子(ね)の刻、霧と雨が夜を洗って
和毛(にこげ)の仔羊も月時雨を浴(あ)んでいる
月を見失っても泣いちゃ駄目だよ
泪で星まで見えなくなってしまうから
死ぬまでに年齢の数だけの夏しか「経験」できないから
だから、たくさんの物語でたくさんの夏を「実感」するんだ
幾年のページの枚数が
幾度の湧き立つ万感が
幾許の幼稚な空想が
やがては現実に色を塗る
物語の登場人物にバイバイ、手を振って
ここからは君自身のストーリーだ
今度は世界という書物を読みにいこうぜ
早起きはつらいけれど
酉(とり)の空、舂(うすづ)いて、暮色に滲む
触れなば散りぬべし、儚い幸福よ
誕生、それは人生で一番最初に訪れる災難だとしても
一齣(ひとこま)に描かれた永遠を
一幕に詰まった一生を
一行(ひとくだり)の古い戯言を
思い出して、さあ、街へ出よう
物語の登場人物にバイバイ、手を振って
ここからは君一人の冒険だ
今度は世界という映画を観にいこうぜ
夜ふかしは程々に
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出発だ、自分という世界で一番小さな無人島から
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ここからは君自身のストーリーだ
今度は世界という書物を読みにいこうぜ
早起きはつらいけれど
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