東邦航空(東京都江東区)のヘリコプターが長野県大鹿村の南アルプス上空から、山肌を埋め尽くすシカの大群を見つけ、動画を撮影した。自然保護官は「高山植物への食害が懸念される」と憂慮している。
東邦航空によると、8月1日午前10時半ごろ、山小屋にヘリで荷上げをするため二児山 (ふたごやま、2242メートル)北側を飛行中、ササ草原にシカの大群がいるのを搭乗していた整備士が見つけ、スマートフォンで撮影した。ニホンジカとみられ、画面に映っているだけでも500頭程度が確認できる。
動画を見た環境省南アルプス自然保護官事務所(山梨県南アルプス市)の結城貴志自然保護官は「想像を超える数で、驚いた」と話した。
結城氏によると、シカを適正な数にするため捕獲が必要だが、現地に行くには登山が必要で、捕獲資材の搬入や捕獲したシカの搬出に困難が伴う。このため、シカが捕獲の手の届かない地帯に上がった可能性が高いという。
冬の積雪量が減ったことで、標高の高い山岳部でもシカが越冬でき、生息数が増えているとみられる。結城氏は「高山植物への食害によって、生態系の破壊や土壌の露出が心配だ」と話し、対応策の検討の必要性を訴えた。
動画は東邦航空のX(旧ツイッター)や南アルプス国立公園のインスタグラムで公開されている。