イスラム国 恐怖統治の実態

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解決に時間、根絶不可能

 ―空爆で弱体化するのか。

 イスラム国にとって一番怖いのは攻撃を受けることだ。今までは攻撃されなかった。イスラム国の進撃をストップないしは鈍化させる意味はあるが、決定的ではない。

 イラクでは何とかなっても、シリアでイスラム国に決定的な打撃を与えるのは困難だ。イラクではイラク軍にがんばってもらう。シリアはアサド政権を友好国にするわけにはいかない。地上でのエージェントは必ず存在するので、米軍はどこを攻撃すべきか情報を得ている。それでも限界はある。バグダディが殺害されれば、話は別だが。

 ―イスラム国の台頭を防ぐにはどうすべきか。

 重層的な対策しかあり得ない。イスラム国の理論上の問題点をつぶしていく地道な作業が必要だ。即効性はないが、長期的に見て重要だ。彼らのイデオロギーが間違っていることをイスラム教徒たちに理解させる必要性がある。今の流れを見ていると、こうした対応は遅過ぎる。イスラム国が古典にのっとった議論を展開し、同じ土俵にいる場合には、否定しにくい状況もある。

 ―今後の展望は。

 アフガニスタンがどうなるかが非常に重要だ。米軍が撤退して、それに乗じて反政府勢力タリバンが復活すれば、新たな大義が生じる。今のアフガン政府が間違っているということになる。テロリストの隠れ場所がもう一つできることでもある。かつてのイラクがそういう場所だった。イラク情勢がやや落ち着いたら、今度はシリアがテロリストの隠れ場所になってしまった。テロリストが身を隠せるのは中央政府の権威が及ばない場所だ。

 外国人はいつか母国に帰るので、どうしても残虐行為に走りがちだ。外国人戦闘員の流入をいかに阻止するか。対策としては一番簡単かもしれない。国際社会が連携して対応できる問題だ。

 ―問題解決にはどの程度の時間が必要か。

 この種の内乱はレバノンやアフガンで10年単位の時間がかかっている。イラクは30年ぐらいほぼ戦争状態にある。イスラム国などイスラム過激派のイデオロギーを根絶するのは不可能だ。内乱として封じ込めるにしても相当な年月が必要であることは間違いない。

保坂修司氏(ペルシャ湾岸地域近現代史、中東メディア論)


 1984年 慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。在クウェート日本大使館専門調査員、在サウジアラビア日本大使館専門調査員、中東調査会研究員などを経て、2006年、日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究理事。

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