妊産婦の足を診療所から遠のかせている物理的、心理的な「距離」。それを縮めるための草の根の取り組みの一つが、日本の支援で進められている。
マサイティ郡フィショコト。れんが作りの村の集会所に色とりどりのチテンゲでおめかしした女性たちが集まっていた。お腹の大きい妊婦や赤ん坊を背負った母親たちのお目当ては、巡回クリニックの妊産婦健診と乳児健診だ。おしゃべりに花を咲かす女性の笑い声と、予防接種の注射を受けた赤ちゃんの泣き声が広場を満たす。
日本の非政府組織(NGO)「ジョイセフ」は、地元の「国際家族計画連盟(IPPF)ザンビア」と協力し、無医村で保健ボランティアの育成事業を行ってきた。保健ボランティアは地域の各家庭を回り、妊産婦健診の受診を勧めたり、母体保護のための家族計画の重要性を説き、避妊具を配ったりする。保健ボランティアの足として活躍するのが、日本から贈られた自転車。駅前に放置されれていた自転車が回収、修理され、海を渡ってアフリカの大地で息を吹き返している。
フィショコトでのボランティア育成は2007年に終わったが、支援が途絶えても活動が続くよう、地域拠点としての集会所の建設が考えられた。ジョイセフの出資で、村人がれんがを作って積み上げた手作りの集会所が今、月に一度の巡回クリニックの拠点となっている。
ジョイセフとIPPFザンビアはさらに、郡内のフィワレ診療所に、出産間際の妊婦の待機所「マザーズ・シェルター」を建設する予定だ。待機所があれば、無医村に住む妊婦でも、陣痛が始まる前に診療所に来られるようになる。シェルターの建設も住民の共同作業。地域社会の参加を得た活動で、妊産婦保健に対する住民の意識が高まることも期待されている。
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