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2019年10月11日金曜日

[247] Ernest Hood - Neighborhoods


ライナーノーツを担当させていただいたアーネスト・フッドのアルバム「ネイバーフッズ」の日本国内仕様CDが本日10月11日に発売になりました。アーネスト・フッドは米オレゴン州ポートランド生まれの音楽家。元々はジャズ・ギタリストとしてチャーリー・バーネット楽団などのメンバーとして活動されていましたが、20代後半に病に冒されジャズの一線を離れてからは、テープレコーダーを携えて街中を巡り、人々の何気ない日常の会話や風景音を集めることに力を注ぐようになりました。約20年にもわたるフィールドワークの集大成として制作されたこの「ネイバーフッズ」。環境音のコラージュにシンセやツィターの演奏を織り交ぜながら、作者が幼少期に体験した夏の日のサウンドスケープを1日の時系列に沿って表現した、夢のようなノスタルジアに満ちたドキュメンタリー作品となっています。オリジナルのリリースから44年。今回初めて〈リヴェンジ・インターナショナル〉のサブレーベル〈フリーダム・トゥ・スペンド〉によりヴァイナルとCDでリイシューされました。


happy to announce that I have written the liner notes for the Japanese edition CD of Portland, Oregon based Jazz musician Ernest Hood's musical cinematography album "Neighborhoods", reissued by Rvng Intl. sub-label Freedom To Spend.



米Pitchfork『ベスト・アンビエント・アルバム TOP50』に選出された75年激レア盤が初再発
帯ライナー付国内盤仕様 解説:藤井友行

2019年4月27日土曜日

[240.1] Mori To Kiroku No Ongaku #11



4月26日に放送されたLYL Radio「Mori To Kiroku No Ongaku」の第11回。今回は、90年代のチルアウト・クラシックから、南米の民俗音響派、北米〜オーストラリアの自然派フォーク、元アラゴンのメンバーによるソロ・プロジェクトや、日本製バーチャル水槽のサウンドトラック、現行のレフトフィールドなエキゾ・サウンドまで、自然の楽園や辺境を巡る旅をイメージして2時間選曲しました。お楽しみいただければ幸いです。 here is a new mix of ethnic and exotic chill-out music from my LYL Radio show broadcasted last Friday. it reflects the image of a journey around the paradise of nature and the frontier on earth. hope you will enjoy it.



tracklist:
Earth - Flow Motion (Oracle Remix)
Apsaras - Apsaras
Bruce Becvar - Waves
Language Lab - Burning Disaster (Groove Armada Bedtime Story Mix)
Sami Abadi - Aire Fresco
José Padilla - Solito (Wolf Müller Water Mix)
Khoshi Baba - Purify Soul
Suspended Memories - Saguaro
Keishi Urata Project - Spring
Michael Atherton - Sunshower
Chari Chari - Stream
Back Office - Around We Go Chords
Pyrolator - Pisang
Golden Ivy - Kulen Natt
Jura Soundsystem - Monster Skies
? - Sakanahakkei No Aru Fuukei
Hideki Mitsumori - Little Mountain Saint
Michael Whalen - Journey Towards The Sunrise
Worldwide Zen - Waterwalk
Ian Tamblyn - The Bell Birds
Argile - Kleine Rosa Wolke
Vasco Martins - A Brisa Do Mar No Teu Rosto
Daniel Goyone - Danse Des Lamantins
An MLO Production - Wimborne

2019年4月24日水曜日

[240] Rip Hayman - Dreams Of India & China


Label: Recital

Catalog#: R59
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 2019
DISCOGS

A  Part One  20:50

B  Part Two  21:06

“Captain Rip Hayman is a traveller: on the seas, across the lands, and in the realm of music. He has been around the world 51 times to date. Like the proverbial cat, Rip has lived many lives and beaten death more than most. Rip’s playlist here is a mix of his compositions and music gathered in his travels. The sounds of the world are all music to the Captain’s ears.” - Charlie Morrow, December 2018


Dreams of India & China is the first retrospective LP of artist and sailor, Rip Hayman. Recorded from 1975-1986, the two side-long works were collaged from a dozen hours of tape recordings (which laid dormant for over 30 years). It ebbs as the tides; pulsing from one location to the next in a faint stupor, Dreams turns to be an autobiographical sound map.

Audio capsules of Hayman’s installation performances, private experiments, and every ethnographic voyage in between are charted. Outdoor recordings canopy over indoor recordings, thatching surreality. Tonal quilts lap over “Dreamwaves” on the first side: an all-night sleep concert hosted by Rip as the sandman. Whispers of recounted dreams, birds and trees, organ waves. The second side traverses more saturated memories: bicycle spokes ripping against half-speed piano, bleeding cymbal dances over saxophone gusts, the tumbling of Rip’s body affixed with bells and metal.
Hayman was a collaborator in New Wilderness Foundation, Ear Magazine, and The Land (a parcel in upstate New York to where John Cage, John Lennon, David Tudor, etc. would escape the city in the 1970s). He is the owner of the oldest bar in NYC, The Ear Inn. Focusing on nautical inventions and intentions these days, Rip has veered away from composition; hopefully that will change. For now, let us enjoy the sea-faring sound journeys of his past. Dreams of India & China charters a beautiful confusion – come aboard and push off into his waters. - Sean McCann, February 2019

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2018年10月16日火曜日

[224] Gordon Hempton - Silence and the Presence of Everything



米ミネアポリスの独立非営利組織On Being Studiosが運営するラジオ番組のアーカイヴより。騒音制御プロジェクトOne Square Inch of Silenceの創設者であり、Miramarの自然音シリーズをはじめ、現在まで60以上ものサウンドスケープCDを制作・発表してきた著名プロデューサーGordon Hempton(ゴードン・ヘンプトン)の特集「サイレンスとすべての存在」。

「サイレンスは絶滅の危機に瀕しているとゴードン・ヘンプトンは話します。 彼は真のクワイエットを存在感として定義します。音の不在ではなく、騒音の不在。 彼が知るように、地球は "太陽光駆動のジュークボックス" です。 クワイエットとは "魂のシンクタンク" です。 私たちは彼の耳で世界をとらえます。」

2018年10月3日水曜日

[221] Nils-Aslak Valkeapää & Esa Kotilainen - Eanan, Eallima Eadni


Label: DAT
Catalog#: DAT CD-5
Format: CD, Album
Country: Norway
Released: 1989
DISCOGS

1  Eanan, Eallima Eadni  30:02

2  Beaivái, Beaivvi Guvlui  31:37

フィンランドの電子音楽〜アンビエント史を振り返る上で最も重要な音楽家のひとりであり、現在も自国の環境にインスパイアされた作品を発表し続けている鬼才作曲家・鍵盤奏者Esa Kotilainen(エサ・コティライネン)と、2001年に死去したサーミの英雄的詩人Nils-Aslak Valkeapää(ニルス=アスラク・ヴァルケアパー)の共作アルバム。古くは1860年代から1930年代にかけて撮影されたサーミの歴史的資料を含むヴァルケアパーの詩集「Beaivi, Áhcážan」(91年北欧理事会文学賞受賞:タイトルは「太陽、父」の意)のための音楽として、詩集発刊の翌年、89年にサーミ芸術専門の出版社DATから発表されました。

サーミとは、スカンジナビア半島北部からコラ半島に広がるラップランド地方で、ツンドラの大地を季節ごとに移動し、トナカイを追って暮らしてきた先住民族。その土地の精霊・シャーマニズム信仰を背景に、自然界と交信するための道具・方法として古くから伝承されてきたのが、この作品の中でヴァルケアパーが歌う「ヨイク」。現代まで残る伝統歌謡としてはヨーロッパ最古とも言われるヨイクですが、キリスト教の介入によりサーミ古来の信仰が弾圧された時期、ヨイクを公の場で歌うことは処罰の対象とされていたため、60年代までは衰退の一途を辿ったそうです。しかし、60年代以降、サーミ文化復興運動の高まりとともにヨイクは再興。ヴァルケアパーがクラシックの作曲家らと共作した68年のデビュー作「Joikuja」が、伝統と現代を融合した新しいヨイクの指針となり、70年代以降も前衛ジャズのサックス奏者Seppo Paakkunainen(セッポ・パーックナイネン)やコティライネンらの協力を得て、さらに斬新なアプローチによるレコーディング作品を発表しました。94年にノルウェーで開催されたリレハンメル冬季オリンピック(オリンピック運動における環境保護・自然との共生の重要性を呼びかけた大会)の開会式で彼が披露したヨイクの歌声は、多くのサーミ人に勇気と希望を与えるものであったといいます。
本作に収録された2曲「地球、生命の母」「太陽へ、太陽の方へ」は、どちらも30分を超える長大曲。海鳥の鳴き声、波の音、コティライネンが操るシンセサイザーの温かみのあるアンビエント・サウンドと、ヴァルケアパーの深奥なる歌声。録音が行われたのはヘルシンキのスタジオで、フィールドレコーディング音源は海のイメージを誘起させるものとして導入されていますが、ヨイクが森羅万象の生命との仲立ち役であると考えるのなら、海に留まらずあらゆる自然環境・霊性と目に見えない次元で共演・交感した作品と捉えることもできます。人間と大地、大地と宇宙を等しく結ぶ、サーミ固有の環境音楽、もしくは高次フォークロア音楽と呼びうる傑作です。

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Nils-Aslak Valkeapää, Johan Anders Bær, Seppo Paakkunainen & Esa Kotilainen
Dálveleaikkat - Wintergames (DAT, 1994)

 Esa Kotilainen - Jäänalainen II (2018)

2018年9月22日土曜日

[218] ナチュラル・クワイエットを求めて



YBS山梨放送のFMラジオ開局記念として2018年1月28日に放送された特別番組「ナチュラル・クワイエットを求めて」。「ナチュラル・クワイエット」とは、車の走行音、電子音などの人工音が全くない、自然の音しかない状態のこと。無音である「サイレント」の状態とは違い、心地よい自然音との均衡が保たれた、穏やかな静けさを意味するそうです。この番組の出演者は、1990年から山梨県北杜市武川の森の中にスタジオを構え、サイバーフォニックと呼ばれる独自の3Dサウンドシステムで自然音を録音し、現代人の心に優しく響くリラクセーション・サウンドを作り続けてきた環境音楽のパイオニア=小久保隆。70年代後期からエレクトロニクスを主体に音楽を制作していた小久保氏が自然音の世界に深く傾倒してゆくきっかけとなった出来事や、フィールドワークを通じて体験したことなど、自らの言葉で振り返りながら、サイバーフォニックで集音した四季折々のナチュラル・クワイエット音、この番組のために制作された「武川の四季」などの楽曲を紹介。人間と自然の共生について、聞き手に静かに問いかける50分。(アップローダーはmichitomiokaさん。シェアしてくださり感謝です。)


小久保隆/Takashi Kokubo

環境音楽家・音環境デザイナー。自然が持つ“人の心を癒す力”に注目し、現代人の心に優しく響くリラクゼーションミュージックを制作。深い癒しの音を求めてこれまでに訪ねた国と地域は50ヶ所にのぼる。「水の詩」「風の詩」「Quiet Comfort」(共にイオン レーベル)、「イヤーバカンス・シリーズ」(コロムビア)などCDを多数リリース。その他、携帯電話緊急地震速報のアラーム音や、電子マネー「iD」のサイン音、東京「六本木ヒルズアリーナ」の環境音楽など、音環境デザイナーとしても幅広い分野で活躍をしている。


Forest Healing (Della Inc., 2016)

A Dream Sails Out To Sea: Get At The Wave (Lag Records, 2018)

2018年4月16日月曜日

[195] Sverre Larssen ‎- Wind Harp Recordings 1976-1977


Label: O. Gudmundsen Minde
Catalog#: OGM003
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Norway
Released: 2017
DISCOGS

A Nordavinden I  16:05

B1 Nordavinden II 5:37
B2 Sønnavinden 5:05
B3 Interviews with Sverre Larssen 6:24

ノルウェー人ビジネスマンSverre Larssen(スヴァラ・ラーシュン)が70年代に製作したウィンドハープに関する初めてのレコーディング・ドキュメント。ラーシュンがアマチュアの工学技術を基に自由な発想で自作したというこのハープは、やや斜めに傾いた板状のボディに12の弦を平行に張りわたしたツィターのような形態で、ボディに取り付けた4つのコンタクトマイクによって弦振動を増幅する仕組み。収録された3つのトラック「北風 I」「北風 II」「南風」は、砂浜と草地が広がるノルウェー西端の地=ヤレンとセレストランダで録音されたもの。北海から吹き付ける風を受けて発生する風切り音と、うねるように変化する弦のハーモニックな持続音に紛れて、かすかに波の音も聞こえます。加えて、B3は77年11月に国営テレビNorge Rundtと地元のラジオ局で放映されたインタビュー。これまでラーシュンのハープ・レコーディングを単独で収録した作品は存在せず、本国でもマイナーな作家だったそうですが、70年代にはLiv Dommersnes、Åse-Marie Nesse、Kjell Bækkelund、Ketil Bjørnstadといった作家・音楽家の作品の中で用いられ、最も知られているJan Garbarek(ヤン・ガルバレク)の77年作「Dis」では、アルバムの冥想的なサウンドを決定付けるほど印象的な効果をなしています。この編集盤のリリース元であるO. Gudmundsen Mindeは、Lars Mørch Finborud(ラーシュ・モルク・フィンボルド)とLasse Marhaug(ラッセ・マーハウグ)によって昨年新たに立ち上げられたレーベル。フィンボルドはヒップホップのアーティストとして90年代後期にキャリアをスタートさせ、過去10年間はPlastic Strip PressとPrisma Recordsを運営し、ノルウェー国営放送局NRK、ヘニーオンスタッド美術館、アルネ・ベンディクセン・スタジオなどのアーカイヴから、ジャズ、ソウル、プログレッシブ・ロック、アバンギャルド、電子音楽に及ぶ北欧音楽を発掘・紹介してきた名プロデューサー。方やマーハウグは、Jazkamerのメンバーとしても知られる重鎮ノイズ・インプロヴァイザー。「Dis」などのクレジットからこのような稀有な音源を深堀りするに至ったとみられますが、昨今のレアグルーヴ的探究とアンビエント・リスニングの相関を暗に示すような一枚にも感じられます。


This LP marks the first ever release of Sverre Larssen’s infamous wind harp recordings from the late 1970s -tonal long-form drone music akin to the works of Paul Panhuysen and Ellen Fullman. In the early 1970s the Norwegian businessman Sverre Larssen decided to construct a wind harp at his cabin at Sele, Jæren on the west coast of Norway. Using his free imagination and amateur engineering skills, Larssen constructed a harp with 12-strings, which was brought to vibrate by the wind. Based on the principle of the electrical guitar, Larssen amplified the strings using four contact microphones and then recorded the sounds direct to tape. Word about Sverre Larssen’s instrument began to spread and during the 1970s notable artists such as Liv Dommersnes, Åse-Marie Nesse, Ketil Bjørnstad, Kjell Bækkelund and Jan Garbarek utilized the sounds of Larssen’s wind harp. O. Gudmundsen Minde, in close collaboration with Sverre Larssen’s family, have unearthed the only remaining tapes, photos and interviews documenting the fabled wind harp. OGM is proud to present this important rediscovery in the canon of Norwegian experimental music.


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2017年10月17日火曜日

[155] Kevin Braheny Fortune - Lullaby for the Hearts of Space


Label: Hearts Of Space Records

Catalog#: 2-HOS-11431
Format: CD, Album
Country: US
Released: 2017 (1980)
DISCOGS

1 Lullaby For The Hearts Of Space 35:24

2 After I Said Goodnight 33:12

元建築家のプロデューサーStephen Hill(スティーブン・ヒル)が、1973年にカリフォルニア州バークレーのラジオ局KPFA-FMの深夜番組としてスタートさせた「Hearts Of Space」。当初は現代音楽を中心とする選曲だったそうですが、やがてシンセサイザー・ミュージック、民族音楽、コンテンポラリー・ジャズなどを織り交ぜた、アンビエント専門番組の先駆けともいうべきカラーを持つ番組として人気を確立。83年の独立後はシンジケーション市場において全国200もの放送局に番組販売するほど成長を遂げ、84年設立のレーベル部門とともに米ニューエイジの潮流「スペース・ミュージック」の隆盛に大きな影響を与えました。そのシーンを先導した作曲家Kevin Braheny Fortune(ケヴィン・ブラエニー・フォーチュン)のファーストアルバムには、78年頃にKPFA-FMのスタジオから番組内でライブ放送されたタイトルトラックがフィーチャーされています。ニューエイジ音楽の巨匠として知られるブラエニーは、75年にムーグ・シンセシスの先駆者Malcolm Cecil(マルコム・セシル)を通じてSerge Tcherepnin(サージ・チェレプニン)に会い、サージ社のプロダクションに関わりながら、高度にカスタマイズされたモジュラーシンセ=マイティサージを構築。彼の音楽の多くはこのマイティサージの音に特徴付けられています。#1は、アブストラクトかつ繊細に表情を変えながら波打つマイティサージの即興演奏にソプラノ・サックスのパートが重なる、穏やかでイマジネイティヴなロング・ジャーニー。続く#2は、瞑想のワーク=コンティニュアム・ムーブメントの創始者Emilie Conrad(エミリー・コンラッド)のクラスで行われたライブ・パフォーマンス。コオロギとジャングルのフィールド録音、自身の声、小さなベルの音のテープループを使った、より実験的なアプローチがとられています。オリジナルはブラエニーのプライベート・レーベルHeartcall Musicから80年にリリースされ、91年にHearts of Spaceからカセットテープで再発されましたが、その後作者の意向により追加コピーされず長い間廃盤になっていた本作。ファンの声に後押しされるようにCD化が起案されてから10年以上、マスターテープの紛失によるいくつかのテープからの復元作業を経て、今年ようやくリマスター再発が成就したとのことです。


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2017年7月24日月曜日

[140] Ed Hartman - The River


Label: Olympic Marimba Records
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: US
Released: 2014 (1986)
DISCOGS

1 Prelude in G 2:31

2 Sarabande 1:45
3 Improvisation for Klaus 7:20
4 First Flight 3:17
5 River, Pt. 1: In the Woods 6:32
6 River, Pt. 2: At a Stream 3:47
7 River, Pt. 3: Down the River 7:52
listen sample

The album was originally released in 1986 on vinyl. The music has found itself a home in many unusual places, including film and television programs, websites, ringtones, ambient radio programming, etc. The music on this album is a combination of classical, flamenco, minimalistic, folk, acoustic, electronic and original styles. Side 1 (Tracks 1 - 4) was recorded direct to two tracks, and demonstrates various techniques for marimba and vibraphone that can be derived from guitar, piano and string music. Side 2 (Tracks 5 - 7) is a multi-track voyage down an imaginary river. The vibraphone was recorded at MacDonald Park, in Carnation, WA, next to the Snoqualmie River, using a Nagra portable tape recorder (state-of-the-art reel to reel at the time). Additional tracks were then incorporated in the studio. The result is a finished work based on an improvisation. The piece can and has been performed live, using delay equipment. Turn up the HI-FI or out your over-the-ear headphones, and take a trip down "The River"!


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2017年6月19日月曜日

[135] Pierre Mariétan - Rose Des Vents


Label: Mana

Catalog#: MANA 1
Format: Vinyl, LP, Album
Country: UK
Released: 2017 (1987)
DISCOGS

A Rose Des Vents – IA 25:06

B Rose Des Vents – IB 23:55
C Rose Des Vents – IIA 25:23
D Rose Des Vents – IIB 27:25

スイス・モンテー出身の作曲家Pierre Mariétan(ピエール・マリエタン)が、1981年にフランス政府の委嘱を受けて制作、83-84年に実験的なラジオプログラムとして放送された後に、87年にプライベートリリースされたLP版「ローズ・デ・ヴァン(羅針盤の意)/アクシオン・ムジカル」。「都市空間に根付く音の遺産をめぐる7日間の探査」という構想に基づき、フランス全土に点在する村や町を訪ね歩いて録音した、市場、教会、鉄道駅、運河などの風景音や動物の鳴き声、周辺環境に関する住民の声をモンタージュし、都市に潜在する物語や心理的景観を、1時間40分に及ぶひと続きのサウンドスケープ・ミュージカルとして描き出した作品。さまざまな風景描写の間に差し込まれるピアノ、シンセサイザー、フレンチホルン、サクソフォンの短く印象的なパッセージは、マリエタンが率いる音楽研究グループGERMのメンバーの演奏によるもの。


First commissioned by the French Government in 1981, the LP Rose Des Vents. Action Musicale evolved out of a six year project by Swiss composer Pierre Mariétan to document and musicalise the sound environment of urban landscapes within France, creating an inter-geographical auditory map of cities and townships located in the suburban reaches of Paris, including Bezons, Herblay, Montmagny and l’Isle Adam.

Through a mix of field recording, interviews, vegetable market catcalls, braying animals and urban hubbub, Mariétan paints a broad, psycho-acoustically vivid and decentralised profile of metropolitan life from the period; carried to the ear through a coupling with musical studio performance and serialist compositional technique. Over an hour and forty minutes, the recording provides an intersectional and ambient passage through environmental and urban narratives, the radiophonic voice of Ana de Carvalho offering fleeting, poetic orientation with announcements of each titled scene, divining and evoking the sonorous qualities of each landscape as it comes into focus. Each scene tangible yet non-specific, the artist arranging and signalling the possibility of civic and pastoral space as a musical container for spontaneous, sonorous interactions.
Mariétan’s profile is of a rigorous yet open and exploratory composer, utilising principles of chance and curiosity in organising found sound and often negotiating or encouraging encounters with improvisatory gesture or incidental and occurring sound. In 1966 he established the outfit GERM, grouping composers and musicians dedicated to developing new meeting points between composition and improvisation. Members assist in contributing recordings and performances throughout Rose Des Vents, including musical passages on piano, synthesizer, horn and saxophone. These studio pieces, played on saxophone by Daniel Kientzy or piano by Gerard Fremy, recall and redeploy techniques developed over the lifespan of the project, where site specific actions and concerts were performed within each of the towns.
In many ways, the album is a folding of each facet of the author’s life and work into a single representative culmination. A sympathy towards radiophonic or documentary production values is recognisable—Mariétan produced two iterations of Rose Des Vents. Action Musicale for Alain Trutat and Jean Tardieu’s ground-breaking Atelier De Création Radiophonique on Radio France Culture ahead of this LP release—alongside the influence of his work in urban acoustics and research into forms of sound ecology. So too is the obvious pleasure taken in introducing the sweetness of music to children, with notable samples from his educational workshops and sound installations helping to internalise and evoke a sense of inquisitive delight.
It’s these components, combined with themes and concerns about the acoustic environment that resonate 30 years later and establish Rose Des Vents as such an approachable, listenable and lovely piece of experimental sound art. The conjuration of an emotional or psychological plane through musical and metaphorical synthesis allows the listener to situate themselves within the montage in a near cinematic manner, discovering an underlying sonority embedded in the psychic atmospheres of communal life.

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Continuo's weblog: Pierre Mariétan – Rose des Vents

2017年5月25日木曜日

[130] Manongo Mujica & Douglas Tarnawiecki - Paisajes Sonoros


Label: Buh Records

Series: Sounds Essentials Collection
Catalog#: BR75
Format: CD, Album
Country: Peru
Released: 2015 (1984)
DISCOGS


1 Paisajes Naturales 37:51

2 Paisajes Urbanos 18:07


「Paisajes Sonoros」(Soundscapes)は、1984年にカセットで自主リリースされました。この作品は、Manongo Mujica(マノンゴ・ムヒカ)とDouglas Tarnawiecki(ドウグラス・タルナヴィエッキ)による、ペルー音楽に関する大規模な研究の成果でした。彼らは一年かけて、パラカス砂漠からジャングル、リマの市場や大通りを訪ね歩き、海の音、風の音、通りの話し声、ラジオの音を採取しました。このすべての録音素材を使って、サンドロ・リ・ロジーのスタジオでサウンドトラックを構成。そこに様々な楽器を追加し、個人性と民族性が交差する具体音楽とコラージュの探求、アンビエント、ドローンから民族音楽に及ぶ作品を作り上げました。タルナヴィエッキは1982年にムヒカと出会いました。タルナヴィエッキはアカデミックな作曲の出身で、米ロチェスターで学び、ギリシャのプロジェクトのために世界の様々な伝統音楽を研究していました。ムヒカは打楽器奏者として即興とサイケデリック・ロックに専念していましたが、1983年にリマに戻った後、民族音楽、ドローン、具体音楽、フルクサスのようなコンセプチュアルな音楽を追求しはじめました。ムヒカと、アフロペルーの伝説的な打楽器奏者Julio "Chocolate" Algendones(フリオ・チョコラテ・アルヘンドネス)との出会いは、アフロペルー音楽と自由即興を介して霊的交感を探るきっかけになりました。アルヘンドネスはアフロペルーのパーカッションの伝統において異端の存在でした。彼はキューバとハイチに住み、彼の考えるパーカッションの手法に多くの影響を与えた「サンテロ」の儀式やそのリズムに精通していました。彼の特異性はムヒカを魅了しました。彼らのもとに、ロンドンで学び、ポピュラー音楽で作曲を始めた電子音楽作曲家Arturo Ruiz del Pozo(アルトゥーロ・ルイズ・デル・ポゾ)が合流しました。このように、「Paisajes Sonoros」は異なるバックグラウンドをもつ4人のミュージシャンの出会いでもありましたが、しかし彼らは共通して、アカデミックとポップの関係を探求し、自由即興の手法によってネイティブと前衛音楽の共有領域を見つけることに関心を持っていました。1983年には既に、ルイズ・デル・ポゾ、ムヒカ、Omar Aramayo(オマル・アラマヨ)の3人による、アンデスの響きと電子音楽と民族ジャズ・パーカッションを融合した冒険的な作品「Nocturno」がリリースされていました。「Paisajes Sonoros」も、ペルーが社会的に危機的な段階にあった時期につくられました。1980年のFernando Belaúnde Terry(フェルナンド・ベラウンデ・テリー)による民主主義への復帰は、都市のスカイラインの必然的な変容と並行して行われました。インフォーマルな経済が出現し、農村部から都市住居への大規模な移住の結果、首都にアンデス文化が定着しました。80年代まで、リマは深刻な経済危機やテロ集団の問題に直面したため、不安定な状態にある都市でした。当時のリマの状況は、すべて「Paisajes Sonoros」の背景となるサウンドトラックでした。 しかし、自然のドキュメンタリーという性質を超えて、これらの音は、演奏された音楽と対話する精神音響の投影として機能します。周囲の音に触れることは、それが何であるかという現実のサンプリングであり、音楽の設定とそれ自体を具現化し、聴き方の幅を広げて創造的な活動に変えるものです。 - 
ルイス・アルヴァラード


「Paisajes Sonoros」は、私たちの内面の音世界と外の世界、2つの異なる世界を同時に聞く必要性から生まれた音楽研究プロジェクトです。 2つの世界には、異なる振動の性質があります。これら「世界」の間にある矛盾を聞くことを学ぶことは、ひとつの存在の2つの側面の両方の対立を含む「サウンドスケープ(パイサヘ・ソノロ)」を認識することにつながります。これに続く3番目の要素は、複雑な聴覚プロセスの暗黙智としてのユーモアです。それぞれの音のディスプレイの背後には、他の、より静かで見えにくく、さらに捉え難いものが隠れています。それはおそらく、すぐには理解できない起源・砂漠の風景の音。 そのひとつひとつに、音楽的に等しいものはありますか?「Paisajes Sonoros」は、起源の物語を語ろうとしています。それは、主役としての音の発達と死。そして、自然、風・水・雨の発生、次の都市へと続くジャングルの入り口、矛盾と聴覚の豊かさ有するリマの物語です。私たちが音楽を固定的かつ定義可能なものとして判断する習慣や予感を放棄するとき、サウンドスケープの概念が現れます。そうすることによってはじめて、もっとも取るに足らないノイズからもっともありふれた生活音まで、すべての聴覚環境、すべての鳴り響く行為が、別の次元・別の意味にかわり、サウンドスペクトルを生きるキャンバスとして感じる手段になり、私たちが今ここに存在する他の音楽に気づくための手がかりになります。 - 
マノンゴ・ムヒカ


This CD is part of the Sounds Essentials Collection, a rescue project of several fundamental works of Peruvian Avantgarde music, which will be published periodically. The project is made possible through the support of VICERRECTORADO DE INVESTIGACIÓN, DE LA PONTIFICIA UNIVERSIDAD CATOLICA DEL PERÚ Y ALTA TECNOLOGÍA ANDINA (ATA)


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[related]
Aramayo, Mujica, Ruiz Del Pozo - Nocturno (1983)

Luis David Aguilar - Hombres De Viento / Venas De La Tierra, 1978​-​1982
(Sounds Essentials Collection Vol 3)

2017年5月24日水曜日

[129] Old Man Archive

Sense of Guilt
The Remnants of Love
Across the River

OLD MAN ARCHIVESは、日常のふとした場面で遭遇する老人たちの生きた語りをフィールドレコーディングで採集し、 カセットテープ(不可逆的な記録メディア)に封じ込めるプロジェクトです。 そこには個人の名や顔ではなく、ただ記憶だけが、背後に鳴り響く日常のノイズと共に刻み付けられます。/ 各作品は老人の年齢の数だけ生産し(例:93歳 = 93本)、追加生産は行いません。

OLD MAN ARCHIVES is a project which conducts field-recording of living monologues by elderly people whom we met in various daily situations. In the cassettes, memories echoing behind everyday noises are recorded aside from the individual’s name nor face.

Old Man Archive
publishing project based in Japan

2017年1月15日日曜日

[105] Kon Teifi


Label: Coracle Audio Documents
Catalog#: COR001
Format: Cassette, Album
Country: UK
Released: 1974/2015
DISCOGS

A Untitled 19:24

B Untitled 19:11

ウェールズのテイフィ川沿い、ストラータ・フロリダの泥炭沼地の地中深くから発見された一体の木像。造形からポリネシア製と思われたが、なぜウェールズに人が住みはじめた先史時代の地層に眠っていたのかが大きな謎だった。研究が進むにつれて「古代ウェールズはポリネシア人が移住し開拓したのではないか」という推論が導きだされ、それを裏付けるいくつかの具体的な証拠が提示された。1つ目は、南太平洋ニウエの伝統楽器ログハープ(logo tellie)とウェリッシュハープ(telyn)が、言語的にも音楽学的にも同じ起源から派生したこと。2つ目は、フィジーとウェールズの伝統的住居の構造が似ていること。3つ目は、イギリスやアイルランドの河川で使われていたコラクル(籠舟)が、ポリネシアからウェールズまでを航海するための条件を満たしていたこと。テイフィ川は、何千年も前にポリネシア人が上陸した場所だった。ウェールズの歴史研究を根底から覆す古代のロマンに魅せられたある学者が、その航海を身をもって再現しようと、手製のコラクル=Kon Teifiをニウエに運び、18,000マイルの船旅を決行。1971年7月に出発し、南アメリカ東岸〜北アフリカ西岸に沿って大西洋を北上、1年2ヶ月後の72年9月にウェールズにたどり着き、その試みは成功に終わった。 2015年夏のある日、イギリスのレーベルTuluum Shimmering Recordingsに12本のカセットテープが入った箱が送られてきた。差出人の名前も返送先の住所も書かれておらず、テープを配布してほしいという旨のメッセージのみが記されていた。タイトルは「Kon Teifi」。それは44年前、古代の航路を旅した学者が、航海の間にNorelco製カセットレコーダーで現地録音した音声資料を、74年に自費出版したものだと分かった。


以上が「Kon Teifi」がリリースされるまでの経緯。ニウエの浜辺で録音されたという穏やかなギターの調べからはじまり、中継する島々で出会った民族音楽、海の上で学者自ら演奏したハープ、テイフィ河口で旅の到着を迎えるフルート、テイフィの奥深くの森に響く儀式的なドラムまで、旅のルート順に収録され、録音した地点を示す地図を掲載したリーフレットが付属しています。しかし、なぜ多重録音になっているのか。本当に小さな籠舟で18000マイルも旅することができたのか。そもそもポリネシア人起源説はどうなったのか、と色々な疑問が沸いてきますが、本作はおそらく架空の物語を創作した音楽作品であり、その仕掛人はレーベル主宰のJake Webster(ジェイク・ウェブスター)ではないかと考えられます。

Jürgen MüllerUrsula BognerTim RobertsonMartin ZeichneteFlat Staticなど、架空の人物やプロジェクトを装い、彼らの発掘音源としてリリースされた作品は、単なるフェイクではなく、映画や小説と同様のフィクション形式という音楽の新しい表現手法として近年確立されつつあるのかもしれません。ハープが物語と音楽の鍵となっている本作の場合は、Todd Bartonが小説に登場する先住民族の音楽を創作した「ケシュの音楽」に近いアプローチ、フィールドワークの音声資料という設定よりも物語全体のサウンドトラック的な構成で、壮大な海の旅を素朴なタッチの空想民族音楽で演出しています。

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[related]

microphones in the trees: kon teifi
Tuluum Shimmering Records: Audio Archaeology

2016年1月4日月曜日

[021.1] dec

12月のリスニングから
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Kazuya Matsumoto - Fragment Of Water (2015)
鍾乳洞の中、水滴の落ちる位置に一枚ずつ配される鉄琴の音板。キンキンという金属音が加わり、水のリズムが交感しあって音楽的な表情が生まれ、また誰も居ない素の空間の姿に、久遠へ続く時間に、聞き手の想像が広がってゆく。作者は石川県出身で東京在住の打楽器奏者・松本一哉。FilFlaやmergrim groupのグルーヴ/リズムを支えるドラマーとして活動する一方で、ソロでは銅鑼やシンギングボウルなど伝統楽器から自然物まで様々な音具を操り、響きの自然と静寂へアプローチしている。初のソロ作「水のかたち」(SPEKK, 2015)に先がけてリリースされた、もう一つのウォーターワーク。2011年録音。

Alvin Lucier + Nick Hennies - Still and Moving Lines of Silence in Families of Hyperbolas (Quiet Design, 2010)
一定の間隔で発せられるマリンバ、シロフォン、グロッケンシュピール、ヴィブラフォン。その残響に含まれる倍音成分に正弦波を干渉させ、モワレのようなゆらぎ/ビートを発生させる、アメリカの実験音楽家Alvin Lucier(アルヴィン・ルシエ)のスコアを、同国の打楽器奏者Nick Hennies(ニック・ヘニーズ)が演奏。音響学的角度から研究・設計されたコンセプチュアルな音響作で、視覚的な音の動き、不思議な聴感覚に引き込まれる。日本におけるルシエ研究の第一人者・佐藤実氏による研究会(第二期/2015年12月-2016年2月)では、1月23日にこのスコアを取り上げるそうです。

Devon Folklore Tapes Vo.III - Inland Water (Folklore Tapes, 2015)
グレートブリテン各地に伝えられる民俗伝承や神話のフィールドワークに基づく調査報告と、その物語をテーマにした音楽作品で、他に類を見ないフォーク・ライブラリーを築き上げるレーベル/プロジェクトFolklore Tapes。2012年夏に手製ハードカバー型と封筒型、各30部限定でリリースされたカセットを新たにマスタリングし、10インチレコード2枚組+ゲイトフォールド仕様で復刻したもの。ここでは、人々を溺死させてしまう妖精「緑の歯のジェニー」「ペグ・パウラー」や、水辺に現れる幽霊など、デヴォン周辺の河川や湖沼に残る伝説が題材に。作者はSam McLoughlin(サム・マクローリン)とDavid A Jaycock(デイヴィッド・A・ジェイコック)。

Sounds Of The Dawn - Emerald Web Special
12月12日にNTS Radioで放送された、ニューエイジ・テープ発掘ブログSounds of the Dawnによる2時間のロングミックス。Emerald Web(エメラルド・ウェブ)は、70年代末からフロリダで活動するKat EppleとBob Stohlの夫婦ユニット。13年にDisposableのライブラリーシリーズからSam McLoughlin(上記「Inland Water」の作者のひとり)&A. Cooperとのスプリットをリリース、14年には初期作「Whispered Visions」がFinders Keepersから再発と、近年イギリスのアンビエント/フォーク方面からスポットが当てられている。田園から天空へ、光の羽粉を散らしながら縦横に飛び回るシンセ・ファンタジー。

2015年12月15日火曜日

[020] Sea Organ


Label: Wonderfulsound
Catalog#: -
Format: Vinyl, LP, Album 
Country: UK
Released: 2015

1 Sea Organ

2 Solo
3 Mid Morning With Fishing Boat
4 The Pipes
5 On The Waterfront
6 Giant
7 Stirring And Snoozing
8 Up Close
9 The Conversation
10 Around Midnight
11 Mermaid

クロアチア、ダルマチア地方の小さな港街ザダルの海岸にある「シーオルガン」のフィールド・レコーディング作品。第二次世界大戦後の再開発で一面コンクリート護岸になり、地元の人々が寄り付かなくなってしまったという海岸環境を、リデザインするプロジェクトの一環として、2005年にクロアチア人建築家Nikola Bašić(ニコラ・バシッチ)により建造されたもの。今では地元の人達や観光客の憩いの場として親しまれているそうです。海に面した大理石の階段の下には、35本の調律されたポリエチレン製パイプが設けられ、波や潮力の加減でパイプの中を空気が通り、オルガンや笛のように「ボーボー」と音が鳴る仕掛け。気象条件や船の往来でさまざまに音色を変えるこの「波と風の音楽」を、英インディポップ・バンドThe Superimposersのライヴ・パフォーマンスとDJのために当地を訪ねたMiles Copeland(マイルス・コープランド)が録音。ロンドンのレーベルWonderfulsoundからCDとVinylでリリース。

The sounds perfectly preserved on this disc were recorded by Miles Copeland on a visit to Croatia whilst DJing and performing with his band The Superimposers at a music festival on the Adriatic Coast. A friend recommended he make the short journey to the city of Zadar and visit the Sea Organ. 
The Sea Organ turned out to be a 70 metre sound installation by architect Nikola Basic, conceived as part of a project to redesign the coast after the devastation Zadar suffered in World War 2. Open to the public in 2005, the Sea Organ is implanted into the marble steps of the harbour walls. It has 35 organ pipes, which are played by the pressure of the tidal waves lapping air through tuned tubes. The resulting sound wholly depends on the character of the sea affected by weather conditions or harbour traffic, whose ripples create random harmonics and musical chords. 7 successive groups of pipes are tuned to 2 musically cognate chords of the diatonic major scale. Tones and chords are played to create the music as heard on this recording. The end result is a totally random, occasionally aggressive and sometimes soothing performance, which is, of course, played constantly. Miles returned to the giant Sea Organ that weekend numerous times and made these recordings. - wonderfulsound


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2015年11月24日火曜日

[014] Michael Tanner - Music For Three Hills


Label: -
Catalog#: -
Format: Digital, Album
Country: UK
Released: 2015

1 The Green Crown i 11:27

2 The Green Crown ii 11:34
3 Phase Shift 16:11

フォークロア・リスニング①。ある演奏会に参加したとき、静かに発せられる音に演奏者の内面性が滲んで見え、ふと「弧のフォークロア」という言葉が頭に浮かびました。フォークロアとは人々(folk)の知恵(lore)という意味で、一般的には村や郷といった集合体の中で生まれた習俗や伝承を指す語。でも、その最小単位である人間一人が、自分自身のために身につけた知恵も同じようにフォークロアといえるのだろうかと。それは悩みや憂いといった他者に容易に伝えることのできない感情を含み、たとえ自分の子であっても委ねることができず、静かに抱えて死んでゆくような寡黙なものかもしれない。誰かに継承できないほど私的なもので、次の代も同じようにくり返す。フォークロアは、そのように「個人性」と「集合性」の両面で成り立っているように思いました。人が死ぬ時、そのフォークロアはすっと消えてしまうのではなく、エッセンスやスピリットとしてその場に残り続け、道具であり、建物であり、人の通ったところに経験として蓄積されるとしたら、それは道具や建物のフォークロアといえるのかもしれません。フォークロア・リスニングとは、大きな区分のエスノロジーに限らず、人・物・場所に内在する固有の記憶や気配への耳を差し出し、その音を一旦音楽の域から離すことで、楽器・空間・時間による独り語りの先を想像してみること。

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イースト・サセックスを拠点に活動する作曲家/エンジニア、PlinthことMichael Tanner(マイケル・タナー)によるサセックス・ワークス最終作は、2014年の春、キーが壊れた古いアコーディオンを携えてモーリングダウンの3つの丘を登り、コテージに泊まりながら丘ごとの頂上で録音した3つの即興演奏。「音楽」や「曲」ではなく「シンプルに風景と対話した記録」。古いアコーディオンは和音ボタンのみが生きていて、それも気まぐれに予想外の音を発したといい、グレインサックのような粗い触り心地のドローンが、時おり鳥や羊たちの鳴き声や飛行機の音と交わる。作者はこれまでも民間伝承や古い音楽機械をモチーフとしていますが、ロングフォームのサセックス・ワークスでは特にメランコリックな詩情や静かな祈りのようなアンビエンスが醸成されていて、フォークロアの両面(土地と個人)と音との関係を意識させられます。


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2015年3月21日土曜日

[976] Charlemagne Palestine - Bells Studies


Label: Alga Marghen
Catalog#: plana-P alga049
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Italy
Released: 2015
DISCOGS  AMAZON

A Bells Studies 22:33

B1 Bells 5:50
B2 Confiscated Bell Tape, Pt. 1 5:05
B3 Confiscated Bell Tape, Pt. 2 5:13
B4 Dumb Bell Tape 4:35

ミッドタウンのクァジーモドと呼ばれたCharlemagne Palestineの初期チャーチベル・ワークス


鐘塔の螺旋階段を上り、街全体を望む最上部へ。シャルルマーニュ・パレスタインの「地獄の鐘」は、7年の間、ニューヨーク5番街53丁目のサウンド・メインマスト(音の柱の意)になった。本作は若きパレスタインの「鐘」に関するレコーディングのコレクションである。A面は催眠的な響きから密度を増し、爆発へ加速してゆく激しい鳴鐘が記録されたアルバム1枚分のリール・テープ「ベル習作」。短い習作からなるB面は、「コンフィスケイト(押収された)・ベル・テープ」の2パートと、「ダム(物の言えない/ばかな)・ベル・テープ」からの抜粋。いずれのトラックも1965年前後に作者自身によりワインテイクで録音され、50年もの間一度も聴かれることがなかった。ニューヨークの高校、ミュージック&アーツに通っていた1963年、当時15才のパレスタインは、近代美術館の通りにある聖トマス教会のカリヨンの衝いてみないかと声をかけられた。カリフォルニア芸術大学で学ぶためニューヨークを離れる1970年まで、彼は毎日午後5時から30分間テイラー・ベルを鳴らし、その官能的な響きに没頭した。やがてミッドタウンの「クァジーモド」(ディズニーの「ノートルダム大聖堂」に登場する鐘衝き青年)として知られることになり「クランデダダンバアアアアンン」という喧しい鳴鐘法はムーンドッグやジョン・ケージ、トニー・コンラッドのファンの注意を引きつけた。(レーベルインフォより抜粋・訳)


High up in a tower, accessible only by a spiral staircase that led to a concrete platform above the whole city, Charlemagne Palestine's "HellsBells" became the sonic mainstay of 53rd Street and 5th Avenue, NYC, from 1963 to 1970. In 1963, while attending The High School of Music & Art in New York, the 15-year-old Palestine was asked if he'd be interested in playing a 26-bell carillon at the St. Thomas Episcopal Church. He decided that he loved the voluptuous Taylor bells, and played them every day from 1963 to 1970, when he left New York to study and teach at CalArts. During his time above 53rd and 5th, Palestine became known as the Quasimodo of midtown NYC, and his dissonant and "klanggdedangggebannggg" style of playing attracted a diverse group of fans, from Moondog to John Cage to Tony Conrad, among others. Palestine was able to continue playing his clanging-bell soap operas for seven years, dinggdonggingggg every late afternoon and Sunday mornings. This LP collects some of the most relevant recordings from those early days. Side A presents the complete reel-tape "Bells Studies," an intense, pulsating work in five movements. It begins with slow, hypnotic, large sonorities and accelerates into more dense and maximal explosions. Side B collects some shorter studies: "Bells," the two parts of "Confiscated Bell Tape," and an excerpt from "Dumb Bell Tape." Each track was recorded by the composer in single takes around 1965 and unheard since, until now. - alga marghen



CharleBelllzzz at Saint Thomas CD
(Alga Marghen: The Golden Research, 2015) 

2015年3月3日火曜日

[971.1] grn 02

Ishinohana - La Flor De Piedra (Emotional Rescue, 2015/1986)
David Darling & The Wulu Bunun - Mudanin Kata (Riverboat Records, 2004)
listen Mataisah-hik Sagan / discogs / note

Daniel Hecht - Willow (Windham Hill Records, 1980)
Helen Mirra - Field Geometry (Explain, 2000)
1982 - A/B (Hubro, 2014)
listen 18:16discogs / note

Oak Besma - Blue Coat (2012)
listen Sitting In Treetops (bc)

Ian Humberstone / David Chatton Barker‎ - Theo Brown And The Folklore Of Dartmoor (Devon Folklore Tapes, 2014)
Loren Chasse - Green Laughter (Jewelled Antler, 2003)
Another Green World - Boondocks (AGW, 1988)

va From The Pages Of Experimental Musical Instruments Volume IV (1989)