米朝首脳が署名した共同声明=2018年6月12日、シンガポール【AFP時事】
◇成果乏しく、北の粘り勝ち
この種の会談に失敗はない。史上初めての米朝首脳会談は開催されたこと自体が成功だからだ。一方、内容的には成果の乏しい共同声明だった。注目点を挙げる。①北朝鮮は「朝鮮半島の完全な非核化に強固で揺るぎない約束を再確認」したが、北朝鮮自身の核兵器廃棄への言及はなく、新味はゼロ。北朝鮮の粘り勝ちだ。
これに対し、米国は②北朝鮮への安全の保証を約束したが、米韓軍事演習の中止に言及するなど混乱している。米朝は③新しい米朝関係や、④朝鮮半島での永続的で安定した平和のレジームの樹立でも合意したが、中身は具体性に乏しい。
驚いたのは、⑤追加交渉を国務長官と適当な北朝鮮高官で可能な限り早期に行うとしたことだ。今後首脳レベルでの協議がなくなれば、非核化問題の進展は望めない。北朝鮮で譲歩できるのは金正恩だけだからだ。
北朝鮮に核兵器放棄の意図は当面なく、今後は中韓ロなどが経済制裁緩和に動くので、従来の対北制裁包囲網の維持は難しくなるだろう。日本外交は正念場だ。
(この記事は時事通信社が発行するニューズレター「コメントライナー」に6月13日に掲載されたものです)
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