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- 10月30日・31日に開かれた日銀の金融政策決定会合では、政策金利を現状の0.25%程度で維持するとの決定がなされた。
- それは現在の日本やアメリカの政治・経済状況を見据えた判断であることは間違いないだろう。
- そうしたなか、銀行各行はどういった金利の舵取りを行なっているのか? 2024年11月1日時点の状況を確認する。
預金金利上昇の機運も、ここにきて踊り場に入ったようだ。
日銀による7月31日の追加利上げを受け、8月に三井住友、9月にはみずほと三菱UFJ、ならびに大手地銀各行が普通預金金利を0.100%に引き上げ。さらに10月1日には、多くのネットバンクもそれに追随していた。
そんななか、10月30日・31日に開かれた日銀の金融政策決定会合では、政策金利を現状の0.25%程度で維持するとの決定がなされる。日銀が政策金利を据え置いたのは、先月に引き続き2会合連続だ。
もちろんそれは、日本やアメリカの政治・経済状況を見据えた判断であることは間違いない。なにしろ、10月27日には日本で衆議院選挙が行なわれたが、次期首相は未定。そして、11月5日にはアメリカ大統領選挙も控えているからだ。
こうしたなか、銀行各行はどういった金利の舵取りを行なっているのだろうか。2024年11月1日時点の、主要銀行の預金金利を確認していこう。
メガバンクとゆうちょの預金金利は変化なし
預金金利引き上げの流れをけん引してきたメガバンク3行。11月は、普通預金金利、定期預金金利ともに、前回調査時の水準を堅持する結果となった。
振り返ると、8月6日から9月2日にかけてメガバンクは普通預金金利を0.100%に引き上げ、その後も定期預金で全体的な金利アップを行っている。だが、ここ1カ月あまりは、数字の動きがまったくない。
段階的な金利上昇を多段ロケットの打ち上げに例えるならば、ちょうど1段目の燃焼が終わった段階といったところか。 ちなみに、ゆうちょ銀行もメガバンク同様に、前回調査時から変化がない。
通常貯金金利 | 定期貯金金利 | 5年定期 | 10年定期 | |
---|---|---|---|---|
ゆうちょ銀行 | 0.100% | 0.125%〜0.200% | 0.200% | - |
大手地銀はメガバンクへの追随が完了したか
完全に無風状態となったメガバンクに対し、最近の大手地銀では定期預金金利で多少の金利上昇が見られる。
しかし、この動きも一旦は収束するだろう。ここにきてようやく、メガバンクの金利水準に追いついたといえるからだ。
実際、今回調査で金利に変動があった千葉銀行と常陽銀行は、ようやく定期預金金利が三菱UFJと同じになった格好だ。
ネットバンクはさらに競争力のある数字を模索
インターネット専業銀行 | 普通預金金利 | 定期預金金利 | 5年定期 | 10年定期 |
---|---|---|---|---|
PayPay銀行 | 0.100% | 0.125%〜0.350% | 0.200% | 0.350% |
ソニー銀行 | 0.150% | 0.150%〜0.350% | 0.300% | 0.350% |
楽天銀行 | 0.100% | 0.105%〜0.250% | 0.200% | 0.250% |
住信SBIネット銀行 | 0.100% | 0.125%〜0.400% | 0.400% | - |
auじぶん銀行 | 0.110% | 0.150%〜0.500% | 0.500% | - |
大和ネクスト銀行 | 0.100% | 0.150%〜0.500% | 0.500% | - |
みんなの銀行 | 0.100% | 0.200% (貯蓄預金) |
‐ | (満期設定なし) |
UI銀行 | 0.200% | 0.220%〜0.400% | 0.400% | ‐ |
GMOあおぞらネット銀行 | 0.100% | 0.100%〜0.120% | 0.120% | 0.120% |
普通預金金利の基準は0.100%時代に突入したが、それぞれ独自路線を歩むネットバンク各行では、さらに試行錯誤の様子が見てとれる。
いち早く普通預金金利を0.150%にしたソニー銀行に追いつけ追い越せとばかりに、出遅れ気味だったPayPay銀行、auじぶん銀行も0.100%の天井を破る水準へジャンプアップしてきた。
定期預金金利もメガバンクや地銀と比較して、競争力のある金利が散見されるようになった。現在のネットバンク金利は、比較しがいのある並びになっている。
金利の行く末は、日米の政治・経済状況次第か
今回の日銀金融政策決定会合では政策金利が据え置きとなったが、今後の日米の政局や経済状況次第では、金利がふたたび上昇局面を迎えることになるだろう。
それを裏付けるかのように、10月の金融政策会合と同時に日銀が発表した「展望レポート」(経済・物価情勢の展望)にも、今回は政策金利を据え置いたものの、日銀の見通しどおりの経済・物価が実現していくなら、それに応じて政策金利を引き上げていく姿勢は変わらない、という趣旨の文言があった。つまり、政策金利引き上げ路線そのものは、なんら変わっていないのだ。
日銀が次回の金融政策決定会合を行なうのは12月18日と19日。早ければ、ここでまた金利水準が動き出すような発表がなされることになるかもしれない。
今後も引き続き銀行預金金利についての定点観測を続けていく。