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洞察☆中国(3ページ目)
経済の減速が顕著になった近年、若者の就職志向が大きく変わった。公務員や国有企業などが人気を集めるようになるにつれ、競争も激しくなっている。昨年の公務員試験の倍率は約64倍だった。また先頃、中国の名門大学である北京大学核物理専門の博士学位を取った女性が、北京市のある区の都市管理巡回員として就職したことが世間を驚かせた。
中国にいる筆者知人の医者によると、2021年初めごろに始まった中国のワクチン接種は、18~59歳からスタート。若い人は社会活動が活発で感染を抑える必要があるとの理由である。反対に60歳以上の高齢者への接種の順番は最後。また当時、筆者の知り合いが経営する介護施設では、スタッフ全員の接種が終わっていた時点で、入居者は一人も受けていなかったと話していた。
人間関係が段々と薄れていく中、一人っ子の子どもが成人し実家を出た場合、高齢者が直面する最大の問題は孤独だ。中国では、企業の定年が日本よりはるかに早く、50~60歳となっている。定年しても心身共に元気で、「第二の人生」を始めようという思いで、一緒に暮らす相手を求めることは自然の流れであろう。
少子化は中国政府にとって死活問題だ。経済を持続的に発展させるには、労働力や消費人口を減らしてはいけない。国は昨年、学習塾の禁止や不動産相場の過熱抑制策で子育てしやすい環境整備に動きだした。子育て世帯への現金支給や育児休暇の延長、保育園の増設などの動きも始まっている。しかし、国民の反応は極めて冷ややかだ。
約10年前から中国では、中高年の女性たちが公園や広場、歩道などの公共スペースに集まり、音楽をかけながらダンスをする光景が各地で見られるようになった。しかし、時間や場所を問わず、いつでもどこでも踊りだすので、「迷惑な存在」といったマイナスイメージがあった。しかし、見ていて実に楽しそうで、一緒に踊りたくなる衝動さえある。
血縁関係はないが、自分の孫のように面倒を見てくれるおばあちゃんたちが「シェアリングおばあちゃん」と呼ばれ、人気を集めるようになった。中国では、小学生の通学は家族の付き添いが普通である。両親は共働きがほとんどで、多くは祖父母がその役割を果たしている。
最近、日本からの1本のニュースが中国に大きな衝撃を与えた。それは、日本のある家電専門店の会社が、従業員の退職年齢を最長80歳まで延長すると発表したことだ。65歳の定年時の健康状態、および勤務態度などを勘案し、定年再雇用契約を1年ごとに締結するという。
現在50歳以上の人であれば、知らない人がいないほど有名な日本のテレビドラマが、TBS系列の「赤い疑惑」(中国名「血疑」)と、テレビ朝日系列の「燃えろアタック」(中国名「排球女将」)である。「赤い疑惑」の山口百恵と三浦友和は当時、高倉健と並び、中国で一番有名な日本人となり、今でも伝説のように語り継がれている。
こうした連綿と続いてきた風景が、今年は一変した。数年前から始まっていたものの、ほとんど知られていなかったオンラインの「疑似お墓参り」や「お墓参りの代行」などの新しいサービスが、コロナをきっかけに、全国に一気に広がったのだ。
コロナ感染が落ち着いてきている今でも、マスクが生活の中で欠かせない存在となっている。中国人も、マスクを着用する習慣が身に付いてきたようだ。筆者の友人は「今は、外出や人と対面するとき、マスクをしていないと心が落ち着かない」と話す。それを聞いて少し驚いた。なぜなら…
約3カ月前、コロナウイルスの「震源地」である中国・武漢も、医療現場は混乱の極みにあった。病院に殺到する患者と医療物資の不足のため、医療従事者はまるで「裸」でウイルスと闘い、次から次へと感染した。その後、中国全土から約4.5万人の医療チームが武漢へ支援に駆け付けた。まさに戦時対応である。
中国では、コロナウイルスとの闘い以外に、もう一つ、煙のない戦争がある。真実追究と情報操作との闘いだ。事実の報道が削除されても、その後、ネット民により復活することがたびたびある。人々が削除される前の一瞬の隙を狙ってPDFや写真など、別の形式で拡散し、リレーのように続いていく。
中国政府は「武漢封鎖」をはじめ、「道路封鎖」「マスクの着用」「外出禁止」「自宅勤務」など、次から次へ、強制的に厳しい措置を採った。そんな中で、まん延を抑え込む方法として、また、人々の生活やビジネス活動を支えるツールとして、やはりITなどの最先端技術が改めて効果を挙げているのである。
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