―恐怖支配の狙いは。
首を切断したり、銃殺したりしているが、イスラム国に逆らったら、こうなるという見せしめだ。2003年のイラク戦争後にアルカイダ系武装組織が多用したやり方だ。その手口をそのまま受け継いだ。アルカイダ指導部はこうした残虐な手法に反対していた。
イスラム国が宣伝用に流しているビデオを見ても、住民たちが本当に根っからイスラム国を信じているようには思えない。イスラム国が来て良くなったとの発言もあるが、本当かどうかは検証できない。逆らったらどうなるか分かっているので、仕方なく従っている可能性もある。
―アルカイダとの違いは。
アルカイダには国家をつくるという考えはない。あくまで米国などを標的にジハード(聖戦)を行う組織だ。その先はやることではないと考えている。現在のイスラム国の前身組織である「イラクのイスラム国」は、2006年の段階で国をつくることを明確にしていた。
―指導者バグダディをどう見るか。
イラクのイスラム国の指導者だった故アブ・ウマル・アル・バグダディは、クライシュ族と名乗っていた。いずれは預言者ムハンマドの後継者であるカリフを宣言することは明らかだった。現在のイスラム国の指導者アブ・バクル・アル・バグダディもクライシュ族に属している。初めはうそだろうと思っていたが、現指導者バグダディが属するブーバドリー族はクライシュ族の血筋を引いている。
バグダディのアラビア語はしっかりしている。サダム・フセイン政権時代に唯一のイスラム系の大学に通っていた。ブーバドリー族は宗教的といわれているので、バグダディの宗教心は相当強かったと思われる。カリフになるためにはこの程度の知識がないと駄目だ。イラクなまりのアラビア語を話すようでは失格だが、バグダディのアラビア語はなまりが全く分からない。博士号まで取っているという説もあるが、後付けには聞こえない。宗教的にしっかりした人物であることは確かだ。
バグダディが死亡した際に代わる人材を出せるかどうかがイスラム国にとっての転機になる可能性がある。バグダディは十分に宗教的な知識があり、クライシュ族の出身だ。代わる人材を出せない時にはイスラム国は分裂する可能性がある。せっかくカリフ制ができたのに、ふさわしい人物がいなかったということになれば、カリフ制宣言は時期尚早だったという批判が出てくる。
カリフになるためにはクライシュ族出身などの要件のほかに、宗教的な知識も必要だ。アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンが殺害された後、エジプト出身の元医師ザワヒリが後継指導者になったように簡単にはいかないだろう。
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