せっかくの旅行なのに、直前の予報は雨。当日、空港の掲示板に「欠航」の文字。そんな経験はありませんか?
目的地に到着できるかどうか分からない時間は、想像以上に脳を消耗させます。
台風が接近するなか、外せない予定を抱えて東京へ向かった週末、筆者はChatGPTを検索ツールではなく「旅の判断を任せる相棒」として使ってみました。
ダブル台風の中、大阪→東京に移動する必要が…
日本代表がワールドカップで決勝トーナメント進出を決め、日本中が沸いた日。
筆者は大阪で、台風の接近に頭を抱えていました。ダブル台風7号・8号が太平洋側をなぞるように東京へ迫り、大阪にも警報が出るなか、翌日には東京行きを控えていたのです。
筆者の予定はこうです。
6/27(土)
- 13:00 神戸空港発(スカイマークBC108便)
- 14:15 羽田着
- 19:00 新宿で予定あり
- 羽田に近い大鳥居のホテルに1泊
6/28(日)
- 7:20の便で羽田から神戸へ戻る
先に結果を言うと、旅は無事に予定どおり進みました。
しかし「行けるか分からない状態」が続いてしまった場合、ずっと判断し続ける必要があ流ため、気が休まらないんですよね。
また、台風によって予定どおりに進まない可能性が出てきた際、やることは一気に増えます。
- 旅の予定そのものを変更するのか
- 新幹線に振り替えるのか
- キャンセル料はかかるのか
特に重要なのが、フライトやホテルのキャンセル周りです。キャンセル規定はフライト・ホテル・振替先でバラバラ。
筆者が登場予定だった飛行機・スカイマークは「悪天候による欠航の場合、他社便への振替ができず、自社便への変更か払い戻しになる」という規定でした。
天気を見て、規定を調べ、条件を突き合わせる。ここをAIに預けてみることに。
渡したのは旅程ではなく「4つの優先順位」
ChatGPTには、まず優先順位を4つ伝えました。
- 土曜19時に新宿到着は絶対に守ること
- 筆者の判断疲れを減らすための判断を代わりに下して欲しいこと
- できる限り不要な出費は避けること
- ただし安心のためなら追加費用は許容する
これを最初に渡すと、返答が経路検索ではなく「自分の目的に沿った提案」に変わります。
筆者の予定周りについては、ChatGPTとGoogleカレンダーを連携する形で共有。もちろん、予約確認メールのスクリーンショットを渡すだけでも十分です。
プランA〜Dを「切り替え条件」ごと用意する
実際に投げたプロンプトは、こんな内容です。
あなたには今回の東京旅行の「共同意思決定者」になってほしいです。土曜日19時の予定だけは絶対に守りたいです。(中略)現時点のプランA〜D、それぞれのメリット・デメリット、各タイミングでプランを切り替える判断基準、私が見落としているリスクを整理してください。
これに対してChatGPTが出してきた選択肢が、以下の4つです。
- プランA(本命): 予定どおりBC108便で東京へ。
- プランB: 同じ便で、神戸空港へ早めに向かう「安心強化版」。
- プランC: 欠航や大幅遅延の兆候が出たら、新幹線へ切り替え。
- プランD: 飛行機も新幹線も怪しければ、前日中に東京入り。
実際には、各プランのメリット・デメリットから、72時間前・24時間前・当日朝に確認すべきこと、切り替えの判断基準まで、かなり細かくシミュレーションしてくれました。
ポイントは「どうなったら切り替えるか」まで決めておくこと。当日は条件に当てはまったら動くだけです。
正直、この整理ができた時点で、脳のリソースの減り方がまるで違いました。
一番の収穫は「何度も判断しなかった」こと
出発前日からは、私がChatGPTのPlusプランに加入しているため、タスク(スケジュール実行)機能に監視を任せました。入れたプロンプトは、こんなイメージです。
あなたには「旅行オペレーションセンター」の役割も任せます。台風・気象情報、航空会社の運航情報、新幹線の運行状況などを、朝6:00から18:00まで2時間おきに確認してください。変化がなければ「プランA継続」とひと言で。判断に影響する重大な変化があれば、すぐ通知してください。
報告は毎回、ステータス(緑=問題なし/黄=注意/赤=変更推奨)・変化点・推奨行動という型で届きます(仕組み上、最短1時間ごとの確認で、常時リアルタイムではありませんが本当にギリギリのタイミングでなければ問題ないと思います)。
結果、基本は緑の「プランA継続」。ただし黄(注意)も3回ほど出ました。
航空会社の運航見通しで神戸空港が悪天候の影響空港に挙がったときと新幹線に運休の可能性が報じられたとき、高速道路の通行止め情報が入ってきたときです。
ヒヤッとはします。ただ、天気予報を見てやきもきしたとしても、飛ぶかどうかを決めるのは航空会社。公式サイトでアナウンスされない限り、それ以上でもそれ以下でもないんですよね。
実際、心配された2つの台風は上陸することなく、旅の当日には相次いで温帯低気圧に変わりました。天候は本当に分からない。だからこそ、「今は動かなくていい」と客観的な情報で確認できることに価値がありました。
もちろん、最終判断と裏取りは人間の仕事です。報告には情報源(公式サイトなど)が付くので、気になれば原典に当たれます。
AIは選択肢と基準を整理する係、という線引きは守ります。それでも、報告のたびに「どうする?」とゼロから考え直す消耗は、まるごと消えました。
AIに旅の判断を任せる3つのコツ
- 最初に「絶対に守りたい条件」を伝える。
今回なら「土曜19時は死守」。軸が定まると提案がブレません。 - 予約や予定など、自分の状況を共有する。
渡す情報が具体的なほど、提案も具体的になります。 - 「どう思う?」ではなく「いつ、何を基準に判断すべき?」と聞く。
判断のタイミングと基準を言語化してもらうのがコツです。
これは天候リスクに限った話ではないかもしれません。大事な商談やプロジェクトでも、起こりうるトラブルの対策や代替案をあらかじめストックしておく場面で活用できるでしょう。
考える順番・比べる選択肢・判断のタイミングを整理するだけでも、宙ぶらりんの時間の消耗は減るはずです。
不確実性の高い状況になったとき、まずはAIに相談してみることも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
重田信
1987年奄美大島生まれ。2014年から日本人学校の教員として、タイ・バンコクと中国・深圳で計8年勤務。帰国後にライターとしての活動を始め、Webメディアを中心に、生成AIの活用法や著者インタビューなどの記事を執筆している。2024年からは日本の小学校で講師としても勤務している。
──2026年7月14日の記事を再編集のうえ、再掲しています。