「レーンーカっ」
「ふぎゃ!」
最近のリントは、わたしを呼ぶついでにぐいぐいポニーテールを引っ張ってくる。
びっくりするし、地味に痛いからやめてくれと主張してるんだけど、今日も彼が聞き入れてくれる気配はない。前にこの髪型を推したワケって、実はこれだったんじゃないかと疑ってしまいそうだ。
「普通に呼べばいいでしょ!」
「だって、なんか引っ張りたくなるんだよ、それ」
「じゃあ、ツインテールにすればよかった……」
「ツインテールは、二本まとめて掴んで、後ろからぐいってやりたいなあ」
「引っ張る前提で考えんなし」
「あはは」
背後に回った彼はどうやらポニーテールで三つ編みを始めたらしい。笑顔一つで丸め込まれるなんて、わたしもつくづく甘い女だ。
「それで? どうしたの」
「んーと……忘れた」
「おいおい……」
「すっげーどうでもいいことだった気がするんだけど」
そのどうでもいいことのために、髪を引っ張られるこっちの身にもなってほしい。
「あ、思い出した!」
「いたたた! 痛いってばリント!」
「おっと、ごめん」
言ったそばからすぐこれだ。今のは本当に痛かった。
「っもう……──!?」
そんな中でも即刻、彼の右手を制したわたしを、誰でもいいから褒めてほしい。
わたしの腰をしっかと掴んだリントが、「ちっ」と声に出して言った。
「……なにすんの、リント君」
「えっと……リフトアップ?」
「いやいやいや……どうしてそうなった」
「レンカって体重どのくらいかなーと思って」
「そんなの教えるわけないでしょ!」
「だろ? だから、実際に持ち上げてみてだな」
なにをそんな、自信満々に語ってるんだ。どうしてうちの相方は、こうもデリカシーがないんだろう。
わたしはこれでも女の子なのに。
「わたし、重いから持ち上げられないよ」
「そんな細い体して何言ってんの、お前」
「……!」
「細い」、「軽い」などといくら唱えたところで体重が減ることはないけど、リントは見え見えのお世辞しか言えないようなタイプだから、褒められると素直に嬉しい。
──いいや、ここでほだされては思う壺だ。自分をしっかり持て、わたし。
「だめったら、だめ。そういうリントだってめちゃくちゃ細いじゃない。ふらつかれたらわたし、絶対ショックだし!」
「大丈夫だって、男子なめんな!」
そりゃ、ミク兄くらいになったら、わたしなんて軽々と持ち上げてしまうんだろうけど──相手がリントとなると、まだまだ不安だ。
けれども、そのくだらない危惧は、彼の何かに火を点けてしまったらしかった。
「よっこらせ」
回された腕に気を取られている間に床は遠くなって、片手でわたしを担ぎ上げたらしいリントの、超いい笑顔がすぐ横にあった。
声を上げる寸前に玄関の開く音を拾って、やばいと思う。何がやばいのかはよく分からないのだけど。
これって謎シチュですよね分かります。
まっすぐに部屋に入ってきた長兄(そういう位置なのだ)は瞬きこそしたものの、戸惑うような素振りは全く見せなかった。
「おかえりミク兄!」
「ただいま、今日は何してんの?」
「レンカがさあ、俺は非力だから絶対持ち上げられないっていうんだもん!」
「リント。ちょっと落ち着け」
こっちはこっちで興奮しすぎだが、あっちはあっちで落ち着きすぎだ。
恐らく引き攣った顔をしているだろうわたしを見てから、ミク兄は楽しげにリントに呼びかけた。
「俺なら姫抱きにするかな、うん!」
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ご意見・ご感想
kirara
ご意見・ご感想
二人とも可愛い。まとめてうちの養子においで。
そしてクオ兄、ナイス助言!
2011/03/20 20:18:49
音坂@ついった
騒がしい奴らなので養子にして頂いて後悔されないか心配で…((
クオ兄はあっさり騒動の種を投げつけていくんですよフフフ…
お姫様抱っこ云々で延長戦してそうですw
2011/03/20 21:38:09
wanita
ご意見・ご感想
なんだかリントくんは美形のはずなのに心情がリアル男子で萌えます^^*
「男子なめんな」「よっこらせっ」とか。
今日も和みました☆
2011/03/20 00:59:38
音坂@ついった
キャアアありがとうございます>///<
リント君ってキャラクター的に大人っぽい子が多いみたいなので…ちょっとでも身近に感じてもらえたら嬉しくて死んでしまうわ!←
いつもありがとうございます^^*
2011/03/20 01:03:23