42歳母たちの「保活」

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「待機児童ゼロ」でも…

 社内を見回すと、ここにも「高齢出産仲間」がいた。総務局の木田美津子主任(42=仮名)。ともに20代の駆け出しのころを福岡支社で過ごし、焼酎を酌み交わした仲だ。

 2013年5月、第1子となる女児を産んだ。横浜市在住である。同市といえば、10年は1552人で全国最多だった待機児童を、13年までの3年間で解消したことで、一躍脚光を浴びた。同市の保育園には、安倍晋三首相も視察に訪れた。

 14年5月からの職場復帰を予定していた。同市の「待機児童ゼロ」は朗報だったが、それでも保育園に入ることができるか、心配だった。同市がニュースになったことで、多くの子育て家庭が転入してくることも考えられる。

 出産後すぐ、保育園の見学を開始。その数、認可保育園6、同市認定の横浜保育室2、無認可1に上る。出産から1カ月もたたない13年5月中には、横浜保育室の一つと入園の仮契約を済ませていた。

 見学で聞いた認可園の園長の話は、いずれも意識が高く素晴らしいと感じた。開設から数年という園も多く、施設は新しく清潔だった。仮契約した保育室も保育方針などに共感。ただ、川の河口に近いビルの1階に設置されている点に難点があった。彼女は岩手県出身である。津波の危険が想起される場所に、できれば子どもは預けたくない。

 一方、無認可の園では、給食として提供されるのは、「仕出し弁当」だと聞いた。アレルギーの原因になる食品を取り除いた「除去食」にも対応していない。やはり認可園に入りたいと強く思った。

 入園申込書は、記載枠があった第8希望まですべて埋めた。そして、14年2月7日の結果発表。入園を承諾されたのは第4希望の認可園だった。同園は、自宅から遠かったため第4希望にしたが、市内中心部にあり、駅に直結という好立地。人気が高いと聞いていたため、なぜ、第4希望にもかかわらず、同園に決まったのか、少し不思議だ。

 自宅から園までは徒歩20分。それを送り迎えで毎日、往復する。実は学生時代は、合気道で鳴らした。大学の全国大会で優勝した経験もある。しかし、雨の日などベビーカーも使えないとき、荷物を持ち、10キロ近くある子どもを抱えて歩くのは、体にこたえる。自転車で通えれば楽なのだが、同駅近くの駐輪場に空きは無く、「短くて1年、気長に待って」と言われている状態だ。

 入園して気づいたのだが、同園は、いわゆる保育園ではなく、「認定こども園」だった。認定こども園とは、厚労省所管の福祉施設である保育所と、文部科学省所管の教育施設である幼稚園の縦割り状態を、少し融和させ、待機児童解消にも役立てようと06年スタートしたもの。ただ、制度上の位置づけが違うだけで、就学前児童を預かる施設として、保育園と大差があるわけではない。

 それでも、幼保一体型の施設というだけあって、英語学習はじめ教育内容が充実していると感じる。年長のクラスでは、制服が用意されていて、セーラー服姿を見るのも楽しみだ。しかし、それらは付随的なことで、何よりも、担当の先生たちが、心から子どもに向き合ってくれている姿に感激している。自分のほかに、ここまで子どもに手を掛けてくれる人がいるという、計り知れない心強さを感じている。

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