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三越伊勢丹ホールディングス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
Isetan Mitsukoshi Holdings Ltd.
三越伊勢丹西新宿ビル
三越伊勢丹西新宿ビル
種類 株式会社
機関設計 指名委員会等設置会社[1]
市場情報
東証プライム 3099
2008年4月1日上場
福証 3099
2009年10月15日 - 2024年3月20日
略称 三越伊勢丹HD、IMHD
本社所在地 日本の旗 日本
160-0023
東京都新宿区西新宿三丁目2番5号
三越伊勢丹西新宿ビル
本店所在地 160-0022
東京都新宿区新宿五丁目16番10号
設立 2008年(平成20年)4月1日
業種 小売業
法人番号 3011101060499 ウィキデータを編集
事業内容 百貨店業等の事業を行う子会社及びグループ会社の経営計画・管理
代表者 細谷敏幸(取締役兼代表執行役社長CEO
竹内徹(取締役兼代表執行役副社長CMO[2]
資本金 509億95百万円
発行済株式総数 3億9645万株
(2021年3月31日現在)
売上高 連結:4874億07百万円
(2023年3月期)
経常利益 連結:300億17百万円
(2023年3月期)
純利益 連結:323億77百万円
(2023年3月期)
総資産 連結:1兆2173億08百万円
(2023年3月31日現在)
従業員数 連結:9,745名
単体:399名
(2023年3月現在)
決算期 3月31日
会計監査人 EY新日本有限責任監査法人
主要株主 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 11.20%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 6.15%
公益財団法人三越厚生事業団 3.43%
三越伊勢丹グループ取引先持株会 2.19%
清水建設株式会社 1.63%
明治安田生命保険相互会社 1.50%
株式会社日本カストディ銀行(信託口5) 1.39%
三越伊勢丹グループ従業員持株会 1.23%
株式会社日本カストディ銀行(信託口6) 1.23%
株式会社三菱UFJ銀行 1.19%
(2021年3月31日現在)
主要部門 百貨店業、クレジット・金融・友の会業、小売・専門店業、不動産業、その他
主要子会社 (株)三越伊勢丹 100%
(株)札幌丸井三越 100%
(株)岩田屋三越 100%
(株)エムアイカード 100%
伊勢丹(中国)投資有限公司 100% ほか
外部リンク www.imhds.co.jp ウィキデータを編集
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日本橋三越本店
伊勢丹新宿本店

株式会社三越伊勢丹ホールディングス(みつこしいせたんホールディングス、: Isetan Mitsukoshi Holdings Ltd.)は、日本の百貨店の純粋持株会社。同社傘下として三越伊勢丹関東地方の店舗を運営)をはじめとする各地方の百貨店運営会社などを所有している。日経平均株価の構成銘柄の一つ[3]

概要

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日本国内にある政令指定都市のほぼすべてに出店しているほか、世界進出でも長い歴史を持っている。景気低迷期であったはずの1990年代に、独自のマーチャンダイジング(MD)で躍進した伊勢丹が、日本最古の百貨店でありながら、資本増強に苦しんでいた三越を取り込む形で経営統合。2008年4月1日株式移転(比率は伊勢丹「1」に対して三越は「0.34」)により純粋持株会社として発足した。

かつて、三越は売上高国内4位で伊勢丹は5位だったが[4]、経営統合により売上高・規模で日本の百貨店業界首位となり、以来その座を手放していなかったが、2022年、売上高を髙島屋に抜かれた。

登記上の本店は東京都中央区銀座四丁目の銀座三越所在地だったが、2011年6月に実際の本社機能の所在地(伊勢丹新宿本店パークシティイセタン2内)である東京都新宿区新宿五丁目に変更している。

伊勢丹は長らく同族企業(創業家小菅家)であったが、改革を掲げた当時の世襲経営者がメインバンクとの関係を薄めたのを機に乗っ取り屋に狙われるなどした事件が起き[注 1]、1993年退任とともに完全に世襲を排した。新宿本店の「解放区」といった過激なMDが実を結ぶのはそのあとである[注 2]。三越(越後屋呉服店)は三井財閥の源流である名門企業であり[注 3]、両社はかなり異なった企業体質を持っていた。

相互にメインバンクが異なる両社を統合したのはホールディングス代表取締役会長兼最高経営責任者の武藤信一であったが、統合後2年経たない2010年1月に急逝した。その後、後継と目されていた実力者・二橋千裕は、当時業務提携を結んでいた東急百貨店の社長に転出し、事実上放逐された(2015年3月まで専務執行役員として当社に籍を残していたが、提携終了に伴い退任[5])。会長の座には橋本幹雄が就いたが代表権は与えられない。武藤は実際には異なる人物を後継として指名したとされる。

なお社名と英語表記とでは、三越と伊勢丹との前後順序が逆になっている(同じような例は三井住友銀行などにもある)が、子会社名のほとんどは「エムアイカード」などのように三越を先に表記し、英語表記では伊勢丹を先に表記する。ロゴマークは英語表記順通り伊勢丹の「i」と三越の「m」を組み合わせたもの。

沿革

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歴代社長

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組織体制

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  • 内部監査室
  • チーフオフィサー室
  • 秘書室
  • 総務統括部
  • グループマーチャンダイジング統括部
  • 情報システム統括部
  • 不動産統括部
  • 海外事業統括部
  • 業務統括部

グループ企業

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なお、本項で特に断りのないものは100%出資の完全子会社である。

※ここでは企業体に関する事項のみを記載。店舗の詳細(閉店した店舗等)については、リンク先項目を参照。

国内百貨店

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  • 株式会社札幌丸井三越 設立 2009年5月29日(旧.札幌丸井今井)、2011年4月1日札幌三越を吸収合併。
  • 株式会社函館丸井今井 設立 2009年5月29日、店舗運営事業承継 同年7月31日。
  • 株式会社仙台三越 設立 2009年10月1日(地方店舗分社化)、店舗運営事業承継 2010年4月。
  • 株式会社新潟三越伊勢丹  設立 1984年4月3日(旧.新潟伊勢丹)
  • 株式会社静岡伊勢丹 設立 1948年6月(旧.田中屋百貨店) 2009年に三越伊勢丹ホールディングスの完全子会社化。
  • 株式会社名古屋三越 設立 2009年10月1日(地方店舗分社化)、店舗運営事業承継 2010年4月。
  • 株式会社広島三越 設立 2009年10月1日(地方店舗分社化)、店舗運営事業承継 2010年4月。
  • 株式会社高松三越 設立 2009年10月1日(地方店舗分社化)、店舗運営事業承継 2010年4月。
  • 株式会社松山三越 設立 2009年10月1日(地方店舗分社化)、店舗運営事業承継 2010年4月。
  • 株式会社岩田屋三越 設立 設立 1935年5月8日(旧.岩田屋)、2010年10月1日福岡三越を吸収合併。

海外店舗

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  • 上海梅龍鎮伊勢丹(上海梅龙镇伊势丹百货有限公司) 開業1997年6月(80%出資、連結子会社)
  • 天津伊勢丹(天津伊势丹有限公司) 開業1993年
  • 天津濱海新区伊勢丹(天津市) 2013年1月18日開業。
  • 成都伊勢丹(成都伊势丹百货有限公司) 開業2007年5月。

台湾

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  • 新光三越百貨股份有限公司
1991年。新光集団との合弁により設立。出資率43.4% 持分法適用関連会社。 
支店網: 台北桃園台中嘉義台南高雄など。

東南アジア

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  • バンコク伊勢丹  タイ現地法人:Isetan (Thailand) Co.,Ltd
出資率49% 連結子会社、アイティーエムクローバーCo.,Ltd.45.5%出資。1992年開業。2020年8月31日付で営業終了が発表されている。
  • クアラルンプール伊勢丹  マレーシア現地法人:Isetan of Japan Sdn. Sdn.Bhd.
    • ISETAN The Japan Store マレーシア第1号店として1991年8月1日オープン(公式サイトでは1990年に開業としている[1])。
    • KLCC店 1998年5月30日開業。
    • THE GARDENS店 2007年開業。
    • ONE UTAMA店 2012年4月開業。
  • シンガポール伊勢丹  シンガポール現地法人:Isetan Singapore Ltd.
出資率52% 連結子会社,レキシム シンガポールPte.Ltd.
  • スコッツ店
  • タンピネス店
  • セラングーン店

ヨーロッパ

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  • ローマ三越 イタリア現地法人:Isetan Mitsukoshi Italia s.p.a 開業1975年。

アメリカ

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クレジット・金融業、友の会事業

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  • 株式会社エムアイカード
クレジットカード業、貸金、金融商品仲介、損害保険・生命保険・信託業務、宅地建物取引業。
  • 株式会社エムアイ友の会
エムアイカードの100%子会社。前払式特定取引による商品売買の取次。他 文化教養教室、プレイガイド業業務等も行う。

小売・専門店・レストラン事業

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  • 株式会社三越伊勢丹トランジット
2016年1月20日設立。飲食マーケットでの事業強化を目的とする。ブランディングプロデュースおよび飲食事業運営を行う企業「トランジットジェネラルオフィス」との共同出資会社(三越伊勢丹51%、トランジット49%)海外ブランドとのライセンス契約、及び独自開発するカフェ・専門店・レストラン・フードコートの企画運営を行う。
  • 株式会社エムアイフードスタイル
    • クィーンズ伊勢丹 グレードの高いスーパーマーケットを独自にチェーン展開。
2017年12月設立。食品製造及びスーパーマーケット等の運営。出資率34%。
工場:立飛工場(惣菜・ベーカリー)・総和工場(缶詰・レトルト・焼菓子)・船橋加工センター(水産品・畜産品加工)
  • 株式会社Japan Duty Free Fa-So-Ra三越伊勢丹
2014年9月30日設立。三越銀座店にある「Japan Duty Free GINZA」(免税店)の運営。日本空港ビルデングNAAリテイリングとの共同出資会社(JATCO45%、三越伊勢丹HD・NAAR各27.5%)。

アパレル他事業

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  • 株式会社レオテックス
1948年「三越縫製工場」として設立。ユニフォーム、紳士服イージーオーダー、ワイシャツ等の製造販売。
直営店:ビーチェショップ(江東区清澄)

卸売事業

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  • 株式会社三越伊勢丹ギフト・ソリューションズ
1972年「レオドール貿易」(旧.三越系)として設立。ギフト商材、ノヴェルティ等の企画開発、販売。ロゼンタール、ロイヤルアルバート。ミントン ブランドの輸入も行っている。総合の他、中元・歳暮用グルメ「味覚百景」、ブライダルカタログ、香典返し「栞」・宿泊ギフト「彩宿日和」などのカタログがある。
日本全国の郵便局から三越ギフトの申し込みを受け付けている。
伊勢丹は、中国で「礼品精貨」を開始。アジア市場全体への拡大を図っている。
  • 株式会社レオマート
1991年設立(旧.三越系)。百貨店の催事企画・運営・販売、通信販売卸売、古物売買業、イベント企画業務 。三越伊勢丹、ADOグループ外の大丸松坂屋、そごう・西武、小田急百貨店等とも取引がある。
  • 株式会社センチュリートレーディングカンパニー
1973年3月16日設立(旧.伊勢丹系)。2021年4月完全子会社化。ヨーロッパを中心としたワイン、食品の輸入販売。
ワイン: ルシアン・リュルトン・エ・フィス(ボルドー)・ラウル・クラージェ(ブルゴーニュ)・ドゥーツ(シャンパン)・トーレス(スペイン)
食品:ジャン=ポール・エヴァン(フランス・チョコレート)・エディアール(フランス食材)・クリスティーヌ・フェルベール(フランス・コンフィチュール&チョコレート)
  • 株式会社T'sトレーディング
イギリス高級百貨店「ハロッズ」ブランドの食料品・雑貨の輸入・販売。

不動産・建物管理業

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  • 株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザイン テナントマネジメント・建装/デザイン・コンストラクションマネジメント事業を手がける会社。 1953年(昭和28年)に設立。
  • 新宿サブナード株式会社 株式会社三越伊勢丹(旧.伊勢丹)33.3%出資 持分法適用関連会社。1968年(昭和43年)設立。
  • 株式会社伊勢丹会館 飲食店ビル(地下1階-地上8階。伊勢丹新宿本店メンズ館隣)
  • 株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズ 1957年「株式会社協力舎」として設立。合併・社名変更を経て、2010年 三越伊勢丹HDS持分法適用関連会社、アイング株式会社(総合アウトソーシング・カンパニー)の出資を受け、アインググループ傘下に入る。
  • 野村不動産三越伊勢丹開発合同会社 フィリピンで不動産開発を行う会社の株式取得や事業管理。

物流業

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  • 株式会社三越伊勢丹ビジネス・サポート 

人材サービス業

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  • 株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ 
  • 株式会社三越伊勢丹ソレイユ

その他事業

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  • 株式会社伊勢丹スイング
新宿・浦和・松戸の伊勢丹屋上にあるゴルフ・スクール。
1980年3月26日設立(旧.三越系 出資60%)。広告代理業。コマーシャルの製作。ファッションショーの企画。新宿駅東口 ビックスビルにある「アルタビジョン」多目的スタジオの運営。
  • 株式会社三越伊勢丹研究所 調査・研究受託業。
  • 株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ 情報処理サービス。
  • 株式会社三越環境デザイン 2006年9月に旧三越製作所と三越建装営業部門を統合。
  • 株式会社JTB伊勢丹トラベル(出資33.4%、持分法適用関連会社)
  • 株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベル
  • 株式会社ファッションヘッドライン
ファッション・ニュース・メディア「FASHION HEADLINE」の他、各種メディア運用と制作、広告代理業の運営、システム開発、市場調査を行う。

かつてのグループ企業

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  • 株式会社マミーナ
1964年3月26日設立(旧伊勢丹系)。婦人服、服飾雑貨等の小売。2018年清算。
首都圏を中心にファッションビル、ショッピングセンター等に出店。ネット販売も行っていた。
取り扱いブランド: NETTO di MAMMINA(ネットディマミーナ 若い女性向け)・et Cheri(オフィスで働く女性向け)・AP to D 小物雑貨 ・ANNA SUI(アナ スイ)・Dear Luv, iiwa iiwa CLOSET, LOCK YOUR HEARTS ランジェリー。
  • 株式会社三越伊勢丹通信販売
2011年設立。カタログ販売、テレショップ、オンライン・ショッピングを運営。新たに食品宅配事業「エムアイデリ」を開始。2020年2月、三越伊勢丹が吸収合併。
  • 株式会社三越伊勢丹不動産 1973年設立。マンション、オフィスビル等の管理、ゴルフ会員権事業を手がける。2021年1月4日に株式譲渡。

脚注

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注釈

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  1. ^ 万事首尾よく進めば、伊勢丹はイトーヨーカドー(現在はセブン&アイ・ホールディングス傘下)の子会社になっていたはずであった。
  2. ^ 百貨店業は別名場所貸し業と同じといわれ、従前から古い付き合いのある出入り業者に漫然と売り場(買い場)を提供するというやり方が現在も続いている。百貨店没落の要因である。しかし伊勢丹新宿店だけは店舗独自の自主企画として、ブランドができたばかりでも、若くて実績がなくても「良いもの」であればどんどん売り場に並べていき売っていった。これが解放区である。売れ残りリスクはすべて伊勢丹が被ることから、バイヤーの“目利き”に絶対の自信がなければできないことである。これで成功していったのは若き藤巻幸夫を筆頭とするカリスマ・バイヤーたちであり、世に送り出されたブランドとして「anna sui」がある。
  3. ^ 統合後の三越伊勢丹ホールディングスもまた三井グループ各社の役員間の相互親睦と情報交換を目的とする会合である月曜会に加盟している。

出典

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  1. ^ コーポレート・ガバナンス - 株式会社三越伊勢丹ホールディングス
  2. ^ 三越伊勢丹ホールディングス役員体制”. 2021年4月10日閲覧。
  3. ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
  4. ^ 3店閉鎖の三越伊勢丹 好調の大丸松坂屋と明暗が分かれた理由”. ライブドアニュース. 2019年10月14日閲覧。
  5. ^ 【総合】二橋社長「退路断ち、社の発展に」 - 繊研PLUS・2015年3月13日
  6. ^ 伊勢丹があの"タータンチェック"をリニューアル - 明るい緑色を採用マイナビニュース 2013年9月19日
  7. ^ 三越も紙袋一新 57年ぶり、「友禅」柄東京新聞 2014年2月28日
  8. ^ 三越伊勢丹、名古屋駅前に出店 三菱地所開発の高層ビル - 47NEWS(よんななニュース)2014年2月24日(2014年2月25日閲覧)
  9. ^ プレスリリース151209大名古屋ビルヂング 2015年12月9日(2015年12月10日閲覧)
  10. ^ 三越伊勢丹グループの新業態中型ファッションセレクトストア<イセタンハウス> 大名古屋ビルヂングに3月9日(水)オープン ~フロアの概要やブランドラインアップなどをお知らせいたします~三越伊勢丹ホールディングス 2016年1月22日(2016年1月25日閲覧)
  11. ^ 2020年5月13日中日新聞朝刊25面
  12. ^ https://www.jiji.com/sp/article?k=2022120300343&g=eco
  13. ^ 上場廃止等の決定について (株)三越伊勢丹ホールディングス福岡証券取引所 2024年2月19日

関連項目

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外部リンク

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