17.エキセントリック・エレキガール

部屋を出たトラボルタは、執事に案内されて、
部屋から少し離れた所にある電話までたどり着いた。

道中、誰とも出会わなかったことを不思議に思ったが、
既にパーティーが始まっている事を思い出し、トラボルタは自ら疑問を解決するに至った。

受話器を手に取り、耳に当てる。すると、ひどいノイズが機械からは発されている。
ザザザというひどいノイズに混じって、人の声らしき音が聞こえている。

「ザザザ―― ――こち ザザ―― りぷザザッん ――緊急 ザ ザ 今から――」
ノイズがひどすぎて、その内容までは聞き取ることはできそうになかった。

「あっあー、こちらトラボルタじゃ。すまんがノイズが多くて聞き取れん。
もう一度、話してくれんか?」
トラボルタも必死になって、相手と通じようと試みてはみるが、
こちらの声もあちらにきちんと届いているのか、知る事は出来そうにない。

「ザザザ―― ザザ―― …… ……」
ふいに先程までひどかったノイズが止み、受話器からまるで遠く離れて話しているような
小さな音量で声が聞こえてきた。
あまりに小さな音なので、これまた老人の耳では正確に聞き取れそうにない。

「……手違い……重要な……急いで……むか…… ……ツー ツー ツー」
いくつかの単語が聞き取れたところで、受話器からは不通を知らせる音が聞こえてきた。

次の瞬間―― ガシャンという機械音と共に、灯りが消え、
辺りは真っ暗闇に支配されてしまった。

――なんじゃ これは? 停電か? ミク、ミクは大丈夫か?

 ピアノの置かれた部屋も同様に、突然の暗闇に襲われていた。
「なに? これ……。停電なの?」
ライムは突然襲ってきた状況に慌てた様子で声をあげた。

先程まで部屋に差し込んでいた月の光も、運悪く月が雲に隠れてしまい、入ってこない。
しかし、そんな中でもライムは、目の前にいるミクの存在をなんとなく感じ取り、
少し平静を取り戻すことができた。

一分と経たずに、部屋にはろうそく一本分の灯りを持った執事が入って来た。
「すいません、坊ちゃま。どうやら停電のようです……。避難しますからついてきて下さい」
ろうそくの明かりで、男性の上半身だけが不気味に浮かんでいるように見える。
顔も下半分だけがうっすらと見える程度の光量しかない。

「わかったよ。さあ、一緒に行こう?」
ライムは、部屋にあるわずかな光源に照らされ、
ほんのうっすらと姿を確認できるミクを見ながら、立ち上がった。

ミクも言葉を受けて、立ち上がり、二人並んでドアの方へとゆっくり暗がりを進んだ。
「さあ、こちらです……。坊ちゃま……」
暗闇の中、ミクの小さな鼻がピクピクッと動いた。
灯りを持った執事は、おもむろに手を差し出した。

ライムがその差し出された手を握ろうと、右手を動かそうとした瞬間――
フラッシュを焚いたような強い光が、左側で発せられた。

ライムがそのことに気がついた瞬間――
ドンッという音と共に、発生した強い衝撃波により、
後方へ数メートル吹き飛ばされ、尻もちをついてしまった。

ドアは無残にも破壊され、辺りには煙とゆうか、ほこりというか、もくもくと漂っている。
壊れたドアの前には、バチバチと音を立て、放電している一人の少女が見える。

床に落ちたろうそくの火は、じゅうたんに燃え移り、より大きな炎へと変化している。
あまりに突然のことに、状況を整理できないライムであったが、
実は、彼はその一部始終をしっかりとその目で見ていた。

しかし、その内容はあまりに彼の理解からは、かけ離れてしまっているために、
一種のパニック状態を引き起こしていた。

彼は目撃していた。あの一瞬で起こった出来事を――。
フラッシュのような光が発せられた瞬間、彼の左隣にいた少女は激しい放電をしながら、
固く握りしめらた右手を、目の前にいた執事の男性にめがけて、繰り出した。

男性が後方へ吹き飛ばされ、壁を崩しながら、めり込んでいく様が見えた。
男性を少女が殴った際に、発生した衝撃波で彼も男性とは反対側へ吹き飛ばされていた。

自らの放電と床で燃える炎による光で、照らしだされた少女の紺碧の瞳は、
とても冷たく、とても恐ろしい色に見えた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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紅のいかずち Ep1 ~紅のいかずち~ 第17話 エキセントリック・エレキガール

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http://piapro.jp/collabo/?id=12467

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閲覧数:226

投稿日:2010/06/26 13:50:24

文字数:1,777文字

カテゴリ:小説

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