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- ウォール街の大手銀行は、AIへの依存度を高めており、採用計画を削減する可能性があるという。
- その事情に詳しい筋 がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、アナリストの新規採用は3分の2まで減らされるかもしれないという。
- すでにニックネームのつけられたAIソフトウェアを検討している銀行もあると情報筋は話している。
「ウォール街の若手アナリストはAIに仕事を奪われる危険性がある」と、ある銀行関係者がニューヨーク・タイムズに語った。
ウォール街がAIへの依存度を高める中、大手銀行は新規アナリストの採用を控えることを検討していると、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)やモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)等の銀行の事情に詳しい複数の人物が同紙に語っている。
一部の関係者は、投資銀行の若手アナリストの採用人数が最大3分の2削減される可能性があり、新たに雇用されるアナリストもAIによって業務支援が受けられることを理由に給与が下がる可能性があることを示唆した。
ドイツ銀行(Deutsche Bank)のテクノロジー・データ・イノベーション担当最高戦略責任者(CSO)のクリストフ・ラーベンセイフナー(Christoph Rabenseifner)は「簡単なアイデアは、人間の代わりにAIツールを使うことだ」とニューヨーク・タイムズに語っているが、それでも人間のスタッフを確保する必要はあると指摘している。
各銀行はすでにAIソフトウェアをテストしており、「ソクラテス(Socrates)」などのコードネームを採用していることがこの報告で分かっている。
今はまだ、AI技術を探求する「初期段階」だが、これまでの結果には「満足している」とゴールドマン・サックスの担当者はBusiness Insiderに語っている。また、雇用の縮小は現時点では考えていないという。
「このような取り組みの結果として、アナリストの採用を変更する計画は現時点ではない」
ドイツ銀行も、人員削減の可能性についてコメントするには時期尚早だとBusiness Insiderに述べた。我々はモルガン・スタンレーにもコメントを求めたが、回答は得られなかった。
金融業界の幹部の中には、将来、職場が変化することを公にほのめかした者もいるJPモルガン(JPMorgan)の会長兼CEOのジェームズ・ダイモン(James Dimon)は、株主へ宛てた年次書簡の中で、人工知能には「特定の職種や役割を減らす」可能性があると述べた。
ブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンク(Larry Fink)CEOは、2023年、「AIには労働者の生産性を向上させる『莫大な可能性』がある」と、フィナンシャル・タイムズに語っており、その後、同社はAIに「膨大な時間」を費やしていると付け加えている。
ゴールドマン・サックスは約3億人の労働者がAIによって大きな影響を受ける可能性があると見積もっており、マッキンゼー(McKinsey)のレポートでは2030年までに、1200万人の労働者がAIによって完全に職を奪われる可能性があるという。
コンサルティング会社のアクセンチュア(Accenture)はさらに極端な見通しを示しており、最終的には銀行業の全労働時間の75%近くを、AIが代替または補完する可能性があると予測している。
JPモルガンの投資銀行部門の責任者を務めるジェイ・ホライン(Jay Horine)は「AIによって我々は10時間かかる作業を10秒でこなせるようになる」と語った。
「私の希望であり、信じているのは、それによって仕事がもっと面白くなるということだ」と彼はニューヨーク・タイムズに語っている。