あいにくの雨空で、地上350メートルにある東京スカイツリー(東京都墨田区)のデッキからの眺望は白い雲に遮られていた。将棋の藤井聡太棋聖(24)=竜王・名人・王位・棋王・王将=はそんな予想外の天候にも動じない。用意されたリボンに、《おもしろい将棋が指せますように》としっかりとした字で願い事を書くと、笑顔で撮影に応じた。
藤井棋聖が史上2位に並ぶ7連覇を達成したヒューリック杯第97期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)。その第2局を翌日に控えた6月18日の一コマだ。
「面白い将棋」とは藤井棋聖が繰り返し口にしてきた目標でもある。現代将棋では高性能の人工知能(AI)を活用した研究合戦が日常化している。結果、勝利への最善手を外さない正確さがより重視されるようになり、棋士が即興的なひらめきを披露する場面が減ったとの声も聞く。そんなAI時代の将棋とは相いれなさそうな「面白さ」を志向するのが新鮮で、本人に真意を尋ねたことがある。