ガイラ
ガイラ | |
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東宝怪獣映画のキャラクター | |
初登場 | 『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』 |
作者 | 成田亨(デザイン) |
演 | 中島春雄 |
ガイラは、特撮映画『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』、特撮番組『行け!ゴッドマン』、『行け! グリーンマン』に登場する架空の怪獣。
特徴
[編集]『サンダ対ガイラ』の前作に相当する映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場した巨人フランケンシュタインの、体細胞から誕生した怪獣[1]。サンダの弟とされるが、厳密に言えばサンダの体細胞から分裂したクローンである[出典 1]。俳優が生身で演じていたフランケンシュタインに対し、サンダともども着ぐるみによる怪獣となっている[出典 2]。
モチーフは海幸彦であるが、山幸彦に相当するサンダとは兄弟の立場が逆転している[6]。名前の由来は「
登場作品
[編集]- 映画
- 『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)
- 『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年、映像は『サンダ対ガイラ』の流用)
- 『ゴジラ FINAL WARS』(2004年、映像は『サンダ対ガイラ』の流用[9])
- 特撮テレビ番組
- 『行け!ゴッドマン』(1972年)
- 『行け! グリーンマン』(1973年)
『サンダ対ガイラ』のガイラ
[編集]ガイラ | |
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別名 | フランケンシュタインの怪獣[出典 4][注釈 3] |
身長 | 25 m[出典 5] |
体重 | 1万 t[出典 5] |
出身地 | 太平洋[出典 6][注釈 4] |
出現地 | 太平洋[20] |
琵琶湖で負傷したサンダの足から海底の岩で削ぎ取られて海に流れ込んだ肉の体細胞が、タンパク質の豊富なプランクトンを栄養源として急成長したと思われる、海草色の体毛と魚の鱗状の皮膚に覆われた巨人[出典 7]。サンダとは細胞がまったく同様の構造で、親子でも兄弟でもなく、それ以上の関係である、フランケンシュタインの一種の分身とされている[出典 8]。
やや太めの体形でサンダよりやや小柄、表情は凶悪そのものである[22]。地上で人間に愛情深く育てられたサンダとは違い、深海で誰にも助けられないまま孤立して成長した。それゆえに本能に支配されて行動するなど、一切社会性が見受けられない凶暴性に満ちた残忍な性格となっている[出典 9]。サンダが木の実を食すなど草食の傾向にあると思われるのに対して、海中生物で育ったことから肉食であり[22]、タンパク質を手当たり次第に補給しようとしており、船を襲うだけでなく大ダコをも屠るうえ、人間のことは捕食対象(食料[21])もしくは敵としか認知していない[18][23]。
敏捷な動きで、闇に紛れることから攻撃は至難であり[22]、立ち技を得意とする[19]。深海育ちゆえに極端に光を嫌って[27][18]、当初は夜間に行動することが多いほか、曇天の日中にも上陸し[出典 10]、日が差すと俊敏に東京湾へ逃げ去る。照明すらも嫌っていたが、人間がそこにいることを理解すると照明を目指すようになる[22]。
戦車の装甲貫徹力に優れた砲弾を受けても、大きなダメージを受けることがない[28]。逃げる人間をクロールで追い詰めていくなど、海で成長したことから、泳ぎは達者である[28]。ジャンプ力にも優れており、L作戦の際には、自衛隊のヘリコプター2機を捕まえて地面に叩き落としている[28]。小型の貨物船を楽に持ち上げて軽々とサンダに投げつけるなど、サンダに引けを取らない怪力を備えている[28]。
殲滅を決定した自衛隊のL作戦に遭い、火傷を全身に負い、多くの傷跡がボディにつけられるなど、重傷を負う[出典 11]。当初はサンダに仲間として扱われるが、その後は人間を捕食する行為を激怒され、追われる。戦いに突入すると、負傷しているサンダに容赦なく攻撃を加え、最後はサンダとともに海底火山の噴火に呑み込まれ消えていった[13]。
- スーツアクター:中島春雄[出典 12]
- 女性を捕食するという、娯楽怪獣映画としては非常にショッキングなシーンがある[30][注釈 5]。海外版では描写が異なる[31]。
- 中島の発案による両腕を振り上げる描写が特徴である[31]。海を泳ぐシーンではクロールを行っているが、中島はブレストでは勢いが出せなかったためとしている[4][28]。
- 羽田空港を襲撃するシーンでは、白い背景で怪獣を撮影し、ネガで黒くなった背景をマスクとして実景と合成する東宝セパレーションという手法を初めて用いている[32][33]。このシーンが『ゴジラ×メカゴジラ』に流用された際には、合成の揺れがデジタル補正されている[31]。
- 書籍『大ゴジラ図鑑2』では、キャラクターの共通要素から、ガイラを初代ゴジラのカラー版再挑戦であったものと解釈している[29]。
- 造形
- デザインは成田亨[出典 13]。
- 頭部造形は利光貞三[出典 14]、胴体は八木康栄による[18][28]ほか、開米栄三も担当した[35][28]。
- 成田亨のデザイン画では「海の怪獣」ということから、体表が緑色の鱗で構成されている[出典 15]。甲殻類の雰囲気が肩から胸にかけて取り入れられている[28][23]。エラが付いた半魚人のような顔の検討用デザイン画が、他に2枚現存している[出典 16]。
- 特技監督の円谷英二からの「腐ったコンブやワカメが体中についているように汚くしろ」という要望に基づき、開米は水に強い造花(ホンコンフラワー)を体表に接着し、筆で細かく塗装を行った[35][28]。
- この怪獣で初めて中島の顔面石膏型が起こされ、顔に密着した表皮が作られた[出典 17]。顎は演者の口の動きに同期して開閉できるようになっており、中島は水中シーンでも水を吐き出せるのでやりやすかったと述べている[3]。中島は、胴体も型取りされた旨を証言しており[39]、スーツは厚みがあって重かったと語っている[4]。
- 前作のような特殊メイクではなく着ぐるみとなったことで弾着が用いられ、前作では描かれなかった自衛隊による激しい攻撃を受けるシーンが描写された[1]。山から転げ落ちる場面では、剣道の面を中に入れている[4]。
- 羽田空港事務職員や銀座駅や屋上ビアガーデンで外国人歌手を掴み上げるシーンでは、実物大に造形された右腕が使用された[出典 18]。また、海底から洋上の漁船を睨み上げるカットは、水の入った水槽越しに撮影したものである。
- 台本では灰色の怪物とされていた[17]。
『行け!ゴッドマン』のガイラ
[編集]人間大の状態で出現し[40]、道路でボール遊びに興じる子供たちを驚かせる[41]。その後、登場したゴッドマンと巨大化して戦い[40]、ゴッドマン超音波で倒される[41]。
- 手首のファスナーからスーツアクターの地肌が露出していたり、背中のファスナーには切れ目が入って砂がこぼれ落ちるなど、スーツの劣化がみられる[42]。
- 新作映像に登場するガイラ
- 2008年5月23日に東宝から発売された『行け!行け!ゴッドマン&グリーンマンBOX』特典ディスクに収録された撮り下ろし新作映像では、新規の着ぐるみで登場する[43][44]。造形は品田冬樹[43]。マスクは開閉部分に貼られたゴムの弾力で口を開閉することができる[38]。
- 最初にゴッドマンと戦って倒されたツノジラスの細胞から、シラージとともに生まれた[45][46]。両腕を振り上げる描写は『サンダ対ガイラ』を踏襲している[31]。
『行け! グリーンマン』のガイラ
[編集]遊園地に出現して子供たちをいじめるが、グリーンマンと戦ってグリーンマンファイヤーで倒される[47]。怪力を誇る[48]。
- 本作品では巨大化していない[49]。
その他
[編集]- 東宝製作のテレビドラマ『太陽のあいつ』第2話では、着ぐるみ役者の田辺(演:中島春雄[注釈 6])の演じる怪獣として登場[50][51]。劇中の映画でキーラと戦った[51][注釈 7]。
- 1966年に朝日ソノラマから発売されたソノシート『大怪獣戦 30怪獣大あばれ!!』に収録された「宇宙怪獣対地球怪獣」では、宇宙怪獣と戦う地球怪獣陸軍の1体として登場する[53][54]。
- 書籍『決定版ゴジラ入門』(小学館、1984年)では、「夢の怪獣対決」として「ゴジラ対サンダ・ガイラ」のイラストが描かれている[55]。
- 映画『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)では、1966年にガイラが出現し、メーサー殺獣光線車が初出動したことが言及されている。背景設定として製作補の山中和史により執筆された「特生自衛隊前史」では、顛末はおおむね『サンダ対ガイラ』に準じるが、陸海空自衛隊の不和が顕著になり、特生自衛隊が結成されることになったとされる[56]。その続編である『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)では、画面には映らないが特生自衛隊特殊生物研究本部のDNA貯蔵庫に保管されている多数の怪獣のDNAの1つにその名が記されている[57]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 東京国際映画祭上映時の字幕では「Gigantic Bigfoot」と表記されていた[8]。
- ^ 書籍『ゴジラ大辞典』では、GREEN GARGANTUAとも併記している[12]。
- ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、海のフランケンシュタインと記述している[24]。
- ^ 資料によっては、「海底」と記述している[19]。また、「出生地 太平洋、棲息地 海底」と記述しているものもある[14][17]。
- ^ 書籍『東宝編 日本特撮映画図鑑』では、このシーンが存在することが、前作のような人間型ではなく怪獣として扱われる理由であると解釈している[1]。
- ^ 当銀長太郎らと立ち回るシーンではガイラのそばに中島がいるので、別人が入っている。
- ^ 書籍『円谷プロ画報』第1巻では、サンダが登場したと記載している[52]。
出典
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