フィト・パエス

アルゼンチン・ロック界で最も象徴的で、最も愛されている人物の一人であるシンガー・ソングライターのロドルフォ "フィト"・パエスは、1963年3月13日にロサリオで生まれた。クラシック・ピアニストと市役所職員の息子である彼は、1980年代初頭に、軍事独裁政権に反対する政治意識の高いメッセージをロック、フォルクローレ、タンゴ、プロテスト・ソングの要素と組み合わせた音楽集団、トロバ・ロサリーナ・ムーブメントのメンバーとして一躍有名になった。チャーリー・ガルシアの代表的なアルバム『Clics Modernos』（1983年）と『Piano Bar』（1984年）のレコーディングに参加したフィト・パエスは、1984年にLP『Del 63』でソロ・キャリアをスタートさせた。1985年にリリースされた2ndアルバム『Giros』は、彼をより多くの聴衆に知らしめ、"11 y 6 "や"Yo Vengo a Ofrecer Mi Corazón "など、彼の最初のヒット曲のいくつかを取り上げた。この頃までに、フィト・パエスは、1986年のアルバム『La La La』でロサリオ出身の彼とコラボレートしたルイス・アルベルト・スピネッタを含む、アルゼンチンのポピュラー音楽界で最も重要なアーティストたちから尊敬と称賛を集めていた。叔母と祖母を殺されたことで打ちのめされた彼は、その怒りのすべてを『Ciudad de Pobres Corazones』（1987年）に注ぎ込んだ。EMIミュージックからの最後の作品となった『Ey』（1988年）、『Tercer Mundo』（1990年）に続き、フィト・パエスは『El Amor Después del Amor』（1992年）でついにアルゼンチンおよびラテンアメリカで商業的成功を収めた。このアルバムは、タイトル曲の成功のほか、"Brillante Sobre el Mic "や"Tumbas de la Gloria "といったヒット・シングルのおかげで、アルゼンチン史上最も売れたロック・アルバムとなった。その年、彼はプロモーション・ツアーに乗り出し、ベレス・サルスフィールド・スタジアムでの2公演でクライマックスを迎えた。残りの10年間は、フィル・マンザネラ制作の『Circo Beat』（1994年）、スペイン人歌手ホアキン・サビーナとのコラボレーションによる『Enemigos Íntimos』（1998年）、プロデューサーのフィル・ラモーンとの『Abre』（1999年）をリリース。後者にはシングル"Al Lado del Camino "が収録され、第1回ラテン・グラミー賞で最優秀ロック・ソング賞を受賞した。2001年、フィト・パエスは当時の妻セシリア・ロス主演の映画『Vidas Privadas』で監督デビュー。その後、『Naturaleza Sangre』（2003）、『El Mundo Cabe en una Canción』（2006）、『Canciones para Aliens』（2011）、『La Ciudad Liberada』（2017）といったタイトルで多作を続ける。2021年、アルバム『La Conquista del Espacio』は、第22回ラテン・グラミー賞で生涯功労賞を授与され、グラミー賞最優秀ラテン・ロックまたはオルタナティブ・アルバム賞を受賞した。その後、パンデミック期に3部作のアルバムをリリース：Los Años Salvajes』（2021年）、『Futurología Arlt』（2022年）、『The Golden Light』（2022年）である。2023年、フィト・パエスは1992年の代表作『EADDA9223』を再創造し、エルビス・コステロやナティ・ペルーソといったアーティストとのコラボレーションをフィーチャーした。2025年3月には、アビーロード・スタジオでレコーディングされた37年越しのプロジェクト『Novela』を発表した。