共同声明調印を終え、トランプ大統領(右)の背中に手を当てる金正恩委員長=2018年6月12日、シンガポール【AFP時事】
◇平和的方法で非核化めざす出発点
米朝首脳会談は友好的な雰囲気のなかで終わった。トランプ氏は「我々が署名する文書は非常に重要で包括的な文書だ。大変すばらしい時間を過ごし、いい関係を築くことができた」「米国と北朝鮮の関係は全く違うものになると思う。過去と全く違う状況が展開するだろう」とした。トランプ大統領の記者会見は、米国の歴代大統領が実行できなかった米朝首脳会談を初めて実現した高揚感が出ていた。
しかし、共同声明は、とても包括的な内容であり、平和的な方法で非核化をめざす出発点に立ったことを宣言するものだ。「平和的な方法による検証可能な非核化」という表現であれば2005年9月19日の共同声明に書いてある。トランプ大統領が現行の制裁を継続すると述べたのは、非核化の交渉はこれからの課題だと認めたからだった。
昨年5月の文在寅政権の誕生と大陸間弾道ミサイルの発射成功を契機に、経済再建重点策に転じた北朝鮮は、今回の米朝首脳会談で得たものは大きい。非核化に向けての期限を決めたCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)の約束を避けながら、第2回、第3回の米朝首脳会談を準備することができる。その間は米朝軍事衝突の可能性は最小になる。金委員長は「歴史的なこの出会い」「新たな出発を知らせる歴史的な文書」と述べた。
米朝会談を受けて韓国は南北交流を加速する。中国とロシアは北朝鮮に対する個別の制裁を緩和してゆくだろう。トランプ大統領は拉致問題を提起したことを確認した。東アジア対話の時代にあわせて、日本が日朝首脳会談を具体的に検討する必要があるだろう。
(この記事は時事通信社が発行するニューズレター「コメントライナー」に6月13日に掲載されたものです)
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