米朝首脳会談を読み解く〔特集コメントライナー〕

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笹川平和財団上席研究員  渡部 恒雄

 米朝首脳会談後に記者会見するトランプ大統領【ロイター時事】

 米朝首脳会談後に記者会見するトランプ大統領【ロイター時事】

◇トランプ劇場の一環

 歴史的な米朝首脳会談は異例ずくめの展開だった。筆者は、合意後、訪日していた米国の朝鮮半島専門家と意見交換をしたが、彼はトランプ大統領の記者会見を聞いて、怒りで手が震えたという。そもそも、共同声明に非核化への具体的な道筋が示されず、あくまでも北朝鮮側の努力に期待するという内容だからだ。

 2005年の6カ国協議の共同声明では、北朝鮮は「すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、核兵器不拡散条約及びIAEA(国国際原子力機関)保障措置に早期に復帰する」ことを約束しているが、今回はそれ以下だ。しかも「交渉の最中には米韓軍事演習を中止する」として、北朝鮮に行動を促すための圧力を自ら制限するおまけまでついている。このあたりの不備を、記者会見でトランプ大統領が弁解すればするほど、怪しさが漂う展開だ。

 一言でいってしまえば、これも「トランプ劇場」の一環なのだろう。彼にとっては緊張緩和を望む米世論に訴え、11月の中間選挙までに成果を強調できればそれでいいのだろう。あとは北朝鮮が本気であることを祈るのみだ。

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