特集 マニー・パッキャオ 激闘の軌跡

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覇道は続く…(2)

 1度負けたモラレスとはその後2度戦い、いずれもKOで借りを返した。1回に3度のダウンを奪ったファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)には、2回以降散々な目に遭わされ、血で血を洗う死闘を演じた。ライト級(リミット61.2キロ)時代には、ミドル級(同72.5キロ)まで制したオスカー・デラホーヤ(米国)の顔面を崩壊させ、TKO勝利を収めた。当時のパッキャオは、今では考えられないような鬼の形相をしていた。パンチが当たろうが外れようが、すぐに体勢を立て直し、強打に次ぐ強打を相手に見舞った。一撃必殺の左ストレートも流れず、相手にカウンターを打ち返す間も与えなかった。
 現在のパッキャオは、満たされ過ぎているのではないか。1試合当たりのファイトマネーは、日本円にして約20億円。それも最低保障の金額だ。さらに、フィリピンの下院議員としての活動にも従事し、英雄扱いされている。練習に割ける時間も減っているのは確かだ。パッキャオが政治活動に精を出している間にブラッドリーはもちろん、王者の地位を狙うボクサーは皆、地獄の訓練を重ねているのだ。33歳という年齢と合わせて考えてみれば、超人パッキャオも停滞せざるを得ず、若手に追いつかれても不思議ではない。
 序盤KOのチャンス、有効打の数。それらを考慮し、パッキャオの勝利を信じるファン、関係者が数多くいる今回の番狂わせ。事態を重く見た世界ボクシング機構(WBO)は、ビデオを見て判定を再検討すると発表した。
 そして、2012年6月20日(日本時間21日)、国際ジャッジ5人によるビデオ検証を行い、全員が「パッキャオの勝利」と判断したという。米スポーツ専門局ESPN(電子版)が伝えた。世界戦を裁いた経験のある5人がビデオ検証した結果、118-110、117-111、117-111、116-112、115-113でいずれもパッキャオ優勢とした。しかし、判定自体は覆らず、ブラッドリーの勝利は変わらないという。

 試合自体の判定でブラッドリー。ビデオ判定ではパッキャオ。これで再戦は必至となった。無敗の服役囚フロイド・メイウェザー(米国)と戦う前に、難敵を増やしてしまったパッキャオ。それでも覇道は続く…。誰もが「パッキャオは終わった」と話す、その日まで。

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