特集 マニー・パッキャオ 激闘の軌跡

  • X
  • facebook
  • hatena-bookmark

マルケス アステカ戦士の意地

 2―0の判定でパッキャオ勝利がコールされた途端、敗者となったマルケスは、さっさとリングを下りてしまった。自分の勝利を確信して、陣営のメンバーと喜んでいたところに判定負けを告げられ、過去2戦同様、不機嫌な表情になっていた。
 WBA・WBOライト級統一王者マルケスは、パッキャオとの第3戦に臨むと同時に、WBOウエルター級のタイトルにも挑戦していた。マルケスが普段戦っているライト級は、リミット61.2キロ。一方、ウエルター級のリミットは、66.6キロだ。マルケスは、前日計量で64.4キロを記録。試合当日には68キロで臨んでいたとされる。パッキャオのパワーを抑え込むつもりだったのだろう。
 マルケスの作戦は一時は奏功し、中盤に主導権を握ったかに見えた。パッキャオの左ストレートをガード、あるいはボディーワークで外し、カウンターを狙った。さらに、死角から左アッパーカット、右ストレートの変則的なワンツーをパッキャオの顔面に打ち込み、その度に歓声が上がっていた。得意のボディー攻撃も健在で、左右のフックをパッキャオの両脇腹に打ち込んだ。
 しかし、10ラウンド以降、マルケスのスピードが、がっくりと落ちた。いつもより重い体で相手を追わなければならないことが、裏目に出たのだろうか。38歳にとって、ライト級からウエルター級へのアップは酷だったのか。パンチを打ってからガードに戻す動作が緩慢になり、パッキャオにカウンターを打ち込まれる危険な場面が増え、9ラウンドまでの動きを取り戻せなかった。
 それでも、マルケスは、ジャッジ1人が114―114をつけるクロスファイトを演じて見せた。「マルケスが勝っていたのではないか」と見るファンや業界関係者も、少なからずいるはずだ。
 1973年メキシコ市出身。93年のデビュー戦は失格負けした。そこから、15年以上かけて、フェザー、スーパーフェザー、ライト級の3階級を制覇した。まさにプロたたき上げの選手で、「真のアステカ戦士」と呼ばれる。男の中の男マルケスが、ジャッジの1人に「引き分け」と判定させたことで、戦士の意地を見せた。

特集・新着

旬のトピックス

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ