする。さらに別の実施形態では、アロステリックな結合部位は、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのアロステリック効果によってブロックする。
結合部位は、リガンド(例えば、IGF1および/またはIGF2)が、IGF−1Rに結合するのを、結合分子の濃度によらない形式で、阻害するか、またはブロックする程度まで、エピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合する場合、リガンドが結合するのを「アロステリック効果によって阻害する」または「アロステリック効果によってブロックする」と言われる。例えば、リガンドの濃度が高くなっても、阻害力に影響を与えない(例えば、IC50、つまり結合分子のリガンド最大阻害値の50%まで阻害値が低下する濃度)。任意の特定の理論によって束縛されないが、アロステリック効果による阻害は、アロステリックなエピトープに結合分子が結合することによって、標的分子(例えば、IGF−1R)に構造変化または力学的変化が誘発され、これによって標的に対するリガンドの親和性が低下する場合に起こると考えられる。アロステリック効果による阻害は、当該技術分野で周知の方法、および/または、例えば、競合ELISAアッセイを含む実施例に記載の方法で決定することができる。ある実施形態では、結合分子は、リガンドが所与のエピトープに結合するのを、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、アロステリック効果によって阻害し得る。
(i)IGF−1およびIGF−2の結合をアロステリック効果によってブロックするエピトープ
特定の例示的な実施形態では、本発明の結合部分は、IGF−1RのFnIII−1領域全体に広がる領域およびIGF−1Rの残基440〜586を含む領域に位置する、アロステリックなエピトープに結合する結合部分を含む。この領域内にあるエピトープにアロステリックに結合する抗体の例は、M13−C06およびM14−C03と命名されたヒト抗体である。M13−C06抗体も、M14−C03抗体も、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックすることが実施例で示されている。M13−C06およびM14−C03の全長抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞株は、American Type Culture Collection(「ATCC」)に2006年3月28日に寄託され、それぞれATCC寄託番号PTA−7444およびPTA−7445が与えられている。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物で使用する結合部分は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体と同じアロステリックなエピトープに結合し得る。例えば、結合特異性は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体を交差的にブロックする(これらの抗体と競合する)抗体によるものであってもよいし、またはM13−C06抗体またはM14−C03抗体の結合を他の方法で妨害する抗体によるものであってもよい。他の実施形態では、結合部分は、M13−C06抗体自体またはM14−C03抗体自体を含んでいてもよく、またはそのフラグメント、改変体または誘導体を含んでいてもよい。他の実施形態では、結合部分は、抗原結合領域、可変領域(VLおよび/またはVH)、またはこれらのCDRを含んでいてもよい。例えば、アロステリックな結合部分は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体の6個のCDR(すなわちCDR1〜6)をすべて含んでいてもよく、またはM13−C06抗体またはM14−C03抗体に由来する6個のうち、それより少ない数のCDR(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のCDR)を含んでいてもよい。ある例示的な実施形態では、アロステリックな結合特異性は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体に由来するCDR−H3を含む。
特定の例示的な実施形態では、本発明の結合部分は、IGF−1RのFnIII−1領域全体に広がる領域およびIGF−1Rの残基440〜586を含む領域に位置する、アロステリックなエピトープに結合する結合部分を含む。この領域内にあるエピトープにアロステリックに結合する抗体の例は、M13−C06およびM14−C03と命名されたヒト抗体である。M13−C06抗体も、M14−C03抗体も、IGF−1およびIGF−2の両方がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックすることが実施例で示されている。M13−C06およびM14−C03の全長抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞株は、American Type Culture Collection(「ATCC」)に2006年3月28日に寄託され、それぞれATCC寄託番号PTA−7444およびPTA−7445が与えられている。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物で使用する結合部分は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体と同じアロステリックなエピトープに結合し得る。例えば、結合特異性は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体を交差的にブロックする(これらの抗体と競合する)抗体によるものであってもよいし、またはM13−C06抗体またはM14−C03抗体の結合を他の方法で妨害する抗体によるものであってもよい。他の実施形態では、結合部分は、M13−C06抗体自体またはM14−C03抗体自体を含んでいてもよく、またはそのフラグメント、改変体または誘導体を含んでいてもよい。他の実施形態では、結合部分は、抗原結合領域、可変領域(VLおよび/またはVH)、またはこれらのCDRを含んでいてもよい。例えば、アロステリックな結合部分は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体の6個のCDR(すなわちCDR1〜6)をすべて含んでいてもよく、またはM13−C06抗体またはM14−C03抗体に由来する6個のうち、それより少ない数のCDR(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のCDR)を含んでいてもよい。ある例示的な実施形態では、アロステリックな結合特異性は、M13−C06抗体またはM14−C03抗体に由来するCDR−H3を含む。
特定の実施形態では、アロステリックなIGF−1R結合部分は、IGF−1Rの残基440〜586に広がる配列の少なくとも約4〜5個のアミノ酸、IGF−1Rの残基440〜586に広がる配列の少なくとも7個、少なくとも9個、または少なくとも約15〜約30個のアミノ酸を含むか、またはこれらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなるアロステリックなエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合する。所与のエピトープのアミノ酸は、連続的であっても直鎖状であってもよいが、必ずしもそうでなければならないわけではない。
特定の実施形態では、アロステリックなエピトープは、細胞表面で発現するIGF−1RのL2領域および/またはFnIII−1領域に位置する非直鎖状エピトープ、または例えば、IgG Fc領域に融合する可溶性フラグメントとしての非直鎖状エピトープを含むか、これらの非直鎖状エピトープから本質的になるか、またはこれらの非直鎖状エピトープからなる。このように、特定の実施形態では、アロステリックなエピトープは、IGF−1Rの残基440〜586に広がる配列の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個、または少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、またはそれ以上の連続したアミノ酸または非連続アミノ酸を含むか、これらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなり、非連続アミノ酸は、タンパク質が折りたたまれることによってエピトープを形成する。
別の実施形態では、結合部分が結合するアロステリックなエピトープは、IGF−1Rの連続したアミノ酸または非連続アミノ酸の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個を含むか、これらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなり、さらにIGF−1Rのアミノ酸番号437、438、459、460、461、462、464、466、467、469、470、471、472、474、476、477、478、479、480、482、483、488、490、492、493、495、496、509、513、514、515、533、544、545、546、547、548、551、564、565、568、570、571、572、573、577、578、579、582、584、585、586および587からなる群から選択されるエピトープのアミノ酸のうち、少なくとも1つから本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなる。
他の実施形態では、本発明の結合部分が結合するエピトープは、IGF−1RのFnIII−1表面にある、残基462〜464から半径14Å以内にある残基から選択される、IGF−1Rの少なくとも1個のアミノ酸を含む(例えば、残基S437、E438、E469、N470、E471、L472、K474、S476、Y477、I478、R479、R488、E490、Y492、W493、P495、D496、E509、Q513、N514、V515、K544、S545、Q546、N547、H548、W551、R577、T578、Y579、K582、D584、I585、I586およびY587)。他の実施形態では、本発明の結合部分は、IGF−1Rの残基440〜586に含まれる残基から選択され、この部分が変異してしまうと、抗体の親和性が失われるか、または大きく低下する(例えば、親和性において100分の1未満)、少なくとも1個のアミノ酸に結合する(例えば、IGF−1Rの残基459、460、461、462、464、480、482、483、490、533、570または571)。さらに他の実施形態では、エピトープは、この部分が変異してしまうと、野生型IGF−1Rと比較して、受容体に対する抗体の親和性が少し低下する(2.5≧KD≧10nM)、IGF−1Rの1個以上のアミノ酸を含んでもよい(例えば、IGF−1Rの残基466、467、478、533、564、565または568)。特に好ましい実施形態では、本発明の結合部位に結合するエピトープは、IGF−1Rの残基461、462および464のうち任意の1個、任意の2個、または3個すべてを含む。
(ii)IGF−1をアロステリック効果によってブロックするが、IGF−2はアロステリック効果によってブロックしないエピトープ
アロステリックなエピトープの別の例は、IGF−1/IGF−2結合ポケットからわずかに離れて回転した受容体表面にある、IGF−1RのCRR領域の表面に位置している。エピトープは、CRR領域およびL2領域の両方を含む大きな領域に広がっている可能性がある。ある実施形態では、アロステリックなエピトープは、IGF−1Rの残基241〜379を含む領域内にある。特定の実施形態では、アロステリックなエピトープは、IGF−1RのCRR領域の残基241〜266を含む領域内、またはIGF−1RのL2領域の残基301〜308および327〜379を含む領域内にある。エピトープにアロステリックに結合する抗体の例は、P1E2およびαIR3と命名された抗体である。P1E2抗体も、αIR3抗体も、IGF−1がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする(IGF−2はブロックしない)ことが実施例で示されている。ある実施形態では、P1E2抗体は、P1E2.3B12マウスハイブリドーマが発現するマウス抗体に由来するマウスのVHおよびVLを含み、ヒトIgG4Palgy/κ定常領域(例えば、S228PおよびT299Aの置換を含むIgG4定常領域(EU付番による変換))に融合した、キメラ抗体である。全長マウス抗体P1E2.3B12を発現するハイブリドーマ細胞株は、ATCCに2006年7月11日に寄託され、ATCC寄託番号PTA−7730が与えられている。
アロステリックなエピトープの別の例は、IGF−1/IGF−2結合ポケットからわずかに離れて回転した受容体表面にある、IGF−1RのCRR領域の表面に位置している。エピトープは、CRR領域およびL2領域の両方を含む大きな領域に広がっている可能性がある。ある実施形態では、アロステリックなエピトープは、IGF−1Rの残基241〜379を含む領域内にある。特定の実施形態では、アロステリックなエピトープは、IGF−1RのCRR領域の残基241〜266を含む領域内、またはIGF−1RのL2領域の残基301〜308および327〜379を含む領域内にある。エピトープにアロステリックに結合する抗体の例は、P1E2およびαIR3と命名された抗体である。P1E2抗体も、αIR3抗体も、IGF−1がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする(IGF−2はブロックしない)ことが実施例で示されている。ある実施形態では、P1E2抗体は、P1E2.3B12マウスハイブリドーマが発現するマウス抗体に由来するマウスのVHおよびVLを含み、ヒトIgG4Palgy/κ定常領域(例えば、S228PおよびT299Aの置換を含むIgG4定常領域(EU付番による変換))に融合した、キメラ抗体である。全長マウス抗体P1E2.3B12を発現するハイブリドーマ細胞株は、ATCCに2006年7月11日に寄託され、ATCC寄託番号PTA−7730が与えられている。
したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物で使用する結合部分は、P1E2抗体またはαIR3抗体と同じアロステリックなエピトープに結合し得る。例えば、結合特異性は、P1E2抗体またはαIR3抗体の結合を交差的にブロックする(これらの抗体と競合する)抗体によるものであってもよいし、またはP1E2抗体またはαIR3抗体の結合を他の方法で妨害する抗体によるものであってもよい。他の実施形態では、結合特異性は、P1E2抗体自体またはαIR3抗体自体のいずれかを含んでいてもよく、またはそのフラグメント、改変体または誘導体を含んでいてもよい。他の実施形態では、結合部分は、抗原結合領域、可変領域(VLおよび/またはVH)、またはこれらのCDRを含んでいてもよい。例えば、アロステリックな結合部分は、P1E2抗体またはαIR3抗体の6個のCDRをすべて含んでいてもよく、またはP1E2抗体またはαIR3抗体に由来する6個より少ないCDR(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のCDR)を含んでいてもよい。ある例示的な実施形態では、アロステリックな結合特異性は、P1E2抗体またはαIR3抗体に由来するCDR−H3を含む。
IGF−1Rのアロステリックなエピトープに結合する他の抗体は、当該技術分野で認識されている方法(例えば、上述の方法)で特定することができる。さらに、IGF−1Rのアロステリックなエピトープに結合する抗体が製造されたら、この抗体を、インスリン成長因子(例えば、IGF−1、IGF−2、またはIGF−1とIGF−2との両方)がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によって阻害する能力についてスクリーニングしてもよい。実施例に詳細に記載する方法にしたがって、上述の性質および他の性質について、抗体をスクリーニングすることができる。
さらに他の実施形態では、アロステリックにIGF−1Rに結合する部分は、IGF−1Rの残基241〜266に広がる配列の約4〜5個のアミノ酸、IGF−1Rの残基241〜266に広がる配列の少なくとも約7個、少なくとも9個、または少なくとも約15〜約25個のアミノ酸を含むか、またはこれらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなる競合的なエピトープに特異的に結合するか、または選択的に結合する。エピトープのアミノ酸は、連続的であっても直鎖状であってもよいが、必ずしもそうでなければならないわけではない。特定の実施形態では、アロステリックなエピトープは、細胞表面で発現するIGF−1RのCRR領域の細胞外表面に存在する非直鎖状エピトープ、または例えば、IgG Fc領域に融合する可溶性フラグメントとしての非直鎖状エピトープを含むか、これらの非直鎖状エピトープから本質的になるか、またはこれらの非直鎖状エピトープからなる。このように、特定の実施形態では、アロステリックなエピトープは、IGF−1Rの残基241〜379に広がる配列の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約25個、または少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、または少なくとも25個の連続したアミノ酸または非連続アミノ酸(例えば、残基241〜266または301〜308または327〜379)を含むか、これらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなり、非連続アミノ酸は、タンパク質が折りたたまれることによってエピトープを形成する。
他の実施形態では、結合部分が結合するアロステリックなエピトープは、IGF−1Rの連続したアミノ酸または非連続アミノ酸の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個の連続したアミノ酸または非連続アミノ酸を含むか、これらのアミノ酸から本質的になるか、またはこれらのアミノ酸からなり、ここで、エピトープの少なくとも1個のアミノ酸(好ましくは、エピトープのすべてのアミノ酸)は、241、248、250、251、254、257、263、265、266、301、303、308、327および379からなる群から選択される。
他の実施形態では、本発明の結合部分が認識するエピトープは、変異してしまうと、抗体の親和性が失われるか、または大きく低下する(例えば、親和性において100分の1未満)、IGF−1Rの241〜266の1個以上のアミノ酸を含む(例えば、IGF−1Rの残基248、254または265の少なくとも1個またはすべて)。別の実施形態では、エピトープは、変異してしまうと、受容体に対する抗体の親和性の低下率が中程度である(野生型IGF−1RのKDと比較して、10倍≧KD≧100倍)、IGF−1Rの1個以上のアミノ酸を含んでもよい(例えば、IGF−1Rの残基254および/または257)。さらに他の実施形態では、エピトープは、変異してしまうと、野生型IGF−1Rと比較して、受容体に対する抗体の親和性が少し低下する(2.5≧KD≧10nM)、IGF−1Rの1個以上のアミノ酸を含んでもよい(例えば、IGF−1Rの残基248、263、301、303、308、327または379のうち、1個以上)。特に好ましい実施形態では、エピトープは、IGF−1Rの残基241、242、251、257、265および266のうち、任意の1個、任意の2個、任意の3個、任意の4個、任意の5個、または6個すべてを含む。
(C.他のIGF−1Rエピトープ)
特定の実施形態では、IGF−1Rに結合する部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体と同じエピトープに結合し得る。本発明のある例示的な実施形態では、本発明の結合分子のIGF−1Rに結合する部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される親抗体であるマウス抗体に由来する。P2A7.3E11抗体、20C8.3B8抗体およびP1A2.2B11抗体を発現するハイブリドーマ細胞株は、ATCCにそれぞれ2006年3月28日、2006年6月13日、および2006年3月28日に寄託され、それぞれATCC寄託番号PTA−7458、PTA−7732およびPTA−7457が与えられている。全長20D8.24B11抗体および全長P1G10.2B8抗体を発現するハイブリドーマ細胞株は、ATCCにそれぞれ2006年3月28日および2006年7月11日に寄託され、それぞれATCC寄託番号PTA−7456およびPTA−7731が与えられている。
特定の実施形態では、IGF−1Rに結合する部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体と同じエピトープに結合し得る。本発明のある例示的な実施形態では、本発明の結合分子のIGF−1Rに結合する部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される親抗体であるマウス抗体に由来する。P2A7.3E11抗体、20C8.3B8抗体およびP1A2.2B11抗体を発現するハイブリドーマ細胞株は、ATCCにそれぞれ2006年3月28日、2006年6月13日、および2006年3月28日に寄託され、それぞれATCC寄託番号PTA−7458、PTA−7732およびPTA−7457が与えられている。全長20D8.24B11抗体および全長P1G10.2B8抗体を発現するハイブリドーマ細胞株は、ATCCにそれぞれ2006年3月28日および2006年7月11日に寄託され、それぞれATCC寄託番号PTA−7456およびPTA−7731が与えられている。
さらに他の実施形態では、本発明の組成物で使用する結合部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される任意の抗体からなる群から選択される抗体を交差的にブロックする(すなわち、M14−G11抗体と競合的に結合する)抗体に由来していてもよく、またはP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体の結合を他の方法で妨害してもよい。他の実施形態では、結合部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体、またはそのフラグメント、改変体または誘導体を含んでいてもよい。他の実施形態では、結合部分は、抗原結合領域、可変領域(VLおよび/またはVH)、またはこれらのCDRを含んでいてもよい。例えば、結合部分は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体の6個のCDR(すなわちCDR1〜6)をすべて含んでいてもよく、またはP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体に由来する6個より少ないCDR(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のCDR)を含んでいてもよい。ある例示的な実施形態では、結合特異性は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12およびP1G10.2B8からなる群から選択される抗体に由来するCDR−H3を含む。
(V.IGF−1Rの異なるエピトープに結合する結合分子を含む組成物)
本発明は、IGF−1Rの異なるエピトープに結合する結合分子を含む組成物を与える。特定の実施形態では、本発明の組成物は、異なるIGF−1R結合特異性を有する、2個のIGF−1R結合部位またはIGF−1R結合部分を含む。他の実施形態では、本発明の結合組成物は、複数のIGF−1R結合特異性を有する1個のIGF−1R結合分子(すなわち、多重特異性のIGF−1R結合分子)を含む。好ましい実施形態では、本発明の結合組成物が、IGF−1Rに結合すると、IGF−1Rに対して単一の特異性を有する1個の結合分子を用いる場合に比べ、IGF−1Rのシグナル伝達が低下する。例えば、特定の実施形態では、本発明の組成物によって、IGF−1/IGF−2が介在するシグナル伝達を相乗効果によって低下させることができ、および/または腫瘍細胞の増殖を相乗効果によって低下させることができる。このような組成物によって、IGFリガンドが強くブロックされ、IGF−1Rシグナル伝達をブロックすることによって効果的に阻害可能な腫瘍細胞の集合にまで適用を拡大することができる。
本発明は、IGF−1Rの異なるエピトープに結合する結合分子を含む組成物を与える。特定の実施形態では、本発明の組成物は、異なるIGF−1R結合特異性を有する、2個のIGF−1R結合部位またはIGF−1R結合部分を含む。他の実施形態では、本発明の結合組成物は、複数のIGF−1R結合特異性を有する1個のIGF−1R結合分子(すなわち、多重特異性のIGF−1R結合分子)を含む。好ましい実施形態では、本発明の結合組成物が、IGF−1Rに結合すると、IGF−1Rに対して単一の特異性を有する1個の結合分子を用いる場合に比べ、IGF−1Rのシグナル伝達が低下する。例えば、特定の実施形態では、本発明の組成物によって、IGF−1/IGF−2が介在するシグナル伝達を相乗効果によって低下させることができ、および/または腫瘍細胞の増殖を相乗効果によって低下させることができる。このような組成物によって、IGFリガンドが強くブロックされ、IGF−1Rシグナル伝達をブロックすることによって効果的に阻害可能な腫瘍細胞の集合にまで適用を拡大することができる。
特定の実施形態では、本発明の結合組成物または結合分子は、第1および第2の結合分子または結合部分を含んでおり、これらの結合分子または結合部分は、独立して、上に開示した任意の結合分子または結合部分から選択される。特定の実施形態では、第1および第2の結合部分がIGF−1Rに結合すると、第1の結合部分を単独で用いる場合、または第2の結合部分を単独で用いる場合よりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックする。本明細書で使用するとき、結合分子がIGF−1Rに結合するという観点で、用語「よりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックする」は、IGF−1Rの第1のエピトープに結合する第1の結合部分(IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする部分)と、IGF−1Rの第2の異なるエピトープに結合する第2の結合部分(IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする部分)とが、第1の結合部分単独、または第2の結合部分単独で結合する場合よりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックする状況を指す。IGF−1Rが介在するシグナル伝達の阻害は、多くの異なる様式で測定することができ、例えば、腫瘍の成長度が下方修正されること(例えば、腫瘍の成長が遅れること)、腫瘍が小さくなるか、または転移が減ること、癌の臨床的な機能障害または症状が軽減するか、最低限のものになること、この治療をしない場合に予想される対象の生存期間よりも、生存期間が長くなること、投与前には腫瘍ができていなかった動物で、腫瘍の成長を予防すること(すなわち、予防的投与)が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「下方修正する」「下方修正すること」または「下方修正」は、特定のプロセスが起こる速度を下げること、特定のプロセスを阻害すること、特定のプロセスを逆行させること、および/または特定のプロセスが開始するのを予防することを指す。したがって、特定のプロセスが腫瘍の成長または転移である場合、用語「下方修正」としては、限定されないが、腫瘍の成長および/または転移の発生する速度を下げること、腫瘍成長および/または転移を阻害すること、腫瘍の成長および/または転移を逆行させること(腫瘍が小さくなること、および/または根絶することを含む)、および/または腫瘍の成長および/または転移を予防することが挙げられる。
ある実施形態では、IGF−1Rが介在するシグナル伝達が、より大きくブロックされる場合、相加効果が観察される。用語「相加効果」は、本明細書で使用するとき、第1の結合部分および第2の結合部分の結合効果を組み合わせた合計が、第1の結合部分のみ、または第2の結合部分のみが結合する場合に観察された効果とほぼ等しい状況を指す。相加効果は、典型的には、IGF−1Rに対する、第1の結合部分または第2の結合部分のモル比(単独の場合)が、IGF−1Rに対する、第1の結合部分および第2の結合部分のモル比(合わせたもの)とほぼ同じである条件下で測定される。
ある実施形態では、IGF−1Rが介在するシグナル伝達が、より大きくブロックされる場合、相乗効果が観察される。用語「相乗効果」は、本明細書で使用するとき、第1の結合部分および第2の結合部分が結合して生じる相加効果よりも大きく、第1の結合部分のみ、または第2の結合部分のみが結合する場合に生じた効果を超える効果を指す。相乗効果は、典型的には、IGF−1Rに対する、第1の結合部分または第2の結合部分のモル比(単独の場合)が、IGF−1Rに対する、第1の結合部分および第2の結合部分のモル比(合わせたもの)とほぼ同じである条件下で測定される。本発明の実施形態は、第1のIGF−1R結合部位および第2のIGF−1R結合部位を用いることによって、IGF−1Rが介在するシグナル伝達の下方修正において、相乗効果を得る方法を含む。ここで、上述の効果は、対応する相加効果よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%大きい。
ある実施形態では、相乗効果は、半有効原理に基づくChouおよびTalalayの組み合わせ指数(CI)法を用いて測定される(Changら、Cancer Res.45:2434−2439(1985)を参照)。この方法は、種々の濃度の細胞毒性で、2種類の薬物の相乗効果、相加性、または拮抗作用の程度を算出するものである。CIが1未満の場合、2種類の薬物に相乗効果が存在する。CIが1の場合、相加効果はあるが、相乗効果はない。CI値が1より大きいことは、拮抗作用があることを示す。CI値が小さくなるほど、相乗効果は大きくなる。別の実施形態では、相乗効果は、部分阻害濃度(fractional inhibitory concentration)(FIC)を用いて決定される。この部分値は、組み合わせにおいて作用する薬物のIC50を、その薬物が単独で作用する場合のIC50の関数としてあらわすことによって決定される。2種類の相互作用する薬物の場合、それぞれの薬物のFIC値の合計は、相乗的な相互作用の測定値をあらわす。FICが1未満の場合、2種類の薬物に相乗効果が存在する。FIC値が1であるとは、相加効果が存在することを示す。FICの値が小さくなるほど、相乗効果が大きくなる。
特定の代わりの実施形態では、2種類の別個の化合物(例えば、別個の結合部分)を組み合わせると、それぞれの化合物の飽和濃度または飽和投薬量を使用した場合に可能な効果よりも大きな変化が観察されるときに、相乗効果が観察される。個々の結合分子自体が、完全な効果を発揮することができない場合(例えば、薬物の濃度をどこまで高くしても、下方修正率100%には到達しない)、このような相乗効果が起こり得る。この状況で、相乗効果は、EC50値またはIC50値を分析することによっても、十分につかめることはできない。2種類の化合物(例えば、結合部分)を組み合わせることにより、1種類の化合物で可能なレベルよりも大きく下方修正する場合、強力な相乗効果があると認識される。
特定の実施形態では、本発明の結合組成物は、IGF−1Rの細胞外領域にある2個以上の異なるエピトープ(例えば、2個以上の重複しないエピトープ)を標的としてもよい。ある実施形態では、本発明の結合組成物は、第1のIGF−1Rエピトープに結合する第1の結合分子と、第2のIGF−1Rエピトープに結合する第2の結合分子とを含んでいてもよい。当業者は、この第1および第2のIGF−1Rエピトープが、同じIGF−1R分子にあってもよく、または異なるIGF−1R分子にあってもよいことを理解するであろう。
ある実施形態では、本発明の結合組成物は、2個以上の異なるエピトープに結合し、これらのエピトープは、独立して、L1ドメインにあるエピトープ、CRRドメインにあるエピトープ、L2ドメインにあるエピトープ、Fn−1ドメインにあるエピトープ、Fn−2ドメインにあるエピトープ、Fn−3ドメインにあるエピトープからなる群から選択される。例えば、本発明の結合組成物は、L2ドメインにある第1のエピトープと、CRRドメインにある第2のエピトープに結合してもよい。別の実施形態では、本発明の結合組成物は、同じドメイン内にある2個以上のエピトープに結合してもよい。さらに別の実施形態では、本発明の結合組成物は、2個以上のエピトープのうち、少なくとも1つが2個以上のドメインに形成されているようなエピトープ(例えば、L2ドメインとCRRドメインとの結合界面にあるエピトープ)に結合してもよい。
ある実施形態では、本発明の組成物は、IGF−1Rの2個の異なるエピトープを標的とする1個以上の結合分子を含み、結合部分が、それぞれのエピトープに結合する場合、それぞれのエピトープは、異なる機序によってIGF−1Rのシグナル伝達を阻害する。ある実施形態では、本発明の結合組成物は、アロステリックなエピトープおよび競合的なエピトープを標的としてもよい。
本発明の結合組成物は、IGF−1R内にある競合的なエピトープに結合してもよいし、またはIGF−1R内にあるアロステリックなエピトープに結合してもよい。本明細書で使用するとき、用語「競合的なエピトープ」は、結合分子がエピトープに存在すると、受容体に対するリガンドの結合(例えば、IGF−1Rに対する、IGF−1および/またはIGF−2の結合)を競合によって阻害するエピトープを指す。競合的なエピトープは、一般的に、受容体のリガンド結合部位にある。IGF−1Rの競合的なエピトープの例は、IGF−1結合部位およびIGF−2結合部位の近くにあるCRRドメインの内面にあるエピトープである(図1を参照)。このエピトープに結合すると、IGF−1の結合およびIGF−2の結合を競合によって阻害する。本明細書で使用するとき、「アロステリックなエピトープ」は、結合分子がエピトープに結合すると、受容体に対するリガンドの結合をアロステリック効果によって阻害するエピトープを指す。アロステリックなエピトープは、一般的に、リガンド結合部位から離れた受容体内部の位置にある。IGF−1Rのアロステリックなエピトープの例は、CRR/L2領域の露出面にあるエピトープである(図1を参照)。このエピトープに結合すると、IGF−1をアロステリック効果によってブロックするが、IGF−2の結合にはほとんど影響を与えない。アロステリックなエピトープの別の例は、FnIII−1ドメインの外面にあるエピトープである(図1を参照)。このエピトープに結合すると、IGF−1およびIGF−2の両方をアロステリック効果によってブロックする。
ある実施形態では、本発明の結合組成物は、IGF−1Rの2種類の異なるエピトープを標的とする1個以上の結合分子を含み、第1のエピトープに結合する結合部分は、第2のエピトープに結合する第2の結合部分と交差的にブロックしない(すなわち、競合しない)。
(A.複数の結合分子の組み合わせ)
本発明の特定の態様では、阻害性を有し、異なるIGF−1R結合特異性を有する抗IGF−1R結合分子の組み合わせ(例えば、2個以上の抗IGF−1R抗体、抗体フラグメント、抗体の改変体、アプタマーまたはその誘導体)を含む組成物が与えられる。例えば、本発明の組成物は、第1のIGF−1R結合特異性を示す第1の抗IGF−1R結合分子と、第2のIGF−1R結合特異性を示す第2の抗IGF−1R結合分子とを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、上述の第1の結合特異性と、第2の結合特異性とは、IGF−1Rの細胞外ドメインに存在する重複しないエピトープに結合するものである。この組成物の結合分子を、別個に対象に投与してもよいし、組み合わせて投与してもよい。この組成物によって、従来の組成物よりも、リガンドのブロック効果を高める(例えば、濃度が低くする)ことができる。他の実施形態では、この組成物によって、腫瘍細胞の増殖を相乗効果によって低下させることができる。
本発明の特定の態様では、阻害性を有し、異なるIGF−1R結合特異性を有する抗IGF−1R結合分子の組み合わせ(例えば、2個以上の抗IGF−1R抗体、抗体フラグメント、抗体の改変体、アプタマーまたはその誘導体)を含む組成物が与えられる。例えば、本発明の組成物は、第1のIGF−1R結合特異性を示す第1の抗IGF−1R結合分子と、第2のIGF−1R結合特異性を示す第2の抗IGF−1R結合分子とを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、上述の第1の結合特異性と、第2の結合特異性とは、IGF−1Rの細胞外ドメインに存在する重複しないエピトープに結合するものである。この組成物の結合分子を、別個に対象に投与してもよいし、組み合わせて投与してもよい。この組成物によって、従来の組成物よりも、リガンドのブロック効果を高める(例えば、濃度が低くする)ことができる。他の実施形態では、この組成物によって、腫瘍細胞の増殖を相乗効果によって低下させることができる。
本発明の組成物における結合分子の組み合わせは、本明細書に開示した結合分子の任意の組み合わせを含んでいてもよいことを当業者は理解するであろう。例えば、本発明の組成物は、少なくとも第1の結合分子と第2の結合分子との組み合わせを含み、この結合分子が、独立して、本明細書に開示した任意の結合分子から選択されてもよい。好ましくは、結合分子の組み合わせは、アロステリックな結合部分を含む第1の結合分子と、競合的な結合部分を含む第2の結合分子とを含む。ある実施形態では、この組み合わせは、アロステリックな結合部分を含む第1の抗体またはscFv分子(例えば、本明細書に開示した、安定化したscFv分子のうち、任意のもの)と、競合的な結合部分を含む第2の抗体またはscFv分子とを含む。
本発明の結合分子は、一価であってもよい。すなわち、1個の標的結合部位を含んでいてもよい(例えば、scFv分子の場合)。または、本発明の結合分子は、2個以上の標的結合部位を含んでいてもよい。ある実施形態では、結合分子は、少なくとも2個の結合部位を含んでいる。ある実施形態では、結合分子は、3個の結合部位を含んでいる。別の実施形態では、結合分子は、4個の結合部位を含んでいる。別の実施形態では、結合分子は、4個よりも多い数の結合部位を含んでいる。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、モノマーである。別の実施形態では、本発明の結合分子は、マルチマーである。例えば、ある実施形態では、本発明の結合分子は、ダイマーである。ある実施形態では、本発明のダイマーは、ホモダイマーであり、2個の同一のモノマーサブユニットを含む。別の実施形態では、本発明のダイマーは、ヘテロダイマーであり、少なくとも2個の異なるモノマーサブユニットを含む。ダイマーのサブユニットは、1個以上のポリペプチド鎖を含んでいてもよい。例えば、ある実施形態では、ダイマーは、少なくとも2個のポリペプチド鎖を含む。ある実施形態では、ダイマーは、2個のポリペプチド鎖を含む。別の実施形態では、ダイマーは、4個のポリペプチド鎖を含む(例えば、抗体分子の場合)。
(B.多重特異性結合分子)
他の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子(例えば、2種類以上のIGF−1R結合特異性を示す多重特異性抗IGF−1R抗体、抗体の改変体、抗体フラグメント、またはアプタマー)を含む組成物を与える。本発明の多重特異性IGF−1R結合分子は、2種類以上の異なるIGF−1R結合特異性を有している。例えば、多重特異性IGF−1R結合分子は、第1のIGF−1R結合特異性と、第2のIGF−1R結合特異性とを有していてもよい。好ましい実施形態では、この結合特異性は、IGF−1Rの細胞外ドメインに存在する重複しないエピトープを認識する。ある実施形態では、本発明の多重特異性IGF−1R結合分子は、同じIGF−1R分子内に存在する重複しないエピトープに結合してもよい。他の実施形態では、多重特異性IGF−1Rは、別個のIGF−1R分子内に存在する重複しないエピトープに結合してもよい。特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、上述の組み合わせの1つで使用する、少なくとも1種類の(好ましくは2種類の)抗体に由来する結合特異性を有する。他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、上で特定した結合分子のいずれかが、異なる特異性を有する第2の結合部分に結合しているか、または融合しているものを含む。
他の態様では、本発明は、多重特異性IGF−1R結合分子(例えば、2種類以上のIGF−1R結合特異性を示す多重特異性抗IGF−1R抗体、抗体の改変体、抗体フラグメント、またはアプタマー)を含む組成物を与える。本発明の多重特異性IGF−1R結合分子は、2種類以上の異なるIGF−1R結合特異性を有している。例えば、多重特異性IGF−1R結合分子は、第1のIGF−1R結合特異性と、第2のIGF−1R結合特異性とを有していてもよい。好ましい実施形態では、この結合特異性は、IGF−1Rの細胞外ドメインに存在する重複しないエピトープを認識する。ある実施形態では、本発明の多重特異性IGF−1R結合分子は、同じIGF−1R分子内に存在する重複しないエピトープに結合してもよい。他の実施形態では、多重特異性IGF−1Rは、別個のIGF−1R分子内に存在する重複しないエピトープに結合してもよい。特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、上述の組み合わせの1つで使用する、少なくとも1種類の(好ましくは2種類の)抗体に由来する結合特異性を有する。他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、上で特定した結合分子のいずれかが、異なる特異性を有する第2の結合部分に結合しているか、または融合しているものを含む。
特定の態様では、本発明の多重特異性結合分子は、所与の参照単一特異性抗体よりも大きな結合活性で、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメント、またはIGF−1Rポリペプチド改変体に特異的に結合する。結合分子および参照抗体の見かけ結合活性(apparent avidity)を、当該技術分野で知られている任意の方法または実施例に記載した方法を用いて測定してもよい(例えば、BIAcore分析)。具体的な実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、参照抗体のk(off)よりも低いk(off)で(例えば、2分の1未満、5分の1未満、10分の1未満、50分の1未満または100分の1未満)、IGF−1Rポリペプチド、またはそのフラグメントまたは改変体に結合する。他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、参照抗体の結合速度(k(on))よりも大きいk(on)で(例えば、2倍、5倍、10倍、50倍または100倍)、IGF−1Rポリペプチド、またはそのフラグメントまたは改変体に結合する。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、多重特異性である(すなわち、第1の標的IGF−1R分子またはこの標的分子のエピトープに結合する少なくとも1種類の第1の結合特異性と、第2の異なる標的IGF−1R分子、または第1の標的IGF−1R分子の第2の異なるエピトープに結合する少なくとも1種類の第2の結合特異性とを有する)。特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子(例えば、二重特異性結合分子)は、上述の結合特異性から独立して選択される少なくとも2種類の結合特異性を有する。本発明の結合分子は、細胞表面に存在するIGF−1Rまたは可溶性IGF−1Rに結合してもよい。
ある実施形態では、本発明の結合分子としては、細胞表面のIGF−1Rに対する少なくとも1つの結合部分と、可溶性IGF−1R分子に対する少なくとも1つの結合部分とを含む分子が挙げられる。好ましい実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、細胞表面のIGF−1R分子に結合する2個の結合部分を有する。
本発明の多重特異性結合分子が、本明細書に開示した結合部分の任意の組み合わせを含んでいてもよいことは、当業者に理解されるであろう。例えば、特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、第1の結合部分と、第2の結合部分とを少なくとも含んでおり、第1および第2の結合部分は、独立して、本明細書に開示した寄託済抗体に由来する結合部分から選択されてもよい。他の実施形態では、この1つ以上の結合部分は、本明細書に開示した任意のscFv分子(例えば、任意の安定化したscFv分子)から独立して選択されるscFv分子である。他の実施形態では、この1つ以上の結合部分は、本明細書に開示した抗体から独立して選択される抗体である。この抗体は、任意のIgGアイソタイプ(例えば、IgG1またはIgG4)を有するか、またはグリコシル化状態(例えば、グリコシル化状態またはグリコシル化されていない状態)であってもよい。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、少なくとも1種類の阻害性のIGF−1R結合特異性または結合部分と、少なくとも1種類のアロステリックなIGF−1R結合特異性または結合部分とを含む。例えば、好ましい実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1および/またはIGF−2がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックする、少なくとも1種類の競合的な結合特異性または結合部分と、IGF−1および/またはIGF−2がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする、少なくとも1種類のアロステリックな結合特異性または結合部分とを含む。
別の実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする少なくとも1種類のアロステリックな結合特異性または結合部分と、IGF−1がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする(が、IGF−2がIGF−1Rに結合するのはブロックしない)少なくとも1種類のアロステリックな結合特異性または結合部分とを含む。
ある実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子は、二重特異性IGF−1R結合分子(例えば、2個以上のエピトープ(例えば、2個以上の抗原、または同じ抗原にある2個以上のエピトープ)に対する結合特異性を有する、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメインを欠いた抗体、または融合タンパク質)である。二重特異性IGF−1R結合分子は、2個の異なる標的部位(例えば、同じIGF−1R分子にある部位、または異なるIGF−1R分子にある部位)に結合することができる。例えば、本発明の二重特異性分子は、2個の異なるエピトープ(例えば、同じIGF−1R抗原にあるエピトープ、または2種類の異なるIGF−1R抗原にあるエピトープ)に結合してもよい。
ある実施形態では、二重特異性IGF−1R抗体は、本明細書に開示する標的ポリペプチド(つまり、IGF−1R)にある少なくとも1つのエピトープに特異的な、少なくとも1つの結合領域を有する。ある実施形態では、二重特異性IGF−1R抗体は、IGF−1Rにある競合的なエピトープに対する、少なくとも1つの結合特異性または結合部分と、IGF−1Rにあるアロステリックなエピトープに対する、少なくとも1つの結合特異性とを有する。二重特異性IGF−1R抗体は、本明細書に開示する標的IGF−1Rポリペプチドの第1のエピトープに特異的な、2つの標的結合特異性または結合部分と、標的IGF−1Rポリペプチドの第2のエピトープに特異的な2つの標的結合ドメインとを有する四価抗体であってもよい。したがって、四価の二重特異性IGF−1R抗体は、それぞれの特異性について二価であってもよい。
本発明の多重特異性結合分子は、それぞれの特異性について一価であってもよく、またはそれぞれの特異性について多価であってもよい。ある実施形態では、本発明の二重特異性結合分子は、第1のIGF−1R分子と反応する1個の結合部位と、第2の標的IGF−1R分子と反応する1個の結合部位とを含んでいてもよい(例えば、二重特異性抗体分子、融合タンパク質またはミニボディ)。別の実施形態では、本発明の二重特異性結合分子は、第1のIGF−1R分子と反応する2個の結合部位と、第2の標的IGF−1R分子と反応する2個の結合部位とを含んでいてもよい(例えば、二重特異性scFv2四価抗体、四価ミニボディまたはダイアボディ)。
別の実施形態では、二重特異性結合分子が結合可能な第1および第2のIGF−1R分子は、同じ細胞または同じ細胞種にある。本発明の二重特異性結合分子は、同じ細胞の第1の受容体および第2の受容体を架橋することによって、この第1および第2の受容体の片方または両方に関連する活性(例えば、シグナル変換活性)を阻害してもよく、または受容体の下方調整能または内在化能を高めてもよい。
ある実施形態では、本発明の多重特異性IGF−1R結合分子は、IGF−1R以外の抗原に対する結合部分を含んでいてもよい。例えば、本発明の多重特異性結合分子は、薬物または毒素に特異的な結合部分を有していてもよい。別の例示的な実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、IGF−2Rまたはインスリン受容体に対する結合部分を含んでいてもよい。
多重特異性分子を製造する方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、組み換え技術を用い、多重特異性分子(例えば、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデム型scFvなど)を製造してもよい。多重特異性分子を製造する技術の例は、当該技術分野で知られている(例えば、Kontermannら、Methods in Molecular Biology Vol.248:Antibody Engineering:Methods and Protocols.Pp 227−242 US 2003/0207346 A1およびこれらの引用文献)。ある実施形態では、多重特異性マルチマー分子は、例えば、US 2003/0207346 A1号または米国特許第5,821,333号またはUS 2004/0058400号に記載されるような方法を用いて調製する。
(VI.結合分子の例示的な形態)
(A 単一特異性結合分子)
(i)IGF−1R抗体
特定の実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子は、抗体であるか、または結合分子内に1個以上の結合部分として抗体を含む。本発明の抗体は、抗体合成分野で既知の任意の方法によって製造することができ、特に、化学合成によって、好ましくは、本明細書に記載の組み換え発現技術によって製造することができる。例えば、当業者に周知の技術を用い、抗体を産生する細胞株を選択し、培養してもよい。このような技術は、種々の実験マニュアルおよび主要な刊行物に記載されている。この観点で、以下に記載する本発明で使用するのに好適な技術は、Current Protocols in Immunology、Coliganら編、Green Publishing Associates and Wiley−Interscience、John Wiley and Sons、New York(1991)に記載されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる(補足事項を含む)。
(A 単一特異性結合分子)
(i)IGF−1R抗体
特定の実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子は、抗体であるか、または結合分子内に1個以上の結合部分として抗体を含む。本発明の抗体は、抗体合成分野で既知の任意の方法によって製造することができ、特に、化学合成によって、好ましくは、本明細書に記載の組み換え発現技術によって製造することができる。例えば、当業者に周知の技術を用い、抗体を産生する細胞株を選択し、培養してもよい。このような技術は、種々の実験マニュアルおよび主要な刊行物に記載されている。この観点で、以下に記載する本発明で使用するのに好適な技術は、Current Protocols in Immunology、Coliganら編、Green Publishing Associates and Wiley−Interscience、John Wiley and Sons、New York(1991)に記載されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる(補足事項を含む)。
本発明のさらに他の実施形態は、内因性免疫グロブリンを産生することができないトランスジェニック動物(例えば、マウス)で、ヒト抗体または実質的にヒトである抗体を作成することを含む(例えば、米国特許第6,075,181号、第5,939,598号、第5,591,669号および第5,589,369号を参照、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。例えば、キメラ変異マウスおよび生殖細胞系変異マウスにおける、抗体の重鎖結合領域のホモ接合体欠失によって、内因性抗体の産生が完全に阻害されることが記載されている。ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを上述の生殖細胞系変異マウスに移すと、抗体チャレンジの際にヒト抗体が産生する。SICDマウスを用いてヒト抗体を作成する別の好ましい手段は、米国特許第5,811,524号に開示されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。これらのヒト抗体に関連する遺伝物質を本明細書に記載のように単離し、操作してもよいことが理解されるであろう。
別の実施形態では、リンパ球を、マイクロマニピュレーションおよび単離された可変領域によって選択することができる。例えば、末梢血の単核細胞を免疫化した哺乳動物から単離し、インビトロで約7日間培養することができる。この培養物をスクリーニングし、このスクリーニング基準を満たす特異的なIgGを調べることができる。ポジティブウェルから得た細胞を単離することができる。個々のIgを産生するB細胞をFACSで単離するか、または相補性による溶血プラークアッセイで特定することによって単離することができる。Igを産生するB細胞を、管でマイクロマニピュレーションし、VH遺伝子およびVL遺伝子を、例えばRT−PCRを用いて増幅させることができる。VH遺伝子およびVL遺伝子を、抗体発現ベクターにクローン化し、細胞(例えば、真核細胞または原核細胞)に移して発現させることができる。
特定の実施形態では、IGF−1R抗体、または抗原結合性を保持したフラグメント、その改変体または誘導体の可変領域も、定常領域も完全ヒト型である。全ヒト抗体は、当該技術分野で既知の技術を用いて、および本明細書に記載したように製造することができる。例えば、特定の抗原に対する全ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、抗原を産生し、内因性遺伝子座が無効化するように改変されたトランスジェニック動物に抗原を投与することによって調製することができる。このような抗体を製造するのに使用可能な技術の例は、米国特許第6,150,584号、第6,458,592号、第6,420,140号に記載されている。他の技術は、当該技術分野で既知である。全ヒト抗体は、同様に、本明細書の他の箇所で詳細に記載しているように、種々のディスプレイ技術、例えば、ファージディスプレイまたは他のウイルスディスプレイシステムで製造することができる。
目的のエピトープに対するポリクローナル抗体を、当該技術分野でよく知られているさまざまな手順で作成することができる。例えば、目的のエピトープを含む抗原を、種々の宿主動物(限定されないが、ウサギ、マウス、ラット、ニワトリ、ハムスター、ヤギ、ロバなど)に投与し、抗原に特異的なポリクローナル抗体を含有する血清の産生を誘発させることができる。種々のアジュバントを使用し、宿主の種類に応じて、免疫反応を高めてもよい。アジュバントの例としては、限定されないが、Freundアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのような鉱物のゲル、表面活性基質、例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および有用な可能性を秘めたヒトアジュバント、例えば、BCG(bacille Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvumが挙げられる。このようなアジュバントは、当該技術分野でよく知られている。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組み換えおよびファージディスプレイ技術の使用、またはこれらの組み合わせを使用することを含む、当該技術分野で既知の多くの技術で調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知の技術および以下の文献の教示を含むハイブリドーマ技術を用いて製造することができる。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988); Hammerling et al., in:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas Elsevier、N.Y.、563−681(1981)(この参考文献の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用するとき、ハイブリドーマ技術で製造された抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核細胞クローン、原核細胞クローン、またはファージクローンを含む1個のクローンに由来する抗体を指し、製造される方法は問わない。したがって、用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術で製造された抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、エピトープ認識領域を増やすために、IGF−1Rノックアウトマウスを用いて調製することができる。モノクローナル抗体は、本明細書に記載するようなハイブリドーマの使用、および組み換えファージディスプレイ技術を含む、当該技術分野で既知の多くの技術を用いて調製することができる。
当該技術分野で認識されたプロトコルを用い、一例では、関連する抗原(例えば、IGF−1R精製物、またはIGF−1Rを含む細胞または細胞抽出物)およびアジュバントを、動物に複数回皮下注射または腹腔内注射することによって、抗体を生じさせる。この免疫法は、典型的には、脾細胞またはリンパ球が活性化し、抗原反応性の抗体が産生することを含む免疫応答を誘発する。得られた抗体を動物の血清から集め、ポリクローナル調製物を得るが、多くは、均質な調製物であるモノクローナル抗体(MAb)を得るために、脾臓、リンパ節または末梢血から個々のリンパ球を単離することが望ましい。好ましくは、リンパ球は、脾臓に由来する。この周知のプロセス(Kohlerら、Nature 256:495(1975))では、抗原を注射した哺乳動物に由来する、比較的寿命の短いリンパ球または致死性のリンパ球を、不死化した腫瘍細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)と融合し、不死化し、B細胞を遺伝的にコードした抗体を産生可能なハイブリッド細胞、すなわち「ハイブリドーマ」を産生する。得られたハイブリッドを選択し、1種類の遺伝子株に分け、希釈し、1種類の抗体をつくるのに特異的な遺伝子を含む個々の株を再び成長させる。これらの株は、所望の抗原に対して均質な抗体を産生し、純粋な1つの系統の遺伝子を有するため、「モノクローナル」と呼ばれる。
このようにして調製したハイブリドーマ細胞を、好適な培地、好ましくは、融合していない親細胞である骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1種以上の基質を含有する培地に播種し、成長させる。当業者は、ハイブリドーマを作成し、選抜し、成長させるための試薬、細胞系および培地は、多くの供給業者から入手可能であり、標準的なプロトコルが十分に確立されていることを理解している。一般的に、ハイブリドーマ細胞を成長させる培地は、所望の抗原に対するモノクローナル抗体を製造するという観点でアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞で産生したモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素免疫アッセイ(ELISA)のようなインビトロアッセイで決定する。ハイブリドーマ細胞が、所望の特異性、親和性および/または活性を有する抗体を産生することが特定されたら、クローンを限界希釈手順によってサブクローン化し、標準的な方法で成長させてもよい(Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、Academic Press、pp59−103(1986))。さらに、サブクローンから分泌したモノクローナル抗体を、従来の精製手順(例えば、タンパク質−A、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析法または親和性クロマトグラフィー)によって、培地、腹水または血清から分離してもよいことも理解されるであろう。
当業者は、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合部位)をコードするDNAが、ファージディスプレイライブラリのような抗体ライブラリに由来するものであってもよいことを理解するであろう。特に、抗体ライブラリのレパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリ(例えば、ヒトまたはマウス)から発現した抗原結合領域を示すために、このようなファージを利用することができる。目的の抗原に結合する抗原結合領域を発現するファージは、抗原を用いて(例えば、標識した抗原を用いるか、または固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗体を用いて)選択し、または特定することができる。これらの方法で使用するファージは、典型的には、Fab、Fv OE DAB(軽鎖または重鎖に由来する個々のFv領域)を有するファージから発現するfd結合領域およびM13結合領域を含むか、またはファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかが組み換えによって融合した、ジスルフィドによって安定化したFv抗体領域を含む糸状ファージである。方法の例は、例えば、欧州特許第368 684 B1号;米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,H.R.およびChames,Immunol.Today 21:371(2000);Nagyら、Nat.Med.8:801(2002);Huieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:2682(2001);Luiら、J.Mol.Biol.315:1063(2002)に記載されており、これらの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。種々の刊行物(例えば、Marksら、Bio/Technology 10:779−783(1992))には、大量のファージライブラリを構築するために、チェーンシャッフリング(chain shuffling)、およびコンビナトリアル感染およびインビボ組み換え法によって高親和性を有するヒト抗体の製造法が記載されている。別の実施形態では、リボソームディスプレイを、ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージの代わりに用いてもよい(例えば、Hanesら、Nat.Biotechnol.18:1287(2000);Wilsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750(2001);またはIrvingら、J.Immunol.Methods 248:31(2001)を参照)。さらに別の実施形態では、細胞表面ライブラリをスクリーニングして抗体を調べてもよい(Boderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701(2000);Daughertyら、J.Immunol.Methods 243:211(2000))。さらに別の例示的な実施形態では、CDR H1およびCDR H2のような所定の相補性決定領域において、合成多様性を有するヒトドナーに由来する免疫グロブリン配列を組み合わせることによって、高親和性ヒトFabライブラリを設計する(例えば、Hoetら、Nature Biotechnol.、23:344−348(2005)、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。上述の手順は、モノクローナル抗体を単離し、クローン化するための従来のハイブリドーマ技術にとって代わるものである。
ファージディスプレイ法では、抗体の機能的領域をファージ粒子表面に提示し、このファージ粒子は、上述の機能的領域をコードするポリヌクレオチド配列を有している。例えば、VH領域およびVL領域をコードするDNA配列を増幅するか、または他の方法で動物のcDNAライブラリ(例えば、ヒトまたはマウスのリンパ組織のcDNAライブラリ)または合成cNDAライブラリから単離する。特定の実施形態では、PCRによって、VH領域およびVL領域をコードするDNAをscFvリンカーによって接続し、ファージミドベクター(例えば、p CANTAB 6またはpComb 3 HSS)にクローン化する。このベクターをE.coliに電気穿孔し、E.coliをヘルパーファージで感染させる。この方法で使用するファージは、典型的には、fdおよびM13を含む糸状ファージであり、VH領域またはVL領域は、通常は、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかが組み換えによって融合している。目的の抗原(すなわち、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメント)に結合する抗原結合領域を発現するファージは、抗原を用いて(例えば、標識した抗原を用いるか、または固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗体を用いて)選択し、または特定することができる。
抗体を製造するのに使用可能なファージディスプレイ法のさらなる例としては、Brinkmanら、J.Immunol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods 184:177−186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−958(1994);Persicら、Gene 187:9−18(1997);Burtonら、Advances in Immunology 57:191−280(1994);PCT出願番号PCT/GB91/01134号;PCT出願公開番号WO90/02809号;WO91/10737号;WO92/01047号;WO92/18619号;WO93/11236号;WO95/15982号;WO95/20401号;および米国特許第5,698,426号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,580,717号;第5,427,908号;第5,750,753号;第5,821,047号;第5,571,698号;第5,427,908号;第5,516,637号;第5,780,225号;第5,658,727号;第5,733,743号および第5,969,108号に開示されており、これらの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
上述の引用文献に記載されているように、ファージを選択した後、ファージから得られる抗体コード領域を単離し、全抗体(ヒト抗体または任意の他の所望な抗原結合性を保持したフラグメントを含む)を作成し、任意の所望の宿主(哺乳動物の細胞、昆虫の細胞、植物細胞、酵母および微生物を含む)で発現させることができる。例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントを組み換えによって産生する技術は、PCT出願公開番号WO92/22324号;Mullinaxら、BioTechniques 12(6):864−869(1992);およびSawaiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBetterら、Science 240:1041−1043(1988)(この参考文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている方法のような、当該技術分野で既知の方法を用いて実施することができる。
単鎖Fvおよび抗体を産生するのに使用可能な技術の例としては、米国特許第4,946,778号および第5,258,498号;Hustonら、Methods in Enzymology 203:46−88(1991);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);およびSkerraら、Science 240:1038−1040(1988)に記載されている技術が挙げられる。
インビボでのヒトでの抗体の使用、およびインビトロ検出アッセイを含むいくつかの使用で、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体を使用することが好ましい場合もある。
完全ヒト抗体は、ヒト患者を治療するには、特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを用いる上述のファージディスプレイ法を含む、当該技術分野で既知の種々の方法で製造することができる。さらに、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;およびPCT出願公開WO98/46645号、WO98/50433号、WO98/24893号、第WO98/16654号、WO96/34096号、WO96/33735号およびWO91/10741号も参照(この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
ヒト抗体は、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することはできず、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現可能なトランスジェニックマウスを用いて産生することができる。例えば、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の遺伝子複合体を、無作為に導入してもよいし、またはマウスES細胞への相同組み換えによって導入してもよい。あるいは、ヒトの重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子に加え、ヒトの可変領域、定常領域および多様な領域を、マウスES細胞に導入してもよい。マウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の遺伝子は、相同組み換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは別に、または同時に機能を失わせてもよい。特に、JH領域のホモ接合体欠失によって、内因性抗体の産生が抑えられる。改変されたES細胞の数を増やし、胚盤胞に微量注入し、キメラマウスを産生する。次いで、キメラマウスを繁殖させ、ヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を産生する。トランスジェニックマウスを、選択した抗原(例えば、所望の標的ポリペプチド全体または一部分)を用いて通常の様式で免疫化する。免疫化したトランスジェニックマウスから、従来のハイブリドーマ技術を用いて、所定の抗原に結合性のモノクローナル抗体を得ることができる。トランスジェニックマウスによって得られたヒト免疫グロブリンのトランス遺伝子は、B細胞分化中に再編成され、その後、クラススイッチが起こり、体細胞変異が起こる。したがって、この技術を用い、治療に有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するこの技術の概説は、Lonberg and Huszar Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生する技術、およびこのような抗体を産生するプロトコルのさらなる詳細は、PCT出願公開第WO98/24893号;WO96/34096号;WO96/33735号;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;および第5,939,598号を参照(この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。さらに、Abgenix,Inc.(カリフォルニア州フレモント)およびGenPharm(カリフォルニア州サンノゼ)のような企業と交渉し、上述の技術と似た技術を用い、所定の抗原に対するヒト抗体を得ることができる。
所定のエピトープを認識する完全ヒト抗体を、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を用いて作成することができる。このアプローチでは、所定の非ヒトモノクローナル抗体(例えばマウス抗体)を使用し、同じエピトープを認識する全ヒト抗体の選択を誘導する(Jespersら、Bio/Technology 12:899−903(1988)。さらに、米国特許第5,565,332号も参照)。
さらに、本発明の標的ポリペプチドに対する抗体を使用し、当該技術分野で周知の技術を用い、標的ポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作成することができる(例えば、Greenspan & Bona,FASEB J.7(5):437−444(1989)およびNisinoff,J.Immunol.147(8):2429−2438(1991)を参照)。例えば、本発明のポリペプチドに結合するか、ポリペプチドのマルチマー化および/または本発明のポリペプチドがリガンドに結合することを競合的に阻害するか、またはアロステリック効果によって阻害する抗体を使用し、ポリペプチドのマルチマー化および/または結合領域を「模倣する」抗イディオタイプを作成し、その結果、ポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合し、中和することができる。このような中和能を有する抗イディオタイプまたは抗イディオタイプのFabフラグメントを、ポリペプチドを中和する治療法に使用することができる。例えば、このような抗イディオタイプ抗体を使用し、所望の標的ポリペプチドおよび/またはそのリガンド/受容体に結合し、その生体活性を失わせることができる。
(ii 単鎖結合分子)
他の実施形態では、本発明の結合分子は、単鎖結合分子(例えば、単鎖可変領域またはscFv)であってもよく、または結合部分として、上述の単鎖結合分子を含んでいてもよい。好ましくは、単鎖結合分子は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。あるいは、単鎖抗体を産生するために記載された技術(米国特許第4,694,778号;Bird,Science 242:423−442(1988);Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988);およびWardら、Nature 334:544−554(1989))を適用し、単鎖抗体を産生することができる。単鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントをアミノ酸架橋で結合し、単鎖抗体を得ることによって作成される。E coliの機能的なFv領域をアセンブリする技術も使用してもよい(Skerraら、Science 242:1038−1041(1988))。
他の実施形態では、本発明の結合分子は、単鎖結合分子(例えば、単鎖可変領域またはscFv)であってもよく、または結合部分として、上述の単鎖結合分子を含んでいてもよい。好ましくは、単鎖結合分子は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。あるいは、単鎖抗体を産生するために記載された技術(米国特許第4,694,778号;Bird,Science 242:423−442(1988);Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988);およびWardら、Nature 334:544−554(1989))を適用し、単鎖抗体を産生することができる。単鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントをアミノ酸架橋で結合し、単鎖抗体を得ることによって作成される。E coliの機能的なFv領域をアセンブリする技術も使用してもよい(Skerraら、Science 242:1038−1041(1988))。
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、scFv分子(例えば、scFvリンカーによって結合したVHドメインおよびVLドメイン)であるか、またはこのようなscFv分子を含む。scFv分子は、従来のscFv分子であってもよく、または安定化したscFv分子であってもよい。安定化する変異、ジスルフィド結合を含むか、またはscFvまたはscFvを含む結合分子の安定性を高める(例えば、熱安定性を高める)最適化したリンカーを含む、安定化したscFvは、米国特許出願第11/725,970号に詳細に記載されており、この全ての内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、本発明の結合分子は、scFv分子を含むポリペプチドである。本発明の安定化したscFv分子が、第2の分子に融合している場合、第2の分子によって、この融合タンパク質に結合特異性が付与され得る。安定化したscFv分子は、熱安定性が改良されている(例えば、融解温度(Tm)の値が、54℃よりも高い(例えば、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃またはそれ以上)であるか、またはT50値が、39℃よりも高い(例えば、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃または80℃よりも高い)。ある好ましい実施形態では、安定化したscFv分子のT50は、50℃よりも高い。別の好ましい実施形態では、安定化したscFv分子のT50は、60℃よりも高い。
本発明のscFv分子の安定性は、当該技術分野で既知の方法を用いて決定することができ、既知の方法としては、例えば、米国特許出願第11/725,970号(米国特許公開番号第2008/0050370号)に記載される方法が挙げられ、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明のscFv分子、または本発明のscFv分子を含む融合タンパク質の安定性は、従来の(安定化していない)scFv分子、または従来のscFv分子を含む結合分子の生物物理学的性質(例えば、熱安定性)を参照して評価することができる。ある実施形態では、本発明の結合分子は、コントロール結合分子(例えば、従来のscFv分子)よりも、約0.1℃、約0.25℃、約0.5℃、約0.75℃、約1℃、約1.25℃、約1.5℃、約1.75℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃または約10℃高い熱安定性を有する。
ある実施形態では、scFvリンカーは、アミノ酸配列(Gly4Ser)4(配列番号135)からなるか、または(Gly4Ser)4(配列番号135)配列を含む。他のリンカーの例は、(Gly4Ser)3配列(配列番号185)および(Gly4Ser)5(配列番号184)配列を含むか、またはこれらの配列からなる。本発明のscFvリンカーは、長さがさまざまであり得る。ある実施形態では、本発明のscFvリンカーは、約5アミノ酸長〜約50アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明のscFvリンカーは、約10アミノ酸長〜約40アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明のscFvリンカーは、約15アミノ酸長〜約30アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明のscFvリンカーは、約17アミノ酸長〜約28アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明のscFvリンカーは、約19アミノ酸長〜約26アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明のscFvリンカーは、約21アミノ酸長〜約24アミノ酸長である。
特定の実施形態では、本発明の安定化したscFv分子は、VLドメインのアミノ酸と、VHドメインのアミノ酸とを繋ぐ、少なくとも1個のジスルフィド結合を含む。ジスルフィド結合させるには、システイン残基が必要である。本発明のscFv分子に、ジスルフィド結合が含まれて得、例えば、LVのFR4とVHのFR2とを繋いでもよく、またはVLのFR2とVHのFR4とを繋いでもよい。ジスルフィド結合の位置の例としては、Kabat付番により、VHの43、44、45、46、47、103、104、105および106と、VLの42、43、44、45、46、98、99、100および101が挙げられる。システイン残基を変異させるアミノ酸位置の組み合わせ例は、VH44−VL100、VH105−VL43、VH105−VL42、VH44−VL101、VH106−VL43、VH104−VL43、VH44−VL99、VH45−VL98、VH46−VL98、VH103−VL43、VH103−VL44およびVH103−VL45である。ある実施形態では、ジスルフィド結合は、VHのアミノ酸44とVLのアミノ酸100とを繋ぐ。
ある実施形態では、本発明の安定化したscFv分子は、VHドメインとVLドメインとの間にアミノ酸配列(Gly4Ser)4(配列番号135)を有するscFvリンカーを含み、VHドメインとVLドメインとが、VHのアミノ酸位置44とVLのアミノ酸位置100とを繋ぐジスルフィド結合で接続している。
他の実施形態では、本発明の安定化したscFv分子は、scFvの可変ドメイン(VHまたはVL)内に、1個以上の(例えば、2個、3個、4個、5個またはそれ以上の)安定化する変異を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示した任意のVHドメインまたはVLドメインに、安定化する変異が導入されている(例えば、M13−CO6抗体に由来するVLドメイン(配列番号78)またはM14−G11抗体に由来するVLドメイン(配列番号93)、またはM13−CO6抗体に由来するVHドメイン(配列番号14)またはM14−G11抗体に由来するVHドメイン(配列番号32))。
ある実施形態では、安定化する変異は、(a)VLのKabatでの位置3のアミノ酸(例えば、グルタミン)を、例えば、アラニン、セリン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンで置換;(b)VLのKabatでの位置46のアミノ酸(例えば、セリン)を、例えば、ロイシンで置換;(c)VLのKabatでの位置49のアミノ酸(例えば、セリン)を、例えば、チロシンまたはセリンで置換;(d)VLのKabatでの位置50のアミノ酸(例えば、セリンまたはバリン)を、例えば、セリン、スレオニンおよびアルギニン、アスパラギン酸、グリシンまたはリジンで置換;(e)VLのKabatでの位置49のアミノ酸(例えば、セリン)およびVLのKabatでの位置50のアミノ酸(例えば、セリン)を、それぞれ、チロシンおよびセリン、チロシンおよびスレオニン、チロシンおよびアルギニン、チロシンおよびグリシン、セリンおよびアルギニン、またはセリンおよびリジンで置換;(f)VLのKabatでの位置75のアミノ酸(例えば、バリン)を、例えば、イソロイシンで置換;(g)VLのKabatでの位置80のアミノ酸(例えば、プロリン)を、例えば、セリンまたはグリシンで置換;(h)VLのKabatでの位置83のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)を、例えば、セリン、アラニン、グリシンまたはスレオニンで置換;(i)VHのKabatでの位置6のアミノ酸(例えば、グルタミン酸)を、例えば、グルタミンで置換;(j)VHのKabatでの位置13のアミノ酸(例えば、リジン)を、例えば、グルタメートで置換;(k)VHのKabatでの位置16のアミノ酸(例えば、セリン)を、例えば、グルタメートまたはグルタミンで置換;(l)VHのKabatでの位置20のアミノ酸(例えば、バリン)を、例えば、例えば、イソロイシンで置換;(m)VHのKabatでの位置32のアミノ酸(例えば、アスパラギン)を、例えば、セリンで置換;(n)VHのKabatでの位置43のアミノ酸(例えば、グルタミン)を、例えば、リジンまたはアルギニンで置換;(o)VHのKabatでの位置48のアミノ酸(例えば、メチオニン)を、例えば、イソロイシンまたはグリシンで置換;(p)VHのKabatでの位置49のアミノ酸(例えば、セリン)を、例えば、グリシンまたはアラニンで置換;(q)VHのKabatでの位置55のアミノ酸(例えば、バリン)を、例えば、グリシンで置換;(r)VHのKabatでの位置67のアミノ酸(例えば、バリン)を、例えば、イソロイシンまたはロイシンで置換;(s)VHのKabatでの位置72のアミノ酸(例えば、グルタミン酸)を、例えば、アスパルテートまたはアスパラギンで置換;(t)VHのKabatでの位置79のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)を、例えば、セリン、バリンまたはチロシンで置換;および(u)VHのKabatでの位置101のアミノ酸(例えば、プロリン)を、例えば、アスパラギン酸で置換、からなる群から選択される。
別の実施形態では、安定化する変異は、(a)VLのKabatでの位置4のアミノ酸(例えば、メチオニン)を、例えば、ロイシンで置換;(b)VLのKabatでの位置11のアミノ酸を、例えば、グリシンで置換;(c)VLのKabatでの位置15のアミノ酸(例えば、バリン)を、例えば、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、アスパラギン、プロリン、アルギニンまたはセリンで置換;(d)VLのKabatでの位置20のアミノ酸を、例えば、アルギニンで置換;(e)VLのKabatでの位置24のアミノ酸を、例えば、リジンで置換;(f)VLのKabatでの位置30のアミノ酸(例えば、アルギニン)を、例えば、アスパラギン、スレオニンまたはチロシンで置換;(g)VLのKabatでの位置47のアミノ酸(例えば、スレオニン)を、例えば、セリンで置換;(h)VLのKabatでの位置50のアミノ酸を、例えば、グリシン、メチオニンまたはアスパラギンで置換;(i)VLのKabatでの位置51のアミノ酸(例えば、アラニン)を、例えば、グリシンで置換;(j)VLのKabatでの位置63のアミノ酸を、例えば、セリンで置換;(k)VLのKabatでの位置70のアミノ酸を、例えば、グルタミン酸で置換;(l)VLのKabatでの位置72のアミノ酸(例えば、セリン)を、例えば、アスパラギンまたはチロシンで置換;(m)VLのKabatでの位置74のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸)を、例えば、セリンで置換;(n)VLのKabatでの位置77のアミノ酸を、例えば、グリシンで置換;(o)VLのKabatでの位置83のアミノ酸(例えば、イソロイシン)を、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、メチオニン、アルギニン、セリンまたはバリンで置換;(p)VHのKabatでの位置6のアミノ酸を、例えば、グルタミンで置換;(q)VHのKabatでの位置21のアミノ酸を、例えば、グルタミン酸で置換;(r)VHのKabatでの位置47のアミノ酸(例えば、トリプトファン)を、例えば、フェニルアラニンで置換;(s)VHのKabatでの位置49のアミノ酸を、例えば、アラニンで置換;(t)VHのKabatでの位置83のアミノ酸(例えば、アルギニン)を、例えば、リジンまたはスレオニンで置換;および(u)VHのKabatでの位置110のアミノ酸(例えば、スレオニン)を、例えば、バリンで置換、からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、scFv分子は、従来のsvFv分子と比較して、安定化する変異を含み、この変異は、(i)VLのアミノ酸位置50、(ii)VLのアミノ酸位置83、(iii)VHのアミノ酸位置6および(iv)VHのアミノ酸位置49に存在する(Kabat付番による規則)。別の実施形態では、この安定化する変異は、6Q、21E、47F、49A、49G、83K、83Tおよび110Vからなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明は、配列番号123、125または127からなる群から選択される参照ポリヌクレオチド配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一なポリヌクレオチドがコードする配列を含む、安定化したscFv分子を与える。他の例示的な実施形態では、安定化したscFv分子は、配列番号124、126または128からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一なアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、上述の安定化したscFv分子は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
タンパク質の安定性を同じように高めるために、上述のいずれの安定化する変異も、他のscFvではない結合分子(例えば、本明細書に開示した任意のIGF−1R結合分子)の適切な可変領域(VLまたはVH)に導入してもよいことが、当業者に理解されるであろう。例えば、上に開示した1つ以上の安定化する変異を、Fab分子または全長IgG抗体分子のVLドメインまたはVHドメインの等価なアミノ酸位置(Kabat付番による)に導入し、分子の安定性を高めてもよい。
(iii 単一ドメイン結合分子)
特定の実施形態では、結合分子は、単一ドメイン結合分子(例えば、単一ドメイン抗体、ナノボディ(nanobody)とも呼ばれる)であるか、単一ドメイン結合分子を含む。単一ドメイン分子の例としては、抗体の重鎖可変ドメイン(VH)単離物(すなわち、軽鎖可変ドメインを含まない重鎖可変ドメインのみ)、および抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)単離物(すなわち、重鎖可変ドメインを含まない軽鎖可変ドメインのみ)が挙げられる。本発明の結合分子で使用する単一ドメイン抗体の例としては、例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)、およびDumoulinら、Protein Science 11:500−515(2002)に記載されるラクダ重鎖可変ドメイン(アミノ酸残基約118〜136)が挙げられる。単一ドメイン抗体のマルチマーも、本発明の範囲に含まれる。他の単一ドメイン抗体としては、サメ抗体(例えば、サメIg−NAR)が挙げられる。サメIg−NARは、1種類の可変ドメイン(V−NAR)および5種類のC型定常ドメイン(C−NAR)のホモダイマーを含み、その多様性は、5〜23残基長の長いCDR3領域に集中している。ラクダ種(例えば、ラマ)では、重鎖可変領域(VHHと呼ばれる)が、抗原結合領域全体を形成している。ラクダ科のVHH可変領域と、従来の抗体から誘導された重鎖可変領域(VH)との大きな違いは、(a)VHが軽鎖と接触する表面には、対応するVHHの領域と比較して疎水性のアミノ酸が多いこと、(b)VHHの方がCDR3が長いこと、(c)VHHのCDR1とCDR3との間で頻繁にジスルフィド結合が発生することである。単一ドメイン結合分子の製造方法は、米国特許第6.005,079号および第6,765,087号に記載されており、この両者の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、結合分子は、単一ドメイン結合分子(例えば、単一ドメイン抗体、ナノボディ(nanobody)とも呼ばれる)であるか、単一ドメイン結合分子を含む。単一ドメイン分子の例としては、抗体の重鎖可変ドメイン(VH)単離物(すなわち、軽鎖可変ドメインを含まない重鎖可変ドメインのみ)、および抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)単離物(すなわち、重鎖可変ドメインを含まない軽鎖可変ドメインのみ)が挙げられる。本発明の結合分子で使用する単一ドメイン抗体の例としては、例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)、およびDumoulinら、Protein Science 11:500−515(2002)に記載されるラクダ重鎖可変ドメイン(アミノ酸残基約118〜136)が挙げられる。単一ドメイン抗体のマルチマーも、本発明の範囲に含まれる。他の単一ドメイン抗体としては、サメ抗体(例えば、サメIg−NAR)が挙げられる。サメIg−NARは、1種類の可変ドメイン(V−NAR)および5種類のC型定常ドメイン(C−NAR)のホモダイマーを含み、その多様性は、5〜23残基長の長いCDR3領域に集中している。ラクダ種(例えば、ラマ)では、重鎖可変領域(VHHと呼ばれる)が、抗原結合領域全体を形成している。ラクダ科のVHH可変領域と、従来の抗体から誘導された重鎖可変領域(VH)との大きな違いは、(a)VHが軽鎖と接触する表面には、対応するVHHの領域と比較して疎水性のアミノ酸が多いこと、(b)VHHの方がCDR3が長いこと、(c)VHHのCDR1とCDR3との間で頻繁にジスルフィド結合が発生することである。単一ドメイン結合分子の製造方法は、米国特許第6.005,079号および第6,765,087号に記載されており、この両者の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
(iv ミニボディ)
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、ミニボディであるか、ミニボディを含む。ミニボディは、当該技術分野で記載の方法を用いて製造することができる(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO94/09817A1号を参照)。特定の実施形態では、ミニボディは、天然または非天然の(例えば、変異した)重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメイン、またはこれらの組み合わせの2個の相補性決定領域(CDR)のみを含む結合分子である。このようなミニボディの例は、Pessiら、Nature 362:367−369(1993)に記載されている。別のミニボディの例は、CH3ドメインまたは全Fc領域に結合しているか、または融合しているscFv分子を含む。ミニボディのマルチマーも本発明の範囲に含まれる。
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、ミニボディであるか、ミニボディを含む。ミニボディは、当該技術分野で記載の方法を用いて製造することができる(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO94/09817A1号を参照)。特定の実施形態では、ミニボディは、天然または非天然の(例えば、変異した)重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメイン、またはこれらの組み合わせの2個の相補性決定領域(CDR)のみを含む結合分子である。このようなミニボディの例は、Pessiら、Nature 362:367−369(1993)に記載されている。別のミニボディの例は、CH3ドメインまたは全Fc領域に結合しているか、または融合しているscFv分子を含む。ミニボディのマルチマーも本発明の範囲に含まれる。
(v.免疫グロブリンではない結合分子)
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、免疫グロブリンではない結合分子であるか、または免疫グロブリンではない結合分子に由来する1個以上の結合部分を含む。本明細書で使用するとき、用語「非免疫グロブリン結合分子」は、結合部分に、免疫グロブリン以外のポリペプチドに由来する部分(例えば、足場タンパク質またはフレームワーク)を含む結合分子であるが、所望な結合特異性を提供するために、遺伝子操作をしていてもよい(例えば、突然変異)。
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、免疫グロブリンではない結合分子であるか、または免疫グロブリンではない結合分子に由来する1個以上の結合部分を含む。本明細書で使用するとき、用語「非免疫グロブリン結合分子」は、結合部分に、免疫グロブリン以外のポリペプチドに由来する部分(例えば、足場タンパク質またはフレームワーク)を含む結合分子であるが、所望な結合特異性を提供するために、遺伝子操作をしていてもよい(例えば、突然変異)。
免疫グロブリン結合分子は、免疫グロブリン以外の免疫グロブリンスーパーファミリー由来の結合部分を含み得る(例えば、T細胞受容体または細胞接着タンパク質(例えば、CTLA−4、N−CAM、テロキン))。このような結合分子は、免疫グロブリンの折りたたみ構造を保持し、IGF−1Rエピトープに特異的に結合可能な結合部分を含む。他の実施形態では、本発明の非免疫グロブリン結合分子は、免疫グロブリンの折りたたみ構造に基づかないタンパク質トポロジーを有する(例えば、アンキリン繰り返しタンパク質またはフィブロネクチン)が、標的(例えば、IGF−1Rエピトープ)に特異的に結合可能な結合部位も含む。
非免疫グロブリン結合分子は、人工的に多様化させた結合部位を有する結合分子ライブラリから、標的に結合する改変体を選別するか、または単離することによって同定してもよい。多様化させたライブラリは、完全に無作為なアプローチを用いて作成してもよく(例えば、エラープローンPCR、エクソンシャッフリング、または定方向進化)、または当該技術分野で認識された設計方法を使って作成してもよい。例えば、結合部位が、同族の標的分子と相互作用するときに、通常関与するアミノ酸の位置は、縮重コドン、トリヌクレオチド、ランダムペプチド、または結合部位をコードする核酸の中の対応する位置に完全なループを挿入することによって、ランダム化してもよい(例えば、米国特許出願公開第20040132028号を参照)。アミノ酸の位置は、標的分子との複合体で、結合部位の結晶構造を観察することによって特定することができる。ランダム化する候補となる位置は、ループ、平坦な表面、らせん、および結合部位の結合空洞が挙げられる。特定の実施形態では、多様化の候補になりそうな結合部位に存在するアミノ酸は、免疫グロブリンの折りたたみ構造との同一性によって特定してもよい。例えば、フィブロネクチンのCDR様ループに含まれる残基をランダム化し、フィブロネクチン結合分子のライブラリを作成してもよい(例えば、Koideら、J.Mol.Biol.、284:1141−1151(1998)を参照)。結合部位のうち、ランダム化可能な他の部分としては、平坦な表面が挙げられる。ランダム化した後、多様化させたライブラリを選択またはスクリーニングし、所望の結合特性を有する(例えば、上述のIGF−1Rエピトープに対して特異的に結合する)結合分子を得てもよい。例えば、当該技術分野で認識されている方法(例えば、ファージディスプレイ、イーストディスプレイ、またはリボソームディスプレイ)で、選択してもよい。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、フィブロネクチン結合分子に由来する結合部分を含む。フィブロネクチン結合分子(例えば、I型、II型またはIII型のフィブロネクチン領域を含む分子)は、CDR様のループ形状をとり、これは、免疫グロブリンとは違い、これは鎖内ジスルフィド結合にはよらない。フィブロネクチン結合ポリペプチドの製造方法は、例えば、WO 01/64942号および米国特許第6,673,901号、第6,703,199号、第7,078,490号および第7,119,171号に記載されており、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本発明の結合分子は、アフィボディ由来の結合部位を含む。アフィボディは、staphylococcal Protein A(SPA)の免疫グロブリン結合領域に由来する(例えば、Nordら、Nat.Biotechnol.、15:772−777(1997)を参照)。本発明で利用するアフィボディ結合部位は、SPAの領域(例えば、領域B)に由来する、SPAに関連するタンパク質(例えば、タンパク質Z)を突然変異させ、IGF−1Rエピトープへの結合親和性を有するSPA関連ポリペプチド変異体を選択することによって合成してもよい。アフィボディ結合部位を製造する他の方法は、米国特許第6,740,734号および同第6,602,977号およびWO00/63243号に記載されており、これらの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本発明の結合分子は、アンチカリン(anticalin)由来の結合部位を含む。アンチカリン(リポカリンとしても知られる)は、多様なβ−バレルタンパク質を有する群であり、バレル/ループ領域で標的分子に結合する機能がある。リポカリン結合部位は、バレルのストランドに接続するループ配列をランダム化することによって、IGF−1Rエピトープに結合するように遺伝子操作されてもよい(例えば、Schlehuberら、Drug Discov. Today、10:23−33(2005);Besteら、PNAS、96:1898−1903(1999)を参照)。本発明の結合分子で利用するアンチカリン結合部位は、Pieris brassicaのビリン結合タンパク質(BBP)のアミノ酸位置28〜45、58〜69、86〜99および114〜129を含む直鎖状ポリペプチド配列の配列位置に対応する4箇所の部分で突然変異を起こしたリポカリン群のポリペプチドから得てもよい。アンチカリン結合部位を製造する他の方法は、WO99/16873号およびWO05/019254号に記載されており、これらの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本発明の結合分子は、システインに富むポリペプチド由来の結合部位を含む。本発明を実施するのに利用するシステインに富む領域は、典型的には、α−らせん、β−シート、またはβ−バレルの構造をとらない。典型的には、ジスルフィド結合によって、この領域の三次元構造への折りたたみが促進される。通常は、システインに富む領域は、少なくとも2個のジスルフィド結合を有しており、さらに典型的には、少なくとも3個のジスルフィド結合を有している。システインに富むポリペプチドの例は、A領域のタンパク質である。A領域(「相補性の繰り返し(complement−type repeat)」と呼ばれることもある)は、約30〜50個または約30〜65個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、この領域は、約35〜45個のアミノ酸を含み、ある場合には、約40個のアミノ酸を含む。30〜50個のアミノ酸の中に、システイン残基は約6個存在する。この6個のシステインのうち、ジスルフィド結合は、典型的には、C1とC3との間、C2とC5との間、C4とC6との間に存在する。A領域は、リガンド結合部位を構成する。この領域のシステイン残基は、ジスルフィド結合によって、小さくまとまった、安定で機能的に独立した部分を形成する。この繰り返しがクラスターになってリガンド結合領域を作り、異なるクラスターができることによって、リガンド結合に対する特異性が付与され得る。A領域を含むタンパク質の例としては、例えば、相補性成分(例えば、C6、C7、C8、C9およびFactor I)、セリンプロテアーゼ(例えば、エンテロペプチダーゼ、マトリプターゼおよびコリン)、膜貫通タンパク質(例えば、ST7、LRP3、LRP5およびLRP6)およびエンドサイトーシス受容体(例えば、Sortilin関連受容体、LDL−受容体、VLDLR、LRP1、LRP2およびApoER2)が挙げられる。所望の結合特異性を有するA領域タンパク質を製造する方法は、例えば、WO02/088171号およびWO04/044011号に開示されており、これらの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、本発明の結合分子は、リピートタンパク質の結合部位を含む。リピートタンパク質は、小さな(例えば、約20〜約40個のアミノ酸残基)構造単位または構造の繰り返しが連続した複製物を含有し、これらが合わさって連続的な領域を形成するタンパク質である。リピートタンパク質は、このタンパク質中の繰り返し数を調節することによって、特定の標的結合部位に合うように改変することができる。リピートタンパク質の例としては、設計されたアンキリンリピートタンパク質(すなわち、DARPin)(例えば、Binzら、Nat.Biotechnol.、22:575−582(2004)を参照)、またはロイシンに富むリピートタンパク質(すなわち、LRRP)(例えば、Pancerら、Nature、430:174−180(2004)を参照)が挙げられる。今までに分かっていることは、アンキリン繰り返し単位の三次元構造は、β−ヘアピン構造の後に、2個の逆行性のα−らせんがあり、繰り返し単位と次の繰り返し単位を接続するループへと続く構造であるということである。アンキリン繰り返し単位を構成する領域は、この繰り返し領域を、広がった構造や曲がった構造になるように繋ぎ合わせることによって作られる。ウミヤツメおよび他の無顎類の適応免疫系の一部から得られるLRRP結合部位は、それらがリンパ球の成熟期にロイシンに富む一組の繰り返し遺伝子を再び組み合わせることによって形成されるという点で、抗体に類似する。DARpin結合部位またはLRRP結合部位を製造する方法は、WO02/20565号およびWO06/083275に記載されており、これらの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明の結合分子で利用可能な他の非免疫グロブリン結合部位としては、Src同一性領域(例えば、SH2領域またはSH3領域)、PDZ領域、β−ラクタマーゼ、高親和性プロテアーゼ阻害剤、または小分子ジスルフィド結合足場タンパク質(例えば、サソリの毒素など)に由来する結合部位が挙げられる。これらの分子に由来する結合部位を製造する方法は、当該技術分野で開示されており、例えば、Panniら、J.Biol.Chem.、277:21666−21674(2002)、Schneiderら、Nat.Biotechnol.、17:170−175(1999);Legendreら、Protein Sci.、11:1506−1518(2002);Stoopら、Nat.Biotechnol.、21:1063−1068(2003);およびVitaら、PNAS、92:6404−6408(1995)を参照。さらに他の結合部位は、EGF様領域、Kringle領域、PAN領域、Gla領域、SRCR領域、Kunitz/Bovine膵臓トリプシン阻害領域、Kazal型セリンプロテアーゼ阻害領域、Trefoil(P型)領域、フォンウィルブランド因子C型領域、Anaphylatoxin様領域、CUB領域、サイログロブリンI型繰り返し、LDL受容体A型領域、Sushi領域、Link領域、トロンボスポンジンI型領域、免疫グロブリン様領域、C型レクチン領域、MAM領域、フォンウィルブランド因子A型領域、Somatomedin B領域、WAP型の4つのジスルフィドコアを有する領域、F5/8 C型領域、Hemopexin領域、Laminin型のEGF様領域、C2領域、および当業者に既知の他の領域、およびこれらの誘導体および/または改変体からなる群から選択される結合領域に由来してもよい。
(vi.結合分子フラグメント)
特記しない限り、本明細書で使用するとき、結合分子について記載する「フラグメント」は、抗原結合性を保持したフラグメント(すなわち、抗原に特異的に結合する、結合の一部分)を指す。ある実施形態では、本発明の結合分子は、抗体フラグメントであるか、そのような抗体フラグメントを含む。特定のエピトープを認識する抗体フラグメントを、既知の技術によって作成してもよい。例えば、FabフラグメントおよびF(ab’)2フラグメントは、免疫グロブリン分子を組み換え操作するか、またはパパイン(Fabフラグメントを得る)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを作成する)のような酵素を用い、タンパク質分解によって開裂させて作成してもよい。F(ab’)2フラグメントは、可変領域と、軽鎖定常領域と、重鎖のCH1領域とを含有する。
特記しない限り、本明細書で使用するとき、結合分子について記載する「フラグメント」は、抗原結合性を保持したフラグメント(すなわち、抗原に特異的に結合する、結合の一部分)を指す。ある実施形態では、本発明の結合分子は、抗体フラグメントであるか、そのような抗体フラグメントを含む。特定のエピトープを認識する抗体フラグメントを、既知の技術によって作成してもよい。例えば、FabフラグメントおよびF(ab’)2フラグメントは、免疫グロブリン分子を組み換え操作するか、またはパパイン(Fabフラグメントを得る)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを作成する)のような酵素を用い、タンパク質分解によって開裂させて作成してもよい。F(ab’)2フラグメントは、可変領域と、軽鎖定常領域と、重鎖のCH1領域とを含有する。
(B.多重特異性結合分子)
本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも2個の結合部位または結合部分を含んでいてもよく、この結合部位または結合部分のうち、少なくとも1つは、上述の単一特異性結合分子またはその結合部分のうち1つに由来するか、またはこのような単一特異性結合分子またはその結合部分を含む。特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子の少なくとも1つの結合部位は、抗体の抗原結合領域または抗原結合性を保持した抗体フラグメントである(例えば、上述の抗体または抗原結合性を保持したフラグメント)。
本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも2個の結合部位または結合部分を含んでいてもよく、この結合部位または結合部分のうち、少なくとも1つは、上述の単一特異性結合分子またはその結合部分のうち1つに由来するか、またはこのような単一特異性結合分子またはその結合部分を含む。特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子の少なくとも1つの結合部位は、抗体の抗原結合領域または抗原結合性を保持した抗体フラグメントである(例えば、上述の抗体または抗原結合性を保持したフラグメント)。
((i)二重特異性抗体)
特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、二重特異性である。二重特異性結合分子は、二価であってもよく、これより多い価数を有していてもよい(例えば、三価、四価、六価など)。二重特異性の二価抗体、および製造方法は、例えば、米国特許第5,731,168号;同第5,807,706号;同第5,821,333号;および米国特許出願公開第2003/020734号および同第2002/0155537号に記載されており、上述の各出願の内容の全ては、参照することにより本明細書に組み込まれる。二重特異性の四価抗体、および製造方法は、例えば、WO02/096948号およびWO00/44788号に記載されており、上述の両出願の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。一般的に、PCT出願公開WO93/17715号;WO92/08802号;WO91/00360号;WO92/05793号;Tuttら、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照。
特定の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、二重特異性である。二重特異性結合分子は、二価であってもよく、これより多い価数を有していてもよい(例えば、三価、四価、六価など)。二重特異性の二価抗体、および製造方法は、例えば、米国特許第5,731,168号;同第5,807,706号;同第5,821,333号;および米国特許出願公開第2003/020734号および同第2002/0155537号に記載されており、上述の各出願の内容の全ては、参照することにより本明細書に組み込まれる。二重特異性の四価抗体、および製造方法は、例えば、WO02/096948号およびWO00/44788号に記載されており、上述の両出願の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。一般的に、PCT出願公開WO93/17715号;WO92/08802号;WO91/00360号;WO92/05793号;Tuttら、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照。
本発明の二重特異性抗体は、単一特異性結合分子のいずれも(例えば、上述の抗体のいずれか)を含み得、または上に開示した結合部分のいずれをも含んでいてもよい。例えば、特定の実施形態では、二重特異性抗体は、本明細書に開示した寄託済抗体のいずれかを第1の結合部分として含み、本明細書に開示した任意のscFv分子を第2の結合部分として含んでいてもよい。但し、この第1および第2の結合部分は、異なる結合特異性を有している。ある実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、M13.C06 IgG抗体の可変領域に由来する1つ以上のscFv分子(例えば、1つ以上の安定化したscFv分子)に結合しているか、または融合しているM14.G11 IgG抗体を含んでいてもよい。別の例示的な実施形態では、二重特異性抗体は、M14.G11抗体の可変領域に由来するscFv分子(例えば、安定化したscFv分子)に結合しているか、または融合しているM13.C06 IgG抗体を含んでいてもよい。上述の二重特異性抗体のM14.G11 IgG抗体またはM13.CO6 IgG抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)の重鎖定常領域を含んでいてもよい。特定の実施形態では、重鎖定常領域は、完全にグリコシル化されている。他の実施形態では、重鎖定常領域は、グリコシル化されない(例えば、IgG抗体は、「agly」抗体、例えば、Igly IgG1抗体またはagly IgG4抗体である)。ある実施形態では、scFvは、M14.G11 IgG抗体またはM13.C06 IgG抗体の重鎖の成熟N末端に結合しているか、または融合している。他の実施形態では、scFvは、IgG抗体の重鎖の成熟C末端に結合しているか、または融合している。さらに他の実施形態では、scFvは、M14.G11 IgG抗体またはM13.C06 IgG抗体の軽鎖の成熟N末端に結合しているか、または融合している。特定の実施形態では、gly/serに結合しているペプチド(例えば、(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカー)を使用し、上述の二重特異性抗体のIgG抗体にscFvを接続してもよい。
さらなる例示的な実施形態では、本発明は、配列番号132、136、141または143からなる群から選択される参照ポリヌクレオチドと、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一なポリヌクレオチドがコードする重鎖を含む二重特異性結合分子を与える。他の例示的な実施形態では、二重特異性分子は、配列番号133、137、142または144からなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一な重鎖を含む。特定の実施形態では、二重特異性アミノ酸は、配列番号129または配列番号139の参照ポリヌクレオチド配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一なポリヌクレオチドがコードする軽鎖をさらに含む。他の例示的な実施形態では、二重特異性分子は、配列番号130および配列番号140と、少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一な軽鎖をさらに含む。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、IGF−1Rに特異的に結合するか、または選択的に結合する。
((ii)scFvを含有する多重特異性結合分子)
ある実施形態では、本発明の多重特性分子は、少なくとも1個のscFv分子(例えば、本明細書に記載の任意のscFv分子)を含む多重特異性結合分子である。他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、2個のscFv分子を含む(例えば、二重特異性scFv(Bis−scFv))。このscFv分子は、同じであってもよく、異なっていてもよい。特定の実施形態では、scFv分子は、従来のscFv分子である。他の実施形態では、scFv分子は、上述の安定化したscFv分子である。特定の実施形態では、多重特異性結合分子は、上述の結合分子のいずれかから選択される任意の親結合分子に、scFv分子(例えば、安定化したscFv分子)を接続することによって作成されてもよく、ここで、上述のscFv分子と、上述の親結合分子とは、異なるIGF−1R結合部分を有している(例えば、競合的な結合部分とアロステリックな結合部分)。例えば、本発明の結合部分は、第1の結合特異性を有するscFv分子が、第2のscFv分子またはscFvではない結合分子(例えば、IGF−1R抗体)に接続し、第2のIGF−1R結合特異性が付与されたものである。ある実施形態では、本発明の結合分子は、安定化したscFv分子が融合している天然の抗体である。
ある実施形態では、本発明の多重特性分子は、少なくとも1個のscFv分子(例えば、本明細書に記載の任意のscFv分子)を含む多重特異性結合分子である。他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、2個のscFv分子を含む(例えば、二重特異性scFv(Bis−scFv))。このscFv分子は、同じであってもよく、異なっていてもよい。特定の実施形態では、scFv分子は、従来のscFv分子である。他の実施形態では、scFv分子は、上述の安定化したscFv分子である。特定の実施形態では、多重特異性結合分子は、上述の結合分子のいずれかから選択される任意の親結合分子に、scFv分子(例えば、安定化したscFv分子)を接続することによって作成されてもよく、ここで、上述のscFv分子と、上述の親結合分子とは、異なるIGF−1R結合部分を有している(例えば、競合的な結合部分とアロステリックな結合部分)。例えば、本発明の結合部分は、第1の結合特異性を有するscFv分子が、第2のscFv分子またはscFvではない結合分子(例えば、IGF−1R抗体)に接続し、第2のIGF−1R結合特異性が付与されたものである。ある実施形態では、本発明の結合分子は、安定化したscFv分子が融合している天然の抗体である。
安定化したscFv分子は、親結合分子に接続しており、安定化したscFv分子は、接続によって、好ましくは、この結合分子の熱安定性が少なくとも約2〜3℃高くなる。ある実施形態では、本発明のscFvを含有する結合分子は、従来の結合分子と比較して、熱安定性が1℃高くなっている。別の実施形態では、本発明のscFvを含有する結合分子は、従来の結合分子と比較して、熱安定性が2℃高くなっている。別の実施形態では、本発明のscFvを含有する結合分子は、従来の結合分子と比較して、熱安定性が4℃、5℃、6℃高くなっている。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、安定化した「抗体」または「免疫グロブリン」分子であり、例えば、天然の抗体または天然の免疫グロブリン分子(または抗原結合性を保持したフラグメント)であるか、または抗体分子と同じ様式で抗原に結合し、本発明のscFv分子を含む遺伝子操作された抗体分子である。本明細書で使用するとき、用語「免疫グロブリン」は、2個の重鎖と2個の軽鎖の組み合わせを有するポリペプチドを含み、任意の関連する特定の免疫反応性を有していても、有していなくてもよい。
ある実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも1個のscFv(例えば、2個、3個または4個のscFv、例えば、安定化したscFvs)が、抗体の重鎖のC末端に接続しており、scFvと抗体とは、異なる結合特異性を有している。別の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも1個のscFv(例えば、2個、3個または4個のscFv、例えば、安定化したscFvs)が、抗体の重鎖のN末端に接続しており、scFvと抗体とは、異なる結合特異性を有している。別の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも1個のscFv(例えば、2個、3個または4個のscFvまたは安定化したscFvs)が、抗体の軽鎖のN末端に接続しており、scFvと抗体とは、異なる結合特異性を有している。別の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも1個のscFv(例えば、2個、3個または4個のscFvまたは安定化したscFvs)が、抗体の重鎖または軽鎖のN末端に接続しており、少なくとも1個のscFv(例えば、2個、3個または4個のscFvまたは安定化したscFvs)が、重鎖のC末端に接続しており、scFvは、異なる結合特異性を有している。
((iii)多価ミニボディ)
ある実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、第1の結合特異性を有する少なくとも1個のscFvフラグメントと、第2の結合特異性を有する少なくとも1個のscFvとを有する多価ミニボディである。好ましい実施形態では、少なくとも1個のscFv分子が安定化している。二重特異性の二価ミニボディ構築物の例は、CH3ドメインを含み、CH3ドメインが、そのN末端で接続ペプチドと融合しており、この接続ペプチドが、そのN末端でVHドメインと融合しており、このVHドメインが、そのN末端で(Gly4Ser)n(配列番号182)可とう性リンカーに融合しており、この可とう性リンカーが、そのN末端でVLドメインと融合しているものである。特定の実施形態では、多価ミニボディは、二価、三価(例えば、トリアボディ(triabody))、二重特異性(例えば、ダイアボディ)または四価(例えば、テトラボディ)であってもよい。
ある実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、第1の結合特異性を有する少なくとも1個のscFvフラグメントと、第2の結合特異性を有する少なくとも1個のscFvとを有する多価ミニボディである。好ましい実施形態では、少なくとも1個のscFv分子が安定化している。二重特異性の二価ミニボディ構築物の例は、CH3ドメインを含み、CH3ドメインが、そのN末端で接続ペプチドと融合しており、この接続ペプチドが、そのN末端でVHドメインと融合しており、このVHドメインが、そのN末端で(Gly4Ser)n(配列番号182)可とう性リンカーに融合しており、この可とう性リンカーが、そのN末端でVLドメインと融合しているものである。特定の実施形態では、多価ミニボディは、二価、三価(例えば、トリアボディ(triabody))、二重特異性(例えば、ダイアボディ)または四価(例えば、テトラボディ)であってもよい。
別の実施形態では、本発明の結合分子は、scFv四価ミニボディであり、このscFv四価ミニボディのそれぞれの重鎖部分は、結合特異性が異なる第1および第2のscFvフラグメントを含有している。好ましい実施形態では、scFv分子の少なくとも1個は安定化している。上述の第2のscFvフラグメントは、第1のscFvフラグメントのN末端に接続していてもよい(例えば、二重特異性NH scFv四価ミニボディまたは二重特異性NL scFv四価ミニボディ)。または、第2のscFvフラグメントは、第1のscFvフラグメントを含有する重鎖部分のC末端に接続していてもよい(例えば、二重特異性C−scFv四価ミニボディ)。二重特異性四価ミニボディの第1の重鎖部分の第1および第2のscFvフラグメントが、同じ標的IGF−1R分子に結合する場合、この二重特異性四価ミニボディの第2の重鎖部分の第1および第2のscFvフラグメントのうち、少なくとも1つは、同じ標的IGF−1R分子に結合してもよいし、または異なる標的IGF−1R分子に結合してもよい。
((iv)多重特異性ダイアボディ)
他の実施形態では、本発明の結合分子は、多重特異性ダイアボディである。ある実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、二重特異性ダイアボディであり、このダイアボディの各アームは、タンデム型scFvフラグメントを含む。好ましい実施形態では、scFvフラグメントのうち、少なくとも1つが安定化している。ある実施形態では、二重特異性ダイアボディは、第1の結合特異性を有する第1のアームと、第2の結合特異性を有する第2のアームとを備えていてもよい。別の実施形態では、ダイアボディの各アームは、第1の結合特異性を有する第1のscFvフラグメントと、第2の結合特異性を有する第2のscFvフラグメントとを備えていてもよい。特定の実施形態では、多重特異性ダイアボディは、全Fc領域またはFcの一部分(例えば、CH3ドメイン)に直接融合することができる。
他の実施形態では、本発明の結合分子は、多重特異性ダイアボディである。ある実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、二重特異性ダイアボディであり、このダイアボディの各アームは、タンデム型scFvフラグメントを含む。好ましい実施形態では、scFvフラグメントのうち、少なくとも1つが安定化している。ある実施形態では、二重特異性ダイアボディは、第1の結合特異性を有する第1のアームと、第2の結合特異性を有する第2のアームとを備えていてもよい。別の実施形態では、ダイアボディの各アームは、第1の結合特異性を有する第1のscFvフラグメントと、第2の結合特異性を有する第2のscFvフラグメントとを備えていてもよい。特定の実施形態では、多重特異性ダイアボディは、全Fc領域またはFcの一部分(例えば、CH3ドメイン)に直接融合することができる。
((v)scFv2四価抗体)
他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、scFv分子を含有するscFv2四価抗体の各重鎖部分を有する、scFv2四価抗体である。このscFv分子は、独立して、本明細書に開示したscFv分子のいずれかから選択されてもよい。好ましい実施形態では、scFv分子の少なくとも1個が安定化されている。scFvフラグメントは、重鎖部分の可変領域のN末端に結合していてもよい(例えば、二重特異性NH scFv2四価抗体または二重特異性NL scFv2四価抗体)。または、scFvフラグメントは、scFv2四価抗体の重鎖部分のC末端に結合していてもよい。scFv2四価抗体の各重鎖部分は、可変領域と、同じ標的IGF−1R分子またはエピトープまたは異なる標的IGF−1R分子またはエピトープに結合しているscFvフラグメントとを有していてもよい。二重特異性scFc2四価抗体の第1の重鎖部分のscFvフラグメントおよび可変領域が、同じ標的分子またはエピトープに結合する際には、二重特異性四価ミニボディの第2の重鎖部分の第1および第2のscFvフラグメントのうち、少なくとも1つは、異なる標的分子またはエピトープに結合している。
他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、scFv分子を含有するscFv2四価抗体の各重鎖部分を有する、scFv2四価抗体である。このscFv分子は、独立して、本明細書に開示したscFv分子のいずれかから選択されてもよい。好ましい実施形態では、scFv分子の少なくとも1個が安定化されている。scFvフラグメントは、重鎖部分の可変領域のN末端に結合していてもよい(例えば、二重特異性NH scFv2四価抗体または二重特異性NL scFv2四価抗体)。または、scFvフラグメントは、scFv2四価抗体の重鎖部分のC末端に結合していてもよい。scFv2四価抗体の各重鎖部分は、可変領域と、同じ標的IGF−1R分子またはエピトープまたは異なる標的IGF−1R分子またはエピトープに結合しているscFvフラグメントとを有していてもよい。二重特異性scFc2四価抗体の第1の重鎖部分のscFvフラグメントおよび可変領域が、同じ標的分子またはエピトープに結合する際には、二重特異性四価ミニボディの第2の重鎖部分の第1および第2のscFvフラグメントのうち、少なくとも1つは、異なる標的分子またはエピトープに結合している。
((vi)多重特異性結合分子のフラグメント)
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、多重特異性であってもよい。本発明の多重特異性結合分子は、二重特異性Fab2分子または多重特異性(例えば、三重特異性)Fab3分子を含む。例えば、多重特異性結合分子のフラグメントは、異なる特異性を有するFab分子またはscFv分子が化学結合したマルチマー(例えば、ダイマー、トリマー、またはテトラマー)を含んでいてもよい。
特定の実施形態では、本発明の結合分子は、多重特異性であってもよい。本発明の多重特異性結合分子は、二重特異性Fab2分子または多重特異性(例えば、三重特異性)Fab3分子を含む。例えば、多重特異性結合分子のフラグメントは、異なる特異性を有するFab分子またはscFv分子が化学結合したマルチマー(例えば、ダイマー、トリマー、またはテトラマー)を含んでいてもよい。
((vii)タンデム型可変ドメイン結合分子)
他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、タンデム型抗原結合部位を含む結合分子を含んでいてもよい。例えば、可変ドメインは、少なくとも2個(例えば、2個、3個、4個またはそれ以上)の可変重鎖ドメイン(VHドメイン)が直接融合しているか、または並んで結合するように遺伝子操作された抗体の重鎖と、少なくとも2個(例えば、2個、3個、4個またはそれ以上)の可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)が直接融合しているか、または並んで結合するように遺伝子操作された抗体の軽鎖とを含んでいてもよい。VHドメインは、対応するVLドメインと相互作用し、一連の抗原結合部位を形成し、結合部位の少なくとも2つは、IGF−1Rの異なるエピトープに結合する。例えば、結合部位の1つが、上述の競合的なエピトープと交差反応し、別の抗原結合部位が、上述のアロステリックなエピトープと交差反応してもよい。タンデム型可変ドメイン結合分子は、2個以上の重鎖または軽鎖を含んでいてもよく、価数が大きい(例えば、二価または四価)。タンデム型可変ドメイン結合分子の製造方法は、当該技術分野で知られており、例えば、WO 2007/024715を参照。
他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、タンデム型抗原結合部位を含む結合分子を含んでいてもよい。例えば、可変ドメインは、少なくとも2個(例えば、2個、3個、4個またはそれ以上)の可変重鎖ドメイン(VHドメイン)が直接融合しているか、または並んで結合するように遺伝子操作された抗体の重鎖と、少なくとも2個(例えば、2個、3個、4個またはそれ以上)の可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)が直接融合しているか、または並んで結合するように遺伝子操作された抗体の軽鎖とを含んでいてもよい。VHドメインは、対応するVLドメインと相互作用し、一連の抗原結合部位を形成し、結合部位の少なくとも2つは、IGF−1Rの異なるエピトープに結合する。例えば、結合部位の1つが、上述の競合的なエピトープと交差反応し、別の抗原結合部位が、上述のアロステリックなエピトープと交差反応してもよい。タンデム型可変ドメイン結合分子は、2個以上の重鎖または軽鎖を含んでいてもよく、価数が大きい(例えば、二価または四価)。タンデム型可変ドメイン結合分子の製造方法は、当該技術分野で知られており、例えば、WO 2007/024715を参照。
((viii)二重特異性結合分子)
他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、二重結合特異性を有する1個の結合部位を含んでいてもよい。例えば、本発明の二重特異性結合分子は、上述の競合的なエピトープおよび上述のアロステリックなエピトープと交差反応する結合部位を含んでいてもよい。別の実施形態では、本発明の二重特異性結合分子は、上述の任意の2個のアロステリックエピトープと交差反応する結合部位を含んでいてもよい(例えば、IGF−1およびIGF−2をアロステリック効果によってブロックする、アロステリックなエピトープと、IGF−1をアロステリック効果によってブロックするが、IGF−2はアロステリック効果によってブロックしない、アロステリックなエピトープ)。二重特異性結合分子を製造する、当該技術分野で認識されている方法は、当該技術分野で知られている。例えば、二重特異性結合分子は、両方の第1のエピトープと結合する結合分子をスクリーニングすることによって単離し、この単離した結合分子について、第2のエピトープに結合する能力によってカウンタースクリーニングしてもよい。
他の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、二重結合特異性を有する1個の結合部位を含んでいてもよい。例えば、本発明の二重特異性結合分子は、上述の競合的なエピトープおよび上述のアロステリックなエピトープと交差反応する結合部位を含んでいてもよい。別の実施形態では、本発明の二重特異性結合分子は、上述の任意の2個のアロステリックエピトープと交差反応する結合部位を含んでいてもよい(例えば、IGF−1およびIGF−2をアロステリック効果によってブロックする、アロステリックなエピトープと、IGF−1をアロステリック効果によってブロックするが、IGF−2はアロステリック効果によってブロックしない、アロステリックなエピトープ)。二重特異性結合分子を製造する、当該技術分野で認識されている方法は、当該技術分野で知られている。例えば、二重特異性結合分子は、両方の第1のエピトープと結合する結合分子をスクリーニングすることによって単離し、この単離した結合分子について、第2のエピトープに結合する能力によってカウンタースクリーニングしてもよい。
((ix)多重特異性融合タンパク質)
別の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、多重特異性融合タンパク質である。本明細書で使用するとき、句「多重特異性融合タンパク質」は、融合タンパク質(上に定義したもの)のうち、上述の少なくとも2種類の結合特異性を有する融合タンパク質のことをいう。多重特異性融合タンパク質は、例えば、本質的に、WO 89/02922(1989年4月6日公開)、EP 314,317(1989年5月3日公開)、米国特許第5,116,964号(1992年5月2日登録)に開示されているような、ヘテロダイマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーの構造になっていてもよい。好ましい多重特異性融合タンパク質は、二重特異性である。特定の実施形態では、多重特異性融合タンパク質の結合特異性のうち、少なくとも1つは、scFv(例えば、安定化したscFv)を含む。
別の実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、多重特異性融合タンパク質である。本明細書で使用するとき、句「多重特異性融合タンパク質」は、融合タンパク質(上に定義したもの)のうち、上述の少なくとも2種類の結合特異性を有する融合タンパク質のことをいう。多重特異性融合タンパク質は、例えば、本質的に、WO 89/02922(1989年4月6日公開)、EP 314,317(1989年5月3日公開)、米国特許第5,116,964号(1992年5月2日登録)に開示されているような、ヘテロダイマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーの構造になっていてもよい。好ましい多重特異性融合タンパク質は、二重特異性である。特定の実施形態では、多重特異性融合タンパク質の結合特異性のうち、少なくとも1つは、scFv(例えば、安定化したscFv)を含む。
通常の組み換えDNA技術によって、種々の他の多価抗体構築物が当業者によって開発されており、例えば、PCT国際出願第PCT/US86/02269号;欧州特許出願番号第184,187号;欧州特許出願番号第171,496号;欧州特許出願番号第173,494号;PCT国際出願第WO 86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願番号第125,023号;Betterら(1988) Science 240:1041-1043;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439-3443;Liuら(1987)J.Immunol.139:3521-3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214-218;Nishimuraら(1987) Cancer Res.47:999-1005;Woodら(1985)Nature 314:446-449;Shawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553-1559);Morrison(1985)Science 229:1202-1207;Oiら(1986)BioTechniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321:552-525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;Beidlerら(1988)J.Immunol.141:4053-4060;およびWinterおよびMilstein,Nature,349,pp.293−99(1991))に記載されている。好ましくは、非ヒト抗体は、非ヒト抗原結合ドメインにヒト定常ドメインを結合させることによって、「ヒト化」されている(例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,pp.6851−55(1984))。
多価抗体構築物を調製するのに使用可能な他の方法は、以下の刊行物に記載されている。Ghetie,Maria−Anaら(2001)Blood 97:1392−1398;Wolff,Edith A.ら(1993)Cancer Research 53:2560−2565;Ghetie,Maria−Anaら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:7509−7514;Kim,J.C.ら(2002)Int.J.Cancer 97(4):542−547;Todorovska,Anetaら(2001)Journal of Immunological Methods 248:47−66;Coloma M.J.ら(1997)Nature Biotechnology 15:159−163;Zuo,Zhuangら(2000)Protein Engineering(補遺)13(5):361−367;Santos A.D.ら(1999)Clinical Cancer Research 5:3118s−3123s;Presta,Leonard G.(2002)Current Pharmaceutical Biotechnology 3:237−256;van Spriel,Annemiekら(2000)Review Immunology Today 21(8)391−397。
(C.改変された結合分子)
特定の実施形態では、本発明の結合分子の少なくとも1つ(例えば、本発明の多重特異性結合分子、または本発明で組み合わせて使用する単一特異性結合分子)は、1箇所以上で改変されていてもよい。本発明のIGF−1R結合分子の改変された形態を、当該技術分野で既知の技術を用い、前駆体または親抗体から製造することができる。
特定の実施形態では、本発明の結合分子の少なくとも1つ(例えば、本発明の多重特異性結合分子、または本発明で組み合わせて使用する単一特異性結合分子)は、1箇所以上で改変されていてもよい。本発明のIGF−1R結合分子の改変された形態を、当該技術分野で既知の技術を用い、前駆体または親抗体から製造することができる。
特定の実施形態では、本発明の改変されたIGF−1R結合分子は、天然のポリペプチドではみられない、さらなる特徴を示すように改変されたポリペプチドである。ある実施形態では、結合分子の1つ以上の残基は、機能的な側鎖を反応させることによって化学的に誘導体化してもよい。ある実施形態では、結合分子は、20種類の標準的なアミノ酸の誘導体のうち、天然に存在する1つ以上の誘導体を含むように改変されていてもよい。例えば、4−ヒドロキシプロリンが、プロリンと置換されてもよく、5−ヒドロキシリジンが、リジンと置換されてもよく、3−メチルヒスチジンが、ヒスチジンと置換されてもよく、ホモセリンが、セリンと置換されてもよく、オルニチンが、リジンと置換されてもよい。
ある実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子は、1つ以上のドメインを部分的または完全に欠いた合成定常領域(「ドメインを欠いた結合分子」)を含む。特定の実施形態では、適合するように改変された抗体は、CH2領域が完全に除去された(△CH2構築物)、領域を欠いた構築物または改変体を含む。他の実施形態では、短い結合ペプチドを、上述の除去された領域の代わりに使い、可変領域の可とう性および移動の自由度を上げてもよい。当業者は、CH2領域が、抗体の異化速度を制御するという性質によって、このような構築物が特に好ましいことを理解するであろう。領域を欠いた構築物は、IgG1ヒト定常領域をコードするベクターを用いて誘導されてもよい(例えば、WO02/060955A2号およびWO02/096948A2号)。このベクターは、CH2領域を欠き、領域を欠いたIgG1定常領域を発現するベクターを提供するように遺伝子操作される。
ある実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子は、モノマーサブユニットと結合可能な限り、数個または1個のアミノ酸を欠いているか、または数個または1個のアミノ酸が置換された免疫グロブリン重鎖を含む。例えば、CH2領域の所定領域にある1個のアミノ酸の変異でも、Fc結合性を大幅に低下させ、腫瘍の局在化を高めるのに十分な場合がある。同様に、制御されるべきエフェクター機能(例えば、相補性結合)を制御する1つ以上の定常領域の一部分が単純に失われていることも望ましい場合がある。このような定常領域の部分的な欠失によって、目的のインタクトな定常領域に関連する他の望ましい機能はそのままで、抗体の所定の性質(血清での半減期)が高められ得る。さらに、暗に示されているように、開示した抗体の定常領域は、1つ以上のアミノ酸の変異または置換によって合成され、得られた構築物のプロフィールを高め得る。この観点で、改変された抗体の構造および免疫プロフィールを実質的に維持したままで、保存された結合部位(例えば、Fc結合)によって付与される活性を失なわせ得る。さらに他の実施形態は、1個以上のアミノ酸を定常領域に付加し、エフェクター機能のような望ましい特性を高めるか、または細胞毒素または炭水化物への結合力を高めたものである。このような実施形態では、所定の定常領域ドメインに由来する特定の配列を挿入するか、または複製することが望ましい場合がある。
本発明は、本明細書に記載の結合部分(例えば、抗体分子のVH領域および/またはVL領域)の改変体(誘導体を含む)を含むか、これらの改変体から本質的になるか、またはこれらの改変体からなる、結合分子も与え、この結合部分またはそのフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドまたはそのフラグメントまたは改変体に免疫特異的に結合する。当業者に既知の標準的な技術を用い、IGF−1R抗体をコードするヌクレオチド配列に変異(限定されないが、アミノ酸置換が起こる、部位特異的な変異およびPCRによる変異)を導入することができる。好ましくは、改変体(誘導体を含む)は、参照VH領域のVH−CDR1、VH−CDR2、VH−CDR3、VL領域のVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3を標準とし、これに対してアミノ酸の置換が50個未満、40個未満、30個未満、25個未満、20個未満、15個未満、10個未満、5個未満、4個未満、3個未満、または2個未満のアミノ酸をコードする。「アミノ酸の同類置換」は、アミノ酸残基が、同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基と置換されたものである。同じ電荷を側鎖に有するアミノ酸残基は、当該技術分野で定義されている。この分類には、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷をもたない極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝を有する側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。あるいは、コード配列全体または一部分に、無作為に変異が導入されてもよく(例えば、飽和突然変異誘発)、得られた変異体の生体活性をスクリーニングし、活性(例えば、IGF−1Rポリペプチドに結合する能力)を保持した変異体を特定することができる。
例えば、本発明の結合分子(例えば、抗体分子)のフレーム領域のみ、またはCDR領域のみに変異を導入することが可能である。導入された変異は、サイレント変異であってもよく、中立的なミスセンス変異であってもよく(すなわち、抗体が抗原に結合する能力が全くないか、ほとんどない)、実際に、いくつかの変異は、アミノ酸配列を全く変えない。これらの種類の変異は、コドンの用法を最適化するか、またはハイブリドーマの抗体産生を高めるのに有用な場合がある。コドンを最適化した、本発明のIGF−1R領域をコードするコード領域は、本明細書の他の部分に開示している。あるいは、中立的ではないミスセンス変異は、結合分子が抗原に結合する能力を変え得る。例えば、抗体において、ほとんどのサイレント変異および中立的なミスセンス変異の位置は、フレームワーク領域内にある可能性が高く、一方、ほとんどの中立的ではないミスセンス変異は、CDR内にある可能性が高いが、必ずそうでなければならないというわけではない。当業者は、例えば、抗原への結合活性を変更しないか、または結合活性を変更する(例えば、抗体への結合活性を高めるか、または抗体特異性を変える)といった所望の性質を有する変異分子を設計し、試験することができる。突然変異させた後、コードされたタンパク質を通常の方法で発現させることができ、このコードされたタンパク質の機能的活性および/または生体活性(例えば、IGF−1Rポリペプチドの少なくとも1つのエピトープに免疫特異的に結合する能力)を、本明細書に記載の技術を用いて決定することができ、当該技術分野で既知の技術を一般的な方法で改変することによって決定することができる。
((i)共有結合)
本発明のIGF−1R結合分子は、例えば、結合分子に分子を共有結合させて、結合分子が、共有結合によって、関連するエピトープに特異的に共有結合するのを妨害されないように、改変してもよい。例えば、限定されないが、本発明の結合分子は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解による開裂、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって改変してもよい。任意の多くの化学修飾は、限定されないが、特異的な化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などの既知の技術によって行われてもよい。さらに、誘導体は、1個以上の標準的ではないアミノ酸を含有してもよい。
本発明のIGF−1R結合分子は、例えば、結合分子に分子を共有結合させて、結合分子が、共有結合によって、関連するエピトープに特異的に共有結合するのを妨害されないように、改変してもよい。例えば、限定されないが、本発明の結合分子は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解による開裂、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって改変してもよい。任意の多くの化学修飾は、限定されないが、特異的な化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などの既知の技術によって行われてもよい。さらに、誘導体は、1個以上の標準的ではないアミノ酸を含有してもよい。
本明細書の他の箇所で詳細に記載しているように、本発明の結合分子は、組み換えによって、異種ポリペプチドにN末端またはC末端で融合していてもよく、または化学的(共有結合または非共有結合を含む)にポリペプチドまたは他の組成物にコンジュゲートしていてもよい。例えば、IGF−1Rに特異的なIGF−1R抗体は、検出アッセイで標識として有用な分子に組み換えによって融合していてもよく、またはコンジュゲートしていてもよく、異種ポリペプチド、薬物、放射性核種または毒素のようなエフェクター分子に組み換えによって融合していてもよく、またはコンジュゲートしていてもよい。例えば、PCT出願公開番号WO92/08495号;WO91/14438号;WO89/12624号;米国特許第5,314,995号;およびEP396,387号を参照。
本発明のIGF−1R結合分子は、ペプチド結合または改変されたペプチド結合で接続したアミノ酸で構成されていてもよく(すなわち、ペプチドアイソスター)、20遺伝子でコードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含有していてもよい。IGF−1Rに特異的な抗体は、天然のプロセスによって(例えば、翻訳後の処理)、または当該技術分野で周知の化学修飾技術によって、改変されていてもよい。このような改変は、基本的な書籍、さらに詳細なモノグラフ、およびに多くの研究論文に十分に記載されている。IGF−1Rに特異的な抗体のどの場所で改変を行ってもよい(ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノ酸末端またはカルボキシル末端、または炭水化物のような部分を含む)。IGF−1Rに特異的な所与の抗体のいくつかの部位で、同じ部分の改変が同程度または種々の程度で行われてもよいことが理解されるであろう。さらに、IGF−1Rに特異的な所与の抗体は、多くの改変部を含有していてもよい。IGF−1Rに特異的な抗体は、例えば、ユビキチン化の結果、分枝していてもよく、分枝しているか、または分枝していない環状であってもよい。IGF−1Rに特異的な環状の抗体、IGF−1Rに特異的な分枝した抗体、およびIGF−1Rに特異的な環状で分枝した抗体は、翻訳後の天然のプロセスで生じてもよく、または合成法によって製造してもよい。改変としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合による架橋形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解による開裂、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、トランスファー−RNAが介在する、タンパク質へのアミノ酸付加(例えば、アルギニル化(arginylation)およびユビキチン化が挙げられる。(例えば、Proteins−Structure and Molecular Properties、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、New York 2nd Ed.、(1993);Posttranslational Covalent Modification Of Proteins、B.C.Johnson,Ed.、Academic Press、New York、pgs.1−12(1983);Seifterら、Meth.Enzymol.182:626−646(1990);Rattanら、Ann.NY Acad.Sci.663:48−62(1992)を参照)。
本発明は、IGF−1R結合分子と、異種ポリペプチドとを含む融合タンパク質も与える。抗体が融合する異種ポリペプチドは、機能的に有用な場合があり、またはIGF−1Rポリペプチドを発現する細胞に標的化するのに有用である。ある実施形態では、本発明の融合タンパク質は、本発明の結合分子の任意の1つ以上の結合部位のアミン酸配列を有するポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とを含むか、またはこれらのポリペプチドと異種ポリペプチド配列とから本質的になるか、またはこれらのポリペプチドと異種ポリペプチド配列とからなる。別の実施形態では、本明細書に開示した診断方法および治療方法に使用する融合タンパク質は、IGF−1Rに特異的な結合分子のVH−CDRのうち任意の1個、2個、3個のアミノ酸配列、またはIGF−1Rに特異的な結合分子のVL−CDRのうち任意の1個、2個、3個のアミノ酸配列を有するポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とを含み、このポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とから本質的になり、またはこのポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とからなる。ある実施形態では、融合タンパク質は、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子のVH−CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とを含み、融合タンパク質は、IGF−1Rの少なくとも1個のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、融合タンパク質は、本発明のIGF−1Rに特異的な抗体、またはそのフラグメント、改変体または誘導体の少なくとも1つのVH領域のアミノ酸配列、および本発明のIGF−1Rに特異的な抗体、またはそのフラグメント、改変体または誘導体の少なくとも1つのVL領域のアミノ酸配列を有するポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とを含む。好ましくは、融合タンパク質のVH領域およびVL領域は、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、1個のもととなる結合分子に対応している。さらに別の実施形態では、本明細書に開示の診断方法および治療方法で使用する融合タンパク質は、IGF−1Rに特異的な抗体、またはそのフラグメントまたは改変体のCH CDRの任意の1個、2個、3個またはそれ以上のアミノ酸配列、およびIGF−1Rに特異的な抗体、またはそのフラグメントまたは改変体のVL CDRの任意の1個、2個、3個またはそれ以上のアミノ酸配列を有するポリペプチドと、異種ポリペプチド配列とを含む。好ましくは、VH−CDRまたはVL−CDRのうち、2個、3個、4個、5個、6個またはそれ以上は、本発明の1種類のもととなる結合分子に対応している。これらの融合タンパク質をコードする核酸分子も、本発明に包含される。
文献に報告されている融合タンパク質の例としては、T細胞受容体の融合物(Gascoigneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936−2940(1987));CD4(Caponら、Nature 337:525−531(1989);Trauneckerら、Nature 339:68−70(1989);Zettmeisslら、DNA Cell Biol.USA 9:347−353(1990);およびByrnら、Nature 344:667−670(1990));L−セレクチンの融合物(ホーミング受容体)(Watsonら、J.Cell.Biol.110:2221−2229(1990);およびWatsonら、Nature 349:164−167(1991));CD44の融合物(Aruffoら、Cell 61:1303−1313(1990));CD28およびB7の融合物(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721−730(1991));CTLA−4の融合物(Linsleyら、J.Exp.Med.174:561−569(1991));CD22の融合物(Stamenkovicら、Cell 66:1133−1144(1991));TNF受容体の融合物(Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Lesslauerら、Eur.J.Immunol.27:2883−2886(1991);およびPeppelら、J.Exp.Med.174:1483−1489(1991));およびIgE受容体の融合物(Ridgway and Gorman、J.Cell.Biol.Vol.115、Abstract No.1448(1991))が挙げられる。
本明細書の他の箇所で記載したように、本発明のIGF−1R抗体、または抗原結合性を保持したフラグメント、その改変体または誘導体を、ポリペプチドのインビボでの半減期を延ばすため、または当該技術分野で既知の免疫アッセイで使用するために、異種ポリペプチドに融合してもよい。例えば、ある実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子にPEGをコンジュゲートし、インビボでの半減期を高めることができる。Leong,S.R.ら、Cytokine 16:106(2001);Adv.Drug Deliv.Rev.54:531(2002);またはWeirら、Biochem.Soc.Transactions 30:512(2002)。
さらに、本発明のIGF−1R結合分子を、精製または検出を容易にするために、マーカー配列に融合してもよい。好ましい実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、ヘキサヒスチジンペプチドである(例えば、特に、pQEベクター(QIAGEN,Inc.、9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif.,91311)で提供されるタグ、あるいはそれ以外であり、その多くは市販されている)。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)に記載されているように、例えば、ヘキサヒスチジンによって、融合タンパク質を簡便に精製することができる。精製に有用な他のペプチドタグとしては、限定されないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Cell 37:767(1984))、「フラッグ」タグおよび「myc」タグが挙げられる。
融合タンパク質は、当該技術分野で周知の方法を用いて調製することができる(例えば、米国特許第5,116,964号および第5,225,538号を参照)。融合を生じさせる正確な位置は、その融合タンパク質の分泌特性または結合特性を最適化するために実験的に選択されてもよい。次いで、融合タンパク質をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトし、発現させる。
本発明の結合分子は、IGF−1Rが細胞に与える影響を減らすか、または阻害するために(例えば、腫瘍細胞の増殖を阻害するため、または過剰増殖性障害の進行を治療するか、または遅らせるために)、単独で投与してもよく、さらなる治療薬(例えば、生物製剤または化学治療薬)と組み合わせて投与してもよい。
本発明のIGF−1R結合分子を、コンジュゲートしていない形態で使用してもよく、または、例えば、分子の治療性能を高めるため、標的の検出を促進するため、または患者の撮像または治療のために、種々の分子のうち少なくとも1つとコンジュゲートさせてもよい。本発明のIGF−1R結合分子は、精製操作が行われる場合、精製の前または後に、標識化してもよく、コンジュゲートさせてもよい。
特に、本発明のIGF−1R結合分子を、治療薬、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生体応答修飾物質、医用薬剤またはPEGにコンジュゲートさせてもよい。
当業者は、このコンジュゲートを、コンジュゲートするために選択した薬剤に依存する種々の技術でアセンブリしてもよいことを理解するであろう。例えば、ビオチンとのコンジュゲートは、例えば、結合ポリペプチドと、ビオチンの活性化エステル(例えば、ビオチン N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)とを反応させることによって調製される。同様に、蛍光マーカーとのコンジュゲートは、カップリング剤(例えば、本明細書に列挙したもの)存在下で調製されてもよく、またはイソシアネート(好ましくは、フルオレセイン−イソチオシアネート)との反応によって調製されてもよい。本発明のIGF−1R結合分子のコンジュゲートも、類似の様式で調製される。
本発明は、本発明のIGF−1R結合分子が、診断薬または治療薬にコンジュゲートしたものを含む。IGF−1R抗体を、例えば、所与の治療法および/または予防法の効力を判断するための臨床的な試験手順の一部分として、例えば、神経疾患の発症または進行を監視するための診断に使用することができる。IGF−1R結合分子を、検出可能な物質にカップリングさせることによって、検出しやすくすることができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々の陽電子発生トモグラフィーを用いて陽電子を発生する金属、および放射性ではない常磁性金属イオンが挙げられる。例えば、本発明の診断薬として使用する抗体にコンジュゲート可能な金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照。好適な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、好適な補欠分子族の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ、発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ、生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ、好適な放射性物質としては、125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げられる。
IGF−1R結合分子を、化学発光性化合物にカップリングすることによって、検出可能になるように標識してもよい。化学発光性タグをつけたIGF−1R抗体の存在は、一連の化学反応中に生じる発光の存在を検出することによって決定される。特に有用な化学発光標識となる化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、テロマティックアクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
IGF−1R結合分子を検出可能になるように標識する1つの方法は、これらの物質を酵素に結合し、結合した生成物に酵素免疫測定(EIA)を用いる方法である(Voller,A.、「The Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)」Microbiological Associates Quarterly Publication、Walkersville,Md.、Diagnostic Horizons 2:1−7(1978));Vollerら、J.Clin.Pathol.31:507−520(1978);Butler,J.E.、Meth.Enzymol.73:482−523(1981);Maggio,E.(編)、Enzyme 免疫アッセイ、CRC Press,Boca Raton,Fla.(1980);Ishikawa,E.ら(編)、Enzyme 免疫アッセイ、Kgaku Shoin、Tokyo(1981))。IGF−1R結合分子に結合する酵素は、例えば、分光光度法、蛍光分析法または視覚的な方法によって検出可能な化学部分を生成するような様式で、適切な基質(好ましくは、発色性基質)と反応する。抗体を検出可能になるように標識するのに使用可能な酵素としては、限定されないが、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロホスフェート、デヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。さらに、酵素に発色性の基質を用いた比色分析によって検出してもよい。基質の酵素反応度と、同様に調製した標準物質の酵素反応度とを視覚的に比較して、検出してもよい。
種々の免疫アッセイを用い、検出を行なうことができる。例えば、IGF−1R結合分子を放射性物質で標識することにより、ラジオイムノアッセイ(RIA)を通して結合分子を検出することが可能となる(例えば、Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays、Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques、The Endocrine Society(1986年3月)、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。放射性同位体は、限定されないが、γカウンタ、シンチレーションカウンタ、またはオートラジオグラフィーを含む手段で検出することができる。
IGF−1R結合分子を、蛍光を発光する金属(例えば、152Euまたは他のランタノイド種)で検出可能になるように標識してもよい。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート化基を用い、上述の金属を結合分子に接続してもよい。
種々の部分を結合分子にコンジュゲートする技術は、周知であり、例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.(1985);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、Marcel Dekker,Inc.、pp.623−53(1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、pp.475−506(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、Academic Press pp.303−16(1985)、およびThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」、Immunol.Rev.62:119−58(1982)を参照。
特に、本明細書に開示する診断方法および治療方法で使用する結合分子は、細胞毒素(例えば、放射性同位体、細胞毒性の薬物、または毒素)治療薬、細胞増殖抑制剤、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生体応答修飾物質、医用薬剤、免疫学的に活性なリガンド(例えば、リンホカイン、または得られた分子が、新生物性細胞およびエフェクター細胞(例えば、T細胞)の両方に結合する他の抗体)、またはPEGにコンジュゲートさせてもよい。別の実施形態では、本明細書に開示する診断方法および治療方法で使用する結合分子は、腫瘍の血管新生を減らす分子にコンジュゲートさせてもよい。他の実施形態では、本明細書で開示した組成物は、薬物またはプロドラッグに結合した、結合分子を含んでいてもよい。本発明のさらに他の実施形態は、特定の生物毒素またはその細胞毒性を保持したフラグメント(例えば、リシン、ゲロニン、緑膿菌外毒素、またはジフテリア毒素)にコンジュゲートした、結合分子の使用を含む。どのコンジュゲートしていない結合分子またはコンジュゲートした結合分子を使用するかの選択は、癌の種類およびステージ、補助治療(例えば、化学療法または外部放射線)の使用、および患者の状態によって変わる。当業者は、本明細書の教示から、このような選択を簡単に行うことができることを理解するであろう。
以前の研究で、同位体標識された抗−腫瘍抗体を使用し、動物モデル(ある場合には、ヒト)の固体腫瘍およびリンパ腫/白血病の細胞を首尾よく破壊できたことを理解するであろう。放射性同位体の例としては、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Reおよび188Reが挙げられる。放射性核種は、電離放射線を発生し、核DNAの鎖を複数箇所破壊し、細胞を死に至らしめることによって作用する。治療用コンジュゲートで使用する同位体は、典型的には、経路長の短い高エネルギーのα粒子またはβ粒子を発生する。このような放射性核種は、コンジュゲートが付着しているか、または入り込んでいる細胞に近い位置にある細胞(例えば、新生物性細胞)を死滅させる。放射性核種は、局在化していない細胞にはほとんど影響を与えないか、全く影響を与えない。放射性核種は、本質的に、非免疫原性である。
放射性標識したコンジュゲートを本発明と組み合わせて使用する場合、結合分子は、直接標識されていてもよく(例えば、ヨウ素化によって)、またはキレート化剤を用いて間接的に標識されていてもよい。本明細書で使用するとき、「間接的に標識する」および「間接的な標識アプローチ」という句は、両方とも、キレート化剤が、結合分子に接続しており、少なくとも1つの放射性核種が、キレート化剤と会合していることを意味する。このようなキレート化剤は、ポリペプチドと放射性同位体の両方に結合するため、典型的には、二官能キレート化剤と呼ばれる。特に好ましいキレート化剤は、1−イソチオシクマートベンジル−3−メチルジオテレントリアミン五酢酸(1−isothiocycmatobenzyl−3−methyl diothelene triaminepentaacetic acid)(「MX−DTPA」)誘導体およびシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸(「CHX−DTPA」)誘導体である。他のキレート化剤は、P−DOTA誘導体およびEDTA誘導体を含む。間接的に標識するのに特に好ましい放射性核種としては、111Inおよび90Yが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「直接標識する」および「直接標識アプローチ」という句は、両方とも、放射性核種が、ポリペプチドに直接共有結合していることを意味する(典型的には、アミノ酸残基を介して)。さらに特定的には、この結合技術は、ランダム標識および部位特異的な標識を含む。部位特異的な標識の場合、標識は、ポリペプチドの特定の場所(例えば、コンジュゲートのFc部分にのみ存在する、Nに結合した糖残基)に結合する。さらに、種々の直接的な標識技術およびプロトコルが、本発明に適合する。例えば、テクネチウム−99で標識したポリペプチドは、リガンド交換プロセスによって調製してもよく、過テクネチウム酸塩(pertechnate)(TcO4 −)をスズイオン溶液で還元し、還元したテクネチウムをSephadexカラムでキレート化し、結合ポリペプチドをこのカラムに入れることによって調製してもよく、またはバッチ標識技術(例えば、過テクネチウム酸塩と、SnCl2のような還元剤と、ナトリウム−カリウムフタル酸溶液のようなバッファ溶液と、抗体とをインキュベートすること)によって調製してもよい。いかなる場合でも、ポリペプチドを直接的に標識するのに好ましい放射性核種は、当該技術分野で周知であり、直接的に標識するのに特に好ましい放射性核種は、チロシン残基によって共有結合した131Iである。本明細書に開示する方法で使用する結合分子を、例えば、放射性ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウム、および化学酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム、クロラミンTなど)または酵素による酸化剤(例えば、ラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼおよびグルコース)を用いて誘導してもよい。
キレート化剤およびキレート化コンジュゲートに関する特許は、当該技術分野で既知である。例えば、Gansowの米国特許第4,831,175号は、多置換ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤およびこのキレート化剤を含むタンパク質コンジュゲート、およびこれらの調製方法に関するものである。 Gansowの米国特許第5,099,069号、第5,246,692号、第5,286,850号、第5,434,287号および第5,124,471号も、多置換DTPAキレート化剤に関するものである。これらの特許は、参照することにより本明細書に組み込まれる。適する金属キレート化剤の他の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸、1−オキサ−4,7,12,15−テトラアザヘプタデカン−4,7,12,15−四酢酸などである。シクロヘキシル−DTPAまたはCHX−DTPAは、特に好ましく、以下で詳細に例示している。他の適合するキレート剤は、まだ発見されていないものも含め、当業者にとっては簡単に分かるものであり、明らかに本発明の範囲に含まれる。
米国特許第6,682,134号、第6,399,061号、および第5,843,439号(この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)のキレート化を促進するのに使用される、特定の二官能キレート化剤を含む適合するキレート化剤は、好ましくは、三価金属に高い親和性を示し、腫瘍/非腫瘍比率が高く、骨への吸収量が低く、標的部位(例えば、B細胞リンパ腫の腫瘍部位)での放射性核種のインビボでの保持量が高いように選択される。しかし、これらの特性すべてを有しているか、または有していない他の二官能キレート化剤が、当該技術分野で既知であり、腫瘍治療に有益な場合がある。
本明細書の教示によって、診断および治療のために、結合分子を異なる放射性標識にコンジュゲートしてもよいことも理解されるであろう。この目的のために、上述の米国特許第6,682,134号、第6,399,061号および第5,843,439号は、治療用抗体を投与する前に、腫瘍を「造影」するための、放射性標識した治療用コンジュゲートを開示している。「In2B8」コンジュゲートは、ヒトCD20抗原に特異的なマウスモノクローナル抗体2B8を含み、この抗原が、二官能キレート化剤(すなわち、MX−DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸))で111Inに接続しており、MX−DTPAは、1−イソチオシアネートベンジル−3−メチル−DTPAおよび1−メチル−3−イソチオシアネートベンジル−DTPAの1:1混合物を含む。111Inは、検出可能な毒性がない状態で、約1〜約10mCiを安全に投与できるため、診断に用いる放射性核種として特に好ましい。撮像データは、一般的に、その後の90Y標識した抗体の分布を予測するデータである。ほとんどの撮像試験では、5mCiの111Inで標識した抗体を使用する。この線量は、安全であり、これより低い線量の場合よりも撮像効率が高まり、抗体を投与してから3〜6日後に最適な画像が得られるからである。例えば、Murray,J.Nuc.Med.26:3328(1985)およびCarraguilloら、J.Nuc.Med.26:67(1985)を参照。
上述のように、種々の放射性核種が、本発明に適用可能であり、種々の環境下でどの放射性核種が最も適しているかを、当業者は容易に決定することができる。例えば、131Iは、標的に対する免疫治療に使用する、周知の放射性核種である。しかし、131Iを臨床で使用する有用性は、体内の半減期が8日間であること、血中および腫瘍部位の両方でヨード化抗体が脱ハロゲン化すること、腫瘍内部で局所的に沈着することによって最適状態からはずれ得る発光特性(例えば、大きなγ成分)を含む、いくつかの因子によって制限されてしまっている。優れたキレート化剤が出現し、金属キレート化基をタンパク質に接続する機会が増え、111Inおよび90Yのような他の放射性核種を利用する機会も増えた。90Yには、放射性免疫治療に適用する場合、90Yの半減期が64時間であり、例えば、131Iとは異なり、腫瘍を抗体に蓄積させるのに十分なほど長いこと、90Yは、高エネルギーのβ線のみを発生し、崩壊時にγ線を発生しないこと、組織での範囲が、100〜1,000個分の細胞の直径分であることといった、いくつかの利点がある。さらに、透過性の放射線が少ないため、外来患者に90Y標識した抗体を投与することができる。さらに、細胞を死滅させるのに、標識した抗体の内在化を必要とせず、電離放射線を局所的に照射し、標的分子が存在しない隣接する腫瘍細胞も死滅させる。
結合分子(例えば、結合ポリペプチド)にコンジュゲートするのに好ましいさらなる薬剤は、細胞毒性薬であり、特に、癌治療で使用される細胞毒性薬である。本明細書で使用するとき、「細胞毒または細胞毒性薬」は、細胞の成長および増殖に悪影響を与え、細胞または悪性細胞の量を減らすか、これらの細胞を阻害し、またはこれらの細胞を破壊する任意の薬剤である。細胞毒の例としては、限定されないが、放射性核種、生物毒素、酵素によって活性化する毒素、細胞増殖抑制薬または細胞毒性薬、プロドラッグ、免疫学的に活性なリガンドおよび生体応答修飾物質(例えばサイトカイン)が挙げられる。免疫反応性の細胞または悪性細胞の成長を遅らせるか、または弱める任意の細胞毒は、本発明の範囲に含まれる。
細胞毒の例としては、一般的に、細胞増殖抑制剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗増殖剤、チューブリン結合剤、ホルモンおよびホルモンアンタゴニストなどが挙げられる。本発明に適合する細胞増殖抑制剤の例としては、アルキル化基質(例えば、メクロレタミン、トリエチレンホスホラミド、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファランまたはトリアジコン)が挙げられ、さらに、ニトロソウレア化合物(例えば、カルムスチン、ロムスチンまたはセムスチン)が挙げられる。他の好ましい細胞毒性薬としては、例えば、マイタンシノイド系薬物が挙げられる。他の好ましい細胞毒性薬としては、例えば、アントラサイクリン系薬物、ビンカ薬物、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、プテリジン系薬物、ジイネンおよびポドフィロトキシンが挙げられる。細胞毒性薬のうち、特に有用なものとしては、例えば、アドリアマイシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ドキソルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、ミトラマイシン、ストレプトニグリン、ジクロロメトトレキサート、マイトマイシンC、アクチノマイシン−D、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、フトラフール、6−メルカプトプリン、シタラビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、またはポドフィロトキシン誘導体(例えば、エトポシドまたはエトポシドホスフェート)、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、ビンデシン、ロイロシンなどが挙げられる。本明細書の教示に適合するさらに他の細胞毒は、タキソール、タキサン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、およびこれらの類似体またはホモログが挙げられる。コルチコステロイド(例えばプレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンまたはメドロプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール)、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えばテストステロン)、およびアロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド)のようなホルモンおよびホルモンアンタゴニストも、本明細書の教示に適合している。当業者は、本発明のコンジュゲートを調製するのに便利な反応を起こさせるために、所望の化合物になるように化学的に改変することができる。
特に好ましい細胞毒の一例は、カリケアマイシン、エスペラミシンまたはジネミシンを含む、抗腫瘍抗生物質であるエンジイン系誘導体である。これらの毒素は、特に強力であり、核DNAを開裂させ、細胞死を導く作用がある。インビボで開裂し、多くの不活性で免疫原性のポリペプチドフラグメントを与えるタンパク質毒素とは異なり、カリケアマイシン、エスペラミシンおよび他のエンジイン系毒素は、本質的に免疫原性をもたない小分子である。これらの非ペプチド毒素は、モノクローナル抗体および他の分子を標識するのにすでに使用した技術によって、ダイマーまたはテトラマーに化学的に結合する。これらの結合技術は、構築物のFc部分にのみ存在する、Nに結合した糖残基を介する、部位特異的な結合を含む。このような部位特異的に結合させる方法は、構築物が結合する際に、結合にともなう影響を減らすことができるという利点を有する。
すでに示唆したように、コンジュゲートを調製するのに適合する細胞毒は、プロドラッグを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「プロドラッグ」は、医用薬剤として活性な基質の前駆体または誘導体であり、親薬物と比較して、腫瘍細胞への細胞毒性は低く、酵素によって活性化されるか、またはさらに活性な親形態へと変換可能な形態を指す。本発明に適合するプロドラッグとしては、限定されないが、細胞毒性を有さず、さらに活性が高い薬物へと変換可能な、リン酸を含有するプロドラッグ、チオリン酸を含有するプロドラッグ、硫酸を含有するプロドラッグ、ペプチドを含有するプロドラッグ、β−ラクタムを含有するプロドラッグ、場合により置換されたフェノキシアセトアミドを含有するプロドラッグ、または場合により置換されたフェニルアセトアミドを含有するプロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンのプロドラッグが挙げられる。本発明で使用する、プロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞毒性薬のさらなる例は、上述の化学療法薬を含む。他の細胞毒の中で、本明細書に開示した結合分子が、リシンサブユニットA、アブリン、ジフテリア毒素、ボツリヌス菌、シアンジノシン(cyanginosin)、サキシトキシン、志賀毒素、破傷風、テトロドトキシン、トリコテセン、ベルルクロゲンまたは毒性の酵素のような細胞毒素と会合するか、またはコンジュゲートしてもよいことも理解されるであろう。好ましくは、このような構築物は、抗体−毒素構築物を直接発現させる遺伝子操作技術を用いて作成する。本明細書に開示した結合分子と会合可能な他の生体応答修飾物質は、サイトカイン(例えば、リンホカインおよびインターフェロン)を含む。本開示の観点から、当業者は、従来の技術を用いてこのような構築物を容易に合成できると考えられる。
本明細書に開示した結合分子と会合させるか、またはコンジュゲートさせるのに使用可能な適切な別の種類の細胞毒は、腫瘍細胞または免疫反応性細胞に直接有効な、放射性増感作用を有する薬物である。このような薬物は、電離放射線への感度を高め、放射線治療の効力を高める。腫瘍細胞に内在化した結合分子コンジュゲートは、放射線増感作用を最大にする核の近くに放射線増感剤を送達する。放射線増感剤が接続した本発明の結合分子のうち、結合していないものは、血中で迅速に除去され、残った放射性増感剤が標的腫瘍内に局在化し、正常な組織への取り込みは最小限ですむ。血中から迅速に除去された後、補助的な放射線療法を、以下の3つの方法のいずれかで投与する。(1)腫瘍に対し、特異的に直接外部から照射、(2)腫瘍に放射性物質を直接移植する、または(3)同じ標的抗体を用いて全身的に放射線免疫治療する。このアプローチをさらに有望な方法に変えた方法は、放射線増感させた免疫複合体に、治療用放射性同位体を取り付ける方法であり、患者には1種類の薬物を投与すればよく、簡便な方法である。
特定の実施形態では、結合分子(例えば、結合ポリペプチド、例えば、IGF−1Rに特異的な抗体または免疫特異的なフラグメント)の安定性または効力を高める部分をコンジュゲートしてもよい。例えば、ある実施形態では、本発明の結合分子にPEGをコンジュゲートし、インビボでの半減期を高めることができる。Leong,S.R.ら、Cytokine 16:106(2001);Adv.Drug Deliv.Rev.54:531(2002);またはWeirら、Biochem.Soc.Transactions 30:512(2002)。
本発明は、結合分子を診断薬または治療薬にコンジュゲートしたものも含む。結合分子を、例えば、所与の治療法および/または予防法の効力を判断するための臨床的な試験手順の一部分として、腫瘍の発生または進行を監視する診断に使用することができる。結合分子を、検出可能な物質にカップリングさせることによって、検出しやすくすることができる。検出可能な基質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々の陽電子発生トモグラフィーを用いて陽電子を発生する金属、および放射性ではない常磁性金属イオンが挙げられる。例えば、本発明の診断薬として使用する抗体にコンジュゲート可能な金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照。好適な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、好適な補欠分子族の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ、発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ、生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ、好適な放射性物質としては、125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げられる。
結合分子を、化学発光性化合物にカップリングすることによって、検出可能になるように標識してもよい。化学発光性タグをつけたIGF−1R抗体の存在は、一連の化学反応中に生じる発光の存在を検出することによって決定される。特に有用な化学発光標識となる化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、テロマティックアクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。結合分子を検出可能になるように標識する1つの方法は、これらの物質を酵素に結合し、結合した生成物に酵素免疫測定(EIA)を用いる方法である(Voller,A.、「The Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)」Microbiological Associates Quarterly Publication、Walkersville,Md.、Diagnostic Horizons 2:1−7(1978));Vollerら、J.Clin.Pathol.31:507−520(1978);Butler,J.E.、Meth.Enzymol.73:482−523(1981);Maggio,E.(編)、Enzyme 免疫アッセイ、CRC Press,Boca Raton,Fla.(1980);Ishikawa,E.ら(編)、Enzyme 免疫アッセイ、Kgaku Shoin、Tokyo(1981))。結合分子に結合する酵素は、例えば、分光光度法、蛍光分析法または視覚的な方法によって検出可能な化学部分を生成するような様式で、適切な基質(好ましくは、発色性基質)と反応する。抗体を検出可能になるように標識するのに使用可能な酵素としては、限定されないが、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロホスフェート、デヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。さらに、酵素に発色性の基質を用いた比色分析によって検出してもよい。基質の酵素反応度と、同様に調製した標準物質の酵素反応度とを視覚的に比較して、検出してもよい。
種々の免疫アッセイを用い、検出を行ってもよい。例えば、上述の結合分子を放射性物質で標識することによって、ラジオイムノアッセイ(RIA)を使用して癌の抗原を検出することも可能である(例えば、Weintraub,B.、Principles of Radioimmunoassays、Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques、The Endocrine Society(1986年3月))を参照。この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。放射性同位体は、限定されないが、γカウンタ、シンチレーションカウンタ、またはオートラジオグラフィーを含む手段で検出することができる。
結合分子を、152Euまたは他のランタノイド種などの蛍光を発光する金属で検出可能になるように標識してもよい。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート化基を用い、上述の金属を抗体に接続してもよい。
種々の部分を結合分子にコンジュゲートする技術は、周知であり、例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.(1985);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、Marcel Dekker,Inc.、pp.623−53(1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、pp.475−506(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、Academic Press pp.303−16(1985)、およびThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」、Immunol.Rev.62:119−58(1982)を参照。
((ii)免疫原性の低下))
特定の実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子またはその一部分を、当該技術分野で認識されている技術を用いて改変し、免疫原性を低下させる。例えば、結合分子またはその一部分は、ヒト化されていてもよく、霊長類化されていてもよく、脱免疫化されていてもよい。ある実施形態では、キメラ結合分子を作成してもよく、または結合分子は、キメラ抗体分子の少なくとも一部分を含んでいてもよい。このような場合、非ヒトIGF−1R結合分子は、典型的には、マウス結合分子または霊長類結合分子であり、親結合分子の抗原結合性を保持しているか、実質的に保持しているが、ヒトでの免疫原性は構築されていない。これらの抗体作成は、(a)完全な非ヒト可変領域をヒト定常領域にグラフト結合してキメラ抗体を作成する方法;(b)重要なフレームワーク残基を保持した状態、または保持していない状態で、1つ以上の非ヒト相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部分をヒトフレームワークおよび定常領域にグラフト結合する方法;または(c)完全な非ヒト可変領域を移植するが、表面残基を交換することによって、ヒトに似た部分で「覆ってしまう」方法を含む種々の方法で達成してもよい。このような方法は、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851−6855(1984);Morrisonら、Adv.Immunol.44:65−92(1989);Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988);Padlan,Molec.Immun.28:489−498(1991);Padlan,Molec.Immun.31:169−217(1994)、および米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、および同第6,190,370号に開示されており、これらの内容は全て、参照することにより本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、本発明のIGF−1R結合分子またはその一部分を、当該技術分野で認識されている技術を用いて改変し、免疫原性を低下させる。例えば、結合分子またはその一部分は、ヒト化されていてもよく、霊長類化されていてもよく、脱免疫化されていてもよい。ある実施形態では、キメラ結合分子を作成してもよく、または結合分子は、キメラ抗体分子の少なくとも一部分を含んでいてもよい。このような場合、非ヒトIGF−1R結合分子は、典型的には、マウス結合分子または霊長類結合分子であり、親結合分子の抗原結合性を保持しているか、実質的に保持しているが、ヒトでの免疫原性は構築されていない。これらの抗体作成は、(a)完全な非ヒト可変領域をヒト定常領域にグラフト結合してキメラ抗体を作成する方法;(b)重要なフレームワーク残基を保持した状態、または保持していない状態で、1つ以上の非ヒト相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部分をヒトフレームワークおよび定常領域にグラフト結合する方法;または(c)完全な非ヒト可変領域を移植するが、表面残基を交換することによって、ヒトに似た部分で「覆ってしまう」方法を含む種々の方法で達成してもよい。このような方法は、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851−6855(1984);Morrisonら、Adv.Immunol.44:65−92(1989);Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988);Padlan,Molec.Immun.28:489−498(1991);Padlan,Molec.Immun.31:169−217(1994)、および米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、および同第6,190,370号に開示されており、これらの内容は全て、参照することにより本明細書に組み込まれる。
ある実施形態では、本発明の結合分子(例えば、抗体)またはその一部分は、キメラであってもよい。キメラ結合分子は、結合分子の異なる部分が、異なる動物種に由来する結合分子である(例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域と、ヒト免疫グロブリン定常領域とを含む抗体)。キメラ抗体を産生する方法は、当該技術分野で既知である。例えば、Morrison、Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら、J.Immunol.Methods 125:191−202(1989);米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;および第4,816397号を参照(この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。「キメラ抗体」を製造するために開発された技術(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:851−855(1984);Neubergerら、Nature 312:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:452−454(1985))を使用し、上述の分子を合成してもよい。例えば、マウスIGF−1R抗体分子のうち、ある結合特異性をコードする遺伝子配列を、適切な生体活性を有するヒト抗体分子に由来する配列と融合したものを使用してもよい。本明細書で使用するとき、キメラ抗体は、異なる部分が、異なる動物種に由来するものである分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域と、ヒト免疫グロブリン定常領域とを含む抗体(例えば、ヒト化抗体)である。
別の実施形態では、本発明の結合分子またはその一部分は、霊長類化されている。抗体を霊長類化する方法は、Newman、Biotechnology 10:1455−1460(1992)に開示されている。特に、この技術によって、サル可変領域とヒト定常領域とを含む霊長類化抗体が得られる。この参考文献の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。さらに、この技術は、同一出願人による米国特許第5,658,570号、第5,693,780号および第5,756,096号にも記載されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本発明の結合分子(例えば、抗体)またはその一部分は、ヒト化されている。ヒト化結合分子は、非ヒト種の抗体に由来する1つ以上の相補性決定量基(CDR)を有する所望の抗原に結合する、非ヒト種の抗体に由来する結合特異性を有し、ヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する結合分子である。抗原への結合性を変更する(好ましくは、高める)ために、ヒトフレームワーク領域のフレームワーク残基が、CDR供与抗体に由来する対応する残基と置換していることが多い。これらのフレームワークの置換は、例えば、CDRとフレームワーク残基との相互作用をモデリングし、抗原への結合に重要なフレームワーク残基を特定すること、および配列を比較し、特定の位置にある一般的ではないフレームワーク残基を特定することのような、当該技術分で周知の方法によって同定される(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature 332:323(1988)を参照。この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。例えば、CDRグラフティング(欧州特許第239,400号;PCT出願公開番号WO91/09967号;米国特許第5,225,539号;第5,530,101号および第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)またはリサーファリング(resurfacing)(欧州特許第592,106号;欧州特許第519,596号;Padlan、Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973(1994))およびチェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む、当該技術分野で既知の種々の技術を用い、抗体をヒト化することができる。
脱免疫化によって、結合分子の免疫原性を低下させてもよい。本明細書で使用するとき、用語「脱免疫化」は、T細胞エピトープを改変するように抗体を変えることを含む(例えば、WO9852976A1号、WO0034317A2号を参照)。例えば、原料抗体由来のVH配列およびVL配列を分析し、それぞれのV領域から得たヒトT細胞エピトープ「マップ」は、相補性決定領域(CDR)およびその配列内の他の鍵となる残基に対するエピトープの位置を示す。最終的な抗体の活性が変わってしまう危険性を低く保ちつつ、代替的なアミノ酸置換を特定するために、T細胞エピトープマップから得た個々のT細胞エピトープを分析する。アミノ酸置換の組み合わせを含む、代わりとなるさまざまなVH配列およびVL配列を設計し、この配列は、本明細書に開示した診断方法および治療方法で使用するさまざまな結合ポリペプチド(例えば、IGF−1Rに特異的な抗体または免疫特異的なフラグメント)を組み込んだものであり、次いで、この配列の機能を試験する。典型的には、12〜24の抗体改変体を作成し、試験する。改変したV領域およびヒトC領域を含む、完全な重鎖および軽鎖の遺伝子を発現ベクターにクローン化し、その後、全抗体を産生させるために、プラスミドを細胞株に導入する。次いで、この抗体を適切な生化学アッセイおよび生物アッセイで比較し、最適な改変体を特定する。
((iii)エフェクター機能、およびFcの改変)
本発明のIGF−1R結合分子は、1つ以上のエフェクター機能に介在する定常領域を含むことができる。例えば、抗体の定常領域に、相補的なC1要素が結合すると、補体系が活性化し得る。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解にとって重要である。さらに、補体が活性化すると、炎症反応が刺激され、この事象は、自己免疫過敏にも関与する場合がある。さらに、抗体は、種々の細胞で、Fc領域を介して受容体に結合し、抗体のFc領域にあるFc受容体結合部位は、細胞のFc受容体(FcR)に結合する。異なる種類の抗体に特異的な多くのFc受容体が存在する(IgG(γ受容体)、IgE(ε受容体)、IgA(α受容体)およびIgM(μ受容体)を含む)。抗体が、細胞表面でFc受容体に結合すると、それは、抗体でコーティングされた粒子の飲み込みおよび破壊、免疫複合体のクリアランス、抗体でコーティングされた標的細胞をキラー細胞で溶解(抗体依存性の、細胞が介在する細胞毒性、すなわちADCCと呼ばれる)、炎症メディエーターの放出、胎盤通過、および免疫グロブリンの産生制御を含む、重要で多様な多くの生体反応を引き起こす。
本発明のIGF−1R結合分子は、1つ以上のエフェクター機能に介在する定常領域を含むことができる。例えば、抗体の定常領域に、相補的なC1要素が結合すると、補体系が活性化し得る。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解にとって重要である。さらに、補体が活性化すると、炎症反応が刺激され、この事象は、自己免疫過敏にも関与する場合がある。さらに、抗体は、種々の細胞で、Fc領域を介して受容体に結合し、抗体のFc領域にあるFc受容体結合部位は、細胞のFc受容体(FcR)に結合する。異なる種類の抗体に特異的な多くのFc受容体が存在する(IgG(γ受容体)、IgE(ε受容体)、IgA(α受容体)およびIgM(μ受容体)を含む)。抗体が、細胞表面でFc受容体に結合すると、それは、抗体でコーティングされた粒子の飲み込みおよび破壊、免疫複合体のクリアランス、抗体でコーティングされた標的細胞をキラー細胞で溶解(抗体依存性の、細胞が介在する細胞毒性、すなわちADCCと呼ばれる)、炎症メディエーターの放出、胎盤通過、および免疫グロブリンの産生制御を含む、重要で多様な多くの生体反応を引き起こす。
本発明の特定の実施形態は、あるIGF−1R結合分子を含み、そこでは、免疫原性はほぼ同じの改変していない全抗体と比較して、所望の生化学的特徴(例えば、エフェクター機能を低下させる、非共有結合によって二量化する性質、腫瘍部位に局在する能力が高い、血清半減期が短い、または血清半減期が長いこと)提供するように、1つ以上の定常領域の少なくとも1個のアミノ酸を欠いているか、または改変されている。例えば、本明細書に記載の診断方法および治療方法で使用する特定の抗体は、免疫グロブリン重鎖に似たポリペプチド鎖を含むが、1つ以上の重鎖領域の少なくとも一部分を欠いた、領域を欠いた抗体である。例えば、特定の抗体では、改変した抗体の1つの定常領域が全体的に失われ、例えば、CH2領域のすべてまたは一部分が失われる。
特定のIGF−1R結合分子では、Fc部分は、当該技術分野で既知の技術を用い、エフェクター効果が低下するように変異されていてもよい。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段による)によって、循環するように改変されて結合分子へのFc受容体の結合が低下し、それによって、腫瘍の局在化を高めることができる。他の場合、本発明にしたがって定常領域を適切に改変すると、補体結合を抑え、血清での半減期を短くし、結合した細胞毒の非特異的な結合を減らすことができる。定常領域を改変する他の方法を利用し、抗原の特異性または抗体の可とう性を高めることによって、局在化を高めるジスルフィド結合を改変してもよいし、またはオリゴ糖部分を改変してもよい。得られた生理学的プロフィール、バイオアベイラビリティ、および改変による他の生化学効果(例えば、腫瘍の局在化、生体内分布および血清での半減期)を容易に測定することができ、過度な実験を行うことなく、周知の免疫技術で定量化することができる。
特定の実施形態では、本発明の結合ポリペプチドで使用するFcドメインは、Fc改変体である。本明細書で使用するとき、用語「Fc改変体」は、Fcドメインの由来となる野生型Fcドメインと比較して、少なくとも1個のアミノ酸が置換されているFcドメインを指す。例えば、Fcドメインが、ヒトIgG1抗体に由来する場合、このヒトIgG1 FcドメインのFc改変体は、上述のFcドメインに対し、少なくとも1個のアミノ酸が置換されている。
Fc改変体のアミノ酸置換は、Fcドメイン内の任意の位置(すなわち、EU規則による、任意のアミノ酸位置)にあってもよい。ある実施形態では、Fc改変体は、ヒンジドメインまたはその一部分にあるアミノ酸が置換したものである。別の実施形態では、Fc改変体は、CH2ドメインまたはその一部分にあるアミノ酸が置換したものである。別の実施形態では、Fc改変体は、CH3ドメインまたはその一部分にあるアミノ酸が置換したものである。別の実施形態では、Fc改変体は、CH4ドメインまたはその一部分にあるアミノ酸が置換したものである。
本発明の結合ポリペプチドは、エフェクター機能および/またはFcR結合を改良する(例えば、低下または向上させる)ことが知られている、当該技術分野で認識されているFc改変体を使用してもよい。上述のFc改変体としては、例えば、PCT国際公開番号WO88/07089A1号、WO96/14339A1号、WO98/05787A1号、WO98/23289A1号、WO99/51642A1号、WO99/58572A1号、WO00/09560A2号、WO00/32767A1号、WO00/42072A2号、WO02/44215A2号、WO02/060919A2号、WO03/074569A2号、WO04/016750A2号、WO04/029207A2号、WO04/035752A2号、WO04/063351A2号、WO04/074455A2号、WO04/099249A2号、WO05/040217A2号、WO05/070963A1号、WO05/077981A2号、WO05/092925A2号、WO05/123780A2号、WO06/019447A1号、WO06/047350A2号およびWO06/085967A2号または米国特許第5,648,260号;第5,739,277号;第5,834,250号;第5,869,046号;第6,096,871号;第6,121,022号;第6,194,551号;第6,242,195号;第6,277,375号;第6,528,624号;第6,538,124号;第6,737,056号;第6,821,505号;第6,998,253号;第7,083,784号(それぞれの内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)で開示した、いずれかのアミノ酸置換が挙げられる。
好ましい実施形態では、結合ポリペプチドは、Fcドメイン内の「15Åの定常領域」にある、EUアミノ酸位置にアミノ酸置換を含む、Fc改変体を含んでいてもよい。この15Åの領域は、Fc領域のEU位置243〜261、275〜280、282〜293、302〜319、336〜348、367、369、372〜389、391、393、408および424〜440にある残基を含む。
特定の実施形態は、抗原とは独立した抗体のエフェクター機能を変えるような、特に、抗体の循環血半減期を変えるような、アミノ酸置換を含むFc改変体を含む本発明の結合ポリペプチドである。このような結合ポリペプチドは、上述の置換がない結合ポリペプチドと比較すると、FcRnに対する結合を高めるか、または低下させ、したがって、それぞれ、血清半減期を伸ばすか、または短くする。FcRnに対する親和性を高めたFc改変体は、血清半減期が長くなっていることが予想され、このような分子は、哺乳動物を治療する用途で、投与するポリペプチドの半減期が長いことが好ましい場合(例えば、慢性疾患または慢性障害を治療する場合)に有用である。対照的に、Fc改変体のFcRn結合親和性が低下することによって、半減期が短くなることが予想され、この分子も、例えば、循環時間が短いことが有益である場合(例えば、インビボでの診断造影、または原料ポリペプチドが、長期間循環血に存在すると、毒による副作用を有している状況)の、哺乳動物への投与に有用である。FcRn結合親和性が低いFc改変体は、胎盤を通過する可能性が少なく、妊婦の疾患または障害を治療するのにも有用である。それに加え、FcRn結合親和性が低いことが望ましい他の用途としては、脳、腎臓および/または肝臓への局在化が望ましい用途が挙げられる。ある例示的な実施形態では、本発明の改変したポリペプチドは、脈管構造から腎臓糸球体の上皮を通る量が減少する。別の実施形態では、本発明の改変したポリペプチドは、脳から血液脳関門(BBB)を通って脈管性間隙に入る量が減少する。ある実施形態では、FcRn結合を改変した結合ポリペプチドは、Fcドメインの「FcRn結合ループ」内に1個以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。FcRn結合ループは、アミノ酸残基280〜299を含む(EU付番による)。他の実施形態では、FcRn結合親和性を改変した本発明の結合ポリペプチドは、15ÅのFcRn「定常ゾーン」内に1個以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。本明細書で使用するとき、15ÅのFcRnの「定常ゾーン」は、位置243〜261、275〜280、282〜293、302〜319、336〜348、367、369、372〜389、391、393、408、424、425〜440(EU付番による)にある残基を含む。好ましい実施形態では、FcRn結合親和性を改変した本発明の結合ポリペプチドは、位置256、277〜281、283〜288、303〜309、313、338、342、376、381、384、385、387、434および438のいずれか1つに、1個以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。FcRn結合親和性を改変するアミノ酸置換の例は、PCT国際公開番号WO05/047327号に開示されており、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、本明細書に記載の診断方法および治療方法で使用する特定の結合分子は、定常領域(例えば、IgG4重鎖定常領域)を有しており、この分子は、グリコシル化を減らすか、または完全になくすように改変されている。例えば、本発明の結合ポリペプチドは、結合ポリペプチドのグリコシル化を変更するアミノ酸置換を含むFc改変体も含む。例えば、このFc改変体は、グリコシル化(例えば、Nで結合したグリコシル化またはOで結合したグリコシル化)を減らすか、または野生型Fcドメインの糖型を改変したものを含んでいてもよい(例えば、低フコースグリカンまたはフコースを含まないグリカン)。例示的な実施形態では、Fc改変体は、アミノ酸位置297(EU付番)で通常みられるような、Nで結合したグリカンのグリコシル化を減らしている。別の例示的な実施形態で、Fc改変体は、アミノ酸位置297(EU付番)に、低フコースグリカンを含むか、またはフコースを含まないグリカンを含む。別の実施形態では、結合ポリペプチドは、グリコシル化モチーフ付近またはグリコシル化モチーフ(例えば、アミノ酸配列NXTまたはNXSを含有する、Nで結合したグリコシル化モチーフ)内に、アミノ酸置換を有する。特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、アミノ酸位置228または299(EU付番)にアミノ酸置換を有するFc改変体を含む。さらに具体的な実施形態では、結合分子は、S228PおよびT299A(EU付番)に変異を含む、IgG4定常領域を含む。
グリコシル化を減らすか、またはグリコシル化を改変するアミノ酸置換の例は、PCT国際公開番号WO05/018572号に開示されており、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。好ましい実施形態では、本発明の結合分子は、グリコシル化が起こらないように改変されている。この結合分子を、「agly」結合分子(例えば、「agly」抗体)と呼んでもよい。理論によって束縛されないが、「agly」抗体は、インビボでの安全性および安定性が改良されていると考えられる。例示的なagly結合分子は、FCエフェクター機能を欠いたIgG4抗体の非グリコシル化Fc領域(「IgG4.P」)を含み、それによって、Fcを介してIGF−1Rを発現する通常の重要臓器への毒性を除去する。具体的な実施形態では、本発明のagly結合分子は、配列番号:132に記載される(IgG4.P)定常領域を含んでよい(図10(b)参照)。
(VII.結合分子を作成する方法)
周知のように、RNAは、例えば、イソチアン酸グアニジニウムによる抽出、沈殿、次いで遠心分離またはクロマトグラフィーのような標準的な技術で、元々のハイブリドーマ細胞から単離されるか、または他の形質転換された細胞から単離される。所望な場合、mRNAは、オリゴ−dTセルロースを用いたクロマトグラフィーのような標準的な技術を用い、全RNAから単離してもよい。好適な技術は、当該技術分野でよく知られている。
周知のように、RNAは、例えば、イソチアン酸グアニジニウムによる抽出、沈殿、次いで遠心分離またはクロマトグラフィーのような標準的な技術で、元々のハイブリドーマ細胞から単離されるか、または他の形質転換された細胞から単離される。所望な場合、mRNAは、オリゴ−dTセルロースを用いたクロマトグラフィーのような標準的な技術を用い、全RNAから単離してもよい。好適な技術は、当該技術分野でよく知られている。
ある実施形態では、本発明の結合分子の別個の鎖(例えば、抗体の軽鎖および重鎖)をコードするcDNAは、周知の方法にしたがって、逆転写酵素およびDNAポリメラーゼを用い、同時に作成してもよいし、別個に作成してもよい。コンセンサス定常領域プライマーによって、または公開されている重鎖および軽鎖のDNA配列およびアミノ酸配列に基づいて、さらに特異的なプライマーによってPCRを開始してもよい。上述のように、PCRを使用し、結合分子の別個の鎖をコードするDNAクローンを単離してもよい。この場合、コンセンサスプライマーまたはこれより同一性の高いプロープ(例えば、マウス定常領域のプローブ)によって、ライブラリをスクリーニングしてもよい。当該技術分野で既知の技術を用い、DNA(典型的にはプラスミドDNA)を細胞から単離し、例えば、上述の参考文献に詳細を記載した、組み換えDNA技術に関する標準的な周知の技術にしたがって、制限マッピングを行い、配列を決定してもよい。もちろん、本発明の方法にしたがって、単離プロセスまたはその後の分析プロセスの任意の時間に、DNAを合成してもよい。本発明の結合分子を得るために、遺伝子物質の単離物を操作した後に、典型的には、IGF−1R結合分子をコードするポリヌクレオチドを発現ベクターに挿入し、宿主細胞に導入し、この宿主細胞を、所望の性質を有するIGF−1R結合分子を作成するために使用することができる。
結合分子(例えば、本明細書に記載の標的分子(例えば、IGF−1R)に結合する抗体の重鎖または軽鎖)を組み換えによって発現させるためには、この結合分子をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを構築する必要がある。本発明の結合分子(または、その重鎖または軽鎖の一部分)をコードするポリヌクレオチドが得られたら、結合分子を産生するベクターを、当該技術分野で周知の組み換えDNA技術によって産生してもよい。したがって、ヌクレオチド配列をコードする結合分子を含むポリヌクレオチドを発現させることによって、タンパク質を調製する方法を、本明細書に説明する。当該技術分野で周知の方法を使用し、配列および適切な転写制御シグナルおよび翻訳制御シグナルをコードする抗体を含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロでの組み換えDNA技術、合成技術、およびインビボでの遺伝子組み換えが含まれる。このように、本発明は、本発明の結合分子、またはその鎖またはドメインをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに作動可能に連結した、複製可能なベクターを与える。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み(例えば、PCT出願公開WO86/05807号;PCT出願公開WO89/01036号;および米国特許第5,122,464号を参照)、結合分子をコードするヌクレオチド(またはその鎖またはドメイン)を、完全な結合分子を発現するベクターにクローン化し得る。
本発明の結合分子がダイマーである場合、宿主細胞を、本発明の2種類の発現ベクターと一緒にトランスフェクトしてもよい。ここで、第1のベクターは、第1のポリペプチドモノマーをコードし、第2のベクターは、第2のポリペプチドモノマーをコードする。この2種類のベクターは、上述のモノマーを同じ量で発現可能な、同一の選択可能なマーカーを含有していてもよい。あるいは、モノマーを両方ともコードする1種類のベクターを使用してもよい。モノマーが、抗体の軽鎖および重鎖である実施形態では、毒性のない重鎖が過剰量作られてしまうのを防ぐために、軽鎖は、重鎖の前に配置される方が有利である(Proudfoot,Nature 322:52(1986);Kohler,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))。結合分子のモノマーをコードする配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでいてもよい。用語「ベクター」または「発現ベクター」は、本明細書では、宿主細胞に導入され、宿主細胞で所望の遺伝子を発現するためのビヒクルとして、本発明にしたがって使用されるベクターを意味する。当業者が知っているように、このようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルスおよびレトロウイルスからなる群から簡単に選択することができる。一般的に、本発明に適合するベクターは、選択マーカーと、所望の遺伝子のクローン化を容易にする適切な制限部位とを含み、真核細胞または原核細胞に入り込み、および/または複製する能力を有する。
本発明のために、多くの発現ベクター系が使用可能である。例えば、ある種のベクターに、動物ウイルス(例えば、ウシパピローマウウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTVまたはMOMLV)またはSV40ウイルス)に由来するDNA要素を利用する。それ以外には、内部にあるリボソーム結合部位を用いたポリシストロニック系の使用を含む。さらに、トランスフェクトされた宿主細胞を選択可能な1個以上のマーカーを導入することによって、DNAを染色体に組み込んだ細胞を、選択してもよい。このマーカーは、栄養要求性宿主への栄養要求性、殺生物剤への耐性(例えば、抗生物質)、または銅のような重金属への耐性を与え得る。選択可能なマーカー遺伝子は、発現するDNA配列に直接結合しているか、または同時形質転換によって同じ細胞に導入されてもよい。mRNAの合成を最適化するために、さらなる要素が必要となることもある。これらの要素は、シグナル配列、スプライスシグナル、および転写プロモーター、エンハンサー、および停止シグナルを含み得る。特に好ましい実施形態では、クローン化された可変領域の遺伝子を、上述のように合成した、重鎖および軽鎖の定常領域遺伝子(好ましくは、ヒト)とともに、発現ベクターに挿入する。ある実施形態では、Biogen IDEC,Inc.の特許品であるNEOSPLAという発現ベクター(米国特許第6,159,730号に開示されている)を用いて行う。このベクターは、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサーと、マウスβグロビン主要プロモーターと、SV40由来複製物と、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列と、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼのエクソン1およびエクソン2と、ジヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子と、リーダー配列とを含んでいる。このベクターは、可変領域および定常領域の遺伝子を組み込み、CHO細胞にトランスフェクトし、次いでG418を含有する培地で選択し、メトトレキサートで増幅させると、抗体をきわめて高レベルで発現することが分かっている。もちろん、真核細胞での発現を誘発可能な任意の発現ベクターを本発明に使用してもよい。好適なベクターの例としては、限定されないが、プラスミドpcDNA3、pHCMV/Zeo、pCR3.1、pEF1/His、pIND/GS、pRc/HCMV2、pSV40/Zeo2、pTRACER−HCMV、pUB6/V5−His、pVAX1、およびpZeoSV2(Invitrogen(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能)、およびプラスミドpCI(Promega(ウィスコンシン州マディソン)から入手可能)が挙げられる。一般的に、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖が、例えばロボットによるシステムによって行われるような、日常の実験である場合、多くの形質転換細胞が、好適に高レベルで発現するものについてスクリーニングされる。ベクター系は、米国特許第5,736,137号および第5,658,570号にも教示があり、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。この系は、例えば、30pg/細胞/日を超える高い発現濃度を提供する。ベクター系の他の例は、例えば、米国特許第6,413,777号に開示されている。
他の好ましい実施形態では、本発明の結合分子を、2002年11月18日に出願した米国特許出願第2003−0157641 A1号(この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示したポリシストロニック構築物を用いて発現させてもよい。これらの新規発現系で、目的の複数の遺伝子産物(例えば、抗体の重鎖および軽鎖)を、1個のポリシストロニック構築物から作成し得る。これらの系には、配列内リボソーム進入部位(IRES)を使用し、真核細胞を宿主として、比較的高濃度のIGF−1R結合分子を得ることが有利である。適合するIRES配列は、米国特許第6,193,980号に開示されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。当業者は、このような発現系を使用し、この出願で開示されているIGF−1R抗体の全範囲を効果的に作成し得ることを理解するであろう。
さらに一般的には、IGF−1R抗体のモノマーサブニットをコードするベクターまたはDNA配列を調製したら、発現ベクターを適切な宿主細胞に導入することができる。プラスミドを宿主細胞に導入する操作は、当業者に周知の種々の技術で行うことができる。 この操作としては、限定されないが、トランスフェクション(電気泳動および電気穿孔を含む)、原形質融合、リン酸カルシウム沈殿法、エンベロープDNAを用いた細胞融合、微量注入、およびインタクトなウイルスに感染させる方法が挙げられる。Ridgway,A.A.G.「Mammalian Expression Vectors」Vectors、Rodriguez and Denhardt編、Butterworths,Boston,Mass.,Chapter 24.2,pp.470−472(1988)を参照。 典型的には、宿主細胞へのプラスミドの導入は、電気穿孔によって行う。発現構築物を含む宿主細胞を、結合分子を産生するのに適した条件下で成長させ、結合分子の合成についてアッセイする。アッセイ技術の例としては、酵素免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または蛍光活性化細胞選別法(FACS)、免疫組織化学的方法などが挙げられる。
発現ベクターを、従来の技術で宿主細胞に移し、トランスフェクト下細胞を従来の技術で培養し、本明細書で記載の方法で使用する抗体を産生する。このように、本発明は、本発明の結合分子(またはそのモノマーまたは鎖)をコードするポリヌクレオチドが、異種プロモーターに作動可能に連結した宿主細胞を含む。二本鎖結合分子またはダイマー結合分子を発現するのに好ましい実施形態では、以下に詳細を説明するように、結合分子の鎖を別個にコードするベクターを、宿主細胞で一緒に発現させ、完全な結合分子を発現させてもよい。
本明細書で使用するとき、「宿主細胞」は、組み換えDNA技術を用い、少なくとも1つの異種遺伝子をコードするようにて構築されたベクターを含む細胞を指す。組み換え宿主から抗体を単離するプロセスを説明する際に、用語「細胞」および「細胞培養物」は、他の意味であると明確に示されていない限り、抗体の起源を示すという同じ意味で用いる。言い換えると、「細胞」からポリペプチドを回収することは、全細胞を沈降させて回収するか、または培地と懸濁した細胞の両方を含む細胞培養物から回収することを意味し得る。
種々の宿主−発現ベクター系を利用し、本明細書に記載の方法で使用する抗体分子を発現させることができる。このような宿主−発現系は、目的のコード配列を産生し、精製するビヒクルをあらわすとともに、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換するか、またはトランスフェクトし、目的の抗体分子を系中で発現させる細胞をあらわす。このような宿主−発現系としては、限定されないが、抗体をコードする配列を含む組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターでトランスフェクトした細菌類(例えば、E.coli、B.subtilis);抗体をコードする配列を含む組み換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体をコードする配列を含む組み換えウイルス発現ベクターに感染した昆虫細胞系(例えば、バキュロウイルス);組み換えウイルス発現ベクターに感染した植物細胞系(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)、または抗体をコードする配列を含む組み換えプラスミド発現ベクターで形質転換されたもの(例えば、Tiプラスミド);または哺乳動物細胞に由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する、組み換え発現構築物を含む哺乳動物系(例えば、COS細胞、CHO細胞、BLK細胞、293細胞、3T3細胞)が挙げられる。好ましくは、Escherichia coliのような細菌細胞、さらに好ましくは、全組み換え抗体分子を特異的に発現する真核細胞を、組み換え抗体分子を発現するのに使用する。例えば、哺乳動物の細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO))を、ヒトサイトメガロウイルスに由来する主要な前初期遺伝子プロモーター要素のようなベクターと組み合わせると、抗体を有効に発現する系になる(Foeckingら、Gene 45:101(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(1990))。
タンパク質を発現させるのに使用する宿主細胞は、哺乳動物に由来するものが多く、当業者は、所望な産物を発現させるのに最も適した特定の宿主細胞株を選ぶ能力を有すると考える。宿主細胞株の例としては、限定されないが、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)、DG44およびDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣株、DHFR minus)、HELA(ヒト子宮頸癌)、CVI(サル腎臓株)、COS(SV40 T抗原を有するCVI誘導体)、VERY、BHK(幼若ハムスターの腎臓)、MDCK、293、WI38、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3x63−Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)および293(ヒト腎臓)が挙げられる。CHO細胞が特に好ましい。宿主細胞株は、典型的には、商業的なサービス機関であるAmerican Tissue Culture Collectionから入手可能であり、または公開されている文献から入手可能である。
さらに、挿入した配列の発現を調節するか、または望ましい特定の様式で遺伝子産物を改変し、加工する宿主細胞株を選択してもよい。このような改変(例えば、グリコシル化)およびタンパク質産物の加工(例えば、開裂)は、タンパク質の機能にとって重要な場合がある。異なる宿主細胞は、翻訳後の処理、およびタンパク質および遺伝子産物の改変の際に、特徴的かつ特異的な機序を有する。発現した異種タンパク質を正しく改変し、処理するために、適切な細胞株または宿主系を選択することができる。この目的のために、一次転写物の適切な処理、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための機序を有する真核宿主細胞を使用してもよい。
長期間にわたって、組み換えタンパク質を高濃度で産生するために、安定して発現することが好ましい。例えば、抗体分子を安定に発現する細胞株を遺伝子操作によって作出することができる。ウイルス由来の複製物を含有する発現ベクターを用いるよりも、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写停止コドン、ポリアデニル化部位など)によって制御されたDNAと、選択可能なマーカーとを用いて宿主細胞を形質転換することができる。異種DNAを導入した後、遺伝子操作した細胞を栄養分が豊富な培地で1〜2日間成長させ、選択性を有する培地に移すことができる。組み換えプラスミドの選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、これにより、細胞は、染色体にプラスミドを安定に組み込み、成長して遺伝子座を形成し、これを細胞株へクローン化し、数を増やすことができる。この方法は、抗体分子を安定に発現する細胞株を遺伝子操作するのに有利に使用することができる。
多くの選択系を使用することができ、限定されないが、ヘルペス単純ウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202−2034(1992))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22:817 1980)の遺伝子を、それぞれ、tk細胞、hgprt細胞またはaprt細胞に使用してもよい。さらに、代謝拮抗物質への耐性を、以下の遺伝子を選択する基準として使用してもよい:dhfr、メトトレキサートへの耐性を付与する(Wiglerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:3567−3570(1980);O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));gpt、ミコフェノール酸への耐性を付与する(Mulligan & Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));neo、アミノ酸配糖体G−418への耐性を付与する(Godspielら、Clinical Pharmacy 12:488−505(1993));Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596(1993);Mulligan,Science 260:926−932(1993);およびMorgan and Anderson,Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1993);TIB TECH 11(5):155−215(1993年5月);およびhygro、ハイグロマイシンへの耐性を付与する(Santerreら、Gene 30:147(1984)。組み換えDNA技術の分野で一般的に知られており、使用可能な方法は、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);および第12章および第13章、Dracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons,NY(1994);Colberre−Garapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)に記載されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
ベクターの増幅によって、抗体分子の発現濃度を高めることができる(概説として、Bebbington and Hentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、Academic Press、New York、Vol.3.(1987)を参照)。抗体を発現するベクター系のマーカーが、増幅可能な性質を有している場合、宿主細胞培養物中に存在する組成物の量が多くなると、マーカー遺伝子の複製物の数も増える。増幅した領域が抗体遺伝子と関係があるため、抗体の産生量も増える(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
インビトロでの産生は、生産規模を増大して、所望のポリペプチドを大量に得ることができる。組織培養条件での哺乳動物細胞の培養技術は、当該技術分野で既知であり、例えば、空気揚水反応機または連続的な撹拌反応器での均一懸濁培養、例えば、中空繊維、マイクロカプセル、寒天マイクロビーズまたはセラミックカートリッジに細胞を固定するか、または封入しての培養が挙げられる。必要な場合、および/または所望な場合、一般的なクロマトグラフィー法(例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロースによるクロマトグラフィー、または(免疫)親和性クロマトグラフィー)によって、ポリペプチドの溶液を精製してもよい。特定の実施形態では、本発明の結合分子は、商業的なスケール(例えば、大きさが25L、50L、100L、1000L、またはそれ以上の細胞培養物またはバイオリアクター)で製造した場合、高収率で得られる。例えば、本発明の結合分子は、宿主細胞によって製造され、宿主細胞の培地1Lあたり、少なくとも5mg(例えば、少なくとも10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、200mg、500mg、750mg、1g、1.5g、2g、2.5gまたは5g)の結合分子が製造される。
好ましくは、本発明の結合分子は、凝集物を形成する傾向はない。凝集は、限定されない多くの生化学的技術または生物物理学的技術によって測定することができる。例えば、本発明の組成物の凝集は、クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))を用いて評価することができる。SECは、分子を大きさによって分ける。カラムをポリマーゲルの半固体ビーズで満たし、イオンおよび小分子は、内部に入り込むが、大きな分子は入り込まない。タンパク質の組成物をカラム上面に置くと、小さく折りたたまれたタンパク質(すなわち、凝集していないタンパク質)は、大きなタンパク質凝集物に対するよりも、大量の溶媒に分散される。その結果、大きな凝集物は、カラムをすばやく通過し、この様式で、この混合物を成分に分離するか、または画分に分けることができる。それぞれの画分を、ゲルから溶出させた状態で、別個に定量することができる(例えば、光散乱によって)。したがって、本発明の組成物の凝集率(%)は、あるフラクションの濃度と、ゲルに入れたタンパク質の合計濃度とを比較することによって決定することができる。安定した組成物は、本質的に1個の画分としてカラムから溶出し、溶出プロフィールまたはクロマトグラムで本質的に1個のピークであらわれる。
好ましい実施形態では、SECを、インライン光散乱法(in−line light scattering)(例えば、伝統的な光散乱法または動的光散乱法)と組み合わせて用い、組成物の凝集率(%)を決定する。特定の好ましい実施形態では、静的光散乱法を使用し、分子の形状または溶出位置とは独立して、それぞれのフラクションまたはピークの質量を測定する。他の好ましい実施形態では、動的光散乱法を使用し、組成物の流体力学的な大きさを測定する。タンパク質の安定性を評価する他の方法の例としては、高速SEC(例えば、Corbettら、Biochemistry.23(8):1888−94, 1984を参照)。
本発明のIGF−1R結合分子をコードする遺伝子を、非哺乳動物細胞(例えば、細菌または昆虫細胞または酵母または植物細胞)から発現させてもよい。核酸を取り出すことが容易な細菌類としては、腸内細菌(例えば、Escherichia coli株またはSalmonella;Bacillaceae(例えば、Bacillus subtilis);Pneumococcus;StreptococcusおよびHaemophilus influenzaeが挙げられる。細菌で発現する場合、異種ポリペプチドは、典型的には、封入体の一部分になることも理解されるであろう。この異種ポリペプチドを単離し、精製し、次いで、機能的な分子にアセンブリしなければならない。四価形態の結合分子が望ましい場合、サブユニットが四価結合分子になるように自己集合させる必要がある(例えば、四価抗体(WO02/096948A2号))。
細菌系では、発現する抗体分子の目的とする用途によって、有利に、多くの発現ベクターを選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物を製造するために、大量のタンパク質を産生しなければならない場合、高濃度の融合タンパク質産物を発現し、精製が簡単になベクターが望ましい場合がある。このようなベクターとしては、限定されないが、E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(1983)、抗体をコードする配列は、融合タンパク質が産生するように、ベクターのフレーム内に、lacZコード領域とともに個々に接続していてもよい);pINベクター(Inouye&Inouye,Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke & Schuster、J.Biol.Chem.24:5503−5509(1989))などが挙げられる。pGEXベクターを使用し、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)で異種ポリペプチドを融合タンパク質として発現させてもよい。一般的に、このような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオンマトリックス−寒天ビーズに吸着させ、結合させ、遊離グルタチオン存在下で溶出させることによって、溶解した細胞から簡単に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計されており、その結果、クローン化した標的遺伝子産物が、GST部分から放出されるようになっている。
原核生物だけでなく、真核微生物も使用してよい。Saccharomyces cerevisiae(一般的なパン用酵母)は、最も一般的に使用される真核微生物であるが、多くの他の株も一般的に利用可能である(例えば、Pichia pastoris)。
Saccharomycesで発現させる場合、例えば、プラスミドYRp7(Stinchcombら、Nature 282:39(1979);Kingsmanら、Gene 7:141(1979);Tschumperら、Gene 10:157(1980))が一般的に使用される。このプラスミドは、TRP12遺伝子を含有しており、この遺伝子によって、トリプトファンで成長する能力を欠いた酵母の変異株の選択マーカーを提供する。例えば、ATCC番号44076またはPEP4−1(Jones、Genetics 85(1):23−33(1977))。この酵母宿主細胞のゲノムの特徴であるtrpl変異の存在によって、トリプトファンが存在しない状態で成長させることによる形質転換を有効に検出する環境を提供する。
昆虫系では、典型的には、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が、異種遺伝子を発現するベクターとして用いられる。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞中で成長する。抗体をコードする配列を、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下で、このウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個々にクローン化してもよい。
本発明の抗体分子が組み換えによって発現したら、免疫グロブリン分子を精製する分野で既知の任意の方法(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、プロテインAの後で、特異的な抗原に対する親和性、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差による方法、またはタンパク質を精製する任意の他の標準的な技術)によって精製してもよい。または、結合分子(例えば、抗体)の親和性を高める好ましい方法は、US 2002 0123057 A1号に開示されている。
(VIII.IGF−1Rの異なるエピトープに結合する結合分子を含む組成物を使用する方法)
本発明の結合分子は、細胞におけるIGF−1Rが介在する効果(例えば、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞のような、細胞の増殖)を減らすか、または阻害する。別の実施形態では、本発明の結合分子は、細胞(例えば、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞)における、IGF−1Rが介在するシグナル伝達を阻害する。IGF−1Rが介在するシグナル伝達の阻害は、1つ以上のシグナル伝達経路の活性化を決定することによって、または細胞増殖のような、下流にあたる活性化の測定値を決定することによって、測定することができる。このような測定は、当該技術分野で知られている標準的な方法または本明細書(例えば、実施例)に記載の方法によって行うことができる。
本発明の結合分子は、細胞におけるIGF−1Rが介在する効果(例えば、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞のような、細胞の増殖)を減らすか、または阻害する。別の実施形態では、本発明の結合分子は、細胞(例えば、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞)における、IGF−1Rが介在するシグナル伝達を阻害する。IGF−1Rが介在するシグナル伝達の阻害は、1つ以上のシグナル伝達経路の活性化を決定することによって、または細胞増殖のような、下流にあたる活性化の測定値を決定することによって、測定することができる。このような測定は、当該技術分野で知られている標準的な方法または本明細書(例えば、実施例)に記載の方法によって行うことができる。
例えば、ある実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1またはIGF−2が介在するIGF−1Rリン酸化、AKTまたはMAPKのリン酸化、AKTが介在する生存シグナルの伝達を減らすか、または阻害する。別の実施形態では、本発明の結合分子は、腫瘍細胞の成長を、例えば、インビトロまたはインビボで阻害する。さらに別の実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1Rの内在化を誘発する。
ある実施形態では、本発明の結合分子は、IGF−1Rが介在する細胞活性化のパラメーターを、結合分子に存在する個々の結合部分のものよりも(例えば、その結合特異性を有するモノクローナル抗体よりも)高い程度に阻害するか、または(i)第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、および(ii)第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子を含む組み合わせよりも高い程度に阻害する。
本発明のある実施形態は、有効量の本明細書に記載の本発明の結合分子または組成物を、過剰増殖性疾患または障害(例えば、癌、悪性細胞、腫瘍またはその転移)を患っている動物、または上述の疾患にかかる恐れがあると診断された動物に投与する工程を含む、この動物において、上述の疾患または障害を治療する(例えば、上述の疾患または障害の進行を遅らせるか、少なくとも1つの症状を軽減するか、拡大率を小さくする)方法を与える。
本明細書に開示した治療方法で使用されるIGF−1Rまたはその改変体に特異的に結合する本発明の結合分子は、細胞の過剰増殖に関与する細胞活性(例えば、過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害に関連することの多い、血管新生の変更または異常な血管新生パターンを誘発する細胞活性)を停止させ、低下させ、抑止させるか、または阻害する治療薬として調製され、使用することができる。
本発明の結合分子は、標識されていない形態またはコンジュゲートされていない形態で使用してもよく、標識されていない形態で使用してもよく、または放射能標識および生化学的な細胞毒のような細胞毒性部分にカップリングし、または結合して、治療効果を発揮する薬剤を製造してもよい。
本発明は、IGF−1R(例えば、ヒトIGF−1R)に特異的に結合するか、または選択的に結合する抗体または免疫特異性のフラグメントを有効量投与する工程を含むか、この工程から本質的になるか、またはこの工程からなる、例えば、腫瘍の成長を阻害することによって、哺乳動物の種々の過剰増殖性障害を治療する方法を提供する。
本発明は、さらに具体的には、本発明の結合分子を、過剰増殖性障害を治療する(例えば、腫瘍の形成、腫瘍の成長、腫瘍の侵襲性、および/または転移の発生を阻害するか、または予防する)ことが必要な動物(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)に有効量投与する工程を含むか、この工程から本質的になるか、またはこの工程からなる、動物において、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療する方法である。
他の実施形態では、本発明は、過剰増殖性障害を治療する(例えば、腫瘍の形成、腫瘍の成長(例えば、細胞増殖)、腫瘍の侵襲性、および/または転移の発生を阻害するか、または減らす)ことが必要な哺乳動物(例えば、ヒト患者)に、医薬的に許容される担体と、本発明の結合分子(例えば、本発明の多重特異性結合分子)、または結合分子の組み合わせ(例えば、異なるIGF−1Rエピトープに結合する2個以上の単一特異性結合分子とを含むか、またはこれらから本質的になるか、またはこれらからなる組成物を有効量投与する工程を含む、動物の過剰増殖性障害を治療する方法を含む。
他の実施形態では、本発明は、過剰増殖性障害を治療する(例えば、腫瘍の形成、腫瘍の成長、腫瘍の侵襲性、および/または転移の発生を阻害する)ことが必要な動物(例えば、ヒト患者)に、医薬的に許容される担体と、本発明の結合分子(例えば、本発明の多重特異性結合分子)、または結合分子の組み合わせ(例えば、異なるIGF−1Rエピトープに結合する2個以上の単一特異性結合分子とを含むか、またはこれらから本質的になるか、またはこれらからなる組成物を有効量投与する工程を含み、この組成物には、結合分子を改変するさらなる部分(例えば、炭水化物部分)が含まれていてもよく、これによって、改変されていないタンパク質よりも、改変された標的タンパク質に対し、結合分子が高親和性で結合するような、動物の過剰増殖性障害を治療する方法を含む。あるいは、結合分子は、改変していない形態の標的タンパク質には全く結合しない。
より具体的には、本発明は、癌を治療することが必要なヒトに、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子(例えば、本発明の多重特異性結合分子)、または結合分子の組み合わせ(例えば、異なるIGF−1Rエピトープに結合する2個以上の単一特異性結合分子)と、医薬的に許容される担体とを含む組成物を有効量投与する工程とを含む、ヒトの癌を治療する方法を与える。治療対象となる癌の種類としては、胃癌、腎癌、脳癌、膀胱癌、結腸癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌および前立腺癌が挙げられる。
(IX.IGF−1Rに特異的な結合分子および核酸増幅アッセイを用いる診断方法)
本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子または組成物を、診断目的で使用し、IGF−1Rの異常な発現および/または異常な活性に関連する疾患、障害および/または状態を検出し、診断し、または監視することができる。IGF−1Rの発現量は、腫瘍組織および他の新生物状態では増える。
本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子または組成物を、診断目的で使用し、IGF−1Rの異常な発現および/または異常な活性に関連する疾患、障害および/または状態を検出し、診断し、または監視することができる。IGF−1Rの発現量は、腫瘍組織および他の新生物状態では増える。
IGF−1Rに特異的な結合分子は、哺乳動物(好ましくはヒト)の過剰増殖性障害を診断し、治療し、予防し、および/または予後を判断するのに有用である。このような障害としては、限定されないが、癌、新生物、腫瘍および/または本明細書の他の部分に説明したものが挙げられ、特に、IGF−1Rに関連する癌、例えば、癌が、胃癌、腎癌、脳癌、膀胱癌、結腸癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌および前立腺癌が挙げられる。
例えば、本明細書で開示しているように、IGF−1Rの発現は、少なくとも、胃、腎臓、脳、膀胱、結腸、肺、乳房、膵臓、卵巣および前立腺の腫瘍組織に関係がある。したがって、本発明の結合分子を利用し、高濃度のIGF−1Rを発現している特定の臓器を検出することができる。これらの診断アッセイは、インビボまたはインビトロで行われてもよく、例えば、血液サンプル、生検組織または剖検組織で行われてもよい。
このように、本発明は、癌および他の過剰増殖性障害の診断に有用な診断方法を提供し、それは、個体由来の組織または他の細胞または身体中のIGF−1Rタンパク質または転写物の発現濃度を測定する工程と、測定した発現濃度と、正常な組織または体液の標準的なIGF−1R発現濃度とを比較し、標準値と比較して発現濃度が高くなっていることが、障害の指標となる工程が含まれる。
一実施形態は、液体サンプルまたは組織サンプル中の異常な過剰増殖性細胞(例えば、前癌細胞または癌細胞)の存在を検出する方法を提供し、それは、個体の組織サンプルまたは体液サンプル中のIGF−1Rの発現をアッセイする工程と、そのサンプルのIGF−1R発現の存在または発現濃度と、標準的な組織サンプルまたは体液サンプル中のIGF−1R発現の存在または発現濃度とを比較する工程とを含み、IGF−1Rの発現を検出すること、またはIGF−1Rの発現濃度が標準値よりも高いことは、異常な過剰増殖性細胞の成長の指標である。
さらに具体的には、本発明は、体液サンプルまたは組織サンプル中の異常な過剰増殖性細胞の存在を検出する方法を提供し、それは、(a)本発明のIGF−1Rに特異的な抗体または免疫特異的な抗体を用い、個体の組織サンプルまたは体液サンプル中のIGF−1Rの発現をアッセイする工程と、(b)そのサンプルのIGF−1R発現の存在または発現濃度と、標準的な組織サンプルまたは体液サンプル中のIGF−1R発現の存在または発現濃度とを比較する工程とを含み、IGF−1Rの発現を検出すること、またはIGF−1Rの発現濃度が標準値よりも高いことは、異常な過剰増殖性細胞の成長の指標である。
癌についていえば、比較的高濃度のIGF−1Rタンパク質が、個体の生検組織に存在することは、腫瘍または他の悪性細胞の成長の指標となる場合があり、このような悪性細胞または腫瘍の発生を前もって診断する指標となる場合があり、または実際の臨床症状が起こる前に、疾患を検出する手段を提供することがある。この種類の診断の信頼性が高まれば、医療従事者は、予防的な測定または初期の積極的な治療に利用することができ、それによって、癌の発生またはさらなる進行を抑えることができる。
本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を使用し、当業者に既知の従来からある免疫組織学法を用い、生体サンプルのタンパク質濃度をアッセイすることができる(例えば、Jalkanenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanenら、J.Cell Biol.105:3087−3096(1987)を参照)。タンパク質の発現を検出するのに有用な他の抗体に基づく方法としては、酵素免疫アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)のような免疫アッセイが挙げられる。好適な抗体アッセイ用標識は、当該技術分野で既知であり、酵素標識、例えば、グルコースオキシダーゼ;放射性同位体、例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)およびテクネチウム(99Tc);発光標識、例えばルミノール;蛍光標識、例えば、フルオレセインおよびローダミン、およびビオチンが挙げられる。好適なアッセイは、本明細書の他の箇所で詳細に説明する。
本発明のある態様は、動物(好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒト)において、異常なIGF−1R発現に関連する過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害をインビボで検出するか、または診断する方法である。ある実施形態では、診断は、(a)対象に、IGF−1Rに特異的に結合する本発明の結合分子を標識化したものを有効量投与する工程(例えば、非経口、皮下、または腹腔内)と、(b)投与した後に、標識された結合分子が、対象において、IGF−1Rを発現する場所に優先的に濃縮することが可能なように(そして標識された分子のうち、結合していないものがバックグラウンド濃度にまで排泄されることが可能なように)、所定時間待つ工程と、(c)バックグラウンド濃度を決定する工程と、(d)対象において、標識された分子を検出する工程とを含み、標識された分子が、バックグラウンド濃度よりも高濃度で検出されることは、その対象が、IGF−1Rの異常な発現に関連する特定の疾患または障害を患っていることを示す。バックグラウンド濃度は、標識された分子の検出量と、特定の系ですでに決定した標準的な値とを比較する方法を含む、種々の方法によって決定することができる。
対象の体の大きさ、および使用する造影システムによって、診断用画像を得るのに必要な造影部分の量が決まることは、当該技術分野で理解されるであろう。放射性同位体部分の場合、ヒト対象では、注入する放射能の量は、通常は、例えば、99Tcを5〜20mCiである。標識された結合分子(例えば、抗体または抗体フラグメント)は、特定のタンパク質を含有する細胞の所定位置に優先的に蓄積する。インビボでの腫瘍の造影は、S.W.Burchielら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments」(Chapter 13 in Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer、S.W.Burchiel and B.A.Rhodes,eds.、Masson Publishing Inc.(1982)に記載されている。
使用する標識の種類および投与態様を含むいくつかの変数によって変わるが、投与後に、標識された分子が対象の所定部位で優先的に濃縮されるのにかかる時間、標識された分子のうち、結合していない分子がバックグラウンド濃度まで戻るのにかかる時間は、6〜48時間、または6〜24時間、または6〜12時間である。別の実施形態では、投与後の時間間隔は、5〜20日、または7〜10日である。
標識された分子の存在は、インビボスキャニングの分野で既知の方法を用い、患者の内部で検出することができる。これらの方法は、使用する標識の種類によって変わる。当業者は、特定の標識を検出するのに適した方法を決定することができる。本発明の診断方法で使用可能な方法およびデバイスとしては、限定されないが、コンピュータ断層造影法(CT)、陽電子放射断層法(PET)、磁気共鳴映像法(MRI)および超音波造影法のような全身スキャンが挙げられる。
特定の実施形態では、結合分子は、放射性同位体で標識されており、放射線に応答する手術装置を用い、患者内部で検出する(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)。別の実施形態では、結合分子は、蛍光化合物で標識されており、蛍光に応答するスキャン装置を用い、患者内部で検出する。別の実施形態では、結合分子は、陽電子を発生する金属で標識されており、陽電子発生トモグラフィーを用いて患者内部で検出される。さらに別の実施形態では、結合分子は、常磁性標識で標識されており、磁気共鳴映像法(MRI)を用いて患者内部で検出される。
IGF−1Rの発現をインビボで造影するための抗体の標識またはマーカーとしては、X線造影、核磁気共鳴映像法(NMR)、MRI、CAT−スキャンまたは電子スピン共鳴造影法(ESR)で検出可能なものが挙げられる。X線造影の場合、好適な標識としては、バリウムまたはセシウムのような放射性同位体が挙げられ、これらの同位体は、検出可能な放射線を発生するが、対象にとって明らかに有害なものではない。NMRおよびESRに好適なマーカーとしては、検出可能な特徴的なスピンを有するもの、例えば、重水素が挙げられ、このマーカーは、関連するハイブリドーマに提供する栄養物を標識することによって、抗体に組み込まれてもよい。ヒトでの診断のために、IGF−1Rの濃度上昇を検出するためにインビボ造影を用いる場合、本明細書の他の部分で説明したようなヒト抗体または「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用することが好ましい場合がある。
上述の例と関連する実施形態では、すでに診断がついた疾患または障害の監視は、その疾患または障害の診断方法のいずれか1つを、例えば、最初の診断から1カ月後、6カ月後、1年後などに繰り返すことによって行われる。
ある障害(腫瘍を含む)が、従来の方法ですでに診断されている場合、本明細書に開示した検出不法は、予後の指標として有用である。IGF−1Rの発現量が高い状態が続く患者は、IGF−1Rの発現量が標準値に近いレベルまで下がっている患者と比較して、臨床結果が悪くなる。
「腫瘍に関連するIGF−1Rポリペプチドの発現濃度をアッセイすること」とは、第1の生体サンプルで、直接的に(例えば、全タンパク質レベルを決定するか、または概算することによって)、または相対的に(例えば、第2の生体サンプルの癌に関連するポリペプチド濃度と比較することによって)、IGF−1Rポリペプチドの濃度を定性的または定量的に測定するか、または概算することを意味する。好ましくは、第1の生体サンプルでのIGF−1Rポリペプチドの発現濃度を測定するか、または概算し、標準的なIGF−1Rポリペプチド濃度と比較し、この標準は、その障害を患っていない個体から得た第2の生体サンプルから得るか、またはその障害を患っていない個体の集合から得た値を平均することによって決定してもよい。当該技術分野で理解されるように、IGF−1の「標準」値が既知である場合、比較のために、その値を標準として繰り返し用いてもよい。
「生体サンプル」とは、個体、細胞株、組織培養物、またはIGF−1Rを発現する可能性がある他の細胞供給源から得た任意の生体サンプルを意味する。ここで示されるように、生体サンプルとしては、体液(例えば、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、およびIGF−1Rを発現する可能性がある他の組織供給源が挙げられる。哺乳動物から組織生検および体液を得る方法は、当該技術分野で周知である。
さらなる実施形態では、本発明の結合分子を使用し、IGF−1R遺伝子産物または保存された改変体またはペプチドフラグメントを定量的または定性的に検出することができる。この操作は、例えば、蛍光標識された抗体と、光学顕微鏡、フローサイトメトリーまたは蛍光分析による検出とを組み合わせた、免疫蛍光技術によって達成されてもよい。
上述の方法を用いて診断および/または予防可能な癌としては、限定されないが、胃癌、腎癌、脳癌、膀胱癌、結腸癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌および前立腺癌が挙げられる。
(X.免疫アッセイ)
本明細書に開示したIGF−1Rに特異的な結合分子を、当該技術分野で既知の任意の方法で、免疫特異的な結合についてアッセイすることができる。使用可能な免疫アッセイとしては、限定されないが、数例を挙げると、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA酵素免疫吸着法、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、相補体固定アッセイ、免疫放射定量測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイのような技術を用いる、競合的なアッセイ系および非競合的なアッセイ系が挙げられる。このようなアッセイは、一般的なものであり、当該技術分野で周知である(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、New York、Vol.1(1994)を参照。この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。免疫アッセイの例を、以下に簡単に示す(限定する意図はない)。
本明細書に開示したIGF−1Rに特異的な結合分子を、当該技術分野で既知の任意の方法で、免疫特異的な結合についてアッセイすることができる。使用可能な免疫アッセイとしては、限定されないが、数例を挙げると、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA酵素免疫吸着法、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、相補体固定アッセイ、免疫放射定量測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイのような技術を用いる、競合的なアッセイ系および非競合的なアッセイ系が挙げられる。このようなアッセイは、一般的なものであり、当該技術分野で周知である(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、New York、Vol.1(1994)を参照。この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。免疫アッセイの例を、以下に簡単に示す(限定する意図はない)。
免疫沈降プロトコルは、一般的に、細胞の集合を、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)を追加したRIPAバッファ(1% NP−40またはTriton X−100、1% ナトリウムデオキシコレート、0.1% SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1% トラシロール)のような溶解バッファに溶解させる工程と、目的の結合分子を細胞溶解物に加える工程と、4℃で所定時間(例えば、1〜4時間)インキュベートする工程と、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズを細胞溶解物に加える工程と、4℃で約1時間以上インキュベートする工程と、ビーズを溶解バッファで洗浄する工程と、ビーズをSDS/サンプルバッファに再び懸濁させる工程とを含む。目的の結合分子が特定の抗原を免疫沈降させる能力を、例えば、ウェスタンブロット分析によって評価してもよい。当業者は、抗原に対する結合分子の結合性を高めるように、およびバックグラウンドを下げる(例えば、セファロースビーズを用いて、細胞溶解物をあらかじめきれいにしておく)ようにパラメーターを変えてもよいことを理解するであろう。免疫沈降プロトコルに関するさらなる記載は、例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、New York、Vol.1(1994)の10.16.1を参照。
ウェスタンブロット分析は、一般的に、タンパク質サンプルを調製し、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量によって、8%−20% SDS−PAGE)で電気泳動させる工程と、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲルから、ニトロセルロース、PVDFまたはナイロンのような膜に移す工程と、ブロッキング溶液(例えば、3% BSAまたは脱脂乳を含むPBS)で膜をブロックする工程と、膜を洗浄バッファ(例えば、PBS−Tween 20)で洗浄する工程と、ブロッキングバッファで希釈した一次結合分子(目的の結合分子)で膜をブロックする工程と、膜を洗浄バッファで洗浄する工程と、酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例えば、32pまたは1251)にコンジュゲートした二次結合分子(一次抗体を認識する抗体、例えば、抗−ヒト抗体)をブロッキングバッファで希釈し、この液で膜をブロックする工程と、膜を洗浄バッファで洗浄する工程と、抗原の存在を検出する工程とを含む。当業者は、検出されるシグナルを高めるように、バックグラウンドノイズを減らすようにパラメーターを変えてもよいことを理解するであろう。ウェスタンブロットに関するさらなる記載は、例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、New York Vol.1(1994)の10.8.1を参照。
ELISAは、抗原を調製する工程と、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングする工程と、検出可能な化合物、例えば、酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)にコンジュゲートした目的の結合分子をウェルに加える工程と、所定時間インキュベートする工程と、抗原の存在を検出する工程とを含む。ELISAでは、目的の結合分子は、検出可能な化合物にコンジュゲートしている必要はなく、その代わりに、検出可能な化合物にコンジュゲートした二次結合分子(目的の結合分子を認識する結合分子)をウェルに加えてもよい。さらに、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、結合分子をウェルにコーティングしてもよい。この場合、コーティングされたウェルに目的の抗原を加えた後、検出可能な化合物にコンジュゲートした二次結合分子を加えてもよい。当業者は、検出されるシグナルを高めるように、当該技術分野で既知のELISAの他の改変例になるようにパラメーターを変えてもよいことを理解するであろう。ELISAに関するさらなる記載は、例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、New York,Vol.1(1994)の11.2.1を参照。
抗原に対する結合分子の結合親和性、および結合分子−抗原相互作用の解離速度(off−rate)は、競合結合アッセイによって決定することができる。競合結合アッセイの例は、標識されていない抗原を多く含む状態で、標識された抗原(例えば、3Hまたは125I)を、目的の結合分子とともにインキュベートし、標識された抗原に結合した結合分子を検出することを含むラジオイムノアッセイである。特定の抗原に対する、目的の結合分子の親和性および結合解離速度は、Scatchardプロット分析によって得たデータから決定することができる。第2の結合分子との競合は、ラジオイムノアッセイを用いて決定してもよい。この場合、抗原を、標識されていない抗原を多く含む状態で、標識された(例えば、3Hまたは125I)にコンジュゲートした化合物目的の抗体とともにインキュベートする。
さらに、IGF−1Rに特異的な結合分子は、癌抗原遺伝子産物またはその保存された改変体またはペプチドフラグメントを系中で検出するために、免疫蛍光法、免疫電子顕微鏡または非免疫アッセイで使用する場合のように、組織学的に使用されてもよい。系中での検出は、組織学的標本を患者から取り出す工程と、この標本に、標識されたIGF−1Rに特異的な結合分子を適用する(好ましくは、標識された抗体(またはフラグメント)を生体サンプルの上に置くことによって適用する)工程とによって行われてもよい。この手順を用いることによって、IGF−1Rタンパク質、またはその保存された改変体またはペプチドフラグメントの存在だけではなく、試験組織での分布も決定することができる。本発明を用いて、当業者は、系中で検出するために、種々の組織学的方法(例えば、染色手順)を改変してもよいことを容易に理解するであろう。
IGF−1R遺伝子産物またはその保存された改変体またはフラグメントの免疫アッセイおよび非免疫アッセイは、典型的には、サンプル(例えば、生体液、組織抽出物、集めたばかりの細胞、またはIGF−1Rまたはその保存された改変体またはペプチドフラグメントに結合可能な、検出可能に標識された結合分子が存在する状態で、培地でインキュベートした細胞溶解物)をインキュベートする工程と、当該技術分野で周知のいずれかの技術によって、結合した結合分子を検出する工程とを含む。
生体サンプルを、固相支持体または担体(例えば、ニトロセルロース)、または細胞、細胞粒子または可溶性タンパク質を固定可能な他の固体支持体と接触させ、固定させてもよい。次いで、支持体を好適なバッファで洗浄した後、検出可能に標識されたIGF−1R特異的な結合分子で処理してもよい。固相支持体を、バッファでもう一度洗浄し、結合していない抗体を除去してもよい。場合により、その後に結合分子を標識する。固体支持体に結合した標識の量を、従来の手段で検出してもよい。
「固相支持体または担体」とは、抗原または抗体が結合可能な任意の支持体を意味する。周知の支持体または担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースおよび改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩およびマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、本発明の目的のために、ある程度可溶性であってもよいし、不溶性であってもよい。支持体材料は、カップリングした分子が抗原または抗体と結合可能な、任意実際に可能な構造であってもよい。したがって、支持体の構造は、球形(例えばビーズ)であってもよく、円筒形(試験管の内側表面のような形)であってもよく、棒の外側表面のような形であってもよい。あるいは、支持体の表面は、シート状、試験片状などのように、平坦であってもよい。 好ましい支持体としては、ポリスチレンビーズが挙げられる。当業者は、結合分子または抗原を結合させるのに好適な多くの他の担体を知っており、通常の実験によってこれを確認するであろう。
所与の多くのIGF−1R特異的な結合分子の結合活性を、周知の方法で決定してもよい。当業者は、通常の実験によって、操作条件と、操作条件を決定するための最適なアッセイ条件を決定することができる。
結合分子−抗原相互作用の親和性を測定するのに利用可能な種々の方法が存在するが、速度定数を決定する方法は、比較的少ない。ほとんどの方法は、結合分子または抗原を標識することによる方法であり、必然的に測定方法が複雑になり、定量の際に誤差が出てしまう。
BIAcoreで行われるような表面プラズモン共鳴(SPR)は、抗体−抗原相互作用の親和性を測定する従来の方法に比べて、以下に示す多くの利点を有する。(i)抗体または抗原を標識する必要がない。(ii)抗体を前もって精製しておく必要がなく、細胞培養物の上澄みを直接使用することができる。(iii)リアルタイムで測定が可能。異なるモノクローナル抗体の相互作用を迅速に半定量的に比較することができ、多くの評価目的にも十分である。(iv)二重特異性表面を作成することができ、一連の異なるモノクローナル抗体を、同一条件下で簡単に比較することができる。(v)分析手順が完全に自動化されており、ユーザの手をわずらわせることなく、多くの測定を行うことができる。BIAapplications Handbook、version AB(1998に増刷)、BIACOREコード番号BR−1001−86;BIAtechnology Handbook,version AB(1998に増刷)、BIACOREコード番号BR−1001−84。
SPRによる結合試験は、結合対の片方をセンサー表面に固定しておくことが必要である。固定した物質をリガンドと呼ぶ。溶液中に存在する方を検体と呼ぶ。いくつかの場合には、リガンドは、別の固定された分子への結合を介し、センサー表面に間接的に接続する。この別の固定された分子を、捕捉分子と呼ぶ。SPRの応答は、検体が結合したり、解離したりするときに、検出器表面で質量濃度が変化することを反映している。
SPRの原理に基づいて、リアルタイムBIAcore測定は、発生した相互作用を直接モニタリングする。この技術は、速度パラメーターを決定するのに適している。競合的な親和性の順位付けは、きわめて簡単な操作であり、センサーグラムのデータから、速度および親和性定数を誘導することができる。
リガンド表面に、検体を何回かに分けて注入する場合、得られたセンサーグラムを、3つの重要な段階に分けることができる。(i)サンプルを注入する際に、検体とリガンドとが会合する段階、(ii)サンプルを注入する際の、平衡状態または定常状態(この状態では、検体の結合速度は、複合体の解離速度とつりあっている)、(iii)バッファを流している間に、表面から検体が解離する段階。
会合段階および解離段階からは、検体−リガンド相互作用の速度論に関する情報が得られる(複合体の生成速度(ka)および解離速度(kd)の比率、kd/ka=KD)。平衡段階からは、検体−リガンド相互作用の親和性に関する情報が得られる(KD)。
BIAevaluationソフトウェアは、数値積分法およびグローバルフィッティングのアルゴリズムを用い、曲線のフィッティングを容易にする包括的なソフトウェアである。単純なBIAcore観察によって、データを好適に分析し、相互作用の分離速度および親和性定数を得ることができる。この技術で測定可能な親和性の範囲は、mMからpMまでの非常に広い範囲である。
エピトープの特異性は、結合分子の重要な特徴である。BIAcoreを用いたエピトープマッピングは、ラジオイムノアッセイ、ELISAまたは他の表面吸着法を用いた従来の技術とは対照的に、抗体を標識したり、精製したりする必要がなく、一連の数種類のモノクローナル抗体を用いた複数箇所での特異性試験を可能にする。さらに、大量の検体を自動的に処理することができる。
ペアワイズ結合実験(pair−wisebinding experiment)は、2種類のMAbが、同じ抗原に同時に結合する能力を試験する。別個のエピトープに向けられる結合分子は、独立して結合し、同じエピトープまたは密接に関連するエピトープに向けられるMAbは、互いの結合を妨害しあう。このようなBIAcoreを用いた結合実験は、実施が簡単である。
例えば、第1の結合分子に結合する捕捉分子を使用した後、抗原および第2の結合分子を連続して加えてもよい。センサーグラムでは、以下のことが明らかになる。1.どのくらいの量の抗原が第1の結合分子に結合するか、2.第2の結合分子が、表面に接続した抗原にどの程度結合するか、3.第2の結合分子が結合しない場合、ペアワイズ試験の順序を入れ替えると、結果が変わるかどうか。
ペプチド阻害は、エピトープマッピングに使用する別の技術である。この方法は、ペアワイズ抗体結合試験と協働して使用することができ、抗原の一次配列が分かっている場合に、エピトープの機能と構造とを関連づけることができる。異なる結合分子が、固定された抗原に結合するのを阻害するかについて、ペプチドまたは抗原フラグメントが試験される。所与の結合分子の結合を妨害するペプチドは、この結合分子で規定されるエピトープに構造的に関連していると予想される。
(XI.医薬組成物および投与方法)
IGF−1Rに特異的な結合分子を調製する方法、および処置の必要な対象に投与する方法は、周知であり、当業者によって簡単に決定される。結合分子の投与経路は、例えば、経口、非経口であってもよいし、吸入または局所投与によるものであってもよい。非経口という用語は、本明細書で使用するとき、例えば、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、または膣内投与を含む。これらのすべての投与形態が、本発明の範囲に含まれることは明らかであるが、1つの投与形態は、注射用溶液、特に静脈注射用または動脈注射用の溶液または液滴となるであろう。通常は、注射に適した医薬組成物は、バッファ(例えば、酢酸バッファ、リン酸バッファまたはクエン酸バッファ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)を含み得、場合により、安定化剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含んでいてもよい。しかし、本明細書の教示に適合する他の方法で、結合分子を、有害な細胞の集合場所に直接送達し、治療薬が罹患組織に届く量を増やしてもよい。
IGF−1Rに特異的な結合分子を調製する方法、および処置の必要な対象に投与する方法は、周知であり、当業者によって簡単に決定される。結合分子の投与経路は、例えば、経口、非経口であってもよいし、吸入または局所投与によるものであってもよい。非経口という用語は、本明細書で使用するとき、例えば、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、または膣内投与を含む。これらのすべての投与形態が、本発明の範囲に含まれることは明らかであるが、1つの投与形態は、注射用溶液、特に静脈注射用または動脈注射用の溶液または液滴となるであろう。通常は、注射に適した医薬組成物は、バッファ(例えば、酢酸バッファ、リン酸バッファまたはクエン酸バッファ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)を含み得、場合により、安定化剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含んでいてもよい。しかし、本明細書の教示に適合する他の方法で、結合分子を、有害な細胞の集合場所に直接送達し、治療薬が罹患組織に届く量を増やしてもよい。
非経口投与用製剤は、滅菌の水溶液または非水溶液、懸濁物およびエマルションを含む。非推計溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用の有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルションまたは懸濁物が挙げられる(塩水および緩衝化媒体を含む)。本発明では、医薬的に許容される担体は、限定されないが、0.01〜0.1M、好ましくは、0.05Mのリン酸バッファ、または0.8%塩水を含む。他の一般的な非経口ビヒクルとしては、リン酸ナトリウム溶液、Ringerデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸化Ringer溶液、または固定油が挙げられる。静脈用ビヒクルとしては、流体および栄養分補給剤、電解質補給剤(例えば、Ringerデキストロース系のもの)などが挙げられる。防腐剤、および例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート化剤および不活性ガスなどの他の添加物が存在してもよい。
さらに具体的には、注射に好適な医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散物、およびその場で滅菌中佐溶液または分散物を調製するための滅菌粉末を含む。このような場合、組成物は、滅菌でなければならず、シリンジで容易に取り扱える程度に流体でなければならない。製造条件下、および貯蔵条件下で、安定でなければならず、好ましくは、細菌類および真菌類のような微生物が混入しないように防腐処理がされている。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体のポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの好適な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。例えば、レシチンのようなコーティングを使用することによって、分散物の場合には所望の粒径を維持することによって、界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。本明細書で開示した治療方法で使用するのに好適な配合物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、第16版(1980)に記載されている。
種々の抗菌剤および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを用い、微生物の作用を防ぐことができる。多くの場合、等張性薬剤(例えば、糖類、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウム)を組成物に含むことが好ましい。吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物に加えることによって、注射用組成物の吸収を遅らせることができる。
いかなる場合でも、滅菌注射溶液は、所望な量の適切な溶媒中、活性化合物(例えば、本発明の結合分子)自体を、本明細書に列挙した1つ以上の成分と組み合わせ、必要な場合には、滅菌濾過することによって調製することができる。一般的に、分散物は、活性化合物を滅菌ビヒクルに組み合わせることによって調製され、分散物には、塩基性分散媒体と、上に列挙した必要な他の成分とを含有する。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、減圧乾燥および凍結乾燥であり、活性成分と、あらかじめ滅菌濾過しておいた溶液から得た所望な成分とを含む粉末を得る。注射用製剤を加工し、容器(例えば、アンプル、袋、瓶、シリンジまたはバイアル)に入れ、当該技術分野で既知の方法にしたがって無菌状態で密閉する。 さらに、製剤を包装し、同時係属中のU.S.S.N.09/259,337(US−2002−0102208 A1、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるようなキットの形態で販売してもよい。このような製造物品には、好ましくは、この組成物が、自己免疫障害または新生物性障害を患う患者、またはこのような障害を患うおそれがあると診断された患者の治療に有用であることを示すラベルまたは添付物が入っていてもよい。
本明細書に記載の過剰増殖性障害を治療するのに有効な本発明の組成物の投薬量は、投与手段、標的部位、患者の生理的な状態、患者がヒトであるか動物であるか、投薬中の他の医用薬剤、予防であるか治療であるかを含む多くの異なる因子によってさまざまである。通常は、患者はヒトであるが、トランスジェニック動物を含む非ヒト哺乳動物を治療してもよい。治療に使う投薬量は、当業者がよく知っている安全性および効力を最適化する一般的な方法を用いて決めてもよい。
抗体または抗体フラグメントを用いて過剰増殖性障害を治療する場合、投薬量は、例えば、宿主の体重1kgあたり、約0.0001〜100mg/kg、さらに一般的には0.01〜5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)であり得る。例えば、投薬量は、体重1kgあたり、1mg/kgまたは10mg/kgであってもよく、または1〜10mg/kg、好ましくは少なくとも1mg/kgであってもよい。上述の範囲に含まれる中間的な値も、本発明の範囲に入ることを意図している。対象に、このような投薬量を毎日、1日おき、週に1回、または経験的な判断によって決定した任意の他の間隔で投与してもよい。治療の例には、長期間にわたる複数回の投与、例えば、少なくとも6カ月にわたる投与も当然含む。治療計画のさらなる例には、2週間に1回、または1カ月に1回、または3〜6カ月に1回の投与も含む。投薬計画の例としては、1〜10mg/kgまたは15mg/kgを毎日連続投与、30mg/kgを1日おきに投与、または60mg/kgを週に1回投与する計画も含まれる。いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2つ以上のモノクローナル抗体を同時に投与し、この場合、投与されるそれぞれの抗体の投薬量は、上に記載の範囲内である。
本明細書に開示したIGF−1Rに特異的な結合分子を、複数回投与してもよい。1種類の投薬の間隔は、週に1回、月に1回、または年に1回であってもよい。投薬間隔は、不規則であってもよく、患者の標的ポリペプチドまたは標的分子の血中濃度を測定することによって調整してもよい。いくつかの方法では、投薬量は、血漿ポリペプチド濃度が1〜1000μg/mlになるように、いくつかの場合、25〜300μg/mlになるように調節する。あるいは、結合分子を徐放性配合物として投与してもよい。この場合、必要とされる投与頻度はより少なくなる。投薬量および投薬頻度は、患者における抗体の半減期によって変わる。結合分子の半減期は、安定なポリペプチドまたは安定な部分(例えば、アルブミンまたはPEG)に融合させることによって長できる。一般的に、ヒト化抗体は、半減期が最も長く、次いでキメラ抗体および非ヒト抗体である。ある実施形態では、本発明の結合分子は、コンジュゲートしていない形態で投与されてもよい。別の実施形態では、本明細書に開示した方法で使用する結合分子は、コンジュゲートした形態で複数回投与されてもよい。さらに別の実施形態では、本発明の結合分子は、コンジュゲートしていない形態で投与し、次いでコンジュゲートしている状態で投与してもよいし、逆の順序で投与してもよい。
投薬量および投薬頻度は、治療であるか予防であるかによっても変わり得る。予防用途の場合、抗体またはその混合物を含む組成物を、まだその疾患の症状が出ていない、または前症状患者に投与し、その疾患への抵抗力をつける。このような場合の量は、「予防に効果的な投薬量」と定義される。この用途でも、正確な量は、患者の健康状態および全身の免疫状態によって変わるが、一般的には、1回の投薬あたり0.1〜25mgであり、特に、1回の投薬あたり0.5〜2.5mgである。長期間にわたって、比較的不定期に、比較的少ない量を投与する。中には、残りの人生ずっと患者に投与し続ける場合もある。
治療用途の場合、比較的多い量(例えば、結合分子(例えば、抗体)を1回の投薬あたり約1〜400mg/kg、放射線免疫複合体の場合、5〜25mg、細胞毒−薬物コンジュゲート分子の場合には、これより多い量)を比較的短い間隔で、疾患の進行が遅くなるか、または抑えられるまで、好ましくは、患者が疾患の症状が部分的または完全に軽快したと申告するまで、必要な回数投与する必要がある場合がある。その後、予防計画に沿って患者に投与してもよい。
ある実施形態では、対象を、IGF−1Rに特異的な抗体または免疫特異的なフラグメントをコードする核酸分子(例えば、ベクターに入っている)で治療してもよい。ポリペプチドをコードする核酸の投薬量は、患者あたり、DNA約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、または30〜300μgである。感染ウイルスベクターの投薬量は、1回の投薬あたり、ビリオンを10〜100、またはそれ以上である。
治療薬を、予防および/または治療のために、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、経鼻または筋肉に投与してもよい。いくつかの方法では、IGF−1Rを発現する細胞が集まっている特定の組織に薬剤を直接注射する(例えば、頭蓋内注射)。抗体を投与する場合、筋肉内注射または静脈内注射が好ましい。いくつかの方法では、特定の治療用抗体を、頭蓋に直接注射する。いくつかの方法では、抗体を徐放性組成物または徐放性デバイスとして投与する(例えば、MedipadTMデバイス)。
IGF−1R結合分子は、場合により、治療(例えば、予防または治療)の必要な障害または状態に有効な他の薬剤と組み合わせて投与される。
90Y標識した結合ポリペプチドの効果的な1回の投薬量(すなわち、治療に有効な量)は、約5〜約75mCi、さらに好ましくは約10〜約40mCiである。131I標識した抗体を、骨髄を切除しないで投薬する1回の有効投薬量は、約5〜約70mCi、さらに好ましくは約5〜約40mCiである。骨髄を切除して投薬する場合(すなわち、骨髄の自己移植が必要な場合)の、131I標識した抗体の有効投薬量は、約30〜約600mCi、さらに好ましくは約50〜約500mCi未満である。キメラ抗体と組み合わせる場合、対応するマウス抗体よりも血中半減期が長いため、131I標識したキメラ抗体を、骨髄を切除しないで投薬する1回の有効投薬量は、約5〜約40mCi、さらに好ましくは、約30mCi未満である。例えば、111In標識の造影基準は、典型的には、約5mCi未満である。
131Iおよび90Yについてきわめて多くの臨床例が得られているが、他の放射性標識も当該技術分野で知られており、同様の目的で使用される。さらなる他の放射性同位体も造影に使用される。例えば、本発明の範囲で適合するさらなる放射性同位体としては、限定されないが、123I、125I、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Br、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、203Pb、206Bi、177Lu、186Re、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、153Sm、188Re、199Au、225Ac、211Atおよび213Biが挙げられる。この観点で、α放射体、γ放射体およびβ放射体のいずれも本発明に適している。さらに、本開示の観点から、当業者は、過度の実験をすることなく、選択した一連の治療にどの放射性核種が適しているのかを簡単に決定することができるであろう。この目的のために、臨床診断で既に使用されているさらなる放射性核種としては、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Gaおよび111Inが挙げられる。標的への免疫治療で使用するために、種々の放射性核種で抗体を標識する(Peirerszら、Immunol.Cell Biol.65:111−125(1987))。これらの放射性核種としては、あまり頻度は高くないが、188Reおよび186Re、および199Auおよび67Cuが挙げられる。 米国特許第5,460,785号は、このような放射性同位体に関するさらなるデータを提供しており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示したIGF−1Rに特異的な結合分子を、コンジュゲートした形態で使用するか、またはコンジュゲートしていない形態で使用するかによらず、本発明の主な利点は、この化合物を骨髄抑制状態の患者、特に、放射線治療または化学療法のような補助療法を受けているか、または過去に受けた患者に使用可能であることが理解されるであろう。すなわち、この分子が、有益な送達プロフィールを有しているため(すなわち、血清残存時間が比較的短い、結合親和性が高い、局所性が高い)、骨髄予備能が低い患者および骨髄毒性に感受性が高い患者を治療するのに特に有用である。この観点から、この分子が固有の送達プロフィールを有しているため、骨髄抑制状態の癌患者に対し、放射能標識したコンジュゲートを投与することがきわめて有効である。このように、本明細書で開示したIGF−1Rに特異的な結合分子は、外部からの放射線照射または化学療法のような補助療法を過去に受けた患者に、コンジュゲートしている形態またはコンジュゲートしていない形態で有用である。他の好ましい実施形態では、本発明の結合分子(コンジュゲートしている形態またはコンジュゲートしていない形態)を、化学治療薬を用いた化学療法との組み合わせ治療で使用してもよい。当業者は、このような治療計画で、開示した抗体または他の結合分子と、1つ以上の化学治療薬とを連続的に、同時に、一緒に、またはともに投与すしてもよい。本発明のこの態様で特に好ましい実施形態は、放射能標識した結合ポリペプチドの投与を含む。
IGF−1Rに特異的な結合分子を前段落で説明したように投与することができるが、他の実施形態では、コンジュゲートしているか、またはコンジュゲートしていない結合分子を、第1の治療薬として、それ以外の健康な患者に投与してもよいことを強調しておく。このような実施形態では、結合分子を、骨髄予備能が正常または平均的な患者、および/または外部からの放射線照射または化学療法のような補助療法を受けたことがなく、現在受けていない患者に投与してもよい。しかし、上述のように、本発明の所定の実施形態は、骨髄抑制状態の患者に、IGF−1Rに特異的な抗体または免疫特異的なフラグメントを投与する工程、または放射線治療または化学療法のような1つ以上の補助療法と組み合わせて、IGF−1Rに特異的な結合分子を投与する(すなわち、組み合わせ治療)工程を含む。本明細書で使用するとき、IGF−1Rに特異的な結合分子を、補助療法とあわせて、または補助療法と組み合わせて投与するとは、補助療法の投与または適用と、開示した結合分子の投与または適用とを連続的に、同時に、一緒に、またはともに行うことを意味する。当業者は、組み合わせ治療の種々の要素の投与または適用を、全体的な治療が有効に働くように時間を調節してもよいことを理解するであろう。例えば、本明細書に記載の放射免疫複合体を投与してから数週間以内に、化学治療薬を、標準的な、周知の一連の治療形態で投与してもよい。逆に、細胞毒にコンジュゲートした結合分子を、静脈内投与した後、腫瘍部位に局所的に外側から放射線を照射してもよい。さらに他の実施形態では、1回の通院で、結合分子を、1つ以上の選択した化学治療薬と同時に投与してもよい。当業者(例えば、経験豊富な癌専門医)は、選択した補助療法および本明細書の教示に基づいて、過度な実験をすることなく、有効な組み合わせ治療計画を作ることができる。
この観点で、結合分子(細胞毒を含んでいても、含んでいなくてもよい)と、化学治療薬との組み合わせを、患者にとって有益な治療になるように、任意の順序、任意の期間で投与してもよい。すなわち、化学治療薬と、IGF−1Rに特異的な結合分子とを、任意の順序で、または同時に投与してもよい。所定の実施形態では、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を、すでに化学療法を受けた患者に投与する。さらに他の実施形態では、本発明のIGF−1Rに特異的な抗体を、化学治療薬を用いた治療と実質的に同時に、または同時に投与する。例えば、患者は、化学療法を受けている最中に、結合分子を摂取してもよい。好ましい実施形態では、結合分子を、任意の化学治療薬または治療から1年以内に投与する。他の好ましい実施形態では、ポリペプチドを、任意の化学治療薬または治療から10カ月、8カ月、6カ月、4カ月、または2カ月以内に投与する。さらに他の好ましい実施形態では、結合分子を、任意の化学治療薬または治療から4週間、3週間、2週間、または1週間以内に投与する。さらに他の実施形態では、結合分子を、任意の化学治療薬または治療から5日、4日、3日、2日または1日以内に投与する。2種類以上の薬剤または治療を、数時間以内または数分以内(すなわち、実質的に同時に)患者に投与してもよいことも理解されるであろう。
さらに、本発明によれば、骨髄抑制状態の患者とは、血球数が低下している任意の患者も意味する。当業者は、骨髄抑制状態の臨床的な指標として従来から使用してきたいくつかの血球数のパラメーターが存在し、患者がどの程度の骨髄抑制状態にあるかを簡単に測定することができることを理解するであろう。骨髄抑制状態の測定法として受け入れられている方法の例は、Absolute Neutrophil Count(ANC)または血小板の計測法である。このような骨髄抑制状態または部分的な骨髄抑制状態は、種々の生化学的な障害または疾患の結果として起こることもあり、化学療法または放射線治療の結果として起こることが多い。この観点で、当業者は、一般的な化学療法を受けた患者で、典型的には、骨髄予備能が低下するということを理解するであろう。上述のように、このような対象は、死亡率や罹患率を高める貧血または免疫抑制状態といった受け入れられない副作用のために、最適量の細胞毒(すなわち、放射性核種)を用いて治療することができない場合が多い。
より具体的には、コンジュゲートされたか、またはコンジュゲートされていない本発明のIGF−1Rに特異的な抗体結合分子を使用し、ANCが約2000/mm3未満、または血小板数が150,000/mm3未満の患者を有効に治療することができる。さらに好ましくは、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を使用し、ANCが約1500/mm3未満、または約1000/mm3未満、さらに好ましくは約500/mm3未満の患者を有効に治療することができる。同様に、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を使用し、血小板数が約75,000/mm3未満、または約50,000/mm3未満、さらに約10,000/mm3未満の患者を有効に治療することができる。さらに一般的な意味で、当業者は、患者が骨髄抑制状態にある場合、政府の実施ガイドラインおよび手順を用い、容易に決定することができる。
上述のように、多くの骨髄抑制状態の患者は、化学療法、移植による放射線治療または外部からの放射線治療を含む一連の治療を受けている。外部からの放射線治療の場合、この外部の放射線源は、悪性細胞に局所的に照射するものである。移植による放射線治療の場合、手術によって、放射性試薬を悪性細胞に入れ、疾患部位に選択的に照射する。いかなる場合でも、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を使用して、原因にかかわらず、骨髄抑制状態を示す患者の障害を治療することができる。
この観点では、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を、任意の化学治療薬または薬剤と合わせて、または組み合わせて使用し(例えば、組み合わせ治療計画を提供し)、インビボで新生物細胞の成長を止めるか、成長を遅らせるか、成長を阻害するか、または成長を制御してもよいことも理解されるであろう。上述のように、このような薬剤は、骨髄予備能を低下させることが多い。このような患者の新生物を積極的に治療可能な利点を有する本発明の化合物の骨髄毒性を減らすことによって、骨髄予備能の低下を、全体的または部分的に相殺し得る。他の実施形態では、本明細書に開示した、放射能標識した免疫複合体を、放射性核種に対する新生物細胞の感受性を高める放射線増感剤として有効に使用することができる。例えば、放射能標識した結合分子が、血流にほとんど存在しなくなった後、腫瘍部位には治療に有効な濃度でとどまっている時点で、放射線増感剤を投与してもよい。
本発明のこのような態様では、本発明に適合する化学治療薬の例としては、アルキル化剤、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、プロカルバジン、メトトレキサートおよびプレドニゾンが挙げられる。これらの4種類の薬物の組み合わせであるMOPP(メクレタミン(mechlethamine)(ナイトロジェンマスタード)、(オンコビン)、プロカルバジンおよびプレドニゾン)は、さまざまなリンパ腫を治療するのにきわめて有効であり、本発明の好ましい実施形態を成す。耐MOPP性の患者では、ABVD(例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン(dacarbazine))、ChlVPP(クロラムブシル(chlorambucil)、ビンブラスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)、CABS(ロムスチン(lomustine)、ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびストレプトゾトシン(streptozotocin))、MOPP+ABVD、MOPP+ABV(ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびビンブラスチン)またはBCVPP(カルムスチン(carmustine)、シクロホスファミド、ビンブラスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)の組合せが使用できる。Arnold S.Freedman and Lee M.Nadler,Malignant Lymphomas、Harrison’s Principles of Internal Medicine 1774−1788(Kurt J.Isselbacherら編、第13版、1994)およびV.T.DeVitaら、J.Clin.Oncol.、15:867−869(1997)、および標準的な投薬および計画に関する引用文献。これらの治療をそのまま用いてもよいし、本発明の1つ以上のIGF−1Rに特異的な抗体または免疫特異的なフラグメントと組み合わせて、特定の患者の必要に応じて変更して使用してもよい。
本発明において有用なさらなる治療法は、シクロフォスファミドもしくはクロラムブシルのような単一のアルキル化剤、またはCVP(シクロフォスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、CHOP(CVPおよびドキソルビシン)、C−MOPP(シクロフォスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン)、CAP−BOP(CHOP+プロカルバジンとブレオマイシン)、m−BACOD(CHOP+メトトレキサート、ブレオマイシンおよびロイコボリン(leucovorin))、ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロフォスファミド、エトポシドおよびロイコボリン+標準的MOPP)、ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロフォスファミド、エトポシド、シタラビン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、メトトレキサートおよびロイコボリン)およびMACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロフォスファミド、ビンクリスチン、固定服用量プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)などの組合せの使用を含む。当業者は上述のそれぞれの治療法について容易に標準的な投薬量および投薬計画を決定できるであろう。CHOPは、ブレオマイシン、メトトレキサート、プロカルバジン、ナイトロジェンマスタード、シトシンアラビノシッドおよびエトポシドと組み合わせても用いられている。他の適合する化学療法剤としては、限定されないが、2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)、2’−デオキシコフォルマイシンおよびフルダラビンが挙げられる。
悪性度が中程度から高度の患者については、寛解していないか、または再発している場合、サルベージ治療が使用される。サルベージ治療は、シトシンアラビノシド、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドおよびイホスファミドなどの薬剤を単独で、または組み合わせて使用する。ある種の新生物障害の再発した形態または進行中の形態では、以下のプロトコルを使用することが多い。IMVP−16(イホスファミド、メトトレキサートおよびエトポシド)、MIME(メチル−ギャグ(methyl−gag)、イホスファミド、メトトレキサートおよびエトポシド)、DHAP(デクサメタゾン、高用量シタラビンおよびシスプラチン)、ESHAP(エトポシド、メチルプレディゾロン(methylpredisolone)、HDシタラビン、シスプラチン)、CEPP(B)(シクロフォスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン)、およびCAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン)。いずれも、周知の投薬速度および投薬計画で行う。
本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子と組み合わせて使用する化学治療薬の量は、対象によってさまざまであり、または当該技術分野で知られている方法にしたがって投与されてもよい。 例えば、Bruce A Chabnerら、Antineoplastic Agents、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 1233−1287(Joel G.Hardmanら編、第9版(1996)を参照)。
別の実施形態では、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を、生物製剤と組み合わせて投与する。癌治療に有用な生物製剤は、当該技術分野で知られており、本発明の結合分子を、例えば、このような既知の生物製剤と組み合わせて投与してもよい。
例えば、FDAは、乳癌の治療に、以下の生物製剤を承認している。ハーセプチン(R)(トラスツズマブ、Genentech Inc.(カリフォルニア州南サンフランシスコ;HER2陽性の乳癌において抗腫瘍活性を有するヒト化モノクローナル抗体);Faslodex(R)(フルベストラント、AstraZeneca Pharmaceuticals,LP(デラウエア州ウィルミントン);乳癌治療に使用するエストロゲン受容体アンタゴニスト);Arimidex(R)(アナストロゾール、AstraZeneca Pharmaceuticals,LP;エストロゲンを作るのに必要なアロマターゼをブロックする非ステロイド系アロマターゼ阻害剤);Aromasin(R)(エキセメスタン、Pfizer Inc.(ニューヨーク州ニューヨーク);乳癌治療に使用する不可逆性ステロイド系アロマターゼ不活化剤);Femara(R)(レトロゾール、Novartis Pharmaceuticals(ニュージャージー州イーストハノーバー);FDAが承認した乳癌治療用の非ステロイド系アロマターゼ阻害剤);およびNolvadex(R)(タモキシフェン、AstraZeneca Pharmaceuticals,LP;FDAが承認した乳癌治療用の非ステロイド系抗エストロゲン薬)。本発明の結合分子を組み合わせてもよい他の生物製剤としては、以下のものが挙げられる。AvastinTM(ベバシズマブ、Genentech Inc.;最初にFDAが承認した、血管形成を阻害するように設計された治療薬);およびZevalin(R)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen Idec(マサチューセッツ州ケンブリッジ;放射能標識したモノクローナル抗体、現時点では、B細胞リンパ腫の治療薬として承認されている)。
これに加え、FDAは、直腸癌の治療に、以下の生物製剤を承認している。AvastinTM;ErbituxTM(セツキシマブ、ImClone Systems Inc.(ニューヨーク州ニューヨーク)、およびBristol−Myers Squibb(ニューヨーク州ニューヨーク);これは、上皮成長因子受容体(EGFR)に対するモノクローナル抗体である);Gleevec(R)(メシル酸イマチニブ;タンパク質キナーゼ阻害剤);およびErgamisol(R)(塩酸レバミゾール、Janssen Pharmaceutica Products,LP(ニュージャージー州タイタスビル);FDAによって1990年に承認された免疫修飾物質、Dukes’ tage C結腸癌患者の外科切除後に、5−フルオロウラシルと組み合わせた治療のアジュバントとして)。
非ホジキンリンパ腫の治療で使用する場合、現時点で承認されている治療薬としては、以下のものが挙げられる。Bexxar(R)(トシツモマブおよびヨウ素 I−131トシツモマブ、GlaxoSmithKline,Research Triangle Park, NC;放射能活性分子(ヨウ素I−131)に結合したマウスモノクローナル抗体(トシツモマブ)が関与する多段階治療);Intron(R)A(インターフェロンα−2b、Schering Corporation(ニュージャージー州ケニルワース;アントラサイクリンを含有する組み合わせ化学療法(例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン[CHOP])と組み合わせて使用する、小胞非ホジキンリンパ腫の治療で承認されたインターフェロンの一種);Rituxan(R)(リツキシマブ、Genentech Inc.(カリフォルニア州ミナミサンフランシスコ)、およびBiogen Idec(マサチューセッツ州ケンブリッジ);非ホジキンリンパ腫の治療で承認されたモノクローナル抗体;Ontak(R)(デニロイキンジフチトクス、Ligand Pharmaceuticals Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ);インターロイキン−2に遺伝的に融合したジフテリア毒素のフラグメントからなる融合タンパク質);およびZevalin(R)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen Idec;B細胞非ホジキンリンパ腫の治療でFDAが承認した、放射能標識したモノクローナル抗体)。
白血病の治療で使用する場合、本発明の結合分子と組み合わせて使用可能な生物製剤の例としては、以下のものが挙げられる。Gleevec(R);Campath(R)−1H(アレムツズマブ、Berlex aboratories(カリフォルニアシュウリッチモンド);慢性リンパ性白血病の治療で使用するモノクローナル抗体の一種)。さらに、Genasense(オブリメルセン、Genta Corporation(ニュージャージー州バークレーヘイツ(Berkley Heights));白血病を治療するための開発において、使用可能なBCL−2アンチセンス治療(例えば、単独で、またはフルダラビンおよびシクロホスファミドのような1つ以上の化学治療薬と組み合わせて)を、特許請求の範囲に記載の結合分子とともに投与してもよい。
肺癌を治療する場合、生物製剤の例としては、TarcevaTM(エルロチニブHCL、OSI Pharmaceuticals Inc.(ニューヨーク州メルビル);ヒト上皮成長因子受容体1(HER1)の経路を標的とするように設計された小分子)が挙げられる。
多発性骨髄腫を治療する場合、生物製剤の例としては、Velcade(R)Velcade(ボルテゾミブ、Millennium Pharmaceuticals(マサチューセッツ州ケンブリッジ);プロテアソーム阻害剤)が挙げられる。さらなる生物製剤としては、Thalidomid(R)(サリドマイド、Clegene Corporation(ニュージャージー州ウォレン);免疫修飾剤、骨髄腫細胞の成長および生存を阻害する能力、抗血管形成能力を含む複数の作用を有すると考えられている)が挙げられる。
他の生物製剤の例としては、ImClone Systems,Inc.(ニューヨーク州ニューヨーク)で開発されたMOAB IMC−C225が挙げられる。
すでに記載したように、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子またはその組み合わせを、哺乳動物の過剰増殖性障害をインビボで治療するための医用薬剤として有効な量で投与してもよい。この観点で、開示した結合分子を、投与しやすく、活性薬剤の安定性を高めるように配合してもよいことが理解されるであろう。好ましくは、本発明の医薬組成物は、医用薬剤として許容される、毒性のない滅菌担体(例えば、生理食塩水、非毒性バッファ、防腐剤など)を含む。本発明の適用のために、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子、またはその組み換え体の医用薬剤(コンジュゲートしていない状態で、または治療薬とコンジュゲートした状態)として有効な量とは、標的に有効に結合させ、利益を得る(例えば、疾患または障害の症状を軽減し、または基質または細胞を検出する)のに十分な量である。腫瘍細胞の場合、結合分子は、好ましくは、新生物細胞または免疫反応性細胞(例えば、新生物細胞に関連する血管細胞)で、所定の免疫反応性の抗原と相互作用し、これらの細胞の死滅率を高めることができる。もちろん、本発明の医薬組成物を、医用薬剤として有効量の結合分子を提供するような用量で、1回または複数回投与してもよい。
本開示の範囲内で、本発明のIGF−1Rに特異的な結合分子を、治療効果または予防効果を得るのに十分な量で、上述の治療方法にしたがって、ヒトまたは他の動物に投与することができる。本発明のIGF−1Rに特異的な抗体結合分子を、既知の技術に従って、本発明の抗体と、従来の医薬的に許容される担体または希釈剤とを混合することによって調製される従来の投薬形態で、ヒトまたは他の動物に投与することができる。医薬的に許容される担体または希釈剤の形態および性質が、組み合わせる活性成分の量、投与経路および他の周知の変数によって示されることを、当業者は理解するであろう。当業者は、本発明の1種以上の結合分子を含む混合物が、特に有効であると判明し得ることも理解するであろう。
本発明の実施は、他の意味であると示されていない限り、細胞生物学、細胞培養学、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換えDNAおよび免疫学の一般的な技術を利用しており、これらの技術は、当該技術分野の専門技術の範囲内である。このような技術は、文献に完全に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版、Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press:(1989);Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Maniatisら編、Cold Springs Harbor Laboratory、New York(1982)、DNA Cloning、D.N.Glover編、Volumes I and II(1985);Oligonucleotide Synthesis、M.J.Gait編(1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization、B.D.Hames & S.J.Higgins編(1984);Transcription And Translation、B.D.Hames & S.J.Higgins編(1984);Culture Of Animal Cells、R.I.Freshney、Alan R.Liss,Inc.(1987);Immobilized Cells And Enzymes、IRL Press(1986);B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);論文Methods In Enzymology、Academic Press,Inc.、N.Y.;Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells、J.H.Miller and M.P.Calos編、Cold Spring Harbor Laboratory(1987);Methods In Enzymology,Vols.154 and 155(Wuら編);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology、Mayer and Walker編、Academic Press、London(1987);Handbook Of Experimental Immunology、Volumes I−IV、D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編(1986);Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1986);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland(1989)を参照。
抗体の遺伝子操作に関する一般的な原理は、Antibody Engineering、第2版、C.A.K.Borrebaeck編、Oxford Univ.Press(1995)に記載されている。タンパク質の遺伝子操作に関する一般的な原理は、Protein Engineering、A Practical Approach、Rickwood,D.ら編、IRL Press at Oxford Univ.Press,Oxford,Eng.(1995)に記載されている。抗体および抗体−ハプテン結合の一般的な原理は、Nisonoff,A.、Molecular Immunology、第2版、Sinauer Associates、Sunderland、MA(1984);およびSteward,M.W.、Antibodies,Their Structure and Function,Chapman and Hall,(ニューヨーク州ニューヨーク)(1984)に記載されている。さらに、当該技術分野で既知の免疫学の標準的な方法、および特定的にではなく記載されている方法は、一般的に、Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons、New York;Stitesら(編)、Basic and Clinical−Immunology(第8版)、Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994) and Mishell and Shiigi(編)、Selected Methods in Cellular Immunology、W.H. Freeman and Co.、New York(1980)に記載されている。
免疫学の一般的な原理を記載している標準的な参考文献としては、以下のものが挙げられる。Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons、New York;Klein,J.、Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination、John Wiley & Sons、New York(1982);Kennett,R.ら編、Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses, Plenum Press,New York(1980);Campbell,A.、「Monoclonal Antibody Technology」、Burden,R.ら編、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Vol.13、Elsevere,Amsterdam(1984)、Kuby Immunology 4th ed.Ed.Richard A.Goldsby、Thomas J.KindtおよびBarbara A.Osborne,H.Freemand & Co.(2000);Roitt,I.、Brostoff,J.およびMale D.、Immunology 6th ed.London:Mosby(2001);Abbas A.、Abul,A.およびLichtman,A.、Cellular and Molecular Immunology Ed.5、Elsevier Health Sciences Division(2005);KontermannおよびDubel、Antibody Engineering、Springer Verlan(2001);Sambrook and Russell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Press(2001);Lewin,Genes VIII,Prentice Hall(2003);Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988);Dieffenbach and Dveksler、PCR Primer Cold Spring Harbor Press(2003)。
上に引用した参考文献、およびそこに引用されている参考文献はすべて、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。さらに、本発明のさらなる態様を、配列リスト部分および図面に記載している。
(実施例1 M13.C06抗体は、他の阻害性の抗IGF−1R抗体とは別個のエピトープを認識する)
交差競合による抗体結合試験を行い、M13.C06.G4.P.aglyのIGF−1R抗体結合エピトープと、他のIGF−1R抗体とを比較した。See, Figure 11. Unlabeled competitor antibodies were analyzed for their ability to cross−compete with five different labeled antibodies for binding to soluble IGF−1R.使用した5種類の標識された抗体は、ビオチン標識されたM13.C06.G4.P.agly(「Biotin−C06」)、ビオチン標識されたM14−G11(「Biotin−G11」)、ゼノン標識したP1B10−1A10(「Zenon−O」)、ゼノン標識した20C8−3B4(「Zenon−M」)またはゼノン標識したIR3抗体(「Zenon−IR3」)であった。図11を参照。Pierce Chemical(番号21335)製ビオチン化キットで、抗体をビオチンで標識した。ゼノン標識は、Molecular Probes製ZenonマウスIgG標識キット(Z25000)で行った。
交差競合による抗体結合試験を行い、M13.C06.G4.P.aglyのIGF−1R抗体結合エピトープと、他のIGF−1R抗体とを比較した。See, Figure 11. Unlabeled competitor antibodies were analyzed for their ability to cross−compete with five different labeled antibodies for binding to soluble IGF−1R.使用した5種類の標識された抗体は、ビオチン標識されたM13.C06.G4.P.agly(「Biotin−C06」)、ビオチン標識されたM14−G11(「Biotin−G11」)、ゼノン標識したP1B10−1A10(「Zenon−O」)、ゼノン標識した20C8−3B4(「Zenon−M」)またはゼノン標識したIR3抗体(「Zenon−IR3」)であった。図11を参照。Pierce Chemical(番号21335)製ビオチン化キットで、抗体をビオチンで標識した。ゼノン標識は、Molecular Probes製ZenonマウスIgG標識キット(Z25000)で行った。
この分析結果から、M13.C06.G4.P.agly抗体およびM14.C03.G4.P.agly抗体は、IGF−1Rの同じ領域または類似した領域に結合し、試験したすべての他の抗体とは異なっていることが分かる。特に、ビオチン標識されたM13.C06.G4.P.agly抗体は、標識されていないM13.C06.G4.P.aglyまたは標識されていないM14.C03.G4.P.aglyがIGF−1Rに結合するのと、効果的に競合した。M13.C06.G4.P.aglyは、十分に研究され尽くしたIR3抗体とは交差競合しないことも注目に値する。したがって、この2種類の抗体は、特に、異なるIGF−1Rエピトープに結合する。
(実施例2 M13.C06抗体が、FnIII−1ドメインのN末端に結合し、IGF−1Rに対する、IGF−1およびIGF−2の結合親和性をアロステリック効果によって低下させる)
a.方法:
i.M13−C06抗体存在下、および非存在下での、IGF−1/IGF−1Rの結合実験
数種類の構築物を使用し、IGF−1R受容体またはインスリン受容体、ヒトIGF−1R(1−902)−His10(hIGF−1R−His10と示されている、R&D systems製)、ヒトINSR(28−956)−His10(INSRと示されている、R&D systems製)、ヒトIGF−1R(1−903)−Fc(hIGF−1R−Fcと示されている、Biogen Idec製)、ヒトIGF−1R(1−462)−Fc(hIGF−1R(1−462)−Fcと示されている、Biogen Idec製)およびマウスIGF−1R(1−903)−Fc(mIGF−1R−Fcと示されている、Biogen Idec製)に対する抗体/IGF−1の結合を観察した。「His10」は、構築物のC末端に10のヒスチジン残基タグがあることを示している。「Fc」は、C末端にあるヒトIgG1−Fc タグを示す。
a.方法:
i.M13−C06抗体存在下、および非存在下での、IGF−1/IGF−1Rの結合実験
数種類の構築物を使用し、IGF−1R受容体またはインスリン受容体、ヒトIGF−1R(1−902)−His10(hIGF−1R−His10と示されている、R&D systems製)、ヒトINSR(28−956)−His10(INSRと示されている、R&D systems製)、ヒトIGF−1R(1−903)−Fc(hIGF−1R−Fcと示されている、Biogen Idec製)、ヒトIGF−1R(1−462)−Fc(hIGF−1R(1−462)−Fcと示されている、Biogen Idec製)およびマウスIGF−1R(1−903)−Fc(mIGF−1R−Fcと示されている、Biogen Idec製)に対する抗体/IGF−1の結合を観察した。「His10」は、構築物のC末端に10のヒスチジン残基タグがあることを示している。「Fc」は、C末端にあるヒトIgG1−Fc タグを示す。
ヒトIGF−1をMilliporeから購入した。表面プラズモン共鳴(SPR)を用い、hIGF−1R−His10に対するIGF−1の親和性を決定した。ビオチン標識した抗−His Tag抗体(ビオチン−PENTA−His、Qiagen カタログ番号34440)を、Biacore SAチップ(カタログ番号BR−1000−32)表面にHBS−EPバッファとともに500nMで注入し、飽和状態で固定した。それぞれのセンサーグラムで、hIGF−1R−His10を、ビオチン−PENTA−His表面に40nMタンパク質20μLを2μL/分で注入し、捕捉した。hIGF−1R−His10を注入した後、流速を20μL/分まで上げた。IGF−1を含有する注入液130μLを再び注射し、成長ホルモンとこの受容体との相互作用を観察した。IGF−1を64nMから0.4nMまで段階的に希釈して、濃度に依存する結合速度曲線を作成した。それぞれの注入後に、10mMアセテート(pH4.0)を20μL/分で3回、10μL注入して再生した。それぞれの曲線について、リファレンスは、(1)PENTA−His抗体を加えない状態で、ストレプトアビジン表面で得たデータと、(2)1回目にhIGF−1R−His10を注入した後、HBS−EPバッファを2回目に注入するときに得たデータの2つであった。IGF−1の一連の濃度は、製造業者のBiaEvaluationソフトウェアに入っている1:1結合モデルに合わせた。2セットのデータを得た。うち1つは、試験バッファ中、hIGF−1R−His10注入バッファ中、およびIGF−1注入バッファ中に400nM M13−C06が存在しない場合、もう1つは、400nM M13−C06が存在する場合であった。
ii.IGF−1/IGF−1R/M13−C06抗体の産生分複合体のプルダウン分析およびウェスタンブロット分析
1.5mLのエッペンドルフ管中、プロテインA/Gビーズ(300μL、Pierce カタログ番号20422)を再び懸濁させ、1×PBSで洗浄し、1.0mgのM13−C06と合わせ、ロータリーシェーカーで、室温で2時間混合した。別の管に、12μgのhIGF−1R−His10(R&D systems)および460ngのヒトIGF−1(Chemicon International カタログ番号GF006)を室温で1時間混合した(タンパク質:タンパク質比率は1:1)。M13−C06が結合したプロテインA/GをPBSで洗浄し、hIGF−1R−His10/IGF−1混合物を室温で30分間インキュベートした。タンパク質が結合したプロテインA/GをPBSで洗浄した後、結合したタンパク質を100mM グリシン300μL(pH3.0)で溶出させた。ネガティブコントロールには、12μgのヒトIGF−1R(1−902)−His10を加えなかった。抗−ヒトIGF−1抗体(ウサギ抗−ヒトIGF−1ビオチン、US Biological カタログ番号I7661−01B)および抗−ヒトIGF−1R抗体(IGF−1Rα 1H7、Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc−461)を一次抗体として用い、次いで、HRP標識したストレプトアビジン(Southern Biotech カタログ番号7100−05)およびHRP標識したヤギ抗−マウスIgG(US Biological カタログ番号I1904−40J)を二次抗体として用い、上述の溶出したタンパク質をウェスタンブロットで検出した。IGF−1/IGF−1R/M13−C06が三成分複合体を形成する能力を示すために、この実験で使用するIGF−1およびIGF−1Rの濃度は、これらのタンパク質の通常の生理的濃度(特に血清中のIGF−1濃度)よりも十分に過剰な濃度にし(15倍を超える濃度)、IGF−1R/IGF−1の平衡解離定数を測定した。 例えば、Hankinsonら、1997年を参照。
1.5mLのエッペンドルフ管中、プロテインA/Gビーズ(300μL、Pierce カタログ番号20422)を再び懸濁させ、1×PBSで洗浄し、1.0mgのM13−C06と合わせ、ロータリーシェーカーで、室温で2時間混合した。別の管に、12μgのhIGF−1R−His10(R&D systems)および460ngのヒトIGF−1(Chemicon International カタログ番号GF006)を室温で1時間混合した(タンパク質:タンパク質比率は1:1)。M13−C06が結合したプロテインA/GをPBSで洗浄し、hIGF−1R−His10/IGF−1混合物を室温で30分間インキュベートした。タンパク質が結合したプロテインA/GをPBSで洗浄した後、結合したタンパク質を100mM グリシン300μL(pH3.0)で溶出させた。ネガティブコントロールには、12μgのヒトIGF−1R(1−902)−His10を加えなかった。抗−ヒトIGF−1抗体(ウサギ抗−ヒトIGF−1ビオチン、US Biological カタログ番号I7661−01B)および抗−ヒトIGF−1R抗体(IGF−1Rα 1H7、Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc−461)を一次抗体として用い、次いで、HRP標識したストレプトアビジン(Southern Biotech カタログ番号7100−05)およびHRP標識したヤギ抗−マウスIgG(US Biological カタログ番号I1904−40J)を二次抗体として用い、上述の溶出したタンパク質をウェスタンブロットで検出した。IGF−1/IGF−1R/M13−C06が三成分複合体を形成する能力を示すために、この実験で使用するIGF−1およびIGF−1Rの濃度は、これらのタンパク質の通常の生理的濃度(特に血清中のIGF−1濃度)よりも十分に過剰な濃度にし(15倍を超える濃度)、IGF−1R/IGF−1の平衡解離定数を測定した。 例えば、Hankinsonら、1997年を参照。
iii.IGF−1R(1−462)−Fcの構築、および全長受容体の細胞外領域との競合的な抗体結合試験
IGF−1/IGF−2結合領域、ヒトIGF−1RのL1−CR−L2(残基1〜462)の構築方法は、文献で公開されている(McKern 1997)。この情報を利用し、本願発明者らは、ヒトIGF−1R残基1〜462(N末端にシグナル配列を有する)を、社内のPV90ベクターにサブクローン化し、全長ヒト細胞外領域(残基1〜903、hIGF−1R−Fc)を得た。CHOでの発現は、文献に記載されている方法を用いて行った(Brezinsky 2003)。CHO上澄みを、他のFc−融合タンパク質について文献に記載されているようにプロテインA親和性カラムに通し、タンパク質を精製した(Demarest 2006)。このタンパク質構築物を、hIGF−1R(1−462)−Fcと称する。
IGF−1/IGF−2結合領域、ヒトIGF−1RのL1−CR−L2(残基1〜462)の構築方法は、文献で公開されている(McKern 1997)。この情報を利用し、本願発明者らは、ヒトIGF−1R残基1〜462(N末端にシグナル配列を有する)を、社内のPV90ベクターにサブクローン化し、全長ヒト細胞外領域(残基1〜903、hIGF−1R−Fc)を得た。CHOでの発現は、文献に記載されている方法を用いて行った(Brezinsky 2003)。CHO上澄みを、他のFc−融合タンパク質について文献に記載されているようにプロテインA親和性カラムに通し、タンパク質を精製した(Demarest 2006)。このタンパク質構築物を、hIGF−1R(1−462)−Fcと称する。
M13−C06抗体、M14−C03抗体およびM14−G11抗体が、hIGF−1R(1−462)−Fcおよび全長細胞外領域構築物hIGF−1R−Fcに結合する能力を、Biacore3000を用いてSPRで決定した。この装置を25℃に設定し、試験バッファは、HBS−EP(pH7.2)(Biacore、カタログ番号BR−1001−88)であった。標準的なNHS/EDC−アミン反応化学を用い、Biacoreが提供しているプロトコルにしたがって、全ヒト抗体、M13−C06、M14−C03およびM14−G11を、Biacore CM5 Research Grade SensorChip表面に約10,000RUで固定した。固定化のために、抗体を10mM 酢酸バッファ(pH4.0)で約40μg/mLに希釈した。hIGF−1R−FcおよびhIGF−1R(1−462)−Fcが、それぞれヒト抗体に結合し、解離する相対速度を調べるために、述のSensorChip表面に、それぞれの受容体構築物を徐々に濃度を上げながら注入した。hIGF−1R−Fcの濃度は、1.0nM〜100nMであり、hIGF−1R(1−462)−Fcの濃度は、1.0nM〜2μMであった。すべての抗体表面は、100mMグリシン(pH2.0)を用いて信頼性高く再生させた。再生を繰り返しても、いずれの抗体表面も活性低下はみられなかった。流速は、20μL/分であった。
b.結果
hIGF−1R−Fcに対するIGF−1および/またはIGF−2の結合を、M13−C06が阻害することは、すでに記載した。飽和条件にしても、ほとんどの抗体は、IGF−1またはIGF−2がhIGF−1R−Fcに結合するのを、完全には阻害しない。特に、M13−C06の場合、本願発明者らは、リガンド結合の阻害は、競合的ではなく、アロステリック効果によるものであるという仮説をたてた。この仮説を検証するために、本願発明者らは、400nMのM13−C06抗体存在下(hIGF−1R−His10の抗体の親和性の約4000倍を超える濃度)、および非存在下での、hIGF−1R−His10に対するIGF−1の親和性を決定した。SPRを用い、hIGF−1R−His10を抗−His Tag抗体でチップ表面に固定し、IGF−1の濃度を増加させて(64nMまで)注入した。hIGF−1R−His10に対するIGF−1の結合は、400nMのM13−C06が存在しても存在しなくても明らかであった。(データは示していない。表面プラズモン分解は、IGF−1が、400nMのM13−C06が存在しても存在しなくても、hIGF−1R−His10に結合していることを示す)。SPR結合時間は、1400〜1800秒であり、解離時間は、1800〜3000秒であった。M13−C06が存在しない状態で、IGF−1は、KD=17nM(ka=2.4×10−5/M*s)でhIGF−1R−His10に結合した。400nMのM13−C06が存在する状態で、IGF−1は、KD=59nM(ka=7.1×10−4/M*s)でhIGF−1R−His10に結合した。hIGF−1R−His10に対するIGF−1の結合解離定数は、M13−C06存在下では約1/3倍に低下し、このことは、M13−C06が、受容体に対するリガンドの親和性をアロステリック効果によって低下させていることを示唆している。
hIGF−1R−Fcに対するIGF−1および/またはIGF−2の結合を、M13−C06が阻害することは、すでに記載した。飽和条件にしても、ほとんどの抗体は、IGF−1またはIGF−2がhIGF−1R−Fcに結合するのを、完全には阻害しない。特に、M13−C06の場合、本願発明者らは、リガンド結合の阻害は、競合的ではなく、アロステリック効果によるものであるという仮説をたてた。この仮説を検証するために、本願発明者らは、400nMのM13−C06抗体存在下(hIGF−1R−His10の抗体の親和性の約4000倍を超える濃度)、および非存在下での、hIGF−1R−His10に対するIGF−1の親和性を決定した。SPRを用い、hIGF−1R−His10を抗−His Tag抗体でチップ表面に固定し、IGF−1の濃度を増加させて(64nMまで)注入した。hIGF−1R−His10に対するIGF−1の結合は、400nMのM13−C06が存在しても存在しなくても明らかであった。(データは示していない。表面プラズモン分解は、IGF−1が、400nMのM13−C06が存在しても存在しなくても、hIGF−1R−His10に結合していることを示す)。SPR結合時間は、1400〜1800秒であり、解離時間は、1800〜3000秒であった。M13−C06が存在しない状態で、IGF−1は、KD=17nM(ka=2.4×10−5/M*s)でhIGF−1R−His10に結合した。400nMのM13−C06が存在する状態で、IGF−1は、KD=59nM(ka=7.1×10−4/M*s)でhIGF−1R−His10に結合した。hIGF−1R−His10に対するIGF−1の結合解離定数は、M13−C06存在下では約1/3倍に低下し、このことは、M13−C06が、受容体に対するリガンドの親和性をアロステリック効果によって低下させていることを示唆している。
M13−C06が、IGF−1がhIGF−1R−His10に結合するのと直接的に競合しないということの証拠は、hIGF−1R−His10に対するIGF−1およびM13−C06の見かけ親和性よりもかなり高い濃度のM13−C06を用い、hIGF−1R−His10およびIGF−1を一緒に免疫沈降させることによって得た。ウェスタンブロット分析により、hIGF−1R−His10と混合したIGF−1の約70〜100%が、M13−C06と一緒に減っており、このことは、M13−C06およびIGF−1が、hIGF−1R−His10と合わさって三成分複合体を形成することが可能であることを示している(データは示していない)。これらの結果は、通常の血清IGF−1濃度で、IGF−1の結合をM13−C06がアロステリック効果によって阻害することを示しており、M13−C06の結合部位は、IGF−1Rリガンド結合ポケットとは重複していないことを示唆している。
次に、本願発明者らは、M13−C06が、IGF−1Rの推定リガンド結合領域(L1−CR−L2)に結合するかどうかを観察した。本願発明者らは、N末端の3つの領域(残基1〜462)が、IgG1−Fcに融合している欠失受容体を作成し、表面プラズモン共鳴(SPR)を用い、M13−C06、M14−C03およびM14−G11の結合能力と、全長受容体の細胞外領域構築物hIGF−1R−Fcの結合能力とを比較した。M14−G11は、上述の欠失受容体に対し、同等の結合性を示したが、M13−C06およびM14−C03の結合性は顕著に低下した(データは示していない。hIGF−1R(1−903)FcおよびhIGF−1R(1−462)−Fc欠失体に対する、表面に固定したM13−C06、M14−C03およびM14−G11の結合性を、濃度範囲2□M、100nM、30nM、10nM、5nMおよび1nMで試験した)。SPR結合時間は、480〜960秒であり、解離時間は、960〜1170秒であった。M13−C06およびM14−C03の両方で、結合が残っていることは明らかであった。しかし、このデータは、IGF−1R領域にある抗体残基のエピトープのうち、少なくとも良好な一部分が、リガンド結合領域の外側にあることを示唆している。
結論として、M13−C06抗体は、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを、成長因子結合部位で競合的に相互作用することによってブロックするのではなく、FnIII−1に結合し、IGF−1/IGF−2の結合およびシグナル伝達をアロステリック効果によって阻害することが示された。FnIII−1は、IGF−1RおよびINSRの受容体ホモダイマー化を促進すると考えられており(McKern 2006)、リガンドに結合すると、四次構造の変化を経て、活性シグナルが膜貫通領域を通ってC末端チロシンキナーゼ領域に伝わる。この実施例で得たデータから、M13−C06抗体が、IGF−1/IGF−2によって誘発される構造変化を阻害し、その下流にある受容体シグナル伝達を阻害することが示唆される。
(実施例3. M13.C06抗体の予備的なエピトープマッピング)
a.方法
i.エピトープマッピング変異
マウスIGF−1Rに対するM13−C06の結合親和性が、BiacoreおよびFRETを用いた結合実験(実施例5(第III部))において、顕著に低下するか、検出不可能になったという結果に基づいて、IGF−1Rに対するM13−C06抗体のエピトープの性能を探るために、変異を選択した。マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとは、一次配列の同一性が95%である。ヒトIGF−1Rと、ヒトINSRは、同一性が57%である(類似性は73%)。細胞外ドメインにおいて、マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとで異なる残基は33種類である(表5)。これらの残基のうち、INSR細胞外領域内にある相同性の位置が、最近のINSR結晶構造に基づいて溶媒にさらされる位置であるため、20残基を変異標的とした(pdbコードは2DTG、McKern 2006)。接近可能な表面の面積を、プローブ半径1.4Åを用い、StrucTools(http://molbio.info.nih.gov/structbio/basic.html)で算出した。INSRの構造には存在しない4個の残基も突然変異のために選択した。それは、IGF−1/IGF−2の結合にとって重要であることが示されている、FnIII−2領域の構造化されていないループ領域に存在するからである(Whittaker 2001; Sorensen 2004)。エピトープマッピング試験で選択した24種類の突然変異のリストを表6に示す。
a.方法
i.エピトープマッピング変異
マウスIGF−1Rに対するM13−C06の結合親和性が、BiacoreおよびFRETを用いた結合実験(実施例5(第III部))において、顕著に低下するか、検出不可能になったという結果に基づいて、IGF−1Rに対するM13−C06抗体のエピトープの性能を探るために、変異を選択した。マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとは、一次配列の同一性が95%である。ヒトIGF−1Rと、ヒトINSRは、同一性が57%である(類似性は73%)。細胞外ドメインにおいて、マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとで異なる残基は33種類である(表5)。これらの残基のうち、INSR細胞外領域内にある相同性の位置が、最近のINSR結晶構造に基づいて溶媒にさらされる位置であるため、20残基を変異標的とした(pdbコードは2DTG、McKern 2006)。接近可能な表面の面積を、プローブ半径1.4Åを用い、StrucTools(http://molbio.info.nih.gov/structbio/basic.html)で算出した。INSRの構造には存在しない4個の残基も突然変異のために選択した。それは、IGF−1/IGF−2の結合にとって重要であることが示されている、FnIII−2領域の構造化されていないループ領域に存在するからである(Whittaker 2001; Sorensen 2004)。エピトープマッピング試験で選択した24種類の突然変異のリストを表6に示す。
表5:ヒトIGF−1RとマウスIGF−1Rとのアミノ酸の相違点
各残基の位置での溶媒接近可能性を、相同性のINSR細胞外領域の公的に利用可能な構造に基づいて決定した。太字/イタリックで示した残基は、その表面積のうち、30%を超える部分が溶媒にさらされていることを示しており、突然変異を生成し、M13−C06のIGF−1Rエピトープについてスクリーニングした。
各残基の位置での溶媒接近可能性を、相同性のINSR細胞外領域の公的に利用可能な構造に基づいて決定した。太字/イタリックで示した残基は、その表面積のうち、30%を超える部分が溶媒にさらされていることを示しており、突然変異を生成し、M13−C06のIGF−1Rエピトープについてスクリーニングした。
STRATAGENETM部位特異的変異キットを用い、製造業者のプロトコルにしたがって、野生型hIGF−1R−Fc PV−90プラスミドを突然変異させることによって、24種類の変異エピトープマッピングライブラリを構築した。それぞれの変異(または、ライブラリのうち、SD004、SD011、SD014、SD016およびSD019の場合、2箇所の変異)をPV−90ベクターに組み込み、これを社内のDNA配列決定装置で確認した。Qiagen Miniprep Kitを用いてプラスミドをminiprep処理し、Qiagen Endotoxin−Free Maxikitを用いてプラスミドをmaxiprep処理した。PolyFectトランスフェクションキット(Qiagen)を用い、それぞれの変異プラスミド200μgをHEK293 T細胞 100mLに2×106細胞/mLで一過性にトランスフェクトし、可溶性タンパク質を培地に分泌させた。細胞を、DMEM(Ivrine Scientific)、10% FBS(低IgGウシ血清、20mLのプロテインAカラムを通すことによって、ウシIgGをさらに減らしたもの)に入れ、CO2インキュベーター中、37℃で培養した。7日後、1200rpmで遠心分離して、それぞれのIGF−1R−Fc変異体を含む上澄みを集め、0.2μmフィルターで濾過した。1.2mLのプロテインA Sepharose FFカラムを1×PBSで平衡状態にしておき、このカラムに上澄みを通すことによって、それぞれの変異体を親和性精製した。0.1M グリシン(pH3.0)を用いて、上述のカラムから変異体を溶出させ、1M Tris(pH8.5)、0.1% Tween−80で中和し、VivaSpin 6 MWCO 30,000遠心濃縮装置(Sartorius、カタログ番号VS0621)で、体積が約300μLになるまで濃縮した。
ii.IGF−1R変異のウェスタンブロット分析
hIGF−1R−Fc変異体サンプルを、Xcell SureLock Mini Cell(Invitrogen カタログ番号EI0001)を用い、標準的な製造者のプロトコルにしたがって、4〜20% Tris−Glycineゲル(Invitrogen カタログ番号EC6028)で処理した。iBlot Dry Blotting System(Invitrogen カタログ番号IB1001)およびTransfer Stacks(Invitrogen カタログ番号IB3010−01または3010−02)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、サンプルをニトロセルロースに移した。4℃で、PBST25mlおよび脱脂粉乳5mg/ml中、膜を一晩ブロックした。ブロックした後、室温で、PBST 25mlで膜を5分間、1回洗浄した。PBST 10ml中、濃度1:100で一次抗−IGF−1Rβ抗体(Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc−9038)とともに膜を室温で1時間インキュベートした。次いで、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した。検出のために、PBST 10ml中、濃度1:1000で、膜をHRPコンジュゲート型ヤギ抗−ウサギIgG−Fc二次抗体(US Biological カタログ番号I1904−40J)とともに室温で1時間インキュベートした。室温で、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した後、PBST 25mlで20分間洗浄した。Amersham ECL Western Blotting Analysis System(GE Healthcare カタログ番号RPN2108)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、タンパク質のバンドを検出した。
hIGF−1R−Fc変異体サンプルを、Xcell SureLock Mini Cell(Invitrogen カタログ番号EI0001)を用い、標準的な製造者のプロトコルにしたがって、4〜20% Tris−Glycineゲル(Invitrogen カタログ番号EC6028)で処理した。iBlot Dry Blotting System(Invitrogen カタログ番号IB1001)およびTransfer Stacks(Invitrogen カタログ番号IB3010−01または3010−02)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、サンプルをニトロセルロースに移した。4℃で、PBST25mlおよび脱脂粉乳5mg/ml中、膜を一晩ブロックした。ブロックした後、室温で、PBST 25mlで膜を5分間、1回洗浄した。PBST 10ml中、濃度1:100で一次抗−IGF−1Rβ抗体(Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc−9038)とともに膜を室温で1時間インキュベートした。次いで、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した。検出のために、PBST 10ml中、濃度1:1000で、膜をHRPコンジュゲート型ヤギ抗−ウサギIgG−Fc二次抗体(US Biological カタログ番号I1904−40J)とともに室温で1時間インキュベートした。室温で、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した後、PBST 25mlで20分間洗浄した。Amersham ECL Western Blotting Analysis System(GE Healthcare カタログ番号RPN2108)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、タンパク質のバンドを検出した。
iii.IGF−1R−Fc変異体ライブラリのBiacore分析
mIGF−1R−FcおよびhIGF−1R−Fcは両方とも、2箇所の別個のホモダイマー領域(IGF−1RおよびIgG1−Fc)を組み込むことによって、きわめて多価な性質が誘発されたため、上述のM13−C06、M14−C03およびM14−G11のセンサーチップ表面に対し、高い見かけ親和性で結合する。M13−C06に対するhIGF−1R−Fcの実際の高い結合親和性および、M13−C06に対するmIGF−1R−Fcの低い結合親和性を区別するために、M13−C06センサーチップ表面で受容体−Fc融合物を捕捉した後、可溶性M13−C06 Fabと結合させた。受容体−Fc構築物を親和性精製し、濃縮したものを60μL、流速1μL/分で注入することによって、M13−C06チップ(上述のように調製)表面で捕捉した。その後、受容体−Fc結合工程が終了したら、流速を5μL/分に上げた。各受容体−Fc構築物を結合させた後、濃度が10nM、3nMおよび1nMのM13−C06 Fabを注入した(50μL)。各センサーグラムが終了したら、流速を30μL/分に上げ、チップ表面に0.1Mグリシン(pH2)を10μL、2回注入することによってチップ表面を再生した。
mIGF−1R−FcおよびhIGF−1R−Fcは両方とも、2箇所の別個のホモダイマー領域(IGF−1RおよびIgG1−Fc)を組み込むことによって、きわめて多価な性質が誘発されたため、上述のM13−C06、M14−C03およびM14−G11のセンサーチップ表面に対し、高い見かけ親和性で結合する。M13−C06に対するhIGF−1R−Fcの実際の高い結合親和性および、M13−C06に対するmIGF−1R−Fcの低い結合親和性を区別するために、M13−C06センサーチップ表面で受容体−Fc融合物を捕捉した後、可溶性M13−C06 Fabと結合させた。受容体−Fc構築物を親和性精製し、濃縮したものを60μL、流速1μL/分で注入することによって、M13−C06チップ(上述のように調製)表面で捕捉した。その後、受容体−Fc結合工程が終了したら、流速を5μL/分に上げた。各受容体−Fc構築物を結合させた後、濃度が10nM、3nMおよび1nMのM13−C06 Fabを注入した(50μL)。各センサーグラムが終了したら、流速を30μL/分に上げ、チップ表面に0.1Mグリシン(pH2)を10μL、2回注入することによってチップ表面を再生した。
iv.IGF−1R−Fc変異体をスクリーニングするための、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(tr−FRET)アッセイ
変異受容体を、0.25〜0.5μg(25μL)から始めて段階的に希釈し、384ウェルマイクロタイタープレート(白色、Costar製)中、0.05μg IGF1R−His10−Cy5(12.5μL)および0.00375μg Eu:C06(12.5μL)と混合した。IGF1R−His10−Cy5のコンジュゲートレベルは、6.8:1(Cy5:IGF1R−His10)であり、Eu−C06のコンジュゲートレベルは、10.3:1(Eu:C06)であった。各サンプルについて、合計体積は50μLであった。プレート攪拌器で、プレートを室温で1時間インキュベートした。Wallac Victor2蛍光プレートリーダー(Perkin Elmer)で、LANCEプロトコルを用い、励起波長340nm、発光波長665nmで蛍光を測定した。全データを、1箇所での結合モデルに適合させ、ここから、対応するIC50値を決定した。
変異受容体を、0.25〜0.5μg(25μL)から始めて段階的に希釈し、384ウェルマイクロタイタープレート(白色、Costar製)中、0.05μg IGF1R−His10−Cy5(12.5μL)および0.00375μg Eu:C06(12.5μL)と混合した。IGF1R−His10−Cy5のコンジュゲートレベルは、6.8:1(Cy5:IGF1R−His10)であり、Eu−C06のコンジュゲートレベルは、10.3:1(Eu:C06)であった。各サンプルについて、合計体積は50μLであった。プレート攪拌器で、プレートを室温で1時間インキュベートした。Wallac Victor2蛍光プレートリーダー(Perkin Elmer)で、LANCEプロトコルを用い、励起波長340nm、発光波長665nmで蛍光を測定した。全データを、1箇所での結合モデルに適合させ、ここから、対応するIC50値を決定した。
本願発明者らは、マウスIGF−1Rが、M13−C06抗体に結合しないことを利用し、hIGF−1R−Fc内のマウス変異のライブラリを設計し、IGF−1Rに対するM13−C06の結合部位の位置を調べた。試験したhIGF−1Rの種々の変異箇所を表6に示す。ウェスタンブロット分析を用い、各hIGF−1R−Fc変異体の発現を確認し、ポジティブコントロールとしてhIGF−1R−Fc精製物を用い、標準曲線を作成し、各変異タンパク質の相対濃度を概算した(データは示していない)。
表6:M13−C06に対するIGF−1Rの結合に対する変異の影響
SD015は、2種類のアッセイ法で、M13−C06に対する結合性をほとんど示さないか、または全く示さない唯一の残基であったため、太字である。ND=判定できず。
SD015は、2種類のアッセイ法で、M13−C06に対する結合性をほとんど示さないか、または全く示さない唯一の残基であったため、太字である。ND=判定できず。
SPRおよびtr−FRETを使用し、IGF−1R−FcがM13−C06に結合するのを阻害する変異体をスクリーニングした。SD015変異体を除き、すべてのIGF−1R変異構築物が、SPR実験で、M13−C06への結合活性を示すか、またはM13−C06 Fabへの結合活性を示した。図12、表6を参照、データは示されていない(競合的な阻害分析を用い、標識していないhIGF1R−Fc(SDWT)、マウスIGF1R−Fc(mIGF1R−Fc)および変異hIGF1R−Fc構築物の濃度を上げることによって、Cy5標識したIGF1Rに結合するEu−M13−C06を交換するための結合曲線を確立した)。
tr−FRETを用いて決定したIC50値およびSPRを用いて決定した相対結合強度には、ウェスタンブロットによる表現および定量化に自然発生する偏差が存在するため、ある程度偏差が存在する。しかし、SD015は、両アッセイでM13−C06に対して実質的に結合しなかった唯一の変異体であり、mIGF−1R−Fcコントロールの結果と匹敵する結果であった。His464は、hIGF−1R−Fc欠失構築物(すなわち、hIGF−1R(1−462)−Fc)のC末端に対し、一次アミノ酸配列でC末端に位置する2個のアミノ酸である。M13−C06が、hIGF−1R(1−462)欠失体に対する結合活性を残していることは、M13−C06の結合エピトープが、残基Val462−His464を少なくとも包含するエピトープに結合していることを示唆している。M13−C06のエピトープは、構造的に独立していないことを示唆する証拠があるため、抗体−エピトープ結合の相互作用に、他の残基も関与していると考えられる。しかし、特に、残基Val462およびHis464は、FnIII−1領域の外側表面にある残基であると予想される(図1)。
M13−C06エピトープ範囲の特徴(すなわち、462−464の周囲にあるどの残基が、抗体の結合および活性に重要なのか)を調べる試みにおいて、構造モデリングアプローチを利用した。ヒトIGF−1Rと、ヒトINSRとは、同一性が57%であり(類似性は73%)、同様の三次構造を有している。タンパク質抗原:抗体結合表面のX線結晶構造の以前の分析は、この結果から、平均結合表面が700Å2(平方オングストローム)であり、結合エピトープからの平均半径が14Åであることを示唆している(Davies 1996)。INSRの相同性細胞外領域(pdbコードは2DTG、(McKern 2006))のX線結晶構造を用い、本願発明者らは、IGF−1R残基のV462からH464を、INSRの残基L472からK474に対してマッピングすることにより、残基462〜464の14Å以内にあり、FnIII−1領域の表面にある残基を算出した。14Å以内にある任意の原子と原子との距離にカットオフ値を適用し、平均距離は、各曲面パッチにあるそれぞれの残基とL472およびL474のCα−Cα距離から算出した。算出した平均距離を、Cα−Cα距離が14Åよりも大きい残基については、14Åであるとし、側鎖は、14Åのカットオフの範囲内である。M13−C06の結合および活性にとって重要であると考えられる残基を表7に列挙している。
表7 M13−C06の結合および活性にとって重要であると考えられる、IGF−1R内の残基
残基462および464は、IGF−1R結合エピトープの中心であると予想されるため、イタリックで示している。実験データは、M13−C06の結合に対する、これらの残基の重要性を示している。
残基462および464は、IGF−1R結合エピトープの中心であると予想されるため、イタリックで示している。実験データは、M13−C06の結合に対する、これらの残基の重要性を示している。
公開されている研究結果は、残基440〜586を認識する抗体は、IGF−1の結合に対し、阻害効果とアゴニスト効果の両方を有することが示し得ることを示している(Soos 1992、Keynanfar 2007)。440〜586は、L2およびFnIII−1の全体をあらわし、抗−IGF−1R抗体に接近可能な重複していない表面であると考える箇所が多く存在する。この実施例は、IGF−1Rの阻害性エピトープが、特定の残基にマップされた最初の例を与えるものである。INSRの最近の構造は、インスリンがインスリン受容体に結合するのを阻害することが知られている抗−INSR抗体とともに結晶化させたものであった(Soos 1986;McKern 2006)。IGF−1RのHis464と相同性の残基(INSRのK474)は、この抗体がINSRと結合する表面の一部分である。M13−C06が、IGF−1がIGF−1Rに結合するのを、アンタゴニストである抗−INSR抗体が阻害する機序と同様の阻害機序を有する可能性がある。
(実施例4.抗IGF−1R抗体を用いた交差ブロック試験)
a.材料
抗IGF−1R抗体であるM13−C06、M14−G11、M13−C06、M14−C03およびP1E2を、すでに記載されているようにサブクローン化し、発現させ、精製した(米国特許出願番号第11/727,887号、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。市販の阻害性を有するIGF−1R抗体(αIR3(Jacobsら、1986))は、Calbiochem(カタログ番号GR11LSP5)から購入した。N末端にオクタヒスチジンタグを有するヒトIGF−1およびヒトIGF−2は、Pichiaで組み換えて作成し、Ni2+−NTAアガロースで精製した。C末端に10−ヒスチジンタグを含有する可溶性の組み換えヒトIGF−1R細胞外領域構築物は、hIGF−1R(1−902)−His10と呼ばれ、R&D systems(カタログ番号305−GR−050)から購入した。ヒトおよびマウスのIGF−1R(1−903)−IgG1−Fc融合タンパク質を構築し、標準的なプロテインAクロマトグラフィー法を用いて精製した。
a.材料
抗IGF−1R抗体であるM13−C06、M14−G11、M13−C06、M14−C03およびP1E2を、すでに記載されているようにサブクローン化し、発現させ、精製した(米国特許出願番号第11/727,887号、この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)。市販の阻害性を有するIGF−1R抗体(αIR3(Jacobsら、1986))は、Calbiochem(カタログ番号GR11LSP5)から購入した。N末端にオクタヒスチジンタグを有するヒトIGF−1およびヒトIGF−2は、Pichiaで組み換えて作成し、Ni2+−NTAアガロースで精製した。C末端に10−ヒスチジンタグを含有する可溶性の組み換えヒトIGF−1R細胞外領域構築物は、hIGF−1R(1−902)−His10と呼ばれ、R&D systems(カタログ番号305−GR−050)から購入した。ヒトおよびマウスのIGF−1R(1−903)−IgG1−Fc融合タンパク質を構築し、標準的なプロテインAクロマトグラフィー法を用いて精製した。
b.方法
(i)抗体:抗体の交差ブロック試験
種々の抗体が、M13−C06またはM14−G11がhIGF−1Rに結合するのをブロックする能力を、抗体およびhIGF−1R−Fcのビオチン化態様を用いて決定した。簡単に説明すると、96ウェルの透明MaxiSorpプレート(Nunc)1ウェルあたり、1×PBS中、2μg/mLのhIGF−1R−Fc 50μLを用い、室温で2時間コーティングした(RT、振とうせず)。プレートを1×PBSで洗浄し、PBS/1%BSA溶液を用いて2〜8℃で一晩ブロックした。プレートを洗浄し、ビオチン化M13−C06またはビオチン化M14−G11(80ng/mL)および阻害性を有する抗体の混合物100μLとともに、室温で1時間インキュベートした。阻害性を有する抗体を、40μg/mLから3ng/mLまで段階的に希釈した(5倍希釈)。EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce カタログ番号21335)を用い、製造業者のプロトコルにしたがって、M13−C06およびM14−G11をビオチン化した。コントロールも、IGF−1Rに特異的ではないIgG4アイソタイプコントロール抗体をビオチン化M13−C06またはビオチン化M14−G11とともに段階希釈することによって行った。プレートを洗浄し、100μL/ウェルのストレプトアビジン−HRP(ブロッキングバッファで1:4000希釈、Southern Biotech カタログ番号7100−05)とともに室温で1時間振とうした。プレートを洗浄し、100μL/ウェルのSureBlue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、カタログ番号53−00−01)をウェルに加えた。Wallac 1420−041 Multilabel Counterプレートリーダーを用い、5分ごとに吸光度650nmで測定することによって、ビオチン化M13−C06またはビオチン化M14−G11の存在を検出した。
(i)抗体:抗体の交差ブロック試験
種々の抗体が、M13−C06またはM14−G11がhIGF−1Rに結合するのをブロックする能力を、抗体およびhIGF−1R−Fcのビオチン化態様を用いて決定した。簡単に説明すると、96ウェルの透明MaxiSorpプレート(Nunc)1ウェルあたり、1×PBS中、2μg/mLのhIGF−1R−Fc 50μLを用い、室温で2時間コーティングした(RT、振とうせず)。プレートを1×PBSで洗浄し、PBS/1%BSA溶液を用いて2〜8℃で一晩ブロックした。プレートを洗浄し、ビオチン化M13−C06またはビオチン化M14−G11(80ng/mL)および阻害性を有する抗体の混合物100μLとともに、室温で1時間インキュベートした。阻害性を有する抗体を、40μg/mLから3ng/mLまで段階的に希釈した(5倍希釈)。EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce カタログ番号21335)を用い、製造業者のプロトコルにしたがって、M13−C06およびM14−G11をビオチン化した。コントロールも、IGF−1Rに特異的ではないIgG4アイソタイプコントロール抗体をビオチン化M13−C06またはビオチン化M14−G11とともに段階希釈することによって行った。プレートを洗浄し、100μL/ウェルのストレプトアビジン−HRP(ブロッキングバッファで1:4000希釈、Southern Biotech カタログ番号7100−05)とともに室温で1時間振とうした。プレートを洗浄し、100μL/ウェルのSureBlue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、カタログ番号53−00−01)をウェルに加えた。Wallac 1420−041 Multilabel Counterプレートリーダーを用い、5分ごとに吸光度650nmで測定することによって、ビオチン化M13−C06またはビオチン化M14−G11の存在を検出した。
種々の抗体が、マウスαIR3をブロックする能力を、「Zenon−Fab−HRP」標識したαIR3およびhIGF−1R−Fcを用いて決定した。αIR(IgG1)を、製造業者の記載にしたがって、Zenon(R)−Fab−HRP標識した(Invitrogen カタログ番号Z25054)。簡単に説明すると、96ウェルの透明MaxiSorpプレート(Nunc)1ウェルあたり、1×PBS中、2μg/mLのhIGF−1R−Fc 50μLを用い、室温で2時間コーティングした(RT、振とうせず)。プレートを1XPBSで洗浄し、PBS/1%BSA溶液を用いて2〜8℃で一晩ブロックした。プレートを洗浄し、Zenon標識したαIR3(40ng/mL)および阻害性を有する抗体の混合物100μLとともに、室温で1時間インキュベートした。阻害性を有する抗体を、40μg/mLから3ng/mLまで段階的に希釈した(5倍希釈)。コントロールは、IGF−1Rに特異的ではないIgG4アイソタイプコントロール抗体をZenon標識したαIR3とともに段階希釈することによって行った。プレートを洗浄し、100μL/ウェルのSureBlue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、カタログ番号53−00−01)をウェルに加えた。Wallac 1420−041 Multilabel Counterプレートリーダーを用い、5分ごとに吸光度650nmで測定することによって、Zenon標識したαIR3を検出した。
(ii)IGF−1/IGF−2リガンド:抗体の交差ブロック試験
hIGF−1R−HisがM13−C06およびM14−G11に結合するのをIGF−1およびIGF−2がブロックする能力について、Biacore 3000を用いたSPRによって決定した。製造業者(Biacore)の標準的なNHS/EDC化学プロトコルを用い、M13−C06およびM14−G11(40μg/mL)の10mM酢酸混合物(pH4.0)を、Biacore CM5 Research Grade SensorChip(カタログ番号BR−1000−14)表面に、約2,000RUで固定した。固定した抗体表面に対するhIGF−1R−Hisの結合を、IGF−1またはIGF−2が阻害する能力について試験するために、IGF−1またはIGF−2が500pM〜4μM存在する条件下、40nM hIGF−1R−His 160μLをセンサチップ表面に20μL/分で注入した。さらに、抗IGF−1R抗体であるM13−C06およびM14−G11、およびその抗体Fabを用い、これらの物質が、上述のセンサチップ表面に対するIGF−1Rの結合をブロックする能力について調べた。同様の抗体を段階的に希釈し(hIGF−1R−His存在下)、IGF−1およびIGF−2のブロック実験に使用した。0.1Mグリシン(pH2.0)10μLを3回注入して、再生した。各抗体に対する、hIGF−1R−His結合率100%は、注入してから60秒以内に、物質の移動を制限した条件下で、ベースラインと比較したシグナル上昇によって決定した。溶液中にIGF−1またはIGF−2が存在する条件下で、60秒間でのシグナル低下度を、抗体が結合するのをリガンドがブロックするのを示す測定値として用いた。
hIGF−1R−HisがM13−C06およびM14−G11に結合するのをIGF−1およびIGF−2がブロックする能力について、Biacore 3000を用いたSPRによって決定した。製造業者(Biacore)の標準的なNHS/EDC化学プロトコルを用い、M13−C06およびM14−G11(40μg/mL)の10mM酢酸混合物(pH4.0)を、Biacore CM5 Research Grade SensorChip(カタログ番号BR−1000−14)表面に、約2,000RUで固定した。固定した抗体表面に対するhIGF−1R−Hisの結合を、IGF−1またはIGF−2が阻害する能力について試験するために、IGF−1またはIGF−2が500pM〜4μM存在する条件下、40nM hIGF−1R−His 160μLをセンサチップ表面に20μL/分で注入した。さらに、抗IGF−1R抗体であるM13−C06およびM14−G11、およびその抗体Fabを用い、これらの物質が、上述のセンサチップ表面に対するIGF−1Rの結合をブロックする能力について調べた。同様の抗体を段階的に希釈し(hIGF−1R−His存在下)、IGF−1およびIGF−2のブロック実験に使用した。0.1Mグリシン(pH2.0)10μLを3回注入して、再生した。各抗体に対する、hIGF−1R−His結合率100%は、注入してから60秒以内に、物質の移動を制限した条件下で、ベースラインと比較したシグナル上昇によって決定した。溶液中にIGF−1またはIGF−2が存在する条件下で、60秒間でのシグナル低下度を、抗体が結合するのをリガンドがブロックするのを示す測定値として用いた。
(iii)1種類の抗体および抗体の組み合わせによる、IGF−1/IGF−2リガンドのブロッキング
hIGF−1R−Fcを、EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotinを用い、製造業者が提供するプロトコルにしたがってビオチン化した(Pierce カタログ番号21335)。5μg/mlのビオチン化したヒトIGF−1R Fc(NB12453−9)を、SigmaScreenのストレプトアビジンコーティングされた96ウェルプレート(Sigma、カタログ番号M5432−5EA)のウェルに100μL/ウェルで加え、2〜8℃で一晩インキュベートした。次いで、プレートを200μL/ウェルのPBSTで4回洗浄した。ヒトIGF−1 His(NB12111−85)を、PBST、1.0mg/ml BSA中、320nMになるように調製した。抗IGF−1R抗体であるM13−C06(NB11054−82)、M14−C03(NB11055−147)、M14−G11(NB11016−120)、P1E2(ヒトIgG4agly/κ定常ドメインに融合したP1E2ハイブリドーマ細胞株で発現する抗体に由来する、マウスVHおよびマウスVLを含む、DE12 Chimera)およびαIR3(Calbiochem、カタログ番号GR11LSP5)を、320nM IGF−1 His溶液で段階的に希釈した。M13−C06およびM14−C03の場合、1.3μM〜10pM、M14−G11の場合5.2μM〜10pM、P1E2およびαIR3の場合、2.6μM〜10pMで希釈した。ヒトIGF−2 His(NB12110−10)を、PBST、1.0mg/ml BSA中、320nMになるように調製した。320nM IGF−2 His溶液を用い、この抗体を段階的に希釈した(M13−C06およびM14−C03の場合、1.3μM〜5pM、M14−G11およびαIR3の場合5.2μM〜5pM、P1E2の場合、5.2μM〜20pM)。プレートに、希釈物100μL/ウェルを2つ組で加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを200μL/ウェルのPBSTで4回洗浄した。HRPにコンジュゲートした抗−His Tag抗体(Penta−His HRPコンジュゲート、QIAGEN、カタログ番号1014992)をPBSTで1:1000に希釈し、100μL/ウェルでプレートに加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを200μL/ウェルのPBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルのSureBlue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、カタログ番号53−00−01)をプレートに加え、所望の反応が観察されたら、1%リン酸を100μL/ウェルで1回加えた。各ウェルの吸光度を450nmで決定し、結果を正規化し、抗体濃度をlogでプロットした。
hIGF−1R−Fcを、EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotinを用い、製造業者が提供するプロトコルにしたがってビオチン化した(Pierce カタログ番号21335)。5μg/mlのビオチン化したヒトIGF−1R Fc(NB12453−9)を、SigmaScreenのストレプトアビジンコーティングされた96ウェルプレート(Sigma、カタログ番号M5432−5EA)のウェルに100μL/ウェルで加え、2〜8℃で一晩インキュベートした。次いで、プレートを200μL/ウェルのPBSTで4回洗浄した。ヒトIGF−1 His(NB12111−85)を、PBST、1.0mg/ml BSA中、320nMになるように調製した。抗IGF−1R抗体であるM13−C06(NB11054−82)、M14−C03(NB11055−147)、M14−G11(NB11016−120)、P1E2(ヒトIgG4agly/κ定常ドメインに融合したP1E2ハイブリドーマ細胞株で発現する抗体に由来する、マウスVHおよびマウスVLを含む、DE12 Chimera)およびαIR3(Calbiochem、カタログ番号GR11LSP5)を、320nM IGF−1 His溶液で段階的に希釈した。M13−C06およびM14−C03の場合、1.3μM〜10pM、M14−G11の場合5.2μM〜10pM、P1E2およびαIR3の場合、2.6μM〜10pMで希釈した。ヒトIGF−2 His(NB12110−10)を、PBST、1.0mg/ml BSA中、320nMになるように調製した。320nM IGF−2 His溶液を用い、この抗体を段階的に希釈した(M13−C06およびM14−C03の場合、1.3μM〜5pM、M14−G11およびαIR3の場合5.2μM〜5pM、P1E2の場合、5.2μM〜20pM)。プレートに、希釈物100μL/ウェルを2つ組で加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを200μL/ウェルのPBSTで4回洗浄した。HRPにコンジュゲートした抗−His Tag抗体(Penta−His HRPコンジュゲート、QIAGEN、カタログ番号1014992)をPBSTで1:1000に希釈し、100μL/ウェルでプレートに加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを200μL/ウェルのPBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルのSureBlue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、カタログ番号53−00−01)をプレートに加え、所望の反応が観察されたら、1%リン酸を100μL/ウェルで1回加えた。各ウェルの吸光度を450nmで決定し、結果を正規化し、抗体濃度をlogでプロットした。
c.結果
(i)抗−IGF−1R抗体の交差ブロック性
IGF−1R ELISA結合アッセイにおいて、抗体が、別の抗体を交差的にブロックする能力について、全ての抗体を試験した(表8)。M13−C06およびM14−C03は、このアッセイで互いに交差的にブロックしたが、このアッセイでP1E2、αIR3またはM14−G11に対しては交差的にブロックしなかった。P1E2およびαIR3は、両方とも、このアッセイで、標識したαIR3およびM14−G11を競合によって交差的にブロックすることができる。M14−G11は、αIR3に対して中程度の交差ブロック活性を示し、このことは、M14−G11のエピトープが重複している可能性があるが、αIR3およびP1E2のエピトープと同じではないことを示唆している。
(i)抗−IGF−1R抗体の交差ブロック性
IGF−1R ELISA結合アッセイにおいて、抗体が、別の抗体を交差的にブロックする能力について、全ての抗体を試験した(表8)。M13−C06およびM14−C03は、このアッセイで互いに交差的にブロックしたが、このアッセイでP1E2、αIR3またはM14−G11に対しては交差的にブロックしなかった。P1E2およびαIR3は、両方とも、このアッセイで、標識したαIR3およびM14−G11を競合によって交差的にブロックすることができる。M14−G11は、αIR3に対して中程度の交差ブロック活性を示し、このことは、M14−G11のエピトープが重複している可能性があるが、αIR3およびP1E2のエピトープと同じではないことを示唆している。
表8.抗体の交差ブロック実験の結果のまとめ
+++++ = 自身に対して抗体結合が競合する(90〜100%)
++++ = 競合率70〜90%
+++ = 競合率50〜70%
++ = 競合率30〜50%
+ = 競合率10〜30%
+/− = 競合率0〜10%
N/A = 結果は得られていない
+++++ = 自身に対して抗体結合が競合する(90〜100%)
++++ = 競合率70〜90%
+++ = 競合率50〜70%
++ = 競合率30〜50%
+ = 競合率10〜30%
+/− = 競合率0〜10%
N/A = 結果は得られていない
SPRに基づくアッセイを用い、同様の交差ブロック試験の結果を得た(図13A、13B)。この交差ブロック試験は、IGF−1R濃度40nM(IGF−1Rに対するM13−C06およびM14−G11の親和性の約400倍)で行った。したがって、それぞれの抗体が、自身を完全に交差ブロックすることが可能な濃度は、抗体/IGF−1Rが量論量での測定値であるはずである。M13−C06も、M14−G11も、それぞれ40nMおよび80nMの濃度で、およびFab濃度で自身の交差ブロックが飽和状態に達した(図13A、13B、Fabのデータは示していない)。このデータは、両抗体が、IGF−1Rホモダイマーの2つの部位を認識していることを示唆している。2つの部位が存在するが、それぞれの抗体のエピトープは、受容体のホモダイマーの性質に起因して2つあると考えられる、分子に存在する特定の構造部位に特有のものであると考えられる。サイズ排除/静的光散乱法による分析実験を行い、hIGF−1R−His細胞外ドメイン構築物が、溶液中でホモダイマーであることを示した。
(ii)リガンド:抗体の交差ブロック性
SPRアッセイにおいて、IGF−1およびIGF−2の両方とも、hIGF−1R−Hisが、M13−C06表面およびM14−G11表面に結合する能力を低下させた(図13Cおよび13D)。M13−C06表面にIGF−1Rが結合する能力の低下は、IGF−1およびIGF−2が飽和濃度の状態でも、ほんの約20〜25%であり、このことは、このリガンドが、M13−C06に対するIGF−1Rの親和性をアロステリック効果によって低下させていることを示唆している。IGF−1およびIGF−2の阻害曲線で、M14−G11表面に対するIGF−1Rの結合が飽和状態に達することはなく、このことは、直接的な抗体/リガンドの競合も可能であることを示唆している。この受容体に対するIGF−1およびIGF−2の結合の量論量は、受容体内に可能な結合部位が2個存在する場合であっても、1:1である。これらの部位の1つにリガンドが結合すると、受容体の反対側にある第2の部位を認識する能力がなくなると考えられる。IGF−1の量論量の結果は、公開済の研究結果と一致している(Jannson M.ら、J.Biol.Chem.(1997)8189−8197)。
SPRアッセイにおいて、IGF−1およびIGF−2の両方とも、hIGF−1R−Hisが、M13−C06表面およびM14−G11表面に結合する能力を低下させた(図13Cおよび13D)。M13−C06表面にIGF−1Rが結合する能力の低下は、IGF−1およびIGF−2が飽和濃度の状態でも、ほんの約20〜25%であり、このことは、このリガンドが、M13−C06に対するIGF−1Rの親和性をアロステリック効果によって低下させていることを示唆している。IGF−1およびIGF−2の阻害曲線で、M14−G11表面に対するIGF−1Rの結合が飽和状態に達することはなく、このことは、直接的な抗体/リガンドの競合も可能であることを示唆している。この受容体に対するIGF−1およびIGF−2の結合の量論量は、受容体内に可能な結合部位が2個存在する場合であっても、1:1である。これらの部位の1つにリガンドが結合すると、受容体の反対側にある第2の部位を認識する能力がなくなると考えられる。IGF−1の量論量の結果は、公開済の研究結果と一致している(Jannson M.ら、J.Biol.Chem.(1997)8189−8197)。
(iii)抗IGF−1R抗体のIGF−1およびIGF−2をブロックする特性
5種類の抗体(M13−C06、M14−C03、M14−G11、P1E2およびαIR)が、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを阻害する能力について、ELISA系競合アッセイで試験した。M13−C06およびM14−C03は、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを両方ともブロックした(図13A〜D)。飽和濃度のM13−C06またはM14−C03が存在する条件下でさえ、このアッセイにおいて、リガンドの濃度を上げることによって、IGF−1またはIGF−2は、部分的に結合した。さらに、M13−C06およびM14−C03の阻害曲線の中間点(IC50)は、このアッセイにおけるIGF−1またはIGF−2の濃度には依存しなかった。両方の結果から、リガンドのブロッキングはアロステリック効果による機序であることが示唆される。飽和濃度のM13−C06またはM14−C03が存在する状態、および存在しない状態で、ヒトIGF−1 Hisを滴定すると、hIGF−1R−Fcに対するリガンドの見かけ親和性が失われていることが示された。このデータから、M13−C06抗体が存在すると、hIGF−1R−Fcに対するヒトIGF−1 Hisの親和性がほぼ1/50倍に低下することが示唆される(図14A)。P1E2もαIR3も、IGF−1をアロステリック効果によってブロックするが、IGF−1Rに対するIGF−2の結合にはほとんど影響を与えない(図13A〜D)。αIR3に関するこれらの結果は、公開されている結果と一致している(Jacobs 1986)。M14−G11は、競合的な様式で、IGF−1およびIGF−2の両方をブロックすると考えられる(図13A〜D)。M14−G11のIC50は、アッセイで使用するIGF−1の濃度に依存する。飽和濃度のM14−G11は、両リガンドを100%ブロックするが、M14−G11の濃度がIC50より高くなると、アロステリックなブロッカーになる。
5種類の抗体(M13−C06、M14−C03、M14−G11、P1E2およびαIR)が、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを阻害する能力について、ELISA系競合アッセイで試験した。M13−C06およびM14−C03は、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを両方ともブロックした(図13A〜D)。飽和濃度のM13−C06またはM14−C03が存在する条件下でさえ、このアッセイにおいて、リガンドの濃度を上げることによって、IGF−1またはIGF−2は、部分的に結合した。さらに、M13−C06およびM14−C03の阻害曲線の中間点(IC50)は、このアッセイにおけるIGF−1またはIGF−2の濃度には依存しなかった。両方の結果から、リガンドのブロッキングはアロステリック効果による機序であることが示唆される。飽和濃度のM13−C06またはM14−C03が存在する状態、および存在しない状態で、ヒトIGF−1 Hisを滴定すると、hIGF−1R−Fcに対するリガンドの見かけ親和性が失われていることが示された。このデータから、M13−C06抗体が存在すると、hIGF−1R−Fcに対するヒトIGF−1 Hisの親和性がほぼ1/50倍に低下することが示唆される(図14A)。P1E2もαIR3も、IGF−1をアロステリック効果によってブロックするが、IGF−1Rに対するIGF−2の結合にはほとんど影響を与えない(図13A〜D)。αIR3に関するこれらの結果は、公開されている結果と一致している(Jacobs 1986)。M14−G11は、競合的な様式で、IGF−1およびIGF−2の両方をブロックすると考えられる(図13A〜D)。M14−G11のIC50は、アッセイで使用するIGF−1の濃度に依存する。飽和濃度のM14−G11は、両リガンドを100%ブロックするが、M14−G11の濃度がIC50より高くなると、アロステリックなブロッカーになる。
固有で重複しないエピトープと、抗体とを組み合わせると、抗IGF−1R抗体のブロック性能(IC50)が高まり、リガンドを見かけ上完全にブロックする(図15Bおよび15C)。M13−C06は、リガンド結合部位とは反対側にあり、遠く離れたFnIIIドメイン上にある大きな表面に結合していることが分かっており、このことは、アロステリック効果によるブロック機序と一致している。M14−G11およびαIR3は、CRRドメインおよびL2ドメインに存在する重複する表面に結合する。M14−G11のエピトープは、リガンド結合部位と直接隣接したCRRドメイン表面にあり、このことは、見かけ挙動が競合的なリガンドブロック挙動であることと一致している。αIR3のエピトープは、リガンド結合部位に垂直な表面にあり、このことは、このエピトープがアロステリックなブロック強度を示すことと一致している。アロステリックな阻害剤M13−C06と、競合的な阻害剤M14−G11またはアロステリックな競合剤αIR3とを組み合わせると、それぞれの抗体個別のIC50値よりも低い値で、IGF−1およびIGF−2を見かけ上100%ブロックした。このデータは、阻害性の抗IGF−1R抗体の組み合わせによる相乗的な活性を示しており、このデータを表9および表10に示している。
(実施例5 IGF−1Rのアロステリック効果による抗体阻害剤および競合的な抗体阻害剤の残基特異的なエピトープマッピング)
a.方法
i.エピトープマッピング変異
STRATAGENETM部位特異的変異キットを用い、製造業者のプロトコルにしたがって、野生型hIGF−1R−Fc PV−90プラスミドを突然変異させることによって、46種類の変異エピトープマッピングライブラリを構築した。それぞれの変異(または、2箇所の変異)をPV−90ベクターに組み込み、これをDNA配列決定装置で確認した。DNA産生のために、プラスミドをDH5α(Invitrogen、カタログ番号18258−012)に形質転換し、37℃で一晩培養し、Qiagen Miniprep Kitを用いてプラスミドをminiprep処理し、Qiagen Endotoxin−Free Maxikitを用いてプラスミドをmaxiprep処理した。PolyFectトランスフェクションキット(Qiagen)を用い、それぞれの変異プラスミド200μgをHEK293 T細胞 100mLに2×106細胞/mLで一過性にトランスフェクトし、可溶性タンパク質を培地に分泌させた。細胞を、DMEM(Ivrine Scientific)、10% FBS(低IgGウシ血清、20mLのプロテインAカラムを通すことによって、ウシIgGをさらに減らしたもの)に入れ、CO2インキュベーター中、37℃で培養した。7日後、1200rpmで遠心分離して、それぞれのIGF−1R−Fc変異体を含む上澄みを集め、0.2μmフィルターで濾過した。1.2mLのプロテインA Sepharose FFカラムを1×PBSで平衡状態にしておき、このカラムに上澄みを通すことによって、それぞれの変異体を親和性精製した。0.1M グリシン(pH3.0)を用いて、上述のカラムから変異体を溶出させ、1M Tris(pH8.5)、0.1% Tween−80で中和し、VivaSpin 6 MWCO 30,000遠心濃縮装置(Sartorius、カタログ番号VS0621)で、体積が約300μLになるまで濃縮した。
a.方法
i.エピトープマッピング変異
STRATAGENETM部位特異的変異キットを用い、製造業者のプロトコルにしたがって、野生型hIGF−1R−Fc PV−90プラスミドを突然変異させることによって、46種類の変異エピトープマッピングライブラリを構築した。それぞれの変異(または、2箇所の変異)をPV−90ベクターに組み込み、これをDNA配列決定装置で確認した。DNA産生のために、プラスミドをDH5α(Invitrogen、カタログ番号18258−012)に形質転換し、37℃で一晩培養し、Qiagen Miniprep Kitを用いてプラスミドをminiprep処理し、Qiagen Endotoxin−Free Maxikitを用いてプラスミドをmaxiprep処理した。PolyFectトランスフェクションキット(Qiagen)を用い、それぞれの変異プラスミド200μgをHEK293 T細胞 100mLに2×106細胞/mLで一過性にトランスフェクトし、可溶性タンパク質を培地に分泌させた。細胞を、DMEM(Ivrine Scientific)、10% FBS(低IgGウシ血清、20mLのプロテインAカラムを通すことによって、ウシIgGをさらに減らしたもの)に入れ、CO2インキュベーター中、37℃で培養した。7日後、1200rpmで遠心分離して、それぞれのIGF−1R−Fc変異体を含む上澄みを集め、0.2μmフィルターで濾過した。1.2mLのプロテインA Sepharose FFカラムを1×PBSで平衡状態にしておき、このカラムに上澄みを通すことによって、それぞれの変異体を親和性精製した。0.1M グリシン(pH3.0)を用いて、上述のカラムから変異体を溶出させ、1M Tris(pH8.5)、0.1% Tween−80で中和し、VivaSpin 6 MWCO 30,000遠心濃縮装置(Sartorius、カタログ番号VS0621)で、体積が約300μLになるまで濃縮した。
ii.IGF−1R変異のウェスタンブロット分析
hIGF−1R−Fc変異体サンプルを、Xcell SureLock Mini Cell(Invitrogen カタログ番号EI0001)を用い、標準的な製造者のプロトコルにしたがって、4〜20% Tris−Glycineゲル(Invitrogen カタログ番号EC6028)で処理した。iBlot Dry Blotting System(Invitrogen カタログ番号IB1001)およびTransfer Stacks(Invitrogen カタログ番号IB3010−01または3010−02)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、サンプルをニトロセルロースに移した。4℃で、PBST25mlおよび脱脂粉乳5mg/ml中、膜を一晩ブロックした。ブロックした後、室温で、PBST 25mlで膜を5分間、1回洗浄した。PBST 10ml中、濃度1:100で一次抗−IGF−1Rβ抗体(Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc−9038)とともに膜を室温で1時間インキュベートした。次いで、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した。 検出のために、PBST 10ml中、濃度1:1000で、膜をHRPコンジュゲート型ヤギ抗−ウサギIgG−Fc二次抗体(US Biological カタログ番号I1904−40J)とともに室温で1時間インキュベートした。室温で、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した後、PBST 25mlで20分間洗浄した。Amersham ECL Western Blotting Analysis System(GE Healthcare カタログ番号RPN2108)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、タンパク質のバンドを検出した。
hIGF−1R−Fc変異体サンプルを、Xcell SureLock Mini Cell(Invitrogen カタログ番号EI0001)を用い、標準的な製造者のプロトコルにしたがって、4〜20% Tris−Glycineゲル(Invitrogen カタログ番号EC6028)で処理した。iBlot Dry Blotting System(Invitrogen カタログ番号IB1001)およびTransfer Stacks(Invitrogen カタログ番号IB3010−01または3010−02)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、サンプルをニトロセルロースに移した。4℃で、PBST25mlおよび脱脂粉乳5mg/ml中、膜を一晩ブロックした。ブロックした後、室温で、PBST 25mlで膜を5分間、1回洗浄した。PBST 10ml中、濃度1:100で一次抗−IGF−1Rβ抗体(Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc−9038)とともに膜を室温で1時間インキュベートした。次いで、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した。 検出のために、PBST 10ml中、濃度1:1000で、膜をHRPコンジュゲート型ヤギ抗−ウサギIgG−Fc二次抗体(US Biological カタログ番号I1904−40J)とともに室温で1時間インキュベートした。室温で、PBST 25mlで膜を5分間、3回洗浄した後、PBST 25mlで20分間洗浄した。Amersham ECL Western Blotting Analysis System(GE Healthcare カタログ番号RPN2108)を用い、標準的な製造業者のプロトコルにしたがって、タンパク質のバンドを検出した。
iii.IGF−1R−Fc変異ライブラリの表面プラズモン分析
表面プラズモン共鳴(SPR)実験を、25℃に設定したBiacore 3000を用いて行った。mIGF−1R−FcおよびhIGF−1R−Fcは、M13−C06、M14−C03およびM14−G11を固定した研究グレードのCM5センサーチップ表面に対し、高い見かけ親和性で結合する。標準的な製造業者のプロトコルを用い、それぞれの抗体(10mM アセテート(pH4.0)で100μg/mL)を、EDC/NHSで活性化したセンサーチップ表面に注入することによって、抗体センサーチップ表面を調製した。mIGF−1R−Fcが、抗体表面に結合する能力は、タンパク質の見かけ結合活性が高い結果であった。hIGF−1R−Fcタンパク質およびmIGF−1R−Fcタンパク質は、2個の別個のホモダイマー領域(IGF−1RおよびIgG1−Fc)が組み込まれているため、両方ともオリゴマー化する。hIGF−1R−Fcに対する抗体の高い実際の結合親和性と、mIGF−1R−Fcに対する抗体の低い結合親和性を区別するために、M13−C06およびM14−G11のセンサーチップ表面で受容体−Fc融合物を捕捉した後、抗体(αIR3およびP1E2)または抗体Fab(M13−C06、M14−C03およびM14−G11)を注入して加えた。受容体−Fc構築物を親和性精製し、濃縮したものを60μL、流速1μL/分で注入することによって、抗体表面で捕捉した。その後、受容体−Fc結合工程が終了したら、流速を5μL/分に上げた。各受容体−Fc構築物を結合させた後、M13−C06 Fab抗体またはαIR3抗体を10nM、3nM、または1nMで含む溶液、またはM14−C03 Fab、M14−G11 FabまたはP1E2抗体を30nM、10nMまたは3nMで含む溶液を注入した(50μL)。抗体の注入が完了してから7分間、解離を測定した。最後に、流速を30μL/分に上げ、チップ表面に0.1Mグリシン(pH2)を10μL、2回注入することによってチップ表面を再生した。
表面プラズモン共鳴(SPR)実験を、25℃に設定したBiacore 3000を用いて行った。mIGF−1R−FcおよびhIGF−1R−Fcは、M13−C06、M14−C03およびM14−G11を固定した研究グレードのCM5センサーチップ表面に対し、高い見かけ親和性で結合する。標準的な製造業者のプロトコルを用い、それぞれの抗体(10mM アセテート(pH4.0)で100μg/mL)を、EDC/NHSで活性化したセンサーチップ表面に注入することによって、抗体センサーチップ表面を調製した。mIGF−1R−Fcが、抗体表面に結合する能力は、タンパク質の見かけ結合活性が高い結果であった。hIGF−1R−Fcタンパク質およびmIGF−1R−Fcタンパク質は、2個の別個のホモダイマー領域(IGF−1RおよびIgG1−Fc)が組み込まれているため、両方ともオリゴマー化する。hIGF−1R−Fcに対する抗体の高い実際の結合親和性と、mIGF−1R−Fcに対する抗体の低い結合親和性を区別するために、M13−C06およびM14−G11のセンサーチップ表面で受容体−Fc融合物を捕捉した後、抗体(αIR3およびP1E2)または抗体Fab(M13−C06、M14−C03およびM14−G11)を注入して加えた。受容体−Fc構築物を親和性精製し、濃縮したものを60μL、流速1μL/分で注入することによって、抗体表面で捕捉した。その後、受容体−Fc結合工程が終了したら、流速を5μL/分に上げた。各受容体−Fc構築物を結合させた後、M13−C06 Fab抗体またはαIR3抗体を10nM、3nM、または1nMで含む溶液、またはM14−C03 Fab、M14−G11 FabまたはP1E2抗体を30nM、10nMまたは3nMで含む溶液を注入した(50μL)。抗体の注入が完了してから7分間、解離を測定した。最後に、流速を30μL/分に上げ、チップ表面に0.1Mグリシン(pH2)を10μL、2回注入することによってチップ表面を再生した。
b.結果
i.予備的なエピトープマッピング−エピトープの位置を決定
19種類の変異体を予備的に構築し、阻害性を有する抗−IGF−1R抗体のエピトープの位置を決定した。M13−C06、M14−C03およびM14−G11が、マウスIGF−1Rに対してほとんど活性を示さないという結果から、本願発明者らは、阻害性を有する抗−IGF−1R抗体のエピトープの位置を決定可能なヒトIGF−1Rの限定的な変異のセットを特定した。マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとは、一次配列の同一性が95%である。細胞外領域において、マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとで異なる残基は33種類である。これらの残基のうち、INSR細胞外領域内にある相同性の位置が、最近のINSR血漿構造に基づいて溶媒にさらされる位置であるため、20残基を変異標的とした(pdbコードは2DTG、McKern 2006)。接近可能な表面の面積を、プローブ半径1.4Åを用い、StrucTools(http://molbio.info.nih.gov/structbio/basic.html)で算出した。変異箇所が、一次配列でお互いにくっついている4つの変異対を特定した。これらの場合、それぞれの対は、1個の構築物の中で2箇所が変異していた。したがって、20残基の位置は、16種類の変異構築物をもたらした。IGF−1/IGF−2の結合にとって重要であることが示されている、FnIII−2領域の構造化されていないループ領域に存在する4個の残基を選択して突然変異を生成させた(Whittaker 2001; Sorensen 2004)。これらの位置のうち2つは、一次配列で近い位置にあり、1個の変異構築物内で組み合わされ得る。19種類の予備的な変異体(SD001〜SD019)の最終的なリストを表11に示す。表11に示した残基の付番は、30残基のIGF−1Rシグナルペプチドが開裂したものであることを前提としている。100 mLのHEK293細胞で、1週間一過性トランスフェクトすることによって、それぞれの構築物を、構築し、プロテインAクロマトグラフィーで精製した。変異IGF−1R構築物の精製物を濃縮し、ウェスタンブロット分析によって、発現/折りたたみについてアッセイした。すべての変異構築物について、発現量は10〜30μgであった。
i.予備的なエピトープマッピング−エピトープの位置を決定
19種類の変異体を予備的に構築し、阻害性を有する抗−IGF−1R抗体のエピトープの位置を決定した。M13−C06、M14−C03およびM14−G11が、マウスIGF−1Rに対してほとんど活性を示さないという結果から、本願発明者らは、阻害性を有する抗−IGF−1R抗体のエピトープの位置を決定可能なヒトIGF−1Rの限定的な変異のセットを特定した。マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとは、一次配列の同一性が95%である。細胞外領域において、マウスIGF−1RとヒトIGF−1Rとで異なる残基は33種類である。これらの残基のうち、INSR細胞外領域内にある相同性の位置が、最近のINSR血漿構造に基づいて溶媒にさらされる位置であるため、20残基を変異標的とした(pdbコードは2DTG、McKern 2006)。接近可能な表面の面積を、プローブ半径1.4Åを用い、StrucTools(http://molbio.info.nih.gov/structbio/basic.html)で算出した。変異箇所が、一次配列でお互いにくっついている4つの変異対を特定した。これらの場合、それぞれの対は、1個の構築物の中で2箇所が変異していた。したがって、20残基の位置は、16種類の変異構築物をもたらした。IGF−1/IGF−2の結合にとって重要であることが示されている、FnIII−2領域の構造化されていないループ領域に存在する4個の残基を選択して突然変異を生成させた(Whittaker 2001; Sorensen 2004)。これらの位置のうち2つは、一次配列で近い位置にあり、1個の変異構築物内で組み合わされ得る。19種類の予備的な変異体(SD001〜SD019)の最終的なリストを表11に示す。表11に示した残基の付番は、30残基のIGF−1Rシグナルペプチドが開裂したものであることを前提としている。100 mLのHEK293細胞で、1週間一過性トランスフェクトすることによって、それぞれの構築物を、構築し、プロテインAクロマトグラフィーで精製した。変異IGF−1R構築物の精製物を濃縮し、ウェスタンブロット分析によって、発現/折りたたみについてアッセイした。すべての変異構築物について、発現量は10〜30μgであった。
それぞれの変異IGF−1R−Fc機能構築物との相互作用について、表面プラズモン分解(Biacore)を用い、M13−C06、M14−C03、M14−G11、P1E2およびαIR3をアッセイした。このアッセイの変数としての、IGF−1R−Fc融合構築物の濃度の不確かさを除去するために、それぞれの変異構築物を、M13−C03、M14−C03およびM14−G11を約10,000RUで固定した研究グレードのCM5センサーチップで捕捉した。抗体が、捕捉した変異IGF−1R構築物に結合するのを視覚的に見やすくするために、本願発明者らは、酵素によって誘導したM13−C06、M14−C03およびM14−G11の抗原結合フラグメント(Fabs)を使用した。
上述の予備的な19種類の変異構築物の中で、SD015(E464H)のみが、M13−C06 FabおよびM14−C03 Fabが、IGF−1Rに結合する能力に影響を与えた。残基464がヒスチジンに変異すると、両方のFabとの結合反応が完全に抑えられる。他の変異IGF−1R構築物は、すべて、匹敵する平衡解離定数であった(M13−C06 FabおよびM14−C03 Fabの場合、それぞれ、KD=1nMおよび5nM)。これらの実験では、M13−C06抗体およびM14−C03抗体のエピトープを、FnIII−1領域表面に局在化する。上述の2種類の抗体のVH CDR領域は、きわめてよく似ており(38残基のうち、26残基が同一である)、VL領域のCDR領域は無関係であり、抗原認識能力がVHに強く偏っていると示唆する。驚くべきことではないが、上述の2種の抗体は、互いに効率よく交差的にブロックする。Soosらは、IR/IGF−1Rキメラを用いて、2番目のロイシンに富む繰り返し領域(L2)および1番目のIII型フィブロネクチン領域(FnIII−1)内にある1つ以上のエピトープが受容体の阻害可能性につながることを示している(Soos 1992)。この範囲は、残基333〜609の合計276残基に広がっている。対照的に、本明細書に記載した詳細なエピトープマッピング試験は、エピトープが、複数の重複しない残基に広がっており、FnIII−1ドメイン内の1個の残基E464が、抗体の結合にとって特に重要であることを示している。
19種類の変異体のうち、SD008(S257F)およびSD012(E303G)の変異のみが、それぞれ、システインに富む繰り返し(CRR)領域およびL2領域にあり、M14−G11 Fabが、ヒトIGF−1Rを認識する能力を弱めた(表11)。両方の場合で、変異によって、KD測定値に基づく親和性が、ほぼ1/3倍に低下した。他の変異IGF−1R構築物は、SD015も含めてすべて、M13−C06およびM14−C03に対して反応性を示さず、野生型の親和性を有するM14−G11 Fab(KD 約4〜6nM)に結合した。
αIR3およびP1E2も、予備的な変異ライブラリに対してスクリーニングした。これらの両抗体は、野生型ヒトIGF−1R−Fcと比較して、SD012に対する親和性が同様に低下した。しかし、SD008への結合力の低下は、P1E2のみであった(表11)。
ii.詳細なエピトープマッピング:M13−C06抗体およびM14−C03抗体のエピトープの残基特異的な定義
M13−C06およびM14−C03のエピトープが、IGF−1RのFnIII−1領域に局在化しているという予備的なIGF−1R変異ライブラリの結果に基づいて、IGF−1Rの元々の変異部分であり、この部分によって抗体の結合力が失われるE464Hの周囲にある表面を調べるように、第2の変異体群を設計した。三次元でE464と近いという観点で、全部で21の変異残基を選択した(残基464での元々のヒスチジン変異以外の異なる変異を含む)。インスリン受容体の三次元構造を用い、464の周囲にある残基の近さを概算した。一次配列で隣接している変異について、7対の残基を特定した。これらの残基対の変異は、同時に行われ、二箇所に変異がある物質を提供する。したがって、この第2の変異体群は、表20にSD101〜SD114で列挙された14種類の構築物からなった。
M13−C06およびM14−C03のエピトープが、IGF−1RのFnIII−1領域に局在化しているという予備的なIGF−1R変異ライブラリの結果に基づいて、IGF−1Rの元々の変異部分であり、この部分によって抗体の結合力が失われるE464Hの周囲にある表面を調べるように、第2の変異体群を設計した。三次元でE464と近いという観点で、全部で21の変異残基を選択した(残基464での元々のヒスチジン変異以外の異なる変異を含む)。インスリン受容体の三次元構造を用い、464の周囲にある残基の近さを概算した。一次配列で隣接している変異について、7対の残基を特定した。これらの残基対の変異は、同時に行われ、二箇所に変異がある物質を提供する。したがって、この第2の変異体群は、表20にSD101〜SD114で列挙された14種類の構築物からなった。
この14種類の変異構築物の発現、精製および品質制御は、予備的な第1の変異体群(SD001〜SD019)の場合と同様に行った。14種類の構築物は、ウェスタンブロットによれば、十分に発現し、折りたたみ構造であった(SD114を除く)。SD114は、発現量が非常に少なく、M13−C06、M14−C03またはM14−G11を用いたBiacore実験でも反応しなかった。この変異体は、完全に異なるエピトープを認識している。したがって、変異構築物のデータからは除外した。他の13種類の構築物は、M13−C06およびM14−C03のエピトープについて、位置を残基特異的に特定することができた。残基特定結果を表11に列挙している。 まとめると、M13−C06およびM14−C03のエピトープは、ほぼ同じであり、FnIII−1領域に完全に含まれている。最も重要な(おそらく中心となる)残基は、461および462であった。残基461および462に変異を含むSD103は、M13−C06 FabおよびM14−C03 Fabに対し、全く反応せず、M13−C06表面およびM14−C03表面に対し、全く反応しない。M14−G11表面に対するSD103の結合は、任意の他のFnIII−2変異構築物と異なっておらず、この結合性が完全に失われることは、エピトープ特異性によるものであることを示す。IGF−1Rに対する抗体の親和性を完全になくすか、または大きく減らす(親和性において、1/100倍よりも大きい低下)他の変異は、IGF−1Rの残基459、460、464、480、482、483、570および571にあることが分かっている。野生型ヒトIGF−1Rに対し、抗体の親和性を少しだけ低下させる(2.5≧KD≧10nM)変異は、残基466、467、564、565にあることが分かっている。これらの残基の位置を、相同性IR構造の表面とマッピングした(図16、McKernら、2006)。
エピトープの位置および表面積の大きさに基づくと、M13−C06およびM14−C03が、IGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によって阻害することは驚くにあたらない。このエピトープは、既知のリガンド結合表面とは反対の受容体面にある(Whittaker 2001、Sorensen 2004)。公開されている研究結果から、残基440〜586を認識する抗体は、IGF−1の結合に対し、阻害効果とアゴニスト効果の両方を有することが示されている(Soos 1992、Keynanfar 2007)。IGF−1Rの内部で、アミノ酸残基440〜586は、L2およびFnIII−1のすべてをあらわし、抗−IGF−1R抗体に接近可能な、オーバーラッピング面ではないと思われる箇所が多く存在する。本願発明者らの研究は、本願発明者らが知る限り、阻害性を有するエピトープを、残基に特異的な分解能で、受容体上の特定の領域に局在化する最初の研究である。インスリン受容体(IR)の最近の構造は、インスリンがインスリン受容体に結合するのを阻害することが知られている抗−INSR抗体とともに結晶化させたものであった(McKern 2006)。IGF−1RのHis464と相同性の残基(IRのK474)は、この抗体がIRと結合する表面の一部分である。M13−C06が、IGF−1がIGF−1Rに結合するのを、アンタゴニストである抗−INSR抗体が阻害する機序と同様の阻害機序を有する可能性がある。Biacoreの結果に基づき、M13−C06は、結合速度を下げることによって、IGF−1を阻害すると考えられる(おそらくIGF−2も)。この抗体は、IGF−1およびIGF−2が、受容体結合部位に近づくことを困難にする構造で、受容体の細胞外領域を捕捉すると考えられる。
iii.詳細なエピトープマッピング−M14−G11、P1E2およびαIR3抗体エピトープの残基特異的な定義
M14−G11、P1E2およびαIR3のエピトープが、IGF−1RのCRR領域およびL2領域に局在化しているという予備的なIGF−1R変異ライブラリの結果に基づいて、IGF−1Rの元々の変異部分であり、この部分によって抗体の結合力が失われるS257FおよびE303Gの周囲にある表面を調べるように、第3の変異体群を設計した。三次元でS257FおよびE303Gと近いという観点で、全部で21の変異残基を選択した(残基257での元々のフェニルアラニン変異以外の異なる変異を含む)。インスリン受容体の三次元構造を用い、S257およびE303の周囲にある残基の近さを概算した。一次配列で隣接している変異について、2対の残基を特定した。これらの残基対の変異は、同時に行われ、二箇所に変異がある物質を提供する。したがって、この第2の変異体群は、表11にSD201〜SD213で列挙された13種類の構築物からなる。
M14−G11、P1E2およびαIR3のエピトープが、IGF−1RのCRR領域およびL2領域に局在化しているという予備的なIGF−1R変異ライブラリの結果に基づいて、IGF−1Rの元々の変異部分であり、この部分によって抗体の結合力が失われるS257FおよびE303Gの周囲にある表面を調べるように、第3の変異体群を設計した。三次元でS257FおよびE303Gと近いという観点で、全部で21の変異残基を選択した(残基257での元々のフェニルアラニン変異以外の異なる変異を含む)。インスリン受容体の三次元構造を用い、S257およびE303の周囲にある残基の近さを概算した。一次配列で隣接している変異について、2対の残基を特定した。これらの残基対の変異は、同時に行われ、二箇所に変異がある物質を提供する。したがって、この第2の変異体群は、表11にSD201〜SD213で列挙された13種類の構築物からなる。
この13種類の変異構築物の発現、精製および品質制御は、予備的な第1の変異体群(SD001〜SD019)の場合と同様に行った。これらの構築物は、ウェスタンブロットによれば、すべて十分に発現し、折りたたみ構造であった(SD213を除く)。SD213のデータは、受容体の折りたたみ状態の周囲が不明確なので、除外した。他の12種類の構築物は、M14−G11、P1E2およびαIR3のエピトープについて、位置を残基特異的に特定することができる。残基特定結果を表11に列挙している。M14−G11、P1E2およびαIR3のエピトープは、異なっている。驚くべきことではないが、M14−G11は、IGF−1およびIGF−2を両方とも競合的に阻害する薬剤であることが示されたが、P1E2およびαIR3は、IGF−1の結合のみをアロステリック効果によって阻害することが示された。M14−G11のエピトープは、リガンド結合に影響を与えることが知られている残基と直接接している表面の、CRR領域の中心部に近い位置にある(Whittaker 2001、Sorensen 2004)。M14−G11の結合力が失われる状況は、位置248および250で見られた。残基254での変異は、受容体に対する抗体の親和性の低下率が中程度であった(野生型IGF−1RのKDに対して10倍≧KD≧100倍)。残基257、259、260、263、265および303を含む、主にCRRでの多くの他の変異は、受容体に対するM14−G11の親和性を少しだけ低下させる(野生型IGF−1RのKDに対して2.5倍≧KD≧10倍)。これらの残基の位置を、IGF−1Rの最初の3種類の細胞外ドメインの公開済構造の表面とマッピングした(図17、(Garrett 1998))。
P1E2およびαIR3のエピトープは、互いによく似ており、小さな部分が少しだけ異なっている。これらのエピトープは、主に、CRR領域のM14−G11のエピトープと重なる残基にあるが、IGF−1/IGF−2結合ポケットからわずかに離れて回転した位置に、受容体表面が存在している。さらに、CRR領域のC末端の残基と、L2領域にある残基(M14−G11の結合に影響を与える部分とは離れている)は、αIR3の親和性のみを少しだけ低下させることが分かった(表11)。IGF−1Rに対するP1E2の結合は、残基254および265の変異によって失われ、低下率は中程度であり(野生型IGF−1RのKDに対して10倍≧KD≧100倍)、残基248および303の変異によって、少しだけ低下する(野生型IGF−1RのKDに対して2.5倍≧KD≧10倍)。IGF−1Rに対するαIR3の結合は、残基248および265の変異によって失われ、残基254の変異によって、低下率は中程度であり(野生型IGF−1RのKDに対して10倍≧KD≧100倍)、残基263、301、303、308、327および379の変異によって、少しだけ低下する(野生型IGF−1RのKDに対して2.5倍≧KD≧10倍)。IGF−1Rに対するP1E2およびαIR3の結合に影響を与える残基の位置(2個の抗体に対する影響の平均)を、IGF−1Rの最初の3つの細胞外領域の構造とマッピングした(図18、(Garrett 1998))。αIR3およびP1E2は、同じアロステリック効果を有していると考えられ、文献に最近記載された2個の抗体の結合特性をIGF−1のみがブロックすると考えられる(Keyhanfar 2007)。残基241、242、251および266が、これらの抗体が受容体に結合する能力に影響を与えることが示された。本願発明者らのデータは、この文献と一致しており、残基257および265も重要であることが示唆された。
M14−G11エピトープ(IGF−1およびIGF−2を競合的にブロックする)とP1E2/αIR3エピトープとの主な違いは、IGF−1R結合部位に隣接した領域であるということである。残基248、250および254を同時に認識する能力は、M14−G11が、IGF−1およびIGF−2の結合を両方とも競合的にブロックすることを規定する因子であると思われる。P1E2およびαIR3の両方は、D250Sの変異には全く影響を与えず、M14−G11がこの受容体に結合する力を完全に失わせる。IGF−1Rに対するM14−G11の結合は、IGF−1結合部位に近いCRR領域の内側にある変異によって弱められ(残基259および260、図17および18)、この抗体が、リガンドが受容体に結合するのをどのようにして立体的にブロックし、競合的にブロックするのかを説明している。これらの位置での変異は、P1E2またはαIR3の結合には全く影響を与えなかった。P1E2およびαIR3の親和性は、IGF−1が結合する溝部分のわずかに外側の表面にある変異によって弱められる(図17および18)。したがって、M14−G11によって特異的に認識され、リガンドの結合を競合的にブロックすると考えられる残基は、D250、E259およびS260である。
αIR3およびM14−G11がIGF−1Rに結合するのを弱める残基の変異は、CRR領域の中心部からL2領域にのびている。これらの残基が、平均抗体エピトープ領域を記載する公開済の結果に基づいて、抗体と同時に直接的に結合するということは考えにくい(Davies 1996)。最近のデータから、繰り返しタンパク質の安定性および折りたたみは、ほとんどの球状領域で異なっていることが示されている(Kajander 2005)。繰り返し領域は、単離されたαらせんのらせん−コイル変換と同様に、共同的ではない折りたたみ/ほどけ反応を受ける構造を伸ばす傾向がある。単純に考えると、球状領域は、一般的に、共同して折りたたまれ、1個のもともと折りたたまれていた状態または変性状態のいずれかで存在する。球状領域の構造は、変異によって、領域全体がほどけてしまわないかぎり、1個の変異によって部分的に破壊されない。対照的に、折りたたまれた繰り返し領域は、変異があると、折りたたまれていない元々の状態に徐々に戻る。このように、抗体の結合に影響を与えるIGF−1RのCRR領域またはL2領域の表面に沿った変異は、この領域の最終的な構造(または順序)を変えることによってこのような現象を引き起こし得る。この機序は、部分的なCRR領域またはL2領域の構造を抗体が安定化すると、CRR領域とリガンドとの力学的な結合反応が影響を受けることがあることを説明している。この現象は、リガンドの結合を抗体が立体的にブロックする(M14−G11)のでない限り、アロステリックな様式で起こると予想される(P1E2およびαIR3で観察した場合)。
表11 IGF−1R変異体の全リスト、およびこの変異体が抗体の結合に与える影響
a効果なし(NE):測定したKDが、WT hIGF−1R−Fcの2.5倍以内である;弱い(W):測定したKDが、WTよりも2.5〜10倍大きい;中程度(M):測定したKDが、WTよりも10〜100倍大きい;強い(S):抗体に対する結合が、変異によって失われた;nd:判定していない。*「折りたたみに影響を受けた」は、おそらく、受容体の「折りたたみ」が「影響を受けた」ために、変異受容体の発現が弱められ、タンパク質が、異常な様式で挙動することを暗示している。
a効果なし(NE):測定したKDが、WT hIGF−1R−Fcの2.5倍以内である;弱い(W):測定したKDが、WTよりも2.5〜10倍大きい;中程度(M):測定したKDが、WTよりも10〜100倍大きい;強い(S):抗体に対する結合が、変異によって失われた;nd:判定していない。*「折りたたみに影響を受けた」は、おそらく、受容体の「折りたたみ」が「影響を受けた」ために、変異受容体の発現が弱められ、タンパク質が、異常な様式で挙動することを暗示している。
結論として、IGF−1Rの細胞外ドメインの表面にある2個の別個のエピトープによって、受容体を阻害可能であることが示された。これらの2個のエピトープに関する、新しい残基特異的なエピトープマッピングによる情報は、46種類の1個のIGF−1R変異または2個のIGF−1R変異に基づいた。第1のエピトープは、FnIII−1にあり、IGF−1およびIGF−2の結合をアロステリック効果によってブロックする。第2のエピトープは、CRR領域にあり、IGF−1/IGF−2の推定結合部位に近い。本願発明者らは、この領域にある抗体エピトープのわずかな違いによって、1個のリガンド(IGF−1)の結合をアロステリック効果によってブロックする能力と、IGF−1およびIGF−2の両方を競合的にブロックする能力とに分かれることを発見した。両リガンドを競合的にブロックするために標的にすべき特定の残基を、最初に特定した。
(実施例6.リガンドを用いた、別個のIGF−1Rエピトープの組み合わせ標的化−抗体をブロックすると、腫瘍細胞の成長阻害率が高まる)
a.方法
異なるIGF−1Rエピトープに結合する抗体は、個々の抗体自体と比較した場合、腫瘍細胞の成長阻害度が高いであろうことが推察された(図19)。したがって、抗体が、IGF−1およびIGF−2による腫瘍細胞の成長をブロックする能力を、細胞生存アッセイを用いて試験した。BxPC3(ヒト膵腺癌)およびH322M(ヒト非小細胞肺腫瘍)(ATCC)の腫瘍株をATCCから購入した。細胞株を、RPMI−1640(ATCC)および10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific Inc.(Santa Ana,CA,USA))を含む完全成長培地で成長させた。トリプシン−EDTA溶液(Sigma)を用い、培養容器から接着した細胞をはがした。リン酸緩衝化塩水(pH7.2)を、MediaTech Inc.(Herndon,VA,USA)から得た。96ウェルの底が透明なプレートを発光アッセイ用にWallac Incから購入した。細胞が80%の単一層になるまで成長させ、トリプシン処理し、洗浄し、再び懸濁させ、BxPC3細胞およびH322M細胞の場合、8x103細胞/ウェルを、0.5%成長培地200μlを入れた96ウェルプレートに播種した。24時間後、培地を無血清培地(SFM)100μlと交換し、段階的に希釈した4倍濃度の抗体50μlを加えた。37℃でさらに30分間インキュベートした後、最終濃度である1倍濃度になるように、4倍濃度のIGF−1またはIGF−2 50μlを加えた。すべての処理を3つ組で行った。細胞をさらに72時間インキュベートした後、溶解し、CELL TITER−GLOTM Luminescent Cell Viability Assay((Promega Corporation,2800 Woods Hollow Rd.,Madison,WI 53711 USA)を用い、存在するATPの量を決定した。試薬とSFMとの1:1混合物を200μl/ウェルで加えた。Wallac(マサチューセッツ州ボストン)プレートリーダーで発光を検出した。阻害率は、[1−(Ab−SFM)/(IGF−SFM)]×100%で算出した。 アイソタイプの一致した抗体であるIDEC−151(ヒトG4)をネガティブコントロール(“ctr”または“ctrl”)として使用した。
a.方法
異なるIGF−1Rエピトープに結合する抗体は、個々の抗体自体と比較した場合、腫瘍細胞の成長阻害度が高いであろうことが推察された(図19)。したがって、抗体が、IGF−1およびIGF−2による腫瘍細胞の成長をブロックする能力を、細胞生存アッセイを用いて試験した。BxPC3(ヒト膵腺癌)およびH322M(ヒト非小細胞肺腫瘍)(ATCC)の腫瘍株をATCCから購入した。細胞株を、RPMI−1640(ATCC)および10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific Inc.(Santa Ana,CA,USA))を含む完全成長培地で成長させた。トリプシン−EDTA溶液(Sigma)を用い、培養容器から接着した細胞をはがした。リン酸緩衝化塩水(pH7.2)を、MediaTech Inc.(Herndon,VA,USA)から得た。96ウェルの底が透明なプレートを発光アッセイ用にWallac Incから購入した。細胞が80%の単一層になるまで成長させ、トリプシン処理し、洗浄し、再び懸濁させ、BxPC3細胞およびH322M細胞の場合、8x103細胞/ウェルを、0.5%成長培地200μlを入れた96ウェルプレートに播種した。24時間後、培地を無血清培地(SFM)100μlと交換し、段階的に希釈した4倍濃度の抗体50μlを加えた。37℃でさらに30分間インキュベートした後、最終濃度である1倍濃度になるように、4倍濃度のIGF−1またはIGF−2 50μlを加えた。すべての処理を3つ組で行った。細胞をさらに72時間インキュベートした後、溶解し、CELL TITER−GLOTM Luminescent Cell Viability Assay((Promega Corporation,2800 Woods Hollow Rd.,Madison,WI 53711 USA)を用い、存在するATPの量を決定した。試薬とSFMとの1:1混合物を200μl/ウェルで加えた。Wallac(マサチューセッツ州ボストン)プレートリーダーで発光を検出した。阻害率は、[1−(Ab−SFM)/(IGF−SFM)]×100%で算出した。 アイソタイプの一致した抗体であるIDEC−151(ヒトG4)をネガティブコントロール(“ctr”または“ctrl”)として使用した。
b.結果
代謝活性測定で得た細胞ATPを相対的に比較することによって、M13.C06.G4.P.agly(C06)およびM14.G11.G4.P.agly(G11)の抗−IGF1−R抗体が、インビトロで細胞の成長を阻害する能力を間接的に測定した。C06およびG11は両方とも、無血清条件下、用量に依存する様式で、IGF−1およびIGF−2によって刺激されるBxPC3膵臓腫瘍細胞株の成長を阻害した(図20A)。重要なことに、等モル量のC06抗体およびG11抗体と接触させた細胞は、それぞれの抗体単独と接触させた場合と比較して、10nMおよび1nMで、大幅に改善した成長の阻害がみられた(図20A)。C06およびG11の組み合わせを、種々の濃度の抗体(1uM〜0.15nM)で試験する実験によって、上述の結果をさらに確認した。図20Bは、等モル量のC06抗体およびG11抗体を組み合わせると、それぞれの抗体を対応する抗体濃度で単独で用いて観察される場合と比較して、500nMおよび5nMで、大幅に改善した成長の阻害がみられた。
代謝活性測定で得た細胞ATPを相対的に比較することによって、M13.C06.G4.P.agly(C06)およびM14.G11.G4.P.agly(G11)の抗−IGF1−R抗体が、インビトロで細胞の成長を阻害する能力を間接的に測定した。C06およびG11は両方とも、無血清条件下、用量に依存する様式で、IGF−1およびIGF−2によって刺激されるBxPC3膵臓腫瘍細胞株の成長を阻害した(図20A)。重要なことに、等モル量のC06抗体およびG11抗体と接触させた細胞は、それぞれの抗体単独と接触させた場合と比較して、10nMおよび1nMで、大幅に改善した成長の阻害がみられた(図20A)。C06およびG11の組み合わせを、種々の濃度の抗体(1uM〜0.15nM)で試験する実験によって、上述の結果をさらに確認した。図20Bは、等モル量のC06抗体およびG11抗体を組み合わせると、それぞれの抗体を対応する抗体濃度で単独で用いて観察される場合と比較して、500nMおよび5nMで、大幅に改善した成長の阻害がみられた。
膵臓癌細胞株(BxPC3)を用いて観察した阻害を、他の腫瘍細胞にも適用できるかどうかを示すために、非小細胞肺癌に由来するH322M細胞株で、C06およびG11の組み合わせを評価した。図20Cは、10%ウシ胎児血清存在下、標準的な細胞培養条件で成長させたH322Mで観察した効果の例を示している。C06/G11抗体を組み合わせると、いずれかの抗体を単独で使用した場合と比較して、大幅に改善した細胞成長の阻害がみられた。
(実施例7.別のIGF−1Rエピトープと、四価二重特異性抗体とを組み合わせて標的化する)
異なる結合特異性を有する2個の単一特異性抗体の結合部位を組み合わせ、組み合わせた場合に、抗IGF−1R性が高まるか、または相乗効果をおこす四価二重特異性抗体を設計することができる。本発明の四価二重特異性結合分子の例は、第1の結合特異性を有するscFv分子と、第2の結合特異性を有する二価抗体とを含む(図21を参照)。scFv分子を、二価抗体の重鎖のC末端、または二価抗体の軽鎖(NL)または重鎖(NH)のN末端に結合するか、または融合し、二重特異性結合分子を得てもよい。本発明に記載の方法を用い、安定化したscFvが、単に二価抗体のヒンジ領域またはCH2ドメインまたはCH3ドメインに融合した四価二重特異性抗体を遺伝子操作することも可能である。この抗体は、全長Fc領域またはCH2ドメインを欠いたFc領域を含んでいてもよい。他の例示的な実施形態では、2つ以上のscFvドメインを、重鎖または軽鎖の同じ末端に融合してもよい。好ましい実施形態では、scFv分子のうち、少なくとも1つは、安定化したscFv分子である。scFv分子は、PCRによる突然変異生成によって、VH 44とVL 100との間にジスルフィド結合を導入し、および/またはscFvのVHドメインとVLドメインとの間に長さを最適化したリンカー(例えば、Gly4Ser4)(配列番号135)を導入することによって、安定化させることができる。
異なる結合特異性を有する2個の単一特異性抗体の結合部位を組み合わせ、組み合わせた場合に、抗IGF−1R性が高まるか、または相乗効果をおこす四価二重特異性抗体を設計することができる。本発明の四価二重特異性結合分子の例は、第1の結合特異性を有するscFv分子と、第2の結合特異性を有する二価抗体とを含む(図21を参照)。scFv分子を、二価抗体の重鎖のC末端、または二価抗体の軽鎖(NL)または重鎖(NH)のN末端に結合するか、または融合し、二重特異性結合分子を得てもよい。本発明に記載の方法を用い、安定化したscFvが、単に二価抗体のヒンジ領域またはCH2ドメインまたはCH3ドメインに融合した四価二重特異性抗体を遺伝子操作することも可能である。この抗体は、全長Fc領域またはCH2ドメインを欠いたFc領域を含んでいてもよい。他の例示的な実施形態では、2つ以上のscFvドメインを、重鎖または軽鎖の同じ末端に融合してもよい。好ましい実施形態では、scFv分子のうち、少なくとも1つは、安定化したscFv分子である。scFv分子は、PCRによる突然変異生成によって、VH 44とVL 100との間にジスルフィド結合を導入し、および/またはscFvのVHドメインとVLドメインとの間に長さを最適化したリンカー(例えば、Gly4Ser4)(配列番号135)を導入することによって、安定化させることができる。
特定の例示的な実施形態では、四価二重特異性抗体は、M14.G11.G4.P.agly(G11)の可変領域に由来する、安定化したscFv分子に結合しているか、または融合しているM13.C06.G4.P.agly(C06)抗体を含んでいてもよい。あるいは、四価二重特異性抗体は、M13.C06.G4.P.agly(C06)の可変領域に由来する、安定化したscFv分子に結合しているか、または融合しているM14.G11.G4.P.agly(G11)抗体を含んでいてもよい。例えば、(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーを使用し、抗体の重鎖の成熟N末端またはC末端、または抗体の軽鎖のN末端に、(PCR増幅を介して)scFvを接続してもよい。
scFvをコードするPCR産物を精製し、重鎖または軽鎖の全長前駆ポリペプチド配列を含有する哺乳動物ベクター(例えば、pN5KG1)に接続してもよい。哺乳動物発現ベクターpN5KG1は、転写活性のある組み込み事象を選択するために、翻訳が不十分な、改変された(イントロンを含有する)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を含有しており、メトトレキサートで増幅させるために、マウスジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を含有している(Barnettら、Antibody Expression and Engineering.(Imanaka,H.Y.W.a.T.編)、pp.27−40、Oxford University Press、New York、NY(1995))。接続した混合物を使用し、コンピテント細胞であるE.coli株TOP 10(Invitrogen Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)を形質変換させた。E.coliのコロニーがアンピシリン薬物耐性になるように形質変換し、挿入物の存在についてスクリーニングする。DNA配列分析を用い、最終構築物の正しい配列を確認してもよい。
プラスミドDNAを使用し、CHO DG44細胞を、抗体たんぱく質を一過性発現するように形質変換する。1×PBS 0.4mL中で、プラスミドDNA 20μgを、4×106細胞と混合する。混合物を0.4cmのキュベット(BioRad)に入れ、氷上に15分間放置する。Gene Pulser電気穿孔装置(BioRad)を用い、600uF、350Vで細胞を電気穿孔した。T−25フラスコに、100uM ヒポキサンチンおよび16uM チミジンを含むCHO−SSFM II培地を入れ、これに細胞を入れ、37℃で4日間インキュベートした。
このCHO発現系で生成された四価二重特異性抗体を含む上澄みを集め、ウェスタンブロットによって生化学的に特性決定し、ELISAによって抗原への結合性を試験した。次いで、インビトロ細胞生存アッセイまたはインビボ腫瘍成長阻害アッセイを用い、抗体を試験することができる。例えば、腫瘍細胞株WiDr(ATCC CCL−218)およびヒト結腸癌細胞株Me180(ATCC HTB 33)、ヒト子宮頸部上皮癌細胞株およびMDA231(Dr.Dajun Yang、University of Michigan)、ヒト乳癌細胞株を、10% FCS、2mM L−グルタミン、1×非必須アミノ酸、0.5mM ピルビン酸ナトリウムおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含むMEM−Earlesで培養する。腫瘍細胞株をPBSで1回洗浄し、トリプシン消化によって細胞をはがした。遠心分離によって細胞を集め、完全培地に再縣濁させ、計測し、96ウェル組織培養プレートに、WiDrおよびMe180の場合、5000細胞/ウェル、MDA231の場合、1500細胞/ウェルで接種する。
四価二重特異性IGF−1R抗体によって、単一特異性IGF−1R抗体よりも高い腫瘍細胞殺傷効果が得られ得る。例えば、四価二重特異性IGF−1R抗体を、IGF−1Rのアロステリックなエピトープまたは競合的なエピトープに結合し、IGF−1Rの内在化を誘発することができる(図22Aの結合事象1を参照)。または、四価二重特異性IGF−1R抗体は、2個以上のエピトープに結合し(図22Bの結合事象2を参照)、IGF−1Rの内在化をもっと誘発することができる。
(実施例8.抗IGF−1R二重特異性抗体の、安定になるような遺伝子操作、分子生物学、およびタンパク質発現)
図23は、本発明の抗IGF−1R IgG様二重特異性抗体(「BsAb」)の模式図を示す。この抗体は、IGF−1Rに存在するエピトープ(例えば、Ep−1)に結合し、可とう性リンカーを介し、第2の別個のエピトープ(例えば、Ep−2)に特異的に結合する全長抗IGF−1R抗体のアミノ末端(N−BsAb)またはカルボキシ末端(C−BsAb)に遺伝学的に接続している、安定化したscFvから構成されている。図23に示した例では、scFvの配向は、VL→VHであるが、scFvは、VH→VLの形態で機能するように設計されていてもよい。
図23は、本発明の抗IGF−1R IgG様二重特異性抗体(「BsAb」)の模式図を示す。この抗体は、IGF−1Rに存在するエピトープ(例えば、Ep−1)に結合し、可とう性リンカーを介し、第2の別個のエピトープ(例えば、Ep−2)に特異的に結合する全長抗IGF−1R抗体のアミノ末端(N−BsAb)またはカルボキシ末端(C−BsAb)に遺伝学的に接続している、安定化したscFvから構成されている。図23に示した例では、scFvの配向は、VL→VHであるが、scFvは、VH→VLの形態で機能するように設計されていてもよい。
i.発現構築物
一般的に、別記がない限り、以下の実施例に記載するscFvおよび抗体の重鎖の発現構築物は、アミノ酸配列MGWSLILLFLVAVATRVLS(配列番号134)を有するN末端シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んだ。抗体の軽鎖の発現構築物は、アミノ酸配列MDMRVPAQLLGLLLLWLPGARC(配列番号131)をコードするヌクレオチド配列を含んだ。scFv分子の発現構築物は、精製しやすくするために、配列DDDKSFLEQKLISEEDLNSAVDHHHHHHを含むC末端を含んだ。
一般的に、別記がない限り、以下の実施例に記載するscFvおよび抗体の重鎖の発現構築物は、アミノ酸配列MGWSLILLFLVAVATRVLS(配列番号134)を有するN末端シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んだ。抗体の軽鎖の発現構築物は、アミノ酸配列MDMRVPAQLLGLLLLWLPGARC(配列番号131)をコードするヌクレオチド配列を含んだ。scFv分子の発現構築物は、精製しやすくするために、配列DDDKSFLEQKLISEEDLNSAVDHHHHHHを含むC末端を含んだ。
b.抗IGF−1R scFvおよびFabタンパク質の調製
抗IGF−1R C06 scFvをサブクローン化し、米国特許出願第20070243194号に記載されるプラスミドによる2段階PCR増幅プロトコルを用い、アセンブリした。所定のリンカーを用い、以下の4種類のC06 scFvを以下に示す配向で調製した。(1)VH→(Gly4Ser)3リンカー(配列番号185)→VL(VH/GS3/VL)、(2)VH→(Gly4Ser)4リンカー(配列番号135)→VL(VH/GS4/VL)、(3)VL→(Gly4Ser)3リンカー(配列番号185)→VH(VL/GS3/VH)、および(4)VL→(Gly4Ser)4リンカー(配列番号135)→VH(VL/GS4/VH)。図24は、C06 scFvを2段階PCRでアセンブリするためのプロトコルの模式図を示す。この構築で使用するオリゴヌクレオチドを、表12に示す。一例として、まず、scFvの5’側の半分と3’側の半分の2個の別個のPCR産物を作成することによって、C06(VL/GS3/VH)scFvを構築した。この2種類の半分を、第2のPCR反応で、共通の(Gly4Ser)3(配列番号185)重複領域で結合させた。簡単に説明すると、C06(VL/GS3/VH)scFvの5’側の半分を、順方向5’VLプライマー092−F1と、逆方向3’VLプライマー092−R2とを用いてPCRで作成した。ここで、順方向5’VLプライマー092−F1は、gpIIIリーダー配列の一部分をコードする28塩基と、その後に、C06 N末端可変軽鎖ドメインに相補的な配列を有する22塩基とで構成されており、逆方向3’VLプライマー092−R2は、C06 C末端可変軽鎖ドメイン遺伝子に相補的な配列を有する22塩基と、(Gly4Ser)3(配列番号185)リンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列とで構成されている。C06(VL/GS3/VH)scFvの3’側の半分を、順方向の5’VHプライマー092−F2と、逆方向の3’VHプライマー092−R1を用いたPCRで作成した。順方向の5’VHプライマー092−F2は、(Gly4Ser)3(配列番号185)リンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列と、C06 N末端重鎖可変ドメイン遺伝子に相補的な配列を有する22塩基とで構成されており、逆方向の3’VHプライマー092−R1は、C06 C末端重鎖可変ドメイン遺伝子に相補的な配列を有する22塩基と、その後に、Mycタグをコードするヌクレオチド配列とで構成されている。次いで、第2のPCR反応で、上述の2個のすでに合成した5’側の遺伝子の半分フラグメントおよび3’側の遺伝子の半分フラグメントを用い、最後にC06(VH/GS3/VL)scFvをアセンブリした。それぞれのフラグメントは、重複する(Gly4Ser)3(配列番号185)リンカーペプチドを含有しており、5’順方向プライマーGeneIII−Fは、固有のNde Iエンドヌクレアーゼ部位の後に、gpIIIリーダー配列のN末端部分をコードする配列を含有しており、3’逆方向プライマーIEH083−Rは、Sal I部位と、Mycタグをコードする配列とを含有している。
抗IGF−1R C06 scFvをサブクローン化し、米国特許出願第20070243194号に記載されるプラスミドによる2段階PCR増幅プロトコルを用い、アセンブリした。所定のリンカーを用い、以下の4種類のC06 scFvを以下に示す配向で調製した。(1)VH→(Gly4Ser)3リンカー(配列番号185)→VL(VH/GS3/VL)、(2)VH→(Gly4Ser)4リンカー(配列番号135)→VL(VH/GS4/VL)、(3)VL→(Gly4Ser)3リンカー(配列番号185)→VH(VL/GS3/VH)、および(4)VL→(Gly4Ser)4リンカー(配列番号135)→VH(VL/GS4/VH)。図24は、C06 scFvを2段階PCRでアセンブリするためのプロトコルの模式図を示す。この構築で使用するオリゴヌクレオチドを、表12に示す。一例として、まず、scFvの5’側の半分と3’側の半分の2個の別個のPCR産物を作成することによって、C06(VL/GS3/VH)scFvを構築した。この2種類の半分を、第2のPCR反応で、共通の(Gly4Ser)3(配列番号185)重複領域で結合させた。簡単に説明すると、C06(VL/GS3/VH)scFvの5’側の半分を、順方向5’VLプライマー092−F1と、逆方向3’VLプライマー092−R2とを用いてPCRで作成した。ここで、順方向5’VLプライマー092−F1は、gpIIIリーダー配列の一部分をコードする28塩基と、その後に、C06 N末端可変軽鎖ドメインに相補的な配列を有する22塩基とで構成されており、逆方向3’VLプライマー092−R2は、C06 C末端可変軽鎖ドメイン遺伝子に相補的な配列を有する22塩基と、(Gly4Ser)3(配列番号185)リンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列とで構成されている。C06(VL/GS3/VH)scFvの3’側の半分を、順方向の5’VHプライマー092−F2と、逆方向の3’VHプライマー092−R1を用いたPCRで作成した。順方向の5’VHプライマー092−F2は、(Gly4Ser)3(配列番号185)リンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列と、C06 N末端重鎖可変ドメイン遺伝子に相補的な配列を有する22塩基とで構成されており、逆方向の3’VHプライマー092−R1は、C06 C末端重鎖可変ドメイン遺伝子に相補的な配列を有する22塩基と、その後に、Mycタグをコードするヌクレオチド配列とで構成されている。次いで、第2のPCR反応で、上述の2個のすでに合成した5’側の遺伝子の半分フラグメントおよび3’側の遺伝子の半分フラグメントを用い、最後にC06(VH/GS3/VL)scFvをアセンブリした。それぞれのフラグメントは、重複する(Gly4Ser)3(配列番号185)リンカーペプチドを含有しており、5’順方向プライマーGeneIII−Fは、固有のNde Iエンドヌクレアーゼ部位の後に、gpIIIリーダー配列のN末端部分をコードする配列を含有しており、3’逆方向プライマーIEH083−Rは、Sal I部位と、Mycタグをコードする配列とを含有している。
予想どおりの大きさに対応するPCR産物を、アガロースゲル電気泳動で分割し、切断し、Millipore Ultrafree−DA抽出キットを用い、製造業者の指示にしたがって精製した(Millipore、マサチューセッツ州ベッドフォード)。精製したPCR産物を、Nde IおよびSal Iで消化し、誘導型ara Cプロモーター制御下、組み換えタンパク質を発現するように改変されたE.coli発現ベクターのNde I/Sal I部位にクローン化した。この発現ベクターは、C06 scFvの開始コドンと重複する固有のNde I部位をコードする改変部と、C末端にHisタグと、その後ろに停止コドンとを含んでいた。ゲル精製したPCR産物を、Nde I/Sal Iで消化した発現プラスミドに接続し、接続した混合物の一部分を用い、E.coli株XL1−Blueを形質変換した。アンピシリン薬物耐性を有するコロニーをスクリーニングし、DNA配列分析によって、C06(VL/GS3/VH)scFvをコードする最終的なプラスミドpXWU092の正しい配列を確認した。scFv構築物は、gIIIシグナルペプチドを含有しており、末端にc−myc−His6検出タグを含有していた。
表12に列挙したオリゴヌクレオチドを用い、図24に示したスキームにしたがって、上述の方法と同様の様式で、残りの3種類の抗IGF−1R C06 scFvを調製した。プラスミドpXWU090は、C06(VH/GS3/VL)scFvをコードし、pXWU091は、C06(VH/GS4/VL)scFvをコードし、プラスミドpXWU093は、C06(VL/GS4/VH)scFvをコードするものであった。例として挙げたscFvs C06(VL/GS3/VH)scFv(pXWU092)およびC06(VH/GS3/VL)scFv(pXWU090)のDNA配列およびアミノ酸配列を、それぞれ、図25Aおよび25B、図26Aおよび26Bに示している。
従来のC06 scFvを発現させるために、米国特許出願第11/725,970号(この内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されているように、E.coli W3110株(ATCC,Manassas,Va.カタログ番号27325)の新しく単離したコロニーをプラスミドpXWU090、pXWU091、pXWU092およびpXWU093で形質変換させ、集め、培養上澄み液またはペリプラズム抽出物を調製した。C06 IgGを酵素で消化することによって、C06 FAbを調製した。FAb精製物を、約2mg/mLになるまで濃縮した。Fab濃度を、ε280nm=1.5mLmg−1cm−1を用いて決定した。
c.従来のC06 scFv抗体の熱安定性
安定性スクリーニング法として、米国特許出願第11/725,970号に記載の熱攻撃試験を用い、熱攻撃後に、C06(VL/GS3/VH)scFv分子およびC06(VH/GS3/VL)scFv分子の50%が、抗原結合活性を保持している温度を決定した。
安定性スクリーニング法として、米国特許出願第11/725,970号に記載の熱攻撃試験を用い、熱攻撃後に、C06(VL/GS3/VH)scFv分子およびC06(VH/GS3/VL)scFv分子の50%が、抗原結合活性を保持している温度を決定した。
E.coli W3110株(ATCC,Manassas,Va.カタログ番号27325)を、誘導型ara Cプロモーター制御下、種々のC06 scFvをコードするプラスミドpXWU090、pXWU091、pXWU092およびpXWU093で形質変換させた。形質変換体を、SB(Teknova、Half Moon Bay、Ca.カタログ番号S0140)に、0.6%グリシン、0.6% Triton X100、0.02%アラビノースおよび50μg/mlカルベニシリンからなる発現培地で、30℃で一晩成長させた。遠心分離によって細菌をペレット状にし、上澄みをさらに処理するために集めた。
熱攻撃後、遠心分離によって凝集物を除去し、処理して透明になった上澄みに残った可溶性scFvサンプルについて、関連する可溶性IGF−1R−Fc抗原に対する結合をDELFIAアッセイによって調べた。96ウェルプレート(MaxiSorp,Nalge Nunc,Rochester,NY、カタログ番号437111)を、PBS中、可溶性IGF−1R−Fc抗原1μg/mlを用いて、4℃で一晩コーティングし、振とうしながら、DELFIAアッセイバッファ(DAB、10mM Tris HCl、150mM NaCl、20μM EDTA、0.5% BSA、0.02% Tween 20、0.01% NaN3、pH7.4)を加え、室温で1時間処理してブロックした。このプレートを、BSA(洗浄バッファ)を用いず、DABで3回洗浄し、試験サンプルをDABで希釈し、最終濃度が100μlになるようにプレートに加えた。このプレートを振とうしながら、室温で1時間インキュベートし、洗浄バッファで3回洗浄し、結合していないscFv分子および機能的に不活性なscFv分子を除去した。結合したscFvは、1ウェルあたり、250ng/mlのEu標識した抗His6抗体(Perkin Elmer,Boston,MA、カタログ番号AD0109)を含有するDAB100μlを加え、振とうしながら、室温で1時間インキュベートすることによって検出した。このプレートを洗浄バッファで3回洗浄し、1ウェルあたり、100μlのDELFIA増幅溶液(DELFIA enhancement solution)(Perkin Elmer,Boston,MA、カタログ番号4001−0010)を加えた。15分間インキュベートした後、ictor 2(Perkin Elmer,Boston,MA)を用いたヨーロッパ法(Europium method)によってプレートを計測した。Prism 4ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,Ca)を用いて、種々の勾配を有するS字用量−応答曲線をモデルとしてデータを分析した。熱変成曲線の中点から得られた値を、T50値と呼ぶが、この値は、生物物理学的に誘導したTm値と等価であるとは解釈されない。
このアッセイから得た結果から、C06(VL/GS3/VH)のT50値が57.46℃であり、C06(VH/GS3/VL)のT50値は、これよりわずかに低い55.71℃であると決定された(図27)。リンカーの長さだけが異なる構築物のT50値には、意味のある差はなく、C06(VL→(Gly4Ser)n=3または4(配列番号185または135)→VH)scFvという2種類の配向を観察すると、C06(VH→(Gly4Ser)n=3または4(配列番号185または135)→VL)scFvよりもわずかに熱的に安定であり、遺伝子操作によってさらに安定化させるため、(Gly4Ser)3リンカー(配列番号185)を含有するC06(VL/GS3/VH)(プラスミドpXWU092)を選択した。
d.熱安定性が改良したC06 scFv分子の構築
従来のC06(VL/GS3/VH)scFv(pXWU092)を、表13に列挙したオリゴヌクレオチドを用いて交換し、所望のアミノ酸を含有する個々の改変体およびライブラリを設計した。表13では、それぞれのオリゴヌクレオチドは、Kabat付番システムによるVHまたはVLの位置での、所望のアミノ酸置換を参照して命名されている。
従来のC06(VL/GS3/VH)scFv(pXWU092)を、表13に列挙したオリゴヌクレオチドを用いて交換し、所望のアミノ酸を含有する個々の改変体およびライブラリを設計した。表13では、それぞれのオリゴヌクレオチドは、Kabat付番システムによるVHまたはVLの位置での、所望のアミノ酸置換を参照して命名されている。
表13.改変体C06(VL/GS3/VH)scFvを構築するためのオリゴヌクレオチドおよび原理
「原理」は、使用した設計方法を指す。この方法は、米国特許出願第11/725,970号に詳しく記載されている。省略語は、以下のとおりである。「COMP」−コンピュータによる分析、「COVAR」−共分散分析、「CONS」−コンセンサススコアリング、「DEGEN」−縮重コドン、不明瞭な塩基は、以下の省略語を使用する。W=AまたはT、V=AまたはCまたはG、Y=CまたはT、S=CまたはG、M=AまたはC、N=AまたはCまたはGまたはT、R=AまたはG、K=GまたはT、B=CまたはGまたはT(J Biol Chem.261(1):13−7(1986))。
「原理」は、使用した設計方法を指す。この方法は、米国特許出願第11/725,970号に詳しく記載されている。省略語は、以下のとおりである。「COMP」−コンピュータによる分析、「COVAR」−共分散分析、「CONS」−コンセンサススコアリング、「DEGEN」−縮重コドン、不明瞭な塩基は、以下の省略語を使用する。W=AまたはT、V=AまたはCまたはG、Y=CまたはT、S=CまたはG、M=AまたはC、N=AまたはCまたはGまたはT、R=AまたはG、K=GまたはT、B=CまたはGまたはT(J Biol Chem.261(1):13−7(1986))。
突然変異生成反応を行い、個々の形質変換させたコロニーを、深底96ウェル皿に入れ、処理し、米国特許出願第11/725,970号に詳しく記載されている方法にしたがってスクリーニングした。形質変換体を、SB(Teknova、Half Moon Bay、Ca.カタログ番号S0140)に、0.6%グリシン、0.6% Triton X100、0.02%アラビノースおよび50μg/mlカルベニシリンからなる発現培地で、30℃または32℃で一晩成長させた。
熱攻撃アッセイを用い、それぞれのライブラリを2個組でスクリーニングした。1個の複製物を処理条件で処理し、第2の上澄みを未処理の標準物質として使用した。熱攻撃後、凝集した物質を遠心分離によって除去し、実施例3に記載したように、可溶性IGF−1R FcのDELFIAによってアッセイした。
Spotfire DecisionSiteソフトウェア(Spotfire,Somerville,MA.)を用い、アッセイデータを加工し、それぞれのクローンについて、参照温度でのDELFIA計測数を基準とし、チャレンジ温度で観察したDELFIA計測数の比率としてあらわした。親プラスミドの観測値の2倍以上の比率を再現性よく与えるクローンは、ヒットとした。これらのポジティブなクローンに由来するプラスミドDNAを、mini−prep(Wizard Plus,Promega,Madison,WI)で単離し、E.coli W3110を再び形質変換させ、第2の熱攻撃アッセイおよびDNA配列の決定で確認した。
上述のアッセイの生データおよび確認結果を表14に示す。本発明の多くの安定化したscFv分子は、従来のC06 scFv(pXWU092)と比較して、結合の活性が改善した(T50>58℃)。特に、ライブラリの位置VL4(M4L)、ライブラリの位置VL15(V15N、V15S、V15D、V15I、V15R、V15AおよびV15P)、ライブラリの位置VL24(Q24K)、ライブラリの位置VL30(R30T)、ライブラリの位置VL51(A51G)、ライブラリの位置VL72(S72N)およびライブラリの位置VL83(I83M、I83V、I83G、I83D、I83Q、I83EおよびI83S)に由来するC06 scFv改変体のT50値は、従来のC06 scFvよりも熱安定性(ΔT50値)が+3℃〜+7℃高くなっていた。ライブラリの位置VH47(W47F)、ライブラリの位置VH83(R83KおよびR83T)およびライブラリの位置VH110(T110V)に由来するC06 scFv改変体のT50値は、従来のC06 scFvよりも熱安定性が+4℃〜+6℃高くなっていた。ライブラリの位置VL72(S72YおよびS72N)に由来するC06 scFv改変体のT50値は、それぞれ、従来のC06 scFvよりも熱安定性が+2℃〜+5℃高くなっていた。
安定化する変異VL D70EおよびVL T74Sを含有する2種類のC06 scFv改変体は、PCRエラーまたはオリゴヌクレオチドプライマーの変異によって偶然に生じたものであり、それぞれ、従来のC06 scFvよりも熱安定性が+4℃および+5℃高く、この改変体も含め、さらに分析を行った。
熱安定性がさらに高い組み合わせを特定するために、安定化する変異であるVL V15N、VL V15S、VL T20R、VL R30N、VL R30Y、VL G63S、VL S72N、VL S72Y、VL S77G、VL I83G、VL I83QおよびVH T110Vの種々の置換列からなるプラスミドを構築した。個々の形質変換させたコロニーを、深底96ウェル皿に入れ、処理し、上述の方法にしたがってスクリーニングした。1個の安定化する変異を含有するC06 scFvタンパク質と、安定化する変異を組み合わせて含むC06 scFvタンパク質について、以下の性質を調べた。(1)T50熱攻撃アッセイでの熱安定性、および(2)バイオレイヤー干渉法(Octet QK System,ForteBio,Inc.Menlo Park,CA)による、IGF−1R−Fcに対する解離速度(解離定数、すなわちkd)。解離速度を分析するために、IGF−1R Fcを、プロテインAバイオセンサ表面に固定した。30種類のクローンから得たC06 scFv改変体を含む培養物の上澄みを、抗原結合性についてスクリーニングし、その後に解離定数分析を行った。固定したIGF−1R Fcに、300秒かけてscFvを結合させた。その後、解離速度を600秒間アッセイした。製造業者が提供しているソフトウェアを用いて解離定数(kd)を算出し、この解離速度を、従来のC06 scFvのkdと比較した。表15は、T50熱攻撃アッセイおよび解離速度分析の結果をまとめたものである。従来のC06 scFvと比較して、熱安定性が+8℃〜+10℃高い、個々の安定化する変異、および安定化する変異を組み合わせを特定した。VL15およびVH110の位置で変異を組み合わせたC06(VL L15S:VH T110V)、およびVL77およびVL83の位置で変異を組み合わせたC06(S77G:I83Q)のT50値は、従来のC06 scFvと比較して、熱安定性(T50)が+8〜10℃高くなっていた。
安定になるように遺伝子操作されたすべてのC06 scFvを試験し、従来のC06 scFv(pXWU092)と比較して、解離速度は2倍未満になっていた。安定性(高いT50値)および解離速度の性質に基づき、安定になるように遺伝子操作されたC06 scFvであるMJF045を、安定な抗IGF−1R二重特異性抗体の構築、および産生のための例として選択した。
e.安定化した抗IGF−1R二重特異性抗体の産生
本発明の安定化したC06 VL I83E scFv(MJF045)を用い、図23に示すような、N末端scFv融合物およびC末端scFv融合物として、二重特異性抗体を構築した。C06 MJF045 scFvのDNA配列およびアミノ酸配列を、それぞれ図28Aおよび図28Bに示す。
本発明の安定化したC06 VL I83E scFv(MJF045)を用い、図23に示すような、N末端scFv融合物およびC末端scFv融合物として、二重特異性抗体を構築した。C06 MJF045 scFvのDNA配列およびアミノ酸配列を、それぞれ図28Aおよび図28Bに示す。
i.N末端抗IGF−1R二重特異性抗体の構築
上の実施例4に記載のMJF045 C06 scFv DNAを用い、米国特許出願第11/725,970号に記載されている方法と似た方法を用い、N末端抗IGF−1R二重特異性抗体を構築した。(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーを用い、安定化したC06 scFvを、G11 IgG lys(−)重鎖の成熟アミノ末端に接続した。まず、米国特許出願第20070243194号に記載されている抗IGF−1R G11プラスミドから、G11 IgG lys (−)配列をコードするMlu I+BamH I DNAフラグメントをサブクローン化することによって、中間体のN末端抗IGF−1r BsAbの重鎖ベクターを構築した。中間体ベクターであるpXWU117は、合成によって得た重鎖リーダー配列と、G11 IgG lys(−)配列と、その後に、IgG1 CH3のカルボキシ末端にBamH I部位とを含有していた。次に、表16に記載したオリゴヌクレオチドプライマーを用い、2段階PCR増幅プロトコルを用いて、MJF045 C06 scFvをサブクローン化し、改変した。簡単に説明すると、第1の反応では、安定化したC06 scFv(MJF045)をテンプレートとして用い、順方向5’C06 scFv VL PCRプライマー136−Fと、逆方向3’C06 scFv VHプライマー136−R2とを用いて、PCR産物を得た。ここで、順方向5’C06 scFv VL PCRプライマー136−Fは、Mlu I制限エンドヌクレアーゼ部位と、その後に、重鎖シグナルペプチドの最後の3つのアミノ酸をコードする配列と、その後に、C06 scFv VLのアミノ末端に相補的な配列とを含んでいた。136−R2は、C06 scFv VHのカルボキシ末端に相補的な配列と、その後に、(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含んでいた。PCRサイクルを数回繰り返した後、第2の逆方向プライマー136−R1aをPCR混合物に加え、さらに20サイクル反応させた。ここで、逆方向プライマー136−R1aは、(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーに相補的な配列と、G11 VHのN末端に相補的な配列と、その後に、内部Nhe I部位とを含んでいた。
上の実施例4に記載のMJF045 C06 scFv DNAを用い、米国特許出願第11/725,970号に記載されている方法と似た方法を用い、N末端抗IGF−1R二重特異性抗体を構築した。(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーを用い、安定化したC06 scFvを、G11 IgG lys(−)重鎖の成熟アミノ末端に接続した。まず、米国特許出願第20070243194号に記載されている抗IGF−1R G11プラスミドから、G11 IgG lys (−)配列をコードするMlu I+BamH I DNAフラグメントをサブクローン化することによって、中間体のN末端抗IGF−1r BsAbの重鎖ベクターを構築した。中間体ベクターであるpXWU117は、合成によって得た重鎖リーダー配列と、G11 IgG lys(−)配列と、その後に、IgG1 CH3のカルボキシ末端にBamH I部位とを含有していた。次に、表16に記載したオリゴヌクレオチドプライマーを用い、2段階PCR増幅プロトコルを用いて、MJF045 C06 scFvをサブクローン化し、改変した。簡単に説明すると、第1の反応では、安定化したC06 scFv(MJF045)をテンプレートとして用い、順方向5’C06 scFv VL PCRプライマー136−Fと、逆方向3’C06 scFv VHプライマー136−R2とを用いて、PCR産物を得た。ここで、順方向5’C06 scFv VL PCRプライマー136−Fは、Mlu I制限エンドヌクレアーゼ部位と、その後に、重鎖シグナルペプチドの最後の3つのアミノ酸をコードする配列と、その後に、C06 scFv VLのアミノ末端に相補的な配列とを含んでいた。136−R2は、C06 scFv VHのカルボキシ末端に相補的な配列と、その後に、(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含んでいた。PCRサイクルを数回繰り返した後、第2の逆方向プライマー136−R1aをPCR混合物に加え、さらに20サイクル反応させた。ここで、逆方向プライマー136−R1aは、(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーに相補的な配列と、G11 VHのN末端に相補的な配列と、その後に、内部Nhe I部位とを含んでいた。
得られたPCRフラグメントをMlu I制限エンドヌクレアーゼおよびNhe I制限エンドヌクレアーゼで消化し、Mlu I/Nhe Iで消化した中間体ベクターpXWU117に接続した。これにより、安定化したC06 scFvが、25アミノ酸(Gly4Ser)5(配列番号184)リンカーを介し、G11抗体VHドメインのアミノ末端に融合した産物が得られた。このコンジュゲートした混合物を利用し、コンピテント細胞であるE.coli株TOP 10(Invitrogen Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)を形質変換させた。E.coliのコロニーがアンピシリン薬物耐性になるように形質変換し、挿入物の存在についてスクリーニングした。DNA配列分析を用い、安定になるように遺伝子操作したC06 scFvおよびG11 IgGを含むN末端抗IGF−1R二重特異性抗体をコードする最終構築物pXWU136の正しい配列を確認した。使用したG11の軽鎖(pXWU118)は、抗IGF−1RのN二重特異性抗体およびC二重特異性抗体の中で一般的なものであり、図29AにはDNA配列、図29Bにはアミノ酸配列を示している。安定化したMJF045 scFvを含むN末端抗IGF−1R二重特異性抗体の重鎖DNA配列およびアミノ酸配列(pXWU136)を、それぞれ図30Aおよび図30Bに示す。
ii.C末端抗IGF−1R二重特異性抗体の構築
上の実施例4に記載のMJF045 C06 scFv DNAを用い、米国特許出願第11/725,970号に記載されている方法と似た方法を用い、C末端抗IGF−1R二重特異性抗体を構築した。Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーを用い、安定化したC06 scFvを、G11 IgG重鎖のカルボキシ末端に接続した。まず、米国特許出願第20070243194号に記載されている抗IGF−1R G11プラスミドから、G11 IgG配列をコードするDNAフラグメントをPCRで作成し、サブクローン化することによって、中間体のC末端抗IGF−1r BsAbの重鎖ベクターを構築した。PCR反応は、IgG CH1定常ドメインに相補的な配列と、クローニングのためのAge I制限エンドヌクレアーゼ部位とを含む順方向5’−プライマーMB−04F(表17)と、IgG重鎖のカルボキシ末端に相補的な配列と、その後に、フレーム内に、Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーの一部分をコードし、内部にBamH I部位を含む配列と、その後に、Dra III部位および末端Bgl II部位(表17)とを含む逆方向3’−プライマー106mR2とを含み、G11重鎖をテンプレートとして含んでいた。得られたPCR産物から、IgG重鎖遺伝子の3’末端にある既存の停止コドンを除去し、Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーの一部分をコードするヌクレオチドを加え、このすぐ後に、BamH I制限エンドヌクレアーゼ部位、Dra III部位を含み、末端にBgl II部位を含んでいた。PCRフラグメントを、Age I制限エンドヌクレアーゼおよびBg lI制限エンドヌクレアーゼで消化し、Age I/BamH Iで消化して改変したpV90ベクターに接続した。これにより、中間体ベクターpXWU106m2が得られた。このベクターは、合成によって得た重鎖リーダー配列と、G11 IgG配列と、内部にBamH I部位を含有するSer(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーの一部分をコードする配列と、その後に、Dra III部位を含んでいた。
上の実施例4に記載のMJF045 C06 scFv DNAを用い、米国特許出願第11/725,970号に記載されている方法と似た方法を用い、C末端抗IGF−1R二重特異性抗体を構築した。Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーを用い、安定化したC06 scFvを、G11 IgG重鎖のカルボキシ末端に接続した。まず、米国特許出願第20070243194号に記載されている抗IGF−1R G11プラスミドから、G11 IgG配列をコードするDNAフラグメントをPCRで作成し、サブクローン化することによって、中間体のC末端抗IGF−1r BsAbの重鎖ベクターを構築した。PCR反応は、IgG CH1定常ドメインに相補的な配列と、クローニングのためのAge I制限エンドヌクレアーゼ部位とを含む順方向5’−プライマーMB−04F(表17)と、IgG重鎖のカルボキシ末端に相補的な配列と、その後に、フレーム内に、Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーの一部分をコードし、内部にBamH I部位を含む配列と、その後に、Dra III部位および末端Bgl II部位(表17)とを含む逆方向3’−プライマー106mR2とを含み、G11重鎖をテンプレートとして含んでいた。得られたPCR産物から、IgG重鎖遺伝子の3’末端にある既存の停止コドンを除去し、Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーの一部分をコードするヌクレオチドを加え、このすぐ後に、BamH I制限エンドヌクレアーゼ部位、Dra III部位を含み、末端にBgl II部位を含んでいた。PCRフラグメントを、Age I制限エンドヌクレアーゼおよびBg lI制限エンドヌクレアーゼで消化し、Age I/BamH Iで消化して改変したpV90ベクターに接続した。これにより、中間体ベクターpXWU106m2が得られた。このベクターは、合成によって得た重鎖リーダー配列と、G11 IgG配列と、内部にBamH I部位を含有するSer(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーの一部分をコードする配列と、その後に、Dra III部位を含んでいた。
次いで、安定化したC06 scFv(MJF045)から得たDNA配列を、順方向5’VL PCRプライマー135−F(BamHI制限エンドヌクレアーゼ部位、次いで、Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーペプチドの残りの一部分をコードする配列と、C06 scFv VLのアミノ末端とを含んでいる)と、逆方向3’VH PCRプライマー135−R(C06 scFv VHのカルボキシ末端と、停止コドンと、次いで、DraIII部位とを含んでいる)を用い、PCRで増幅させた。PCR産物をゲルで単離し、BamHI制限エンドヌクレアーゼおよびDraIII制限エンドヌクレアーゼで消化し、BamHI/DraIIIで消化した中間体ベクターpXWU106m2に接続した。これにより、安定化したC06 scFvが、16アミノ酸Ser(Gly4Ser)3(配列番号138)リンカーを介し、G11抗体CH3ドメインのカルボキシ末端に融合した産物が得られた。このコンジュゲートした混合物を利用し、コンピテント細胞であるE.coli株TOP 10(Invitrogen Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)を形質変換させた。E.coliのコロニーがアンピシリン薬物耐性になるように形質変換し、挿入物の存在についてスクリーニングした。DNA配列分析を用い、安定になるように遺伝子操作したC06 scFvおよびG11 IgGを含むC末端抗IGF−1R二重特異性抗体をコードする最終構築物pXWU135の正しい配列を確認した。
使用したG11の軽鎖(pXWU118)は、抗IGF−1RのN二重特異性抗体およびC二重特異性抗体の中で一般的なものであり、図29AにはDNA配列、図29Bにはアミノ酸配列を示している。安定化したMJF045 scFvを含むC末端抗IGF−1R二重特異性抗体の重鎖DNA配列およびアミノ酸配列(pXWU135)を、それぞれ図31Aおよび図31Bに示す。
f.代替の抗IGF−1R二重特異性抗体の構築
表15に列挙したような、安定になるように遺伝子操作したC06 scFv分子をコードするプラスミドを用い、上述の方法と似た方法を用い、N末端抗IGF−1R二重特異性抗体およびC末端抗IGF−1R二重特異性抗体を構築することができる。表18には、プラスミドの名称と、C06 scFvのVHおよびVLの安定化する変異(Kabat付番システムによる)とを列挙している。VHおよびVLの変異の位置は、C−抗IGF−1R二重特異性抗体およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体の両方について、図30B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図31B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)を配列基準とし、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。
表15に列挙したような、安定になるように遺伝子操作したC06 scFv分子をコードするプラスミドを用い、上述の方法と似た方法を用い、N末端抗IGF−1R二重特異性抗体およびC末端抗IGF−1R二重特異性抗体を構築することができる。表18には、プラスミドの名称と、C06 scFvのVHおよびVLの安定化する変異(Kabat付番システムによる)とを列挙している。VHおよびVLの変異の位置は、C−抗IGF−1R二重特異性抗体およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体の両方について、図30B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図31B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)を配列基準とし、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。
表18.抗IGF−1R二重特異性抗体を構築するのに使用した、抗IGF−1R C06 scFvにある、安定化するアミノ酸残基
VHおよびVLの安定化する変異の位置は、Kabat付番号システムによる(Kabat:)。VHおよびVLの変異の位置も、図30B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図31B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)をそれぞれ配列基準とし、C−抗IGF−1R二重特異性抗体(C:)およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体(N:)の両方について、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。
wt=野生型の配列
VHおよびVLの安定化する変異の位置は、Kabat付番号システムによる(Kabat:)。VHおよびVLの変異の位置も、図30B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図31B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)をそれぞれ配列基準とし、C−抗IGF−1R二重特異性抗体(C:)およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体(N:)の両方について、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。
wt=野生型の配列
g.熱安定性が改良したG11 scFv分子の構築
上述の方法および米国特許出願第11/725,970号に記載されている方法と似た方法を用い、G11 IgGから調製したscFvを、安定になるように遺伝子操作することによって、抗IGF−1R二重特異性抗体を設計することができる。安定になるように遺伝子操作したG11 scFvを用い、図23に示すような、N末端scFv融合物およびC末端scFv融合物として、全長C06 IgG重鎖のアミノ末端およびカルボキシ末端にscFvを融合させることによって、二重特異性抗体を構築することができる。C06軽鎖は、抗IGF−1RのN二重特異性抗体およびC二重特異性抗体の中で一般的なものであり、図32AにはDNA配列、図32Bにはアミノ酸配列を示している。G11 scFvおよびC06 IgGから構築した、抗IGF−1R N−二重特異性抗体をコードする重鎖DNA配列およびアミノ酸配列の例を、それぞれ図33Aおよび図33Bに示す。G11 scFvおよびC06 IgGから構築した、抗IGF−1R C−二重特異性抗体をコードする重鎖DNA配列およびアミノ酸配列の例を、それぞれ図34Aおよび図34Bに示す。
表19に列挙したオリゴヌクレオチドを用い、従来のG11(VL/GS4/VH)scFv(pMJF060)から、所望のアミノ酸を交換した個々の改変体およびライブラリを、設計した。表19には、各オリゴヌクレオチドの名称は、VHおよびVLの所定の位置での望ましいアミノ酸置換(Kabat付番システムによる)を参照する。
上述の方法および米国特許出願第11/725,970号に記載されている方法と似た方法を用い、G11 IgGから調製したscFvを、安定になるように遺伝子操作することによって、抗IGF−1R二重特異性抗体を設計することができる。安定になるように遺伝子操作したG11 scFvを用い、図23に示すような、N末端scFv融合物およびC末端scFv融合物として、全長C06 IgG重鎖のアミノ末端およびカルボキシ末端にscFvを融合させることによって、二重特異性抗体を構築することができる。C06軽鎖は、抗IGF−1RのN二重特異性抗体およびC二重特異性抗体の中で一般的なものであり、図32AにはDNA配列、図32Bにはアミノ酸配列を示している。G11 scFvおよびC06 IgGから構築した、抗IGF−1R N−二重特異性抗体をコードする重鎖DNA配列およびアミノ酸配列の例を、それぞれ図33Aおよび図33Bに示す。G11 scFvおよびC06 IgGから構築した、抗IGF−1R C−二重特異性抗体をコードする重鎖DNA配列およびアミノ酸配列の例を、それぞれ図34Aおよび図34Bに示す。
表19に列挙したオリゴヌクレオチドを用い、従来のG11(VL/GS4/VH)scFv(pMJF060)から、所望のアミノ酸を交換した個々の改変体およびライブラリを、設計した。表19には、各オリゴヌクレオチドの名称は、VHおよびVLの所定の位置での望ましいアミノ酸置換(Kabat付番システムによる)を参照する。
表19.G11(VL/GS4/VH)scFv改変体を構築するための、オリゴヌクレオチドおよび原理
「原理」は、使用した設計方法を指す。この方法は、米国特許出願第11/725,970号に詳しく記載されている。省略語は、以下のとおりである。「COMP」−コンピュータによる分析、「COVAR」−共分散分析、「CONS」−コンセンサススコアリング、「DEGEN」−縮重コドン、不明瞭な塩基は、以下の省略語を使用する。W=AまたはT、V=AまたはCまたはG、Y=CまたはT、S=CまたはG、M=AまたはC、N=AまたはCまたはGまたはT、R=AまたはG、K=GまたはT、B=CまたはGまたはT(J Biol Chem.261(1):13−7(1986))。
「原理」は、使用した設計方法を指す。この方法は、米国特許出願第11/725,970号に詳しく記載されている。省略語は、以下のとおりである。「COMP」−コンピュータによる分析、「COVAR」−共分散分析、「CONS」−コンセンサススコアリング、「DEGEN」−縮重コドン、不明瞭な塩基は、以下の省略語を使用する。W=AまたはT、V=AまたはCまたはG、Y=CまたはT、S=CまたはG、M=AまたはC、N=AまたはCまたはGまたはT、R=AまたはG、K=GまたはT、B=CまたはGまたはT(J Biol Chem.261(1):13−7(1986))。
突然変異生成反応を行い、個々の形質変換させたコロニーを、深底96ウェル皿に入れ、処理し、米国特許出願第11/725,970号に詳しく記載されている方法にしたがってスクリーニングした。形質変換体を、SB(Teknova、Half Moon Bay、Ca.カタログ番号S0140)に、0.6%グリシン、0.6% Triton X100、0.02%アラビノースおよび50μg/mlカルベニシリンからなる発現培地で、30℃または32℃で一晩成長させた。
熱攻撃アッセイを用い、それぞれのライブラリを2個組でスクリーニングした。1個の複製物を処理条件で処理し、第2の上澄みを未処理の標準物質として使用した。熱攻撃後、凝集した物質を遠心分離によって除去し、実施例8cに記載したように、可溶性IGF−1R FcのDELFIAによってアッセイした。
Spotfire DecisionSiteソフトウェア(Spotfire,Somerville,MA.)を用い、アッセイデータを加工し、それぞれのクローンについて、標準温度でのDELFIA計測数を基準とし、チャレンジ温度で観察したDELFIA計測数の比率としてあらわした。親プラスミドの観測値の2倍以上の比率を再現性よく与えるクローンは、ヒットとした。これらのポジティブなクローンに由来するプラスミドDNAを、mini−prep(Wizard Plus,Promega,Madison,WI)で単離し、E.coli W3110を再び形質変換させ、第2の熱攻撃アッセイおよびDNA配列の決定で確認した。
上述のアッセイの生データおよび確認結果を表20に示す。本発明の多くの安定化したscFv分子は、従来のG11 scFv(pMJF060)と比較して、結合の活性が改善した(T50=50℃)。特に、ライブラリの位置VL50(L50G、L50E、L50M、L50N)、ライブラリの位置VL83(V83E)、ライブラリの位置VH6(E6Q)およびライブラリの位置VH50(S49A、S49G)に由来するC06 scFv改変体のT50値は、従来のG11 scFvよりも熱安定性(ΔT50値)が+2℃〜+6℃高くなっていた。
熱安定性がさらに高い組み合わせを特定するために、安定化する変異の2種類の置換列からなるプラスミドを構築した。個々の形質変換させたコロニーを、深底96ウェル皿に入れ、処理し、上述の方法にしたがってスクリーニングした。1個の安定化する変異を含有するC06 scFvタンパク質と、安定化する変異を組み合わせて含むG11 scFvタンパク質について、T50熱攻撃アッセイでの熱安定性を調べた。表21は、T50熱攻撃アッセイの結果をまとめたものである。個々の安定化する変異、および安定化する変異を組み合わせたものは、従来のG11 scFvと比較して、熱安定性が+2℃〜+10℃高くなっていることが分かった。VL50およびVH6の位置で変異を組み合わせたG11(VL L50N:VH E6Q)、およびVL83およびVH6の位置で変異を組み合わせたG11(VL V83E:VH E6Q)のT50値は、従来のG11 scFvと比較して、熱安定性(T50)が+4〜10℃高くなっていた。
表22には、プラスミドの名称と、G11 scFvのVHおよびVLの安定化する変異(Kabat付番システムによる)とを列挙している。VHおよびVLの変異の位置は、C−抗IGF−1R二重特異性抗体およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体の両方について、図33B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図34B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)を配列基準とし、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。
表22.抗IGF−1R二重特異性抗体を構築するのに使用した、抗IGF−1R G116 scFvにある、安定化するアミノ酸残基
VHおよびVLの安定化する変異の位置は、Kabat付番号システムによる(Kabat:)。VHおよびVLの変異の位置も、図30B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図31B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)をそれぞれ配列基準とし、C−抗IGF−1R二重特異性抗体(C:)およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体(N:)の両方について、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。wt=野生型。
VHおよびVLの安定化する変異の位置は、Kabat付番号システムによる(Kabat:)。VHおよびVLの変異の位置も、図30B(N−抗IGF−1R二重特異性抗体)および図31B(C−抗IGF−1R二重特異性抗体)をそれぞれ配列基準とし、C−抗IGF−1R二重特異性抗体(C:)およびN−抗IGF−1R二重特異性抗体(N:)の両方について、配列の付番にしたがって、全長重鎖配列の中に示している。wt=野生型。
h.CHO細胞における、抗IGF−1R二重特異性抗体の安定な発現、抗体の精製および特性決定
プラスミドDNAであるpXWU135、pXWU136およびpXWU118を利用し、抗体タンパク質を安定に産生するために、DHFRを欠いたCHO DG44細胞を形質変換した。2mMグルタミンを含有し、10%の透析した胎児ウシ血清(Invitrogen Corporation)を追加したアルファマイナスMEM培地(alpha minus MEM medium)中で形質変換した細胞を成長させ、蛍光標識した抗体を用いて、安定なバルク培養保存液として濃縮し、蛍光活性化細胞選別法(FACS)を繰り返した(Brezinskyら、J Immunol Methods.277(1−2):141−55(2003))。FACSを使用し、個々の細胞株も作成した。細胞保存液または細胞株を、無血清状態に適応させ、抗体を産生させるためにスケールアップした。
プラスミドDNAであるpXWU135、pXWU136およびpXWU118を利用し、抗体タンパク質を安定に産生するために、DHFRを欠いたCHO DG44細胞を形質変換した。2mMグルタミンを含有し、10%の透析した胎児ウシ血清(Invitrogen Corporation)を追加したアルファマイナスMEM培地(alpha minus MEM medium)中で形質変換した細胞を成長させ、蛍光標識した抗体を用いて、安定なバルク培養保存液として濃縮し、蛍光活性化細胞選別法(FACS)を繰り返した(Brezinskyら、J Immunol Methods.277(1−2):141−55(2003))。FACSを使用し、個々の細胞株も作成した。細胞保存液または細胞株を、無血清状態に適応させ、抗体を産生させるためにスケールアップした。
バイオリアクターで10日間反応させ、C−抗IGF−1R二重特異性抗体(pXWU135/pXWU118)の上澄み50Lを集め、限外濾過によってあらかじめきれいにしておいた。プロテインAセファロースFF(GE Healthcare)を用い、上澄みから二重特異性抗体を捕捉した。この二重特異性抗体を、0.1Mグリシン(pH3.0)を用い、プロテインAから溶出させ、Tris塩基で中和し、さらに精製することなく、PBSで透析した。EndoSafe(R)PTCキット(Charles River Labs)を用いた、定量的なカイネティック比色LAL分析によって、内毒素濃度を測定した。四価モノマー抗体産物の純度および割合を、それぞれ、4〜20% Tris−グリシンSDS−PAGEおよびサイズ排除HPLC分析で評価した。このプロセスによって、C−抗IGF−1R二重特異性抗体が、289mg得られ、濃度5.4mg/ml、純度96.7%であり、残留する内毒素の濃度は、0.67EU/mgタンパク質であった。
図35Aは、安定になるように遺伝子操作されたC−抗IGF−1R二重特異性抗体(pXWU135/pXWU118)の精製物のSDS−PAGEゲルを示す。還元条件下のレーンは、重鎖タンパク質および軽鎖タンパク質の推定サイズを示す。重要なことに、顕著な量の分解した低分子副生成物または望ましくない低分子副生成物は、検出されなかった。
図35Bは、安定になるように遺伝子操作されたC−抗IGF−1R二重特異性抗体(pXWU135/pXWU118)の精製物のSEC溶出プロフィールの分析結果を示す。この分析から、安定になるように遺伝子操作されたC−抗IGF−1R二重特異性抗体の純度は、本質的に96.7%を超えており、この抗体は、モノマーであり、これより高次の分子量種は含まれていない。
バイオリアクターで10日間反応させ、C−抗IGF−1R二重特異性抗体(pXWU135/pXWU118)の上澄み25Lを集め、を集め、限外濾過によってあらかじめきれいにしておいた。N−抗IGF−1R二重特異性抗体を、C−抗IGF−1R二重結合性抗体について上に記載したように精製した。四価モノマー抗体産物の純度および割合を、それぞれ、4〜20% Tris−グリシンSDS−PAGEおよびサイズ排除HPLC分析で評価した。このプロセスによって、N−抗IGF−1R二重特異性抗体が、1401mg得られ、濃度9.2mg/ml、純度97.3%であり、残留する内毒素の濃度は、0.09EU/mgタンパク質であった。
図36Aは、安定になるように遺伝子操作されたN−抗IGF−1R二重特異性抗体(pXWU136/pXWU118)の精製物のSDS−PAGEゲルを示す。還元条件下のレーンは、重鎖タンパク質および軽鎖タンパク質の推定サイズを示す。ここでも、顕著な量の分解した低分子副生成物または望ましくない低分子副生成物は、検出されなかった。
図36Bは、安定になるように遺伝子操作されたN−抗IGF−1R二重特異性抗体(pXWU136/ pXWU118)の精製物のSEC溶出プロフィールの分析結果を示す。この分析から、安定になるように遺伝子操作されたC−抗IGF−1R二重特異性抗体の純度は、本質的に97.3%であり、この抗体は、モノマーであり、これより高次の分子量種は含まれていない。
(実施例9.抗IGF−1R二重特異性抗体の生化学的な特性決定)
a.G11κ軽鎖およびG11 IgG重鎖骨格が、N末端またはC末端で、安定化したC06 scFvに融合している、N末端抗IGF−1R BsAbおよびC末端抗IGF−1R BsAbの精製および生化学的/生物物理学的な特性決定
二重特異性IgG様抗体(「BsAb」)は、抗体操作分野での産物の産生および品質の問題を幅広く満たす(Demarest,S.J.、Glaser,S.M.(2008)Curr.Opin.Drug Discov.Devel.5,In Press (September Issue))。ここで、N末端G11 IgG1/C06 scFv IgG二重特異性抗体およびC末端G11 IgG1/C06 scFv IgG二重特異性抗体(N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体と呼ぶ、図37)を構築するために、安定化したC06 scFvを使用すると、取扱いしやすく、高品質で安定な組み換えタンパク質が得られる。
a.G11κ軽鎖およびG11 IgG重鎖骨格が、N末端またはC末端で、安定化したC06 scFvに融合している、N末端抗IGF−1R BsAbおよびC末端抗IGF−1R BsAbの精製および生化学的/生物物理学的な特性決定
二重特異性IgG様抗体(「BsAb」)は、抗体操作分野での産物の産生および品質の問題を幅広く満たす(Demarest,S.J.、Glaser,S.M.(2008)Curr.Opin.Drug Discov.Devel.5,In Press (September Issue))。ここで、N末端G11 IgG1/C06 scFv IgG二重特異性抗体およびC末端G11 IgG1/C06 scFv IgG二重特異性抗体(N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体と呼ぶ、図37)を構築するために、安定化したC06 scFvを使用すると、取扱いしやすく、高品質で安定な組み換えタンパク質が得られる。
i.方法
BsAbの発現:BsAb重鎖および軽鎖を個々に含有する社内の哺乳動物発現ベクターを、実施例8eに記載したように、および米国特許出願第11/725,970に記載したように、DHFR−CHO DG44にトランスフェクトした。N末端BsAbおよびC末端BsAbを産生するCHO細胞株を、文献に記載されているように単離した(Brezinsky,S.C.G.、Chiang,G.G.、Szilvasi,A.,Mohan,S.,Shapiro,R.I.,MacLean,A.,Sisk,W.およびThill,G.(2003)J.Immunol.Methods 277,141−155)。N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体の両方を発現する大スケールのCHO細胞培養のための方法は、上の実施例8eに記載されており、米国特許出願第11/725,970に記載されている。MAbSelectプロテインA親和性樹脂(GE Healthcare)を、あらかじめ中性pHにしておき、この樹脂で捕捉することによって、CHO細胞の上澄みから、N末端BsAbおよびC末端BsAbを分離した。捕捉した物質を、カラム容積の5倍量の0.5M Tris−HCl(pH8.5)、0.5M NaClで洗浄し、タンパク質を、0.1Mグリシン(pH3.0)で溶出させた。タンパク質溶出液を、1M Tris塩基ですぐに中和し、PBSで透析した。吸光係数1.6Lcmg−1を用い、UV−Visでタンパク質濃度を決定した。EndoSafe(R)PTS LALシステム(Charles River Labs)を用いて、内毒素濃度を測定した。G11 IgG1抗体を発現するプラスミドを、BsAbを産生する前駆体として製造した。G11 IgG1細胞株を集め、BsAbについて記載したように製造時にスケールアップし精製プロトコルは同じであった。
BsAbの発現:BsAb重鎖および軽鎖を個々に含有する社内の哺乳動物発現ベクターを、実施例8eに記載したように、および米国特許出願第11/725,970に記載したように、DHFR−CHO DG44にトランスフェクトした。N末端BsAbおよびC末端BsAbを産生するCHO細胞株を、文献に記載されているように単離した(Brezinsky,S.C.G.、Chiang,G.G.、Szilvasi,A.,Mohan,S.,Shapiro,R.I.,MacLean,A.,Sisk,W.およびThill,G.(2003)J.Immunol.Methods 277,141−155)。N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体の両方を発現する大スケールのCHO細胞培養のための方法は、上の実施例8eに記載されており、米国特許出願第11/725,970に記載されている。MAbSelectプロテインA親和性樹脂(GE Healthcare)を、あらかじめ中性pHにしておき、この樹脂で捕捉することによって、CHO細胞の上澄みから、N末端BsAbおよびC末端BsAbを分離した。捕捉した物質を、カラム容積の5倍量の0.5M Tris−HCl(pH8.5)、0.5M NaClで洗浄し、タンパク質を、0.1Mグリシン(pH3.0)で溶出させた。タンパク質溶出液を、1M Tris塩基ですぐに中和し、PBSで透析した。吸光係数1.6Lcmg−1を用い、UV−Visでタンパク質濃度を決定した。EndoSafe(R)PTS LALシステム(Charles River Labs)を用いて、内毒素濃度を測定した。G11 IgG1抗体を発現するプラスミドを、BsAbを産生する前駆体として製造した。G11 IgG1細胞株を集め、BsAbについて記載したように製造時にスケールアップし精製プロトコルは同じであった。
SDS−PAGEおよび分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体について、SDS−PAGEおよび分析SECクロマトグラフィーを用い、純度を調べた。各BsAb(5μg/ウェル)を、約0.1M β−メルカプトエタノール存在下(還元条件下)、および非存在下(非還元条件下)で、Novex(R)SDS添加用バッファと混合した。サンプルを95℃で約10分間加熱し、XCell SureLockTM Mini CellおよびTris−グリシン操作バッファを用い、Novex(R)4〜20% Trisグリシンゲルに入れ、製造業者(Invitrogen)の指示にしたがって操作した。
分析SECは、Agilent 1100 HPLCシステムを用い、10mM ホスフェート、150mM NaCl、0.02% ナトリウムアジド、pH6.8で平衡状態にしたBioSep 3000 300×7.8mm(Phenomenex)SECカラムで行った。タンパク質30〜100μgを0.5mL/分でカラムに入れた。溶出したタンパク質を280nmのUV吸収によって検出した。
円偏光二色性(CD)分光法:CD測定は、温度制御のために熱電ペルチェ素子を取り付け、熱を放出させるために外側から水浴につけたJasco J−810分光偏光計を用いて行った。近紫外線および遠紫外線でのスキャンは、1μMタンパク質を用い、それぞれ1cmおよび0.1cmのキュベットを使って行った。スペクトル範囲は、近紫外線の場合、197〜260nmであり、遠紫外線の場合、250〜320nmであった。応答時間2秒、データ間隔0.1nm、幅2nm(近紫外線)および1nm(遠紫外線)、連続モード(100nm/分)で、10℃でスキャンした。すべての測定を「高感度」モードで行った。PBSを用いてバックグラウンドスキャンを行い、すべてのタンパク質のスペクトルのベースラインを補正した。
示差走査熱量測定(DSC):自動化キャピラリーDSC(capDSC、MicroCal、LLC)を用い、DSCスキャンを行った。自動付属装置を用いて、96ウェルプレートから、タンパク質溶液およびリファレンス溶液を自動的にサンプリングした。それぞれのタンパク質をスキャンする前に、2種類のバッファをスキャンし、差分を算出するためのベースラインを規定した。タンパク質を含むすべての96ウェルプレートを装置内で6℃に保存した。濃縮したG11 IgG1タンパク質(3.9mg/mL)およびN−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体(それぞれ、9.2mg/mLおよび5.4mg/mL)をPBSで透析した。次いで、サンプルをPBSで、G11 IgG1濃度が1.0mg/mLになり、両BsAbが1.3mg/mLになるまで希釈した後、熱量計で等モル量のタンパク質が得られるように実験した。サンプルおよびリファレンスのキャピラリーをPBSで透析し、2種類のバックグラウンドスキャンを行った後、サンプルキャピラリー中の各タンパク質と、不リファレンスキャピラリーのPBS透析物のスキャンを行った。低フィードバックモード(low feedback mode)で、2℃/分で、10〜100℃までスキャンした。製造業者から供給されたOriginソフトウェアを用い、スキャン結果を分析した。次いで、リファレンスのベースラインスキャン結果を引き、三次多項式を用い、ゼロではないタンパク質スキャンベースラインを補正した。
ii.結果
実施例8eに記載した方法、および米国特許出願第11/725,970に記載した方法で、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体を、CHO細胞で作成した。それぞれのBsAbについて、2個の別個のバッチで作成した。1つめは、トランスフェクトされた安定なバルクCHO細胞保存液から、2つめは、BsAbを発現するように選択されたCHO細胞株から、作成した。安定なバルクプールから精製した物質から、高品質のN末端IGF−1R二重特異性抗体(5Lから20.4mg)およびC末端IGF−1R二重特異性抗体(4Lから5.6mg)を得て、SDS−PAGEおよびSECクロマトグラフィー分析によれば、モノマー純度は98%より高かった(すなわち、非還元条件下でのBsAbの場合、200kDaの1個のバンド、還元条件下で、分離した重鎖および軽鎖の場合、それぞれ75kDaおよび25kDaのバンド、図38A、38B)。安定なバルク培養物から得たBsAbは、タンパク質の分子量標準に基づいて、約200kDaの予想通りの時間に、分析用SECカラムから両方とも1本のピークとして高純度で溶出した(図38C)。N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体を産生するように選択されたCHO細胞株を、それぞれ25Lおよび50Lまでスケールアップした。両方の製造によって、非還元型および還元型のSDS PAGE分析、およびSEC分析に基づいて、正しい分子量の物質を純度約97%で得た。50Lの培養物から、C末端BsAbを289mg得て、25Lの培養物から、N末端BsAbを1.4g得た。
実施例8eに記載した方法、および米国特許出願第11/725,970に記載した方法で、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体を、CHO細胞で作成した。それぞれのBsAbについて、2個の別個のバッチで作成した。1つめは、トランスフェクトされた安定なバルクCHO細胞保存液から、2つめは、BsAbを発現するように選択されたCHO細胞株から、作成した。安定なバルクプールから精製した物質から、高品質のN末端IGF−1R二重特異性抗体(5Lから20.4mg)およびC末端IGF−1R二重特異性抗体(4Lから5.6mg)を得て、SDS−PAGEおよびSECクロマトグラフィー分析によれば、モノマー純度は98%より高かった(すなわち、非還元条件下でのBsAbの場合、200kDaの1個のバンド、還元条件下で、分離した重鎖および軽鎖の場合、それぞれ75kDaおよび25kDaのバンド、図38A、38B)。安定なバルク培養物から得たBsAbは、タンパク質の分子量標準に基づいて、約200kDaの予想通りの時間に、分析用SECカラムから両方とも1本のピークとして高純度で溶出した(図38C)。N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体を産生するように選択されたCHO細胞株を、それぞれ25Lおよび50Lまでスケールアップした。両方の製造によって、非還元型および還元型のSDS PAGE分析、およびSEC分析に基づいて、正しい分子量の物質を純度約97%で得た。50Lの培養物から、C末端BsAbを289mg得て、25Lの培養物から、N末端BsAbを1.4g得た。
BsAbを用いて円偏光二色性(CD)を測定すると、タンパク質が適切に折りたたまれていることが分かる。N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体の遠紫外線CDスペクトルは、scFvを欠いたG11 IgG1タンパク質のスペクトルと非常に似ている(図39A)。この現象は、親分子であるG11 IgG1分子のドメインに適したβ−シート傾向を有する、さらなるIgが折りたたまれたタンパク質ドメインを、さらなるscFvに単に加えただけだと予想される。N末端IGF−1RのスペクトルとC末端IGF−1Rのスペクトルが、217nmでわずかに異なるのは、融合タンパク質内で、大部分を占めるG11 IgG1のC型のIg折りたたみ構造と、scFvのV型の別のIg折りたたみ構造とで、全体的な平均構造に小さな差があり、この差を反映したものである。近紫外CDスペクトルの信号対雑音比が小さいが、G11 IgG1およびN末端IGF−1R BsAbおよびC末端IGF−1R BsAbのスペクトルは、どれも非常によく似ている(図39B)。NUVシグナルの大部分は、V型のIg折りたたみ構造およびC型のIg折りたたみ構造で正準であり、不変である内部のTrp残基から生じるものであり、正準なIg折りたたみ構造の内部にあるジスルフィド結合に隣接する同じ位置に埋め込まれている。G11 IgG1およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体のNUVスペクトルは、それぞれの分子に含まれるタンパク質ドメインの性質に基づいて予想されるように、すべてよく似ている。
示差走査熱量測定(DSC)試験によって、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体にあるすべてのドメインが、適切に折りたたまれており、理想的な(高温での)熱によるアンフォールディング性を有していることが示された。親分子であるG11 IgG1分子、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体は、複数のドメインを有するタンパク質である(図39C)。研究により、IgG1分子は、3種類の別個のアンフォールディング遷移状態を示すことが多く、1個のCH2ドメインおよびCH3ドメインでそれぞれ1つ、1個の大きくて明らかにFabの4種類のドメインのいくつかが合わさった遷移状態(VH、VL、CH1およびCL、Garber,E.,Demarest,S.J.(2007)Biochem.Biophys.Res.Commun.355,751−757)であることが分かっている。G11 IgG1は、ヒトIgG1の場合、伝統的な3つの遷移状態を示す(図39C)。N末端BsAbおよびC末端BsAbも、CH2、CH3およびFabドメインの3つの遷移状態を示し、さらに、安定化したC06 scFvドメインのアンフォールディングから生じる、さらに1つの遷移状態を示している(図39C)。G11 IgG1、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体のアンフォールディング曲線は、それぞれ3つ、4つの遷移状態にフィットし、そのデータを表23に示す。C末端IGF−1R二重特異性抗体のIgG遷移状態は、G11 IgG1で観察された遷移状態とほぼ同一であり、このことは、安定化したC06 scFvと、融合タンパク質のIgG1部分との相互作用がほとんどないことを示唆している。さらに、安定化したC06 scFvは、TMが66℃の1個の遷移状態を有し、アンフォールディングの相対エンタルピーが大きい(表23)。このscFvで測定した1個のアンフォールディング遷移状態から、VHドメインおよびVLドメインが、ほぼ同じ温度でアンフォールディングされるか、または一緒にフォールディングされることが示唆される。scFvのTM測定値が高いことから、熱安定性、特に、scFvの熱安定性は、生成物の品質上の問題を引き起こすとは考えられない。N末端IGF−1R二重特異性抗体のデータは、C末端BsAbの実測値と似ているが、C06 scFvのTMは、わずかに高めであり、G11 FabのTMは、わずかに低めである(表23)。このデータから、融合タンパク質のscFv領域とFab領域との間の相互作用は非常に弱いが、生成物の品質上の問題を引き起こすとは考えられない。
N末端IGF−1R^2タンパク質の精製物について、2〜8℃で3ヶ月間、PBS中で凝集物が蓄積するかどうか監視した。この条件で保存することは、タンパク質試薬なら一般的なことである。多くのタンパク質(特に、安定性が低いか、または可溶性のもの)は、溶液を所定時間保存すると、可溶性の凝集物が蓄積することが分かっている。ここで集めたデータから、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体は、きわめて安定であり、3ヶ月の間、実質的に凝集物の徴候はみられなかった(検出限界未満)(表24)。
表23:DSCで測定した場合の、N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体、およびG11 IgG1コントロールタンパク質の熱力学的アンフォールディングパラメータ
aC06 scFvは、本願発明者らのBIIBプラットフォーム設計/スクリーニング技術を用い、Ile 83がGluに変異した結果(I83E)、安定化された。
aC06 scFvは、本願発明者らのBIIBプラットフォーム設計/スクリーニング技術を用い、Ile 83がGluに変異した結果(I83E)、安定化された。
表24:分析用SECで測定した場合の、2〜8℃で3ヶ月間、PBS中でのIGF−1R二重特異性抗体の安定性試験
N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体は、それぞれ、4.5mg/mLおよび1.7mg/mLに維持した。
N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体は、それぞれ、4.5mg/mLおよび1.7mg/mLに維持した。
b.(i)等温滴定熱量法(ITC)によって測定した、C06およびG11 MAbのIGF−1Rへの結合、および(ii)N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体のIGF−1Rへの結合
受容体に複数個の阻害性エピトープを組み込むことによって、IGF−1Rの阻害度を高めるという仮説が成り立つには、それぞれのエピトープが、他の阻害性エピトープを妨害することなく、阻害性の抗IGF−1R抗体によって組み込むことができる必要がある。等温滴定熱量法(ITC)を使用し、受容体の異なるエピトープを認識する、阻害性のC06およびG11 MAbのIGF−1Rへの結合を測定した。実験から、C06およびG11 MAbを、受容体に一緒に組み込むことができることは明らかである。さらに、ITC実験を行い、C末端BsAbおよびN末端BsAbが、IGF−1Rと強く結合し、予想通りの量論量で受容体を飽和させることが示された。
受容体に複数個の阻害性エピトープを組み込むことによって、IGF−1Rの阻害度を高めるという仮説が成り立つには、それぞれのエピトープが、他の阻害性エピトープを妨害することなく、阻害性の抗IGF−1R抗体によって組み込むことができる必要がある。等温滴定熱量法(ITC)を使用し、受容体の異なるエピトープを認識する、阻害性のC06およびG11 MAbのIGF−1Rへの結合を測定した。実験から、C06およびG11 MAbを、受容体に一緒に組み込むことができることは明らかである。さらに、ITC実験を行い、C末端BsAbおよびN末端BsAbが、IGF−1Rと強く結合し、予想通りの量論量で受容体を飽和させることが示された。
i.方法
抗体。C06抗体およびG11抗体、およびsIGF−1R(1−903)細胞外ドメインのタンパク質を、米国出願第2007/0243194号に記載されるように、製造し、精製した。
抗体。C06抗体およびG11抗体、およびsIGF−1R(1−903)細胞外ドメインのタンパク質を、米国出願第2007/0243194号に記載されるように、製造し、精製した。
等温滴定熱量法(ITC)。C06 MAb(100μM)、G11 MAb(67μM)およびsIGF−1R(1−903)(5μM)を、抗体/受容体結合実験に使用した。試薬は、PBS(pH7.2)で一緒に透析した。PBS透析液を用いて希釈することによって、タンパク質溶液の濃度を上に列挙したように調節した。BsAbsを用いた実験では、25μM C−term.IGF−1R^2、30μM N−term.IGF−1R^2、および2.5μM sIGF−1R(1−903)を使用した。MAb結合実験のために、タンパク質溶液を上述のように調製した。すべてのITC実験は、ITC200マイクロ熱量計(MicroCal,LLC)で25℃で行った。それぞれの反応で、反応セルをhIGF−1R(1−903)で満たした。MAbまたはBsAbがsIGF−1R(1−903)に結合するのを観察するために、シリンジをMAbまたはBsAbに満たし、C06 MAbの場合、15×1.5μLを注入し、G11 MAbの場合、18×2.0μLを注入し、N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体の場合、20×1.8μLを注入し、反応セルに滴定した。IGF−1R二重特異性抗体。それぞれの注入間隔は4分間にして、その間に平衡化させた。初期の遅れは60秒であった。MicroCal(Origin)によって供給されたITCデータ分析ソフトウェアを用い、データの数値積分を行った。注入して結合させている間の平均放出熱/吸収熱の違いと、受容体IGF−1Rが抗体またはリガンドで飽和したときの平均希釈熱とに基づいて、ΔHA°(T)値を算出した。25℃で、C06およびG11 MAb、およびC末端IGF−1R二重特異性抗体がIGF−1Rに結合する際の結合親和性は、MAbsおよびC−term.BsAbが、すべての受容体結合部位で飽和状態になる滴定領域で複数の遷移点が存在しないことによって示されるように、ITCでは高すぎて測定できなかった。
ii.結果
等温滴定熱量法を用い、阻害性の抗IG−1R MAb、C06およびG11が、重複しないエピトープを介して受容体に一緒に組み込まれることが示された。まず、可溶性組み換えIGF−1R細胞外ドメインを含有する溶液にC06を滴定し、sIGF−1R(1−903)は、典型的な抗体結合曲線を示している(図40A、40B)。sIGF−1R(1−903)タンパク質は、SDS−PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィー/静的光散乱法の両方によって、ダイマーであることが分かった(データは示していない)。ダイマー受容体および二価MAbは、両方とも、2個の結合部位になり得る部位を含有している。結合の量論量は、sIGF−1R(1−903)とMAbとの間の結合部位の当モル数に基づいて予想されるとおり、1:1であった。その後、約2倍過剰のC06 MAb存在下、G11 MAbをsIGF−1R(1−903)を含有する溶液に滴定した(図40A、40B)。C06 MAbが存在しても、G11 MAbが受容体に強く組み込まれるのを妨害しなかった。G11 MAbがsIGF−1R(1−903)に結合する量論量も、1:1であった。この実験から、C06およびG11 MAbは、IGF−1Rに一緒に組み込むことができる。
等温滴定熱量法を用い、阻害性の抗IG−1R MAb、C06およびG11が、重複しないエピトープを介して受容体に一緒に組み込まれることが示された。まず、可溶性組み換えIGF−1R細胞外ドメインを含有する溶液にC06を滴定し、sIGF−1R(1−903)は、典型的な抗体結合曲線を示している(図40A、40B)。sIGF−1R(1−903)タンパク質は、SDS−PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィー/静的光散乱法の両方によって、ダイマーであることが分かった(データは示していない)。ダイマー受容体および二価MAbは、両方とも、2個の結合部位になり得る部位を含有している。結合の量論量は、sIGF−1R(1−903)とMAbとの間の結合部位の当モル数に基づいて予想されるとおり、1:1であった。その後、約2倍過剰のC06 MAb存在下、G11 MAbをsIGF−1R(1−903)を含有する溶液に滴定した(図40A、40B)。C06 MAbが存在しても、G11 MAbが受容体に強く組み込まれるのを妨害しなかった。G11 MAbがsIGF−1R(1−903)に結合する量論量も、1:1であった。この実験から、C06およびG11 MAbは、IGF−1Rに一緒に組み込むことができる。
次に、C末端IGF−1R二重特異性抗体およびN末端IGF−1R二重特異性抗体を、sIGF−1R(1−903)に滴定した(図40C、40D)。両方のBsAbは、受容体に強く結合し、1:1のモル比で飽和状態になった。C−term.IGF−1R二重特異性抗体は、結合エンタルピーがきわめて大きく(−54kcal/mol、表25)、C06抗体およびG11抗体で測定したエンタルピーの組み合わせに基づいて予想される値よりもかなり大きい。C06およびG11 MAbと同様に、受容体が飽和状態になる繊維領域での滴定点は非常に少なく、このことは、結合が非常に強いことを示唆している(図40D)。N−term.IGF−1R二重特異性抗体も、大きなエンタルピーを示した(−43kcal/mol、表25)が、C−term.IGF−1R二重特異性抗体の値よりも小さかった。さらに、sIGF−1R(1−903)に対するN−term.IGF−1R二重特異性抗体to sIGF−1R(1−903)の親和性を規定する遷移領域で、多くの湾曲する点(さらなる滴定点)が存在していた。これにより、見かけ平衡解離定数KDが11nMであるという測定値が得られた(図40D、表25)。これらの結果から、N末端IGF−1R二重特異性抗体の結合親和性は、C末端IGF−1R二重特異性抗体の結合親和性よりも低くあり得ることが示唆される。
ITC実験の興味深い態様は、BsAbのIgG1部分にあるC06 scFvまたはG11 Fvのどちらが、受容体に対する結合を互いに遮断しているのかを区別することができないことである。これらが100%相互に排他的であったとしても、この分子の2個の活性端で観察される量論量は、1:1のままである。しかし、2個の分子の結合親和性の差と、N末端IGF−1R二重特異性抗体の見かけ親和性が弱いということを組み合わせると、N末端BsAbは、すべての結合部位を用いて、IGF−1Rに完全に結合できることはないと考えられる。結合部分(すなわち、C06 scFvおよびG11抗体のFv)は、2個の四価形態で同じであるが、この2個の形態の相対位置/空間は、顕著に異なっている。scFvとFvとの間の立体障害によって、C末端IGF−1R二重特異性抗体とN末端IGF−1R二重特異性抗体との結合性にわずかな差が生じると考えることができる。
表25:IGF−1Rが、C06およびG11 Mabに、個々に結合する場合、および組み合わせて結合する場合の熱力学的パラメータ、およびITCを用いて測定した、C末端IGF−1R二重特異性抗体およびN末端IGF−1R二重特異性抗体の結合パラメータ
a親和性が高すぎて、正確に測定できない。
b2個の別個の測定値の平均。
a親和性が高すぎて、正確に測定できない。
b2個の別個の測定値の平均。
c.溶液系表面プラズモン共鳴を用いた、IGF−1Rが、(i)C06およびG11のFabに、(ii)C06およびG11のMAbに、(iii)N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体に結合する際の量論量および親和性の決定
C06およびG11 MAbは、IGF−1R上にある、異なる重複しないエピトープに結合する。受容体の第1のIII型フィブロネクチンドメイン(FnIII−1)ドメインの表面にC06、システインに富む領域(CRR)の表面にG11。溶液相結合実験を行い、すべての可能性のある4箇所の結合部位(それぞれのエピトープについて2箇所)を用い、N末端BsAbおよびC末端BsAbが、IGF−1Rに結合する能力を観察した。
C06およびG11 MAbは、IGF−1R上にある、異なる重複しないエピトープに結合する。受容体の第1のIII型フィブロネクチンドメイン(FnIII−1)ドメインの表面にC06、システインに富む領域(CRR)の表面にG11。溶液相結合実験を行い、すべての可能性のある4箇所の結合部位(それぞれのエピトープについて2箇所)を用い、N末端BsAbおよびC末端BsAbが、IGF−1Rに結合する能力を観察した。
i.方法
表面プラズモン共鳴を用い、IGF−1Rに対するFab、MAbおよびBsAbの結合を平衡状態にする。すべての実験を、Biacore3000装置(Biacore)を用いて行った。C06およびG11 MAbを、製造業者が提供している標準的なアミン化学プロトコルを用い、標準的なCM5チップ表面に固定した。上述のMAbが高濃度で固定された状態で、低濃度のsIGF−1R(1−903)(<50nM)を流し、線形の物質移動限定結合曲線を導き出した。初期結合速度Vi(RU/s)は、チップ表面を流れるsIGF−1R(1−903)溶液の濃度と線形の相関関係にあった。sIGF−1R(1−903)(実施例9b)と、Fabs/MAbs/BsAbとの結合の結合定数および量論量を、sIGF−1R(1−903)および抗体の混合物を、C06またはG11を含有するセンサーチップ表面に流すことによって決定することができる。C06およびG11のセンサーチップ表面で、sIGF−1R(1−903)および抗体を含む溶液中で、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度を測定する。抗体とsIGF−1R(1−903)との平衡解離定数KDおよび結合量論量を、以下の式を用い、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度によって決定する。
式中、Vi=初期結合速度、m=IGF−1R(1−903)濃度に依存する標準曲線の傾き、[IGF−1]f=結合していないIGF−1の濃度、[IGF−1]t=IGF−1合計濃度、[Ab]t=Fab/MAb/BsAbの合計濃度(Day,E.S.,Cachero,T.G.,Qian,F.,Sun,Y.,Wen,D.,Pelletier,M.,Hsu,Y.−M.,Whitty,A.(2005)。“Selectivity of BAFF/BLyS and APRIL for Binding to the TNF Family Receptors BAFFR/BR3 and BCMA”Biochemistry,44: 1919−1931。
表面プラズモン共鳴を用い、IGF−1Rに対するFab、MAbおよびBsAbの結合を平衡状態にする。すべての実験を、Biacore3000装置(Biacore)を用いて行った。C06およびG11 MAbを、製造業者が提供している標準的なアミン化学プロトコルを用い、標準的なCM5チップ表面に固定した。上述のMAbが高濃度で固定された状態で、低濃度のsIGF−1R(1−903)(<50nM)を流し、線形の物質移動限定結合曲線を導き出した。初期結合速度Vi(RU/s)は、チップ表面を流れるsIGF−1R(1−903)溶液の濃度と線形の相関関係にあった。sIGF−1R(1−903)(実施例9b)と、Fabs/MAbs/BsAbとの結合の結合定数および量論量を、sIGF−1R(1−903)および抗体の混合物を、C06またはG11を含有するセンサーチップ表面に流すことによって決定することができる。C06およびG11のセンサーチップ表面で、sIGF−1R(1−903)および抗体を含む溶液中で、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度を測定する。抗体とsIGF−1R(1−903)との平衡解離定数KDおよび結合量論量を、以下の式を用い、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度によって決定する。
式中、Vi=初期結合速度、m=IGF−1R(1−903)濃度に依存する標準曲線の傾き、[IGF−1]f=結合していないIGF−1の濃度、[IGF−1]t=IGF−1合計濃度、[Ab]t=Fab/MAb/BsAbの合計濃度(Day,E.S.,Cachero,T.G.,Qian,F.,Sun,Y.,Wen,D.,Pelletier,M.,Hsu,Y.−M.,Whitty,A.(2005)。“Selectivity of BAFF/BLyS and APRIL for Binding to the TNF Family Receptors BAFFR/BR3 and BCMA”Biochemistry,44: 1919−1931。
ii.結果
平衡状態にある溶液相の表面プラズモン共鳴実験を行い、四価IGF−1R二重特異性抗体の4種類すべての結合部位が、適切なエピトープに結合する能力を調べた。それぞれのエピトープに対する結合を試験するために、C06およびG11を、異なるセンサーチップ表面に固定し、これを用いて、それぞれ、sIGF−1R(−1903)上にあるFnIII−1エピトープおよびCRRエピトープが取り除かれるかどうかをプローブした。C06表面およびG11表面に対する、可溶性IGF−1R細胞外ドメインの結合を、種々の量のN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体存在下で試験した(図41A、41B)。C06およびG11のMAbおよびFabをコントロールとして使用し、抗体:受容体の量論量が、それぞれ、1:1および2:1であることが分かった。C06のMAbおよびFabは、G11表面がsIGF−1R(1−903)に結合するのを阻害せず、G11のMAbおよびFabは、C06表面がsIGF−1R(1−903)に結合するのを阻害しないことを注記しておくことは重要であり、このことは、それぞれの表面によって、上述の表面が、sIGF−1R(1−903)上にあるエピトープに接近する性質を排他的に測定することができることを示している。
平衡状態にある溶液相の表面プラズモン共鳴実験を行い、四価IGF−1R二重特異性抗体の4種類すべての結合部位が、適切なエピトープに結合する能力を調べた。それぞれのエピトープに対する結合を試験するために、C06およびG11を、異なるセンサーチップ表面に固定し、これを用いて、それぞれ、sIGF−1R(−1903)上にあるFnIII−1エピトープおよびCRRエピトープが取り除かれるかどうかをプローブした。C06表面およびG11表面に対する、可溶性IGF−1R細胞外ドメインの結合を、種々の量のN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体存在下で試験した(図41A、41B)。C06およびG11のMAbおよびFabをコントロールとして使用し、抗体:受容体の量論量が、それぞれ、1:1および2:1であることが分かった。C06のMAbおよびFabは、G11表面がsIGF−1R(1−903)に結合するのを阻害せず、G11のMAbおよびFabは、C06表面がsIGF−1R(1−903)に結合するのを阻害しないことを注記しておくことは重要であり、このことは、それぞれの表面によって、上述の表面が、sIGF−1R(1−903)上にあるエピトープに接近する性質を排他的に測定することができることを示している。
この実験の結果から、C末端IGF−1R二重特異性抗体のscFvアームの両方が、それぞれのCRRエピトープおよびFnIII−1エピトープに、G11およびC06のMAbで観察された親和性と同じ親和性で結合することができることを示す(図41A、41B)。C−term.IGF−1R二重特異性抗体抗体の阻害曲線は、C06 MAb 対 C06表面およびG11 MAb 対 G11表面で観察した阻害曲線と同じである。IGF−1R(1−903)に対する、MAbおよびC末端BsAbの結合量論量は、受容体がホモダイマーであるという事実に基づいて予想されるとおり、1:1である(表26)。C06およびG11のFabは、それぞれのエピトープに対する結合の量論量は、2:1を示し、これも予想されたとおりである(表26)。Fabは、低い見かけ親和性を示し、すでに速度論的なbiacore実験によって測定した親和性と実質的に同一である(表26)。
C末端IGF−1R二重特異性抗体で観察された結果とは異なり、N末端IGF−1R二重特異性抗体の結果から、上述の分子のIgG1部分のC06 scFvおよびG11 Fvによる結合は、互いに排他的ではないことが示唆される。N末端BsAbは、受容体を(両方のエピトープ)で飽和状態にし、見かけ量論量は、1.5:1である。この値は、MAbおよびFabで観察された値の中間である(図41A、41B、表26)。
結論として、平衡状態での溶液相表面プラズモン共鳴実験から、N末端BsAbとC末端BsAbとは、明らかに異なる結合性能を示すことが示される。C末端IGF−1R二重特異性抗体は、理想的な挙動を示し、4つすべての結合部位を、BsAbの他の結合部位で結合することによって妨害されることなく、受容体に独立して組み込むことができる。それとは異なり、N末端BsAbは、溶液中で、4つすべての結合部分をIGF−1Rに組み込むことはできない。N末端形態では、C06 scFvとG11 Fvとが非常に近い位置にあり、立体的に障害になっているという可能性がある。
表26:C06およびG11のMAbおよびFabをコントロールとして使用した、IGF−1R二重特異性抗体の速度論的親和性および平衡状態での(液相)親和性の測定値
aUS PCT 2007/0243194:抗IGF−1R抗体およびその用途に記載
b複合体/多相での結合速度論。
aUS PCT 2007/0243194:抗IGF−1R抗体およびその用途に記載
b複合体/多相での結合速度論。
d.溶液系表面プラズモン共鳴を用いた、IGF−1Rが、(i)C06およびG11のFAbに、(ii)C06およびG11のMAbに、(iii)N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体に結合する際の量論量および親和性の決定
上述の実施例4に記載したように、重複しないエピトープを認識する、複数の阻害性抗IGF−1R抗体を組み合わせると、1個のモノクローナル抗体では達成できない高いレベルでリガンドをブロックすることができる。2種類の阻害性抗IGF−1R抗体の活性を1個のタンパク質構築物内で組み合わせるために、本願発明者らは、G11抗体の競合的なリガンドブロック挙動と、C06抗体のアロステリックなブロック活性とを組み合わせた、四価二重特異性抗体(BsAb)を作成した。BsAbは、IgG1形態で、C06抗体に由来する安定化したscFv形態が、G11抗体のN末端またはC末端に組み換えによって融合したものからなる(図37)。米国特許出願第2008/0050370号「Stabilized polypeptide compositions」に記載されているように、scFvの安定化は、高品質の四価IgG様二重特異性抗体または多価抗体を製造することを可能にするプロセスである。この実施例のデータは、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体が、1個のモノクローナル抗体よりも高い程度に、リガンドをブロックすることを示している。
上述の実施例4に記載したように、重複しないエピトープを認識する、複数の阻害性抗IGF−1R抗体を組み合わせると、1個のモノクローナル抗体では達成できない高いレベルでリガンドをブロックすることができる。2種類の阻害性抗IGF−1R抗体の活性を1個のタンパク質構築物内で組み合わせるために、本願発明者らは、G11抗体の競合的なリガンドブロック挙動と、C06抗体のアロステリックなブロック活性とを組み合わせた、四価二重特異性抗体(BsAb)を作成した。BsAbは、IgG1形態で、C06抗体に由来する安定化したscFv形態が、G11抗体のN末端またはC末端に組み換えによって融合したものからなる(図37)。米国特許出願第2008/0050370号「Stabilized polypeptide compositions」に記載されているように、scFvの安定化は、高品質の四価IgG様二重特異性抗体または多価抗体を製造することを可能にするプロセスである。この実施例のデータは、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体が、1個のモノクローナル抗体よりも高い程度に、リガンドをブロックすることを示している。
i.方法
リガンドのブロック性。実施例4に記載の、IGF−1およびIGF−2をブロックするELISAを用い、IGF−1およびIGF−2をブロックするMAbおよびBsAbの能力を決定した。このアッセイ中のIGF−1およびIGF−2の濃度は、それぞれ320nMおよび640nMであった。C06およびG11のMAb、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体のブロック能力の、リガンド濃度に対する依存性を観察するために、異なるリガンド濃度でアッセイを行った。20nM、80nM、320nMまたは1300nMのIGF−1、または40nM、160nM、640nMまたは2600nMのIGF−2を用い、個々のブロッキングELISAを行った。IGF−2は、受容体への親和性がわずかに低いため、IGF−2濃度は、高めであった。ELISA曲線の線形領域内に入るように、本願発明者らは、IGF−1に匹敵する結果を得るために、IGF−1ブロッキングELISAよりも高い濃度のIGF−2で、アッセイを行う必要があった。
リガンドのブロック性。実施例4に記載の、IGF−1およびIGF−2をブロックするELISAを用い、IGF−1およびIGF−2をブロックするMAbおよびBsAbの能力を決定した。このアッセイ中のIGF−1およびIGF−2の濃度は、それぞれ320nMおよび640nMであった。C06およびG11のMAb、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体のブロック能力の、リガンド濃度に対する依存性を観察するために、異なるリガンド濃度でアッセイを行った。20nM、80nM、320nMまたは1300nMのIGF−1、または40nM、160nM、640nMまたは2600nMのIGF−2を用い、個々のブロッキングELISAを行った。IGF−2は、受容体への親和性がわずかに低いため、IGF−2濃度は、高めであった。ELISA曲線の線形領域内に入るように、本願発明者らは、IGF−1に匹敵する結果を得るために、IGF−1ブロッキングELISAよりも高い濃度のIGF−2で、アッセイを行う必要があった。
ii.結果
C06抗体およびG11抗体、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体を、IGF−1は320nM、IGF−2は640nMの濃度で使用し、IGF−1およびIGF−2のブロッキングELISA(図42A〜B)で同時に試験した。N末端BsAbおよびC末端BsAbは、より親和性が高い抗体であるC06に匹敵する、約1nMのIC50値を有していた。C06抗体およびG11抗体の両方は、IGF−1またはIGF−2が、100nM未満の濃度ではIGF−1Rに結合するのを完全には妨害しなかった(図42A〜B)。N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体は両方とも、低い濃度(10nM未満、図42Aおよび42B)でも、IGF−1およびIGF−2が、上述の受容体に結合するのを完全に排除することができた。
C06抗体およびG11抗体、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体を、IGF−1は320nM、IGF−2は640nMの濃度で使用し、IGF−1およびIGF−2のブロッキングELISA(図42A〜B)で同時に試験した。N末端BsAbおよびC末端BsAbは、より親和性が高い抗体であるC06に匹敵する、約1nMのIC50値を有していた。C06抗体およびG11抗体の両方は、IGF−1またはIGF−2が、100nM未満の濃度ではIGF−1Rに結合するのを完全には妨害しなかった(図42A〜B)。N−term.IGF−1R二重特異性抗体およびC−term.IGF−1R二重特異性抗体は両方とも、低い濃度(10nM未満、図42Aおよび42B)でも、IGF−1およびIGF−2が、上述の受容体に結合するのを完全に排除することができた。
アッセイで使用するリガンド濃度が高くなると、ヒト抗体C06は、IGF−1ブロック活性をいくらか失う(すなわち、IGF−1Rに結合可能なIGF−1の割合は、受容体がC06で飽和状態にある場合、リガンド濃度が上がるにつれて、上がっていく、図43A)。これは、C06が、純粋にアロステリックな阻害剤だからである。G11抗体は、リガンド濃度の上昇に対して異なる応答をする。競合的な阻害剤として、ヒト抗体G11は、受容体に結合するリガンドと直接競合しなければならない。リガンド濃度が高くなるにつれて、G11抗体の見かけの効力は低下する(図43B)。リガンド存在下、アロステリックな部位で受容体に結合する能力と、アロステリックな機序および競合的な機序の両方を用いて阻害する能力とを組み合わせることによって、BsAbは、リガンドの濃度に関係なくIGF−1およびIGF−2が、受容体に結合することを完全に妨害することができる(図44A〜D)。さらに、N−term.IGF−1R^2抗体およびC−term.IGF−1R^2抗体の両方で測定したIC50値は、アッセイで使用したリガンドの濃度とは無関係であり、このアッセイでC06抗体について測定したIC50値と等価である。
C末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−1ブロッキング=2.0±0.3
C末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−2ブロッキング=1.7±0.2
N末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−1ブロッキング=1.4±0.2
N末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−2ブロッキング=2.7±0.9。
C末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−1ブロッキング=2.0±0.3
C末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−2ブロッキング=1.7±0.2
N末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−1ブロッキング=1.4±0.2
N末端IGF−1R BsAb:IC50 IGF−2ブロッキング=2.7±0.9。
これらの結果から、C06およびG11の阻害性エピトープの両方を認識する能力によって、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体が、すべてのリガンド濃度で、標準的なヒト抗体C06およびG11よりも大きくリガンドをブロックする。
e.C06およびG11のMAb、およびN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体による、IGF−1Rの架橋
IGF−1Rに対して異なる阻害性抗体を識別し得る特徴の1つは、細胞表面にある受容体と架橋する能力である。多くの受容体チロシンキナーゼファミリーの成員は、リガンドが介在するホモ二量化またはヘテロ二量化を介して、シグナル伝達する。しかし、IGF−1R(およびインスリン受容体)は、この機序でシグナル伝達しない。IGF−1Rは、構成的なホモダイマーであり、シグナル伝達は、二量化とは無関係の、リガンド結合による構造変化に依存する。
IGF−1Rに対して異なる阻害性抗体を識別し得る特徴の1つは、細胞表面にある受容体と架橋する能力である。多くの受容体チロシンキナーゼファミリーの成員は、リガンドが介在するホモ二量化またはヘテロ二量化を介して、シグナル伝達する。しかし、IGF−1R(およびインスリン受容体)は、この機序でシグナル伝達しない。IGF−1Rは、構成的なホモダイマーであり、シグナル伝達は、二量化とは無関係の、リガンド結合による構造変化に依存する。
IGF−1Rのいくつかの抗体は、内在化および分解を介し、受容体を下方制御する能力を示している。架橋は、細胞表面のタンパク質内在化の効率と関係があることが多い(例えば、FcεRIは、架橋によって内在化する)。このように、架橋は、細胞表面のタンパク質(この場合、IGF−1R)に対する抗体の活性に顕著な影響を与えることがある。さらに、細胞表面にあるIGF−1Rの架橋度は、抗体が介在しており、この架橋度は、FcγR受容体または相補体に対する、抗体のFc領域の結合に影響を与え、宿主の免疫系に対する抗体の活性に影響を与え得る。
ここで、本願発明者らは、IGF−1R細胞外ドメインの可溶性態様とともにインキュベートした場合、C06およびG11のMAbによって、溶液中で異なる大きさのIGF−1R/MAb免疫複合体が得られることを示している。本願発明者らは、C06およびG11のMAbを、IGF−1Rを含む溶液に同時に導入することによって得られる複合体も観察する。最後に、本願発明者らは、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体によって形成される免疫複合体の性質も観察する。
i.方法
インライン静的光散乱法を用いる、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)。(i)C06MAb、(ii)G11 MAbおよび(iii)sIGF−1R(1−903)、(iv)C06 MAbおよびsIGF−1R(1−903)の二元混合物、または(v)G11 MAbおよびsIGF−1R(1−903)の二元混合物、または(vi)C06 MAb、G11 MAbおよびsIGF−1R(1−903)の三元混合物を用いて、SECサンプルを調製した。すべてのサンプルには、各タンパク質が25μg含まれており、PBS(pH7.2)で最終容積が50μLになるまで希釈した後、Agilent 1100 HPLCシステムを用い、10mM ホスフェート、150mM NaCl、0.02% ナトリウムアジド、pH6.8で平衡状態にしたTSKgel G3000SW XL、5mm、250Å分析用SECカラム(Tosoh Biosciences)、SEMカラムに注入した。SECカラムから溶出する物質の光散乱データを、インライン屈折率測定器(Wyatt Technologies)を取り付けたminiDAWN静的光散乱検出器で集めた。光散乱データを、製造業者から提供されたASTRA Vソフトウェアで分析した。
インライン静的光散乱法を用いる、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)。(i)C06MAb、(ii)G11 MAbおよび(iii)sIGF−1R(1−903)、(iv)C06 MAbおよびsIGF−1R(1−903)の二元混合物、または(v)G11 MAbおよびsIGF−1R(1−903)の二元混合物、または(vi)C06 MAb、G11 MAbおよびsIGF−1R(1−903)の三元混合物を用いて、SECサンプルを調製した。すべてのサンプルには、各タンパク質が25μg含まれており、PBS(pH7.2)で最終容積が50μLになるまで希釈した後、Agilent 1100 HPLCシステムを用い、10mM ホスフェート、150mM NaCl、0.02% ナトリウムアジド、pH6.8で平衡状態にしたTSKgel G3000SW XL、5mm、250Å分析用SECカラム(Tosoh Biosciences)、SEMカラムに注入した。SECカラムから溶出する物質の光散乱データを、インライン屈折率測定器(Wyatt Technologies)を取り付けたminiDAWN静的光散乱検出器で集めた。光散乱データを、製造業者から提供されたASTRA Vソフトウェアで分析した。
さらなるSECサンプルを、(i)C−term.IGF−1R二重特異性抗体(BsAb)、(ii)N−term.IGF−1R BsAb、および(iii)sIGF−1R(1−903);または、(iv)C−term.IGF−1R BsAbおよびsIGF−1R(1−903)の複合体、または(v)N−term.IGF−1R BsAbおよびsIGF−1R(1−903)の複合体を用いて調製した。実験で使用するsIGF−1R(1−903)およびBsAbの量は、それぞれ、30μgおよび45μgである。すべてのサンプルは、PBS(pH7.2)で最終容積が50μLになるまで希釈した後、SEC/静的光散乱分析を行った。
ii.結果
SEC/静的光散乱法によって、C06およびG11のMAbの単離物と、sIGF−1R(1−903)単離物は、すべてのタンパク質が、予想通りの分子量を表すことを示す(抗体について、150kDa、sIGF−1R(1−903)について、約250kDa、図45A)。G11 MAbとsIGF−1R(1−903)とで形成される複合体は、分子量の実測値840kDaに基づき、4分子体をとりやすいと考えられる(G11 MAbが2分子、sIGF−1R(1−903)が2分子)(図45A)。C06 MAbは、可溶性IGF−1R細胞外ドメインと、もっと大きな複合体を形成する(2MDa、図45A)。C06およびG11 MAbが、可溶性受容体細胞外ドメインに同時に導入され、四元混合物を形成する場合、この免疫複合体の平均的な大きさは、劇的に増加し、10MDaよりも大きくなり、本願発明者らの測定可能な範囲を大きく超える(図45A)。このことは、細胞表面に存在するIGF−1Rに対する重複しないエピトープを認識する2個の抗体を加えることによって、新規な架橋が生成し、潜在的に下方制御する方向に進む可能性がある。
SEC/静的光散乱法によって、C06およびG11のMAbの単離物と、sIGF−1R(1−903)単離物は、すべてのタンパク質が、予想通りの分子量を表すことを示す(抗体について、150kDa、sIGF−1R(1−903)について、約250kDa、図45A)。G11 MAbとsIGF−1R(1−903)とで形成される複合体は、分子量の実測値840kDaに基づき、4分子体をとりやすいと考えられる(G11 MAbが2分子、sIGF−1R(1−903)が2分子)(図45A)。C06 MAbは、可溶性IGF−1R細胞外ドメインと、もっと大きな複合体を形成する(2MDa、図45A)。C06およびG11 MAbが、可溶性受容体細胞外ドメインに同時に導入され、四元混合物を形成する場合、この免疫複合体の平均的な大きさは、劇的に増加し、10MDaよりも大きくなり、本願発明者らの測定可能な範囲を大きく超える(図45A)。このことは、細胞表面に存在するIGF−1Rに対する重複しないエピトープを認識する2個の抗体を加えることによって、新規な架橋が生成し、潜在的に下方制御する方向に進む可能性がある。
N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体の混合物と、sIGF−1R(1−903)とを、SEC/静的光散乱法でも試験した(図45B)。単離の状態で、BsAbsおよびsIGF−1R(1−903)は、すべて、予想通りの分子量を示している(BsAbの場合、約210kDa、sIGF−1R(1−903)の場合、約250kDa)。興味深いことに、sIGF−1R(1−903)と複合体を形成すると、BsAbは、G11 MAbで測定した場合と同様サイズの複合体を生じる(C−term.IGF−1R BsAb/sIGF−1R(1−903)複合体の場合、約1.0MDa、N−term.IGF−1R BsAb/sIGF−1R(1−903)複合体の場合、約1.3MDa)。BsAbsとsIGF−1R(1−903)とがよく似た分子量を有するため、本願発明者らは、この試験だけでは、免疫複合体の実際の組成(すなわち、免疫複合体のBsAb 対 sIGF−1R(1−903)分子の数)が、G11 MAbで観察した場合と似ているかどうかを決定することができなかった。
結論として、本願発明者らは、C06およびG11のMAbsによって、sIGF−1R(1−903)タンパク質との非常に異なる免疫複合体が得られ、MAbの組み合わせによって三元混合物が得られ、それによって免疫複合体の大きさが非常に大きくなることを示す。C06抗体およびG11抗体を二重特異性形態に変換しても、BsAbに対してIGF−1Rが結合した際に、免疫複合体の複雑さおよび大きさが増加していくわけではない。興味深いことに、おそらく立体構造の影響に起因して、BsAbによって形成される複合体は小さく、別のG11 MAbで観察されたものと似ている。
(実施例10.IGF−1Rの2個の異なるエピトープを標的とするIGF−1R二重特異性抗体の機能活性)
この実施例でまとめた実験結果から、IGF−1R抗体の2個の異なるエピトープに対する二重特異性抗体が、1種類の特異性を有する抗体よりも生体活性が高く、インビボでの抗腫瘍活性が改良しているという生物学的な原理および概念の証明が得られる。
この実施例でまとめた実験結果から、IGF−1R抗体の2個の異なるエピトープに対する二重特異性抗体が、1種類の特異性を有する抗体よりも生体活性が高く、インビボでの抗腫瘍活性が改良しているという生物学的な原理および概念の証明が得られる。
C06およびG11は、IGF−1およびIGF−2の結合をブロックするIGF−1Rに存在する別個の2個のエピトープを、それぞれ、アロステリック効果による機序、および競合的な機序で標的とする2個の阻害性抗IGF−1R抗体である。C06およびG11の組み合わせによって、リガンドのブロック性が高まり、腫瘍細胞の成長阻害度が高まる。したがって、2種類の二重特異性抗体N−IGF−1R二重特異性抗体(G11 IgG1骨格を有し、I83E変異を有するC06 scFvを用いた、N末端IGF−1R^2)およびC−IGF−1R二重特異性抗体(G11 IgG1骨格を有し、I83E変異を有するC06 scFvを用いた、C末端IGF−1R)を、IGF−1R上に存在するC06エピトープおよびG11エピトープの両方を標的とする1個の二重特異性分子として構築した。C06およびG11の組み合わせによるIGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープ、または1個の二重特異性薬剤、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体を標的とする生物学的効果を、以下のアッセイで評価し、本明細書に記載の実施例にまとめた。IGF−1Rリン酸化の阻害;IGF−1R下方制御の誘発;AKTおよびMAPKの阻害;SFMおよび血清での細胞成長阻害、±IGF;ADCC活性;足場に依存しない成長の阻害;SJSA−1腫瘍のインビボでの成長阻害;およびマウスでのPK試験。
a.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、1個のモノクローナル抗体よりも効果的に、IGF−1Rリン酸化を阻害した
2種類のIGF−1Rエピトープを標的とすることがIGF−1Rリン酸化に与える影響について、C06/G11の組み合わせ、またはC−IGF−1R二重特異性抗体を用いて細胞を処理して、評価した。簡単に説明すると、ヒト非小細胞肺癌に由来するH322M細胞を、12ウェル培養プレートに播種し、10%胎児ウシ血清(FBS、Irvine Scientific、番号3000A)を含有するRPMI−1640培地で一晩成長させた。細胞を無血清条件下に24時間おき、0.1nM、1nM、10nMまたは100nMのC2B8(抗CD20、IgG1アイソタイプコントロール抗体、Biogen Idec)、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはC−IGF−1R二重特異性抗体で、37℃で1時間処理し、100ng/mlのIGF−1および100ng/mlのIGF−2(R & D Systems、番号291−G1、番号292−G2)で20分間刺激した。細胞溶解バッファ(Meso Scale Discovery、カタログ番号R60TX−3)で細胞タンパク質を抽出した。溶解物中のタンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce、カタログ番号23227)で測定し、等量のタンパク質をNUPAGE 4〜12% Tris−Bisゲルで分離し、Nitrocellulose膜(孔径0.45μm)に移した。抗−ホスホ−IGF−1R(Cell Signaling technology、カタログ番号3021および3024)および抗−全−IGF−1R(Cell Signaling technology、カタログ番号3027)でブロットをプローブで調べ、ヤギ抗−ウサギ−IgG−HRPコンジュゲート(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号111−035−003)で検出した。Supersignal Western Substrate Kit(Pierce、カタログ番号34095)でブロットを染色し、BioRad’s VersaDoc 5000造影システムで、化学発光画像を捕捉した。図46Aに示されるように、C06およびG11の組み合わせ、およびC−IGF−1R二重特異性抗体は、C06単独またはG11単独よりも、IGF−1Rのリン酸化を強く阻害した。興味深いことに、G11およびC06を組み合わせると、1個の抗体よりも、IGF−1R全体を効果的に下方制御するが、C−IGF−1R二重特異性抗体は、C06およびG11の組み合わせと比べて、IGF−1Rを下方制御するのにそれほど効果的ではないと考えられる。C−IGF−1R二重特異性抗体が、上述の組み合わせと匹敵するレベルでIGF−1Rリン酸化を阻害しつつ、ウェスタンブロットで決定されるような受容体の下方制御は同程度ではないという事実は、IGF−1Rリン酸化に対するC−IGF−1R二重特異性抗体の阻害活性が高いことが、すでに示したIGF1/2リガンドのブロック度が増加していること主に起因していることを示す。A549非小細胞肺癌細胞およびN−IGF−1R二重特異性抗体についても同様の結果が見られ、(データは示していない)、2個の1種類の抗体の組み合わせまたは1個の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個のエピトープを標的にすると、腫瘍細胞において、1個のモノクローナル抗IGF−1R抗体よりも効果的に、IGF−1Rを活性化することができることを示唆している。
2種類のIGF−1Rエピトープを標的とすることがIGF−1Rリン酸化に与える影響について、C06/G11の組み合わせ、またはC−IGF−1R二重特異性抗体を用いて細胞を処理して、評価した。簡単に説明すると、ヒト非小細胞肺癌に由来するH322M細胞を、12ウェル培養プレートに播種し、10%胎児ウシ血清(FBS、Irvine Scientific、番号3000A)を含有するRPMI−1640培地で一晩成長させた。細胞を無血清条件下に24時間おき、0.1nM、1nM、10nMまたは100nMのC2B8(抗CD20、IgG1アイソタイプコントロール抗体、Biogen Idec)、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはC−IGF−1R二重特異性抗体で、37℃で1時間処理し、100ng/mlのIGF−1および100ng/mlのIGF−2(R & D Systems、番号291−G1、番号292−G2)で20分間刺激した。細胞溶解バッファ(Meso Scale Discovery、カタログ番号R60TX−3)で細胞タンパク質を抽出した。溶解物中のタンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce、カタログ番号23227)で測定し、等量のタンパク質をNUPAGE 4〜12% Tris−Bisゲルで分離し、Nitrocellulose膜(孔径0.45μm)に移した。抗−ホスホ−IGF−1R(Cell Signaling technology、カタログ番号3021および3024)および抗−全−IGF−1R(Cell Signaling technology、カタログ番号3027)でブロットをプローブで調べ、ヤギ抗−ウサギ−IgG−HRPコンジュゲート(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号111−035−003)で検出した。Supersignal Western Substrate Kit(Pierce、カタログ番号34095)でブロットを染色し、BioRad’s VersaDoc 5000造影システムで、化学発光画像を捕捉した。図46Aに示されるように、C06およびG11の組み合わせ、およびC−IGF−1R二重特異性抗体は、C06単独またはG11単独よりも、IGF−1Rのリン酸化を強く阻害した。興味深いことに、G11およびC06を組み合わせると、1個の抗体よりも、IGF−1R全体を効果的に下方制御するが、C−IGF−1R二重特異性抗体は、C06およびG11の組み合わせと比べて、IGF−1Rを下方制御するのにそれほど効果的ではないと考えられる。C−IGF−1R二重特異性抗体が、上述の組み合わせと匹敵するレベルでIGF−1Rリン酸化を阻害しつつ、ウェスタンブロットで決定されるような受容体の下方制御は同程度ではないという事実は、IGF−1Rリン酸化に対するC−IGF−1R二重特異性抗体の阻害活性が高いことが、すでに示したIGF1/2リガンドのブロック度が増加していること主に起因していることを示す。A549非小細胞肺癌細胞およびN−IGF−1R二重特異性抗体についても同様の結果が見られ、(データは示していない)、2個の1種類の抗体の組み合わせまたは1個の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個のエピトープを標的にすると、腫瘍細胞において、1個のモノクローナル抗IGF−1R抗体よりも効果的に、IGF−1Rを活性化することができることを示唆している。
b.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、IGF−1Rの下方制御を効率よく誘発した
実施例10aに示すように、細胞を抗体で処理すると、1時間以内に、G11およびC06の組み合わせによって、1個の抗体よりも、IGF−1R全体を効果的に下方制御した。本願発明者らは、C06/G11の組み合わせおよびBsAbの、所定の実験時間中に、IGF−1Rの塊を分解する能力についてさらに観察した。H322M細胞を12ウェル培養プレートに播種し、15μg/mlのC06、G11、C06とG11との組み合わせ、C−IGF−1R二重特異性抗体またはN−IGF−1R二重特異性抗体で、1時間、4時間または24時間処理した。細胞タンパク質を抽出し、NUPAGE 4〜12% Tris−Bisゲルで分離し、実施例10aに示すようにNitrocellulose膜に移した。ブロットを抗−全−IGF−1Rでプローブし、二次抗体を抗−ウサギ−IgG−HRPに接続し、Pierce製のSupersignal Western Substrate Kitで染色した。図46Bは、処理1時間後に、C06およびG11の組み合わせ、およびN−IGF−1R二重特異性抗体は、1個の抗体より効果的にIGF−1Rの分解を促進し、その一方、C−IGF−1R二重特異性抗体は、1個の抗体で処理するのと同程度まで、IGF−1Rを分解した。しかし、抗体を加えて4時間後および24時間後、すべての抗体の処理で、細胞の大部分のIGF−1Rが分解され、1個の抗体、すなわちC−BsAbで処理した細胞と、C06およびG11の組み合わせ、すなわちN−IGF−1Rで処理した細胞との間で、残留IGF−1Rの量はほとんど変わらなかった。
実施例10aに示すように、細胞を抗体で処理すると、1時間以内に、G11およびC06の組み合わせによって、1個の抗体よりも、IGF−1R全体を効果的に下方制御した。本願発明者らは、C06/G11の組み合わせおよびBsAbの、所定の実験時間中に、IGF−1Rの塊を分解する能力についてさらに観察した。H322M細胞を12ウェル培養プレートに播種し、15μg/mlのC06、G11、C06とG11との組み合わせ、C−IGF−1R二重特異性抗体またはN−IGF−1R二重特異性抗体で、1時間、4時間または24時間処理した。細胞タンパク質を抽出し、NUPAGE 4〜12% Tris−Bisゲルで分離し、実施例10aに示すようにNitrocellulose膜に移した。ブロットを抗−全−IGF−1Rでプローブし、二次抗体を抗−ウサギ−IgG−HRPに接続し、Pierce製のSupersignal Western Substrate Kitで染色した。図46Bは、処理1時間後に、C06およびG11の組み合わせ、およびN−IGF−1R二重特異性抗体は、1個の抗体より効果的にIGF−1Rの分解を促進し、その一方、C−IGF−1R二重特異性抗体は、1個の抗体で処理するのと同程度まで、IGF−1Rを分解した。しかし、抗体を加えて4時間後および24時間後、すべての抗体の処理で、細胞の大部分のIGF−1Rが分解され、1個の抗体、すなわちC−BsAbで処理した細胞と、C06およびG11の組み合わせ、すなわちN−IGF−1Rで処理した細胞との間で、残留IGF−1Rの量はほとんど変わらなかった。
さらに、本願発明者らは、FACS(蛍光活性化細胞選別法)によって、種々の抗体処理条件を用い、IGF−1R内在化速度を試験した。H322M細胞を、10% FBSを含有するRPMI−1640培地で48時間成長させた。次いで、細胞を100nMのC2B8(アイソタイプネガティブコントロール)、C06、G11、C06とG11との組み合わせ、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体を用い、氷上で1時間インキュベートし、細胞表面のIGF−1Rを抗体で標識させた。内在化を防ぐために、氷上で、細胞サンプルを各抗体で染色し、このときをゼロ時間とした(t=0)。このサンプルを100%Abに結合したコントロールとして使用した。抗体で染色した細胞の残りを、成長培地で1時間、4時間または24時間培養した。それぞれのインキュベート時間が終了したら、細胞解離バッファ(Gibco, catalog #13151−014)で細胞をフラスコから取り出し、氷上で、0.1%ナトリウムアジド/1%BSA PBS溶液(FACSバッファ)を加えて内在化を止めた。FACSバッファ中、PE標識した二次F(ab’)2フラグメントヤギ抗−ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch Lab、カタログ番号109−116−088;2.5μg/ml)で細胞を1時間染色し、細胞表面に残った抗体を検出した。細胞を2%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences(EMS);カタログ番号15710)で固定した。次いで、サンプルをFACS Calibur(BD)で処理し、蛍光平均(MFI)を決定した。処理から1時間後、4時間後、または24時間後に、細胞表面に残った各抗体で標識したIGF−1Rのフラクションを、ゼロ時間でのMFIを基準とし、各時間点でのMFIの割合として算出した。図47Aに示したように、C06とG11との組み合わせによって、受容体の内在化速度がわずかに速くなり、一方、全体的には、すべてのIGF−1R抗体は、IGF−1Rの内在化をきわめて効率よく誘発し、抗体で処理して24時間後には、表面IGF−1Rの減少率が70%を超えた。まとめると、これらの試験から、G06とG11との組み合わせは、モノクローナル抗体よりも効率よくIGF−1Rを下方制御するが、モノクローナル抗体および二重特異性抗体を含むすべての抗体が、最終的には、IGF−1Rをきわめて効果的に下方制御(内在化し、分解)することができる。
c.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、1個のモノクローナル抗体よりも効率よく、AKT生存シグナル伝達経路およびMAPK増殖シグナル伝達経路の両方を阻害した
下流にあるシグナル伝達事象(例えば、AktおよびMAPKのリン酸化)に与える影響について、C06およびG11の組み合わせ、またはIGF−1Rの2個のエピトープを標的とする二重特異性抗体を用いて試験した。0.1nM、1nM、10nMまたは100nMのC2B8、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体で、細胞を1時間処理した後、実施例10aに示すように、100ng/mlのIGF1およびIGF2で20分間刺激した。AKTのリン酸化は、製造業者のプロトコルにしたがって、p−AKT(Ser 473)MSDキット(Meso Scale Discovery、カタログ番号K15100D)を用いて定量化した。簡単に説明すると、MSDキットで細胞を細胞溶解バッファに溶解し、電極で、抗−ホスホ−AKT抗体でコーティングしたプレートに、等量のタンパク質を加え、MSD SULFO−TAG試薬で標識した抗−全AKT抗体を用い、リン酸化AKTを検出し、SECTOR Imager 2400で、電気化学発光を読み取った。式[1−(Ab−SFM)/(IGF−FM)]×100%によって、阻害率を算出した。図48に示すように、H322M細胞(図48A)、A549細胞(図48B)およびBxPC3細胞(図48C、膵臓癌)において、C06およびG11の組み合わせ、C−IGF−1R二重特異性抗体およびN−IGF−1R二重特異性抗体で、すべて、AKTリン酸化の阻害度が高くなった。A549細胞では、N−IGF−1R二重特異性抗体は、C−IGF−1R二重特異性抗体よりもわずかに活性が低いことが示され、このことは、異なる構造を有する2つの二重特異性抗体が、異なる機能を有し得ることを示唆している。ERKリン酸化を決定するために、実施例10Aに記載したのとよく似たプロトコルにしたがって、抗−ホスホ−ERK(Cell signaling、カタログ番号9101)および全ERK(Cell signaling、カタログ番号9102)を用いたウェスタンブロッティングを実施した。図47Bから、ERKのリン酸化が、C06およびG11の組み合わせ、およびC−IGF−1R二重特異性抗体によって、C06単独またはG11単独よりも効果的に阻害されることが分かった。C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体で、IGF−1Rの2個のエピトープを標的にすると、ERKのリン酸化の阻害度が高まるという同様の結果が、BxPC3細胞で観察された。これらの結果は、二重特異性抗体または抗体の組み合わせを用いて、IGF−1Rに存在する2個の別個のエピトープを標的にすると、IGF−1R経路に感受性の腫瘍において、IGF−1Rの下流にあるシグナル伝達(例えば、AKT生存シグナル伝達および/またはERK増殖シグナル伝達)を強力に阻害し、抗腫瘍活性を高めることを支持している。
下流にあるシグナル伝達事象(例えば、AktおよびMAPKのリン酸化)に与える影響について、C06およびG11の組み合わせ、またはIGF−1Rの2個のエピトープを標的とする二重特異性抗体を用いて試験した。0.1nM、1nM、10nMまたは100nMのC2B8、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体で、細胞を1時間処理した後、実施例10aに示すように、100ng/mlのIGF1およびIGF2で20分間刺激した。AKTのリン酸化は、製造業者のプロトコルにしたがって、p−AKT(Ser 473)MSDキット(Meso Scale Discovery、カタログ番号K15100D)を用いて定量化した。簡単に説明すると、MSDキットで細胞を細胞溶解バッファに溶解し、電極で、抗−ホスホ−AKT抗体でコーティングしたプレートに、等量のタンパク質を加え、MSD SULFO−TAG試薬で標識した抗−全AKT抗体を用い、リン酸化AKTを検出し、SECTOR Imager 2400で、電気化学発光を読み取った。式[1−(Ab−SFM)/(IGF−FM)]×100%によって、阻害率を算出した。図48に示すように、H322M細胞(図48A)、A549細胞(図48B)およびBxPC3細胞(図48C、膵臓癌)において、C06およびG11の組み合わせ、C−IGF−1R二重特異性抗体およびN−IGF−1R二重特異性抗体で、すべて、AKTリン酸化の阻害度が高くなった。A549細胞では、N−IGF−1R二重特異性抗体は、C−IGF−1R二重特異性抗体よりもわずかに活性が低いことが示され、このことは、異なる構造を有する2つの二重特異性抗体が、異なる機能を有し得ることを示唆している。ERKリン酸化を決定するために、実施例10Aに記載したのとよく似たプロトコルにしたがって、抗−ホスホ−ERK(Cell signaling、カタログ番号9101)および全ERK(Cell signaling、カタログ番号9102)を用いたウェスタンブロッティングを実施した。図47Bから、ERKのリン酸化が、C06およびG11の組み合わせ、およびC−IGF−1R二重特異性抗体によって、C06単独またはG11単独よりも効果的に阻害されることが分かった。C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体で、IGF−1Rの2個のエピトープを標的にすると、ERKのリン酸化の阻害度が高まるという同様の結果が、BxPC3細胞で観察された。これらの結果は、二重特異性抗体または抗体の組み合わせを用いて、IGF−1Rに存在する2個の別個のエピトープを標的にすると、IGF−1R経路に感受性の腫瘍において、IGF−1Rの下流にあるシグナル伝達(例えば、AKT生存シグナル伝達および/またはERK増殖シグナル伝達)を強力に阻害し、抗腫瘍活性を高めることを支持している。
d.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、1個のモノクローナル抗体よりも、種々の腫瘍の細胞成長阻害度が高まった
本願発明者らは、細胞生存アッセイを用い、異なる成長条件下で、モノクローナル抗体C06およびG11の影響と比較して、C06/G11の組み合わせ、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体が、異なる由来を有する腫瘍の細胞成長に与える影響を調べた。
本願発明者らは、細胞生存アッセイを用い、異なる成長条件下で、モノクローナル抗体C06およびG11の影響と比較して、C06/G11の組み合わせ、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体が、異なる由来を有する腫瘍の細胞成長に与える影響を調べた。
まず、膵臓癌BxPC3細胞、非小細胞肺癌H322M細胞およびA549細胞、および扁平上皮癌A431細胞を、96ウェル培養プレートに、5000〜8000細胞/ウェルで播種し、血清を含む通常の培地で一晩成長させ、無血清培地に細胞を移し、0.1nM、1nM、10nMまたは100nMのC2B8、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体を追加した培地で培養し、100ng/mlのIGF−1およびIGF−2を加え、さらに3日間培養した。Cell Titer Glo試薬(Promega、カタログ番号G7571)でATP濃度を測定することによって、細胞の生存率を決定した。図49から、BxPC3細胞(図49A)、H322M細胞(図49B)、A431細胞(図49C)およびA549細胞(図49D)において、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体、C06およびG11の組み合わせは、すべて、C06単独およびG11単独と比較して、抗腫瘍成長活性が高くなった。興味深いことに、試験したほとんどの細胞株で、N−IGF−1R二重特異性抗体は、C−IGF−1R二重特異性抗体よりもわずかに活性が低いことが示され、この2種類の二重特異性分子の構造−機能相関関係における可能性のある差を再び強調しておく。
さらに生理学的に関連のある条件下で、抗体の抗腫瘍細胞成長効果をさらに試験するために、0.1nM、1nM、10nMまたは100nMの種々の抗体、および200ng/mlのIGF1およびIGF2を追加した培地を含有する10%血清(FBS、Hyclone カタログ番号SH30071.03)で細胞を3日間成長させた後、上述のように細胞生存率を決定した。図50に示しているように、BxPC3細胞(図50A)、A549細胞(図50B)、骨肉腫SJSA−1細胞(図50C)および結腸癌HT−29細胞(図50D)で、IGF−1R^2およびC06/G11の組み合わせの活性が、同程度高くなった。さらに、上述の血清を含有する細胞成長条件で、細胞培地にIGF1またはIGF2を追加せずに抗体を試験した。図51は、IGF−1R2およびC06/G11の組み合わせが、A549細胞(図51A)およびH322M細胞(図51B)の血清による細胞成長において、C06単独およびG11単独と比較して、抗腫瘍細胞成長活性が高いことを示している。一貫して、C−IGF−1R二重特異性抗体は、試験した種々の腫瘍細胞において、N−IGF−1R^2よりも抗腫瘍活性が高く、特にH322M細胞およびA549細胞で顕著であった。
まとめると、これらの結果から、C06およびG11を組み合わせて、または二重特異性抗体を用いて、IGF−1Rに存在する2個の別個のエピトープを標的にすると、種々の細胞成長条件下で、1個のモノクローナル抗体と比較して、抗腫瘍細胞成長活性が高まったことが分かる。
e.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、腫瘍細胞の周期を止めた
IGF−1Rシグナル伝達は、細胞の生存および細胞周期の進行にとって重要である。抗IGF−1R抗体が、IGFによって誘発される腫瘍細胞の細胞周期の進行に与える影響を、FACSによる分析を用いて評価した。BxPC3細胞を、6ウェルプレートに4×105細胞/ウェルで播種し、5% FBSを含有するRPMI−1640培地で一晩培養した。次いで、細胞を無血清条件下に24時間おき、15μg/mlのC2B8、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体存在下、100ng/mlのIGF 1およびIGF−2でさらに24時間処理した。プレートから細胞をはがし、あらかじめ冷却しておいた70%エタノールで固定した。固定した細胞をヨウ化プロピジウム(PI,Molecular Probes、カタログ番号P3566)染色溶液(20μg/ml、PBS+0.1%BSA+Triton X−100中)を用い、室温で30分間染色した後、DNA成分をFACS分析した。FlowJo 7.7.2ソフトウェアを用い、G0/G1期、S期およびG2/M期の細胞の相対的な割合をヒストグラムで算出した。図52は、無血清状態では(図52A)、60%を超える細胞がG0/G1期であるが、IGF−1およびIGF−2による刺激(図52B)で、G0/G1期の細胞の割合は、約40%にまで顕著に低下し、S期の細胞の割合が約2倍に増えた。すべての抗IGF−1R抗体は、S期の細胞の割合を減らしつつ、G0/G1期の細胞の割合を増やすことによって、IGF刺激の影響を逆行させることができた。C06およびG11の組み合わせ、およびC−IGF−1R二重特異性抗体は、S期へと進む腫瘍細胞の細胞周期の進行をブロックし、G0/G1期で細胞周期を止めることに最も有効であると考えられる。
IGF−1Rシグナル伝達は、細胞の生存および細胞周期の進行にとって重要である。抗IGF−1R抗体が、IGFによって誘発される腫瘍細胞の細胞周期の進行に与える影響を、FACSによる分析を用いて評価した。BxPC3細胞を、6ウェルプレートに4×105細胞/ウェルで播種し、5% FBSを含有するRPMI−1640培地で一晩培養した。次いで、細胞を無血清条件下に24時間おき、15μg/mlのC2B8、C06、G11、C06/G11の組み合わせ、またはN−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体存在下、100ng/mlのIGF 1およびIGF−2でさらに24時間処理した。プレートから細胞をはがし、あらかじめ冷却しておいた70%エタノールで固定した。固定した細胞をヨウ化プロピジウム(PI,Molecular Probes、カタログ番号P3566)染色溶液(20μg/ml、PBS+0.1%BSA+Triton X−100中)を用い、室温で30分間染色した後、DNA成分をFACS分析した。FlowJo 7.7.2ソフトウェアを用い、G0/G1期、S期およびG2/M期の細胞の相対的な割合をヒストグラムで算出した。図52は、無血清状態では(図52A)、60%を超える細胞がG0/G1期であるが、IGF−1およびIGF−2による刺激(図52B)で、G0/G1期の細胞の割合は、約40%にまで顕著に低下し、S期の細胞の割合が約2倍に増えた。すべての抗IGF−1R抗体は、S期の細胞の割合を減らしつつ、G0/G1期の細胞の割合を増やすことによって、IGF刺激の影響を逆行させることができた。C06およびG11の組み合わせ、およびC−IGF−1R二重特異性抗体は、S期へと進む腫瘍細胞の細胞周期の進行をブロックし、G0/G1期で細胞周期を止めることに最も有効であると考えられる。
f.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、ADCC活性を誘発しない
M13−C06は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示さないことが分かっていた。C06/G11の組み合わせ、および二重特異性抗IGF−1R抗体が、ADCCを誘発する能力を51Cr放出ADCCアッセイで試験した。IGF−1R発現量が多い322M細胞を、51Crで1時間標識し、次いで、洗浄し、組み込まれていない51Crを除去した。標識化した標的細胞を、20μg/mlのC06、G11、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体が入ったウェルに1×104細胞/ウェルで加えた。エフェクター細胞を0.1〜10のE:T比で加えた。37℃、5%CO2インキュベータで4時間インキュベートした後、標的細胞から放出された51Crを、Isodata Gamma Counterを用いて測定した。自然放出は、培地のみを含む標的細胞からのものであり、最大放出は、洗剤であるTriton X−100存在下で、標的細胞からのものであった。以下の式を用いて、細胞溶解率(%)を算出した。(cpmサンプル放出−cpm自然放出) / (cpm最大放出 − cpm 自然放出)。図53Aに示しているように、C06、G11、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体のすべての抗−IGF−1R抗体は、ネガティブコントロール抗体としてよく似た活性を示し、細胞溶解率は20%未満であった。一方、ポジティブコントロールである抗−EGFR抗体は、E:T比10で、細胞溶解が誘発され、約60%の細胞溶解率であった。このデータは、二重特異性抗体またはC06/G11の組み合わせを用い、IGF−1Rの2個のエピトープを標的にすると、モノクローナル抗体C06およびG11のIgG1態様で観察されるのと同様に、ADCC活性を促進しないことが示されている。この結果は、すべての上述の抗−IGF−1R抗体が、IGF1−Rの下方制御を効率よく誘発し、効率的な抗体−NK細胞の組み込みのために、不十分な表面受容体を生じるという事実と一致している。この結果は、上述の抗IGF−1R抗体の抗腫瘍活性が、受容体のシグナル伝達をブロックする能力および生体機能に依存し、ADCCには依存しないことを明確に示している。
M13−C06は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示さないことが分かっていた。C06/G11の組み合わせ、および二重特異性抗IGF−1R抗体が、ADCCを誘発する能力を51Cr放出ADCCアッセイで試験した。IGF−1R発現量が多い322M細胞を、51Crで1時間標識し、次いで、洗浄し、組み込まれていない51Crを除去した。標識化した標的細胞を、20μg/mlのC06、G11、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体が入ったウェルに1×104細胞/ウェルで加えた。エフェクター細胞を0.1〜10のE:T比で加えた。37℃、5%CO2インキュベータで4時間インキュベートした後、標的細胞から放出された51Crを、Isodata Gamma Counterを用いて測定した。自然放出は、培地のみを含む標的細胞からのものであり、最大放出は、洗剤であるTriton X−100存在下で、標的細胞からのものであった。以下の式を用いて、細胞溶解率(%)を算出した。(cpmサンプル放出−cpm自然放出) / (cpm最大放出 − cpm 自然放出)。図53Aに示しているように、C06、G11、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC−IGF−1R二重特異性抗体のすべての抗−IGF−1R抗体は、ネガティブコントロール抗体としてよく似た活性を示し、細胞溶解率は20%未満であった。一方、ポジティブコントロールである抗−EGFR抗体は、E:T比10で、細胞溶解が誘発され、約60%の細胞溶解率であった。このデータは、二重特異性抗体またはC06/G11の組み合わせを用い、IGF−1Rの2個のエピトープを標的にすると、モノクローナル抗体C06およびG11のIgG1態様で観察されるのと同様に、ADCC活性を促進しないことが示されている。この結果は、すべての上述の抗−IGF−1R抗体が、IGF1−Rの下方制御を効率よく誘発し、効率的な抗体−NK細胞の組み込みのために、不十分な表面受容体を生じるという事実と一致している。この結果は、上述の抗IGF−1R抗体の抗腫瘍活性が、受容体のシグナル伝達をブロックする能力および生体機能に依存し、ADCCには依存しないことを明確に示している。
g.C06およびG11の組み合わせ、または1個の薬剤の二重特異性抗体を用い、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、足場に依存しない腫瘍細胞の成長阻害度が高まった
足場に依存しない成長は、新生物の形質変換の特徴である。抗IGF−1R抗体が、足場に依存しない成長を阻害する能力を評価するために、軟質寒天コロニー形成アッセイを24ウェル培養プレートで行った。まず、0.6%寒天(Sigma、カタログ番号A5431−250G)の底部層を、RPMI−1640(Sigma、カタログ番号R1145)で調製し、10%胎児ウシ血清(Irvine Scientific、カタログ番号3000A)を注ぎ、固化させた。次いで、10% FBSおよび15μg/mlのC06、G11、N−IGF−1R二重特異性抗体、C06/G11の組み合わせまたはCE9.1(抗−CD4、IgG1アイソタイプネガディブコントロール抗体、Biogen Idec)を含有する培地中、0.3%寒天の上部層と、50000細胞/ウェルのA549細胞とを混合し、これを38〜42℃に温度を制御した状態で注いだ。このプレートを37℃、5%CO2インキュベータで2〜3週間インキュベートした後、30μmより大きいコロニーを自動化哺乳動物細胞コロニーカウンタ(Oxford Optronix GELCOUNT)で計測した。図53Bは、それぞれの抗体処理条件で得られたコロニーの数を示し、軟質寒天中、すべての抗IGF−1R抗体が、足場に依存しない腫瘍細胞の成長を強く阻害したが、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC06/G11の組み合わせは、C06単独またはG11単独と比較して、阻害効果はわずかに高かった。この結果から、IGF−1Rの2個のエピトープを組み合わせて標的にすると、モノクローナル抗体よりも、インビボでの腫瘍の形成および成長を有効に阻害することが示唆される。
足場に依存しない成長は、新生物の形質変換の特徴である。抗IGF−1R抗体が、足場に依存しない成長を阻害する能力を評価するために、軟質寒天コロニー形成アッセイを24ウェル培養プレートで行った。まず、0.6%寒天(Sigma、カタログ番号A5431−250G)の底部層を、RPMI−1640(Sigma、カタログ番号R1145)で調製し、10%胎児ウシ血清(Irvine Scientific、カタログ番号3000A)を注ぎ、固化させた。次いで、10% FBSおよび15μg/mlのC06、G11、N−IGF−1R二重特異性抗体、C06/G11の組み合わせまたはCE9.1(抗−CD4、IgG1アイソタイプネガディブコントロール抗体、Biogen Idec)を含有する培地中、0.3%寒天の上部層と、50000細胞/ウェルのA549細胞とを混合し、これを38〜42℃に温度を制御した状態で注いだ。このプレートを37℃、5%CO2インキュベータで2〜3週間インキュベートした後、30μmより大きいコロニーを自動化哺乳動物細胞コロニーカウンタ(Oxford Optronix GELCOUNT)で計測した。図53Bは、それぞれの抗体処理条件で得られたコロニーの数を示し、軟質寒天中、すべての抗IGF−1R抗体が、足場に依存しない腫瘍細胞の成長を強く阻害したが、N−IGF−1R二重特異性抗体およびC06/G11の組み合わせは、C06単独またはG11単独と比較して、阻害効果はわずかに高かった。この結果から、IGF−1Rの2個のエピトープを組み合わせて標的にすると、モノクローナル抗体よりも、インビボでの腫瘍の形成および成長を有効に阻害することが示唆される。
h.C06およびG11を組み合わせて、IGF−1Rの2個の別個の阻害性エピトープを標的にすると、インビボで腫瘍の成長がより大きく阻害された
SJSA−1骨肉腫モデルを用い、M13−C06およびG11を組み合わせて、または1種類の薬剤として、抗腫瘍活性をインビボで試験した。5×106 SJSA−1細胞を20%マトリゲルに入れ、ヌードマウス(8〜10週齢)の脇腹領域に皮下注射した。15日目に、腫瘍のあるマウスを無作為に4つのグループに分けた(n=8)。治療開始時に、各グループの平均腫瘍容積は、約150mm3であった。マウスに、1週間に1回、合計3回、M13−C06.G4P.agly(15mg/kg)、G11.G4P.agly (15mg/kg)、C06.G4P.aglyとG11.G4P.agly(15mg/kg+15mg/kg)、またはコントロール抗体IDEC151(15mg/kg)を腹腔内注射した。週に2回腫瘍を測定し、腫瘍の大きさは、V=L*W2/2で算出した。図54は、異なる治療計画での腫瘍成長曲線を示す。M13−C06およびG11は、両方とも、コントロールIDEC151と比較して、1種類の薬剤としても、腫瘍の成長を顕著に低下させることが示されたが、C06とG11とを組み合わせると、C06単独またはG11単独よりも、腫瘍の成長が顕著に強く阻害された。SJSA−1肉腫モデルおよび他のモデルにおいて、二重特異性抗体の抗腫瘍活性をインビボで試験し、G11単独およびC06単独の場合よりも、C06とG11とを組み合わせた方が良好であると予想される。
SJSA−1骨肉腫モデルを用い、M13−C06およびG11を組み合わせて、または1種類の薬剤として、抗腫瘍活性をインビボで試験した。5×106 SJSA−1細胞を20%マトリゲルに入れ、ヌードマウス(8〜10週齢)の脇腹領域に皮下注射した。15日目に、腫瘍のあるマウスを無作為に4つのグループに分けた(n=8)。治療開始時に、各グループの平均腫瘍容積は、約150mm3であった。マウスに、1週間に1回、合計3回、M13−C06.G4P.agly(15mg/kg)、G11.G4P.agly (15mg/kg)、C06.G4P.aglyとG11.G4P.agly(15mg/kg+15mg/kg)、またはコントロール抗体IDEC151(15mg/kg)を腹腔内注射した。週に2回腫瘍を測定し、腫瘍の大きさは、V=L*W2/2で算出した。図54は、異なる治療計画での腫瘍成長曲線を示す。M13−C06およびG11は、両方とも、コントロールIDEC151と比較して、1種類の薬剤としても、腫瘍の成長を顕著に低下させることが示されたが、C06とG11とを組み合わせると、C06単独またはG11単独よりも、腫瘍の成長が顕著に強く阻害された。SJSA−1肉腫モデルおよび他のモデルにおいて、二重特異性抗体の抗腫瘍活性をインビボで試験し、G11単独およびC06単独の場合よりも、C06とG11とを組み合わせた方が良好であると予想される。
i.フローサイトメトリーによって、C06およびG11のモノクローナル抗体が、ヒト癌細胞に結合するのを、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体が、ヒト癌細胞に結合するのと比較する
ヒト癌細胞株に対する抗体の結合について、生物学的関連性および治療学的関連性が潜在的に大きくなるシステムに対し、細胞によるフローサイトメトリー分析を行い、二重特異性抗体の生物物理学的特性をさらに分析した。関連するモノクローナル抗体と比較した場合に、ヒト癌細胞株の複合体表面に存在する標的抗原およびエピトープに対する二重特異性抗体の結合特性の分析によって、この二重特異性抗体の固有の特異性をさらに規定する機会が与えられる。
ヒト癌細胞株に対する抗体の結合について、生物学的関連性および治療学的関連性が潜在的に大きくなるシステムに対し、細胞によるフローサイトメトリー分析を行い、二重特異性抗体の生物物理学的特性をさらに分析した。関連するモノクローナル抗体と比較した場合に、ヒト癌細胞株の複合体表面に存在する標的抗原およびエピトープに対する二重特異性抗体の結合特性の分析によって、この二重特異性抗体の固有の特異性をさらに規定する機会が与えられる。
細胞株。この試験で分析した細胞株は、NCI−H322M(NCIから得た、ヒト非小細胞肺癌細胞株)、NCI−MCF−7(NCIから得た、ヒト乳腺腺癌細胞株)およびA431(ATCCから得た、ヒト上皮癌)であった。細胞を、分析24時間前に継代し、通常の過程で、80%コンフルエントの状態にしておいた。RPMI−1640(Gibco 番号11875)および10%胎児ウシ血清(Irvine Scientific Inc)を含有する完全成長培地で、全ての細胞株を成長させた。細胞株は、通常の過程で、継代数は20を超えないようにした。
ヒト癌細胞に対する抗体の結合の、フローサイトメトリー分析。細胞解離バッファ(Gibco カタログ番号13151−014)で細胞をはがし、計測し、洗浄し、5×106細胞/mlになるように調節した。細胞(2.5×105;50uL)を、丸底96ウェルプレート(Costar 番号3799)の各ウェルに加えた。精製した抗体を、濃度300nMから始め、FACSバッファで段階的に3.2倍希釈(half−log dilution)した。アッセイ中使用したFACSバッファは、5% FBSを含有するPBS(Ca++/Mg++を含まない)であった。サンプルを氷上で30分間インキュベートし、200uL FACSバッファで3回洗浄し、4℃で1200rpmで3分間遠心分離した。C2B8(リツキシマブ、IgG1)をネガティブコントロールとして使用した。上澄みを吸引し、PEがコンジュゲートした親和性精製済F(ab’)2フラグメントに特異的なヤギ抗−ヒト−IgG二次検出抗体100μl(Jackson ImmunoResearch Lab、カタログ番号109−116−097;1:200希釈で使用)またはPEがコンジュゲートした親和性精製済Fcに特異的なマウス抗−ヒト−IgG二次検出抗体(Leinco Technologies カタログ番号I−127;5uL/1×106細胞に希釈)を、FACSバッファでそれぞれの対応するウェルに加えた。サンプルを氷上でさらに30分間インキュベートし、光があたらないように覆った。細胞を上述のように洗浄し、死んだ細胞を除外するために、ヨウ化プロピジウム(PI)を含有するFACSバッファ100μlに再び懸濁させた(BD Pharmingen、カタログ番号51−66211Eまたは556463;FACSバッファで最終的に1:500で使用)。FACSArrayフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用い、サンプルを3つ組で分析し、サンプルあたり5000個の生存細胞のデータを集めた。GraphPad Prismソフトウェアバージョン5.0を用い、データを分析した(GraphPad Software,Inc.,11452 El Camino Real,番号215、米国カリフォルニア州サンディエゴ 92130)。
結果。抗IGF−1R二重特異性抗体(C末端形態およびN末端形態)、および関連するモノクローナル抗体が、ヒト癌細胞株に結合するのを、フローサイトメトリーで分析した。C06モノクローナル抗体およびG11モノクローナル抗体は、非小細胞肺癌の細胞株H322M(図55)に対し、顕著に用量依存性の結合を示し、観察した両抗体の結合の最大半量は、1nM未満であった(図55A:C06 EC50 0.20nM、R2 0.98;G11 EC50 0.44nM、R2 0.99;図55B:C06 EC50 0.25nM、R2 0.97;G11 EC50 0.72nM、R2 0.75)。N末端二重特異性抗体であるG11−C06scFv(N−term)は、このアッセイで、C06モノクローナル抗体およびG11モノクローナル抗体の両方とよく似た細胞結合特異性を示した(図55A:G11−C06scFv(N−term)EC50 0.47nM、R2 0.97;図55B:G11−C06scFv(N−term)EC50 0.48nM、R2 0.96)。しかし、C末端二重特異性抗体であるG11−C06scFv(C−term)は、1種類のモノクローナル抗体(C06およびG11)だけではなく、N末端二重特異性抗体とも比較して、全体的に顕著に大きな結合性を示した。MCF−7ヒト乳癌細胞株およびA431ヒト小細胞肺癌細胞株の分析でも、同様の結果が得られた(データは示されていない)。
結合の測定値が、第2の試薬が、モノクローナルに結合する能力と、二重特異性抗体に結合する能力との差を反映してしまう可能性、または異なる二重特異性抗体の形態(例えば、N末端融合物 対 C末端融合物)に結合する能力を反映してしまう可能性を除外するため、ヒトFabまたはヒトFcγのいずれかに対する独立した第2の試薬を用い、モノクローナル抗体および二重特異性抗体の結合を評価した(それぞれ、図55Aおよび55B)。対応するモノクローナル抗体だけではなく、N末端二重特異性抗体とも比較して、C末端二重特異性抗体の結合性が高くなっていることを、二次試薬を用いて観察した。したがって、この結果は、実測値の差が、腫瘍細胞に対する抗体の結合の差を反映しており、一次モノクローナル抗体および二重特異性抗体に対する二次抗体試薬の結合の差を反映しているという結論を支持している。
これらの結果から、G11−C06scFv(C−term)二重特異性抗体が、二重特異性抗体が誘導されるいずれかのモノクローナル抗体の結合とは明確に異なる様式でヒト癌細胞に結合していることを示す。それに加えて、N末端二重特異性抗体と比較した場合の、C末端二重特異性抗体の結合特性の差は、二重特異性抗体の特定の構造が、ヒト癌細胞の結合に影響を与えることを示している。
(実施例11.マウスにおける、インビボでのIGF−1R二重特異性抗体の活性)
a.薬理学的速度論
単回投薬の薬理学的速度論(Pharmacological Kinetics)(PK)に関する試験を行ない、異種移植モデルでの効力試験のために、用量を選択する目的で腫瘍ではないマウスで二重特異性Abの安定性を評価した。CB17 SCIDメスマウスに、7.4mg/kgのG11、10mg/kgのC06、N−IGF−1R二重特異性抗体またはC−IGF−1R二重特異性抗体を投薬した。投薬後の種々の時間点で、マウスを殺し、心臓穿孔によって採血し、血清を回収するために分離した。試験すべき時間点は、投薬後の以下の時間点である。0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、6時間および24時間、2日、4日、7日、9日、11日および14日。血清サンプルを採取したらすぐ凍結させ、後で抗体が存在するかどうかをELISAで試験した。簡単に説明すると、ELISAプレート(Terma Electron Corp.、カタログ番号3455)を、ヤギ抗−ヒトIgG(Southern Biotech、カタログ番号2040−01)で、4℃で一晩コーティングし、次いで、PBS中、1%の脱脂粉乳および0.05% Tween 20で、室温で1時間ブロックした。血清サンプルを段階的に希釈し、コーティングしたプレートに入れ、1時間インキュベートし、検出抗体であるヤギ抗−ヒトκ−HRP(Southern Biotech カタログ番号2060−05)で、室温でさらに1時間インキュベートした。既知の濃度のコントロール抗体を、正常なマウス血清(Chemicon、カタログ番号S−25)で1:25に段階的に希釈し、標準曲線を作成した。インキュベートの間に洗浄した。TMB基質(3.3’,5.5’−テトラメチルベンジジン、KIRKEGAARD & PERRY LABS、カタログ番号50−76−00)を加えることによってプレートを染色し、H2SO4で反応を停止させた。マイクロプレートリーダ(SpectraMax M2、Molecular Devices)を用い、各ウェルのOD(光学密度)を450nmで測定した。SoftMax Proを用いてデータを分析し、マウス血清中のヒト抗体の濃度を、標準曲線から決定した。図56は、1回投薬した後14日間の、マウス血清中のG11、C06、C−IGF−1R二重特異性抗体の濃度(図56A)およびN−IGF−1R二重特異性抗体の濃度(図56B)を示す。このデータは、N−IGF−1R BsAb分子およびC−IGF−1R BsAb分子は共に、両方ともインビボで非常に安定であり、G11およびC06とよく似た速度で排泄される。WinNonlin PK分析に基づいて、C06、G11、C−IGF−1R二重特異性抗体およびN−IGF−1R二重特異性抗体の半減期(T1/2)は、それぞれ、約18.8、約10.6、約11および約7.5日である。長い半減期は、IGF−1R二重特異性抗体が、IgGと同様に、インビボ効力試験に適した薬物動態を有しており、モノクローナル抗体と似た投薬計画での癌治療用途で有望であることを示唆している。
a.薬理学的速度論
単回投薬の薬理学的速度論(Pharmacological Kinetics)(PK)に関する試験を行ない、異種移植モデルでの効力試験のために、用量を選択する目的で腫瘍ではないマウスで二重特異性Abの安定性を評価した。CB17 SCIDメスマウスに、7.4mg/kgのG11、10mg/kgのC06、N−IGF−1R二重特異性抗体またはC−IGF−1R二重特異性抗体を投薬した。投薬後の種々の時間点で、マウスを殺し、心臓穿孔によって採血し、血清を回収するために分離した。試験すべき時間点は、投薬後の以下の時間点である。0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、6時間および24時間、2日、4日、7日、9日、11日および14日。血清サンプルを採取したらすぐ凍結させ、後で抗体が存在するかどうかをELISAで試験した。簡単に説明すると、ELISAプレート(Terma Electron Corp.、カタログ番号3455)を、ヤギ抗−ヒトIgG(Southern Biotech、カタログ番号2040−01)で、4℃で一晩コーティングし、次いで、PBS中、1%の脱脂粉乳および0.05% Tween 20で、室温で1時間ブロックした。血清サンプルを段階的に希釈し、コーティングしたプレートに入れ、1時間インキュベートし、検出抗体であるヤギ抗−ヒトκ−HRP(Southern Biotech カタログ番号2060−05)で、室温でさらに1時間インキュベートした。既知の濃度のコントロール抗体を、正常なマウス血清(Chemicon、カタログ番号S−25)で1:25に段階的に希釈し、標準曲線を作成した。インキュベートの間に洗浄した。TMB基質(3.3’,5.5’−テトラメチルベンジジン、KIRKEGAARD & PERRY LABS、カタログ番号50−76−00)を加えることによってプレートを染色し、H2SO4で反応を停止させた。マイクロプレートリーダ(SpectraMax M2、Molecular Devices)を用い、各ウェルのOD(光学密度)を450nmで測定した。SoftMax Proを用いてデータを分析し、マウス血清中のヒト抗体の濃度を、標準曲線から決定した。図56は、1回投薬した後14日間の、マウス血清中のG11、C06、C−IGF−1R二重特異性抗体の濃度(図56A)およびN−IGF−1R二重特異性抗体の濃度(図56B)を示す。このデータは、N−IGF−1R BsAb分子およびC−IGF−1R BsAb分子は共に、両方ともインビボで非常に安定であり、G11およびC06とよく似た速度で排泄される。WinNonlin PK分析に基づいて、C06、G11、C−IGF−1R二重特異性抗体およびN−IGF−1R二重特異性抗体の半減期(T1/2)は、それぞれ、約18.8、約10.6、約11および約7.5日である。長い半減期は、IGF−1R二重特異性抗体が、IgGと同様に、インビボ効力試験に適した薬物動態を有しており、モノクローナル抗体と似た投薬計画での癌治療用途で有望であることを示唆している。
b.結合活性の調節
1つ以上のscFv部分を抗原認識ドメインとして使用する、IgGに似たBsAbを製造する研究が多く報告されている(Qu,Blood,111:2211−2219(2008);Lu,J.Biol.Chem.280:19665−19672(2006))。この研究では、BsAb物質は、標的に対する活性を失なうか、またはインビトロ腫瘍細胞増殖/活性アッセイを用いて見出されるインビボでの分子活性を繰り返さない。ここで、本願発明者は、G11 IgG1骨格が、安定化したC06 scFvに融合した抗−IGF−1R BsAbが、マウスにIP注射してから1週間の間に、C06エピトープおよびG11エピトープの両方と結合する能力について試験した。
1つ以上のscFv部分を抗原認識ドメインとして使用する、IgGに似たBsAbを製造する研究が多く報告されている(Qu,Blood,111:2211−2219(2008);Lu,J.Biol.Chem.280:19665−19672(2006))。この研究では、BsAb物質は、標的に対する活性を失なうか、またはインビトロ腫瘍細胞増殖/活性アッセイを用いて見出されるインビボでの分子活性を繰り返さない。ここで、本願発明者は、G11 IgG1骨格が、安定化したC06 scFvに融合した抗−IGF−1R BsAbが、マウスにIP注射してから1週間の間に、C06エピトープおよびG11エピトープの両方と結合する能力について試験した。
i.方法
表面プラズモン共鳴を用い、IGF−1Rの複数のエピトープに対する、平衡状態にあるBsAb(血清中)の結合。すべての実験を、Biacore3000装置(Biacore)を用いて行った。C06およびG11のMAbを、製造業者が提供する標準的なアミン化学プロトコルを用い、標準的なCM5チップ表面の2個の異なるフローセル表面に別個に固定した。これらの高くMbの固定濃度において、低濃度のsIGF−1R(1−903)が流れ(50nM未満)は、初期の結合速度Vi(RU/s)が、チップ表面を流れるsIGF−1R(1−903)溶液の濃度と線形の相関関係にある、線形の物質移動限定結合曲線をもたらした。sIGF−1R(1−903)と、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体との結合の量論量は、sIGF−1R(1−903)およびBsAb(血清から段階的に希釈)の混合物を、C06 MAb、G11 MAbを含有するセンサーチップ表面、または標準的なNHC/EDC固定化化学を用いて活性化した後、エタノールアミンでブロックしたブランク表面に流すことによって決定した。C06およびG11のセンサーチップ表面で、sIGF−1R(1−903)およびBsAbを含む溶液中で、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度を測定する。BsAbと各sIGF−1R(1−903)エピトープとの結合量論量nを、以下の式を用い、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度によって決定した。
式中、Vi=初期結合速度、m=IGF−1R(1−903)濃度に依存する標準曲線の傾き、[IGF−1R]f=結合していないIGF−1の濃度=Vi/m、[IGF−1R]t=IGF−1合計濃度、および[BsAb]t=BsAbの合計濃度(Day 2005)。BsAbのストック濃度(血清中)を、BsAb PKの実施例に記載しているように、ELISAで決定した。
表面プラズモン共鳴を用い、IGF−1Rの複数のエピトープに対する、平衡状態にあるBsAb(血清中)の結合。すべての実験を、Biacore3000装置(Biacore)を用いて行った。C06およびG11のMAbを、製造業者が提供する標準的なアミン化学プロトコルを用い、標準的なCM5チップ表面の2個の異なるフローセル表面に別個に固定した。これらの高くMbの固定濃度において、低濃度のsIGF−1R(1−903)が流れ(50nM未満)は、初期の結合速度Vi(RU/s)が、チップ表面を流れるsIGF−1R(1−903)溶液の濃度と線形の相関関係にある、線形の物質移動限定結合曲線をもたらした。sIGF−1R(1−903)と、N末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体との結合の量論量は、sIGF−1R(1−903)およびBsAb(血清から段階的に希釈)の混合物を、C06 MAb、G11 MAbを含有するセンサーチップ表面、または標準的なNHC/EDC固定化化学を用いて活性化した後、エタノールアミンでブロックしたブランク表面に流すことによって決定した。C06およびG11のセンサーチップ表面で、sIGF−1R(1−903)およびBsAbを含む溶液中で、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度を測定する。BsAbと各sIGF−1R(1−903)エピトープとの結合量論量nを、以下の式を用い、結合していないsIGF−1R(1−903)の濃度によって決定した。
式中、Vi=初期結合速度、m=IGF−1R(1−903)濃度に依存する標準曲線の傾き、[IGF−1R]f=結合していないIGF−1の濃度=Vi/m、[IGF−1R]t=IGF−1合計濃度、および[BsAb]t=BsAbの合計濃度(Day 2005)。BsAbのストック濃度(血清中)を、BsAb PKの実施例に記載しているように、ELISAで決定した。
ii.結果
どちらかのBsAbを10mg/kgマウスに注射し、このマウスから集めた血清中の、インタクトな/活性なC末端IGF−1R二重特異性抗体およびN末端IGF−1R二重特異性抗体の量を、溶液Biacore測定を用いて、1時間、6時間、24時間および168時間に評価した。G11エピトープおよびC06エピトープの両方に対して全能力で結合する能力について、BsAbの活性を測定した。sIGF−1R(1−903)(30nM、社内の細胞外ドメイン試薬)を使用したそれぞれの血清サンプルを、30nM sIGF−1R(1−903)溶液で段階的に希釈した。C06を固定したセンサーチップ上およびG11を固定したセンサーチップ上に上述のサンプルを流し、sIGF−1R(1−903)がセンサーチップ表面に結合する能力をBsAbがブロックする能力を検出した。PK試験の2週間の期間は、血清の濃度が、本願発明者らのBiacore法を用いて結合活性/量論量を正確に決定できる濃度よりも下がっていることが予想されるため、活性を測定しなかった。
どちらかのBsAbを10mg/kgマウスに注射し、このマウスから集めた血清中の、インタクトな/活性なC末端IGF−1R二重特異性抗体およびN末端IGF−1R二重特異性抗体の量を、溶液Biacore測定を用いて、1時間、6時間、24時間および168時間に評価した。G11エピトープおよびC06エピトープの両方に対して全能力で結合する能力について、BsAbの活性を測定した。sIGF−1R(1−903)(30nM、社内の細胞外ドメイン試薬)を使用したそれぞれの血清サンプルを、30nM sIGF−1R(1−903)溶液で段階的に希釈した。C06を固定したセンサーチップ上およびG11を固定したセンサーチップ上に上述のサンプルを流し、sIGF−1R(1−903)がセンサーチップ表面に結合する能力をBsAbがブロックする能力を検出した。PK試験の2週間の期間は、血清の濃度が、本願発明者らのBiacore法を用いて結合活性/量論量を正確に決定できる濃度よりも下がっていることが予想されるため、活性を測定しなかった。
C末端IGF−1R二重特異性抗体およびN末端IGF−1R二重特異性抗体は、1週間にわたって、血清中を循環した後も、完全な活性を保持していると考えられた。図57に示しているように、C−term.IGF−1R二重特異性抗体およびN−term.IGF−1R二重特異性抗体は両方とも、すべての時間点で似た阻害曲線を示しており、IGF−1Rに対する二重特異性抗体の精製物の量論量および親和性を調べた上述の実施例で測定した曲線と似ている。この曲線の傾きは、実験誤差の範囲内ですべて同様であり、生成物の分解傾向も見られなかった(表26)。C末端BsAbは、完全に活性であると考えられ(すなわち、もっと低い濃度(C−term.四価分子の4つの結合部位が活性である濃度)でも、sIGF−1R(1−903)を阻害することができる、表26)。N末端BsAbの量論量は、1:1(すなわち、n=1.0)を示さず、C06表面およびG11表面に対し、それぞれn=1.3および1.6であった(表26)。興味深いことに、この結果は、上の実施例のタンパク質精製物で得た結果の繰り返しであり、このことは、N−term.IGF−1R二重特異性抗体の精製物でさえ、そのすべての結合部位に完全に組み込まれることはないということを示唆している。したがって、タンパク質精製物の活性に基づくと、N末端BsAb分子は、一連の試験時間の間に、検出できるインビボでの活性の低下を示さない。結論として、安定化したC06 scFvを含有するN末端IGF−1R二重特異性抗体およびC末端IGF−1R二重特異性抗体は、血清中で1週間経過した後も、マウスにおいて完全な活性を保持していると考えられる。
(実施例12.二重特異性IGF−1R二重特異性抗体を用いる、ヒト癌の治療)
この実施例は、上皮および非上皮(例えば、肉腫、リンパ腫)の悪性細胞を標的とする二重特異性抗−IGF−1R抗体(IGF−1R^2)を用いる、癌(例えば、IGF−1R発現が、mRNAまたはタンパク質の濃度で検出可能な過剰増殖性障害)を治療する方法を記載している。
この実施例は、上皮および非上皮(例えば、肉腫、リンパ腫)の悪性細胞を標的とする二重特異性抗−IGF−1R抗体(IGF−1R^2)を用いる、癌(例えば、IGF−1R発現が、mRNAまたはタンパク質の濃度で検出可能な過剰増殖性障害)を治療する方法を記載している。
腫瘍を患っているマウスを、2種類の抗IGF1−1R抗体(C06およびG11)で治療すると、C06単独またはG11単独と比較した場合、抗腫瘍活性が高まる。この観察結果と、インビトロで示された生体活性の向上に基づき、この実施形態で記載した抗IGF−1R二重特異性抗体(N態様およびC態様)は、複数の上皮、非上皮(例えば、肉腫)および悪性血液疾患(例えば、リンパ腫、多発性骨髄腫)において、1種類の抗IGF−1R抗体(C06およびG11を含む)と比較して、抗腫瘍活性が高くなることを示すことが予期される。
IGF−1R二重特異性抗体の抗腫瘍活性の向上が、IGF−1R経路に感受性の腫瘍(腫瘍の成長および生存のために、IGF−2/IGF−1Rオートクリン軸に依存するものを含む)において予期される。IGF−1R経路に感受性の腫瘍の例としては、乳癌、非小細胞肺癌(腺腫内癌および非腺腫内癌)、小細胞肺癌、前立腺癌、直腸癌、頭頸部癌(扁平上皮)、肝細胞癌、膵癌、胃腸癌、腎細胞癌、腎芽細胞腫、膀胱癌、黒色腫、副腎皮質癌、多形性膠芽腫、肉腫(70種類を超える異なる型、Ewing肉腫、脂肪肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、頭蓋咽頭腫)、消化管間質腫瘍(GIST)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(B細胞およびT細胞)、急性リンパ性白血病(ALL)および他の白血病(B細胞およびT細胞)およびホジキン病が挙げられる。IGF−1R二重特異性抗体が、1種類の抗IGF−1R抗体に対して高く応答することが知られている種類の腫瘍だけではなく、モノクローナルIGF−1R抗体治療にわずかに応答するか、または応答がより少ない種類の腫瘍にも、より大きな抗腫瘍活性を示すことも予期される。IGF−1R二重特異性抗体が、多くの腫瘍のAkt生存経路を有効に阻害する能力は、この実施例で記載したIGF−1R二重特異性抗体が、強力なAkt阻害剤であり、癌治療において、他の態様のAkt拮抗作用よりも、好ましいアンタゴニストになり得ることを示す。
特定の実施形態では、IGF−1R二重特異性抗体(−C末端および−N末端)を精製し、注射に適した医薬ビヒクルを用いて配合する。過剰増殖性障害のヒト患者は、静脈内注入によってIGF−1R二重特異性抗体を体重1kgあたり1mg/kg〜約100kg/mgの範囲で複数回投薬される。疾患が進行しているか、または死が観察されるまで、1週間に1回、または2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投薬を行う。投薬間隔は、一連の治療中に診断する予後指標によってさまざまに変わり得る。それぞれの適応症のための治療標準(化学療法、放射線治療、他の標的化治療、外科的切除)の前、指示と同時、または指示の後に抗体を投与してもよい。以下のうちの1つ以上のパラメータ、すなわちCTスキャンで測定した腫瘍の縮小/新しい病変(腫瘍)の発生回数の減少、FDG−PETスキャンで測定した糖吸収に与える影響(代謝応答)、疾患の予後を評価するのに使用する予後バイオマーカーの調節)を評価することによって、治療が抗腫瘍応答もたらしたかどうかを決めるために、患者を観察する。
(等価物)
当業者は、過度ではない通常の実験を行うことによって、本発明に記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を見出すであろう。そのような等価物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
当業者は、過度ではない通常の実験を行うことによって、本発明に記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を見出すであろう。そのような等価物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
Claims (178)
- IGF−1Rを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、IGF−1Rの第1のエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第1の結合部分と、IGF−1Rの第2の異なるエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第2の結合部分とを、該腫瘍細胞に接触させる工程を含み、前記第1の部分および第2の部分のIGF−1Rへの結合は、前記第1の部分のみ、または第2の部分のみの結合よりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックし、それによって、IGF−1Rを発現する腫瘍細胞の生存または成長を阻害する、方法。
- 前記第1の結合部分および第2の結合部分が、異なる機序で、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする、請求項1に記載の方法。
- 前記第1の結合部分および第2の結合部分が、同じ結合分子中に存在する、請求項1に記載の方法。
- 前記第1の結合部分および第2の結合部分が、別の結合分子中に存在する、請求項1に記載の方法。
- 前記第1の結合部分および第2の結合部分が、IGF−1Rに結合するにあたり、競合しない、請求項1に記載の方法。
- IGF−1Rの第1のエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第1のIGF−1R結合部分と、IGF−1Rの第2の異なるエピトープに結合し、IGF−1およびIGF−2のうち、少なくとも1つがIGF−1Rに結合するのをブロックする第2の結合部分とを含む、多重特異的なIGF−1R結合分子。
- (a)第1のアロステリックなIGF−1Rエピトープに特異的に結合し、それによってIGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのをアロステリック効果によってブロックする、少なくとも1つの第1のアロステリックなIGF−1R結合部分と、
(b)(i)競合的なIGF−1Rエピトープに特異的に結合し、それによってIGF−1およびIGF−2がIGF−1Rに結合するのを競合的にブロックするか、または(ii)第2のアロステリックなIGF−1Rエピトープに特異的に結合し、それによってアロステリック効果によってIGF−1がIGF−1Rに結合するのをブロックするが、IGF−2がIGF−1Rに結合するのはブロックしない、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含む、多重特異的なIGF−1R結合分子。 - 前記第1のアロステリックなエピトープが、IGF−1RのFnIII−1ドメインに広がり、かつIGF−1Rのアミノ酸437〜586を含む領域内にある、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第1のアロステリックなエピトープが、少なくとも3個の連続したアミノ酸または連続していないアミノ酸を含み、このエピトープのアミノ酸のうち、少なくとも1個が、IGF−1Rのアミノ酸位置437、438、459、460、461、462、464、466、467、469、470、471、472、474、476、477、478、479、480、482、483、488、490、492、493、495、496、509、513、514、515、53、544、545、546、547、548、551、564、565、568、570、571、572、573、577、578、579、582、584、585、586および587からなる群から選択される、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第1のアロステリックなエピトープが、IGF−1Rのアミノ酸461、462および464のうち、少なくとも1個を含む、請求項7に記載の結合分子。
- 前記競合的なエピトープが、CRRドメインの一部分を包含する領域内にあり、この領域が、IGF−1Rのアミノ酸残基248〜303を含む、請求項7に記載の結合分子。
- 前記競合的なエピトープが、少なくとも3個の連続したアミノ酸または連続していないアミノ酸を含み、このエピトープのアミノ酸のうち、少なくとも1個が、IGF−1Rのアミノ酸248、250、254、257、259、260、263、265、301および303からなる群から選択される、請求項7に記載の結合分子。
- 前記競合的なエピトープが、IGF−1Rのアミノ酸248、250および254を含む、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第2のアロステリックなエピトープが、IGF−1RのCRRドメインとL2ドメインの両方を含む領域内にあり、この領域が、IGF−1Rの残基241〜379を含む、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第2のアロステリックなエピトープが、少なくとも3個の連続したアミノ酸または連続していないアミノ酸を含み、このアミノ酸のうち、少なくとも1個が、IGF−1Rのアミノ酸241、248、250、251、254、257、263、265、266、301、303、308、327および379からなる群から選択される、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第2のアロステリックなエピトープが、IGF−1Rの241、242、251、257、265および266のアミノ酸のうち、少なくとも1個を含む、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第1のアロステリックな結合部分が、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)またはM14−C03抗体(ATCC寄託番号PTA−7445)に由来する、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第1のアロステリックな結合部分が、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)またはM14−C03抗体(ATCC寄託番号PTA−7445)のCDR1〜6を含む抗原結合部位である、請求項17に記載の結合分子。
- 前記第1のアロステリックな結合部分が、IGF−1Rに対する結合について、M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)またはM14−C03抗体(ATCC寄託番号PTA−7445)と競合する、請求項7に記載の結合分子。
- 前記競合的な結合部分が、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)に由来する、請求項7に記載の結合分子。
- 前記競合的な結合部分が、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)のCDR1〜6を含む抗原結合部位である、請求項14に記載の結合分子。
- 前記競合的な結合部分が、IGF−1Rに対する結合について、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)と競合する、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第2のアロステリックな結合部分が、P1E2抗体(ATCC寄託番号PTA−7730)またはαIR3抗体に由来する、請求項7に記載の結合分子。
- 前記第2のアロステリックな結合部分が、P1E2抗体(ATCC寄託番号PTA−7730)またはαIR3抗体のCDR1〜6を含む抗原結合部位である、請求項23に記載の結合分子。
- 前記第2のアロステリックな結合部分が、IGF−1Rに対する結合について、P1E2抗体(ATCC寄託番号PTA−7730)またはαIR3抗体と競合する抗体に由来する、請求項7に記載の結合分子。
- 二重特異性である、請求項6〜25のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、第1の結合特異性について多価である、請求項6〜26のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、第2の結合特異性について多価である、請求項6〜27のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、4つの結合部分を含む、請求項6〜28のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合部分の少なくとも1つがscFv分子である、請求項6〜29のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、2個のscFv分子を含む四価抗体分子である、請求項6〜30のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記scFv分子が、前記四価抗体分子の重鎖のC末端に融合している、請求項31に記載の結合分子。
- 前記scFv分子が、前記四価抗体分子の重鎖のN末端に融合している、請求項31に記載の結合分子。
- 前記scFv分子が、前記四価抗体分子の軽鎖のN末端に融合している、請求項31に記載の結合分子。
- 安定化したscFv分子を含む、請求項6〜34のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が完全ヒト型である、請求項6〜35のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、ヒト化可変領域を含む、請求項6〜35のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、キメラ可変領域を含む、請求項6〜35のいずれか1項に記載の結合分子。
- 重鎖定常領域またはそのフラグメントを含む、請求項6〜38のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記重鎖定常領域またはそのフラグメントが、ヒトIgG4である、請求項39に記載の結合分子。
- 前記IgG4定常領域にグリコシル化が無い、請求項40に記載の結合分子。
- 前記IgG4定常領域が、野生型IgG4定常領域と比較して、EU付番システムによる番号でS228PおよびT299Aの変異を含む、請求項41に記載の結合分子。
- M13−C06抗体(ATCC寄託番号PTA−7444)に由来する2個のアロステリックな結合部分と、M14−G11抗体(ATCC寄託番号PTA−7855)に由来する2個の競合的な結合部分とを含む、二重特異的なIGF−1R抗体分子。
- 前記競合的な結合部分が、IgG抗体によって与えられ、前記アロステリックな結合部分が、2個のscFv分子によって与えられ、この2個のscFv分子が、前記IgG抗体に結合しているか、または融合している、請求項43に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、M14−G11抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体のVLドメインが、配列番号93のアミノ酸配列を含み、前記IgG抗体のVHドメインが、配列番号32のアミノ酸配列を含む、請求項45に記載の抗体分子。
- 前記アロステリックな結合部分のscFv分子の片方または両方が、M13−C06抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、60〜61℃より大きいT50を有する安定化したC06 scFv分子である、請求項47に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、従来のC06 scFv分子(pWXU092またはpWXU090)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高いT50を有する安定化したscFv分子である、請求項47に記載の抗体分子。
- (i)M4、(ii)L11、(iii)V15、(iv)T20、(v)Q24、(vi)R30、(vii)T47、(viii)A51、(ix)G63、(x)D70、(xi)S72、(xii)T74、(xiii)S77および(xiv)I83(Kabat付番による規則)からなる群から選択される、軽鎖可変ドメイン(VL)内のアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvのVLドメインが、M13−CO6抗体のVLドメイン(配列番号78)と同一である、請求項48に記載の抗体分子。
- 前記安定化する変異が、M4L、L11G、V15A、V15D、V15E、V15G、V15I、V15N、V15P、V15R、V15S、T20R、Q24K、R30N、R30T、R30Y、A51G、G63S、D70E、S72N、S72Y、T74S、S77G、I83D、I83E、I83G、I83M、I83R、I83SおよびI83Vからなる群から選択される、請求項50に記載の抗体分子。
- (i)S21、(ii)W47、(iii)R83および(iv)T110(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)が、M13−CO6抗体のVHドメイン(配列番号14)と同一である、請求項48に記載の抗体分子。
- 前記安定化する変異が、S21E、W47F、R83K、R83TおよびT110Vからなる群から選択される、請求項52に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL L15S:VH T110Vという変異の組み合わせを含む、請求項48に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL S77G:VL I83Qという変異の組み合わせを含む、請求項48に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、MJF−014、MJF−015、MJF−016、MJF−017、MJF−018、MJF−019、MJF−020、MJF−021、MJF−022、MJF−023、MJF−024、MJF−025、MJF−026、MJF−027、MJF−028、MJF−029、MJF−030、MJF−031、MJF−032、MJF−033、MJF−034、MJF−035、MJF−036、MJF−037、MJF−038、MJF−039、MJF−040、MJF−041、MJF−042、MJF−043、MJF−044、MJF−045、MJF−046、MJF−047、MJF−048、MJF−049、MJF−050およびMJF−051からなる群から選択される安定化したCO6 scFv分子である、請求項48に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、MJF−045(配列番号128)のアミノ酸配列を含む安定化したCO6 VH/VL(I83E)scFv分子である、請求項48に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、Gly/SerリンカーによってIgG抗体に結合している、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記Gly/Serリンカーが、(Gly4Ser)5リンカーまたはSer(Gly4Ser)3リンカーである、請求項58に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、該scFv分子のVLドメインを介し、前記IgG抗体に結合するか、または融合する、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の配向が、VH→(Gly4Ser)nリンカー→VLであり、nが、3、4、5または6である、請求項60に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、該scFv分子のVHドメインを介し、前記IgG抗体に結合するか、または融合する、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の配向が、VL→(Gly4Ser)nリンカー→VHであり、nが、3、4、5または6である、請求項62に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、前記IgG抗体の重鎖に結合するか、または融合し、前記二重特異性抗体の重鎖を形成する、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第1の重鎖に結合するか、または融合し、前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第2の重鎖に結合するか、または融合する、請求項64に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、前記IgG抗体の第1および第2の重鎖のN末端に結合するか、または融合する、請求項65に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体の軽鎖が、配列番号130のG11軽鎖配列(pXWU118)を含み、前記二重特異性抗体の重鎖が、配列番号133のアミノ酸配列(pXWU136)を含む、請求項66に記載の抗体分子。
- 前記結合分子が、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される、請求項66に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、前記IgG抗体の前記第1および第2の重鎖のC末端に結合するか、または融合して、前記二重特異性抗体分子の重鎖を形成する、請求項65に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体の軽鎖が、配列番号130のG11軽鎖配列(pXWU118)を含み、前記scFv分子が、前記重鎖のN末端に結合する場合には、配列番号137の配列(pXWU135)を含む、請求項69に記載の抗体分子。
- 前記結合分子が、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される、請求項69に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、前記IgG抗体の軽鎖に結合するか、または融合する、請求項44に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第1の軽鎖に結合するか、または融合し、前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第2の軽鎖に結合するか、または融合する、請求項72に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、前記IgG抗体の第1および第2の軽鎖のN末端に結合するか、または融合する、請求項72に記載の抗体分子。
- 前記アロステリックな結合部分が、IgG抗体によって与えられ、前記競合的な結合部分が、2個のscFv分子によって与えられ、この2個のscFv分子が、前記IgG抗体に結合しているか、または融合している、請求項43に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、M13−C06抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む、請求項75に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体のVLドメインが、配列番号78のアミノ酸配列を含み、前記IgG抗体のVHドメインが、配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項76に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、M14−G11抗体に由来する軽鎖可変(VL)ドメインおよび重鎖可変(VH)ドメインを含む、請求項75に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、50〜51℃より大きいT50を有する安定化したG11 scFv分子である、請求項78に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、従来のG11(VL/GS4/VH)scFv分子(pMJF060)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高いT50を有する安定化したscFv分子である、請求項78に記載の抗体分子。
- L50および/またはV83(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)が、M14−G11抗体のVLドメイン(配列番号93)と同一である、請求項79に記載の抗体分子。
- 前記安定化する変異が、L50G、L50M、L50NおよびV83Eからなる群から選択される、請求項81に記載の抗体分子。
- E6および/またはS49(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)が、M14−G11抗体(配列番号32)のVHドメインと同一である、請求項79に記載の抗体分子。
- 前記安定化する変異が、E6Q、S49AおよびS49Gからなる群から選択される、請求項83に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL L50N:VH E6Qという変異の組み合わせを含む、請求項79に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL V83E:VH E6Qという変異の組み合わせを含む、請求項79に記載の抗体分子。
- 前記安定化したscFv分子が、MJF−060、MJF−084、MJF−085、MJF−086、MJF−087、MJF−091、MJF−092およびMJF−097からなる群から選択される、安定化したG11 scFv分子である、請求項79に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、Gly/SerリンカーによってIgG抗体に結合している、請求項75に記載の抗体分子。
- 前記Gly/Serリンカーが、(Gly4Ser)5リンカーまたはSer(Gly4Ser)3リンカーである、請求項88に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、該scFv分子のVLドメインを介し、前記IgG抗体に結合するか、または融合する、請求項75に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の配向が、VH→(Gly4Ser)nリンカー→VLであり、nが、3、4、5または6である、請求項90に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、該scFv分子のVHドメインを介し、前記IgG抗体に結合するか、または融合する、請求項75に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の配向が、VL→(Gly4Ser)nリンカー→VHであり、nが、3、4、5または6である、請求項92に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、前記IgG抗体の重鎖に結合するか、または融合する、請求項75に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第1の重鎖に結合するか、または融合し、前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第2の重鎖に結合するか、または融合する、請求項94に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、前記IgG抗体の第1および第2の重鎖のN末端に結合するか、または融合する、請求項95に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体の軽鎖が、配列番号140のCO6軽鎖配列を含み、前記scFv分子が、前記重鎖のN末端に結合する場合には、配列番号144の配列を含む、請求項96に記載の抗体分子。
- 前記結合分子が、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される、請求項96に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、前記IgG抗体の第1および第2の重鎖のC末端に結合するか、または融合する、請求項95に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体の軽鎖が、配列番号140のCO6軽鎖配列を含み、前記scFv分子が、前記重鎖のN末端に結合する場合には、配列番号144の配列を含む、請求項99に記載の抗体分子。
- 前記結合分子が、ATCC寄託番号XXXで寄託された細胞株によって産生される、請求項99に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子の片方または両方が、前記IgG抗体の軽鎖に結合するか、または融合する、請求項95に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第1の軽鎖に結合するか、または融合し、前記scFv分子のうち1つが、前記IgG抗体の第2の軽鎖に結合するか、または融合する、請求項102に記載の抗体分子。
- 前記scFv分子が、前記IgG抗体の第1および第2の軽鎖のN末端に結合するか、または融合する、請求項103に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、ヒトIgG4アイソタイプの重鎖定常ドメインを含む、請求項43〜104のいずれか1項に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、ヒトIgG1アイソタイプの重鎖定常ドメインを含む、請求項43〜104のいずれか1項に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、2個以上のヒト抗体アイソタイプに由来する重鎖定常ドメイン部分のキメラである、請求項43〜104のいずれか1項に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、Fc領域を含み、このFc領域の残基233〜236および327〜331が、ヒトIgG2抗体に由来し、Fc領域の残りの残基が、ヒトIgG4抗体に由来する、請求項107に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体の重鎖定常領域にグリコシル化が無い、請求項105または106に記載の抗体分子。
- 前記IgG抗体が、前記全抗体のヒンジドメインにS228P、および/または前記全抗体のCH2ドメインにT299Aの変異部分を含み、該変異が、野生型ヒトIgG抗体に対するものである(EU付番システム)、請求項109に記載の抗体分子。
- 商業的な規模で製造される場合、本質的に耐凝集性を有する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- IGF−1Rが介在する細胞増殖を阻害する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- IGF−1またはIGF−2が介在するIGF−1Rリン酸化を阻害する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- IGF−1またはIGF−2が介在するAKTリン酸化を阻害する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- AKTが介在する生存シグナル伝達を阻害する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- インビボで腫瘍の成長を阻害する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- IGF−1Rの内在化を誘発する、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記結合分子が、細胞毒性薬、治療薬、細胞増殖抑制剤、生物毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生体応答修飾物質、医用薬剤、リンホカイン、異種抗体またはそのフラグメント、検出可能な標識、ポリエチレングリコール(PEG)、およびこれらの薬剤の2種以上の組み合わせからなる群から選択される薬剤にコンジュゲートしている、請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子。
- 前記細胞毒性薬が、放射性核種、生物毒素、酵素によって活性化する毒素、細胞増殖抑制性または細胞毒性性の治療薬、プロドラッグ、免疫学的に活性なリガンド、生体応答修飾物質、または前記細胞毒性薬の2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項118に記載の結合分子。
- 請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子と、担体とを含む組成物。
- 請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子を対象に投与して治療を行う工程を含む、過剰増殖性障害を患う対象を治療する方法。
- 前記過剰増殖性障害が、癌、新生物、腫瘍、悪性腫瘍、またはその転移からなる群から選択される、請求項121に記載の方法。
- 前記過剰増殖性障害が、癌であり、該癌が、肉腫、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、黒色腫、白血病、胃癌、脳癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌、扁平上皮細胞癌、多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病からなる群から選択される、請求項122に記載の方法。
- 請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子またはその重鎖または軽鎖をコードする核酸分子。
- ベクター内にある、請求項124に記載の核酸分子。
- 請求項125に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 請求項6〜104のいずれか1項に記載の結合分子を製造する方法であって、
(i)前記結合分子が、宿主細胞の培地中に分泌されるように、請求項126に記載の宿主細胞を培養する工程と、
(ii)前記培地から前記結合分子を単離する工程と
を含む、方法。 - 従来のscFv分子のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高いT50を有する、安定化したscFv分子。
- 50℃よりも高いT50を有する、請求項128に記載のscFv分子。
- 60℃よりも高いT50を有する、請求項128に記載のscFv分子。
- 従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)4、(ii)11、(iii)15、(iv)20、(v)24、(vi)30、(vii)47、(viii)50、(ix)51、(x)63、(xi)70、(xii)72、(xiii)74、(xiv)77および(xv)83(Kabat付番による規則)からなるVLアミノ酸位置の群から選択されるVLのアミノ酸位置に存在する、請求項128に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、4L、11G、15A、15D、15E、15G、15I、15N、15P、15R、15S、20R、24K、30N、30T、30Y、50G、50M、50N、51G、63S、70E、72N、72Y、74S、77G、83D、83E、83G、83M、83R、83Sおよび83Vからなる群から選択される、請求項131に記載のscFv分子。
- 従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)6、(ii)21、(iii)47、(iv)49および(v)110(Kabat付番による規則)からなるVHのアミノ酸位置の群から選択されるVHのアミノ酸位置に存在する、請求項128に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、6Q、21E、47F、49A、49G、83K、83Tおよび110Vからなる群から選択される、請求項133に記載のscFv分子。
- 従来のscFv分子と比較して、1個以上の安定化する変異を含み、この変異が、(i)VLのアミノ酸位置50、(ii)VLのアミノ酸位置83、(iii)VHのアミノ酸位置6および(iv)VHのアミノ酸位置49(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に存在する、請求項128に記載のscFv分子。
- 従来のscFv分子と比較して、安定化する変異を含み、この変異が、(i)VLのアミノ酸位置50、(ii)VLのアミノ酸位置83、(iii)VHのアミノ酸位置6および(iv)VHのアミノ酸位置49(Kabat付番による規則)に存在する、請求項128に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、VL 50G、VL 50M、VL 50N、VL 83D、VL 83E、VL 83G、VL 83M、VL 83R、VL 83S、VL 83V、VH 6Q、VH 49AおよびVH 49Gからなる群から選択される、請求項135または136に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、従来のC06 scFv分子(pWXU092またはpWXU090)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高いT50を有する、請求項128に記載のscFv分子。
- VLドメインの(i)M4、(ii)L11、(iii)V15、(iv)T20、(v)Q24、(vi)R30、(vii)T47、(viii)A51、(ix)G63、(x)D70、(xi)S72、(xii)T74、(xiii)S77および(xiv)I83(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)が、M13−CO6抗体のVLドメイン(配列番号78)と同一である、請求項138に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、M4L、L11G、V15A、V15D、V15E、V15G、V15I、V15N、V15P、V15R、V15S、T20R、Q24K、R30N、R30T、R30Y、A51G、G63S、D70E、S72N、S72Y、T74S、S77G、I83D、I83E、I83G、I83M、I83R、I83SおよびI83Vからなる群から選択される、請求項139に記載のscFv分子。
- (i)S21、(ii)W47、(iii)R83および(iv)T110(Kabat付番による規則)からなる群から選択されるアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)が、M13−CO6抗体のVHドメイン(配列番号14)と同一である、請求項138に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、S21E、W47F、R83K、R83TおよびT110Vからなる群から選択される、請求項141に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL L15S:VH T110Vという変異の組み合わせを含む、請求項138に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL S77G:VL I83Qという変異の組み合わせを含む、請求項138に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、MJF−014、MJF−015、MJF−016、MJF−017、MJF−018、MJF−019、MJF−020、MJF−021、MJF−022、MJF−023、MJF−024、MJF−025、MJF−026、MJF−027、MJF−028、MJF−029、MJF−030、MJF−031、MJF−032、MJF−033、MJF−034、MJF−035、MJF−036、MJF−037、MJF−038、MJF−039、MJF−040、MJF−041、MJF−042、MJF−043、MJF−044、MJF−045、MJF−046、MJF−047、MJF−048、MJF−049、MJF−050およびMJF−051からなる群から選択される、安定化したCO6 scFv分子である、請求項138に記載のscFv分子。
- 従来のG11(VL/GS4/VH)scFv分子(pMJF060)のT50よりも少なくとも2℃〜10℃高いT50を有する安定化したscFv分子である、請求項128に記載のscFv分子。
- L50および/またはV83(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの軽鎖可変ドメイン(VL)が、M14−G11抗体のVLドメイン(配列番号93)と同一である、請求項146に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、L50G、L50M、L50NおよびV83Eからなる群から選択される、請求項147に記載のscFv分子。
- E6および/またはS49(Kabat付番による規則)のアミノ酸位置に、1個以上の安定化する変異が存在しなければ、前記安定化したscFvの重鎖可変ドメイン(VH)が、M14−G11抗体(配列番号32)のVHドメインと同一である、請求項146に記載のscFv分子。
- 前記安定化する変異が、E6Q、S49AおよびS49Gからなる群から選択される、請求項149に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL L50N:VH E6Qという変異の組み合わせを含む、請求項146に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、VL V83E:VH E6Qという変異の組み合わせを含む、請求項146に記載のscFv分子。
- 前記安定化したscFv分子が、MJF−060、MJF−084、MJF−085、MJF−086、MJF−087、MJF−091、MJF−092およびMJF−097からなる群から選択される、安定化したG11 scFv分子である、請求項146に記載のscFv分子。
- 前記scFv分子が、IGF−1Rに対する結合特異性を有する、請求項128〜153のいずれか1項に記載のscFv分子。
- 請求項128〜153のいずれか1項に記載の安定化したscFv分子を含む、多価結合分子。
- 商業的な規模で製造される場合、本質的に凝集物を含まない、請求項155に記載の多価結合分子。
- バッファ系(例えばPBS)で少なくとも3ヶ月間インキュベートした後、本質的に凝集物を含まない、請求項155に記載の多価結合分子。
- 融解温度(Tm)が少なくとも60℃である、請求項155に記載の多価結合分子。
- 請求項128〜154のいずれか1項に記載の安定化したscFv分子を、抗体分子の軽鎖または重鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端に遺伝的に融合させる工程を含む、安定化した多価結合分子を製造する方法。
- 請求項128〜154のいずれか1項に記載の安定化したscFv分子または請求項155に記載の多価結合分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
- ベクター内にある、請求項160に記載の核酸分子。
- 請求項161に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 安定化した結合分子が製造されるような条件下で、請求項162に記載の宿主細胞を培養する工程を含む、安定化した結合分子を製造する方法。
- 前記宿主細胞が商業的な規模(例えば50L)で培養され、前記宿主細胞の培地1Lあたり、前記安定化した結合分子が少なくとも5mg製造される、請求項163に記載の方法。
- 前記宿主細胞が商業的な規模(例えば50L)で培養され、前記宿主細胞の培地1Lあたり、前記安定化した結合分子が少なくとも50mg製造される、請求項163に記載の方法。
- 前記宿主細胞が商業的な規模で培養され、凝集物の形態で存在する前記結合分子が10%以下である、請求項163に記載の方法。
- 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するインビトロでの腫瘍細胞の成長を阻害する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するインビボでの腫瘍細胞の成長を阻害する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在するシグナル伝達をブロックする、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い結合親和性で、IGF−1Rに対して結合する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1および/またはIGF−2がIGF−1Rに結合するのをブロックする、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも、血清での半減期が長い、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1またはIGF−2が介在するIGF−1Rリン酸化を阻害する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1またはIGF−2が介在するAKTリン酸化および/またはMAPKリン酸化を阻害する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1R受容体に交差結合する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1R受容体の内在化を誘発する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、腫瘍細胞の周期の停止を誘発する、多重特異性IGF−1R結合分子。 - 多重特異性IGF−1R結合分子であって、
(a)第1のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの第1のIGF−1R結合部分と、
(b)前記第1のIGF−1Rエピトープとは重複しない第2のIGF−1Rエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの第2のIGF−1R結合部分と
を含み、
前記多重特異性IGF−1R結合分子がIGF−1Rに結合すると、(i)前記第1の結合部分を含む第1の単一特異性結合分子、(ii)前記第2の結合部分を含む第2の単一特異性結合分子、または(iii)前記第1の単一特異性結合分子および第2の単一特異性結合分子の組み合わせよりも高い程度に、IGF−1Rが介在する腫瘍細胞の成長を阻害する、多重特異性IGF−1R結合分子。
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