【科学】人々の好奇心を育てる“海部流”プロジェクト 「ガリレオ望遠鏡の普及」と「3万年前の航海再現」

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環境・科学ジャーナリスト 佐藤年緒

 宇宙の成り立ちや人類の起源の謎を追う。一般の人の科学的な好奇心を育みながら「夢」を追う二つのプロジェクトがともに、この7月に成果を見せた。分野は異なるが、「ガリレオ天体望遠鏡の普及」と「3万年前の航海の再現実験」。その成功に共通する精神は何であろうか。

「一家に1台天体望遠鏡」を世界に

 アポロ11号による人類の初の月面着陸から7月20日で満50年。米国や中国による「月」への有人進出が計画され、ますます国威発揚の具になる恐れが出ている。そもそも410年前に月を初めて望遠鏡でのぞいたガリレオ・ガリレイの感動は何だったのか。それは「地球と同じ、月の上に山や谷がある」という発見であり、他の惑星や星の観測と合わせて、天動説を翻す確信につながった。

 百聞は一見にしかず、望遠鏡は誰でものぞける。このガリレオの感動を世界の若い人に体験してもらおうと、国際天文学連合(IAU)が今年、創立100年を迎えるのを機に「一家に1台天体望遠鏡」のプロジェクトを進めてきた。子どもたちが天体への知的好奇心を育むことや世界の平和を願う。

 この実現のために、国立天文台(東京都三鷹市)の職員ら有志がクラウドファンディングの手法で応援を呼び掛けたところ、計274人から334万円余りの支援金が集まり、他の寄付や協賛もあって、総計1200台の天体望遠鏡が製造できることになった。

 この天体望遠鏡は、安価で組み立てが簡易、持ち運び可能なのが特徴。まずは寄付のあったIAUに150台を提供、マダガスカルやスペイン領カナリア諸島に届けられた。地元・三鷹市の学校用には100台、そしてサポーターのリターン用に350台を配布した。残る600台は7月から契約3社から販売を開始。学校用に61台以上まとめ買いすれば、一台3700円で頒布されるという。

 プロジェクト推進役の国立天文台普及室長・IAU国際普及室長の縣秀彦さんは、「月の山や谷の影も映り、スマホやタブレットに付けて撮影できる。学習指導要領にありながら、なかなか指導できない月表面の観察、金星の満ち欠けのほか、土星の輪、木星のしま模様や衛星も見ることができる」と、学校教育への活用に期待する。梅雨が明けて夜空を見る日が待たれる。夏休みにまずは学校の先生に使い方の研修をするという。

◆〔佐藤 年緒〕バックナンバー◆

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